2006年5月号 / 2006年7月号 / 最新号

こだまの世界

2006年6月号

「[最近の]学生が勉強しなくなった」という見方は、半分当たっていて、 半分はずれている(…)。いまの学生は、僕たちの時代とは、 勉強する場所が違ってきているのではないか(…)。
1950年代生まれの僕たちの世代までは、学生は教室の外で勉強するものと 相場が決まっていた。文学部(…)の学生だった僕は、 喫茶店に行っても、飲み屋に行っても、文学の話ばかりしていた。
ところが、いまは違う。多くの学生にとって、大学は高校や予備校の 延長であって、勉強は教室でするものらしいのだ。 なにしろ、多くの学生は自分を「生徒」と言うのである。 自分が「学生」になったという自覚さえないのだ。 だから、僕たちの世代には想像もできないことだが、 大学の教師に何かを「期待」しているらしいのである。

---石原千秋『学生と読む三四郎』

つぎのこともまた虚栄心を棄てるのに役立つ。 君の生涯全体、あるいは少くとも君の若いとき以来の生涯を、 哲学者として生きたとするわけにはもう行かない、という事実だ。 多くの他人や君自身にも明らかなことだが、君は哲学から遠く離れている。 だから君は面目を失い、もはや容易なことでは哲学者としての名声を かちうることはできない。

---マルクス・アウレーリウス『自省録』

It's time we admitted that there's more to life than money, and it's time we focused not just on GDP but on GWB -- General Wellbeing. It's about the beauty of our surroundings, the quality of our culture and above all the strength of our relationships. There is a deep satisfaction which comes from belonging to someone and to some place. There comes a point when you can't keep on choosing; you have to commit.

---David Cameron, UK's Conservative leader

Most political decisions require a cost-benefit balancing in which disadvantages to some are outweighed by the overall benefit to the community... However, some injuries to individuals are so grave that they cannot be justified by declaring that that is what the public wants. A civilised society recognises rights precisely to protect individuals from these grave harms.

---Ronald Dworkin

判例法(common law)を作るのは、(…)裁判官である。 裁判官がどのように判例法を作るか、ご存知だろうか。 ちょうど、人が自分の飼っている犬に躾を教えるのと同じ仕方でである。 犬が飼い主の望まない行為をする場合、飼い主は犬がその行為をするまで待ち、 その行為をしたときに体罰を与えるのである。 これが、自分の犬を躾るやり方である。 そしてこれが裁判官がわれわれに対して法を作るさいのやり方である。

---ジェレミー・ベンタム

`I would like Chileans to remember me as a transparent woman, who always said what she thought and did what she said.'

---Michelle Bachelet, Chile's first woman president


主な話題


01/Jun/2006 (Thursday/jeudi/Donnerstag)

真夜中 (午前)

6月。

よく寝る。

メモ。「背後の理由を持たねばならない。そして、 民衆と同じことをいっているようでも、すべてを背後の理由によって判断 しなければならない」(パスカル)。 倫理的判断にも理由が必要だというのも、結局、 知識か憶見かという区別を繰返しているだけだ。

メモ。ないものねだり。 「今楽しんでいるのは間違っているのだという感じ、それでいて、 今持たない楽しみの空しさを知らないこと、それが人間の定めなさの原因である」 (パスカル)。

昼下がり

午前中は新聞の切り抜きなど。 わ、『ニューヨーク・ドール』 という映画が今週末から始まるそうだ。 絶対見に行こう。

お昼は某ランチョン・セミナー。 某氏の発表による、英国の公衆衛生倫理の紹介。

夕方

昼下がり、椅子に座ってちょっと寝る。それからメタ倫理学のお勉強。 夕方、同僚の某氏らと義務論をめぐって侃々諤々。会議は踊る、されど進まず。

夕方、購買部でちょっと買物。 それから研究室に戻ってメタ倫理学の勉強。

メモ。『倫理学』におけるフランケナのメタ倫理学の説明。 まず、「正しい」や「善い」といった言葉の意味に関する 自然主義、直観主義、非認知主義の見解を検討し、 穏健な立場の非認知主義が支持されるとする。 ただし、非認知主義が採用しがちな相対主義は排除する。 最終的には、内在的価値と基本的道徳原則の正当化についてのフランケナの 見解を示し、なぜ道徳的であるべきかについても、 一応の説得的な議論が示せるとする。云々。

真夜中

夜、少しだけ某授業に顔を出したあと、同僚の某氏らと事務室でビール。

夜中、散歩ついでに小石川の某スーパーに買物に行く。

メモ。考えるべきことがいろいろある。 冷静に、またimpartialに考えること。

今日のニュース


02/Jun/2006 (Friday/vendredi/Freitag)

いつもの時間に起きられず。いかん。

真夜中

朝は1時間遅れで出勤。午前中は雑用。お昼は同僚の某氏と某サブウェイで。 午後は某教授と某密談をしたり、某ガイダンスを手伝ったり。

夜は久しぶりに自炊。ツナトマトソースのパスタとブロッコリ。 もう少しレシピを増やそう。

今日のニュース


03/Jun/2006 (Saturday/samedi/Sonnabend)

お昼前

昏々と眠る。

お昼すぎ

お昼は素麺、納豆。

早く大学に行って勉強すべきだが、 自宅でゆっくりしている。

子曰、君子喩於義、小人喩於利

(優れた人は道義に通じており、劣った人は利にさとい)

子曰、見賢思齊焉、見不賢而内自省也

(優秀な人を見たら見習うべき手本とし、ダメな人を見たら他山の石とせよ)

昼下がり

つい昼寝してしまう。どうも、よく眠る時期らしい。

キース・リチャーズ全快でストーンズ公演再開だそうだ (BBC News)。

真夜中

夕方、春日の喫茶店で少し新聞を読んだあと、 神保町に行き、某研究会に顔を出してくる。

そのあとの懇親会にも参加し、日本酒を飲んで酔っぱらう。 歩いて春日に戻り、某マンガ喫茶に寄ってから帰宅。

今日のニュース


04/Jun/2006 (Sunday/dimanche/Sonntag)

お昼前

起きる。

某ユニットが夏期集中コースと シンポジウムの参加募集を始めたようだ。一応宣伝。

お昼

大学に行こう。

曾子曰、吾日三省吾身、爲人謀而忠乎、與朋友交言而不信乎、傳不習乎

(わたしは毎日何度も反省してみる。人に接したときに不親切ではなかったか、 友人に対して不誠実ではなかったか、教わったことを理解しなかったのではないか)

