第150回例会 開催記録
日本動物心理学会第150回例会
「ヒトを含む霊長類の親子関係のダイナミックス」のお知らせ
中部地区担当の第150回例会を下記のように開催します。今回の共通テーマとしては、実験室、動物園や家庭での行動観察を主体とした手法による、ヒトを含む霊長類の親子関係のダイナミックスです。 話題提供者として、上野有理先生(滋賀県大学)、中道正之先生(大阪大学)、小島康生先生(中京大学)、指定討論者として辻敬一郎先生(動心名誉会員)、友永雅己先生(京都大学霊長類研究所)の先生方をお願いしました。 会場はJR岐阜駅に隣接しています(JR改札を出て東へ徒歩2分、名鉄岐阜駅より徒歩5分)。多くの会員のご参加をお待ちしています。
日時:2009年3月28日(土)13:10-16:50
場所:岐阜市ハートフルスクエアG(中研修室)
http://www.ip.mirai.ne.jp/~heartful/index.htm
参加費:無料、事前予約不要
例会プログラム
13:20~14:00(質疑応答10分)
上野有理(滋賀県立大学)「食事場面にみるチンパンジーの親子関係」
14:10~14:50(質疑応答10分)
中道正之(大阪大学)「ゴリラの母子関係と子どもの行動発達」
休憩10分
15:10~15:50(質疑応答10分)
小島康生(中京大学)「ヒトの親子の自然場面での相互作用」
16:00~16:40
指定討論者:辻敬一郎(動心名誉会員)・友永雅己(京都大学霊長類研究所)
(2009.3.26追記:当初、松沢哲郎先生を指定討論者とお知らせしておりましたが、友永先生に変更となりました。)
問い合わせ先
宮本邦雄(東海学院大学、miyamoto[at]tokaigakuin-u.ac.jp)
([at] の部分を@に変えて下さい)
日本動物心理学会第150回例会報告
報告者:宮本邦雄(東海学院大学)
日本動物心理学会第150回例会は、2009年3月28日(土)の午後1時から5時まで、岐阜市ハートフルスクエアG中研修室において開催された。「ヒトを含めた霊長類の親子関係のダイナミクス」という共通テーマで、3名の話題提供者にご講演をいただいた。上野有理氏(滋賀県立大学)には、ヒトとチンパンジーの食事を介した親子のやりとりについての縦断的研究を紹介し、発声・もぐもぐ・待機がチンパンジーの乳児でみられないという知見を報告していただいた。中道正之氏(大阪大学)には、米国サンディエゴ野性動物園でのゴリラ集団を対象とした継続的観察研究によって得られた、母子分離・母子交換・母と祖母の子どもの受け渡しという興味深い事例を報告していただいた。最後に、小島康生氏(中京大学)は、横断歩道・ショッピングセンター・住居内という自然場面におけるヒト親子の相互作用の観察から、モノ・ひと・言葉を介して関わり合うヒトの親子関係を紹介された。以上の話題提供について、辻敬一郎氏(本学会名誉会員)と友永雅己氏(京都大学霊長類研究所)の指定討論者から、個々の研究方法やそれらの研究をまとめる視点に関して的確なコメントをいただき、発表内容の理解を深めることができた。前記3氏のご報告によって、自然な場面での行動観察による、子どもの自立に向けての親子の営みに関する比較発達心理学的研究の最先端を紹介していただいた。有意義な集会となったことをご報告すると共に、話題提供者および指定討論者の先生方にお礼申し上げる。

