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こだまの世界

2003年10月下旬号

「愛とか友情とかリベラルとかソフトクリームのようだ。 おてんとうさまが出たらとけるのではないか。甘っちょろすぎる」

---中曽根康弘元首相、鳩山由紀夫さきがけ代表幹事による新党構想について


主な話題


21/Oct/2003 (Tuesday/mardi/Dienstag)

昨夜は早くに寝て、ついついそのまま朝まで寝続けてしまった。 今日はしっかり勉強しよう。

朝2

大学へ。

北朝鮮問題に関連して「安全保証」というまぎらわしい言葉が出てきているが、 security assuranceという語の訳のようだ。 自国の安全を守るのが「安全保障」securityであり、 他国の安全を約束してやるのが「安全保証」ということらしい。 「保障」「保証」という語は区別が難しい。

お昼すぎ

午前中はベンタムの勉強。そういえば、ベンタムのsecurityの訳も難しい。 Securities against Misruleなどの複数形の場合は、 安全策というのが良いと思うが、単数の場合には「安全」か。 これを「保安」と訳すとベンタムが非常に悪者(ビッグブラザー)に見えることになる。

お昼すぎ2

生協で弁当。ついでに書籍部にも寄ってくる。 生協でも住まいの紹介をしているようなので、 パンフレットをもらってくる。

ついでに事務によって身分証明証と、 修正してもらった科研費の書類を受け取ってくる。 あとは図書館カードと生協カードだな。

日本のタバコ裁判、東京地裁では原告の請求棄却 (朝日)。 要するにタバコでガンになっても自己責任だという判決で、 「浅香紀久雄裁判長は、ニコチンの依存性は低く、禁煙できると指摘した」、 「アルコールや禁止薬物に比べるとその程度は格段に低い」、 「喫煙者の自由な意思決定を奪うほど強力ではなく、意思や努力で禁煙できる」 そうだ。 関係者はただちに禁煙してみるように。

昼下がり

総合図書館に行き、図書館カードを発行してもらう。

夕方

昼下がり、珍しく来客。

夕方2

生命倫理学の勉強会を立ち上げる準備がほぼできたので、 メールでお知らせを出す。人が集まるかどうか心配。 都内(じゃなくてもいいけど)で関心のある人は、ご連絡ください。

改装工事は進むが、研究は進まず…。

恐いメールが来る。

夜2

ひさしぶりに臓器移植の勉強。 帰ったら某原稿を書き出さねば。

夜中

夜、言問通りのそばの韓国料理屋で某母と夕食。 帰りは南北線で遠まわりをして帰宅。 後楽園で丸の内線に乗り換えるべきだった。

今月は外食をなるべく控えているので、エンゲル係数が低い。 節約生活。

`Is it possible for a man to move the earth? Yes; but he must first find out another earth to stand upon.' (J. Bentham, IPML)
批判するにもやはりアルキメデスの点となる足場を見つける必要がある。 自分が寄って立つべき地球はどこにあるのか。

真夜中

探しているメールが見つからないので、mewのV検索(?と/もある)を覚える。 mew-nmzというのもあるようだが、Vで事足りてしまったので、 また困ったときに覚えよう。

フリーのアウトラインプロセッサを調べたが、 リンク機能が充実しているiEditがやはり便利 (というか、独自のファイル形式なので乗り換えられないという事情もある)。 不満はエディタの機能が充実していないこと。 テキスト部分がメモ帳以上の機能がないのが寂しい。 また、アップデートが止まってしまっているのも寂しい。

対照的に、 VerticalEditorは 頻繁にアップデートされ、エディタとしての機能も優れているが、 リンク機能が若干劣るのが寂しい。

それ以外にも、 いくつかあるようだが、 どれもわざわざ乗り換えるほど魅力的ではない。


22/Oct/2003 (Wednesday/mercredi/Mittwoch)

