FINEニューズレター編集委員会用記事

25/Jul/2002

  1. 中国がインターネット使用者数第三位に
  2. 米国、国連人口基金への補助金交付を停止
  3. 英国、中絶ピルの使用を拡大
  4. 国連開発計画、2002年のレポートで民主主義の現状について警告

新聞記事の要約です。 固有名詞の訳はあんまり調べてません。 間違ってるのがあれば教えてください。

This is a summary of recent news articles relating (directly or indirectly) to applied ethics.


1. 中国がインターネット使用者数第三位に

(from CNN.com: China ranks third in Internet usage)

インターネット使用に関する政府の規制が強まる中、 中国ではインターネット使用者数が4500万人を超え、 米国、日本に次いで世界第三位の規模になった。

情報産業省所管の中国インターネットネットワーク情報センターの調べによると、 12.6億人の人口を擁する中国では、インターネットの使用率が急速に高まっており、 今年は昨年とくらべると72%の伸びを見せた。6月現在1600万台のコンピュータが ネットに繋がっており、これは昨年同月と比べると61%の伸びである。 平均的なネットユーザは週8.2時間ネットを使用している。

一方、政府によるネットの規制の動きも強く、 たとえば警察がウェブサイトの内容を監視し、 政府に批判的なサイトや外国のメディアへのリンクをブロックしたり、 反政府的な内容のサイトの管理者を長期間刑務所に入れたりしている。

また、先月北京で起きたインターネットカフェの火災のあと、 政府はすべてのインターネットカフェを一時的に営業停止にしたが、 その後、ライセンスのある一部の店しか再開を許していない。 中国には20万のインターネットカフェがあるとされているが、 ライセンスを持っているのはそのうちの8万店だけである。

一口コメント

インターネットが中国を変える? ハッカーとの争いも今後激しくなるようだ。

関連サイト

China Internet Network Information Center
中国インターネットネットワーク情報センターのサイト。 ドメイン登録などもできるようだ。
Beijing Internet cafes reopen
火災のあと、一部のインターネットカフェが再開したという話。(CNN 18/Jul/2002)
China slaps on new Web rules
中国政府が8月1日からネット上のコンテンツの取締りを厳しくするという話。 チベット、中国での民主主義、法輪功などを言及するとまずいことになる らしい(今でもまずいと思うが)。(CNN 15/Jul/2002)
Teens nabbed over Bejing Web cafe blaze
6月に北京のインターネットカフェで起きた火事で、容疑者の少年たちが つかまったという話。 これを読むとインターネットカフェはティーンエイジャーが入りびたる ところになっており、それが大きな社会問題になっていたようだ。 (CNN 20/Jun/2002)

2. 米国、国連人口基金への補助金交付を停止

(from CNN.com: U.S. pulls $34 million family fund)

ブッシュ政権は、国連人口基金が中国での人工妊娠中絶を支援しているとして、 3400万ドルの補助金交付を停止。国連と中国はこの決定を厳しく批判している。

米国国務省のスポークスマンによると、国連人口基金のお金は強制的に 人工妊娠中絶を行なう中国の省庁へと流れているため、 かわりに補助金--これは国連人口基金の予算の12%にあたる--は米国国際開発省に 与えられることになった。

国連総長のコフィ・アナンや国連人口基金の代表は、この決定によって多くの 貧しい女性や子供が死ぬことになるだろうと述べ、米国の決定を強く批判している。 一人っ子政策を取っている中国も、政府は強制的な人口妊娠中絶を行なっていない と反論し、米国が補助金の交付を停止することにより、 非合法の中絶を根絶する努力に水が差されると避難した。

一口コメント

米国ブッシュ保守政権のさらなる一撃。どこまでやるつもりなのか。

関連サイト

China hits backs over 'forced abortions'
上に書いたように、 中国が米国の決定に反論しているという話。(CNN 23/Jul/2002)
United Nations Population Fund
国連人口基金のサイト。エイズ、ジェンダー、リプロダクティヴヘルスなど の問題に取り組んでいるようだ。

3. 英国、中絶ピルの使用を拡大

(from The Guardian Weekly, `Fury at plans to expand use of abortion pill, July 11-17 2002, p. 8)

英国保健省は、全国のNHSでの人工妊娠中絶の待ち時間の違いを小さくするために、 中絶ピルの使用を拡大する予定である。反対派は中絶を容易にすると批判している。

中絶ピルは妊娠初期の9週間のうちに二種類の薬を服用することによって行なわれる。 英国ではこれまでは病棟やspecial day unitsでのみ使われていたが、 保健省の計画では家族計画センターでも使用できるようになる。

この動きは、 NHSで中絶を望む女性の待ち時間が地域ごとに大きく異なる現状を変えるために計画されたものである。 家族計画協会(Family Planning Association)は中絶へのアクセスの不平等が小さくなるとして計画を歓迎している。

一方、Pro-Life Allianceは政府の無責任さを非難し、 これによって女性に対する中絶しろという圧力が強まると論じている。

一口コメント

とくに問題なし。どんどんやってくれ。

関連サイト

英国、モーニング・アフター・ピル禁止の棄却する判決も参照。

BBC: Abortion access to be made easier
BBCの記事。一つ目の薬はホルモンを抑制することにより、 子宮の壁から胚を離れさせ、二つ目の薬によって子宮が収縮を起して 胚が排出されるようだ。
US gives go ahead to abortion pill
BBCの記事。米国では2000年ごろからこの薬が販売されているとのこと。 フランスなどでは1990年代から販売されているそうだ。

4. 国連開発計画、2002年のレポートで民主主義の現状について警告

(from CNN.com: U.N. warns democracy under threat)

国連開発計画が出したレポートによると、今日、民主主義国家が着実に増加す る一方で、テロ対策によって表現の自由などの基本的人権が脅かされている。

マニラで正式に発表されたこのレポートは 経済的繁栄のためには権威主義が必要という主張を批判し、 民主主義がもっとも安定した政府であると結論している。 また、テロリズムと政体の関係について論じており、 テロ対策の法が民主主義に不可欠である言論の自由を 抑圧する可能性について警告を発している。 さらに、政党の加盟者が減少するかわりに、 NGOなどの市民団体への参加がさかんになっていることが指摘され、 新たな市民参加のあり方を模索する必要性が強調されている。

このレポートでは、 200弱の世界の国々の中で140ほどの国を民主主義国家としているが、 「まとも」な民主制、すなわちきちんとした選挙を行ない、 権力に対するチェック機能が働いている民主制は、 そのうちの半分の国でしかないとしている。

一口コメント

統計を合わせると300頁くらいあるレポートだが、一度プリントアウトして 読んでみる必要がありそうだ。

関連サイト

国連開発計画(UNDP)の2002年のレポート ("Deepening Democracy in a Fragmented World"「分裂する世界における民主主義の深化」)
ボノやアウン・サン・スーチーの特別寄稿もある。
UNDP Tokyo
UNDPの日本オフィスのサイト。レポートのタイトルは 「モザイク模様の世界に民主主義を深める」という訳になっている (上のタイトルは国連 on lineのものに合わせた)。 全訳はまだ出ていないが、ごくごく簡単な要約がある。
国連 on line
国連の日本語の公式サイト。

Satoshi KODAMA <kodama@ethics.bun.kyoto-u.ac.jp>
Last modified: Fri Jul 26 15:42:32 LMT 2002