会長挨拶

第25回日本脳低温療法・体温管理学会学術集会 会長
東邦大学医療センター大森病院 総合診療・救急医学講座教授/救命救急センター センター長
本多 満

この度、第25回日本脳低温療法・体温管理学会学術集会を2022年9月23日・24日に、当施設において担当させていただくことになりました。今回は研究会を含めて、ちょうど25回、四半世紀の区切りとなる会であり、一つの区切りとなるべく内容を考えて現在企画中でございます。このような伝統ある学術集会を担当させていただくことは、大変名誉なことであり、光栄に存じております。
 ここ数年、新型コロナ感染症により日常生活、日常診療および学術集会なども大きな影響を受けて以前と様変わりした状況を甘受せざるをえない現況です。このような状況においても、脳低温療法・体温管理療法を必要とする疾患には変わりなく遭遇します。この四半世紀のなかで、わかったこと、標準的になったこと、まだわからないことおよび今後の課題を明らかにすることにより今後に繋げられることでぜひ、今までこの会にお世話になり、育てていただいた恩返しに少しでもなれば幸いです。気を引き締めてスタッフ一同で準備を進めて行きたいと思っております。

本学会の第1回となる研究会においては、その対象疾患は主として頭部外傷に対して施行され、研究されていたと記憶しております。その後、重症脳血管障害、新生児仮死および成人の心肺停止後の脳保護とその対象を広げて、現在は新生児低酸素性虚血脳および心肺停止後の脳保護としてのエビデンスが確立されて、その有効性は確立されております。昨年発表された日本蘇生協議会(JRC)蘇生ガイドライン2020においても両者に対してこの治療法は推奨されております。また、地球温暖化のなか、近年熱中症患者が増加しており、熱中症そのものの治療および脳症に対する脳保護により体温管理療法の重要性はさらに増しております。
 これらを踏まえて今回の学術集会のテーマを「四半世紀の知見の集積と、今後の新たな展開へ向けて」として開催させていただきたいと思います。この会に参加される多くの先生方は、脳神経外科、救急集中治療領域および新生児科において診療を行っておられると思われますが、脳低温療法・体温管理療法に関する知識の整理と今後に役立つような内容のプログラムを企画中です。
 まだまだ新型コロナ感染症の動向は不明確であり、現地開催およびWebでのハイブリッド開催を考えて対応を進めております。このような不安定ななかご迷惑をおかけすることもあるかと思いますが、ぜひご参加いただければ幸いです。何卒よろしくお願いいたします。