愛媛大学大学院医学系研究科解析病理学講座
増本純也
『中国・四国支部長を拝命するにあたり』
2024年度より山口大学の池田栄二教授の後を引き継ぎ、日本病理学会中国四国支部長を拝命いたしました。前支部長体制の4年間はコロナ禍の緊急事態宣言のため、県を跨ぐ往来が制限され、多くの日常が失われた4年間でした。今後はその無念を晴らすべく、活動してまいりたいと思います。支部の活動を支えていただく支部幹事として、学術委員長を島根大学の荒木亜寿香先生、業務委員長を福山医療センターの表梨華先生、広報委員長を徳島大学の常山幸一先生、庶務会計委員長を岡山大学の柳井広之先生、支部幹事を川崎医大の森谷卓也先生にお願いさせていただきました。どうぞよろしくお願いいたします。
私は東京都新宿区牛込の生まれで、小中高と新宿区内で過ごしました。交通、情報や医療へのアクセスで不自由を感じたことはありません。愛媛大学に着任して12年を過ごしましたが、このアクセスへのハンデキャップはかなり大きいと感じていました。しかし、4年前、前支部長が他の支部に先駆けて整備したWebexによる学術総会/スライドカンファレンスや教育集会は支部会員の間に根付き、特に説明をせずに学術集会や委員会を開催することができています。中国四国支部のアンケート調査で、80%以上がWebでの開催を希望していていることは、各地の病院で、おひとりで頑張っておられる先生の交通状況X勤務事情X諸事情を如実に表していると思います。
コロナ禍の4年間、Webexによる学術総会/スライドカンファレンスへの参加者は対面開催だったコロナ前に比較して2倍以上になりました。そこで、このような支部の特徴を活かし、支部会員相互の交流と知識を更新のため、日々の診断業務に役立つ教育セミナーをさらに充実させ、支部会員相互の学術交流を推進したいと思います。ひとり病理医で頑張っておられる先生だからこそ気づくことのできた希少例もあるのではないかと思います。また、新規例だけでなく、既報例の「その後」も重要な関心事と思います。そのような発表の場も設けたいと思います。集会への参加者が増えれば、パワーも増します。私が支部長の間に、1件でも多くの多施設共同研究を実現させたいと思います。
諸先輩方が脈々と引き継いでこられた中国四国支部の活動である支部学術集会/スライドカンファレンスは、登録症例に事前診断投票する会員参加型の開催手順が確立されています。初期研修医あるいは学部学生が筆頭演者として発表した場合には学術奨励賞を授与し、学術委員の投票で優秀演題賞を授与しております。夏の学校では学生や初期研修医にリサーチマインドに溢れた病理学の魅力とそれらが具現化された刺激的な病理診断の魅力が伝えられるようお世話いただく先生の熱意に期待したいと思います。
病理学に関連する分子生物学や情報学の知識や分子標的治療に直結するコンパニオン診断の知識など、病理医に必要とされる知識や技術は飛躍的に増大しています。都会と地方で診断に齟齬あってはなりません。日常診断業務に追われる支部会員の知識のアップデートとサポートを充実させてまいります。今後とも支部活動へのご理解とご支援を賜れますようどうぞよろしくお願いいたします。