わ、寝坊してしまった。さっさと行かねば。

お昼

雨の中、やっと大学へ。途中でカキフライ弁当を買ってくる。

お昼すぎ

科研費申請の書類の手直し。時間がかかってイライラする。落ち着け。

昼下がり

やっと書類が完成。弁当も食べる。

夜中

帰宅。昼下がりに駒場に行き、メタ倫理学の勉強。 マクダウェル。あまり進まなかったが、勉強になった。 やはり自分と異なる解釈が出てきたときに、 どのように反論するか(あるいは説得されるか)よく修業を積む必要がある。 正しい解釈と自分で思っているだけではダメで、 相手が納得するかこちらが説得されるまで、 ちゃんと議論をしないと、自己満足で終わってしまう。 しっかり議論を尽くすこと。

みなで駒場の駅前でお好み焼きともんじゃ焼きを食べてから帰宅。 眠い。

流しに皿をためていたら、大きなゴキブリが死んでいた(水死体--自殺か?)。 洗剤を買ってきたので片付けよう。

True, But構文に見られる生活の知恵

大学受験では、`It is true that A, but B.'という譲歩の構文を、 「『たしかにAであるが、しかしBである』という意味であり、 本当に言いたいことはBの部分である」などと教える(と思う)。

こういう説明は、たしかに「ほんとに言いたいこと」を知るためには有益な説明だが、 Bの部分だけを切り取ってしまうと、 その構文全体の意味というか、 「なぜそもそもこういう構文(表現)が存在するのか」がわからなくなってしまう。

`True A, but B'という部分の前者は切り取れるようなものではなくて、 他人と平和裡に合意に至るためには不可欠な部分であり、 「本当に言いたいことはBだ」というような説明は、 議論をするさいの`True A'の重要性を理解していない証拠だと思う。 などと書くと言い過ぎかもしれないが。

やはり、英語の構文として教えるさいにも、 「相手の意見がどんなに間違っているように見えても、 いきなり『しかし/でも/だけど』で始めると、 議論は平行線を辿って相手との合意に至ることはできない。 そこで、まず一歩下がって中立的な(あるいは相手の)視点に立ち、 相手の言動を可能なかぎり好意的に解釈してやり、 相手の理屈にも一理あることを『なるほど、確かに』 と認める必要がある。 そのうえで、どうしても譲れない部分は『しかし』 とはっきり主張すればよい。こちらも譲ったので、 次は相手が譲る番になるはずだ。 『確かにA、しかしB』 にはそのような生活の知恵が含まれているのだ」 という風に教えるべきだと思う。

なんてことを書いてないで、隗より始めよ。 True, But的思考が染み付くように努力しよう。

真夜中

風呂。阪神がサヨナラ勝ちしたようだ。


23/Oct/2003 (Thursday/jeudi/Donnerstag)

真夜中(午前)

人生について考えたり、金曜日の発表の準備を少ししたりしていると、 あっという間にこんな時間になってしまう。もう寝なければ。

また寝坊。行かねば。

お昼前

大学。午前中は科研費の書類の作成でつぶれる。 両面コピーをしようとすると、コピー機の紙づまりに苦しめられ、 のりづけをしようとすると、のりが申請書類の上にこぼれ落ちる (そもそも、8部もコピーを作らせたうえ、 一枚一枚をのりづけをさせるとはどういうつもりだ)。 腹が立って豆腐の角に頭をぶつけて死にたくなるが、 向こう3年間の書籍費をもらうためなので、耐えがたきを耐え、 忍びがたきを忍んで、なんとか完成させる。精神的につかれた。

お昼

完成した科研費の申請書類を事務に出したところ、 書類の一ページ目の右上を紫色で塗りつぶさないといけないのだが、 それがいいかげんだというので、やりなおしを命じられる。く、くそ…。

マジックペンの太い方でやればきれいにできることがわかった。なにごとも勉強だな。

お昼すぎ

名刺の校正刷りがファクスで届く。 某教授の名刺には「某大学教授」という肩書きがあったので、 それを流用して「某大学助手」という肩書きにしたら、 それはいくらなんでもおかしいだろう、 ということになり、変更する。 印刷する前に人に相談してよかった。 あやうく恥ずかしい名刺を作ってしまうところだった。

