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[Synonyms:夜間突然死症候群(Sudden Unexpected Nocturnal Death Syndrome)]
Gene Reviews著者: Ramon Brugada, MD, PhD, Oscar Campuzano, BSc, PhD, Georgia Sarquella-Brugada, MD, PhD, Pedro Brugada, MD, PhD, Josep Brugada, MD, PhD, and Kui Hong, MD, PhD.
日本語訳者:櫻井晃洋(斗南病院ゲノム医療センター)
GeneReviews最終更新日:2022.8.25 日本語訳最終更新日: 2026.9.19
原文: Brugada Syndrome
疾患の特徴
ブルガダ症候群は、心臓伝導異常(心電図のV1~V3誘導におけるST部分異常および心室性不整脈のリスクが高いこと)を特徴とし、突然死を引き起こす可能性がある。ブルガダ症候群は主に成人期に発症するが、診断時の年齢は乳幼児期から成人後期まで幅広い。突然死の平均年齢は約40歳である。臨床症状には、乳幼児突然死症候群(SIDS;生後1年以内に原因不明で死亡する乳幼児)や、東南アジア出身者によく見られる夜間突然死症候群(SUNDS)も含まれる。その他の伝導障害としては、第一度房室ブロック、心室内伝導遅延、右脚ブロック、洞不全症候群などがある。
診断・検査
ブルガダ症候群の診断は、特徴的な心電図所見と示唆的な病歴および/または家族歴を有する患者において臨床的に確定される。分子診断は、特徴的な所見を有し、SCN5Aまたはブルガダ症候群に関連する他の42個の遺伝子のいずれかにヘテロ接合性の病的バリアントを同定することで確定する。
臨床的マネジメント
症状の治療:
神または心停止の既往歴のある患者には植込み型除細動器(ICD)を、電気的ストームにはイソプロテレノールを投与する。ブルガダ症候群の患者は、手術中および術後回復期間中は心電図(EKG)によるモニタリングを受けるべきである。
初期症状の予防:
キニジン(1日1~2g)。無症状者に対する治療については議論の余地がある。
経過観察:
ブルガダ症候群の家族歴がある、またはブルガダ症候群を引き起こす可能性のある既知の病的バリアントを有するリスクの高い個人に対しては、1~2年ごとに心電図モニタリングを実施する。
回避すべき薬剤/環境:
高熱、迷走神経刺激薬、αアドレナリン作動薬、βアドレナリン拮抗薬、三環系抗うつ薬、第一世代抗ヒスタミン薬(ジメンヒドリナート)、コカイン、クラス1C抗不整脈薬(フレカイニド、プロパフェノン)、クラス1A抗不整脈薬(プロカインアミド、ジソピラミド)。
リスクのある血縁者の評価:
心電図検査、または(家族内で病的バリアントが判明している場合)分子遺伝学的検査を用いてリスクのある血縁者を特定することで、予防措置を講じたり、心室性不整脈を誘発する可能性のある薬剤を回避したりすることが可能になる。
遺伝カウンセリング
ほとんどの場合、ブルガダ症候群は常染色体顕性遺伝で遺伝するが、例外としてKCNE5関連ブルガダ症候群はX連鎖遺伝形式をとる。ブルガダ症候群と診断された人のほとんどは、罹患した親または近親者がいる。de novo 病的バリアントによって引き起こされるブルガダ症候群の患者の割合は非常に低く(約1%)、常染色体顕性ブルガダ症候群の患者の子は、50%の確率で病的バリアントを受け継ぐ。浸透率の低下や他の遺伝的・環境的要因の可能性から、子が家族性病的バリアントを受け継いでブルガダ症候群を発症するリスクは50%未満になる可能性がある。浸透率の低下と表現型の多様性は、ブルガダ症候群の特徴である。罹患した家族でブルガダ症候群関連の病的バリアントが特定されると、リスクの高い妊娠に対する出生前検査や、ブルガダ症候群に対する着床前遺伝学的検査が可能になる。
ブルガダ症候群は、活動電位を生成する膜貫通型イオンチャネルの遺伝子変化によって引き起こされるチャネル病であり、この場合は心臓不整脈のリスク増加につながる[ Benito et al 2009 ]。