お昼すぎ

まだ自宅。ひさしぶりに写真などのファイルのバックアップ。 面倒だが、後悔先に立たずなので、ときどきやらんといかん。

昼下がり

けが人を助ける

赤門から入って研究室に向かう途中、 小学生ぐらいの子どもが必死の形相で近寄ってきたので何かと思ったら、 友達が自転車でこけて血を流していると言う。 道の先を見ると、たしかに懐徳館の手前に子どもが顔を押さえてうずくまっている。 行って顔を見ると、眉の上の肉が少し削れたようで、派手に流血している。

大学病院は近いけれど、そこまで運ぶのにどうしたらいいかと考え、 とりあえず、 元気な方の子どもに赤門の守衛さんに事情を話して来てもらうように頼む。 次に、元同僚の医師に電話すると、意識があり、嘔吐感もないようなら、 救急部に歩いて連れて行くがよかろうと助言をもらう。 やはり持つべきものは医師と弁護士だと感謝しつつ、 泣いている子どもにもう大丈夫だからと声をかけつつ救急部に連れていく。 途中、赤門から来た守衛に会ったので、救急部に連れていきますと伝える。

救急部に着くと、入口の長椅子に子どもを座らせ、 受付の女性(看護師?)に、「ちょっと困っているんですが。 子どもが自転車でこけて顔から血を流しています」と言うと、 「保護者の方ですか」「本人は治療を受けたいと言っていますか」 とか尋ねられたのでムカっときたが、とにかく見てくださいと言う。 子どもを見るとすぐに対処してくれたのでよかったが、 子どもを外で待たせずに、 最初から受付の目の前に連れて行けばよかったと反省する。

さいわい子どもが名前も住所も言えたので、保護者を呼ぶことになり、 オレは御役御免に。 先と同じ受付の女性に「通りすがりの方ですよね。学生さんですか」 と言われたので、「いえ、教員です」と答える。 「そうですか。一応保護者の方がお尋ねになることもあると思うので、 お名前を伺ってもよろしいですか」。「こだまです」。 そう聞くと、その女性は紙に「教員、こだま」とだけメモをしていたが、 その情報だけであとでオレを特定できるんだろうか。

なんか対応が悪いなあと思いながら、救急部を後にして、 研究室にやってくる。ちょっと救急部の受付の対応には辟易したが、 某医師のおかげで無難に対応できた。 緊急時に適切に対処するには場数を踏む必要があるんだろう。 せいぜい徳を積もう。

夕方

喫茶店で新聞。眠くなってきたので研究室に戻ってくる。

He ain't heavy, he's my brother...

夜中

ちょっと早目に帰宅。先日の残りのトマトソースを使ってパスタ。 そのあと少し寝てしまう。

もうちょっと勉強しよう。

真夜中

ちょっと勉強。まだやる気はあるが、明日のことを考えてそろそろ寝よう。

今日のニュース


05/Jun/2006 (Monday/lundi/Montag)

真夜中 (午前)

つい夜更ししてベンタムの勉強。もう寝よう。

なんとか起きる。ブラインドを調節して、外の明りが入るようにしておくと、 自然と目が覚めるようだ。

お昼

定時出勤。涼しい。上着を持ってきてよかった。

午前中は同僚の某氏とちょっと相談。そのあと、新聞の切り抜き。 たまっている新聞がなかなか片付かない。

真夜中

お昼は同僚に買ってきてもらった弁当。 仕事をしていると、 某後輩から電話がかかってきて、 検査入院したとのこと。しばらく入院しているみたいだから、 今度見舞いにでも行こう。

そのあと、いくつか雑用を片付け、 夕方にプールへ。500メートルを3本。 キックをするときに足が水面を出ないようにと意識するより、 むしろ水面に出るぐらいのつもりの方がよくキックできることに気付いた。 錯覚かもしれないが。

さらに夕方、同僚の某氏とテキストの相談。

それから、地下鉄で渋谷へ。 渋谷に来たのは数年ぶりかもしれない。 某氏とタイ料理を食べたあと(シンハービールなど飲む)、 「専ら異性を同伴する客に利用させることを目的とするもの」 と定義される建築物が林立するあたりをしばらく社会見学してから、 レイトショーでやっていた 『ニューヨーク・ドール』を観る。

ニューヨーク・ドールズのベーシスト、 アーサー「キラー」ケインを主人公とした ドキュメンタリーで、だいたいこんな話: 伝説的なパンク・バンドであるニューヨーク・ドールズが2年ほどで解散したあと、 アーサーはいくつかバンドを結成するがいずれも短命でうまくいかず、 ボーカルのデヴィッド・ヨハンセンなどが有名になっていくのを 尻目に落ちぶれていく。 彼女にも見放され、自殺を図っても死に切れず、人生のどん底にあるときに、 偶然モルモン教に出会い、入信する。 堅気の仕事に就き、ようやく人生が順調に進むようになってきたところに、 長年の夢であったバンド再結成の話が舞い込む…。

映画は非常に楽しめた。 図書館勤めの中年モルモン教徒という全然ロックでなかったアーサーが、 夢がかなってロンドンでのバンド再結成コンサートでかっこよくベースを弾く という対比がかっこいい。最後の劇的な終わり方もまさに衝撃的。

監督のグレッグ・B・ホワイトリーはこの映画がデビュー作だそうだ。 すごいな。この監督もどうもモルモン教徒のようで、 たしかに全体的に少し宗教がかっているが、 それもまた一興で、むしろその宗教的な見地によって、 ストーリーにまとまりが与えられていると言える。

アーサーの人生が果たして幸福なものと呼べるのかどうかについては 議論ができそうだが、いずれにせよ本当によくできたストーリー。 事実は小説より奇なりというのはこういう実話について言われるんだろう。 ニューヨーク・ドールズを知らない人でも楽しめる良い映画。 ひさしぶりにドロドロの心が洗われた。B+。

そのあと、映画の余韻にひたりながら真っ直ぐに帰宅。

素麺を作って食べる。

今日のニュース


06/Jun/2006 (Tuesday/mardi/Dienstag)

真夜中 (午前)

