道徳的に高貴でないものは決して有利でないこと、 ---この原則をわれわれは固く守らなくてはならない。 たとい有利と思うものがもう手に入る場合にも、 われわれはこの原則を失ってはならないと思う。 道徳的に醜いものを有利と考えるだけでもすでに禍(わざわい)である。
---キケロー『義務について』
少し遅めに起床。某妻が早朝から出掛けたので、娘と二人で朝食、朝刊。
お昼前にシッターさんが来る。娘を預けて大学へ。シッターさんは初めてだが、 高い。しかし夜に某妻から話を聞いたところ、とても優秀だったようだ。
お昼すぎから某研究会。某氏のヘアの道徳哲学の本の合評会や某ドイツ人の報 告など。夕方まで。つつがなく終了。
夜、百万遍で懇親会。一次会で失礼して、急いで帰宅。無灯火の自転車で走っ ていたら、ちょっとアレなことが発生。以後気をつけよう。
帰宅して娘の世話と風呂。娘がなかなか寝つかず、一緒に寝落ちしてしまう。 一度起きて歯を磨いてから就寝。
定時起床。髭剃り、朝食。
娘を保育園に送ってから、本三駅前の喫茶店で勉強。今週は喫茶店皆勤賞だな。 コーヒー一杯で3時間近く粘ってすみません。
お昼、某氏らと農学部の某ファカルティハウスで昼食。
お昼すぎから夕方まで、某OD生と英文翻訳された論文のチェック。
夕方、卒論希望生と面談したり、某院生の論文を読んだり。
夜、某氏らと後楽園の某所で夕食。楽しく飲む。
真夜中に帰宅。少し勉強するつもりだったが、もう寝る時間か。
朝、ゴミ出しのために一度起きたあと、まだ少し調子が悪いのでもう少し寝る。
ブランチでカレー。
お昼すぎにタクシーで大学へ。 研究室は机の上の本棚から本やCDが落ちていたぐらいで、比較的無事だった。 夕方までかかって科研費その他の事務手続を終える。 書籍部と購買部に行ったが、ほぼ通常通り営業していた。
夕方、某所で酸辣麺を食べてから地下鉄で帰宅。帰ってしばらく寝る。
夜、起きてから二階の勉強部屋で新聞を読んだり雑用をしたり。 勉強するつもりができなかった。
夜中に残りのカレー。食べ終わる。
朝、地震で眼が覚めたが、また寝る。定時起床。シャワー、朝食。
定時出勤(少し遅め)。午前中は某図書館で勉強と雑用。久しぶりに書庫に入る。
昼下がりに研究室へ。勘違いしていて、某ミーティングをすっぽかしてしまう。 すみません。それから日が暮れるまで雑用。
夕方、一瞬寝袋。それからしばらく勉強して帰宅。帰りに週刊アスキーを買う。
夜、夕食をとってから新聞。
夜中、二階の勉強部屋でしばらく勉強。う〜ん、間に合わない。
朝、定時起床。寝不足気味。髭剃り、朝食。
地下鉄で出勤(少し遅刻)。久しぶりにエアロスミス(Sweet Emotionsとか)。
午前中は雑用。耐震工事終了後初めて医図書に行く。 就職が決まった後輩の某君が挨拶に来てくれる。
お昼は某氏と蕎麦。
お昼すぎ、いろいろ雑用。少し時間を見つけて寝袋。 昼下がり、ドイツから来た某外国人を連れて某病院に行き、 いろいろ説明を手伝う。 そのあと、キャンパス案内。ベルツの銅像の説明など。
夕方から某講演会。ドイツの倫理コンサルテーションについて。 通訳をして激しく疲労。 適当にやってもこれだから、同時通訳というのは相当大変だろうなあ。
夜中、本三での懇親会にも付き合う。楽しく飲む。 研究室に寄ってから帰宅。
今日のこと。
夜中、買物がてら某妻と白山まで散歩。 戻ってきてからいろいろ仕事。 今週末はよく働いたな。
某妻にレシートその他がいろいろないと詰られる。すみません。ら、来年こそは。
今朝は不燃ゴミ。 少し早目に家を出て、某スタバで新聞。お昼前に大学へ。
先日書いた某終末期パブコメに少し手を加え、簡単な論文にする作業。 それから某所でカレー。ついでに書籍部に行き、 多文化主義の書籍を二冊ほど。
昼下がりも終末期や多文化主義などいろいろ勉強。 夕方に某氏がやってきたので、少し相談。
日が暮れるころに帰宅し、某妻に多文化主義について教えを乞う。 夕食は巣鴨駅前の中華料理屋で。餃子を食ってしまう。
帰宅してから酒粕を焙って食べたり、 二階の勉強部屋の椅子に座って夕刊や本を読んだり、居眠りをしたり。 焼酎を少し飲む。
今日も寒かった。
