つれづれなる概説

◆それは、テフロンパンではなく、電子レンジポップコーンである


総説トップに戻る

ES&T Online News: It’s in the microwave popcorn, not the Teflon pan 和訳:

Science News -
November 16, 2005
It’s in the microwave popcorn, not the Teflon pan

予備的なFDAのデータは、電子レンジ調理ポップコーンを食べることは、分解されてPFOA、発がん性と疑われる物質を作り出す化学物質へ人々を曝露させるかもしれないことを示唆する。

新しい研究は、若干の電子レンジ調理ポップコーン袋を処理するために使われる撥油性フッ素テロマー化学物質がポップコーンのオイルの中に移動することを示す。 フッ素テロマーは PFOA 、合衆国市民の血中に一般に見いだされる発がん性と推測される物質に分解することが知られている。

食品医薬品局(FDA)が10月に発表した合衆国による研究の結果は、推測される発がん性物質 PFOA (ペルフルオロオクタン酸)に分解することが知られる化合物が、電子レンジ調理ポップコーンの袋により何百万という無意識のうちに消費者に差し出されるかもしれないことを明らかにした。 家庭でのごちそうは今、合衆国住民の平均血中PFOA レベルの20%以上を説明することができた。

米国EPAのPFOA 危険性評価草案によれば、たいていのアメリカ人が彼らの血中PFOA を10億分の4−5の割合( ppb )で検出されるが、しかしその源は今まで未知であった。 家庭用品、テフロンパンのようなこびりつかない調理器具を含めて、それらが重要な役割を演ずると思われた。テフロンは PFOA を使うプロセスによって生産される。けれども新しく発表された研究は、こびりつかない 調理器具が主要な源ではないことを示唆した。

FDAチームは可能性がある源として食物のこびりつかないパン、食物包み紙などの製品を調査した、FDAの化学者Timothy Begleyは言う。 食物を包装するために使われたペーパーのいくらかは、油をはじくフッ素テロマーコーティングで処理される。 電子レンジ調理ポップコーン袋が1キログラムについておよそ4000ミリグラム(mg / kg )をコーティング材料中に含み、すなわちペーパー表面の平方デシメートルあたり25ミリグラムで含まれると著者は指摘する。

「食品添加物 & 汚染物質(Food additives and contaminants)」の論文で、これらのコーティングの多くがPFOAに代謝されうる、長い炭素化合物の混合物を含むと Begley と同僚は記述している。

科学者はフッ素テロマーの相当なパーセンテージで袋からポップコーンオイルまで移動したことに気付いた(3 − 4mg / kg のレベル)。これらの濃度は新品のこびりつかない 調理器具を175°Cで熱して移行させることができた PFOA の量より高く、何百倍もある。 ひとつの電子レンジポップコーン袋の表面積がおよそ1000平方センチメートルであるから、1袋を消費している人は最高110microgramsのフッ素テロマーをとることができたと、匿名を条件にこれらの計算を行った3人の毒物学者は言う。

平均成人体重65キログラムで割ることによって、毒物学者が一般にこのような曝露を人間での摂取用量に換える。これはポップコーンのそれぞれの袋からのフッ素テロマーの平均用量が体重1キログラムについて1.7 micrograms であることを意味する。1袋食べた子供たちがより高いドーズを得るであろう。

科学者は現在フッ素テロマーから PFOAへ容易に人が代謝することができるかどうか知らないと、アルバータ大学(カナダ)の生化学者ジョナサン・マーティンはいう。けれども 「化学生物学的相互作用(Chemico-Biological Interactions)」の最近の論文で、彼はラット肝臓細胞が直接フッ素テロマーアルコールのうち1.4%を PFOA に換えることができると報告した。 フッ素テロマーアルコールのさらに7%が同じく PFOA に結局は分解すると予想される中間体の酸に代謝される。それでPFOA へのフッ素テロマーからの変換の保守的な見積もりは1%である。 これは1袋全部のポップコーンを食べている人が PFOA 0.017 ppb を摂取することができたことを意味する。

ヒト血中平均 PFOA 含有量がおよそ4 ppb であるとすれば、もし彼らの血のすべての PFOA が軽食から来たなら、人が(1週1袋として)およそ300袋以上の電子レンジポップコーンを 5−10年食べなければならないであろう。 PFOA が人における長い半減期、およそ4年を持つと伝えられるから、毒物学者は5−10年という数字はこのような計算では適当な長さであると言う。 たいていの人々がおそらく1週間1袋を食べないけれども、スナック製造業者協会によれば、アメリカ人は毎年3千9百万ポンド、あるいはおよそ1億5600万袋をむさぼり食う。 ただ年に10電子レンジポップコーン袋の消費でも平均血液 PFOA レベルのおよそ20%を説明することができた、とこの論文のために匿名でインタビューされた科学者が言う。

「この用量は確かにささいではない」、とマーティンが言う。 「科学者はPFOA を含めてペルフルオロ酸への潜在的な曝露経路としてフッ素テロマーのようなポリフルオロ化前駆体があると考えるべきであるし、そう考えている」、と彼が付け足す。

食物の中に PFOA 前駆体を移動することについて、電子レンジポップコーン袋がおそらく最悪のシナリオ(もっとも曝露が高いと考えられるシナリオ)を表す、と Begley が指摘する。 これはコーティングでのフッ素テロマーの量が高く、そしてポップコーン袋が非常に熱くなるからである。1・2分で最高200°C以上に暖める。これらの温度は際立ってパッケージ成分の食物への移動の可能性を増やす、と彼が言う。

フッ素テロマーコーティングがすべての電子レンジ軽食食物パッケージで使われるわけではない。 彼が他のペーパーとコーティングについてまだ研究を行っていると言う。Begley によれば、例えば、ホットポケット(ジャンクフード)のような電子レンジで調理できる詰め物をするサンドウィッチと電子レンジピザでは、フッ素テロマーで覆われたペーパーを使わない。

REBECCA RENNER
[原文]

[2006/02/03]


home