(せつめい explanation)
説明とは、ある事柄や出来事などについての理解を深めるために、 その事柄の意味を述べたり、 その出来事の原因や経過を述べたりすることである。 たとえば倫理学においては、 共感がどのようにして生じるかとか、 利己的だとされる人々がなぜ(事実)道徳的にふるまうのか、 というような問題を説明しようとする試みがなされてきた。
これに対し、正当化(justification)とは、 何らかの主張や行為の正しさを示すために理由を述べることである。 主張と理由を合わせて、通常「議論」と呼ぶ。 たとえば、「代理母は禁止されるべきである」という主張に対して 「代理母は生みの母親にとって心理的な負荷が大きい」という理由を述べることは、 上の主張を正当化する試みである。
説明と正当化は両方とも「ある事柄について理由を述べる」 という構造を持つので一見よく似ているが、 説明の場合は通常、 理由あるいは原因が述べられる事柄は確定した事実や出来事であるのに対し、 正当化の場合は、 理由が述べられる事柄は議論の余地のある主張(「〜すべき」など)である。
15/Jan/2002