グリーン

(ぐりーん Green, Thomas Hill)

[F]reedom, rightly understood, is the greatest of blessing; ... its attainment is the true end of all our efforts as citizens. But ... we should consider carefully what we mean by it. We do not mean merely freedom from restraint or compulsion. We do not mean merely freedom to do as we like irrespectively of what it is like that we like.... When we speak of freedom as something to be so highly prized, we mean a positive power or capacity of doing or enjoying something worth doing or enjoying...

---T.H. Green, `Liberal Legislation and Freedom of Contract'


英国の思想家(1836-82)。 オックスフォード大学の道徳哲学の教授で、 英国観念論哲学の中心人物とされる。 (ちなみに彼はケンブリッジ大で道徳哲学の教授 だったシジウィックと同世代である)

カントヘーゲル哲学・神学に 影響を受け、 英国にドイツ観念論哲学を輸入し、 ヒュームミルの 自然主義的哲学(人間の研究を自然科学と同様の手法で行なおうとする立場)を 批判した。 また、政治哲学においては、ミルの自由主義を継承しながらも、 個人の精神的自由を促進するためには政府のより大きな干渉が必要だと主張した。

(冒頭の引用はバーリンが 区別した典型的な積極的自由の主張と理解される。 バーリン自身が「自由の二つの概念」の第二節の注で引用したのは 同じ論文の「真なる自由の理想は、 人間の社会の全成員に関して、 彼らの自己を最善にする能力が等しく最大化されることである」という部分である)

主著は死後に出版されたProlegomena to Ethics (1883)。 ヒュームの研究者でもあった。

05/15/99; 30/May/2001更新

参考文献


KODAMA Satoshi <kodama@ethics.bun.kyoto-u.ac.jp>
Last modified: Sun Aug 3 15:16:28 JST 2014