研究項目:A02-1
大脳皮質における効率的なネットワーク構造の創発機構
村山 正宜
理化学研究所 脳神経科学研究センター チームリーダー
研究室ウェブサイト:https://murayamalab.riken.jp/
Researchmap:https://researchmap.jp/murayama
研究内容
脳は多数のニューロンが作り出す社会でもある。研究代表者は高速・広視野・高解像度二光子励起顕微鏡を独自開発し、これを用いて成獣マウスの大脳新皮質の約2万個のニューロンの活動計測に適用した。その結果、大脳皮質がスモールワールドネットワーク(SWN)を構成していることを見出した(Neuron 2021)。SWNは、送電線や人間社会のネットワークなどでもよく知られているが、ハブ構造を有し、情報処理効率が良いエコなネットワークであることが知られている。本研究領域では、大脳皮質におけるSWNの形成を脳の機能創発の一つと捉え、発達期においてSWNが創発される過程を明らかにする。具体的には、胎児期から成獣に至るまでのマウスにおいて、広視野顕微鏡を用いて単一細胞レベルの解像度を保ちつつ、大規模な細胞数から細胞活動と形態を観察する。さらに、この過程において、ハブとなるニューロンにおいて特有の形態変化やコネクトームの変化が関わっている可能性について検討する。