死について明るく語る

あれ、なんだかハイになってきたので、ついでに死について陽気に語っておこう (ウツなときに死について語ると、周りの人が心配するので)。

マルクス・アウレリウスの死についての記述はいつもgrimだ。一例を挙げると。

昔さかんに讃めたたえられた人びとで、どれだけ多くの人がすでに 忘却に陥ってしまったことであろう。そしてこの人びとを讃めたたえた人びとも どれだけ多く去って行ってしまったことであろう。

この諸行無常というテーマは『自省録』に何度も何度も出てくる。 この一節はまた、名誉を追求することの空しさについての記述でもある。 こういうことを毎日繰返し自分に言い聞かせる必要があるというのは 変人な感じだが、まあ、いわば宇宙の視点から自分を見つめ直すことにより、 自分の悩みの矮小さ、人生の短さを確認し、 その作業を通じて大局的な判断を下すことが可能になるんだろう。

それに比べると、ニーチェの『ツァラトゥストラ』の一節、「自由な死」は明るい。

多くの者はあまりにおそく死に、少数の者はあまりに早く死ぬ。 「ふさわしいときに死ね!」という教えはいまだに新しい。(…)
すべての者が死ぬことを重大視する。しかし死はいまだに祝祭とまではならない。 人間はまだ、どのようにしてもっとも美しい祝祭を挙げるべきかを知らなかった。 (…)
全(まった)からしめる者は、希望する者たち、誓約する者たちにとりかこまれて、 勝利に輝いて、その死を死ぬのだ。(…)
わたしの死を、わたしはあなたがたに讃えよう。自由な死を。 それはわたしが欲するから、わたしのもとに来る死である。
そしてわたしは、いつそれを欲するだろうか? ---目標と後継者を持つ者は、 目標と後継者にふさわしいときの死を欲するのだ。

「ふさわしいときに死ね」(ニーチェ)。自分で選ぶという意味で自由な死。 優れた俳優は、退場の仕方まで考えているものだ。

「一番大切なことは単に生きることそのことではなくて、 善く生きることである」(ソクラテス)。 善く生きるためには、死ぬときを誤らないようにしなければならない。

「自分がいちばんおいしくなったとき、 ひとに食われつづけるのをやめよ。いつまでも愛されたいと思う者は、 このことを知っている」(ニーチェ)。 自分について言えば、大きい実か、小さい実かは置いておくとして、 たぶんもう数年で成熟すると思われるので、今はまだ死ぬときではない。 誤って死なないようにくれぐれも気をつけよう。

Always look on the bright side of death...

起きる。やはりブラインドの調節の仕方で、 朝起きたときの調子が違うようだ。

メモ。自分の身を削りながらでも自分の属する集団に貢献しようとする人。 反対に、集団に貢献するよりも、そこから少しでも多くの利益を得ようとする人。 `Ask not what your country can do for you...'

メモ。調査研究と文献研究。調査研究をする人は、 文献研究は調査のための予備的研究と考え、 文献研究をする人は、調査研究は研究のための資料を提供してくれると考える。

朝2

定時出勤。あれ、ニューヨーク・ドールズ、 再結成して3rdアルバムを作っているのか。 ベースは元ハノイ・ロックスのサム・ヤッファだって。

メモ。人間はときどきメンテをしてやらないと、調子が悪くなる。 人間関係も然り。「歯車が噛み合わなくなる」という比喩。

お昼すぎ

午前中は某院生たちと英語文献講読。

そのあと、某ランチョン・セミナー。 久山町研究のビデオ。勉強になった。

夕方

昼下がりから某ミーティング。1時間弱で終わる。 そのあと、某レポートの添削など。

いろいろ考えるべきことがあって忙しい。 深呼吸して心に余裕を持つべし。

真夜中

夕方、某教授といろいろ密談。 そのあと、同僚の某氏とメタ倫理の相談。 ようやく形になってきた。

夜は同僚の某講師と居酒屋に行き、いろいろ相談に乗ってもらう。ビール、 獺祭(にごり酒)。少し酔っぱらう。

寝不足気味なので今日は早寝しよう。

今日のニュース


07/Jun/2006 (Wednesday/mercredi/Mittwoch)

よく寝る。

夕方

朝、mewでUTF-8が読めるようにしようと1時間ぐらい苦戦するが、 うまく行かず。明らかに時代についていけてない。

午前中は某勉強会。

お昼は某学部の某会議に出席。

お昼すぎ、同僚の某氏と、某サブウェイで食事。 そのあと、某氏と某症例について検討する。

昼下がり、某院生の指導。

夕方、同僚の某氏と、メタ倫理学の相談。 だいぶ話が進んできた。めでたい。

夕方、プール。狭いレーンに三人たむろして雑談している集団がいて、 腹を立てる。それで以下のメモ。

メモ。道徳の客観性について。正当化できる怒りと、正当化できない怒りがあり、 道徳的な怒りは正当化できると考えられている。正当化できるとは、 理由を説明すれば、他の人もその怒りに納得するだろうということ。 他の人というのは、自分の仲間だけでなく、 その怒りの対象となっている人も含まれる。その相手でさえ、 きちんと説明すればその怒りに納得するだろうということだ。

また、「私は怒っている。だからその行為は不正である」ではなく、 「その行為は不正である。だから私は怒っている」 である点に注意すること。 ベンタムが正しく指摘したように、怒りが倫理的判断を正当化するのではなく、 あくまで自分の判断の正当化は、別の根拠に求めなければならない。

真夜中

夜、ちょっと新宿に行き、某氏とイタメシ。サングリア。 南口の某喫茶店で歓談してから帰宅。

そういえば、今日、翻訳を一件引き受けてしまった。 翻訳はしないと決めていたのに、誘惑に負けてしまった…。 今年は絶対にこれ以上仕事を引き受けないようにしよう。 どんなに良さそうな仕事であっても、誘惑に負けてはいけない。

真夜中2

そういえば、先日から、座右の銘というのを考えている。何がいいかなあ。

imprudentな人間なので、この中では「備えあれば憂いなし」が良い気がする。 もうちょっと考えてみよう。

座右の銘(めい): 常に自分の座右に記しておいて、 日常のいましめとすることばや文。座左の銘。 (Shogakukan 1988/国語大辞典(新装版) 小学館 1988)

今日のニュース


08/Jun/2006 (Thursday/jeudi/Donnerstag)

真夜中 (午前)

ちょっと疲れ気味なので、なるべく早目に寝よう。

寝不足気味だが、甘えたことを言ってないでがんばろう。

メモ。メールの書き方一つをとっても、人間性が表れる。 礼儀を忘れてはいけないが、おもねったり、ひよったりせず、 筋を通す気概を持つこと。臆病と蛮勇の間、頑固と日和見の間。 Keep your chin up.

