ケトン食実施の 質問への回答 |
Q1 | ケトン食ってどんな場合に勧められるのですか。 |
A1 | いろんな薬を使ってもけいれん発作が止まらない場合や、薬に対する過敏性のために薬が使えないときに勧められます。 |
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Q2 | ケトン食のケトンって何ですか。 | |
A2 | ケトン食を食べると体内に「ケトン体」という物質が作り出されるからです。 ケトン食が、なぜけいれんに有効なのかはっきりしたことはわかっていませんが、体の中に「ケトン体」が作り出されることが必要なことと考えられています。「ケトン体」というのは総称であり、その内容はアセト酢酸、β−ハイドロキシ酪酸、アセトンという3種類の物質であって、りんごの腐ったような独特の匂いがします。 |
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Q3 | ケトン食でけいれん発作が止まると聞きましたが、本当ですか。 | |
A3 | 薬によって発作が止まらない難治性てんかんの症例で50%の確率で効果があると言われています。 小児のミオクロニー発作型発作といって急に前や後に倒れる型の発作と、レノックス症候群と呼ばれる、あまり発作は目立ちませんが、知能の低下や行動異常をきたすような発作には大変よく効くことが知られています。脳炎や出産障害が原因でおこるけいれんはケトン食が効きにくい傾向がありますが、発作を止めることができなくても、ぼんやりした子がはっきりする、落ち着きのない子が静かになる、などの効果がみられます。 |
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Q4 | ケトン食の効果はどれくらいで現れますか。また、どれくらい続けるのですか。 | |
A4 | ケトン食を始めてから効果が現れるまでの時間は個人差があり、一概には言えません。できれば、半年は続け、この時期になっても効果が見られないときはケトン食をあきらめて、他の治療法に切り替えることになります。 ケトン食が少しでも有効であれば、できれば2年間を一応の目標にしたいものです。 【体験談】 ケトン食を自宅で1:1から始め、2ヶ月を過ぎても発作は減らず主治医はケトン食を中止することも検討しましたが、親の希望で続けることにしました。その後、4ヶ月で発作が減り始め、8ヶ月で昼間の発作がなくなり、1年5ヶ月を過ぎた頃には夜の発作もなくなり日常生活では装具を着けなくてもよくなりました。 |
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Q5 | 大人でもできますか。 | |
A5 | どの年齢のけいれんでも有効です。成人にも効くのですが、小児の方が有効と考えられています。 |
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Q6 | ケトン食の副作用はないのですか。脂肪中心の食事と聞きましたが、太ったり、コレステロール値が高くなったりしないのですか。 | |
A6 | 人の体は、通常主なエネルギー源として糖質を使っていますが、ケトン食では高脂肪低糖質の食事をすることによって、エネルギー源を脂肪に変えています。ご質問のとおり脂肪中心の食事なので、成長に必要な十分なたんぱく質を摂ることができずに身長が伸びにくい等の副作用が出たり、水溶性のビタミンであるビタミンB,Cや、カルシウム、食物繊維等が不足しがちとなります。 ケトン食は多少痩せ気味の方がよく効くことから、カロリーを少なめに抑えていますので太ることを心配する必要はありません。また、中年以上の成人がケトン食を食べると、動脈硬化がおこりやすくなりますが、子供や若い人は心配する必要はありません。中鎖脂肪酸を含むケトンフォーミュラを使用する場合は、肝機能に影響がある場合がありますので、定期的に血液検査を受けるようにしてください。 【体験談】 ビタミンやカルシウムなどを添加したケトンフォーミュラをなるべく多く使うことで成長に必要な栄養素は確保できていると思います。小学部1年生で身長が120センチ程度あり、クラスでも大きい方だと思います。少し便秘気味になった時は、レタスなどの糖質が少ない野菜を多く使うようにしたり、水分を多めに摂ったりしています。 |
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Q7 | 最近、難治性てんかんの治療に「アトキンス食」が使われていると聞きます。ケトン食とアトキンス食の違いについて教えてください。 | |
A7 | アトキンス食は、もともと肥満対策のダイエット食として開発された食事療法で、ケトン食同様、高脂肪、低炭水化物の食事なのですが、カロリーやタンパク質の制限を行わないことを特徴としています。 アトキンス食には、ケトン体生成を促す作用があり、抗けいれん作用をもたらすことが知られ、2006年には、ケトン食の変法として難治性てんかんに対し有用であることが報告されました。 さらに2007年には、アトキンス食を改良した、改良アトキンス食が開発されました。ケトン食は、Woodyattの式により、K/AKの比率、いわゆるケトン指数により管理されますが、改良アトキンス食は、脂肪:タンパク質:炭水化物の比率が、60:30:10になるように管理されることに特徴があります。 アトキンス食、改良アトキンス食にはカロリー制限がなく、高カロリーが求められる成人への適用、長期間の実施が必要なGLUT1欠損症への適用などが期待されています。 |