◆欧州委員会PFOS規制を提案
注意:まだ採択されていません。採択されたという条文が入っていますが、法案です。
◆欧州委員会PFOS規制提案:審議状況
さて昨年12月に欧州理事会より提案があり、欧州議会に提案されていますが、その状況について情報を追加しておきます。
これまでの流れ
- Restrictions in preparation under Directive 76/769/EEC 上市と使用の制限に関する理事会指令76/769/EECに追加申請段階にあるもの
- Proposal for a Directive of the European Parliament and of the Council relating to restrictions on the marketing and use of perfluorooctane sulfonates (amendment of Council Directive 76/769/EEC) 法案概要とステータス
- Monitoring of the decision-making process between institutions 決定プロセスモニタリング
- European Parliament Procedure file OEIL (Observatoire europden interinstitutionnel ldgislatif)データベース
2005年12月5日に欧州委員会により法案決定。欧州理事会、欧州議会に送付。
2006年2月21日欧州議会Environment, Public Health and Food Safety Committee環境・公衆衛生・食品安全委員会において審議。
2006年5月17日European Economic and Social Committee欧州経済社会委員会により意見提出。
これからの予定
2006年7月12日委員会採決に向けての報告
2006年9月25日欧州委員会企業・産業総局(Enterprise and Industry DG(Directorate-General))によりPart sessionの予定
[060629追記]
◆欧州委員会PFOS規制提案の和訳:
欧州委員会
Brussels, 5.12.2005
COM(2005) 618 final
2005/0244 (COD)
欧州議会と理事会の指令について、 ペルフルオロオクタンスルホン酸の市場売買と使用の制限に関連する提案(理事会指令76/769 / EECの改正)
(委員会提出)
説明覚書
1.序論と状況
ペルフルオロオクタンスルホン酸( PFOS )は塩、派生物と重合体のかたちで商業的に利用可能なアニオンである。 PFOS関連物質の主要な使用用途は織物、カーペット、紙といった材料や一般的なコーティングについてグリス、油、水抵抗性を与えるためである。これらの分野で使われる物質は、主として生地のためのPFOS重合体、紙処理とコーティングのためのPFOS物質である。 他のより少量の使用用途がクロムめっき、写真撮影、写真平版(フォトリソグラフィ)、泡消火剤、そして航空産業で用いられる作動液にある。
提案は主に次の研究に基づいている:
OECD危険評価が化学物質委員会・化学物質・殺虫剤・生物工学作業部会第34回共同会議(2002年11月5-8日)において是認された。 この評価によれば PFOS は環境中で残留性で、哺乳動物種に生物蓄積性で、そして有毒である。
インパクト評価を含むリスク評価報告とリスク縮小戦略が「既存物質のリスク評価と管理についての1993年3月23日理事会規則(EEC)793/93」[1]の原則のとおりに英連合王国によって準備された。
健康・環境リスク科学委員会( SCHER )は上記リスク縮小戦略の科学的な局面を調べ、そして2005年3月18日に採用されたその意見において、データが、PFOSが非常に残留性で、非常に生物蓄積性で、そして有毒であったことを示すことを確認した。
それぞれの使用分野からの排出の見積もりがなされた。 リスク評価はPFOSによる環境と健康へのリスクを減らす必要を確認した。 リスク縮小戦略はある特定分野の使用のために市場売買と使用の制限を勧めた。 カーペット、織物、室内装飾材料、革、衣服、紙類、包装と他の用途におけるPFOSの使用を止めることによって、提案された指令は曝露リスクの大部分を含むであろう。これらの使用はすでに段階的に排除されているように思われ、そして提案はそれらの再導入を止めるであろう。そのほかのクロムめっき、写真撮影、写真平版、泡消火剤、そして航空用作動液のための、若干のより少ない、そして特定の使用用途がある。 これらの限定された分野で使われている量と環境中への排出はさらに算定される必要があるであろう、しかしそれらは現在非常に少ないことと予想される。 これらの使用を規制することについての利点と不利はインパクト評価の適用を受けなければならないであろう。
研究フレームワークプログラムによって資金調達された進行中の研究プロジェクト PERFORCE ( http://www.science.uva.nl/perforce/ )が新しいデータ、例えば、PFOSの曝露、汚染源と曝露経路と物理化学パラメータを作成している。
従って「特定の危険物質や調合剤の販売及び使用を制限する加盟各国の法律、規則及び行政命令等の統一化に関する1976年7月27日理事会 指令 76/769 / EEC」[2]はそれに応じて改正されるべきである。
指令の目的は、条約の条項95によって必要とされるように、高水準の人類の健康と環境の保護を保証すると同時に、従って域内市場を維持して、PFOSに関して整合された条項を導入することであるだろう。
2.提案のための正当性
共同体の義務との関係で提案の目的は何であるか?
