静岡大学東部キャンパスには生命科学の研究・教育に携わる多くの方々がいらっしゃいます。研究は基礎から応用まで、その研究分野は生物学から化学まで、また、研究対象は微生物から哺乳類までと多種多岐に渡っています。そのため、なかなか一つの話題を話し合うことが出来ないのが現状です。しかしながら、生命科学を研究する上で、共通の話題・問題があると思います。そこで、生命科学研究を指向する方々のネットワーク作りを目的として、生命科学懇話会を発足させることにしました(96/05/24 河田雅圭・近江谷克裕)。
第31回生命科学若手セミナー | |
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日 時 | 2008年12月12日(金) 17:00〜18:30 |
会 場 |
静岡大学理学部B棟202室 (静岡市駿河区大谷836,アクセス情報) |
演 者 1 |
静岡大学理学部生物科学科 徳岡 徹 先生 |
演 題 1 |
『被子植物:キントラノオ目の系統とその花や果実の形態形質の進化』
被子植物の分類システムにDNAの塩基配列のような分子生物学的なデータが導入されるようになって20年弱が経った。その間に形態中心の分類システムは大きく変革され、新たな高次分類群が定義されてきた。その一つであるキントラノオ目は29科700属あまりからなる大きな分類群である。この目にはトウダイグサ科やイイギリ科などの分類の困難な(科の中で非常に形態的多様性が高い)科やスミレ科、ヒルギ科、オトギリソウ科などこれまでの分類システムでは全く関係の無かった科がひとまとめに含まれている。 演者はこれまでキントラノオ目内における科間の系統関係とその中のトウダイグサ科における属間関係を明らかにするための系統解析を行ってきた。これらの結果を報告する。同時に、演者は花や果実の解剖学的研究をトウダイグサ科を中心に行ってきた。花や果実の解剖学的形質は保存的であると考えられており、高次分類群間の系統分類を考える上で非常に重要である可能性がある。 |
演 者 2 |
静岡大学農学部環境森林科学科 楢本 正明 先生 |
演 題 2 |
『光環境変化に対する光合成の応答 -光合成反応及び順化について-』
植物の生育・成長において光合成は重要であり、光合成は様々な環境要因によって影響を受ける。森林では、垂直的・水平的に多様な光環境が存在し、また間伐等の施業により光環境を制御することが可能である。そのため、光環境に対する光合成の応答を理解することは重要である。ブナ林床を対象に行った研究から、日変化レベルで起こる光合成の反応と、光合成順化過程に関する研究について紹介する |
問合先 |
静岡大学理学部生物科学科
TEL: 054-238-4774
静岡大学農学部環境森林科学科 TEL: 054-238-3020 [主催: 静岡生命科学若手フォーラム ] |
第30回生命科学若手セミナー | |
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日 時 | 2008年11月5日(水)17:00〜18:30 |
会 場 |
静岡大学大学会館2階研修室(生協トラベルセンター横) (静岡市駿河区大谷836,アクセス情報) |
演 者 1 |
静岡大学農学部応用生物化学科 加藤 竜也 先生 |
演 題 1 |
『昆虫および昆虫細胞を用いた組換えタンパク質の生産について』
現在までに多くの生物のゲノム情報が解読され、ポストゲノム研究として遺伝子産物であるタンパク質の解析がますます重要になってきている。特に多くの高等生物由来のタンパク質は活性を持つために翻訳後修飾が必要であり、動物細胞と類似したタンパク質修飾能を有する昆虫細胞を用いた組換えタンパク質生産が広く用いられている。セミナーでは、本研究室で行ってきた昆虫細胞を用いた効率的なタンパク質生産を紹介するとともに、昆虫そのもの(カイコ幼虫)を用いたタンパク質生産についても紹介したいと思います。 |
演 者 2 |
静岡大学理学部地球科学科 宗林 留美 先生 |
演 題 2 |
『海と微生物と微量金属:この三本の矢が大気の二酸化炭素を減らす?増やす?』
近年、海水に鉄を散布して植物プランクトンの光合成による有機物生産を高め、生産された有機物を海洋深部に輸送させることで、大気中の二酸化炭素を海洋に隔離しようとする試みが盛んに行われています。これに対し、演者は、従属栄養微生物による有機物分解が亜鉛やマンガンにより促進され、海洋深部への有機物輸送効率が低下する可能性があることを見出しました。また、演者は、亜鉛などの複数の微量金属が同時に作用することで植物プランクトンの暗所耐性の向上に寄与し得ることを発見しました。これらの知見は、海水中の微量金属が海洋の炭素貯蔵能力にもたらす効果が、微量金属が作用する生物の種類や深度により異なり、これまで想像されていた以上に複雑であることを示唆しています。是非、様々な分野から御助言をいただき、今後の研究や共同研究のきっかけができたらと願っています。 |
問合先 |
静岡大学農学部応用生物化学科
