【生命科学懇話会発足のお知らせ】 静岡大学東部キャンパスには生命科学の研究・教育に携わる多くの方々がおります。 研究は基礎から応用まで、その研究分野は生物学から化学まで、また、研究対象は微 生物から哺乳類までと多種多岐に渡っています。 そのため、なかなか一つの話題を 話し合うことが出来ないのが現状です。 しかしながら、生命科学を研究する上で、 共通の話題・問題があると思います。 そこで、生命科学研究を指向する方々のネッ トワーク作りを目的として、生命科学懇話会を発足させることにしました(96/05/24)。 世話人 河田雅圭@教育・生物(内4561) 近江谷克裕@教育・化学(内4554) 98/08/30現在の世話人 近江谷克裕@教育・化学(内4554) 山内清志@理・生物(内5708) 竹内浩昭@理・生物(内5704) 天野豊己@理・生物(内5718)
第22回 生命科学懇話会セミナー | |
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日 時 | 1999年02月09日(火)午後1時30分〜2時30分 |
会 場 | 静岡大学理学部B棟2階B202室 |
演 者 |
静岡大学 理学部 生物地球環境科学科 教授 太田 吉彦 先生 |
演 題 |
『月とスッポンを比較する?』(最終講義) これまで電子顕微鏡を主要な手法として、比較形態学的な観点から脊椎動物の視床下部−脳下垂体−神経分泌系を中心とした研究を行なってきた。 視床下部は生体の機能調節に関する極めて重要な間脳の一部域であり、自律神経の中枢であるとともに脳下垂体の機能を調節している中枢である。視床下部の中でも正中隆起の微細構造をいろいろな動物で解析し、この部位に終末する神経分泌系の神経軸索内に存在する分泌顆粒に含まれている「情報物質」の血管系に対する伝達機構について考察を行なった。また、脳下垂体前葉や隆起部について免疫組織化学的解析を行なった。 |
連絡先 |
「生命科学懇話会」世話人 近江谷克裕@教育・化学(内4554) 山内清志@理・生物(内5708) 竹内浩昭@理・生物(内5704) 天野豊己@理・生物(内5718) |
第23回 静岡ライフサイエンスセミナー | |
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日 時 | 1999年05月21日(金)午後4時〜5時 |
会 場 | 静岡大学理学部B棟2階B212室 |
演 者 |
Dept. of Biol.Sci., Univ. of Nevada, Las Vegas, USA Prof. Stanley D. Hillyard |
演 題 |
『Water absorption behavior in the desert toads: behavioral and physiological study』 (砂漠性ヒキガエルにおける水分吸収の行動生理学的研究) 多くの動物は生存に必須の水分を口から摂取するが、カエルは口からではなく皮膚から水分を吸収することが知られている。特に、砂漠など乾燥地に棲息するヒキガエルでは、腹部を水源に押しつけて水分を吸収しようとする積極的な飲水行動が観察される。この時、水源が塩類を含む高張液である場合、直ちに飲水行動を停止し、逃避行動を示すという。即ち、ヒキガエルの皮膚は体液の水分やミネラルの恒常性を保つだけでなく、塩類に対する化学感受性をもっていることが、最近明らかになって来た。 Dr. Hillyard は学術振興会の日米科学協力事業の一環として、来日されるので、アメリカ産のヒキガエルの水分吸収行動、水分吸収がアンギオテンシンIIなどのホルモンの影響下にあること、また皮膚を介したイオン輸送などを解説していただく。さらに、皮膚の化学受容作用にはアミロライド感受性ナトリウムチャネルが関与すること、受容された化学刺激の情報は皮膚を支配する脊髄神経を介して脳へ伝えられることなどの最近の共同研究の成果にもふれていただく予定です(文責:竹内)。 cf. 研究会『極限状況における生存の戦略 - 砂漠の両生類と水 -』99/05/18 |
連絡先 |
(招聘者:竹内浩昭@理・生物(内5704))
「生命科学懇話会」世話人 近江谷克裕@教育・化学(内4554) 山内清志@理・生物(内5708) 竹内浩昭@理・生物(内5704) 天野豊己@理・生物(内5718) |
1999年度 静岡大学 理学部 講演会 第24回 静岡ライフサイエンスセミナー | |