よく寝て、定時出勤。1時前には就寝するのが体には良さそうだ。 朝食はご飯とみそ汁。
午前中は新聞、雑用。午後は集中して論文を書くこと。
お昼は某ランチョン・セミナー。 当たる申請書の書き方について。 「当てに行く 学振・科研費申請書の書き方」とかいう本を出すと売れそうだ、とか。 「が苦心がんばれ」がすでにオンライン版で販売しているようだ。
やや逃避的に、某研究会用の某氏の事前資料を読んで時間を費やす。 勉強になった。が、自分の論文を書かねば。
ときどきウトウトしながらも、コツコツ勉強。 そろそろ書き出せそうだが、とりあえずプールに行ってこよう。
外はけっこう強い雨が降っている。
プール。キックとプルを別々にやり、合計1時間で2キロほど。 しばらくバタバタとやっていると、 腰を捻ってキックをする感覚をようやく体得した。 脚をしならせてムチのように打つ感じ。 これでいいのかどうかわからないが、 こうするとだいぶ楽になったので、 調子に乗ってやっていると右ヒザが痛くなる。 また、研究室に戻ってくると目の焦点がうまく合わず、 モニタがよく見えない。運動のしすぎで血糖が下がっているのか、 あるいは風邪か。とにかく何か食べよう。
某所でカレーを食べてから帰宅。 途中、突風が吹き折畳み傘が壊れる。つかん。
食事を取ったが、まだ調子が悪い。 バッテリー切れだけではないようだ。 今日は早目に寝ることにしよう。
そういえば、最近歩きながらiPod miniで音楽を聴くとき、 音量を最大にしていることが多い。こうすると、 今までちゃんと注意して聞いていなかった ベースやバスドラムが聞こえてきておもしろいからだ。 最近では、ビートルズのWhile my guitar gently weepsのベースや、 ビーチボーイズのGood Vibrationsのベースがすごかった。 しかし、耳が悪くなるのであんまりやらないようにしよう。
今日のニュース
まだ大学。こんなに真面目に勉強したのはひさしぶりだ。でも終わらない。
明け方、サーベイ論文に見切りを付けて帰宅し、出発の準備。 それから某シンガーの再校をなんとか終える。
と、もう寝ている暇もない。シャワー浴びたら行かねば。 サーベイ論文は旅行中になんとか終わらせるつもり。がんばれ。
というわけでロンドンへ。雨だが暖い。18度だそうだ。
早朝、某シンガーの校正に目を通したら出発の時間になったので、 京成スカイライナーで成田へ。空港ではみやげを買っているとあっというまに 搭乗時刻になる。機内ではときどき眠りつつも、 『ブリジット・ジョーンズ2』(B)、『アイ・ロボット』(B++) 『ボーン・スプレマシー』(C)を見た。 おかげで目が痛い。
ちなみに今回はヴァージンアトランティックを使ったのだが、 なぜか機内はガラガラで、みなゆったりと座席を使っていた。 食事もおいしくて良い。
ヒースローに着いて、ATMでポンドを入手しようと思ったら、 某銀行のトラベラーズカードを忘れてきたことに気付く。 しかたないのでクレジットカードでポンドを出す。
エアバスに乗って市内に行こうとしたら、 エアバスA2は去年の12月で運行を終了したと伝えられ、 驚く。しかたないので地下鉄でグレートポートランド駅へ。 うろ覚えで乗り換えたら少し遠まわりをしてしまった。 さきほど無事にゲストハウスに到着。眠い。
留学中の某氏と夕食。ピザ、ワイン。
さきほどオックスフォードから戻ってきた。
昨日はお昼前にパディントン駅を出て、お昼にオックスフォードに着く。 そこで某氏と会い、タイ料理を食べながらいろいろ密談をする。 ブラックウェル(本屋)の中にある喫茶店でも少し話をしたあと、 医師による自殺幇助についての本を探すのを手伝ってもらってから お別れする。
ちょっとパブで時間をつぶしたあと、某実践倫理研究所の所長である某教授に会う。 2時間近くあたりを散歩をしてから、某テキストについていくつか質問させてもらう。 そのあと、レバノン料理を一緒に食べ、駅前まで送ってもらって別れる。
昨日は早起きしたせいか、 あるいはワインがまわったのか、帰りの電車の中では爆睡する。 地下鉄の中でも眠たかったが、なんとか眠らず無事に帰宅する。