TEL: 054-238-4937
静岡大学理学部地球科学科 TEL: 054-238-4934 [主催: 静岡生命科学若手フォーラム ] |
第29回生命科学若手フォーラム特別セミナー | |
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日 時 | 2008年11月4日(火)16:00〜17:30 |
会 場 |
静岡大学農学部B棟210教室 (静岡市駿河区大谷836,アクセス情報) |
演 者 |
岐阜大学応用生物科学部 安部 淳 先生 |
演 題 |
『極端な雌偏向性比を示す寄生バチ Melittobia』
雄と雌の子をどのような割合で産むべきかという性比調節の研究は、進化生物学や応用生物学において、とても興味深いテーマである。単独性の狩りバチやハナバチの寄生バチであるMelittobia(ヒメコバチ科)は、極端な雌偏向性比(雄率1~5%)を示すことが知られている。この極端な性比は、産卵する母親にとって何らかの利益をもたらすため進化してきたと考えられるが、既存の理論ではこの性比を説明することができない。そこで、新たな仮説として、雄間闘争の効果について考えた。本属の雄成虫は羽化後殺し合いの闘争を行うが、この闘争で遅れて羽化する雄は圧倒的に殺されやすいことがわかった。このため、母バチは殺されやすい後から羽化する雄を産むのを避け、雌偏向性比で産んでいると考えられる。雄間闘争の効果を組み込んだ数理的モデルについても紹介し、Melittobia がこのような極端な雌偏向性比を示す理由を考察する。 |
問合先 | 静岡大学農学部共生バイオサイエンス学科 TEL: 054-238-4825 |
第28回生命科学若手セミナー | |
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日 時 | 2008年10月27日(月)16:30〜18:00 |
会 場 |
静岡大学大学会館2階研修室(生協トラベルセンター横) (静岡市駿河区大谷836,アクセス情報) |
演 者 1 |
東海大学短期大学部食物栄養学科 本間 智寛 先生 |
演 題 1 |
『イソギンチャクのペプチド毒およびその前駆体の構造解析』
刺胞動物イソギンチャクは代表的な海洋刺毒動物で、刺胞と呼ばれる特殊な毒器官を触手や本体に無数に持ち、その中に含まれる毒成分を利用して餌動物である魚やカニなどを麻痺させ捕食している。イソギンチャク毒は20 kDaの溶血毒、3-5 kDaのNaチャネル毒および3.5-6.5 kDaのKチャネル毒に大別されるが、Naチャネル毒とKチャネル毒はその特異な作用機構から、一部はすでにイオンチャネル研究のための貴重な薬理学的試薬として有効利用されている。その一方で、演者らは、既知のイソギンチャク毒とはまったく異なる一次構造をした新規ペプチド毒を数多く単離し、イソギンチャクには新規ペプチド毒が広く分布することを明らかにしてきた。こうした背景のもとに、イソギンチャクを海洋生化学資源としてさらに有効利用することを目的として、各種イソギンチャクからサワガニに対する致死活性および麻痺活性を指標にして新規ペプチド毒を単離し、その構造解析を行っている。最新の知見を踏まえて、これまでの研究成果について発表する。 |
演 者 2 |
静岡理工科大学総合情報学部 奥村 哲 先生 |
演 題 2 |
『ジュウシマツNIf核へのムシモール刺激は「歌文法」を修飾する』
鳴禽類の雄は雌にむかってさえずる。なかでもジュウシマツの歌は特に複雑な音の並びをもつ。われわれはその音素列の生成規則(歌文法)が脳でどのようにつくられているのか? を研究してきた。先行研究の結果から、歌神経核の中でNIf核とHVC核間のネットワークによって歌文法が生成されることを仮定した。そこで、その上流側(NIf)の神経活動を薬物によって変化させることによって、歌文法にどのような影響が生じるかを、マイクロダイアリシス法を用いて検討した。実験ではNIf核の近傍をGABAアゴニストであるmuscimol で潅流した。その結果、NIf核の抑制は、音素間の遷移パターンや系列のエントロピーを変化させることを観察し、この変化は時間の経過とともに回復可能であることを確認した。さらにこの系に関する知見を反映させたニューラルネットワークモデル作成し、どのようなパラメータが、本実験で得られたような文法の変化を再現するかを検討した。当日は、時間が許す限り会場と対話し、歌鳥の脳科学の面白さを紹介したい。 |
問合先 |
東海大学短期大学部食物栄養学科
TEL: 054-261-6321 内線3253
静岡理工科大学総合情報学部 TEL: 0538-45-0210 [主催: 静岡生命科学若手フォーラム ] |
第165回 静岡ライフサイエンスセミナー | |
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日 時 | 2008年10月24日(金)15:00-16:00 |
会 場 |