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日 時 | 1999年06月10日(木)午後3時〜5時 |
会 場 | 静岡大学理学部B棟2階B202室 |
演 者 |
滋賀県立大学 学長 日高 敏隆 先生 |
演 題 |
『動物行動学 - 歴史と現在 -』 動物行動学(ethology)とは、動物の行動を研究する生物学の一分野。単に記載や生態学的 研究に限られるものではなく、行動の総合的理解を目指すものである。 動物行動学の基礎はK.Z.ローレンツとN.ティンバーゲンによって確立された。ティンバーゲンは、動物行動学の研究分野として因果関係、発達、生存価、進化の四つをあげている。 現在は、行動の神経生理学的側面を研究する神経行動学と自然淘汰による適応的進化の結果として行動を理解しようとする行動生態学あるいは社会生物学が発展してきている。 cf. 理学部講演会のお知らせ |
連絡先 | 招聘者:増澤武弘@理・生物(内5702) |
第25回 静岡ライフサイエンスセミナー | |
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日 時 | 1999年06月16日(金)午後1時30分〜2時30分 |
会 場 | 静岡大学理学部B棟2階B212室 |
演 者 |
岡崎国立共同研究機構 生理学研究所 教授 井本 敬二 先生 |
演 題 |
『カルシウムチャネルと小脳失調症』 電位依存性カルシウムチャネルα1Aサブユニットの変異により、小脳失調症などの神経疾患が起きることが最近明らかとなった。しかしチャネルの異常がどのように疾病の発症につながるかは不明である。われわれは小脳失調症マウスの小脳プルキンエ細胞を急性単離しカルシウムチャネルの性質を解析するとともに、変異を導入した組換えカルシウムチャネルを培養細胞に発現させ性質を比較した。これらの結果からカルシウムの流入減少が神経細胞死、小脳萎縮を引き起こすことが示唆された。 |
連絡先 |
(招聘者:石川勝利@理・生物(内8233))
「生命科学懇話会」世話人 近江谷克裕@教育・化学(内4554) 山内清志@理・生物(内5708) 竹内浩昭@理・生物(内5704) 天野豊己@理・生物(内5718) |
第26回 静岡ライフサイエンスセミナー | |
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日 時 | 1999年07月16日(金)午後1時30分〜2時30分 |
会 場 | 静岡大学理学部B棟2階B213室 |
演 者 |
横浜市立大学 木原生物学研究所 教授 宮崎 香 先生 |
演 題 |
『細胞の動きを支える細胞外タンパク質-癌転移機構の解明へ』 高等動物細胞が分泌する多様なタンパク質は外部から細胞機能を調節している。 本セミナーでは、特に癌転移機構に注目して、癌細胞の動きを支えるいくつかの細胞外タンパク質の働きについて紹介する。 これまでの多くの研究によって、癌細胞が組織を移動する際、障害となる基底膜や結合組織を破壊する多様なプロテア−ゼを利用することが明らかになってきた。 また、癌細胞は一部の細胞外マトリックスタンパク質や増殖因子との相互作用により高い運動能を獲得すると考えられる。 これらのタンパク質の作用を知ることは細胞機能の調節機構を知る上で重要であり、またこのような研究に基づき新しい抗転移薬が開発されようとしている。 |
連絡先 |
(招聘者:塩尻信義@理・生物(内5711))
「生命科学懇話会」世話人 近江谷克裕@教育・化学(内4554) 山内清志@理・生物(内5708) 竹内浩昭@理・生物(内5704) 天野豊己@理・生物(内5718) |
第27回 静岡ライフサイエンスセミナー | |
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日 時 | 1999年07月21日(水)午後5時30分〜6時30分 |
会 場 | 静岡大学理学部B棟2階B213室 |
演 者 |
京都大学 霊長類研究所 行動神経研究部門 認知学習分野 助教授 正高 信男 先生 |
演 題 |
『育児文化の創出と人類の攻撃性』 人類はこどもを養育するために、きわめて特徴的な育児スタイルを編み出してきた。 そこには一見、非適応的ともとれる子殺しや、育児放棄ともとれる行動がふくまれる。 子殺しは人類以外の種でもみられるが、ヒトのそれは、他と一概に同一視することはできない。むしろ文化装置のひとつとみるべきと思われる。 ここではそうした制度的枠組みがなぜ創出されたのかを攻撃性との観点から考察する。 |
