投影説

(とうえいせつ projectivism)

最初にかれ[人間]がやったのは、自分自身の人格性の諸要素を 外的事物に投映することだった。 それからギリシア人の想像力がそれらの要素をおし拡げて、 完全に人間的な個性を有する擬人的神々をつくりあげた。 だがギリシア人の知性は、遅かれ早かれ、そのような神々が実在しない ことを発見しなければならなかった。 かくして神話は自分自身を追い越して、 精神的世界が存在するということそのことを信じがたいものにした。

---F.M. コーンフォード

Nothing is good or bad, but thinking makes it so.

---William Shakespeare

「評価によってはじめて価値が生じる。 評価がなければ、存在の胡桃はうつろであろう」

---ニーチェ


メタ倫理学における一つの立場。投影主義。 「道徳的感情は事物の自然的特徴によって引き起こされるが、 われわれは世界に「金メッキあるいは色を塗る(gild or stain)」ことにより、 あたかもそれが道徳的性質によって引き起こされたかのように語る」 (Blackburn)と考える立場。

ちょうど、プロジェクタによって白いスクリーンに色が付くようなもので、 実際に存在するのは事物の自然的特徴だけだと考えられる。 この立場は、道徳的感情は事物の道徳的特徴によって引き起こされる と考える道徳実在論の立場と対立する。

03/Mar/2004


参考文献


上の引用は以下の著作から。


KODAMA Satoshi <kodama@ethics.bun.kyoto-u.ac.jp>
Last modified: Thu Jan 26 01:29:47 JST 2006