クローン

(くろーん clone)

来年のいつごろかには最初のヒト・クローンが誕生する可能性が高い。 赤ん坊の誕生を祝いに病院に来た訪問者たちは、 ベッドに集まってきてこう言うだろう。
「わあー。この子、お父さんにそっくり」
「そりゃそうよ。だってこの子はお父さんなんだもの」
そして夫の赤ん坊バージョンを生み落としたばかりの女性は、 哀れにも次のように尋ねるだろう。
「目はどうかしら? わたしの目にちょっと似てるんじゃない?」
「う〜ん、それはどうかなあ。 目も、耳も、鼻も、 まあ実際のところあらゆる点においてお父さん似だと思うけど」

---John O'Farrell, `Don't send in the clones',
in The Guardian, 11/Aug/2001.

遺伝子同一の生物のこと。自然界では一卵性双生児や無性生殖する生物 (ゾウリムシなど)がクローン。ドリーは成長した羊の体細胞から取り出した核を、 核除去した未受精卵に挿入して作り出した胚から成長した体細胞クローン。 現在問題になっているのはこの最後のクローン技術である。

関連サイト

クローンって何?

旧科学技術庁のパンフレット。 クローン技術やその倫理的問題などをわかりやすく解説。

Rosline Institute: Cloning

クローン羊ドリーを作ったスコットランドのロスリン研究所のページ。 クローンについての概説がある(英語)。

BBC - Gene Stories - The Clone Zone

BBCのサイトにある、クローン技術を簡単に説明したページ。

生命倫理・安全に対する取組

文部科学省のページ。クローン技術規制法やES細胞の取り扱いについての指針の 全文や解説が読める。必見。

治療目的でのES細胞クローニングの是非

反対側の代表的意見

• 人格は受精した瞬間に発生するから、 ES細胞も人格である。 誰かの病気を治すためとはいえ、 ES細胞をクローニングし研究後に破壊するのは許されない。
• 治療目的のクローニングを許すと、 生殖目的のクローニングも行なわれることになるから許されない。 (→すべり坂論法)
• 胎盤やへその緒からも幹細胞を作り出すことができるという研究が 進んでいる。ES細胞を使う必要はない。

賛成側の代表的意見

• ES細胞のクローニングを禁止すると、 パーキンソン病や糖尿病の治療研究が遅れ、 多くの人が苦しむことになる。
• ES細胞を人格と見なし、 患者の権利よりもES細胞の権利を優先するのはナンセンス。 また、中絶を認めてES細胞の研究を認めないとすると、 一貫性がない。
• なぜ他の人の道徳的意見が押しつけられなければならないのか。

(参考: `An embryo of hope?', in The Week)