弁当を食べる。来客あり。

眠いが、明日の準備をせねば。

昼下がり

ちょっと寝てしまう。

昼下がり2

そういえば、パスネットを一枚無くした気がする。 これは関西で言えば「スルっとKansai」にあたるもので、 地下鉄や私鉄を一枚で乗れるが、 5000円券を買っても割引が一切ないのが不親切だ。 なくしたときのリスクを考えると、 切符をその都度買った方がいいような気もする。

夕方までベンタムの勉強。それから某ミーティング。 いろいろ勉強になる。

そのあと、議事録を編集してメール。 ファクスを通じての名刺の校正もようやく終わる。

腹減った。帰ろう。

ライザ・ミネリが四回目の離婚訴訟を起こしているそうだ。 彼女の夫も別に彼女を訴えており、 「妻にひどく暴力をふるわれたため、脳に障害が残った」 と言っているそうだ。どっちもすごいな。

夜中

白い巨塔を見るために、急いで帰ってくる。 が、ちょっと遅れてしまう。 なぜ朝にビデオの予約をしておかないのか。 プルーデンスが足りない。

真夜中

『白い巨塔』第3回目。 財前助教授が左遷の危機を力技で乗り切る。 里見助教授は正しいことができずに悩み、良いところなし。

真夜中

阪神ダイエー戦、また阪神のサヨナラ勝ち。 赤星の盗塁はちょっとあれだが、 それにしてもおもしろい試合が続くな。 プロ野球ってこんなにおもしろかったっけ?


24/Oct/2003 (Friday/vendredi/Freitag)

早朝

今日の準備を半分ぐらいしかせずに寝てしまったせいか、 夜明けごろに勝手に目が覚める。悪夢を見ていた気もする。

さ、がんばって勉強しよう。

朝食。食パンがないのでご飯。

Mark Johnson ed.のPhilosophical Perspectives on Metaphor (1981)が古本で届く(昨夜ポストを見るのを忘れていた)。 倫理的な議論でどういう風に比喩や例が働くのを知りたいわけだが、 まず言語哲学におけるメタファー論から入るのが良いようだ。

帰宅。

朝、風呂に入って体を浄めたあと、出発。 なんとか時間前に南大沢に着き、 午前中に博論の計画(第一回!)について発表。 いろいろ貴重な助言をいただき、痛み入る。 11月にも第二回をやらせていただけるというので、 ますます痛み入る。勉強しよう。

お昼は大学生協で食事し、 午後は某氏がすでにD論として提出したベンタム論を聞き、勉強する。

早起きしたせいもあり、その二つですでにグロッキー状態だったが、 電車に乗って神田へ。ウィギンズの議論を聞く。 ウィギンズにはどうもダマされている気がするが、 それを正確に表現するためのツールが不足している。勉強しなければ。

そのあと、飲み会に参加。やはり勉強しなければと思う。 ちょっと今度時間のあるときにでも、 暖炉のある部屋に籠り、 今後どういう生き方をすべきかじっくり考えよう。

テレビを付けたら、阪神ダイエー戦がちょうど終わったところだった。 3-2で阪神三連勝。すごいな。


25/Oct/2003 (Saturday/samedi/Sonnabend)

お昼前

遅起き。よく寝た。

お昼すぎ

二度寝してしまう。

昼下がり

ツナトマトソースのスパゲティ。

視聴率操作、世論調査、ODAと国連の票

日テレの視聴率操作。議員が投票数の多寡で決まるのと同様、 ディレクターの評価も視聴率で決まってしまうのだから、 不正が可能なシステムならば遅かれ早かれ不正が生じるのは 十分ありえたことだろう。

買収による不正が簡単にはできないように視聴率調査の対象世帯 (現在は東京では600世帯)を大幅に増加させれば良いように思えるが、 そうするとコストやプライバシーの問題が生じてくるのだろうか。 視聴率調査をやっているビデオリサーチの公平性がどうやって保たれているのか についても勉強する必要があるな。

