群馬県小児保健会長
滝沢 琢己

 群馬県小児保健会は、群馬県の子どもを取り巻く保健、医療、教育、保育、福祉などに関して啓発を行う会で、日本小児保健協会の支部を兼ねています。毎年、多職種の会員が参加する研究集会を開催し、子どもに関するアップデートな話題について、学び、意見交換する場を提供してきました。
 子ども達は、言うまでも無く私たちの宝です。子どもはただそこに存在するだけでも宝のようにあるいは宝を越えて愛し慈しむ対象でありますし、将来の社会を担うという点からも社会の宝です。日本は少子化に歯止めがかからず、この新型コロナウイルスのパンデミックで更に拍車がかかったと言われています。また、貧困、虐待、不登校、ジェンダー不平等、性的マイノリティーへの対応など、社会全体が抱える未解決の課題は、そのまま成長期のこども達に大きな影響をもたらしています。
 2019年に施行された成育基本法では、子どもの健全な育成のために、これまで独立していた母子保健や児童福祉、虐待防止などの施策の枠組みを超えて連携し取り組み、妊娠中から成人に至るまで切れ目のない支援を行うことを理念として掲げています。また、国、地方公共団体、保護者、医療関係者等が果たすべき責務も規定されています。一方で、同法が成立しても、自動的に子どもを取り巻く環境が改善する訳ではありません。関係する大人が自覚をもって責務を果たすことが重要です。
 子どものために、諸課題に取り組むことは、現在の子どものためであると同時に、10年後、20年後の社会のためでもあります。群馬県に生まれて、群馬県で育って良かった、そう思える大人が将来増えることを目指して、群馬県小児保健会は活動していきたいと思います。