このたび、戦国時代の名将・上杉謙信公の居城として知られる春日山城跡がある新潟県上越市で、日本セーフティプロモーション学会第15回学術大会を開催することになりました。今大会のテーマは「災害に備えた市民協働のまちづくり」といたしました。セーフティプロモーション学会は災害や事故、事件などによる外傷は予防できるという基本理念のもと、行政、市民、企業など様々な主体が協働し、安全に安心して暮らせるまちづくりを推進することを学会の趣旨としています。近年、毎年のように豪雨災害が発生し、土砂災害も頻発しています。また、首都直下型地震や南海トラフ地震など大地震がいつ発生してもおかしくないといわれています。災害に対して、被害を最小にするには、市民が協働して災害に強いまちづくりを実践し、コミュニティの防災力を向上させることが求められています。
2004年10月23日、新潟県中越地方で最大震度7の地震が発生しました。これは中山間部で発生した直下型の地震で、上越新幹線の脱線、山古志村の全村避難、盲導犬が初めて避難所に同伴避難したことなど記憶に残る地震でした。中山間部の地震のため、地すべりが多数発生し、道路が寸断され、ライフラインも途絶え、集落が孤立しました。被災地の復旧復興に際し、産学官の活動を取りまとめる組織として中越防災安全推進機構が設立されました。当初は地域を復旧復興させることが目的でしたが、やがて中越大震災で得た経験を他の地域にも伝え、地域の防災力を底上げするという機能を担うよう変化してきました。新潟県での開催が、地域における防災力向上いわゆる災害に強いまちづくりについて考える機会になればと思います。
新型コロナウイルス感染症の流行は現在も続いておりますが、学術大会までに収束し新潟県上越市に皆様にお越しいただき、情報交換ができる場をもてることを願っております。多くの皆様のご参加をお待ちしております。
第15回学術大会長 境原 三津夫 (新潟県立看護大学 教授)