化学物質のある特定の使用がある特定の条件の下で管理することができないという事実のために、このような関連物質と調合剤の使用を禁止することによってのみ、健康と環境への安全性は保証される。
提案の目的は域内市場を保全するためである。 加盟国が危険な物質と調合剤の使用と市場売買を限定して国内法を採択する上で、そこには加盟国間の法律の相違のためにやりとりするべき障害があるであろう。 法案提案は域内市場が健康と環境の保護の利益に機能を果たすことのために状態を改善することを目指す。
共同体にとって応対可能な行動経過は何であるか?
唯一の利用可能な行動経過はPFOSの使用について整合された規則を与える指令76/769 / EECの改正提案をすることである。
一様な規則は必要であるか? 加盟国によって実行目標を確立することは十分ではないか?
提案された指令はPFOSの流通のために一様な規則を確立するであろう。 それは同じく高水準の健康と環境の保護を保証する。 指令 76/769 / EECの提案された改正はこれらの目標を達成する唯一の方法である。目標は不十分であるであろう。
3.提案の合理性
提案された指令は物質PFOSを加えることによって、 Annex Iを指令 76/769に拡大するであろう。 この物質の市場売買と使用はそれで限定されるであろう。
4.経費と利益
4.1.経費
提案された指令は、PFOSの使用が関係しているケースは低下しているので、そして会社がすでに代替物を開発したので、産業取引にただ軽微な問題を提出するだけである。
4.2.利益
提案の利益は人間と環境の健康を守るためにだけでなく、域内市場を設立することである。 提案された制限は人間の健康あるいは環境へのリスクを引き起こすようなPFOSの特定の使用がもう市場に出ないことを保証するであろう。
5. 釣り合い
提案された指令は人間の健康と環境を保護することに関して利益をもたらすであろう。 これはほとんど費用なしで達成されるであろう。
6. 草案改正を準備において実施された協議
提案の準備に関して助言が加盟国と欧州化学産業理事会( CEFIC )からの専門家を含む会議を通して求められた。欧州消費者組織 BEUC は同じく意見を与えるよう招かれ、その結果が提案に反映された。
7.条約との適合
この提案は域内市場を保持して、そして同時に高水準の人間の健康と環境の保護を保証するように意図される。それはそのゆえに条約の条項95(3)に従っている。
8.欧州議会と欧州経済社会委員会
条約の条項95に従って、欧州議会の共同決定手続は適用可能である。 欧州経済社会委員会に意見を聞かなければならない。
2005/0244 (COD)
欧州議会と理事会の指令について、ペルフルオロオクタンスルホン酸の市場売買と使用の制限に関連する提案(理事会 指令76/769 / EECの改正)
(欧州経済圏に関連する条文)
欧州議会と欧州連合理事会は、
欧州経済共同体を設立する条約、そしてその特定の条項95を考慮して、
委員会からの提案を考慮して[3]、
欧州経済社会委員会の意見を考慮して[4]、
条約の条項251に置かれた手続きのとおりに行動する[5]、
以下の事由を鑑み:
(1)OECD危険評価が2002年7月までで利用可能であった情報を基にして、なされた。 この評価は ペルフルオロオクタンスルホン酸( PFOS )の潜在的な危険が懸念を示すと結論した。
(2) PFOS によって健康と環境に向けられるリスクは「既存物質のリスク評価と管理についての1993年3月23日理事会規則(EEC)793/93」[6]の原則のとおりに算定された。 リスク評価は健康と環境へのリスクを減らす必要を判断した。
(3)健康・環境リスク科学委員会( SCHER )に諮問された。 SCHER は PFOS のさらなる科学的リスク評価の必要性を見いだした、しかしそれは同じくリスク縮小諸策が以前の使用水準の繰り返しを避けるために必要であるかもしれないということに同意した。 SCHER によれば、もし環境への放出と産業曝露が最小にされるならば、航空業、半導体産業と写真産業での進行中の必要不可欠の使用が環境あるいは人間の健康に重要なリスクを引き起こすように思われない。泡消火剤について、SCHER は、最終決断の前に、代用品の健康と環境のリスクが算定されなくてはならないということに同意する。クロムめっきに関して排出を減らす諸策が評価されるべきである。
(4)健康と環境を守るために、PFOSの使用と市場売買が限定されるべきであることは従って必要であるように見える。 提案された指令は曝露リスクの主要な部分を補うであろう。 PFOS の他の軽微な使用がリスクを引き起こすように思われない、そして従ってそれらは現在適用を免除される。それらはさらに調査されるであろう、そしてそれらは特定のインパクト評価の対象であるだろう。
(5) PFOS を含んでいる製品は環境を保護するために同じく限定されるべきである。 現在の指令はただ新しい製品を限定することだけをするべきであって、そしてすでに現在使用中の、あるいは再販市場にある製品に当てはまるべきではない。