連絡先 |
(招聘者:竹内浩昭@理・生物(内5704))
「生命科学懇話会」世話人 近江谷克裕@教育・化学(内4554) 山内清志@理・生物(内5708) 竹内浩昭@理・生物(内5704) 天野豊己@理・生物(内5718) |
第28回 静岡ライフサイエンスセミナー | |
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日 時 | 1999年09月22日(水)午後3時〜4時 |
会 場 | 静岡大学理学部B棟2階B212室 |
演 者 |
大阪大学 微生物病研究所 感染動物実験施設 助教授 野崎 正美 先生 |
演 題 |
『精子形成関連遺伝子群の包括的解析』 雄性生殖細胞分化(精子形成)は3つの特異的過程より成り立つ。 すなわち幹細胞として自己増殖しつつ分化する過程、相同染色体対合、組み換えを行う減数分裂過程、きわめて特徴的な半数体細胞の形態変化を伴う精子成熟過程である。 中でも半数体細胞分化は精子細胞特有のものであるが、そのメカニズムは不明である。 我々は半数体精子細胞特異的 cDNA を包括的にクローニングし、遺伝子の機能を探り精子形成メカニズムの一端を明らかにすることを目的として研究を進めてきた。 これまでに半数体細胞を持つ成熟マウス精巣と持たない未成熟マウス精巣を用いた cDNA サブトラクションによって半数体特異的 cDNAを85種類、クローニングした。 現在、これらの遺伝子の構造、発現、機能について解析を行っているので、その経過をお話ししたい。 |
連絡先 |
(招聘者:野口基子@理・生物(内5710))
「生命科学懇話会」世話人 近江谷克裕@教育・化学(内4554) 山内清志@理・生物(内5708) 竹内浩昭@理・生物(内5704) 天野豊己@理・生物(内5718) |
第29回 静岡ライフサイエンスセミナー | |
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日 時 | 1999年09月24日(金)午後3時30分〜4時30分 |
会 場 | 静岡大学理学部B棟2階B212室 |
演 者 |
静岡県立大学 食品栄養科学部 微生物学教室 教授 野沢 竜嗣 先生 |
演 題 |
『食細胞S100蛋白の細胞内分布と生理機能』 細胞内の多彩なプロセスを制御しているカルシウムイオンの作用は,カルシウム結合蛋白を介して実行される。パルブアルブミン,カルモルジュリン,トロポニンCおよびS100蛋白はhelix-loop-helix構造からなるEF-ハンドカルシウム結合モチーフを持つスーパーファミリー蛋白で,カルモジュリンが全組織に普遍的に存在しているのに対し,S100蛋白は組織ごとに異なったファミリーメンバーが分布していて組織特異的な作用を担っていることが予測されている。 S100ファミリー蛋白は分子量8 - 14 kDaの低分子量蛋白で,2つのEF-ハンドモチーフを持つ。 N末端側のモチーフにはS100に特異的な14個アミノ酸からなるカルシウム結合ループがあり,C末端側モチーフは12個アミノ酸ループで,S100メンバーに固有な構造を持つ。 ヒトS100ファミリー蛋白の多くはその遺伝子が染色体1q21に位置していて,S100A1〜A13と統一された名称が付けられている。 その他の染色体に位置するメンバーも3つあり,現在までに少なくとも16種以上の存在が確認されている。 ヒトの好中球や単球にはS100A8とS100A9がヘテロダイマーを形成して,大量に存在している。特 に好中球では全蛋白の数%を構成しており,また単球でも0.1%程度存在する。 関節リューマチなどの膠原病やcystic fibrosisといった慢性炎症性疾患者の血液中には大量のS100A8 - A9 complexが遊離してきている。 フリーのS100A8 - A9 complexはそれ自身殺菌作用があるが,慢性炎症の場合はその大量遊離が炎症病態へどう影響しているのかは不明である。 一方,細胞内のS100A8 - A9についてもその生理的役割は未だ明確ではない。 本研究はS100A8 - A9とアクチンフィラメントとの好中球細胞内での関係についての実験を示し,生理的役割を考察する。 |
連絡先 |
(招聘者:田中滋康@理・生物(内5716))
「生命科学懇話会」世話人 近江谷克裕@教育・化学(内4554) 山内清志@理・生物(内5708) 竹内浩昭@理・生物(内5704) 天野豊己@理・生物(内5718) |
