出典:団藤重光著、『死刑廃止論(第5版)』、有斐閣、1997年
団藤氏:そもそも、世論の問題をどう考えるべきなのか。本質論としては、 のちに述べる通り、死刑の存否のような人権の問題は人間の尊厳を基礎とする 人格価値の問題であって、世論によって左右されるべき性質のものではないの ですが、このことをしばらく措いて、政治の実際問題としてどう考えるべきな のか。(p.41)
・「本質論としては世論によって左右されるべき性質のもの」ではない?そ んなわけなかろう。いくら人権の問題だと言ったって、法学者や政治家は神様 じゃないんだから。憲法にある不可侵の権利と言えども世論の同意に基づくの が民主主義なんじゃないの?
団藤氏:正しい民主主義は、正しく選ばれた政治家たちが、世の中に正し い情報を充分に提供した上で、世論を指導して正しい方向にもって行かなけれ ばならないし、場合によってはさしあたりの世論に反してさえも正しい政策を 実行することこそが大切なのではないでしょうか。(pp.42-43)
・前半と後半が矛盾。なぜ正しい世論を形成する前に政策を実行しようと するのか。正しい世論を形成し、世論に則って政策を実行するのは正しい民主 主義であるが、政策を実行してから正しい世論を形成しようとするのはテロリ ズムである。民主主義ではない。
団藤氏:もちろん、一般的にいえば、外国でどう思われようが、日本はわ が道を行くでよいのであって、外国の思惑にいちいちとらわれる必要はありま せんが、人権のような全人類的な問題については、われわれも絶対に先進国の 仲間入りをして、世界に恥ずかしくない法制を整える必要があるのです。(p.46)
・こういう言い方そのものが恥ずかしい。憎むべきは「人権」という概念か。 人権憎んで団藤憎まず。
・高槻市の市議会でも93年に死刑廃止決議が行なわれたのだそうだ(p.60)。 一度誰かの話を聞くべきか。