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こだまの世界

2004年11月下旬号

かれらは自分が何かを知らぬと告白することを学者にはふさわしかぬことだと 信じたから、自己の虚構の学説を粉飾するに慣れて、 果ては次第にみずからもそれを信じ込んでしまい、 かくて人にもそれを真理として勧めるに至ったのである。

---デカルト先生

真を偽から区別できないで、 疑わしいものを確実なものと認めざるをえぬに至るくらいならば、 全く研究しない方がましである。

---デカルト先生

`Good fallacies never die: they migrate to America, where they turn up as the latest discoveries of the local professors.'

---C.D. Broad

ところで、哲学することなしに生きてゆこうとするのは、 まさしく、目を閉じてけっして開こうとしないのと同じことです。

---デカルト先生


主な話題


21/Nov/2004 (Sunday/dimanche/Sonntag)

真夜中 (午前)

一瞬寝てしまう。

真夜中2 (午前)

風呂。

道徳的誠実さを保つためには、良心の声に耳を塞いではならない。 知的誠実さを保つためには、懐疑の声に耳を塞いではならない。

夜明け前

デーロンの勉強をすべきところだが、 謹呈していただいた本を読む。

寸評: ビジネス倫理学の視点から、医療倫理、環境倫理、情報倫理、 工学倫理の諸分野における倫理的問題を考察している。 全体的には、ビーチャムとチルドレスの四原則に比するような ビジネス倫理学の方法論が確立されていないのが残念だが、 各章の議論はそれぞれおもしろい。 とくに、ビジネス倫理学の歴史を概観している田中論文、 ビジネス(経済活動)についてのスミスやミルの見解を論じている柘植論文、 内部告発の哲学的(現象学的?)分析をしている奥田論文、 企業に属する技術者が責任ある個人として行為するための要件を論じる堂囿論文が 熟読に値する。

あ、こういう文章はアマゾンに書けばいいのか。

お昼に起きて、某四ツ谷神学校の研究会へ。 臓器移植とクローン、エンハンスメントの話を聞く。 個人的には、 脳死の話と、 相対主義の話がおもしろかった。 もっと勉強しなければ。

研究会のあとの懇親会にも顔を出す。ビール。 ピッチャーだと途中でどんどんつぎたされるので、 どれだけ飲んだかわからなくて困る。

今日やること


22/Nov/2004 (Monday/lundi/Montag)

真夜中 (午前)

一瞬寝てしまう。起きてから勉強。捗らず。やばい。

「なぜデカルトに先生をつけてるんですか」

「いや、別に深い意味はなくて、 単に引用した言葉が尊敬に値すると思ったからなんだけど」

「それだけですか」

「そう、それだけ。そういえば、 先日誰と話したときだっけ、『わたしが先生と呼ぶ人は3人しかいない』 とか言ってる人がいて、思わず、『そのうちの二人は金八先生とマチコ先生ですか』 と言いそうになったなあ。人格を疑われそうだから、最初の一人でやめたけど」

「またバカなことを」

「そういえば、昨日も何かおもしろい話があったなあ。 そうそう、とあるお母さんの話を聞いていたんだけど、 成人した二人の息子さんがいて、 兄がSE(システム・エンジニア)で、弟が司法試験勉強中でね」

「ふんふん」

「そのお母さんがSEの息子の方に 『あと10時間で地球が滅びるってわかったらどうする?』と尋ねたら、 『最後の一秒まで、地球が助かる方法を探す』って答えたんだって」

「偉い息子さんですねー。それで、 司法試験勉強中の弟さんの方はなんて答えたんですか。 もっと立派なことを言ったんですか」

「いや、『兄が万一地球を救った場合のことを考えて、 最後の一秒まで試験勉強をしとく』って」

「あははは。ほんとですか、それ」

「いや、途中からフィクションだけど」

真夜中2 (午前)

いかん、ぜんぜん集中できん。

今日やること


23/Nov/2004 (Tuesday/mardi/Dienstag)

昼下がり

昨日はお昼から大学に行き、某情報学環とかいうところの図書室で 米国『ライフ』誌の1962年11月9日号のコピー。 シャナ・アレグザンダーがシアトルの神の委員会(Life or Death Committee) について書いた記事。おもしろいので、研究室に戻って読了。

