第136回例会 開催記録
演題:「ラットの風味嗜好条件づけにおける消去抵抗の問題―ヒトと比較して―」
日時:2004年7月10日(土) 午後4時 ~ 5時半
場所:同志社大学寒梅館地下大会議室 会場案内
(寒梅館は同志社大学今出川キャンパスすぐ近くにできた新しい建物で、
京都市営地下鉄烏丸線「今出川」駅 2番出口から北へ徒歩1分です。)
講師:Robert A.Boakes(ロバート A.ボークス)
School of Psychology, University of Sydney, Australia
(シドニー大学心理学部教授)
講演者紹介:
ラットを用いた古典的条件づけおよびオペラント 条件づけの行動研究で世界的に著名な心理学者であり、ま た動物心理学史の研究者でもある(著作に『動物心理学史 ―ダーウィンから行動主義まで―』誠信書房)。近年は、ラット およびヒトにおける風味条件づけの研究を盛んに進めており、 学習性の食行動の問題に明るい。
現在、シドニー大学心理学 部長。
企画:中島定彦(関西学院大学文学部助教授)
青山謙二郎(同志社大学文学部助教授)
司会:中島定彦
連絡先:〒662-8501 兵庫県西宮市上ヶ原一番町1-155
関西学院大学文学部心理学研究室
Phone & FAX: 0798-54-6076
日本動物心理学会第136回例会報告
中島定彦助教授(関西学院大学)
日本動物心理学会第136回例会は、ラットを用いた古典的条件づけおよびオペラント条件づけの行動研究で世界的に著名な心理学者であり、また動物心理学史の研究者でもあるシドニー大学心理学部長Boakes教授をオーストラリアから迎えて、講演会形式で開催した。Boakes教授は、近年、風味嗜好条件づけについてラットおよびヒトを対象に研究しているが、講演ではラットを用いた実験を5つ紹介された。
いずれの実験でも、ある風味をショ糖やサッカリンと対呈示することで形成された当該風味への嗜好は、その後で消去手続きを行ってもなかなか消失しないことが確認された。これは、ヒトの風味嗜好条件づけや評価的条件づけでの実験報告と一致する。この現象の説明として、(a)非常に強固な条件づけが形成される、(b)条件づけ以外の学習メカニズムによる、といった可能性が論じられた。講演会出席者は34(うち半数が非会員)であった。講演会後、Boakes夫人を交えて、会場建物内にあり、マスコミでも話題になっている瀟洒なカフェレストランで懇親会を行った。

