ケトン食実施前の
質問への回答
Q8 ケトン食は量が少なく、足りているのでしょうか。
A8 ケトン食はカロリーの高い脂肪が主な食品であること、そのカロリー自体も少なめに押さえてあることから、量が少なくなり見たところではもの足りない感じがしますが、カロリーは十分足りています。また、ケトン食は食欲を抑える作用がありますので、量が少なくても空腹感に悩まされることはないでしょう。

【体験談】
 汁物やスープについては、少し多めに作るようにしています。カロリー計算には入れなくて良いので、欲しがればおかわりさせています。


Q9 ケトン食がうまくいっているかどうかどのように確認するのですか。
A9 尿中のケトン体量をチェックすることで、体内で作られるケトン体の量を確認することができます。ケトン体量が測れる検査用のペーパー、通称ケトスティックを尿に浸して試薬のついている部分の色の変化で判断します。容器に貼ってある色の表と比べ、紫色の濃度で尿中のケトン体の量を測り、その量が++〜+++の間に保たれる必要があります。

【体験談】
 食後は食前より尿中のケトン体量が多いとのことで、毎日同じ時間に測るよう指導されています。夕食後、お風呂に入る前に必ずトイレへ行かせ、ケトスティックで測るようにしています。


Q10 ケトン食中はご飯、パン、麺類等を食べさせることが出来ませんが、皆さんどのように注意しておられますか。
A10 ケトン食では余分な糖質はケトン食の効果を消してしまうので、ご飯、パン、麺類のみならず、お菓子、ジュース等を与えることもできません。そのためには、家族の協力がなければできません。患児がききわけのない幼児の場合、家族より先に食事をさせて、家族の食事の時間と一緒にしない方がよいと思います。また、患児が学校に通う場合は、家族ばかりでなく近隣の人や学校職員などの協力も必要です。

Q11 病気になって食欲がなくなってしまいました。どうすれば良いのですか。
A11 吐き気がある時や食欲がない時などはケトン食を中止しても構いませんが、直ぐに主治医に相談してください。
症状が軽い場合は、ケトン指数を下げないようにケトン食の献立の中で食べられそうなものだけを食べたり、量を減らして様子を見ます。
ケトン食を一切受け付けない場合は、一旦普通の食事に戻し、体調が回復してから再度ケトン食を始める間歇療法がありますので主治医に相談してみてください。


Q12 風邪をひいてしまったので、近くの病院へ行こうと思いますが、何か注意することがありますか。
A12 主治医が処方してくれる抗てんかん剤については、シロップ剤や糖質を含む粉薬を使わないなどの措置をとってくれますが、近所の病院に行く場合は、医師に対してケトン食について説明し、糖質を摂取することを避ける必要があることを伝える必要があります。脱水症状を起こした場合には点滴を行いますが、点滴の主成分であるブドウ糖は代表的な糖質ですから、緊急の場合を除いて使わないほうが無難だと思います。

【体験談】
 最近はどの病院も処方箋を書き、薬局で薬をもらうようになっていますので、病院が異なっても必ず同じ薬局で薬をもらうようにしています。薬局には子供がケトン食を行い、糖質が摂れないことを説明していますので、耳鼻科などで処方された薬にシロップが含まれている場合は教えてくれます。


Q13 家族で出かける際にはどのようにすればよいですか。
A13 持ち運びしやすい献立を工夫して、ケトン食のお弁当を作るとよいでしょう。

【体験談1
 テーマパークへ出かける際には、から揚げやハンバーグなど持ち運びしやすい献立でお弁当を作り、夏場はクーラーボックスに保管します。食べる直前にコンビニなどにお願いして電子レンジを使わせてもらい温めれば問題ありません。

【体験談2
 泊付で出かける際には、もっぱらウィークリーマンションを活用しています。2DKタイプなら家族5人、一泊15,000円程度で泊まれ経済的です。自宅の雰囲気を維持でき、子供がパニックにならずにすみますし、食料の調達に便利な近くにスーパーがある物件を探しています。

【体験談3
 ケトン食をミキサー食にしていますが、出かける際には市販のレトルト食品にマヨネーズや生クリームを加えて食べさせています。ミキサー食用にカタログ販売されているレトルト食品なら1パック毎にカロリー数とともに「タンパク質、脂質、糖質」の重量表示があり、簡単にケトン指数を計算することができます。


Q14 ケトン食を始めると服用中の薬はどうするのですか。
A14 ケトン食を始めても薬を急に減らしたり、止めたりしないのが原則です。同じ量の薬を飲みながらケトン食を続けるのです。ケトン食がよく効いてけいれん発作が止まり、脳波も改善したら、少しずつ内服薬を減らしていくことになりますが、どの薬をどのように減らすかは脳波の結果を見ながら考えますので、主治医の判断を待つことになります。

【体験談】
 ケトン食を始めて24ヶ月が過ぎた頃、脳波が劇的に改善しました。その際に主治医に相談したところ、多動の原因になっている可能性があるフェノバールビタールを減らしていくことになりました。フェノバールビタールは急に減らすと睡眠障害などの副作用があるとのことで、半年毎に少しずつ減らすことになりました。薬を減らしたことが直接影響したのかどうかわかりませんが、徐々に行動が落ち着き、授業中にじっとして先生の話が聞けるようになってきました。

Q15 子供が特別支援学校に進学します。学校給食はどうなるのでしょうか。
A15 学校に給食用の厨房があり、学校の方針として「特別食」に対応しているのであれば、ケトン食を給食として作ってもらうようお願いする余地はあると思います。
ケトン食を給食として作ってもらえない場合は、ケトン食のお弁当を持たせることになりますが、食べる前に電子レンジなどの調理器具で温めてもらうよう学校にお願いすると良いでしょう。


Q16 ケトン食を自宅で始め、ケトン指数を1:1から2:1、3:1へと上げていますが、3:1になってから急にフラフラするようになっています。どうしたのでしょうか。
A16 ケトン食では、血液中のケトン体が増えることで、血液が酸性になってきます。患者が飲んでいる抗てんかん剤の中には、血液が酸性になると効き方が強くなるものが含まれており、その影響が出ていることも考えられるので、なるべく早く主治医にご相談ください。
Q17 成人した娘がケトン食を始めてから、胸の辺りに赤い発疹ができ悩んでいます。ケトン食に原因があるのでしょうか。
A17 ケトン食では、一般的には水分制限をする場合が多く、その場合には肌が乾燥してかさかさになる場合がありますが、発疹がでるケースは少ないと思います。
水分制限をしていない場合は、ケトン食が高脂肪であることに由来する湿疹であることが考えられます。母親が高脂肪の食事を続けることで母乳中の脂質が多くなり乳児に発疹が出る、いわゆる
脂漏性湿疹と同じ原理です。成人女性の場合は、汗が溜まりやすい乳房の下に出来ている場合はその可能性が高いと思われます。