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こだまの世界

2000年10月中旬号


何か一言


11/Oct/2000 (Wednesday/mercredi/Mittwoch)

ベンタムについての授業、セミナーの準備のクラス、 ロス・ハリソン教授によるセミナーに出席した。たいへん。

ブリットニー・スピアーズがロンドンに来ているらしい。たいへん。

夕食後の時間を有効に使う方法について考えるべし。

日記の整理


Warm and Beautiful

A love so warm and beautiful
stands when time itself is falling,
A love so warm and beautiful
never fades away.

Love, faith and hope are beautiful
when your world is touched by sadness,
To each his own is wonderful,
love will never die.

Sunlight's morning glory
tells the story of our love,
Moonlight on the water
brings me inspiration ever after.

A love so warm and beautiful
stands when time itself is falling,
A love so warm and beautiful
never fades away,
never fades away.

By Paul McCartney


12/Oct/2000 (Thursday/jeudi/Donnerstag)

今日は三つの授業に出た。たいへん。

どの授業でも毎回膨大なリーディングリストが配られる。 すでに残りの人生において読める以上の数の本を示してもらった気がする。 もうこの国には「古典」という観念がないのかもしれない。

そんなことを言っていないで本を読まなければならない。


13/Oct/2000 (Friday/vendredi/Freitag)

[somerset house]

[サマーセットハウス]

今日は授業がなかったので、 夕方にウォータールー橋のそばにあるキングズコレッジ(King's College London) に行って本をコピーしてきた。 キングズコレッジは品のない建物だが、 その横にあるサマーセットハウスはすばらしい。 ついでにウォータールー橋で夕日を眺めてキンクスを思いだす。

勉強勉強。たいへん。


14/Oct/2000 (Saturday/samedi/Sonnabend)

お昼に友人の学生寮に行き、中華料理(らしきもの)をごちそうになる。感謝。 彼の寮はうらやましいことにLANが通っている。 しかしself-catered(自分で食事を作らないといけない) なのでどちらがいいかは難しいところだ。

夜、スウィフトの`The Battle of the Books'と ヒュームの`Of the Populousness of Ancient Times'をざっと読む。 月曜の授業の予習なのだが、 この二つを読んでどういう結論を出すべきなのかよくわからない。 古代の本(思想家)と現代の本(思想家)が戦争するというスウィフトのアイディア はおもしろいが、文体が難しいうえ、 内容がない気がして真剣に読む気にならなかった。 それに比べるとヒュームの文章は読みやすく、 飛ばし読みしてもだいたい内容はつかめるが、 「古代の方が人口が多い、という主張はもっともらしくない」 という主張以外にどういう結論を導きだすべきなのかわからなかった。 ヒュームもスウィフトも膨大な古典の知識を持っていた、 というのが結論か?

勉強勉強。ほんとにたいへん。


15/Oct/2000 (Sunday/dimanche/Sonntag)

昨晩は某ブラジル人と一緒にソーホーにあるThe PizzaExpress Jazz Club というしゃれた店に行き、Corey Harris/Henry Butler Duoの演奏を聴いた。 ブルーズ。ピアノとギターは超絶うまかったが、歌はいまいち。

今日は一日中だらだらとアナキズムの勉強。 休日を有効利用する方法を考えるべし。

(John Horton, Political Obligation, Hampshire: The MacMillan Press, 1992, ch. 5より)

今日中に読むべき本。アリストテレスのPolitics (Book I)、 ポリビオスのThe Rise of The Roman Empire (Book VI)。 たいへん。


Lying, robed in snowy white
That loosely flew to left and right --
The leaves upon her falling light --
Through the noises of the night
She floated down to Camelot:
And as the boat-head wound along
The willowy hills and fields among,
They heard her singing her last song,
The Lady of Shalott.

From `The Lady of Shalott' by Alfred Tennyson


16/Oct/2000 (Monday/lundi/Montag)

雨。金曜日にキングズコレッジに行ったときに書類を忘れてきたので、 朝から取りに行く。ゆううつ。


授業に二つ出るが両方ともつまらない。 時間と労力の無駄なので一つは出るのをやめよう。

夕方、お腹の調子が悪くなり、夕食を食べずに寝こむ。 数時間寝たら回復した模様。 ベルトのしめすぎが原因か?

今夜からBBCの夜のニュースが10時からになった。 今までは9時からだったが、 他のテレビ局との視聴率争いで時間を変更したようだ。

夜中、功利原理について勉強する。水曜日に発表予定。 明日中にOHPの準備をすること。


Nowhere Man

By John Lennon, Paul McCartney

あいつはほんとにダメなやつ
ひとりぼっちで座りこみ
ものにならない計画を立ててる

自分の見解ってものがない
何がしたいのかわかってない
…あいつ、おれたちとちょっと似てないかい?

おい、おまえさん、まあ話をききなよ
どうすりゃいいのかわかんないのかい?
おまえさん、世の中あんたの思いのままなんだぜ

あいつは何にも見えちゃいない
見たいものしか見れてない
おまえさん、おれがちゃんと見えてるかい?