静岡大学農学部B棟201室 (静岡市駿河区大谷836,アクセス情報 |
演 者 |
信州大学大学院医学系研究科 中山 淳 先生 |
演 題 |
『ピロリ菌感染胃粘膜におけるO-グリカンの役割』
※この講演は,大学院講義「生化学特論」の一部とします。受講者は必ず出席すること。 |
問合先 | 054-238-4872 |
東海コンファレンス 2008 in 静岡 - 医用・生命科学の材料 - (ポスター) | |
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日 時 | 2008年10月24日(金) 10:00〜17:05 |
会 場 |
静岡大学浜松キャンパス 佐鳴会館会議室 及び 佐鳴会館ホール(静岡県浜松市中区城北3-5-1) (アクセス情報, キャンパスマップ) |
参加費 |
主催・共催・協賛・後援団体等関係者 3,000円、一般 5,000円、 学生 無料 |
プログラム | |
10:00
-10:10 |
開会挨拶 稲垣 都士(日本化学会東海支部長) |
10:10
-11:00 |
間賀田 泰寛(浜松医科大学) 「RIトレーサー技術による生体イメージングへのアプローチ」 |
11:00
-11:50 |
佐藤 雅之(静岡県立大学) 「1,3-ジオキシン-4-オン誘導体の有機合成への利用研究」 |
12:50
-13:10 |
木村 元彦(静岡大学) 「ナノファイバを用いた医療用Scaffold材料の作成条件」 |
13:10
-13:40 |
山下 光司(静岡大学) 「がんの撲滅を目指す医用材料」 |
13:40
-14:10 |
富川 宗博(バイオロイス株式会社) 「バイオ資源保存・運搬容器NIGカードおよびROISパックの開発と医用・生命科学の材料開発への応用」 |
14:10
-14:40 |
難波 康治(株式会社ビーエル) 「ナノテクノロジーを利用した診断薬材料」 |
14:40
-15:10 |
畠 賢一郎(株式会社ジャパン・ティッシュ・エンジニアリング) 「再生医療の現状と将来展望 −皮膚再生医療の産業化を通じて−」 |
15:20
-16:10 |
酒井 康行(東京大学大学院) 「埋め込み型肝組織再構築のための担体デザイン・三次元造形・前駆細胞育成」 |
16:10
-17:00 |
大西 一功(浜松医科大学) 「がんの分子標的治療薬の進歩 −臨床の立場から−」 |
17:00
-17:05 |
閉会挨拶 山下 光司(実行委員長) |
懇親会 |
一般 3,000円、学生 1,000円 (参加費・懇親会とも会費は当日会場にて受付けます。) |
申込方法 |
以下のホームページの申込ページから申込み、募集人数(150名)になり次第募集を終了します。
東海コンファレンス 2008 in 静岡 ホームページ http://www.ipc.shizuoka.ac.jp/~dtokai-c/ |
申込締切 | 2008年10月17日(金)※延長されました※ |
問合せ ・申込先 |
「東海コンファレンス 2008 in 静岡」 実行委員会 〒432-8561 浜松市中区城北3-5-1 静岡大学創造科学技術大学院 TEL/FAX:053-478-1144 |
第164回 静岡ライフサイエンスセミナー | |
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日 時 | 2008年10月17日(金)15:30-17:00 |
会 場 |
静岡大学農学部B棟201室 (静岡市駿河区大谷836,アクセス情報 |
演 者 |
東京農工大学大学院 夏目 雅裕 先生 |
演 題 |
『放線菌の生活環制御物質 -気菌糸形成,二次代謝産物生産,胞子発芽-』
微生物や植物の生長・分化や生物間の相互 作用には、遺伝子や酵素などの高分子とともに、低分子の調節物質が重要な役割を果たしています。我々は、放線菌の生活環制御物質や植物病原放線菌の生産する植物毒素などについて研究を行っています。今回は、放線菌の二次代謝産物生産とも密接に関係している気菌糸の分化誘導物質と、胞子に含まれている自己発芽阻害物質について、ご紹介します。 ※この講演は,大学院講義「生化学特論」の一部とします。受講者は必ず出席すること。 |
問合先 | 054-238-4885 |
第163回 静岡ライフサイエンスセミナー | |
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日 時 | 2008年9月30日(火)15:00-16:00 |
会 場 |
静岡大学共通教育P棟1階P101室 (静岡市駿河区大谷836,アクセス情報,静岡キャンパス建物配置図) |
演 者 |
静岡県立大学大学院生活健康科学研究科 丹羽 康夫 先生 |
演 題 |
『静岡県特産の農産物を科学する』
昨年度、共同研究員として静岡県農林技術研究所(旧静岡県農業試験場)にて実施した研究成果の中から、「追熟温度による温室メロンの香気成分の変動」「徳川家康ゆかりの折戸ナスの系統解析」「被覆栽培による茶葉緑化のメカニズム」について紹介する。 |