視聴率調査や世論調査を至上のものと考えるのは良くないが、 だからといって無視する訳にもいかない。 満足した豚の問題で、 豚は満足させなければならないが、 豚も成長すればソクラテスになるとするなら、 その成長を助けるような仕方で満足させなければならない。 エデュテイメントというのはそういう発想なのだろう。 (もちろん、豚は豚のままでただ満足させておけばよく、 要らぬ知恵を付けさせるべきでないと考える人々もいるだろう)。

それとは別の話だが、 「あの国は、日本がODAによって助けてやっているのに、 国連総会や安保理や人権委員会などで日本に有利なように票を入れない」 というような話(昨日の産経にある記事とか)は、 国連の票を金で買うということをあからさまに認めており、 何を考えているんだと思う。 たしかに、被援助国は援助国に対して恩があるんだから、 友好的に付き合うべき義務があるかもしれないが、 つねに日本に有利なように投票しなければならないという義務はない。 このような主張を認めるなら、 金で視聴率を買おうとした日テレのディレクターを 責めることはできないだろう(と思う)。

昼下がり2

近く、出張でオーストラリアはメルボルンに行く予定なので、 ウェブでETA(Electronic Travel Authority)にアクセスしてビザを取得する。 オーストラリアに行くには短期観光でも査証が必要。

夕方

昨日の発表を反省中。

真夜中

夕方から渋谷に行き、『インファナル・アフェア』 を見る(日本語の公式サイト)。

香港の麻薬密売組織と警察の争いを描いた映画で、 マフィアのボスに命じられて警察へ潜入したアンディー・ラウと、 警察の上司に命じられてマフィアに潜入したトニー・レオンが、 発覚の危険にさらされながら、それぞれの義務を果たすべく尽力する、 という話。 結末に至るまでのプロットが非常に良くできていて、 映像にも圧倒される。女性陣が今ひとつな感じだが(とくにケリー・チャン)、 主人公たちは非常に印象的(どちらかと言えばトニー・レオンの方が好きだが)。 香港映画は迫力があるなあと思ってしまう。 なんでも、すでにハリウッドでリメークされることが決まってるとか。 よくできたマフィア映画だが、 でもまあ、人生を変えるほどのインパクトのある映画ではないので、B。

映画館で『ファインディング・ニモ』の予告編を見ると、 いつもホロリと来そうになる。見に行かねば。


26/Oct/2003 (Sunday/dimanche/Sonntag)

夜明け前

勉強するはずだったが、真夜中にしばらく長電話したあと、 某作業をしているとこんな時間になってしまう。 寒いし、とっとと寝よう。

昼下がり

お昼すぎまで爆睡していたら、新聞の勧誘で起こされる。 寝起きだったため、 テンションの高いおじさんの質問にうまく答えられず、 いつもより輪をかけてしどろもどろになるが、なんとか追い返す。

起きたので洗濯物を干し、パンなどを食べる。

昼下がり、駒沢公園を少し散歩する。 買物をしてから帰宅し、焼きそばを作る。それから少し寝る。

つい阪神対ダイエー第6戦を見てしまう。1-5でダイエーの勝ち。 キャッチャーの城島がすごいのか、どうも阪神打線は調子が悪いようだ。


27/Oct/2003 (Monday/lundi/Montag)

夜明け前

風呂に入ったあと、論文を書こうかと思っていたのだが、 ネーゲルとウィリアムズの本にはまってしまい、 もうすぐ夜が明ける時間になってしまった。 ネーゲルは主観と客観をめぐる同じ話ばかりしている気がするが、 おもしろい。ウィリアムズの『生き方について…』 も第六章の洞察がすごい。最初から最後まで読む必要がある、が、 時間がない。もっと時間と才能が欲しい。 というか、なぜ10年前にきちんと読まなかったのか。

夜明け前2

あれ、まだ夜が明けないな。椅子に座りすぎて腰も痛くなってきたし、 もう寝なければ。

お昼前

遅起き。大学に行かねば。

お昼すぎ

やっと大学に来る。どうもまたパスネットを紛失したもよう。う〜ん。

お昼は弁当。某弁当屋のデラックス弁当はぜんぜんデラックスではないので 注意すること。

昼下がり

無線LANを研究室で使えるようにしようといろいろ試していると、 変なドライバをインストールしてカードが認識されなくなったりして、 もがき苦しむ。く、くそ、腹立つ…。 時間の無駄なので無線LANはあきらめることにする。

