厚生労働省 地域におけるかかりつけ医等を中心とした心不全の診療提供体制構築のための研究

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研究成果

  • 2020.11.20
    研究班の論文がESC Heart Failureに掲載されました。
    Shoji S, Kohsaka S, Shiraishi Y, Oishi S, Kato M, Shiota S, Takada Y, Mizuno A, Yumino D, Yokoyama H, Watanabe N, Isobe M. Appropriateness rating for the application of optimal medical therapy and multidisciplinary care among heart failure patients. 2020 PMID: 33201597, https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/ehf2.13062

心不全診療に携わる医療従事者は、診療ガイドラインに記載されている標準診療に則って原則的に診療を行っています。しかし、実際の臨床現場では、高齢の方や腎機能障害を持つ患者さんに対する薬物療法等、エビデンスが乏しく標準診療の適応に迷う場面に多く遭遇します。既存の「診療ガイドライン」では、こうした診療パターン毎に具体的な推奨度を設定する事が困難であり、その厳密な解釈に関して曖昧な点が残されていました。

こうした背景の中で、AUC(Appropriate Use Criteria; 適切性基準)という、現場の医療従事者がより実践的な判断をすることを後押しするための診療指標が開発されました。AUCでは、議論が分かれるであろう診療の適切性を、パターン別に複数の多職種専門家からの意見を系統的に集約し3段階(適切である、どちらともいえない、適切とはいえない)で提示します。

米国での冠動脈カテーテル診療に関しては広く活用されているAUCですが、これまで心不全診療に関するものは存在しませんでした。本研究は、平成 30 年度 厚生労働科学研究 磯部班「地域におけるかかりつけ医等を中心とした心不全の診療提供体制構築のための研究」(H30-循環器等-一般-002)(研究代表者:磯部光章)の一貫として、心不全診療におけるAUCの策定を世界ではじめて試みたものです。

本研究の日本語版はhttps://plaza.umin.ac.jp/isobegroup/results/results_2.phpをご参照ください。