ケトン食普及会が希望者に無料配布している冊子「はじめてのケトン食」の20ページには、「Q10. ケトンフォーミュラって?」との質問があり、以下のように回答しています。
A10. 明治乳業(現在は竃セ治)が製造しているケトン食療法用の特殊ミルクです。 それ自体がケトン比3:1の組成となっていることや、様々な栄養素が含まれているためケトン食の献立作成や栄養確保に便利です。 また、多量のケトン体を作り出す中鎖脂肪酸(MCT)が主要成分となっているため効率良くケトン体を作ることができます。 |
また、ケトンフォーミュラは粉状であり、糖質が制限されるケトン食では使えない小麦粉代わりに使用して、クッキー、パンケーキ、パン等を作ることができます。ケトンフォーミュラで作るクッキー、パンケーキ、パン等は、「主食」になるだけでなく、「脂質を効率的に摂取できる手段」になり、ケトン食には欠かすことができない食材となっています。
Q&Aでは「ケトンフォーミュラは竃セ治が製造しているケトン食療法用の特殊ミルクです。」とされますが、「特殊ミルクとはなんでしょうか?」
特殊ミルクは昭和55年(1980年)12月に「特殊ミルク共同安全開発事業」が発足し、母子愛育会に特殊ミルク事務局が置かれました。
特殊ミルクは、以下のように登録と登録外に分かれます。
区 分 | 費用負担 |
登録特殊ミルク | 国 50 : 乳業メーカー 50 |
登録外特殊ミルク | 乳業メーカー全額負担 |
ケトンフォーミュラは、主に難治性てんかん患者、グルコーストランスポーター欠損症(又は異常症)患者が使用しており、20歳未満のグルコーストランスポーター欠損症患者向けのケトンフォーミュラは「登録特殊ミルク」となり、国の補助のもとで安心して使用できる環境にありますが、難治性てんかん患者向け及び20歳以上のグルコーストランスポーター欠損症患者向けのケトンフォーミュラは「登録外特殊ミルク」であり、全額乳業メーカーである竃セ治の負担となっています。
近年、ケトンフォーミュラの使用量が増加しており、竃セ治の費用負担額が増加している中、平成28年4月からケトン食が「てんかん食」として治療食に認められれば、その負担額が更に増加することが考えられます。
そのような状況の中で、ケトンフォーミュラを含めた特殊ミルクの安定供給のための取組みが必要となってきています。
平成27年12月には、「日本小児連絡協議会治療用ミルク安定供給委員会主催の第2回治療用ミルク安定供給のためのワークショップ」が以下のとおり開催されました。
日時:平成27年12月13日(日) 13:00〜17:00 場所:フクラシア東京5階会議室L(朝日生命大手町ビル) プログラム: @特殊ミルクの課題と現状 A特殊ミルクのエビデンス B企業の立場から/患者会より C総合討論 |
このワークショップなどを通じて、特殊ミルクの安定供給のために解決すべき課題が顕在化しました。今後は、小児科学会及び小児関連の専門部会、特殊ミルク事務局、行政(厚生労働省)、乳業メーカーに加えて、特殊ミルクのユーザーである患者会等の特殊ミルクの供給事業に関わる多くの方々で解決策を見出すべく知恵を絞っていくことが必要であるとの認識となりました。
今後は、ケトンフォーミュラを使って、ケトン食等の食事療法を行っている難治性てんかん患者等は、特殊ミルクのユーザーとして、特殊ミルクの安定供給のための取組みに関わっていくことが求められることが予想されます。
また、最近、「治療用ミルク応援プロジェクト」という取組みが始まりました。どのような取組みなのか興味のある方は、「http://milk.main.jp/」にアクセスしてみてください。