まだ大学。コンピュータの調子が悪いのでイライラ。精神衛生に悪い。

夜2

まだ大学。PubMedで調べた臓器売買関係の論文を入手しようとすると、 ここの図書館にも入っていないものが多く、イライラする。落ちつけ。

夜3

イライラ。こういうのがイライラがストレスとなって胃炎を引き起こすわけか。 落ちつこう。

やっぱり、コンピュータが遅いのも検索のときにはイライラの元だな。 さっさとまともなコンピュータに買い変えないと、寿命が縮む。

ちょっと落ちついてきた。

夜4

帰宅。焼きそば。

阪神、2-6で負け。ダイエー優勝。かなり余裕で勝っていたような…。 まあ、星野監督、おつかれさま。


28/Oct/2003 (Tuesday/mardi/Dienstag)

真夜中 (午前)

半日かかって、ようやく無線LANの問題がわかった。 ソフトの問題ではなく、LANカードの接触が悪かったのだ。 しかし、どうも直りそうにないので、 今度こそほんとにあきらめることにする。 LANカードは以前から異常に熱くなることがあったので、 それも接触不良の原因のような気がする。

というわけで、半日を無駄にしてしまった。う〜ん。

遅寝早起き。眠いが行かねば。

ひさしぶりにMP3の曲を入れ替える。クイーンとかストーンズとか。

コンプライアンス。これは倫理とも倫理学ともほとんど関係ない。と思う。

昼下がり

雨の中、大学へ。

勉強会の一時間前に来て準備をしようと思っていたのに、 時間ぎりぎりに来てしまい、コピーも済ませられず。 これではダメだ。プルーデンスを持たねば。

勉強会。第一回なので、自己紹介と担当決めだけ。 そのあと、書籍部の上の食堂で昼食を一緒する。

それから某氏とちょっと旅行の打ち合わせ。某氏も来訪。 名刺ができたと生協から電話があったので、取りに行く。

どっとつかれる。ちょっと休憩をしたら勉強しよう。

もう暗くなった。

ちょっと勉強会用のメーリングリストを作ってみる。 Yahooのegroupで作ったのだが、 やはり個人情報が漏れるんじゃないかとか心配だな。

最近の生命倫理学関係の学会など。 もっと情報通になったら「生命倫理学イベントカレンダー」を作ろうかと思う。

夜2

某テキストのコピー。コピー機の調子が悪くてたいへん。 しかし、これくらいでイライラしてはならない。修業修業。

なぜこんなに眠いんだろう。

夜3

日本語の論文を一本読み、 オーストラリアでの集中講座用の自己紹介の文章をメールしてから、 帰宅。

晩ごはんは、焼きビーフンを使って野菜炒めを作る。

最近英国で話題になっているポール・バレルという故ダイアナ妃の執事が、 ラジオに登場し、私的な会話や手紙を公表することに対して批判を受けるたびに、 `It is just your opinion.'という応答をしていた。 この応答が適切でないことは、ブラックバーンのBeing Good かどこかに書いてある(→p. 28)。 要するに、意見というのは他人に同意を求めるべくして発語されているので、 それを「それはあなたの意見にすぎない」という応答は 適切でない、というような話。

ちょっと古い話だがメモ。生活手当をもらっている人が、 税金を払っている人よりもぜいたくな暮らしをしていると、 理不尽に思うだろう。借金をしている人が、金を貸している人よりも ぜいたくな暮らしをしていれば、やはり腹が立つだろう。 では、日本から莫大なODAを受け取っている中国が、 有人宇宙船を打ち上げたことはどうか。 「ロケットはぜいたくではない、必需品だ」と主張できるだろうか。 ちょっと難しいだろう。 まあ、日本人がこういうことを言うと「日本人はわれわれの成功に嫉妬している」 と言われるだろうと思うが、ODAはもっと有効に使う必要がある。 あれ、これは産経と同じ論調だな。