夕方から某政治哲学勉強会。コミュニタリアニズム。 自由主義的でないマイノリティ集団をリベラリズムはどうすべきか(寛容すべきか、 個人の自律を促進すべく干渉すべきか)というようなところが議論の焦点だとか、 そんな話とか。勉強になる。そのあと、某居酒屋で飲み会。 隣の若い酔っぱらい集団に圧倒される。ビール一杯。帰宅してつい寝てしまう。

今日はお昼に起きて、洗濯などをしたあと、やっとさきほど研究室へ。 いかん。たるんどる。某海鮮丼屋で遅い昼食。そういえばU2の新譜が届いた。

しばらく大学で雑用してから帰宅。

最近メモ帳を持っていなかったので、某ローソンで買う。思い付いたことは 書き留めておくようにしないと、すぐに忘れるので。

真夜中

夕食は自宅で適当に。それからようやく真面目にデーロンの勉強。 時間が。

哲学を仕切り直した人。ソクラテス、デカルト、ムーア。

今日やること


24/Nov/2004 (Wednesday/mercredi/Mittwoch)

朝起きて、某勉強会に参加。お昼は帰国した某氏らと蕎麦。 夕方から某授業。文化相対主義と、情動説について。 もっとおもしろく授業をしないとダメだ。

夜、某海鮮丼屋で食事。そのあと、 二時間だけ漫画喫茶に行く。帰宅してから勉強。


25/Nov/2004 (Thursday/jeudi/Donnerstag)

真夜中 (午前)

勉強。

真夜中2 (午前)

I'm wide awake
I'm wide awake
Wide awake
I'm not sleeping
Oh, no, no, no

---U2, `Bad'

真夜中3 (午前)

眠い。U2は元気が出るので、しばらくU2だけを聞くか。

今日やること


26/Nov/2004 (Friday/vendredi/Freitag)

真夜中 (午前)

昨日は何とかお昼前に起きて大学へ。 お昼すぎ、科研費の説明会に行く。 自分は科研費をもらってないので、 科研費の不正使用について説明されても仕方ないのだが…。 夕方、某卒論指導。

夜、某授業に参加。司会を務める。 そのあと某所で飲み会。 「マイノリティ」という語が人によってはpolitically incorrectな語であることを教わる。別にこの語を使うときに、 マジョリティを是認し、マイノリティを否認しているわけではないのだが。 ビール一杯と焼酎のお湯割り一杯。

…何か忘れている。あ、デーロンだっ。

アマゾンからの荷物を運んできたペリカンに起こされる。

昼下がり

風呂に入ってから大学へ。 お昼は某氏と定食屋で。

書籍部で中曽根氏の自省録と、 バーナード・クリックの『デモクラシー』の翻訳を購入。 中曽根氏のは「歴史法廷」というフレーズの使い方が気になったので。 しかし、しょっちゅう段落分けしていて読みにくい。 昨日の産経抄は「憂える」を「喜ぶ」と理解している大学生が多いという記事を引いて 国語力(日本語力)の危機を嘆いていたが、 意味なく段落分けする文章もちゃんと批判してほしい。

今日やること


27/Nov/2004 (Saturday/samedi/Sonnabend)

真夜中 (午前)

というわけで、鳥取へ。 昨日の夕方に羽田から飛行機に乗って(機内では爆睡)、 夜に鳥取に着く。 偶然某先輩と同じ飛行機に乗っていたことがわかり、 鳥取駅前の居酒屋で夕食をご一緒する。ビール一杯。

戻ってきてから勉強するはずが、あっという間にこんな時間。 朝が早いので、もう寝ないとやばい。 ホテルはネットがつながっていて助かる。 ネットがない方が、勉強しそうな気もするが…。

真夜中

帰宅。朝、某先輩に会ったので、一緒にタクシーで某鳥取環境大学へ。 一応実行委員なので朝一で行ったが、 あとは普通に講演やワークショップを聞きながら寝ていた。 エンハンスメントのワークショップだけまじめに聞く。

懇親会ではいろいろな人と雑談。ビールコップ一杯、日本酒お猪口3杯。 そのあと、某名誉教授の豪邸に場所を移し、 さらに某氏らと雑談。日本酒お猪口3杯、赤ワインお猪口1杯。

タクシーで鳥取駅に戻ってきて、ホテルへ。眠い。

今日やること


28/Nov/2004 (Sunday/dimanche/Sonntag)

