妥当性

(だとうせい validity)

前節でわたしは、誤った前提を持つ妥当な推論の例として、 古くから使われているものを使ったが、 その例の結論は「したがって、すべての爬虫類は翼を持っている」 であった。 かつて、ある学生は生物学の教授に、 わたしが生物学的事実について誤った説明をしていると文句を言った。 論理とは何かについて、彼女はよくわかっていなかったのである!

---Joel Feinburg


論理学で用いられる言葉で、 前提から結論を導き出すまでの推論が正しいもの であれば妥当(valid)、 たとえ結論が正しくても誤った推論である場合には妥当でない (invalid)と言う。 妥当な推論の場合、前提が真であれば結論は必ず真となる

しかし、妥当な推論でも、前提が偽の場合には結論は真であったり偽であったり する。 そこで、推論が妥当であり、しかも前提が真であるような議論を、 健全である(sound)と呼ぶ。

したがって、「あなたの議論は妥当だが、健全ではない」と言えば、 「おまえの議論は推論の形式としては正しいかもしれんが、 前提が事実に反しているから結論も間違っとる」という意味になる。

なお、妥当か妥当でないかは推論について言われることであり、 前提や結論となる命題については 真か偽かが問われる点に注意せよ。

21/Aug/2003


上の引用は以下の著作から。


KODAMA Satoshi <kodama@ethics.bun.kyoto-u.ac.jp>
Last modified: Fri Aug 22 06:38:35 JST 2003