医療父権主義 (医療パターナリズム)
(いりょうふけんしゅぎ medical paternalism)
患者の最善の利益の決定の権利と責任は医師側にあり、
医師は自己の専門的判断を行なうべきで、
患者はすべて医師に委ねればよい、という考え方。
温情主義とも訳される。
伝統的な医の倫理の発想であるが、
今日の医者がこんなことを言うと袋だたきにあう。
患者主権主義と対比して語られる。
(参考、斎藤隆雄監修、『生命倫理学講義』、日本評論社、1998年、68頁)
哲学・倫理学用語集の
パターナリズムの項も
参照せよ。
関連ウェブサイト
関連文献
- 谷本光男、「医療におけるパターナリズム」、
高島學司編、『医療とバイオエシックスの展開』、
法律文化社、1994年
G・ドゥオーキン、ファインバーグ、チルドレスなどの議論を紹介。
- トム・L・ビーチャム/ジェイムズ・F・チルドレス、
『生命医学倫理』、永安幸正/立木教夫監訳、成文堂、1997年
仁恵原理(医者は患者に善行をなさなければならない)との関連で
パターナリズムを詳しく説明している。
- 加藤尚武・加茂直樹編、『生命倫理学を学ぶ人のために』、
世界思想社、1998年
法学、哲学の視点から三本ほどパターナリズムに関する論考が収録されている。
KODAMA Satoshi <kodama@ethics.bun.kyoto-u.ac.jp>
Last modified: Sat Mar 15 14:34:44 JST 2003