早朝

なんとか起きる。眠い。

夜中

朝から学会。 朝の司会は、拙くて迷惑をかけた気がする。反省。

ぼーっとしていると、学会はいつのまにやら終わってしまった。 夜は某氏らと居酒屋で食事。いろいろ密談。 そのあと某ブックオフに寄ってみるが、 何も買わずにホテルに戻ってきて寝てしまう。 さっき某先輩からの電話で起きた。 大浴場にでも入ってみるか。

勉強にしろ、何にしろ、 自分が得意なこと、不得意なことをよく知る必要がある。 得意なことは伸ばし、苦手なことは克服するように努めよう。

今日やること


29/Nov/2004 (Monday/lundi/Montag)

真夜中 (午前)

衝撃のマッサージ椅子

ホテルの大浴場に行き、 風呂に入る。風呂はなんてことなかったのだが、 風呂で温まったあとに脱衣場にあったマッサージ椅子を人生で初めて使い、 衝撃を受ける。こ、こんなすごいものがあったのかっ。

これまで、 電気屋でヨダレを垂らしながらマッサージ椅子に抱擁されている人々を見ると、 「あらまあ。なんてみっともない」と軽蔑していたのだが、 今回自分でやってみて、 快感のあまり、危うくヨダレが出そうになった :) 道理でマッサージ椅子が売れてるはずだ。 自宅が狭くなければ、オレも一台買っているところだ。 研究室にもあるといいのだが。

風呂に入っているときは人間の尊厳についてあれこれ考えていたが、 マッサージ椅子に抱擁されているあいだは、 日本の技術ってすばらしいなとか、 これが一家に一台あれば寿命が延びるだろうから、 厚労省のイニシアティブで安く購入できるようにしてくれないかなとか、 マッサージ椅子開発に関するプロジェクトXはもうやったのかなとか、 きっと開発の途中でたくさんのスタッフが首の骨を折ったりしたんだろうなとか、 そんな愚にもつかないことを考えていた。

あ、これはノージックの快楽機械ではないかっ。 これまでどうもこういうマッサージ椅子のような機械を 使うことにうしろめたさを感じていたのは、 やはり快楽機械だという意識があるからだろうか。 いや、快楽機械けっこう。もう尊厳も何もありません。 ブタになってもいいからマッサージ椅子に身を任せます。

というわけでしばらく快楽に溺れていると、 体が冷えてきたので(冷えるまでやってるバカ)、 また風呂に入ってから部屋に戻ってくる。 夜はデーロンの勉強をするはずだったのだが。まずい。

今日やること


30/Nov/2004 (Tuesday/mardi/Dienstag)

真夜中 (午前)

昨日のこと。

もう寝れない。

真夜中

といいつつ、昨日はよく寝てしまった。

今朝は朝から某勉強会。精神障害者の歯科医療と、 コモン・モラリティについて。

昼下がりから某ミーティング。某テキストの草稿の検討。 欠席裁判で盛り上がる:)

夜は某海鮮丼屋で。

そういえば、 先日の某学会で「エンハンスメントは科学技術文明の必然の帰結」 というような主張をしている発表を聞いていて感じたのは、 自分は歴史における個人の自由意志というのに素朴にコミットしている ということだ。 技術が進展するのは、みなが本気で止めようと思えば止められるし、 環境破壊も、肉食も、クローン人間も、 本気で止めようと思えば止められる、と思っている。 ニュースでよく言う`political will'さえあれば、というやつだ。 しかし、この素朴なコミットメントは裏付けがあるのだろうか。 単に、「われわれにはどうしようもない」 という諦念とかシニシズムが嫌いなだけではないか。

いや、サルトル先生が言うように、 われわれは自由で、選べるのだ。 決定論や宿命論への道は広くて平坦だが、 そちらに行ってはならない。

真夜中2

本が読みたい。古典をゆっくり、じっくり、端から端まで読みたい。 しかし、時間が。

乾杯しよう、汗を流して働く者のために
乾杯しよう、低き生まれの者のために
杯を上げよう、善き者にも悪き者にも
乾杯しよう、地の塩のために
---the Rolling Stones, `Salt of the Earth'

今日やること


何か一言

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KODAMA Satoshi <kodama@ethics.bun.kyoto-u.ac.jp>
Last modified: Mon Dec 6 23:23:39 JST 2004