問合先 | 054-238-7069 |
第162回 静岡ライフサイエンスセミナー | |
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日 時 | 2008年9月26日(金)16:00-17:00 |
会 場 |
静岡大学共通教育A棟2階A202室 (★教室変更★) (静岡市駿河区大谷836,アクセス情報,静岡キャンパス建物配置図) |
演 者 |
名古屋大学大学院理学研究科 澤田 均 先生 |
演 題 |
『原索動物ホヤ類の受精機構:アロ認識機構と精子プロテアーゼの機能を中心として』
原索動物ホヤ類は雌雄同体で、精子と卵を同時に放出するが、マボヤやカタユウレイボヤなど多くの種において、自家受精がおこらないようになっている。高等植物の自家不和合性(自家不稔)に関する研究は進んでいるが、獲得免疫系をもたない下等動物におけるアロ認識機構(自家不稔機構)に関する研究は緒についたばかりである。我々は、マボヤを用いた生化学的解析により、卵黄膜上のアロ認識候補分子HrVC70を同定しているが(PNAS 101, 15615 (2004))、最近、カタユウレイボヤを用いた分子遺伝学的解析により、『テミス』と名付けた新規分子が非常に多型に富み、自己非自己識別に関わるらしいという知見を得た(Science 320, 548 (2008))。 一方、精子が卵黄膜上で自己非自己識別を行い、非自己と認識されると、精子由来の新しい細胞外ユビキチンープロテアソーム系が活性化され、卵黄膜に精子通過口を開けるライシンとして機能しているらしいとい知見も得られつつある(PNAS 99, 1223 (2002))。 今回は、ホヤ類の受精機構に関して、主にそのアロ認識機構と精子プロテアーゼの機能を中心に、概説する。 |
問合先 | 054-238-4775 |
静岡大学大学院農学研究科応用生物化学特別講義II (単位に関係ない学生や先生方の出席も可能) | |
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日 時 | 2008年9月24日(水)13:00〜 ;
2008年9月25日(木)09:00〜 (★曜日訂正★) |
会 場 |
静岡大学農学部B棟205室 (静岡市駿河区大谷836,アクセス情報) |
演 者 |
お茶の水女子大学大学院人間文化創造科学研究科 久保田 紀久枝 先生 |
演 題 |
『食品フレーバーの科学』
ヒトは生きるために食べ物を摂取するとともに、おいしさを楽しんでいる。食物を口に入れ、咀嚼する間に味、舌触りを感じ、同時ににおい成分がのどから鼻腔に抜ける。われわれは、味、舌触り、におい、それぞれを区別することなく一体化した感覚として認識している。この総合感覚を食品の分野では“フレーバー”とよぶ。 本講義では、食品のフレーバーを決める重要な因子のひとつである食品のにおいについて、1)食品のにおいを認識する仕組み、2)食品のにおいと味、3)においを構成する化学成分の特性、3)いろいろな食品のにおい、4)食品のにおい成分の機能性についてを中心に今までに知られている知見を紹介する。 |
問合先 | 静岡大学農学部応用生物化学科 衛藤 英男 TEL 054-238-4884 |
第2回 統合バイオサイエンス研究フォーラム | |
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日 時 | 2008年 9月24日(水) 13:30〜17:00 |
会 場 |
静岡大学 共通教育A棟301室(静岡キャンパス) 静岡大学 創造大学院棟4階会議室(浜松キャンパス) (静岡市駿河区大谷836,アクセス情報) |
テーマ | 「かたちの統合生物学」の発展へ向けて |
プログラム | 13:30
-13:45 |
田中滋康 先生(バイオサイエンス専攻) 提案:「かたちの統合生物学」を基盤に静岡地区バイオサイエンス研究を統合する |
13:45
-14:40 |
小谷真也 先生 (バイオサイエンス専攻) 放線菌の気菌糸誘導物質 放線菌は土壌に住むグラム陽性細菌であり、ストレプトマイシンに代表される抗生物質を産生することで人間にとって非常に重要な微生物である。それでは、なぜ放線菌は抗生物質を作るのか?最近の研究で、抗生物質ランチビオティック様物質が形態分化を促進することが明らかとなった。この結果は、ある種の抗生物質が、もともとは自己制御物質として使われていた可能性を示唆する。微生物学に興味のある研究者、学生の聴講を歓迎します。 |
14:40
-15:15 |
木下朋美 氏(渡辺研究室 D3) 放線菌の気菌糸誘導物質 放線菌は土壌に住むグラム陽性細菌であり、ストレプトマイシンに代表される抗生物質を産生することで人間にとって非常に重要な微生物である。それでは、なぜ放線菌は抗生物質を作るのか?最近の研究で、抗生物質ランチビオティック様物質が形態分化を促進することが明らかとなった。この結果は、ある種の抗生物質が、もともとは自己制御物質として使われていた可能性を示唆する。微生物学に興味のある研究者、学生の聴講を歓迎します。 |
