経験論

(けいけんろん empiricism)

もし君がいっさいの感覚と争うならば、君は、 君が偽であると主張するところの感覚をすら、 何に帰着させて偽であると決定するのか、 その規準すらもたないことになろう。

---エピクロス

経験論者はアリに似ている。彼らは集めて使用する。 一方、合理論者はクモに似ている。 彼らは自分の中から糸を紡ぎ出す。

---ベーコン


認識論の立場の一つ。 ごくおおざっぱに言えば、 あらゆる知識は経験によってのみ得られるとする立場。 この立場に立つと、われわれはたとえば 「すべての人間は死ぬ」というような普遍的な知識を、 「ソクラテスは死んだ」 「プラトンも死んだ」 「アリストテレスもやっぱり死んだ」 という個別的な経験的知識から帰納を行なうことによって得ることになる。 (この例だと当たり前のようだが、 「三角形の内角の和は二直角に等しい」 という知識がはたして経験によって得られるものかどうか、 というのは哲学者たちの一大議論となってきた)

対立する考え方としては、真の認識は経験によって得られるのではなく、 理性によって得られるとする合理論がある。 なお、ベーコンイデア論生得観念説も参照されたし。

04/21/99


上の引用は以下の著作から。


KODAMA Satoshi <kodama@ethics.bun.kyoto-u.ac.jp>
Last modified: Thu Feb 14 12:58:37 2002