第30回 静岡ライフサイエンスセミナー | |
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日 時 | 1999年11月16日(火)午後2時から |
会 場 | 静岡大学農学部B203室 |
演 者 |
理化学研究所 有機合成化学研究室 研究員 長澤 和夫 先生 |
演 題 |
『生合成経路による海産天然物ピンナトキシンAの合成』 Pinnatoxin Aは沖縄産のタイラ貝の一種イワカワハゴロモガイから単離された新規両性イオン性環状ポリエーテルです。 その構造は7つの小員環を含む20員環の大環状骨格を有しており、この大環状骨格が分子内Diels-Alder反応によって生合成的に形成されているという可能性が、上村大輔先生(当時静岡大学)等のグループによって示唆されました。 そこで我々はこの興味ある生合成経路に沿って分子内Diels-Alder反応を鍵反応とするPinnatoxin Aの合成を計画しました。 今回その全合成を達成した経緯及びPinnatoxin Aの絶対立体配置の決定について述べます。 |
連絡先 |
(招聘者: @農・ (内 ))
「生命科学懇話会」世話人 近江谷克裕@教育・化学(内4554) 山内清志@理・生物(内5708) 竹内浩昭@理・生物(内5704) 天野豊己@理・生物(内5718) |
第31回 静岡ライフサイエンスセミナー | |
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日 時 | 1999年11月26日(金)午後3時30分〜4時30分 |
会 場 | 静岡大学理学部B棟2階B212室 |
演 者 |
静岡大学農学部応用生物化学科 日本学術振興会博士研究員 Hans-Peter Fleischmann 先生 |
演 題 |
『動植物起源のカロテノイド分解酵素』 カロテノイドは大半の生物に共通して見られる物質で、動物では視覚、抗酸化機能、植物においては光合成、花色、香気前駆物質としての機能をもっています。動物にとってはカロテノイドはビタミンなので、その分解過程も大変重要です。特に高等動物ではカロテノイド分解酵素は良く知られていますが、昆虫など他の動物、植物ではその存在すらはっきりしていませんでした。 ここではある種の昆虫、果実において見られるカロテノイド分解酵素の存在、その諸性質と重要性について解説します。 |
連絡先 |
(招聘者:渡辺修治@農・応用生物化学(TEL & FAX 054-238-4871, 4870))
「生命科学懇話会」世話人 近江谷克裕@教育・化学(内4554) 山内清志@理・生物(内5708) 竹内浩昭@理・生物(内5704) 天野豊己@理・生物(内5718) |
第32回 静岡ライフサイエンスセミナー | |
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日 時 | 1999年12月03日(金)午後4時〜5時 |
会 場 | 静岡大学理学部B棟2階B212室 |
演 者 |
静岡大学工学部システム工学科(システム数理) 助教授 吉村 仁 先生 |
演 題 |
『周期ゼミはなぜ17・13年という素数周期の生活史をもつか?ー周期ゼミのアダムとイブの創世記ー』 アメリカには中西部から東部・南部にかけた広い地域に17年ゼミ・13年ゼミ という不思議なセミがいます。日本の普通のセミは、成長するのに5−7年はかかりますが、毎年成虫が出てきます。ところが、周期ゼミは17年(13年)に1度地上に出てきて鳴き交わし、その後次の発生年まで静かに地中に暮らしています。このように、極端に長い周期のセミ、それも、間に発生しないのは、昆虫学では、大きなミステリーです。周期ゼミの絶滅せずに存続する理由は、捕食者がくいきれないなど、いくつか仮説がでましたが、その起源については、まだ、うまい説明がありません。今回は、周期ゼミの歴史の再構築を試み、氷河期をとおして、周期ゼミのアダムとイブがどのように新しい社会をつくったかのSF物語を紹介します。 |
連絡先 |
(招聘者:竹内浩昭@理・生物(内5704))
「生命科学懇話会」世話人 近江谷克裕@教育・化学(内4554) 山内清志@理・生物(内5708) 竹内浩昭@理・生物(内5704) 天野豊己@理・生物(内5718) |
第33回 静岡ライフサイエンスセミナー | |