15:15
-15:50 |
崔 宰熏 氏(河岸研究室 D3) コムラサキシメジ(Lepista sordida)とシバ共存に関する化学的解明 ゴルフ場などのシバが環状に繁茂したのち枯れ、そのあとにキノコが発生することがあり、“フェアリーリング病”と言われている。このことから、この菌が植物の成長調節する物質またシバがキノコの発生に関わる物質を産生する可能性を示唆している。このことから、本研究ではコムラサキシメジの培養液からシバがス産生するキノコ成長調節物質を探索することを目的とした。 |
15:50
-16:25 |
杉本貴志 氏(朴 研究室 D2) 糸状菌Ashbya gossypiiのリボフラビン生産性の改善に対する遺伝子工学的戦略 Ashbya gossypiiは未精製の油脂を唯一炭素源として産業スケールのリボフラビン生産を行う有用微生物である。本研究室は食用油の精製段階で廃棄される未精製油脂を含む廃白土からの効率的なリボフラビン生産を目指してきたが、その生産収率は未だ不十分である。近年、生産性の改善に遺伝子工学技術を利用し、リボフラビン生合成に関与する鍵酵素の同定などを行ってきた。本発表ではその成果の一部と今後の展開について示す。 Ashbya gossypii is widely used for industrial riboflavin production from crude oils, e.g. soybean oil as a sole carbon source. We have been studying the effective production from waste activated bleaching earth (wABE) containing crude oils in A.gossypii, however, the productivity is still not enough. Recently, we introduced genetic engineering strategy to improve the productivity. In this presentation, some results and future visions such as identification of key enzymes for riboflavin biosynthesis will be shown. |
16:25
-17:00 |
尾串雄次 氏 (田中研究室 D2) 無尾両生類の水代謝に関わる水チャネル、アクアポリンの調節機構 カエル類の下腹部皮膚と膀胱には、ホルモン依存性のアクアポリン(AQP) が発現し、水代謝を調節している。本研究では、カエル腎臓において同様に発現するAQPを新たにクローニングし、その機能を解明した。また、カエルは多様な水環境に適応しているが、水中棲ツメガエルの下腹部皮膚型AQPの発現調節が特異的であることを発表したい。 |
問合先 | 静岡大学創造科学技術大学院・統合バイオサイエンス部門 TEL 054-238-4770 |
第27回 静岡生命科学若手フォーラム特別セミナー | |
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日 時 | 2008年 9月19日(金) 16:00〜18:00 (18:10より懇親会) |
会 場 |
静岡県立大学食品栄養科学部棟1階5112教室(★教室変更★) (静岡市駿河区谷田52-1,アクセス情報) |
プログラム | |
16:00
-16:05 |
開会の辞 河原崎 泰昌(静岡県立大学・食品栄養科学部) |
16:05
-16:35 |
「リジン残基の酸化的脱アミノ化によるタンパク質の架橋化反応」 演者 赤川 貢(大阪府立大学院・生命環境科学研究科) 座長 石井 剛志(静岡県立大学・食品栄養科学部) |
16:35
-17:05 |
「がん予防食品因子ベンジルイソチオシアネートによる細胞増殖抑制メカニズム」 演者 三好 規之(静岡県立大学・食品栄養科学部) 座長 榊原 啓之(静岡県立大学大学院・環境科学研究所) |
17:05
-17:10 |
「静岡県立大学「創友会」について」 演者 鈴木 拓史(静岡県立大学大学院・博士後期課程3年) |
17:10
-17:25 |
「新規酵母レポーター遺伝子の開発とその利用」 演者 神谷 拓摩(静岡県立大学大学院・博士後期課程2年) 座長 森 大気 (静岡県立大学大学院・博士後期課程2年) |
17:25
-17:55 |
「ナノ物質の遺伝毒性」 演者 増田 修一(静岡県立大学・食品栄養科学部) 座長 伊藤 創平(静岡県立大学大学院・生活健康科学研究科) |
17:55
-18:00 |
閉会の辞 黒田 裕樹(静岡大学・教育学部) |
18:10
〜 |
懇親会 参加費:教職員\1500-2000程度,学生無料(予定) |
問合先 |
静岡県立大学食品栄養科学部