お昼すぎ

午前中は同僚の某氏との相談や、メールのやりとり。 お昼はランチョン・セミナー。

某師匠のご好意で、Gmailのアカウントを作ることに。使うかな。

真夜中

昼下がり、某院生と某相談。夕方、同僚の某氏と某相談。

夕方から、某授業の手伝い。司会役を引き受けたものの、 途中で寝てしまい、役目をきちんと果たせず。いかん、気が緩んでいる。 反省しよう。

そういえば、今日は一日中腹の調子が悪かった。神経性のものか、 あるいは何か悪いものを食べたのか。

夜、同僚の某氏らと事務室でワインとビール。歓談。 それから帰宅。

今日のニュース


09/Jun/2006 (Friday/vendredi/Freitag)

雨音を聞きながら、よく眠る。さて、今日もがんばろう。

朝2

定時出勤(少し遅刻)。

雨。 そういえば、大学に歩いて来る途中にある、紫陽花がきれいだ。

お昼すぎ

午前中は新聞の切り抜きと授業のスライドの手直し。 昼食を忘れるほど集中してモニターを見ていたので、目が痛い。 ちょっと休もう。

真夜中

昼下がり、某院生と一緒に某教授のところに話を伺いに行く。 予想していたより早く終わったので、 そのあと一時間繰上げて某テキストの相談。 ようやくテキスト全体の構想が固まったので、 あとはどんどん書かないといけない。

夜は自炊。 今週はよく働いた(気がする)ので、 週末はゆっくりしよう。

真夜中2

レスリー・チャンとアンディ・ラウが主演の 『上海グランド』を、ついつい見てしまう。 1930年代の上海を舞台とした任侠映画。 友情や愛情で結ばれていた若者たちが、運命にもてあそばれて、 敵同士となりお互いを傷つけあうという話。 『インファナル・アフェア』を思い出した。 ちょっと古臭い感じがして、展開に辟易するものの、 主演男優がかっこいいので最後まで一気に見れてしまう。B-。

今日のニュース


10/Jun/2006 (Saturday/samedi/Sonnabend)

ちょっと遅目に起きる。

お昼すぎ

mewの設定にはまる。とりあえず、umin.ac.jpに来るメールはGmailに転送して、 mewでGmailに読みに行くようにしたが、勉強不足で今ひとつ動作がうまく行かない。

上の件は、某師匠にいろいろ教えていただいて、解決。感謝。

真夜中

昼下がり、ちょっとシンガーの勉強。夕方は買物に出かけて、 適当に自炊。 賞味期限を一年ほど過ぎたバターがチーズになっていて、びびる。 ビールを飲んでしまう。

そういえば、今日買物に出かけたときにようやく、 樋口一葉が住んでいたところの井戸を見つけた。

つい、イングランド対パラグアイ戦を見てしまう。パラグアイのオウンゴールで、 イングランドが1-0で勝利。勢いがなくて今いち。

真夜中2

もうちょっとシンガーの勉強。

今日のニュース


11/Jun/2006 (Sunday/dimanche/Sonntag)

お昼すぎ

アラームをかけずに寝たら、お昼まで寝てしまう。

今日は勉強しよう。

去年の今ごろ、シンガーの翻訳が出たんだな。 そういえば、北の方の大学で、この本を綿密に読んでくれているらしく、 すでにいくつか誤訳が発見されている。 某出版社の方で正誤表が 作成されているようだ。

昼下がり

そろそろ喫茶店に行って新聞を読もう。

ひさしぶりにNew York Dollsの1stアルバムを聴く。

夕方

結局まだ自宅。新聞など。

数独を一つ解く。

シンガーの勉強。ちょっと寝てしまう。 今日は家から一歩も出ていないので、 買物ついでに散歩でも行くべきだな。

夜2

シンガーのお勉強。

夜中

まだシンガーのお勉強。散歩でも、と思ったが、外はけっこうな雨。 やめとこう。

真夜中

シンガーの勉強、いちおう終わり。 ベンタムの勉強もしなければ。

今日のニュース


12/Jun/2006 (Monday/lundi/Montag)

真夜中 (午前)

ベンタムの勉強。

寝不足。

お昼前

定時出勤(ちょっと遅刻)。同僚の某氏といろいろ相談など。

真夜中

お昼から、 同僚の某氏と一緒に和光市にある理研へ。 脳科学総合研究センターなどで最新の研究を紹介してもらう。 いろいろお土産をもらう。「一家に一枚ゲノムマップ」もついに入手。感謝。 「ヒトにはヒトゲノム、フグにはフグゲノム」とか、見ているとなんだか楽しい。

夕方、渋谷に行き、クラブ・クアトロでJamie Cullumのライブを見る。 Jamie Cullumは若いのに芸達者で、しかもエンターテイナーでもあり、 ある種の貫禄すら感じさせた。日本ツアーは好評だったとみえ、 今年の12月に再来日するそうだ。B+

上海料理を食べてから帰宅。ビール、紹興酒。 戻ってきてテレビを付けると、 日本が1-0でオーストラリアに勝っていたのに、 いきなり3点取られて逆転負け。あらら。

今日のニュース


13/Jun/2006 (Tuesday/mardi/Dienstag)

寝足りないが、なんとか起きる。

真夜中

今日のこと。

今日のニュース


14/Jun/2006 (Wednesday/mercredi/Mittwoch)

起きる。シャワー、洗濯、朝食。

朝2

定時出勤。

夕方

朝、某勉強会に出る。

どうも朝から体調が優れないので、お昼に帰宅して、夕方まで休んだ。 夕方になってから、某ハンバーガー屋で食事をしてまた大学へ。

デボラ・ジョンソンの翻訳の二刷が出たようだ。 一応宣伝。

真夜中

夕方、しばらく脳死について勉強したあと、 同僚の某氏らと食事に行く。 某定食屋で、ビールや酒を飲みながら、いろいろ議論。

それから帰宅。明日の勉強会の準備をしないと。

今日のニュース


15/Jun/2006 (Thursday/jeudi/Donnerstag)

