(せいじてつがく political philosophy)
The aim of political philosophy, when it presents itself in the public culture of democratic society, is to articulate and to make explicit those shared notions and principles thought to be already latent in common sense; or, as is often the case, if common sense is hesitant and uncertain, and doesn't know what to think, to propose to it certain conceptions and principles congenial to its most essential convictions and historical traditions.
---John Rawls
哲学者が政治や社会制度によけいな口をはさむこと。 この分野における主な問題群は、 民主主義(なぜこの政体が望ましいか)、 富の再配分(たとえば累進課税は正当化されるか)、 政治的義務(なぜ政府にしたがうべきか)、 などである。 自由や平等という概念の分析も重要な課題である。
以下はUCL哲学教授のジョナサン・ウルフの授業に出たときのノートから。
戦後に道徳および政治哲学が低迷した理由は二つあり、 一つは、哲学が第二次大戦の惨禍を止められなかったことに対する失望。 もう一つは、価値と事実を峻別する論理実証主義が道徳、 政治哲学に与えた破壊的影響。
しかし、朝鮮戦争やベトナム戦争が起こると、 良心的兵役拒否や政治的義務についての議論がさかんになり、 政治哲学に対する関心がふたたび盛んになった。
1971年にロールズが『正義論』を出し、 政治哲学が完全に復興する。 (この年には、 法・政治・社会哲学専門の Philosophy & Public Affairsも創刊される) 1974年にはノージックが『アナーキー、国家、ユートピア』を出版。 この時期には主要な哲学者はみな政治哲学の舞台で活躍。
残念ながら、その後、 主要な哲学者は心の哲学や言語哲学の研究に向かったので、 現在、政治哲学は停滞期に入っている。
戦後の政治哲学の歴史については、 Brian BarryのDemocracy and Power (Oxford: Clarendon Press, 1991)所収の`The Strange Death of Political Philosophy'がおもしろい。
(04/Feb/2001)
上の引用は以下の著作から。