054-264-5525
静岡大学教育学部 054-238-4304 (静岡生命科学若手フォーラム代表) |
第161回 静岡ライフサイエンスセミナー | |
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日 時 | 2008年9月19日(金)15:30-17:00(★日時改訂★) |
会 場 |
静岡大学共通教育P棟1階P101室 (静岡市駿河区大谷836,アクセス情報,静岡キャンパス建物配置図) |
演 者 |
自然科学研究機構 岡崎統合バイオサイエンスセンター 井口 泰泉 先生 |
演 題 |
『オオミジンコの性について』
岡崎の私の研究室では、マウスを用いて女性ホルモンが引き起こす生殖器官の腫瘍化の機構、各種の動物を用いたエストロゲン受容体の進化、アメリカワニの温度依存性性決定機構、オオミジンコの性決定機構などの研究を行っています。 化学物質の毒性や水質検査の標準の生物試験に用いられているオオミジンコは単為生殖で、メスがメスを生んで増えます。生まれたばかりの仔虫を1匹、50mlの容器に入れ、3週間の間の総産仔数をもって、化学物質の影響および水質を判断しています。長期間、世界標準の試験法として用いられていたにも関わらず、ミジンコは生物学的な知見が十分ではありません。オオミジンコの遺伝子断片を整理し、マイクロアレイを作成しています。また、特定の物質の暴露により、オスの仔を生むようになることを見出しましたので、オオミジンコをオスにする遺伝子の探索をしています。 研究室で行っている研究の概要と、オオミジンコの性に関してお話します。 |
問合先 | 054-238-4777 |
機器分析センター・セミナー | |
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日 時 | 2008年 9月18日(木) 10:30〜12:00 |
会 場 |
静岡大学農学部B棟201室 (静岡市駿河区大谷836,アクセス情報) |
演 者 |
静岡大学理学部物理学科 岡 俊彦 先生 |
演 題 |
『時分割X線回折を用いた膜タンパク質バクテリオロドプシンの研究』
高度好塩菌の細胞膜上に存在するバクテリオロドプシン(BR)は一分子で光を吸収し水素イオンを細胞外に輸送するタンパク質である。BRは大量に発現され細胞膜上で紫膜とよばれる2次元結晶を構成する。この紫膜を用いて時分割X線回折実験を行うことにより、BRを構成する7本のαヘリックスの光反応中での配置の変化を調べた。 光反応の中心となるBRの発色団レチナールのシッフ塩基が、プロトンをAsp96から受け取るM中間体からN中間体への遷移過程を調べるために、時間分解能が数十ミリ秒のX線回折実験を行った[1]。この結果、M中間体からN中間体への遷移過程で構造変化が起こっていることが分った。これらにより水素イオン輸送チャネルへの水分子の取り込みが示唆された。さらに速い時間領域での測定を行うために、大型放射光施設SPring8のBL40XUで6μsの時間分解能を持つ回折および小角散乱のシステムを立ち上げた。このシステムを用いて、BRの光反応中間体Mが2状態に別れて、構造変化が小さい状態から大きい状態へと変化することを明らかにした[2]。 [1] Oka et al., (2000) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 97, 14278-14282.; Oka et al., (2002) Biophys. J. 82. 2610-2616. [2] Oka et al., (2005) Biophys. J., 88, 436-442. |
問合先 | 静岡大学創造科学技術大学院・統合バイオサイエンス部門 TEL 054-238-4741 |
第160回 静岡ライフサイエンスセミナー | |
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日 時 | 2008年9月16日(火)16:35-17:35 |
会 場 |
静岡大学共通教育A棟4階A404室 (★教室変更★) (静岡市駿河区大谷836,アクセス情報,静岡キャンパス建物配置図) |
演 者 |
静岡県立大学 薬学部 免疫微生物学分野 川島 博人 先生 |
演 題 |
『リンパ球ホーミングにおける硫酸化糖鎖の役割』