昨夜は、スペイン-ウクライナ戦(4-0)をちょっと見て、 そのあと寝てしまった。よく寝たのはいいが、勉強しなければ。

朝2

定時出勤。

真夜中

午前中はお昼のランチョン・セミナーの準備。ランチョン・セミナーでは、 シンガー講演の概要について 発表。

昼下がり、シンガー夫妻を迎えに某院生と一緒に東京駅へ。 本三に連れてきて、某旅館にチェックインしてもらい、 大学に連れていく。雨。 夕方から某学部の1番大教室にて某講演。満員御礼で一安心する。 あいかわらず小心なので、その場では質問する機会が得られず。

講演の後、懇親会に参加。一人で行くのはウツなので、 いろいろな人を道連れにする:-) ちなみに、この場合の選好順位は、 「知り合いと一緒に懇親会に出る」>「懇親会に出ない」>「知り合いのいない 懇親会に出る」となる。ビール、ワインなど。

夜、シンガー夫妻を旅館に連れていってから、研究室に戻り、 同僚の某氏らと某事務室でビールなど。疲れていたせいか、 少し配慮を欠いた発言をしたり、お茶をこぼしたり。 今度から気をつけよう。 そういえば、北の大学から某氏が訪ねてきていた。

今日のニュース


16/Jun/2006 (Friday/vendredi/Freitag)

ちょっと寝不足。しかし、文句を言わずにがんばろう。

メモ。多くの人は功利主義を知らない。また、一部の人は、 ミルの自由論を読んでいないので、「多くの人が反感を感じることは、 その理由だけから法的に禁じてもよいのではないか」と考えている。

メモ2。他人から利益を受けることばかり考えている人々。 Ask not what others can do for you...

お昼すぎ

朝、シンガー夫妻を浜松町まで連れていき、 モノレールのところで別れる。

それから荷物を取りに一旦帰宅して、大学へ。

Amazonから、SkorupskiのWhy Read Mill Today?, KellyのLiberalism, Michael JacksonのOff The Wall, Thrillerなどが届く。 あと、クリシンの本が2冊と、Collins Cobuild Advanced Learner's English Dictionary 5th ed.と。

昼下がり

Why Read Mill Today?を片手に某サブウェイに行き、 昼食。眠くなる。 この本はヘーゲルだとかポストモダンだとか実存主義だとかロールズだとか、 いろいろ出てくるが、 説明が足りないので何を考えているのか今ひとつよくわからない。 まだ最初と最後の章しか読んでいないが、 なぜ今日ミルを読むべきかがあまり伝わってこなかった。

`Ask not...'というのは、 ケネディの就任演説の 有名な一節のもじり。 `And so, my fellow Americans: ask not what your country can do for you--ask what you can do for your country.'

真夜中

夕方、某テキストの相談。

夜は小石川のあたりでフランス料理。そこそこ。

夜は自宅でいろいろ仕事をしたり。

今日のニュース


17/Jun/2006 (Saturday/samedi/Sonnabend)

お昼

寝不足だが定時出勤。午前中は、院生との文献講読。

真夜中

今日のこと。

真夜中2

コンピュータの設定をいじりながら、 『すべては愛のために』、『ANTS』、 ガーナ対チェコ戦(2-0)を見てしまう。

今日のニュース


18/Jun/2006 (Sunday/dimanche/Sonntag)

お昼前

よく寝る。

ブランチは素麺。

後輩の某氏のお見舞いに行くため、 お昼ごろに家を出て、電車を乗り継いで五反田へ。 三田線で三田に行き、都営浅草線に乗り継いだのだが、 まちがって品川まで行ってしまい、遠回りをしてしまう。 五反田駅で同僚の某氏らと合流。 コンビニでおみやげの雑誌を買ってから病院へ。

某氏はまだCCUにいたが、だいぶ回復していたようだったので何より。 2時間ほど世間話をしてから病院を出る。 そのあと、駅前の喫茶店で某氏らとしばらく世間話をする。

夕方、本三に戻ってきて、喫茶店で新聞。 オランダでペドファイル(小児性愛)の連中が政党を作ったそうだ。 公約は、性行為の同意年齢を16才から12才から引き下げること、 児童ポルノの合法化、動物とのセックスの合法化とのこと。

「百歩譲って、12才以上16才以下の児童に性行為に関する同意能力があることを 認めたとしても、動物の場合は同意能力がないから、レイプになるんじゃないですか」

「いやいや、ボノボやチンパンジーには同意能力があるかもしれないじゃないか。 それに、たとえ同意能力がないとしても、 人類の福祉のために動物実験も許されてるんだから、 一部の人間の幸福のためには動物とのセックスも許されるんじゃないの。 それに、もし人間も動物も快を感じるなら、 功利主義者はたとえ自分の好みでなかったとしても、 積極的に合法化を支持すべきだろう」

「う〜ん。シンガー先生に訊いてみたらよかったですね」

メモ。 An Inconvenient TruthUnited 93は観に行くこと。 そういえば、入院中の某氏に「劇団ダンダンブエノ」の「トリデ--砦--」 という公演のチケットをもらった。6月21日(水)19.00-@青山円形劇場で、 チケットは一枚しかないが、もし欲しい人がいたらメールください。

メモ2。2004年の日本のODA実績は88.59億ドルでGNP比は0.19で世界20位。 1万円もうけたら、19円をODAに使うという計算だ (2005年の暫定値は0.28%で17位)。 国連は先進国の目標を0.7%にしろと言っている。 シンガーは0.4%とか0.7%では半端なので、 1%にしろと言っている(『グローバリゼーションの倫理学』第5章)。 つまり、1万円もうけたら、100円は対外援助のために使えということだ。

夜2

まだ研究室。いくつか雑用を片付ける。

夜中

某海鮮丼屋で夕食後、帰宅。日本対クロアチア戦。接戦で手に汗にぎる。

真夜中

後半戦。手に汗にぎる。

クロアチア戦、引き分け。

今日のニュース


19/Jun/2006 (Monday/lundi/Montag)

真夜中 (午前)

