
ご挨拶
組織委員長 加藤 久美
皆様が睡眠に興味を持ったきっかけは何でしょうか?
小児科医である私が睡眠医学に興味を持ったきっかけは、当時勤務していた障害者療護施設で「夜に呼吸が止まっている、どうしたら良いか?」と相談されたときに答えられなかったことです。私の仕事のモチベーションは「目の前にいる患者さんにどう対応したら良いか知りたい」であり、それをきっかけにISMSJを立ち上げられた立花直子先生、今は亡き三上章良先生、今回の副委員長をお願いした谷口充孝先生を始めとした諸先生からPSG、睡眠関連疾患について教えを頂き、勉強会に参加し、睡眠の臨床を続けております。
睡眠の臨床は睡眠に関する知識だけではなく、様々な分野の知識が必要とされます。小児領域では神経発達症、ダウン症など睡眠の問題を生じやすい疾患の知識が必須です。私は現在成人の診療も担当しておりますが、CPAP再診の何気ない会話から悪性腫瘍の発見に繋がるなど、多岐にわたる知識の必要性ならびに様々な診療科と連携する重要性を強く感じております。また、PSGやCPAP導入は臨床検査技師なくして成り立たず、臨床睡眠医学では職種間の連携が必須です。
第17回日本臨床睡眠医学会学術集会はテーマを「臨床睡眠医学の朝靄(あさもや)」とし、睡眠医療を始め経験が浅い方々を含め、職種の垣根なく、日常診療で困ることを相談し話し合える場としたいと考えます。特別講演は国立研究開発法人 国立精神神経医療研究センター 精神保険研究所 薬物依存研究部 部長 松本 俊彦先生をお招きし、臨床睡眠医学において重要かつ避けて通れないエナジードリンクなどによるカフェインの多量摂取、リストカットの問題についてお話しいただきます。松本先生はこの分野のスペシャリストであり、臨床睡眠医学を学ぶあらゆる職種にとっても貴重な勉強の機会となるものと考えます。「目の前にいる患者さんにどう対応したら良いか知りたい」に少しでも貢献できる会になればと考えております。
第17回日本臨床睡眠医学会学術集会でお会いできますことを楽しみにしております。