当教室で後期研修を検討している方へ

杏林大学脳神経外科 後期研修プログラム2023 
脳神経外科人材育成プログラム2023

 杏林大学脳神経外科では、出身大学や卒業年度、初期研修先などを問わず、常に後期研修医を募集しています。脳神経外科医としての研鍛のみならず、医師として多くを学びたい意欲のある若者は是非当教室の門を叩いてください。

はじめに

 杏林大学脳神経外科は、脳神経外科医として手術を中心とした知識や技術を身につけることはもちろん、患者さん第一優先でチーム医療を大事にする医師を育成するべく、後期研修に力を入れています。

 杏林大学病院は、都心のベッドタウンである三多摩地区にある唯一の大学病院なので、大学病院でありながら地域に根づいた診療を実践しており、救急疾患やCommon diseasesに対する技能を十分に身につけることができ、偏りの少ない医師を育成するのに十分な環境が整っています。

 当教室の特徴として、可能な限り若手にチャンスを与えるような指導を心がけており、特に手術に関しては術者を経験する機会を多く持ってもらうようにしています。とはいっても、そこには「術前・術後管理ができる」、「疾病を理解し患者さんや家族への病状説明が適切にできる」、「術前に術中シミュレーションが十分に出来ている」などの条件がつきますが、主任教授・塩川の掲げる「脳神経外科手術は、患者さんの人生を手術すること」を念頭に、安全で誠実な診療が習得できる指導に力を注いでいます。

 当教室では、脳血管障害、脳腫瘍、神経外傷を中心に、小児、脊椎、機能的外科など脳神経外科疾患の基本診療が、3年間のレジデント終了時には習得できる研修を目標としており、後期研修の先生はそれぞれのチームを3-6か月ローテーションしながら、卒後10年前後の若手脳神経外科専門医のもと、診断、治療、手術について学びます。また、5年目以降は順次、脳神経外科学会が定める当教室の研修・関連施設で研鍛を積んでもらい、研修終了1年後の脳神経外科専門医受験を目指します。以下にローテーションするチームの特徴を列挙します。

後期研修中にローテーションする分野

脳卒中診療(脳卒中センター)

 脳卒中医学教室として独立しましたが、診療科の縦割り構造をなくした本邦有数の脳卒中センターであり、脳梗塞、脳出血を中心に24時間365日脳卒中診療ができる体制を構築しています。脳梗塞に対する超急性期選択的血行再建術や慢性期の虚血性病変に対する手術も行っており、3年間のうち6-9か月診療に従事し、脳卒中の初期救急対応から、脳血管撮影その他の検査、手術までを学んでもらいます。

scu 脳卒中センター集合写真

脳血管障害、良性腫瘍

 脳卒中診療と被る部分もありますが、未破裂脳動脈瘤やくも膜下出血、その他の脳血管障害を直達手術と血管内手術のどちらでも治療ができる体制を構築しています。また良性腫瘍の手術もこのチームで担当することとなります。3年間のうち6か月診療に従事し、脳血管撮影や開頭術、血管内治療について学びます。

悪性脳腫瘍

 神経膠腫や中枢神経系悪性リンパ腫を中心に、摘出した腫瘍の遺伝子解析からテーラーメイドの化学療法を実践しており、大学病院や一部の専門施設でしかできない診療を行っています。当教室で研究と臨床が最も直結している部門です。6か月間診療に従事し、画像診断、手術、化学療法、放射線治療、腫瘍学について学んでもらいます。

神経外傷(高度救命救急センター)

 脳卒中センターと同様に日本有数の高度救命救急センターがあり、重症頭部外傷や多発外傷の診療を、救命救急科や整形外科、内科の医師と協力しながら行っています。4-6か月間診療に従事し、開頭手術や重症患者の循環、呼吸、栄養管理などの全身管理を身につけてもらいます。

 都立神経病院(府中市)への出向

 こちらも全国から患者さんが集まる専門施設ですが、専門医受験までの4年間のうち必ず6か月研修してもらい、脊椎脊髄疾患、小児、機能的脳神経外科(てんかんや不随意運動)の診療や手術を学んでもらいます。今まで回った後期研修医からも大変評価の高い病院です。

 当教室の特徴として、これらのチーム(都立神経病院を除く)はすべて同一のカンファレンスで治療方針の決定を行っており、他のチームの症例もこの時間で学習することができるようになっています。

手術訓練について

血管吻合訓練

研究室でのラットの血管吻合や、簡易卓上顕微鏡でのガーゼ縫合の練習は日常診療の合間にいつでも行える環境が整っています。

 多摩微小解剖セミナー(2023年度は開催予定なし)