血流に乗って体内を循環するリンパ球は、高内皮細静脈(high endothelial venule, HEV)と呼ばれる丈の高い特殊な形態をした血管からリンパ節内に移行する。この現象はリンパ球ホーミングと呼ばれ、リンパ球が抗原の蓄積するリンパ節内で異物と反応し、免疫応答を行うために必須である。リンパ球とHEVの相互作用には、リンパ球上のL-セレクチンと呼ばれるC型レクチンとHEV上の硫酸化糖鎖の結合が関与する。 我々は、HEV特異的硫酸基転移酵素GlcNAc6ST-2および種々の組織に広範に発現する硫酸基転移酵素GlcNAc6ST-1の両者を欠損するダブルノックアウトマウスを用いて、HEV上に発現する硫酸化糖鎖のリンパ球ホーミングにおける機能の解析を行った。その結果、6-スルホシアリルルイスXと呼ばれる硫酸化糖鎖が、リンパ球ホーミングおよび接触性皮膚炎における抗原感作の過程に主要な役割を果たすことを明らかにした(J. Biol. Chem. 279:3058-3067, 2004; Nature Immunology, 6:1096-1104, 2005)。 また最近我々は、鼻腔を介して侵入した外来抗原に対する免疫の最前線として機能する鼻咽頭関連リンパ組織(NALT)へのリンパ球ホーミングにも硫酸化糖鎖が主要な役割を果たし、その機能抑制により、経鼻的に侵入する抗原に対する生体のアレルギー反応を抑制できることを明らかにしている。 本講演では、リンパ球ホーミングの免疫系における意義について解説するとともに、我々の最近の研究結果についても紹介したい。 |
問合先 | 054-238-4773 |
機器分析センター・セミナー | |
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日 時 | 2008年 8月5日(火) 14:00〜15:30 |
会 場 |
静岡大学農学部B棟201室 (静岡市駿河区大谷836,アクセス情報) |
演 者 |
Deputy Director, Centre for Cellular & Molecular Biology, Hyderabad, India Prof. Amitabha Chattopadhyay |
演 題 |
『Organization and Dynamics of Membranes and Proteins using the Wavelength-Selective Fluorescence Approach』 Wavelength-selective fluorescence comprises a set of approaches based on the red edge effect in fluorescence spectroscopy which can be used to directly monitor the environment and dynamics around a fluorophore in a complex biological system. A shift in the wavelength of maximum fluorescence emission toward higher wavelengths, caused by a shift in the excitation wavelength toward the red edge of absorption band, is termed red edge excitation shift (REES).1-3 This effect is mostly observed with polar fluorophores in motionally restricted media such as very viscous solutions or condensed phases where the dipolar relaxation time for the solvent shell around a fluorophore is comparable to or longer than its fluorescence lifetime. REES arises from slow rates of solvent relaxation (reorientation) around an excited state fluorophore which is a function of the motional restriction imposed on the solvent molecules in the immediate vicinity of the fluorophore. Utilizing this approach, it becomes possible to probe the mobility parameters of the environment itself (which is represented by the relaxing solvent molecules) using the fluorophore merely as a reporter group. Further, since the ubiquitous solvent for biological systems is water, the information obtained in such cases will come from the otherwise 'optically silent' water molecules. This makes REES and related