(べっかりーあ Beccaria, Cesare Bonesana)
この引力[両性を引きつけあう自然の強い引力]は多くの事情において 宇宙の万有引力と似た作用をする。 これら二つの引力とも距離が遠くなれば力が弱まる。 一方[万有引力]が物体の運動を変えれば、 一方[恋愛の引力]はその活動力のつづくかぎり魂のあらゆる動きに作用する。 二つの引力がちがうところといえば、 万有引力のほうは障害物に出会うとそれとつり合った状態になるが、 愛の情熱は障害を見出だせばそれによってなお強められる、ということだ。
---ベッカリーア
イタリアの啓蒙思想家(1738-1794)。ミラノの貴族の生まれ。 25才の若さで『犯罪と刑罰』(1764)を出版し、人気を博す。 この本の中で、ベッカリーアは、 功利主義と社会契約論を組み合わせた立場から、 罪刑法定主義、犯罪と刑罰の均衡、 死刑・拷問の廃止などを主張している。
ヴォルテールやディドロなどの同時代の思想家に読まれたほか、 若き日のベンタムは1767年の英語版の翻訳を読んで、 大きな感銘を受けた。
ただ、彼自身はこの本が売れて有名になりすぎたため、 一緒に研究していた先輩や友人から疎遠になり、 その後は大した本を書くことができなかった。
25/Jun/2003
上の引用は以下の著作から。