オックスフォードでは散歩をしながらいろいろ教えてもらったのに、 一枚も写真を撮らなかったのでもったいないことをした。まあ、 そのうちまた行くこともあるだろう。
よく寝た。今日からまたダブルの部屋に移る。
気温が急激に高くなり、今日は日中は17度から19度になるという予報が出ている。 昨晩もいやに暖かかったため、かなり寝汗をかいた。汗くさいのでシャワーを 浴びよう。洗濯もしないといけないのだが…。
お昼に近くのコインランドリーで洗濯を済ませ、 しばらく寝てしまう。
昼下がりに近くのGMCの事務所に行き、いろいろブックレットをもらってくる。 その足でテートに行くつもりだったが、荷物が多くなったのでいったん帰宅。 すぐに部屋を出るつもりが、本を読み始めてしまい、結局行きそびれてしまった。 また一日を無駄にしてしまった。もったいない。 まあ、とはいえ、ゆっくりしているおかげで肩こりが楽になってきているわけだが。
Companion to Contemporary Political Philosophyに収録されている David Westの`Continental Philosophy'を読み始める。おもしろい。
とにかくもっと勉強しなければ。
しまった、確信犯的に寝過ごしてしまった。行かねば。
今日は某公共哲学研究会に午後から少し参加してきた。 法哲学関係の偉い人たちが多数。 共同体主義と共和主義の話だったが今ひとつ関心が持てなかった。 英語だと聞き流してしまうのかな。 某ペティト先生のプレゼン能力には関心したが。
夕方から雨。東京駅で待ち合わせをしていたので、 銀の鈴で本を読みながらしばらく待つ。 いろいろな人がいておもしろい。 ホームレスっぽい人が壁に向かって立ち小便していたが、 あれは犯罪ではないのか。
夜、雨の中自転車を押して帰宅。眠い。
とりあえず寝よう。明日早起きしてさらに勉強すること。 明日の夜から某翻訳もやらないと間に合わん。
熟睡中にサイレンが鳴って「火事か!」と思ったら、電話の音だった。 ロンドンで寮にいたときの警報を思い出した。
少し話をしてたら起きてしまったので、勉強を再開することにする。
シャワーを浴びて朝食をとる。
月並みだが、 バーリンの「自由の二つの概念」を読んでいると、 去年の英国での勉強のころから、 相当バーリンの影響を受けていることがわかる。 「J・S・ミルと生の目的」は名論文の一つだと思う。 ミルにも自由な議論の大切さを教えてもらった。 サルトルには人間の自由の深刻さを教えてもらった。 先日、コースガードにはカントが実はサルトルだったことを教えてもらった :)
バーリンの論文をざっと読んだ。 この論文は以前に一度読んだつもりだったが、 重要な部分しか読んでいなかったようだ。
長い学生生活を終えるにあたり、 社会復帰をしなければならない(いや、復帰じゃなくて新規参入かもしれないが) とつねに思っているのだが、 今日はその一環として某氏と一緒にレイチェル・カーソン日本協会の集会に出てきた。
こぢんまりとした会合だったが、 おれと某氏以外はいわゆる一般市民ばかりだったので、 環境倫理学に冒されていない市民の意見が聞けて新鮮だった。 京大の学生だと言うと特別扱いされてややつらいが、 研究者の社会的責任を果たすために、 これからも引き続きこの手の市民活動の集会に ちょくちょく顔を出すことにしよう。
「な、なあにが『市民の意見が聞けて新鮮だった』だ。 白人の文化人類学者が未開民族の調査に行ったような口ぶりで。 向こうが文明人でおまえが未開民族なんだろうが。 『研究者の社会的責任』だと? 市民活動に参加するのは市民の務めだろうが。 今まで何もしてない方がおかしいちゅうの」
「いや、だから反省してこれからがんばろうと」
「なあにが。それじゃこれから収入の5分の1はユニセフか何かに寄付しろ。 シンガーみたいに。おまえの哲学とやらをちゃんと実践してみろ」
「シンガーの5分の1とぼくの5分の1じゃ痛さが違いますよ。 しかしとにかく、できる範囲で社会に参加して行きます」
自由主義勉強会終わり。 ウォルヘイムの論文(三層の倫理の話)の続きと、 バーリンの論文途中まで。もう死ぬ。