毎年、夏に行われる遺体脳を用いた解剖セミナーで、参加する他施設の医師からも大変高い評価をいただいています。頭蓋底外科手技を4日間みっちり学んでもらいます。専門医受験までの4年間は必須で参加してもらいます。

kaibo剖セミナー

 動物を用いたシミュレーションラボでの研修

 1回ブタを用いて、開頭手術や血管吻合、動脈瘤モデルを用いた血管内治療など、若手医師にとって臨床では手が届かない手術を行っています。

術前カンファレンスと手術カンファレンス

 チームの手術について、執刀医ではなく研修医の先生にスケッチした手術シミュレーションをプレゼンしてもらいます。難度が高く執刀医が自分でなくても、解剖の勉強やアプローチ方法を予習することにより、より術者に近い目線を養ってもらうようにしています。

 また手術は皮膚切開から縫合まですべて映像記録として残しており、それを編集したものをカンファレンスで再び発表してもらいます。予復習の繰り返しや記録の見直し、意見交換により、より早い手術習熟を目指すシステムが構築されています。

 kanfaカンファレンス

 

レジデント初年次(卒後3年目)

杏林大学付属病院で脳神経外科病棟医の中核となり、診療計画の立案や救急対応、脳血管撮影、穿頭術の助手ないし術者、開頭術(頭部 外傷、脳出血など)の助手を行う。動物や屍体脳による顕微鏡下手術の訓練を行う。

レジデント2年次(卒後4年目)

脳神経外科病棟、脳卒中センターおよび救命センターにおいて、病棟業務を行なうほか、脳血管撮影、穿頭術、開頭術(頭部外傷、脳出血など)の術者 、脳血管内手術、開頭術(脳腫瘍、クモ膜下出血)などの助手、顕微鏡下手術の習得を行う。

レジデント3年次(卒後5年目)

顕微鏡下動脈瘤クリッピング術、表在脳腫瘍手術の習得を目標とする。平成22年度に改訂された新しい脳神経外科専門医の受験資格に求められている脊椎、小児、機能的外科領域については、大学近隣(車で15分程度)の都立神経病院を卒後5年ないし6年目に半年間ローテーションし、脳神経外科全般の研修を行う。なおこれらの二施設を研修中も大学のレジデント宿舎居住し通勤することができる。

 

週刊予定

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研修機関

基幹施設:杏林大学医学部脳神経外科

連携施設:

公立阿伎留医療センター脳神経外科、関東中央病院脳神経外科、小山記念病院脳神経外科、佐々総合病院脳神経外科

関連施設:

石岡循環器科脳神経外科、康和会久我山病院脳神経外科、東京大学医学部附属病院脳神経外科、埼玉医科大学国際医療センター脳神経外科、国立成育医療研究センター脳神経外科、東京都立神経病院脳神経外科、東京都立多摩総合医療センター脳神経外科、葉山ハートセンター脳神経外科、富士脳障害研究所付属病院、和風会所沢中央病院脳神経外科、水戸ブレインハートセンター

大学院

大学院の入学希望者は、大学院専攻あるいは後期研修医期間内に社会人大学院制度を活用して、随時春季または秋季に入学することができます。当教室または基礎系教室、他大学との合同研究など選択肢がいくつかあります。また臨床研修との兼ね合いなどについては個別に相談も可能です。

後期研修修了の進路

 脳神経外科の場合、後期研修終了後は一般的にまず脳神経外科専門医を目指すことになりますが、専門医取得後の進路として、大学助教として大学に勤務、社会人大学院への進学(大学在籍でも他病院に勤務中でも可)、研修関連施設への出向、国内海外留学など、さまざまな選択肢があります。またその中でsubspeciality(血管内治療、腫瘍学、神経内視鏡、脊椎・脊髄外科、機能的脳神経外科など)を選択し研鍛を積むことも可能です。

連絡先

 年間を通して見学を受け入れていますので、杏林大学脳神経外科レジデントプログラムに興味をお持ちの方は、中冨浩文、小林啓一、岡田 啓、佐々木重嘉までご連絡ください。

 

181-8611
東京都三鷹市新川
6-20-2
0422-47-5511

kyorinn@ksot.kyorin-u.ac.jp 杏林大学医学部 脳神経外科学教室(内線2883

主任教授 塩川 芳昭 
hirofumi-nakatomi@ks.kyorin-u.ac.jp
医局長 
小林 啓一