(るいすい analogy)
ある関係(a:b)を理解するために、構造の似た別の関係(c:d)を持ち出してきて 説明すること(a:b=c:d)。類比。
たとえば、神と人間の関係については羊と羊飼いのようなものであるというのが それである。 とくに宗教においてはこのような類推が多用される(神は類比的にしか語れない、 という考え方がある)。ルカ書でキリストが盲人を見えるようにした、 というのは宗教における啓示についての話であるし、 神の目的論的証明も類推による証明である。
また、他人の心の存在も類推的思考によって説明される。 わたしと他人の行動はよく似ている。 わたしは心を持っているからこのように行動する。 したがって、他人も心を持っているに違いない、という風に。 しかし、このような類推が適切かどうかは議論がある (実は自分以外は心を持たない精巧なロボットじゃないのか?)。
倫理学においても類推の役割は重要であり、 とくに生命倫理学の議論では類推的思考がよく使われる (たとえばトムソンのバイオリニストの例)。くわしくはまた。
01/Mar/2003