会長辞任のご挨拶

日本ヘルスプロモーション学会
会長辞任のご挨拶


 日本ヘルスプロモーション学会会員の皆様、ご健勝のこととお慶び申し上げます。
 さて、小生今年度を持ちまして、日本ヘルスプロモーション学会の会長職を辞します。
 2002年8月3日に自ら会長職に就き、有志と共に日本ヘルスプロモーション学会を立ち上げました。当初、副会長は、尾形聰先生と山本春江先生でした。以来、副会長は建野正毅先生、市村久美子先生となり、現在は齊藤恭平先生と櫻井しのぶ先生が務めています。
 想えば、1986年デンマークのコペンハーゲン大学医学部社会医学研究所に留学中にWHO ヨーロッパ地域事務局のライフスタイル&ヘルス部局のイローナ・キックブッシュ博士にお会いした時から「ヘルスプロモーション」への熱き想いが沸き上がりました。
 帰国後、1987年4月に健康社会学研究会を立ち上げ、日本でのヘルスプロモーション・ムーブメントを開始しました。その後1991年に東京大学医学部の宮坂忠夫先生のお声がけにより、ヘルスプロモーションを推進することを企図して、5人の幹事の一人に就任し、日本健康教育学会学(Japanese Society of Health Education and Promotion)を設立しました。しかしながら、ヘルスプロモーションは健康教育学だけでカバーできる学問ではありません。ヘルスプロモーションは、アンブレラ・コンセプト、医学(疫学)・心理学・社会学そして健康教育学がコアを成す学際領域です。帰することがあり、2000年に日本健康教育学会を退会し、ヘルスプロモーションに真正面から取り組むために、2002年に日本ヘルスプロモーション学会を有志と共に立ち上げました。
 学会長のメッセージとして「日本ヘルスプロモーション学会は、21世紀を生きる人びとの健康を創造するための科学的でかつ人間的な知識と技術を開発するとともに、健康に価値を置く人びとのハートを育て、健康幸せな社会を構築する仕組みをつくることを目的として設立するものである。学会設立のねらいは、我々が開発するヘルスプロモーション・プログラムへの参加を国民に働きかけ、これにより健康の推進を進める活動への個人・グループ・家族・地域そして政策決定者のエンパワメントを高め、個人のコントロールを超えた健康づくりへの各界、各層における運動を展開することにある。その理由は、ヘルスプロモーションが、保健・医療・福祉の分野にとらわれない新たなパラダイムを備えた分野であり、常に最上位の概念であるからである。・・・会員としては、ヘルスプロモーションの展開にとって必要な『住民参加・参画』と『分野間協力』を達成するため、研究者だけでなく、国、地方自治体の行政担当者、市民、学生など幅広い層を期待している。また、このため学会は、単なる研究発表の場としてだけではなく、行動する学会を目指すこととする。」と訴えました。
日本ヘルスプロモーション学会は、21世紀の健康戦略の中心を成す、素晴らしい学問です。会員の皆様の真摯な努力によって、世界の人びとに健康と幸せを届けて欲しいと願っています。
2022年11月1日からは、齊藤恭平先生が日本ヘルスプロモーション学会の理事長に就任致します。新たな出発に栄光あれと願うばかりです。

2022年10月31日
日本ヘルスプロモーション学会
会長 島内憲夫