破れ窓理論というのも、すべり坂理論の一種かな。 昨日あたりの新聞にもすべり坂理論の好例となる話があったと思うのだが、 探しても見つからない。ついにボケたか。

BBCラジオ2で、 50年後、100年後にもエルヴィスが人々に聞かれているだろうか、という質問。 たぶん聞いていると思うなあ。


29/Oct/2003 (Wednesday/mercredi/Mittwoch)

真夜中 (午前)

メルボルンのホテルの予約をしようと思ったら、 着いた日の晩はどこも満室でまったく部屋がない。 困った困ったと言いながら2時間近く探したが、やはりない。 どうしようか。

ちょうどワンガラッタ・ジャズ・フェスティヴァルというのも開かれているそうだ。 足を伸ばしてここで一泊するという手もあるかな…。

あ〜、今夜こそは某論文を書こうと思ってたのに。どうしよう。

とにかく、ホテルのことにせよ、この論文にせよ、 まったくもってプルーデンスが足りない。 今度こそは深く反省しろっ。 殺那的に生きるのではなく、 先のことを考えて行動しろっ。 じゃないと人に大迷惑をかけてしまう(小迷惑ならかまわないが)。 エピメテウスじゃなくて、プロメテウスになれっ。

というわけで、プロメテウス・プロジェクトを発足することにする。

プロメテウスの誓い

わたしは、プロメテウス(=先に考える)のようになることを目指し:

これ、マニフェストなので定期的にチェックするようにしたい。 自分のいいかげんな性格に決して満足せず、常に努力すること。

なんとか起きる。今日は午前中から勉強会があるので、 10分前に着くようにしなくては。

お昼すぎ

なんとか勉強会には5分前にたどりついた。 プロメテウスとしては、 駅からの途中で弁当を買う時間がなかった点を反省すべき。

ウォーキングに関するアンケート調査について。 ウォーキングの定義が難しいとかなんとか。 たしかに、散歩とどう違うんだろう?

そのあと、郵便物の発送とかいろいろ。 プロメテウスは事務もこなせなければ。

お昼すぎ2

眠い。某弁当屋でとくのり弁当を買ってくる。

昼下がり

論文を書かないというのは、研究者にとっては致命的な悪徳なので、 プロメテウスを目指す人間としては毎日ちゃんと書けることを目指すべきだ。

昼下がり2

一瞬寝て、フガっと起きる。

昼下がり3

今日こそは医学部図書館に行こうと思っていたが、明日にしよう。 がんばれプロメテウス。

夕方

日本語の論文を一本読んでコメント。

あれ、もう某セミナーの時間が過ぎている。しまった、どうしようか。 プロメテウス、困る…。

帰宅。遅刻して死生学のワークショップに出てきた。 最近の公共性や「モラル」の話と同じで、 今日の経済的、科学的合理性を優先した価値観は行きづまりを見せているので、 「スピリチュアリティ」という価値観によって世界観を変えなければならない、 という話。

保守派の「人格の尊厳」に取って変わる概念として使いたがる人もいるようだが、 「スピリチュアリティ」という言葉を使うと保守派だけでなく危ない人々も 集まってきそうなので、気をつけてほしいと心から願う。 まず、意味をはっきりさせてほしい。

それにしても、マルクス主義が死んでも(あるいは仮眠しても)、 リベラリズムには同じような批判が手を変え品を変えなされるな。 価値観の転換という話はある程度共感するものの、 (1)転換しなくてもやっていける方法はあるはず、 (2)実際には無理、(3)エリートのたわごと、 (4)危険、という理由から、なるべくコミットしたくないと思う。 あれ、これもえらく保守的な意見だな。

懇親会にも出てくるが、あまり知っている人がおらず、 右往左往する。一応せっかく来たので、名刺を少しバラまいておく。 それから帰宅。

今日、学振の採用通知が来ているようだ。

真夜中

某氏に電話したついでにスピリチュアリティについて尋ねると、 宗教界が宗派にこだわらず大同団結するためのスローガンとしては いいんじゃないですか、とのこと。 なるほど、overlapping consensusというやつか。


30/Oct/2003 (Thursday/jeudi/Donnerstag)

