研究項目:A02-3
海馬において空間認知機能を担う場所細胞の創発機構
佐藤 正晃
北海道大学 医学研究院 講師
研究室ウェブサイト:https://masaakisato.jp/neuropharm/
Researchmap:https://researchmap.jp/satomasaaki
研究内容
海馬の錐体細胞は、動物の位置に特異的に反応する「場所細胞」としての性質をもつ。これらの細胞は互いに結合しあい、動的な機能回路としての「セルアセンブリ」を形成することで、ナビゲーションやエピソード記憶が実現していると考えられる。しかし、生後発達期において、海馬がどのように空間認知機能を創発し、セルアセンブリの形成能を獲得するのかは不明である。われわれは、これまで独自にVR環境下でのマウス海馬の二光子カルシウムイメージング系を確立し、空間学習に伴う場所細胞地図の形成と可塑性のメカニズムを明らかにしてきた。本計画研究ではこれを海馬の生後発達の研究へと発展させ、場所細胞の創発を支えるコネクトームの動的変化の原理を明らかにする。生後間もない幼若期から開眼し離乳する若年期に至る過程で錐体細胞の細胞体と樹状突起スパインの活動を観察し、その後、イメージングした領域について光顕および電顕でのコネクトーム解析を行う。機能イメージングとコネクトーム解析との融合により、海馬の空間認知機能の創発を支えるコネクトームの動態を明らかにする。