示唆される所見
以下のいずれかの所見が認められる場合、ブルガダ症候群を疑うべきである。
さらに、以下のいずれかの心電図パターンが認められる。
診断の確定
ブルガダ症候群の臨床診断は、臨床診断基準に基づいて発端者において確立することも、示唆的な所見があり、かつ表1に記載されている遺伝子のいずれかにヘテロ接合型(男性の場合はKCNE5のヘミ接合型)の病的(または病的の可能性が高い)バリアントを発端者において認めることによって確立することもできる(ブルガダ症候群の診断アルゴリズムについては図2を参照)。
)
注:ACMGのバリアント解釈ガイドラインによれば、「病的バリアント」と「病的の可能性が高いバリアント」という用語は臨床現場では同義であり、どちらも診断に用いられ、臨床上の意思決定に利用できる。本項における「病的バリアント」への言及は、病的の可能性が高いバリアントも含むものとする。
臨床診断
ブルガダ症候群の臨床診断は、以下の2つの所見が両方認められる発端者において確立される。
* 心電図異常の原因となる他の要因は存在しない。
注:ブルガダ症候群患者の約75%は、臨床歴と心電図検査の結果に基づいて診断が確定される。分子遺伝学的検査は診断を確定し、臨床検査を補完する可能性がある[ Benito et al 2009 ]。
分子遺伝学的検査
分子遺伝学的検査のアプローチには、遺伝子標的検査(単一遺伝子検査、多遺伝子パネル)と包括的ゲノム検査(エクソームシーケンシング、ゲノムシーケンシング)の組み合わせが含まれる。遺伝子標的検査では、臨床医が関与している可能性のある遺伝子を特定する必要がある(オプション1を参照)が、包括的ゲノム検査ではその必要はない(オプション2を参照)。示唆的所見に記載されている特徴的な所見を持つ人は、遺伝子標的検査を使用して診断される可能性が高く(オプション1を参照)、一方、心臓伝導異常を伴う他の多くの遺伝性疾患と区別できない表現型を持つ人は、ゲノム検査を使用して診断される可能性が高くなる(オプション2を参照)。
オプション1
SCN5Aから始めて、連続的な単一遺伝子検査を検討することができる。あるいは、臨床所見、検査所見、祖先などの要因から特定の遺伝子の変異が最も可能性が高いと判断される場合にも、連続的な単一遺伝子検査を検討することができる。まず対象遺伝子のシーケンス解析を行い、病的バリアントが見つからない場合は、遺伝子を標的とした欠失/重複解析を行う。
表 1に記載されている遺伝子とその他の関心のある遺伝子 (鑑別診断を参照) を含む多遺伝子パネルも、表現型の原因となりえない遺伝子の病的バリアントや病的意義不明バリアントの検出を減らしつつ、病態の遺伝学的原因を同定する目的で検討される。 注: (1) パネルに含まれる遺伝子および各遺伝子に対する検査の診断感度は検査機関によって異なり、時間の経過とともに変化する可能性がある。(2) 一部の多遺伝子パネルには、本GeneReviewで論じられている疾患とは関連のない遺伝子が含まれている場合があるため、臨床医は、根本的な表現型を説明しない遺伝子における病的バリアントや意義不明のバリアントの同定を最小限に抑えつつ、当該疾患の遺伝的原因を特定する可能性が最も高い多遺伝子パネルを選択する必要がある。(3) 一部の検査機関では、パネルオプションとして、検査機関が独自に設計したカスタムパネルや、臨床医が指定した遺伝子を含む表現型に焦点を当てたカスタムエクソーム解析などが含まれる場合がある。(4) パネルで使用される手法には、シーケンス解析、欠失・重複解析、および/またはその他の非シーケンシングベースの検査が含まれる場合がある。
多遺伝子パネルの概要については、こちらをクリック。遺伝学的検査を依頼する臨床医向けのより詳細な情報については、こちらを参照のこと。
オプション2
包括的なゲノム検査では、どの遺伝子が関与している可能性が高いかを医師が特定する必要はない。エクソームシーケンスが最も一般的に用いられるが、ゲノムシーケンスも可能である