早朝

珍しく早起き。珍しく何か良い夢を見ていた気がする。洗濯。

ビデオの予約をする。えらいぞ、プロメテウス。失敗を繰り返してはならない。 そういえば、メルボルンのホテルの件もモナシュ大学の人のおかげで なんとかなりそうだ。助かった。次回はもっと早目に予約しよう。

英国保守党のイアン・ダンカン・スミス党首が信任投票で党首の座を追われた ようだ。たいへんだな。

True, But構文に見られる生活の知恵2

こないだも書いたが、 `True, but...'(「きみの言うことにも一理あるが、しかし…」)というのは、 単に議論とか対話を円滑に行なうための生活の知恵というだけでなく、 フェアな思考法を体現した表現だと思う。

こないだの書き方だと前者が強調されてしまっていたので、 今回は後者の方を強調しておく。 この表現(修辞法)を適切に使えるようになることで、 フェアな思考法を身に付ける、 すなわち、 相手の議論もよく理解したうえで議論する(あるいは論文を書く) ことができるようになりたい。

たとえば、昨日のスピリチュアリティにしても、 個人的には「ばからしい」と鼻から否定したい欲求があるわけだが、 これでは議論にならない(し、論文も書けない)。 やはり、この概念に魅かれている人がいるわけだから、 何がそんなに良いのかをまずきちんと理解したうえで (あるいは、少なくともそのように努力したうえで)、 それでも納得できないなら、そのときに初めて批判を行なうべきだ。

なによりまず、相手の話を聞くこと。 BBCラジオの討論でもときどきあるが、とにかく相手の話をさえぎって、 自分の主張を繰り返す人がいる。 しかし、それではフェアな議論はできない。 (とはいえ、そういう人の方がしばしば議論では優勢であるように見えるわけだが --しかし論文ではおそらくそうはいかないだろう)

朝2

シャワーを浴びて燃えるゴミを出してから大学へ。 途中、日比谷線が霞ヶ関で止まったので、 そこから丸の内線に乗り換えて本郷へ。

年末調整の書類が来ている。 めんどうだがメルボルンに行く前に作成して提出せねば。

マハティール首相が明日で引退。22年の開発独裁政治に幕を閉じる。 ブミプトラ政策(マレー人優遇策)、 ルックイースト政策(日本を模範にして経済開発)。 名言: 「私を独裁者と呼ぶなら、私は民主的な独裁者だ」。

カリフォルニアで大規模な火事が続いている。 神奈川県がまるごと焼けた計算になるらしい。 死者は20人程度。アメリカは広いな。

産経の国連再考はおもしろい。国連不要論には賛成しないが、 国連の歴史がよくわかった。今回の「加重投票制」の話は、 マイノリティであるエリートを守ろうとしたミルの複数投票制につながる発想だ。

読書と「弁論術」のどちらが重要か

産経本日付の国語断想(「弁論術では習得できない教養」)。 ディベートの練習よりも読書を重視しろという内容だが、 ある程度は納得できるものの、 「話す技術などは慣れによって身につく」 「巧言令色鮮し仁」「能弁でうまいことを言うやつには仁慈に欠ける者が多い」 などと、議論することを軽視する表現が目立つ。

話す技術が慣れによって身につくなら、読む技術だって身につくと言えるだろう。 偶然となりの頁の正論では故金美齢の「日本人は世界有数の話しべたの国民である」 という発言が引用されているが、「読み書き」を教えるだけでなく、 「話す」(論じる)技術もちゃんと教える必要がある。 (ついでに、日本語の乱れを論じた正論の内容にも納得しかねる。 「乱れ」とは何なのかを説明する必要がある。「多様性」とは言えないのか)

もうちょっと上の国語断想を引用しておこう。 「話す技術などは慣れによって身につく。 話す内容は、いかに慣れても、 慣れとともに深化することはあり得ない。 深く豊かな内容は先人に学ぶほかないのだ。 読書は語彙力を高めるだけでなく、 そこに描かれた内容によって道義心や人の悲しみをわが事と できる仁慈の心を涵養する。 のみならず、知的好奇心を触発するから、 自己をより高みへ導こうとする勤勉の心を自らに植え付ける。 これを総じて言えば、 人格を形成が身につけられる。 今の教育に最も足りないのは教養なのだ。 すぐには役に立たない教養ほど大事なものはない」。