3時間ほど寝たあと、『南極物語』を見ながらネット上で新聞を読む。 某翻訳をしなければ。
そういえば今日、某氏と某ルネで昼食を食べたときに、英辞郎を購入した。 これから試してみるつもり。
Les Quinze cherchent un accord sur la libéralisation de l'énergie
EU加盟15ヶ国、エネルギー自由化に関して合意を模索(from Le Monde)
Les Quinze, réunis en sommet depuis vendredi, se retrouvent samedi pour tenter de trouver un accord sur l'ouverture des marchés de l'energie, et rassurer la France qui redoute les conséquences pour son service public de cette libéralisation.
金曜日からサミットのために再会した加盟15ヶ国は、 土曜日に再び集まった; エネルギー市場の開放のための合意を探るために、 またこの自由化の公共サービスに対する影響を恐れているフランスを安心させる ために。(quinze=fifteen; chercher=search; réunir=reunite; se retrouver=meet again; tenter=try; trouver=find; ouverture=opening; marché=market; rassurer=reassure; redouter=fear)
今日の勉強時間…9.5hr
某ULUで。
「この本というかブックレットを出版しているスミス・インスティテュート というのは、どうも労働党のシンクタンクか何かのようです。 ブレア首相が序文を書いています」
「日本の政治家たちとは違い、 労働党の連中はずいぶん政治哲学を勉強しているようだからな。 大蔵大臣のゴードン・ブラウンなんかも、政治哲学の論文集に寄稿して、 ロールズなんかを論じたりしていたぞ」
「しかし、あれですよね」
「なんだ、また『あれ』か。あれってなんだあれって」
「その、最近の政治哲学の連中が言う『等しい価値』とか『等しい尊敬』 とかいうのだけはどうにかなりませんかね。 はらわたが煮えくりかえってなりません」
「いったいそれの何が問題なんだ」
「たとえばこの文章を見てくださいよ」
「どれどれ…。きみ、英語じゃないかこれ。日本語に訳してくれたまえ」
「あれ、英語読めないんでしたっけ」
「やかまし。さっさと訳したまえ」
「ええと、『平等な価値equal worthとは、 各人が生まれた瞬間から所有する等しい価値equal valueのことであり、 人間として生まれたというまさにその事実によって獲得される。」
「ふむふむ」
「『われわれがお互いにどれだけ異なっていようとも、 われわれはみな個としての人間という共通の地位を有している。」
「うむ、すばらしいじゃないか」
「もう少し聞いてください。『性別によっても人種によっても、 ある人が他の人より優れたまたは劣った個人になることはない。 家柄や富、学歴、年齢、健康、宗教、出生国、生来の能力、身体的な魅力、 あるいはそれ以外のわれわれが異なっている点についても同様である。」
「ううう。あまりにすばらしいので涙が出てきた」
「『そうしたいかなる多様性によっても、人間の価値worthの等しい内在的価値 inherent valueが増えたり減ったりすることはない。 というのも、 人間の価値は個としての人間であるというまさにこの事実に存しているからである。」
「ううううう。ち、ちち、ちり紙ちり紙」
「ちょっとworthとvalueの訳しわけができなくて苦しいですね。 でも、もう少し。 『したがって、いかなる人も生まれの偶然的な違いによって 他の人よりも良い待遇を受けたり悪い待遇を受けたりすることは あってはならず、また、ある人が特定の集団に属しているというだけで その人の本質的な人間的価値が増えたり減ったりすることはあってはならない』 (Equality in action, p. 20)」