おまえさん、心配すんなよ
時間はあるから、いそがなくたっていい
ほっておきなよ、そのうち誰かが助けてくれるさ

自分の見解ってものがない
何がしたいのかわかってない
…あいつ、おれたちとちょっと似てないかい?

おい、おまえさん、まあ話をききなよ
どうすりゃいいのかわかんないのかい?
おまえさん、世の中あんたの思いのままなんだぜ

あいつはほんとにダメなやつ
ひとりぼっちで座りこみ
ものにならない計画を立ててる

誰の役にも立たない計画を
誰の役にも立たない計画を


17/Oct/2000 (Tuesday/mardi/Dienstag)

寒いのでジャンパーを一着購入。 近いうちにカムデンタウンに行って安い皮ジャンを買おう。

法哲学の授業にでる。ハートの法理論と法実証主義について。 「たとえば英国サッカー連盟が一次的規則と二次的規則からなる運営規則を 持っていたら、英国サッカー連盟は法体系を持っているとハートは言うのか」 という質問をしたが、どうも趣旨を取り違えられたようだ。 オースティンのように法の定義に主権者という概念を持ちこまなかったら、 国家の法とそれ以外の規則をどうやって区別するのか、 ということが尋ねたかったのだが。 次回はもっとはっきり質問しよう。

古本屋で本を買う。

ドゥオーキンがもう英国に来ているらしい。 明日講演を聴きにいく予定。

明日は発表。といっても功利原理について5分間しゃべるだけだが。 しかし英語で功利原理について話すのははじめてなのでたいへん。 寮の友人につきあってもらって予行演習をした。


18/Oct/2000 (Wednesday/mercredi/Mittwoch)

今日のベンタムの授業では、 10分ほどで功利原理と快苦の関係についてプレゼンをした。 すっかり舞い上がってしまい、 語学の授業で学んだことをほぼすべて忘れていた。 要修業。というか、どんどん発表するようにしなければならない。

ところで、ここの法学部でも「OHPを使うのは邪道」 というラッダイト的風潮がある気がした。 ハンドアウトを配ったり、 ホワイトボードを使うのも恥ずかしい行為であるようだ。 PowerPointを使うぐらいなら、 人前で自慰をした方がましだと考えているらしい。

…いや、冗談なので本気にしないように。

それはともかく、 ドゥオーキンの講義に出て、動いているドゥオーキンを見た。 なかなか立派に動いていた。

あれ、なんか変な文章を書いてるな。 ともかく、 ドゥオーキンが自分のハート批判を簡単に説明するのを聴いた。 第一線の学者だけあって後光がさしていた。 そのうち法哲学のクラスでも授業をするようだ。

勉強勉強。


19/Oct/2000 (Thursday/jeudi/Donnerstag)

政治哲学の授業と現代政治理論の授業に出る。 前者はドゥオーキンの資源の平等(equality of resources)の話の続き、 後者は「なぜ政府や法に従うべきなのか」という問いを 「同意したから」と答えることで説明しようとする同意理論 (Consent Theory, Voluntarism)について。

同意理論との関連で、 「なぜ約束を守らなければならないのか」 という問いを先生が持ち出したら、 「そんなことはあたりまえだ」と怒り出す学生あり。 おそるべし。

お昼はブラジル料理。 夜は寮の夕食の時間に間に合わなかったので、 あらかじめ注文しておいた夕食パックをいただく。 うわさどおりにしょぼい内容であった。

なぜか異様に疲れた。腰も少しやばい気がする。肩もこってる。


20/Oct/2000 (Friday/vendredi/Freitag)

Cycling a pain in saddle

MOUNTAIN bikes are bad for men's testicles, according to research. Doctors are advising riders to pad their seats or shorts after finding that 96 per cent had suffered some damage. The study, published in The Lancet, showed half had discomfort. The most common findings were "scrotoliths", benign stone-like cysts.

--from today's Evening Standard

i miss u

`I miss you'は「あなたがいなくて寂しい」 と冗長に訳す以外には方法がないものとばかり思っていたが、 今日の夕食中にその話が持ち上がったときに、 ふと「恋しい」という言葉があることに気付いた。 なるほどあとで和英辞典を見てみると、 「あの人が恋しい(I miss him.)」という例文がある。 しかし、「あの人が恋しい」とか「あなたが恋しい」 という日本語はまだ実際には聞いたこともないし見たこともない(と思う)。 たぶんもう廃れた表現なのではないか。 (いや、 ひょっとすると少女マンガなどおれの知らない領域では ひんぱんに使われているのかもしれないが)

ところで、 こないだ(米国にいる日本人と恋愛している)中国人に 「`I miss you'は日本語ではなんというのか」と訊かれた。 そのときは、 「あなたに会いたい」と言ったらどうかと返事をした。 ちょっと意訳になってしまうが、 たぶんこれが一番適当な訳なんじゃないかと思う。 しかし、「じゃあ`Do you miss me?'はどう言うのか」 と訊かれたときには返事につまった。 そこでしばらく考えたすえ、 「たぶん日本人はそういう質問をしないと思う」と答えておいた:-)

勉強勉強。


KODAMA Satoshi <kodama@ethics.bun.kyoto-u.ac.jp>
Last modified: Thu May 19 10:06:58 JST 2016