研究項目:A03-2

神経オルガノイドにおける脳機能創発の再構成と神経精神疾患モデリング

坂口 秀哉
理化学研究所 生命機能科学研究センター 上級研究員

研究室ウェブサイト:https://www.bdr.riken.jp/ja/research/labs/otsuka-sakaguchi-h/index.html
Researchmap:https://researchmap.jp/hideyasakaguchi/?lang=ja

研究内容

近年の幹細胞技術革新によって、ヒト多能性幹細胞から3次元の神経組織(神経オルガノイド)をin vitroで創出することが可能となった。神経オルガノイドでは、発生初期の脳組織を再現できるだけでなく、機能的神経ネットワークも自発的に作られる。従って、神経オルガノイドを用いれば、ヒトコネクトームの動的変化にもアプローチできる。また、疾患iPS細胞を用いれば、神経疾患・精神疾患におけるコネクトームの異常にも迫ることができる。坂口は発生学的知見を活用し、これまでに大脳皮質、海馬、脊髄のオルガノイド作製に成功するとともに、オルガノイドに生み出される機能的神経ネットワークの評価法を世界に先駆けて確立した。本研究では、健常者由来ES/iPS細胞および自閉スペクトラム症患者由来iPS細胞を用いて、大脳皮質と海馬の神経オルガノイドに機能的神経ネットワークを構築する。それぞれにおける細胞コンポーネント、神経突起形態、神経活動を時系列的に評価することで、コネクトームの動的変化とネットワーク動態の変化、疾患動態の関係性に迫る。脳機能創発過程に潜むコネクトーム変化を介した秩序形成原理を解明する新しいオルガノイド学を通して、次世代の神経・精神疾患モデルを構築する。