「すすす、すばらしいじゃないか。 いったいきみはその文章のどこに難くせをつけるつもりなんだ」
「サンデルならここで想定されている個人はunencumbered self だと言ってケチをつけるところでしょうが、 ぼくはそういうのとは違って、いや、ひょっとすると似ているのかもしれませんが、 この『人間は生まれながらにして等しい価値を持つ』 という文章の意味が明確に理解できないと言いたいです」
「意味が理解できない? きみはアホか?」
「失礼ですね。ぼくが言いたいのは、 性別も人種も家柄もあらゆるものをとっぱらった、いわばすっぽんぽんの人間が、 みな同じ価値を持つというのはどういうことか理解できないと言うんです。 あれ、やっぱりサンデルに似てきたかな」
「きみもサンデルも一度銭湯に行ってみたらどうだ」
「茶化さないでください。 この文章が理解できないのは、 『人間は生まれながらにして自由である』とか『平等である』という主張以上に、 『平等な価値』という意味がはっきりしないからです」
「平等な価値を持っているというのは、 平等に扱われてしかるべきだということだろう」
「なるほど、ではそういうことだとしましょう。 すると、 われわれは人間というグループに属していることによってみな平等な価値を持ち、 平等に扱われねばならないのはなぜなんでしょうか。 人間の下位グループである性別や人種というグループによって不平等に扱っては ならないのはなぜなんでしょうか」
「どういうことだね」
「たとえば、これが人間じゃなくて本だとすると、どうでしょう? 『本は、お互いにどれだけ異なっていようとも、 みな個としての本という共通の地位を有している。 著者によっても出版社によっても、 ある本が他の本より優れたまたは劣った本になることはない。 そうしたいかなる多様性によっても、本の等しい内在的価値 が増えたり減ったりすることはない。 というのも、 本の価値は個としての本であるというまさにこの事実に存しているからである』」
「すばらしいじゃないか」
「ほんとですか? ぼくなんかはこんなのたわ言だと思いますけど。 くっだらない本もあれば世界の名著もあるというのは動かしがたい事実で、 プラトンが書こうが赤川次郎が書こうが、 岩波から出版されようが宝島から出版されようが本の価値は同じだなどというのは…」
「あ、訴訟が起きる訴訟が。固有名は控えたまえ」
「それに、 なぜ人間という集団に入っているという事実だけがカウントされるんでしょう? たとえば、人間という集団は哺乳類の下位集団ですよね。 では、なぜ哺乳類に属する生物のそれぞれに等しい価値があると言わないんでしょう? 人間という下位集団だけに等しい価値があるというのは変じゃないですか」
「そりゃきみ、人間は他の多くの動物と違って理性を持つからだろう」
「ほら、そうでしょ」
「なにが、ほらそうでしょ、なんだ」
「人間が平等の価値を持つのは、けっきょくのところ、 『人間である』というあいまいな理由からではなくて、 『理性を持っている』ということでしょう」
「だったらどうなんだ」
「だったらはじめから、『人間は等しい価値を有しているから、 平等に取り扱われるべきである』と言わずに、 『人間は、性別や人種など、 どの下位集団に属していても平等な理性を持っているので、 平等に取り扱われるべきである』と言えばいいじゃないですか。 もちろん、このようにはっきり『平等な理性』と言うと、 あからさまに嘘になるから言わないんでしょうけど。 やはり、あらゆる人間の特徴を取り払って、 すっぽんぽんの人間に平等の価値があるというのは、 どう考えても無理があるんですよ」
「なるほど、人間全体に価値を付与し、 他の動物には同じ価値を付与しないためには、 『人間であること』という事実以外のなんらかの特定の特徴を指摘しないといけない、 というわけか」
「そうですよ。だって、 『なぜ人間はみな、 人種や性別や家柄にかかわらず等しい価値を持んですか』とか、 『なぜ人間はみな、他の動物が持たない等しい価値を持つんですか』 と尋ねた場合に、 『だってぼくたち人間だもの』という答えが返ってきたら、 こっ、ここ、このっ」
