学生・研修医・医療者教育指導者のための学修者評価ガイド
~理論と実践~

日本医学教育学会(21−22期) 学習者評価部会

第1章教育現場でコンピテンシーとEPAsを評価する際の理解のために

2) 実践編

(3) 小児科専門医研修

 の図は小児科専門研修の循環器領域の到達目標です。領域における到達目標が最上段に書かれ、その横にカッコ書きで小児科専門医の5つのコンピテンシーのどれが包含されているのか…がローマ数字で記載されています(Ⅰこどもの総合診療医、Ⅱ育児・健康支援者、Ⅲこどもの代弁者、Ⅳ学識・研究者、Ⅴ医療のプロフェッショナル)。

 その次には言葉は異なりますが、「診療・実践能力」という文言で専門医になった後で指導医がいないところでも対応できるようになっているべきEPAsが記載されており、専門研修では評価対象となっています。その右側には小児科分野における初期臨床研修レベルでのEPAsも記載されています。

 最下段には専門研修修了時にはひとりでできなくても良いが知識としては知っておくべきことや専門医にコンサルトすべき内容とその対象疾患が書かれています。

 このような記載の仕方で専門研修の到達目標と包含されるコンピテンシー、EPAs、より高度な知識目標などを示すことで小児科専門医として何ができるようになるべきなのかが明確になっています。


運用としては振り返り(省察)が重要

 小児科専門研修では半年ごとのMini-CEXによるWorkplace-based Assessment、1年ごとの多職種による360度評価とそれに基づいた指導医とのマイルストーンチェックの振り返りも義務付けられています。

 評価票をただチェックしただけでは学習は促進されません。指導医とともにしっかりと振り返りの時間を持つことこそがコンピテンシーやEPAsが定着し、真の実践能力を身につける重要なポイントになります。最終的な専門医試験は知識の試験になっていますが、日々の形成評価の積み重ねと指導医とともに行う振り返りが小児科専門医としての能力を担保することにつながる…そのような制度設計になっています。