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こだまの世界

2001年8月下旬号

この伝記は、 ヴェイユの哲学と政治的情熱についてはケチのつけようのない正確な理解を 示しているものの、 ヴェイユの宗教的神秘主義の評価においては読者をごまかしている部分が ときどき見られる。 「こうした経験は自分で体験したことのない人には不可解である」 と述べるのは言い逃れである。 それではまるで、首相になったことがなければ首相を評価することはできない、 と言うようなものである。

---Peter Stanford, in a review of Francine du Plessix Gray's Simone Weil,
in The Independent, 28/Aug/2001.


主な話題


21/Aug/2001 (Tuesday/mardi/Dienstag)

真夜中 (午前)

昨日は旅行記を書くのに費される。今日から勉強。

お昼すぎ

朝遅くに起きて図書館に来る。勉強勉強。


22/Aug/2001 (Wednesday/mercredi/Mittwoch)

真夜中 (午前)

昨日は昼下がりまで図書館。午後は昼寝をしたり新聞を読んだりしていたら あっという間に過ぎてしまう。夜中はなぜかゲームをしてしまう。 真夜中にようやく本に手がつき、参加民主主義についてすこし勉強する。 いかん、もっと真剣にやらないと。

昨日の読売の社説 (8月22日付[パレスチナ]「これでは泥沼に沈むだけだ」 )。 パレスチナ問題を取り上げるのはいいが、 ブッシュ政権を批判するよりも、 日本政府がどうすべきかについて論じるべきではないのか。 「日本が傍観者づらしているのはおかしい」などの主張があってしかるべきだっ。

お昼すぎ

朝、電話で起こされる。寝不足。 ハイエクとノージックの勉強をすこししたあと(HeldのModels of Democracyを読んでいる。おもしろい本)、 ちょっと本屋に行って古本を購入。

昼下がり

お昼を食べに寮に戻ってきたら、 共用の冷蔵庫に入れておいたサラダとモッツァレラ・チーズが盗まれていた。 く、くそ。は、腹立つ。パントリーにもCCTVカメラを設置すべきだ。


23/Aug/2001 (Thursday/jeudi/Donnerstag)

朝、コヴェントガーデンのそばにある現代トラベル社に行き、 帰りの航空券を購入。JALでまっすぐ帰ることにした。 税金込みで300ポンドちょっと(約56000円)。

本を送ることも考えなければならない。 航空便にしようかとも考えたが、 だいぶ高くつくようなのでやはり船便にした方がよさそうだ。

Final Fantasy

昨夜、友人に誘われてFinal Fantasyを観に映画館へ行った。 CGのリアルさには驚かされたが、 内容は「地球も生きているんだから大切にしましょう」 というメッセージをエイリアン2もどきのアクションと 他愛ないラブストーリーで包んだだけの小学校高学年向けのもの。 CGがリアルでなければ(いや、登場人物の表情のなさにはへき易したが) 二束三文のSF映画である。

CGに凝るよりも内容に凝ってほしいところだが、 まあこの映画はCGが売りだったのだろうから仕方がない。 次回作に期待ということで、C+。

昼下がり

寝不足でしんどい。昼寝しよう。

産経の社説 (平成13年(2001)8月23日[木] 大安「主張 芸能人の感覚まひは深刻」)。 マリファナについてだが、 ヨーロッパ諸国では非刑罰化が進んでいるのに対し、 産経は日本の刑罰は他のアジア諸国と比べて軽すぎるので、 「アジア諸国並みの最高・死刑が適当ではないか。 日本の法制と判決の甘さは犯罪抑止の役割を果たしていない」 と結んでいる。

マリファナはやったことがないのでわからないのだが、 「大麻を乱用すると、興奮して感覚が異常になり、 幻覚や妄想を伴う精神異常が起こる。奇妙な行動が目立ち、 仕事も勉強もやる気のない無動機症候群が特徴だ。 生殖機能にも支障をきたし、不妊、染色体異常もみられる」 という産経の主張はどの程度根拠があるのか調べる必要がある。


