研究項目:A02-4
音声コミュニケーション機能を段階的に創発する神経発達機構
杉山(矢崎) 陽子
沖縄科学技術大学院大学 准教授
研究室ウェブサイト:https://groups.oist.jp/ja/nmcpu
Researchmap:https://researchmap.jp/yys
研究内容
我々の脳機能は、発達期において感覚-運動-高次機能の順で段階的に創発する。これは脳内の神経回路が順々に形成されるためと考えられる。適切な順を追った機能創発は最終的により複雑な高次機能を効率良く獲得するために重要であるが、それぞれの神経回路形成がどのようにして適時に発達し段階的に機能を創発するのか、そのメカニズムは明らかになっていない。ヒトの言語発達と同様、キンカチョウは親の歌を聴き覚え(聴覚学習)、続いて発声、模倣すること(感覚運動学習)で歌を発達し、これを用いてコミュニケーションを行う。研究代表者はこれまでに、聴覚学習により形成される記憶細胞群を同定し、さらにこれらが感覚運動学習期にのみ運動野に投射し、感覚運動学習を制御することを見出した。つまり発達の時期や経験依存的に、コネクトームがダイナミックに変化し、これによって機能創発がトリガーされる可能性が示唆される。そこで本研究ではキンカチョウの歌学習をモデルとし、発達期の経験や時期によって聴覚‐運動野神経回路が形成・消失する分子・生理機構を明らかにするとともに、発声コミュニケーション機能が段階的に創発される基盤を明らかにする。