「きみ、きみ。ちょっと落ちつきたまえ」
「す、すいません。その、論点先取でしょう、 『人間がみな平等な価値を持つのは、人間だからである』というのは。 あれ、循環って言うんでしたっけ」
「きみの言いたいことはだいたいわかった。 しかし、平等論の前提を批判するだけでなく、 その先に進んで実質的部分も批判するようにしたまえ」
「はい、修業します」
「みなさんこんにちは。今日は『つねに結論から言う男』 さんにお越しいただいております。 今日はいわゆるES細胞の研究が倫理的に許されるかどうかについて、 え〜、あの、すいません、ちょっと御名前が長いので、 『結論さん』とお呼びしてもよろしいでしょうか?」
「え〜、結論から先に言いますと、いいです」
「あ、どうもありがとうございます。
そこで、本日はES細胞研究が倫理的に許されるかどうかについて
結論さんにお尋ねしたいと思います。
その前にまず、結論さんにお尋ねしたいことがあります。
聞くところによりますと、『結論を先に言うと』
というフレーズを作り出したのは結論さんだという話なんですが、
本当にそうなんですか?」
「え〜、ま〜、結論から先に言えば、そうです」
「あ、なるほど、やはりそうですか。では、 これは西洋の思考様式を取り入れたものなのでしょうか。 え〜、西洋では結論を先に言って、 あとでその理由を述べる、という風に聞きますよね」
「え〜、そうですね、結論から先に言いますと、まったく関係ありません」
「あ、そうですか。なるほど。では寄り道はこれくらいにして、 肝心のES細胞研究の是非についてお尋ねしましょう。 結論さん、ES細胞を研究材料とすることは倫理的に許されるのでしょうか」
「え〜、やはり結論から先に言いますとですね、 これはぜったいに許されません」
「なるほど。して、その理由は」
「え〜。げほんげほん。え〜、結論から先に言えば、理由はありません」
「え? 理由がないのにどうして結論が出てくるんですか」
「え〜、それはですね、まあ結論から先に言えば、その質問にはお答えできません」
「な、何ですかその答は。 あなたの『結論を先に言えば』っていうのは、結局のところ、 理由を挙げずに主張だけするための都合のいい逃げ口上なんじゃないんですか」
「え〜、あのですね、結論から先に言わせていただきますと、 わたしはもうこれにて失礼させていただきます」
★結論から先に言うと、この作品はヒクションです。 実在の人物および団体とは一切関係ありません。
ようやくワークショップが終わって大学に戻ってくる。
発表された方、裏方をされた方、見に来られた方、 ホテルの方、みなさんお疲れさまでした。 っておれが言うことでもないか。
疲労困憊。体調悪し。 睡眠不足と、うすら寒い会場で居眠りしたのがよくなかったらしい。
というわけでワークショップの詳細はまた。(たぶん)
あ、昨日某所で買った古本。ついでにジャンプも買った。
倫理学入門読書会の訳を作る。しんどい。
某師匠とお好み焼を食べに行ったあと、いろいろ雑用。 これから再び勉強。
某師匠と人生相談をしつつ、Keyboard Macrosとoccurのコマンドを教えてもらう。 そのうち過去の日記を全部ひっくり返しておきます。
某師匠は追い込み。ぼくはスコフィールドの翻訳。がんばれがんばれ。
数時間寝た。モーニングを食べながら徹夜の某師匠とギロン。
工学部のとある講義室に情報通信倫理研究会の聴講に行ってきた。
某師匠の発表はアドリブが多く、見ている人を飽きさせない。
かなり突拍子もない質問も出ていたが、うまく切り抜けられていた。
おつかれさまです。
筑波大の某N氏にも初めてお会いした。
最後まで聴くのはしんどいので途中で抜けてきた。 もうしわけない。
ロンリ学勉強会。頭が割れそう。
某師匠や某N氏や某君らと某師匠なぐさめ会(うそ)。 「哲人サーバ管理者を養成することができるか」 という大問題について大いに論じる。
某N氏は当研究室で一休みされた後、再び関東地方に旅立って行った。
ぼくは再びスコフィールド翻訳。がんばれがんばれ。
スコフィールド翻訳、あと一日分。 今夜はとりあえずここで打ち切り。 死ぬ。
記載なし。広島の呉市(正確には音戸町)に行っているようだ。