24/Aug/2001 (Friday/vendredi/Freitag)

真夜中 (午前)

日記の整理

昨夜は新聞を読んだりしており、勉強はあまりはかどらず。 なんでも『タイタニック』のケイト・ウィンズレットが4ストーンの減量に 成功したらしい。4ストーンといえば約25キロ。 減量前と減量後の写真を見るとほとんど別人である。

いや、そんなことを書いている場合ではない。勉強勉強。

そういえば、イタリアにいるときに使い切りカメラで撮った写真を ニューヨークのK-Martで現像したのだが、 現像を頼むと自動的にデジタル化して 特定のウェブサイトにデータを置いてくれるので、 スキャナで読みこむ労なくコンピュータに画像を保存できる。

しかし、現像された写真を見て気がついたのだが、 慣れないカメラを使ったせいで、 レンズの前に指がかかっていて半分しか被写体が写っていない写真が多い。 特にフィレンツェのピエタの写真は大失敗していて笑える。 次から注意しよう。

いや、そんなことを書いている場合ではない。勉強勉強。

昼下がり

寝すぎる。勉強勉強。

伝言: 「悪貨は良貨を駆逐する」というグレシャムの法則の応用なのでは。


25/Aug/2001 (Saturday/samedi/Sonnabend)

早起きしてひさしぶりに寮の朝食を食べる。 まだ参加民主主義(とエリート主義)の勉強をしている。


27/Aug/2001 (Monday/lundi/Sonntag)

夕方

土曜日はブリクストンに行ってみた。黒人ばかりで驚く。 どうもカリブ系の移民が多いらしい。

日曜日は近くの映画館でAt the Height of Summerを観た。 サイゴンに住むベトナム人の都会的な家族生活を描いたフランス映画。 美しい映像、ルーリードな音楽、 いかにもフランス映画的な唐突な終わり方などなど、 とても雰囲気の良い映画。B+。

今日は天気が良いのでノッティングヒル・カーニバルに行こうと思ったが、 ついつい寝過ぎて行きそびれてしまった。 お昼を食べにでかけたついでに古本屋に立ちよる。


28/Aug/2001 (Tuesday/mardi/Dienstag)

昼下がり

昨日は本屋に出かけた以外は終日部屋で勉強していたが、 ついついテレビでやっていたThe Sound of MusicRomy and Michele's High School Reunionを観てしまう。

そういえば、 10年前に留学したオハイオの某高校でも先日同窓会があったそうだ。 伝え聞くところによると、みな太ったらしい。もう10年になるのか。

携帯紛失

昨夜、携帯が見つからず、うろたえる。 どうも映画館かバスの中でなくしたらしい。

今日映画館に訊きに行ったところ、ないと言われる。 しかたがないので電話会社に連絡してサービスを中断してもらう。 バスは手紙で問い合わせてから返事が来るまで二週間ほどかかるらしいので、 どうするか思案中。

もう帰る時期なので、契約を打ち切ることにするが、 携帯を返さなくてもデポジットは戻ってくるんだろうか。心配。


29/Aug/2001 (Wednesday/mercredi/Mittwoch)

そろそろ寮の連中が帰国しだすので、昨晩は数人の寮生と近くの某パブに行く。 はじめてレッドブルという最近流行っている栄養飲料(オロナミンCみたいなやつ) を飲んだら夜中に目が冴えて困った。


30/Aug/2001 (Thursday/jeudi/Donnerstag)

ロンドンはすでに寒くなってきた。

昨日は航空券を受け取りに行く。 携帯の契約終了にも行ったが、 手紙で行なう必要があると言われたので、 夜中に書いて今朝投函した。

昨晩はレスタースクウェアのピザハットで夕食をしたあと、 すこしだけナショナル・ギャラリーに立寄る。

う。勉強せねば。

先日から多数決原理について勉強中。はかどらず。 もう書きださねばやばい。

夕方、古本屋でひさしぶりに大量に本を購入。


31/Aug/2001 (Friday/vendredi/Freitag)