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日 時 | 1999年12月09日(金)午後3時30分〜5時 |
会 場 | 静岡大学理学部B棟2階B212室 |
演 者 |
群馬大学名誉教授 近藤 洋一 先生 |
演 題 |
『情報・通信が育てた細胞社会:甲状腺ホルモンの歴史を中心に』 生物の体は細胞を人間と見立てれば現代もしくは未来社会そのままの高度情報社会である。進化はより巧妙な情報システムを持った細胞社会出現の歴史とも言える。その情報システムの一つ,甲状腺の歴史をたどり,人体に代表される細胞のマルチメディア社会の成立にどのように貢献したかを考察したい。 近藤先生(群馬大学生体調節研究所(旧内分泌研究所)名誉教授)は生化学、内分泌学の立場から、甲状腺のホルモン合成や、細胞内シグナル伝達に関する多くの研究を行う国内の第一人者である。本講演では、細胞間コミュニケーションの発達と生物の機能進化を見据え、甲状腺ホルモン研究の現状を紹介いただく。(教育・近江谷) |
連絡先 |
(招聘者:近江谷克裕@教育・総合科学(内4554))
「生命科学懇話会」世話人 近江谷克裕@教育・化学(内4554) 山内清志@理・生物(内5708) 竹内浩昭@理・生物(内5704) 天野豊己@理・生物(内5718) |
第34回 静岡ライフサイエンスセミナー | |
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日 時 | 1999年12月14日(金)午後4時30分〜5時30分 |
会 場 | 静岡大学理学部B棟2階B212室 |
演 者 |
愛媛大学理学部 林 秀則 先生 |
演 題 |
『遺伝子組換えによる植物の環境ストレス耐性の改変』 多くの植物は、塩ストレスや感想ストレスに応答して、細胞内に特殊な低分子化合物を大量に合成し、生理活性の低下を防いでいる。このような化合物を適合溶質(compatible solute)と呼ぶ。その1つであるグリシンベタインを遺伝子操作によって蓄積させたシロイヌナズナでは、塩ストレスのみならず高温や低温に対する耐性も向上していた。 |
連絡先 |
(招聘者:塩井祐三@理・生物(内5701))
「生命科学懇話会」世話人 近江谷克裕@教育・化学(内4554) 山内清志@理・生物(内5708) 竹内浩昭@理・生物(内5704) 天野豊己@理・生物(内5718) |
第34回 静岡ライフサイエンスセミナー | |
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日 時 | 2000年03月22日(水)午後4時〜5時 |
会 場 | 静岡大学理学部B棟2階B212室 |
演 者 |
静岡大学理学部生物地球環境科学科 助手 丑丸 敬史 先生 |
演 題 |
『ビタミンCのリサイクルを行う酵素DHARから見た植物とビタミンCの関係』 ヒトにとってビタミンC (アスコルビン酸)が重要であることは誰しも知っているが、植物にとってもアスコルビン酸は重要な働きをになっている。 動物の細胞内と同様に植物細胞内でも反応性の高い活性酸素分子種が恒常的に生じていて、これがタンパク質、核酸、脂質等の細胞内成分に対して酸化的ダメージを与える。これを未然に防ぐために活性酸素消去系という防御システムが植物にも備わっている。 アスコルビン酸は過酸化水素を消去する際のいわゆる抗酸化物質(アンチオキシダント)として機能している。 また、同じく傷ついたビタミンEを修復するのにもアスコルビン酸が機能する。 しかし、これらの反応でアスコルビン酸は身替わりに酸化され、酸化型アスコルビン酸となってしまい、これはもはや抗酸化物質としては機能し得ない。 そこで酸化型のアスコルビン酸を使える形の還元型アスコルビン酸に戻す酵素が植物には備わっている。 それがdehydroascorbate reductase (DHAR)である。この酵素の存在はすでに1980年代に明らかになっていたが、遺伝子は長らく不明であった。 我々は、このDHARをイネから精製し、次いでその遺伝子をやはりイネからクローニングすることに成功した。 更にこの遺伝子を過剰発現するシロイヌナズナを作出して現在、その影響を調べている。 今回のセミナーではこれら一連の仕事を紹介させていただきたい。 |
連絡先 |
(招聘者:天野豊己@理・生物(内5718))
「生命科学懇話会」世話人 近江谷克裕@教育・化学(内4554) 山内清志@理・生物(内5708) 竹内浩昭@理・生物(内5704) 天野豊己@理・生物(内5718) |