(6) 特定の危険物質や調合剤の販売及び使用を制限する加盟各国の法律、規則及び行政命令等の統一化に関する1976年7月27日の理事会 指令 76/769 / EEC[7]はそれに応じて改正されるべきである。
(7) 条約の条項95によって必要とされるように、高水準の人間の健康と環境の保護を保証すると同時に、この指令の目的はそれで域内市場を維持して、 PFOS に関して整合された条項を導入することである。
(8) この指令は労働者保護のための最小限の要求を規定する国内法制、労働安全衛生の改善を促進するための施策の導入についての理事会指令1989年6月12日89/391/EEC [8]、個別的指令、特に、発がん性および変異原性物質への産業曝露によるリスクからの労働者の保護についての欧州議会・理事会指令2004/37/EC (理事会指令 89/391/EEC条項16(1)の意味における第6回個別的指令) (成文化版)[9]、産業現場での化学物質に関連するリスクから労働安全衛生の保護に関する理事会指令1998年4月7日 98/24/EC (理事会指令 89/391/EEC条項16(1)の意味における第14回個別的指令)[10] のような法制を害しない。
以下の本指令を採択した:
条項1
指令 76/769 / EEC添付書類Iがこの指令への添付書類のように改正される。
条項2
1.加盟国が、この指令に従うために必要な法律、規則と管理上の条項を、おそくとも200x年xx月xx日[施行後1年後に]までに採択して、そして発表するべきである。 彼らは直ちに委員会にそれらの条項とこの指令の間の条文と相互関係表を伝達するべきである。
彼らは200x年xx月xx日[この指令の施行18ヶ月後に]からそれらの条項を適用するべきである。
加盟国がそれらの条項を採択するとき、条項はこの指令への参照を含んでいるか、あるいはそれらの公式発表時にこのような参考文献が伴うべきである。加盟国がこのような言及がどのようを作られるか決定するべきである。
2.加盟国が委員会に彼らがこの指令によってカバーされた分野で採択する国内法の主な条項の条文を伝達するべきである。
条項3
この指令は欧州連合の公式のジャーナルでのその発表の日に施行に入るべきである。
条項4
本指令は、加盟各国あてに発する。
ブリュッセルにおいて採択された、
欧州議会および理事会を代表して
議長
添付書類
次のポイント[XX]は 指令 76/769 / EECの Annex Iに加えられる:
[XX]. ペルフルオロオクタンスルホン酸C8F17SO2X (X = OH 、金属塩、ハライド 、アミド と重合体を含めて他派生物)
(1) 物質そのものあるいは量で0.1%以上の濃度で調合剤の構成要素として用いられているものを売買してはいけない。
(2)量において0.1%以上の濃度で製品あるいは部品として売買してはいけない。
(3) パラグラフ1と2は特例として、写真平版プロセスのためのフォトレジストあるいは抗反射コーティング、薄膜、紙、あるいは印刷プレートに適用される産業写真コーティング、クロムめっきのためのミスト抑制剤、航空産業のための作動液、泡消火剤、環境中に放出されるPFOS濃度が1kgについて1μg以下であり、かつその放出量が 系内のPFOS量の0.1%以下に対応する、制御された閉鎖系では当てはまるべきではない。
[1] OJ L 84, 5.4.1993, p. 1.
[2] OJ L 262, 27.9.1976, p. 201.
[3] OJ C […], […], p. […].
[4] OJ C […], […], p. […].
[5] OJ C […], […], p. […].
[6] OJ L 84, 5.4.1993, p. 1. Regulation as amended by Regulation (EC) No 1882/2003 of the European Parliament and of the Council (OJ L 57, 25.2.2003).
[7] OJ L 262, 27.9.1976, p. 201. Directive as last amended by Commission Directive 2004/21/EC(OJ L 57, 25.2.2004, p. 4).
[8] OJ L 183, 29.6.1989, p. 1. Directive as amended by Regulation (EC) No 1882/2003 of the European Parliament and of the Council (OJ L 284, 31.10.2003, p. 1).
[9] OJ L 158, 30.4.2004, p. 50.
[10] OJ L 131, 5.5.1998, p. 11.
原文:[HTML] [PDF]
[2005/12/24]