ベンタムの勉強を少し。

あれ、今週はけっこう忙しくなりそうだ。

メモ。dogmatic slumberに陥らないこと。というか、 今の状態こそがdogmatic slumberなのではないかと、 つねに疑う心構えをすること。

お昼前

眠かったが何とか起きて、定時出勤。午前中は新聞の切り抜き、雑用。

昼下がり

お昼は少しベンタムの勉強。昼食は某サブウェイで。

広島の某氏から、翻訳書をいただく。感謝。

真夜中

昼下がり、ひさしぶりに生命倫理学や政治哲学の文献検索(電子テキストで)。 たくさんプリントアウトしてしまう。

夕方、某政治哲学研究会。ジョナサン・セグロウ(Jonathan Seglow)の `Ethics of Immigration'を読む。国境をコントロール(入国管理)するか、 国境を開放するかは、分配的正義の話。国境コントロールを支持する議論としては、 「国境コントロールは共同体維持のために必要」とする共同体主義的議論と、 「国境コントロールは民主的国家の権利」とする民主主義的議論がある。 セグロウの考えでは、これらの議論は基本的に支持できない。 しかし、彼によると、 単に国境を開放するだけでは世界的な貧困の問題は解決しないため、 コスモポリタン的視点からすると、 先進国はクオータ制で移民を受け入れると同時に、 Global Basis Incomeのような形で貧困削減をする義務がある。 とかなんとか。

夜、某大衆居酒屋で夕食。ビール、焼酎(まろ甕の芋のお湯割り)。 けっこう酔っぱらう。

今日のニュース


20/Jun/2006 (Tuesday/mardi/Dienstag)

真夜中 (午前)

今日こそは早く寝よう。

朝、地震があったが、気にせずよく寝る。

定時出勤。

お昼すぎ

午前中は某英語の文献講読。お昼は某ランチョンセミナー。

眠い。

昼下がりはうたた寝。そのあとミーティング。 夏期集中コースの相談その他。 夕方、某テキストの目次案について、みなから意見を聞く。 良い本が書けるといいが、どうなるだろうか。

夕方、某テキストの内容について某氏らと検討。 疲れたが勉強になった。議論のできる同僚がいるのは幸いだ。

夜2

夜、プールへ。その前に購買部に行き、タオルを買う。 これは、前回プールに行ったとき、間違ってタオルを持っていかれたため(二度目)。 次は間違われないようにと、黄緑のハデなタオルを購入。

水泳は、速く泳げるようにと、腕だけで200メートル、足だけで50メートルを 四セット、プラス手足で50を二セット、全力で泳いでみる。 すると、プールから出たあとに貧血になり、あせる。

しばらくプールのベンチで座っていたが、よくならないので、 服を着替えてなんとか体育館の入口のあたりのベンチに辿り着き、 そこでしばらく横になる。数分寝ていたら、なんとか回復した。

プールで貧血になったのは中学生のとき以来の気がする。 体調に気をつけて、あんまり無理をしないようにしよう。 思うに、キックの練習をすると、体力を相当消耗するんだよな。 もう少し勉強して、楽なキックの方法を学ぼう。

それから某海鮮丼屋で夕食。研究室に戻ってきて、ちょっとラズを調べる。 Practical Reason and Normsとか、 The Morality of Freedomとか、この人もすごいよな。

夜中

メモ。一階の理由と、二階の理由(ラズ)。 一階の理由同士が衝突するときは、比較衡量が行なわれるが、 一階の理由と二階の理由が対立したときは、 有無を言わさず二階の理由が優先(override)する。

前から考えていたのだが、コミットメントというのは、 二階の理由なのだと思う。 たとえば、ある人と付き合うコミットメントをした人は、 たとえ他の人から誘いがあったとしても、 その誘いに対する欲求を行為の理由に数え入れない(行為の理由から排除する) という意味で、コミットメントは二階のexclusionary reasonである。 だから、コミットメントの重要性を理解するというのは、結局、 コミットメントというのが二階の理由であることを理解することである。

…なんて論文を書くと、以前から受けそうだと思っているのだが、 よく勉強していないので果たせずにいる。欲求のヒエラルキーだとか、 理由のヒエラルキーというのはおもしろいよなあ。

真夜中

しばらく某院生によるシンガーの要約を添削してから、 日付が変わるころに帰宅。

議論をするのが嫌いな人との対話篇

ところで、世の中には議論をするのが嫌いな人が(たくさん)いる。 今回は、ちょっとそういう人にインタビューしてみよう。 もし、そこのあなた。

「え、わたしですか。わたしは議論が嫌いなので話しかけないでください」

「いや、まあそう言わず。なぜ議論するのが嫌いなんですか」

「あなたのような人と議論する暇がないからです。 議論は時間がかかるでしょう。めんどうなんです」

「しかし、民主的な手続というのは、なべて時間がかかるもので。 あなたは民主的ではないということですか」

「別に民主的でなくてもいいじゃないですか」

「もちろんいいんですけどね。ところであなたは言論の自由を信奉していますか」

「もちろん、人が何を話そうとその人の自由です。ただし、わたしがそれを聞くか どうかも、わたしの自由です」

「そこなんです、そこ。なぜ政治レベルでは認める言論の自由を、 個人レベルでは認めないのか」

「あなたが何を言っているのか、わたしにはわかりません。 急いでいるのでもう解放してくれませんか」

「まあ、もうちょっと待ってください。Shorter cut is quicker but, hahahaha, time is here to stay...です」

「あなたはずるいですね。そんな歌を出して」

(驢馬のための注: スライとずるいをかけている)

「まあまあ、そう言わずに。あなたはミルの『自由論』における言論の自由の 擁護を読みましたか」

「そのぐらい、教養として読んでますよ」

「じゃあ、言論の自由を擁護する理由として、ミルはどのようなものを挙げて いましたか」

「言論を弾圧する人は、自分の意見の不可謬性を主張していることになる。 論争のどちらの側にも一面の真理があるから弾圧すべきではない。 たとえ自分の側が真理であるとしても、たえず挑戦されなければ 死せる教義(dead dogma)になり、それが真理である根拠が忘れさられてしまう、 とかでしょう」

「そうですね。もう一つ、真理が形骸化してしまい、実践されなくなる、 という理由も挙げてますが」

「それがどうだっていうんですか」

「あなたは、ミルの主張が正しいと思いますか」

「ええ、まあ読んだときはそう思いましたよ」

「しかし、あなたは今ではミルの主張の真理を認めながら、それを実践していない ようですね。ミルの主張の真理が形骸化している」

「なんですか、その人を馬鹿にしたような言い方は。わたしは言論の自由を 支持していると言っているじゃないですか」

「しかし、ミルの主張は、政治レベルだけで当てはまるだけでなく、 個人のレベルでも当てはまると思うわけですよ。 あなたは議論から遠ざかり、耳をふさいで対立する意見を聞かないことによって、 (1)自分の信念が正しく、相手の意見が間違っていることを前提しているか、 あるいは、(2)相手の意見にも一理ありそうであることを認めていないのでは ないですか」