techniques extremely useful since hydration plays a crucial modulatory role in a large number of important cellular events, including lipid-protein interactions and ion transport. The application of REES and related techniques (wavelength-selective fluorescence approach) as a powerful tool to monitor organization and dynamics of cytoskeletal proteins such as spectrin, and of probes and peptides bound to membranes, micelles, and reverse micelles will be the focus of the talk. 1. Demchenko, A.P. (2002) Luminescence 17: 19-42. 2 Chattopadhyay, A. (2003) Chem. Phys. Lipids 122: 3-17. 3. Raghuraman, H., Kelkar, D.A., and Chattopadhyay, A. (2005) In Reviews in Fluorescence 2005. Vol. 2. Geddes, C.D., and Lakowicz, J.R., Eds., pp. 199-222, Springer, New York. |
問合先 | 静岡大学創造科学技術大学院・統合バイオサイエンス部門 TEL 054-238-4741 |
第159回 静岡ライフサイエンスセミナー | |
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日 時 | 2008年3月14日(金)15:00-17:00 |
会 場 |
静岡大学農学部B棟201室 (静岡市駿河区大谷836,アクセス情報) |
演 者 |
独立行政法人 農業・食品産業技術総合研究機構 食品総合研究所 越智 幸三 先生 |
演 題 |
『「希土類生物学」の構築と産業利用の可能性を探る』
スカンジウムを始めとする希土類元素は、以前からハイテク工業素材として重視されてきたが、反面、生命科学における研究例は皆無であった。ごく最近応募者は、希土類元素が微生物の二次代謝能(抗生物質生産)を劇的に増大させる事実を発見した。このことは、これまで見過ごされてきた希土類元素の生命科学における重要性を強く暗示するものであり、もしそうであれば、微生物利用学、植物育種学、動物栄養学に全く新しい研究分野を提示することとなる。すなわち、「希土類生命科学」なる新たな学問分野を拓くことが可能であり、基礎・応用いづれにおいても、そのメリットは莫大なものがある。 |
問合先 |
第9回 静岡大学ライフサイエンスシンポジウム (平成19年度科学交流フォーラム) <共に生きる?ー生物の共生メカニズムから知る生き残り戦略ー> (ポスター) --> | |
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日 時 | 2008年3月5日(水) |
会 場 | 静岡大学大学会館ホール (静岡市駿河区大谷836,アクセス情報) |
ポスター |
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問合先 |
主 催 : 静岡生命科学若手フォーラム(静岡大学・静岡県立大学・浜松医科大学) /平成19年度大学ネットワーク静岡/静岡県 世話人: 静岡大学 |
新妻信明教授 最終講義 | |
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日 時 | 2008年2月29日(金)14:00-15:30 |
会 場 | 静岡大学理学部B棟202室 (静岡市大谷836,アクセス情報) |
演 者 |
静岡大学理学部地球科学科 教授 新妻信明 先生 |
演 題 |
『静岡大学とプレートテクトニクス』
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問合先 |
入川肇教授 最終講義 | |
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日 時 | 2008年2月28日(木)13:30-14:30 |
会 場 | 静岡大学理学部B棟202室 (静岡市大谷836,アクセス情報) |
演 者 |
静岡大学理学部化学科 教授 入川肇 先生 |
演 題 |
『有機化学に係って44年』
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問合先 |