教養が大事なことはその通りだが、なぜこれが人と話すことではなく、 本を読むことによってしかできないと考えているのかが謎だ。 深く豊かな内容は夏目漱石や森鴎外の本を一心に読まなければ得られないのだろうか。 いかにも読書偏重の観がある。また、教養とは知識を身に付けることだけでなく、 他人と生産的な対話を行なう態度をも培うことではないのか。 そういう態度は水泳と同じで、本を読むだけでは決して身に付かず、 やはり対話を通して身に付ける必要がある。

要するに読書も議論もどっちも重要だから、 バランスを取った教育をするのがよい、というのが落ちつくべきところだろう。

お昼すぎ

医学部図書館に初めて行き、臓器移植について調べものをする。 思ったより小さい。また、医療倫理関係の雑誌はJMEしかない。

雑誌を大量に借り出してきたので、今からコピー。 そのまえに弁当。幕の内はそこそこ(鶏肉とか入ってるが)。

昼下がり

医学部図書館で、 Annals of The New York Academy of Sciencesという雑誌を見つけた。 1823年からこれまでにすでに1000号近く出しているようだが、 毎回医学や科学の特定のテーマで一冊ずつ出しているようだ。 ここ を見るとその多様さがわかる。どうやって編集しているのか知らないが、 こういう雑誌が作れるのはすごいと思う。

夕方から某ミーティング。早起きしたせいか、 暗い部屋でパワーポイントによる発表を聞いていると、 あくびを連発してしまった。すいません。

夜2

腹減った。帰ろう。

夜中

なんとか『白い巨塔』が始まる前に戻ってくる。

あれ、先週撮ったビデオを確認したら、なぜか『ニュース10』になっている。 し、しまった、チャンネルが違う…。

真夜中

『白い巨塔』、見る。手術に失敗しかけたが、 なんとか乗り切った「綱渡り」財前助教授と、 見込みのない若いガン患者に告知できずに苦しむ里見助教授。 どうも善人であるはずの里見助教授の方にはあまり共感できない。 そういうタイプが嫌いなのか、あるいは演技がうまくないのか。


31/Oct/2003 (Friday/vendredi/Freitag)

早寝早起き。燃えないゴミを出す。

さて、今日はいろいろやることがある。

航空運賃の振込み。

ポール・マッカートニーとヘザー・ミルズの子供が無事産まれたそうだ。 女の子とのこと。

お昼前

成田へは日暮里から行くのが少し安いようだ。

カードの支払請求が来る。あんまり使ってなくてよかった。 なんとか切り抜けられそうだ。

昼下がり

プロメテウスになっていろいろ出発の準備。新聞の集金が来る。

昼食はビーフンの野菜炒め。食べすぎで気分が悪い。

某原稿はまだ書き上がっていない。 たいへんやばい。プロメテウス、深く反省して生き方を変えろ。

成田空港にて。渋谷から日暮里まで長いし、 日暮里から京成電鉄に乗ったら(間違って特急に乗ってしまった)、 これまた遠い。もうすっかり旅行するのが嫌になる。 しかも、第二ターミナル駅で降りなければならなかったのに、 間違って終点の第一ターミナル駅まで行ってしまい、 待合せの時間に遅れてしまう。 今、折り返しの電車に乗って待っているところ。あ〜。

新聞でシロクマのぬいぐるみの「チャタン」の話を知る。 実は今回もぬいぐるみのワンコを連れてきたのだが、 二番煎じだと思われそうだな。しかし、少なくともオレの他にも 写真を撮るためにぬいぐるみを連れている男性がいることを知り、 安堵する。安堵することかどうか知らないが。


何か一言

your name:

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KODAMA Satoshi <kodama@ethics.bun.kyoto-u.ac.jp>
Last modified: Sun Oct 30 02:40:22 JST 2005