ごあいさつ
日本体力医学会第8代理事長
吉岡 利忠
日本体力医学会の歴史は古く、その源流は大正9年に発足した旧学術会議であるという。その後、いくつかの会議・研究班を経て1949(昭和24)年に日本体力医学会の誕生へと発展しており、現在、5200余名の会員を擁し日本医学会第39分科会として、体力、スポーツ医科学の専門分野で確固たる地位を築いています。
近代文明は、我々人間を取り巻く環境にさまざまな影響を与えており、特に、科学技術の発展は、地球上だけでなく宇宙、航空、海底、高山などの特殊な環境を人間にもたらしています。毎日の生活場面においては、さまざまな技術の進歩により生活の利便性を大きく向上させていますが、その反面、身体活動量の低下により健康を脅かすいわゆる生活習慣病などももたらすようになってきています。この対抗策として日常生活への身体運動の取り込みの重要性が指摘されています。しかしながら、身体運動が人間の身体機能に与える影響の全貌は明らかではなく、運動のやり過ぎによる怪我、障害、事故、疾病などの弊害も起こるようになってきています。体力医学の分野では、年齢を問わない一般人、運動愛好者、アスリートそれぞれの健康保持・増進、効果的な競技活動を推進するために、基礎医学である生理学的・生化学的・解剖学的・分子生物学研究から、体育学あるいは運動学におけるトレーニング指導、運動処方、さらには臨床医学や心理学など多岐にわたる研究が進められています。人間を取り巻くさまざまな環境に即応しながら、人間としての素晴らしい機能を充分に発揮し活用し、精神的にも肉体的にも健全な生活を遂行していくために、学術学会としての日本体力医学会は限りなく支援していかなければなりません。
国民体育大会と並行して毎年開催される日本体力医学会は、本年で67回目になります。機関誌である「体力科学」も通算第61巻になりました。本年度より待望のThe Journal of Physical Fitness and Sports Medicine(JPFSM誌)が刊行されます。ご期待下さい。それに伴い体力科学・JPFSM誌がA4サイズに変更なります。皆様の投稿をこころよりお待ち申し上げます。専門分野の学術団体としてますます発展していくように会員の皆さまと共に歩んでいく所存です。
2012年(平成24)2月1日
年頭のご挨拶
会員の皆様におかれましては益々ご活躍のこととお慶び申し上げます。
本年2012(平成24)年は、歴史ある機関誌「体力科学」に加えて英文誌発行という、学会としては極めて記念すべき年になること、それに加えいくつかの事業が開始されることになりました。そこで、誠に僭越ではありますが、一言挨拶を申し上げたいと存じます。
はじめに、昨年3月11日(金)、東北・関東地方を襲った大災害の犠牲になられた方々に深甚なるお悔やみを申し上げます。併せて被災されたすべての方々に心からお見舞を申し上げ、被災地域の早急なる復興をお祈り致します。本学会では災害地区の会員に対して2011年度の会費を無料にするとともに、第66回本学会大会(下関市)では江橋 博大会長のご配慮により、大会参加費免除の処置を執っていただきました。さらに、本学会のホームページに「エコノミークラス症候群の予防対策と水分補給について」を掲載し、被災された方々の健康維持・管理に配慮致しました。
また、American College of Sports Medicine(ACSM)が発行している運動負荷試験と運動プログラムのガイドラインを本学会編集委員会が監訳し「運動処方の指針8版」(南江堂)として発売(2011年7月)され、好評を得ております。また、「日本医学会医学用語管理委員会編・医学用語辞典」が日本医学会ホームページで閲覧できるようになりました。ご存じのように、日本体力医学会は現在110の学術団体が加盟している日本医学会の第39分科会(社会部門)として「基礎部門」および「臨床部門」と連携をとりながら活動しております。
さて、冒頭でも述べましたように、本学会の英文誌(The Journal of Physical Fitness and Sports Medicine[JPFSM])が刊行される運びとなりました。これは日本体力医学会創立60周年記念事業の一環として企画され、比較的短期間で欧文誌編集委員会設立、投稿規定、出版方針、出版頻度および予算案等が決定され、今泉和彦英文誌編集委員長、鈴木政登体力科学編集委員長ならびに各委員の精力的なご尽力によって現実のものになり、大変嬉しく思っております。英文誌の雑誌名には”Japanese”あるいは”Japan“を敢えて入れず、アジア地域に限らず広く全世界からの論文投稿の期待を込めました。この学術誌が世界に通ずる内容となるよう会員の皆様の一層のご支援・ご協力をお願い申し上げます。なお、JPFSM誌へのReviewとShort Reviewの執筆を承諾された方は153名にのぼり、今後2年間の間に153編の論文が掲載される予定であると聞き及んでおります。このように、会員の皆さまのご支援によりさらに飛躍することが期待され、わが国に於けるこの分野の学術団体および学術誌として不動の地位を築いていくことを確信し、挨拶と致します。
2012(平成24)年1月吉日
学会概要
会員数:5,197名(2011年8月31日現在)
日本体力医学会会計年度:9月1日~翌年8月31日
(現在は2012年度:2011年9月1日~2012年8月31日)
学会事務局:〒112-0012
東京都文京区大塚5-3-13
小石川アーバン4階
一般社団法人学会支援機構内
日本体力医学会
Tel:03-5981-6015(学会専用)
Fax:03-5981-6012(学会支援機構)
E-mail:jspfsm@asas.or.jp
編集事務局:〒997-0854
山形県鶴岡市大淀川字洞合1-1
鶴岡印刷株式会社内
日本体力医学会編集事務局
Tel/Fax : 0235-22-3120
E-mail: hj-tairyoku@turuin.co.jp
会員数の推移
1961年8月 | 568名 | |
1970年8月 | 858名 | |
1977年8月 | 1,486名 | |
1985年8月 | 2,408名 | |
1990年8月 | 3,860名 | |
1995年8月 | 4,828名 | |
2000年8月 | 5,177名 | |
2005年8月 | 5,126名 | |
2010年8月 | 5,207名 | |
2011年8月 | 5,197名 |
体力科学に掲載された論文数-10年間ごとの比較-
1962年~1971年 | 138編 |
1972年~1981年 | 183編 |
1982年~1991年 | 273編 |
1992年~2001年 | 405編 |
2002年~2011年 | 361編 |