「誓ってそんなことはありませんよ。 わたしは自分の意見が絶対正しいとは思っていないし、 相手の意見が間違っているとも思っていません。 ただ、議論している時間がないのです」

「なるほど、相手の言っていることに一理あるとしても、 お忙しいあなたには、議論を通じてそれを知るための時間がないと。しかし、 他人と議論をしなければ、 たとえあなたが今持っているさまざまな意見がすべて正しいとしても、 (3)死せる教義となりその正しさの根拠を忘れる可能性や、 (4)真理が形骸化してしまい、 実践されなくなる可能性を忘れているのではないですか」

「もちろん忘れているわけではなくて、単に時間がないんです。 わたしの信念のいくつかは間違っているかもしれないし、 わたしもそれを認めますが、とにかく時間がないから、 その信念に基づいて行動するしかないのです」

「しかしですね、間違った意見に基づいて拙速に行動するよりも、 真理により近付くために時間を使った方がよほど有用だと思うのですが」

「それはたっぷり時間のある哲学者のすることでしょう。 あいにく哲学者ではないわたしにはもう時間がないので、 もっと話を聞いていればあなたから真理を得られるかもしれないが、 ここで先に行かせてもらいます。さようなら」

「さようなら、お忙しい人よ」

今日のニュース


21/Jun/2006 (Wednesday/mercredi/Mittwoch)

お昼前

定時出勤。朝は某勉強会。

先の論文、医学系以外の人には入手しにくいだろうということで、 出版社に転載許可をもらい、PDFで某サイトに掲載することになった。 協力していただいたスタッフの方々に感謝。

夕方

お昼は同僚の某氏とサブウェイで。 それから研究室に戻ってきていくつか論文を流し読みする。 ダーウォルによるスキャンロンの解説論文(Philosophy & Public Affairs, 2006) は勉強になったが、 それでもまだスキャンロンはとっつきにくい。 同じPPAのElizabeth Andersonによる `Recent Thinking about Sexual Harassment: A Review Essay' (June 2006 - Vol. 34 Issue 3 Page ii-312)もおもしろそうだ。 そのうち読んでみよう。

ベンタムの勉強をしなければ。

真夜中

夜、看護倫理について来客の某氏と相談。おみやげをもらう。

疲れていたので、早目に帰宅。夜はカレーなど。

夜中、ラーメンが食べたくなる。しかし、明日の夜まで我慢することにしよう。

今日のニュース


22/Jun/2006 (Thursday/jeudi/Donnerstag)

真夜中 (午前)

素麺を食べながらポルトガル対メキシコ戦を見たあと、 しばらくベンタムの勉強。もうちょっと真面目にやらんといかん。 しかし、もう寝なければ。

なんとか起きる。

昼下がり

定時出勤。午前中は雑用をたくさんとベンタムの勉強を少し。

某ランチョン・セミナーでは、 倫理委員会に関する某論文を検討。

寝不足気味。眠い。

「女子学生にわいせつ行為、筑波大が大学院教授を解雇」(読売新聞)。

筑波大は21日、女子学生にわいせつな行為をしたとして、大学院の男性教授 (58)を懲戒解雇したと発表した。「教授名は個人情報である上、公表すると被 害者の特定につながる恐れもある」として教授の氏名は公表しなかった。

だそうだ。仮に懲戒解雇によって十分な制裁が与えられており、 名前を晒してさらなる辱めを与える必要はないとしよう。 また、教授名を公開することで、被害者に不利益が生じる可能性があるという ことも認めることにしよう。 その場合、素朴な疑問なのだが、この教授が別の大学に就職して、 同じことを繰り返す可能性というのは考慮されないのだろうか。 再犯の問題、とくに小児性愛の犯罪者の再犯の問題は、日本だけでなく 他の国でも問題になっているのに、大学教授はそういう心配はないという ことなのだろうか。よくわからん。

中国国際臓器移植ネットワーク。 Google Adsに出ていたので驚いた。

真夜中

夕方まで、ベンタムの勉強や院生の指導。 夕方、購買部に買物に行ったあと、 某授業。医療資源の配分について。それなり。

夜、同僚の方々と事務室でビールを飲みながら歓談。 日付が変わるころに帰宅。

今日のニュース


23/Jun/2006 (Friday/vendredi/Freitag)

昨夜は遅くまで起きていたが、よく寝る。

メモ。木を見て森を見ず。しかし、多くの人は森を見ることができない。 空の先に宇宙があることも知らない。空を見ることさえしない。

真夜中

今日のこと。

今日のニュース


24/Jun/2006 (Saturday/samedi/Sonnabend)

起きる。

真夜中

朝、京都駅構内で朝食。それから、近鉄線の特急で奈良へ。 猿沢池、興福寺、鹿などを見てから、冷しうどんなどを食べ、 某国立(女子)大学法人へ。

お昼すぎから夕方まで、『生命倫理学と功利主義』の合評会。 「直観が」「批判レベルが」と、 功利主義(研究)者とその批判者が意見を戦わせる、 奈良だけではなく日本でもまれな研究会が行なわれる。 先輩の功利主義(研究)者が活躍してくれたため、 あまり恥をかかずに済んだ。 良い功利主義者になるべく、もっと真剣に勉強しなければと反省。

雰囲気のある居酒屋での懇親会にも参加。 偉い人、まだそうでない人たちと楽しく飲み喰いする。 ビール、焼酎、ワイン。酔っぱらって京都に戻ってくる。

今日のニュース


25/Jun/2006 (Sunday/dimanche/Sonntag)

よく寝る。

真夜中

今日のこと。小雨の降る中、京都散策。 地下鉄で蹴上→インクライン→南禅寺→哲学の道(法然寺に立寄る) →銀閣寺道で昼食(エビフライ定食とビール)→吉田山(で迷う) →京大(正門の某喫茶店で一服)→出町柳。 下鴨神社にも立寄ろうと思ったが、そこで力尽きたので、 バスと地下鉄で京都駅に戻る。

喫茶店で一服したあと、おみやげやたこ焼きなどを買ってから新幹線に乗る。 車内ではよく寝る。春日でラーメンを食べてから帰宅。

メモ。『山月記』は高校の国語のときに読んで以来、好きな小説の一つだが、 今読んでみると、人格を失うことに対する恐怖というテーマが 『アルジャーノン』に似ている。 また、『アイリス』のような、アルツハイマーの話にも似ている。