真夜中 (午前)

昨夜、寮にいる某日本人と留学中にあったことを話しあい、すこし感傷的になる。 この一年間いろいろあった気がする。 ちょっとは知的・感情的に成長しただろうか。

お昼前

朝、電話で起こされる。

Compassion Fatigue

書き忘れていたが、「オーストラリアが拒否しているアフガン人亡命者は、 日本政府が手を挙げて受け入れるべきである」 という社説があってもよさそうなものなのに、 今のところ日本の新聞はほとんど無視しているようだ。

アフガンからの亡命はかれこれ20年以上続いているようで、 西洋諸国の同情心もそろそろ底をつきはじめているようだ。 新聞を読んでいると`compassion fatigue'というフレーズが 目につく。金属疲労ならぬ同情疲労ということだ。 こういうときこそ日本が手を挙げるべきではないのかっ。

英国の新聞(といってもガーディアンとインディペンデントしか読んでいないが)は、 軍隊(SASだっけ?)を投入したオーストラリアの非人道性を非難する一方で、 自国の難民政策を批判することも忘れない。 とくに今回の一件は難民に対して不寛容になりつつある自国の態度について 反省するよい材料になっているようだ。

ちなみに、インディペンデントのこの記事は皮肉がきいていておもしろい。

夕方

某古本屋から本が届く。

某君に某書類郵送。

某図書館から貸出期限超過を知らせる手紙が来ており、 あわてて本を抱えて更新に行く。罰金を払わずに済み、 胸をなでおろす。

マルクス

そういえば、先日シンガーのMarxを読み終わった。 ヘーゲル→若きヘーゲリアン(バウアー、フォイエルバッハ)→マルクスへの流れと、 マルクス哲学の要点を客観的かつ手短に記述した良書。

マルクス先生から学んだことは三つほどある。 一つは、「(人間本性からの)疎外」という考え方。 いかがわしい発想だが、 ヘーゲル・マルクス以降の哲学・倫理学を理解するにはちゃんと 押さえておかないといけなさそうだ。

もう一つは、社会を平等な個人が平和に暮らす場としてではなく、 利害が絶えず衝突する戦場として捉え、 社会における支配的な思想を支配階級のイデオロギーとみなす思考法。 この見解はベンタムも多かれ少なかれ到達していたようだ。 ただし、 社会の共通利益をいかにして確保するかという問いに対する ベンタムの回答が代議制民主主義であるのに対し、 マルクスの答えは共産主義という大きな違いがある。

最後は、マルクス的表現。 読んでいてくらくらするような劇的な対比を用いるのが特徴。 「批判の武器が武器の批判に取って代われないことは明らかである」 「意識が生活を決定するのではなく、生活が意識を決定するのだ」 「天上から地上へと下降してくるドイツ哲学とは正反対に、 ここではわれわれは地上から天上へと上昇する」などなど。 おもしろいので今度から真似してみよう。

「なんだなんだ。君はその年になってまだマルクスを読んでなかったのか」

「いや、まあ、シンガーの本を読むまでとっつきにくい哲学者だったので。 いろいろ読む気が起こらない原因があったんですよね。 当らない予言をしていたり、熱狂的な支持者を抱えているところなんか、 宗教みたいですし。そもそもドイツ哲学ですし」

「な、なんだ、その『ドイツ哲学ですし』というのは。けしからん」

「いや、まあ、本音ということで許してください。 しかし、シンガーのおかげで、 ヘタな入り方をして狂信的なマルクス主義者にならずに済みました。 マルクス哲学は気をつけて入門しないと、 研究者じゃなくて信者になっちゃいますからね」


何か一言

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KODAMA Satoshi <kodama@ethics.bun.kyoto-u.ac.jp>
Last modified: Fri Jul 28 07:37:42 2000