己の中の人間の心がすっかり消えて了えば、恐らく、その方が、己はしあわ せになれるだろう。だのに、己の中の人間は、その事を、この上なく恐しく感 じているのだ。ああ、全く、どんなに、恐しく、哀(かな)しく、切なく思って いるだろう! 己が人間だった記憶のなくなることを。

---中島敦『山月記』より

今日のニュース


26/Jun/2006 (Monday/lundi/Montag)

よく寝る。6月も今週で終わりか。今週もがんばろう。

朝2

定時出勤。小雨。

科研費の不合格通知が…。朝からウツだ。

深呼吸をしてがんばろう。

真夜中

午前中は新聞の切り抜きや研究会の準備。お昼に急いで某海鮮丼屋で食事。

お昼すぎから、某研究会。某氏の論文の合評会。 先日とは違って今回はコメンテータの一人を務める。 いろいろ本質的な議論ができたので、たいへん勉強になる。

夕方、学内某喫茶店で一服したあと、 プールに行き、30分ほど泳ぐ。今日も腕と足を別々に練習。 昨日よく歩いたせいか、足が少し筋肉痛。

夜は上野御徒町のあたりの中華料理屋で。 厨房が近いせいか、料理の煙がひどくて目が痛くなる。 上野の喫茶店で一服してから研究室に戻ってくる。

真夜中2

日付が変わるころまで研究室でベンタムの勉強をしてから帰宅。

そろそろ寝ないと。

今日のニュース


27/Jun/2006 (Tuesday/mardi/Dienstag)

よく寝て起きる。 昨日、プールでキックの練習をしたせいか、 背中の下の方が少し筋肉痛のようだ。

郵便局で税金やら電話代やらを納め、 某不動産屋で家賃を納めてから、大学へ。今日も蒸し暑い。

定時出勤。

昼下がり

午前中は院生と某英語文献講読。 お昼はランチョン・セミナーで、こないだの奈良での合評会の報告。 同じ報告を二度聞いたところ、いろいろ勉強になった。 繰り返し考えることは重要だ。

お昼は某サブウェイで。先週の数独が解けずに苦しむ。

昼下がりから某ミーティング。1時間半ほど。

夕方、米国からの某来客の接待。 1時間ほど付き合う。

夜、先週末の某研究会のまとめの作成に着手。 一旦休憩して、本三のカレー屋で夕食。ついでに某スタバで新聞。

メモ。進化に目的を読み込むと、目的論的世界観になる。 同様に、歴史に目的を読み込むと、ヘーゲルとかの歴史哲学になる。 あるいは、「あらゆる政治社会は、最終的に民主主義に行き着く」などと言うと、 フランシス・フクヤマになってしまう。 進化にも歴史にも超越的な視点からの意図や目的はないと思われる。 あたかも神の手が働いているようだが、実際に働いているわけではない。

「しかし、あなたはなぜリベラル・デモクラシーを称揚するのですか」

「なぜって、それが最善の政体だと思われるからであり、 その主張は、歴史哲学とは無関係です」

「しかし、リベラル・デモクラシーも『歴史の終わり』ではなく、 過渡期の社会制度かもしれませんよね。 あなたは想像力が足りないんじゃないですか」

「その通りかもしれません。勉強します」

真夜中

まだ研究室。

先週末の某研究会のまとめが一応形になったので、 とりあえず終了ということで、メールにて発送。

真夜中2

帰宅。

ブラジル対ガーナ戦。ガーナも相当強いが、 ブラジルはチャンスを逃さないところがすごい。

今日のニュース


28/Jun/2006 (Wednesday/mercredi/Mittwoch)

昼下がり

朝起きて、定時出勤。午前中は某勉強会。

昼食の前にプール。手足ばらばらに練習して、計1キロほど。 昼食は今日も某サブウェイで。数独が解けずに苦しむ。

真夜中

昼下がり、某院生と少し相談をしたあと、 某事典の項目を一つ書く。

夜、早目に帰宅して自炊。アジのたたき、刻み奈良漬など。

さきほど、ここ数日苦しんでいた数独を解く。 こんなことしてないで勉強しなければ。

真夜中2

レポートの採点。

今日のニュース


29/Jun/2006 (Thursday/jeudi/Donnerstag)

なんとか起きる。ちょっと寝不足。

夕方

朝、洗濯物などを済ませてから定時出勤。 午前中は新聞の切り抜き。お昼はランチョン・セミナーで、 先日の着床前診断についての番組を見る。

DNSサーバが落ちてるとかで、午前中からネットがつながらなかったが、 とりあえず教室で代替のサーバを立てたので、使えるようになった。

昼下がり、某テキストの相談。 正確に、しかもわかりやすく書くのは難しい。 まず、自分がしっかり理解せねば。

某講師に寝不足ですね、と言われる。 どうも目の下に隈ができているようだ。 今日は(数独してないで)早く寝よう。

真夜中

夕方から某授業の手伝い。終末期医療。 司会その他

夜中、同僚たちと事務室でビールを飲みながら歓談。真夜中に帰宅。

今日のニュース


30/Jun/2006 (Friday/vendredi/Freitag)

お昼

比較的よく寝て、定時出勤。午前中は新聞の切り抜きなど。

お昼はプールに行き、クロールの手と足を交互に練習。1キロちょい。 昼食はサブウェイ。

そういえば、先日、新しい水泳キャップを購入した。 古いのはずいぶん痛んできていたので。パンツの方はまだ大丈夫そう。

夕方、某会議に参加。

夕食は春日の洋食屋で。白ワインを少し。

今日はほとんど勉強してないので、これからちょっとやろう。

そういえば、 先日のガーディアンを読んでいて知ったが、この話はすごい。 スペインが大型類人猿に法的人格を認めるという話。 シンガーも喜んでいるそうだ。

Moral booster

Spain is set to grant historic rights to the great apes that will regard them as 'legal persons' under the law. The philosophers behind the resolution say it at last recognises that all species are equal. (The Guardian, June 7, 2006)

真夜中

今月も赤。ただし、ボーナスが入ったので、それを入れると黒。

国境なき医師団にちょっと寄付。 なるべく毎月すること。

今日のニュース


何か一言

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KODAMA Satoshi <kodama@ethics.bun.kyoto-u.ac.jp>
Last modified: Mon Jan 1 11:17:15 JST 2007