包括的ゲノム検査の概要については、こちらをクリック。ゲノム検査を依頼する臨床医向けのより詳細な情報については、こちらを参照のこと。
| 遺伝子 1 | 臨床病型 | ブルガダ症候群の うちで占める割合 |
病的バリアント2の割合 (検出方法による) |
|
|---|---|---|---|---|
| シーケンス 解析3 |
遺伝子標的欠失/重複解析 4 | |||
| SCN5A | ブルガダ症候群1型 | 30% 5 | 99% | 約1% 6 |
| ABCC9 | 1%未満 | 100% | 報告なし 7 | |
| AKAP9 | ||||
| ANK2 | ||||
| CACNA1C | ブルガダ症候群3型 | |||
| CACNB2 | ブルガダ症候群4型 | |||
| CACNA2D1 | ||||
| CASQ2 | ||||
| DSG | ||||
| DSP | ||||
| FGF12 | ||||
| GPD1L | ブルガダ症候群2型 | |||
| HCN4 | ブルガダ症候群8型 | |||
| HEY2 | ||||
| KCNAB2 | ||||
| KCNB2 | ||||
| KCND2 | ||||
| KCND3 | ブルガダ症候群9型 | |||
| KCNE2 | ||||
| KCNE3 | ブルガダ症候群6型 | |||
| KCNE5 | ||||
| KCNH2 | ||||
| KCNJ8 | ||||
| KCNJ16 | ||||
| LRRC10 | ||||
| PKP2 | ||||
| PLN | ||||
| ラングロフ | ||||
| RyR2 | ||||
| SCN1B | ブルガダ症候群5型 | |||
| SCN2B | ||||
| SCN3B | ブルガダ症候群7型 | |||
| SCN4A | ||||
| SCN10A | ||||
| SCNN1A | ||||
| SEMA3A | ||||
| SLMAP | ||||
| TBX5 | ||||
| TKT | ||||
| TRPM4 | ||||
| TTN | ||||
| XIRP1 | ||||
| XIRP2 | ||||
| 未知 | 約65% 8 | |||
臨床的特徴
診断時年齢 ブルガダ症候群は主に成人期に発症し、突然死の平均年齢は約40歳である。最年少の症例は生後2日で診断され、最年長の症例は85歳で診断された[ Huang & Marcus 2004 ]。
性差 ブルガダ症候群は男性に多く見られるが、女性にも発症し、男女ともに心室性不整脈や突然死のリスクが高い [ Hong et al 2004b ]。
症状 現在最も一般的な症状は、悪性不整脈があり過去に失神発作の既往歴がある50代の患者である。失神は一般的な症状である[ Mills et al 2005、Benito & Brugada 2006、Karaca & Dinckal 2006 ]。
持続性心室性不整脈が容易に誘発され、自然に異常な心電図を示す患者は、生涯のどの時点でも不整脈イベントが発生する可能性が45%ある[ Benito et al 2009 ]。電気的ストーム(不整脈ストームとも呼ばれる)は、短期間に複数回発生する心室性不整脈のエピソードであり、ブルガダ症候群では悪性だがまれな現象である。持続性心室頻拍(VT)は、数時間続く血行動態的に安定したVTと定義される。
ブルガダ症候群は伝導障害を伴って発症することがある。ブルガダ症候群では、1度房室ブロック、心室内伝導遅延、右脚ブロック、洞不全症候群の存在は珍しくない[ Smits et al 2005 ]。
ブルガダ症候群の臨床症状には、乳幼児突然死症候群(SIDS;生後1年以内の原因不明の死亡)[ Priori et al 2000、Antzelevitch 2001、Skinner et al 2005、Van Norstrand et al 2007 ] や、東南アジアでみられる原因不明の心停止で若年者が死亡する症候群である夜間突然死症候群(SUNDS)[ Vatta et al 2002 ]も含まれる。ブルガダ症候群とSUNDSの患者で同じSCN5Aの病的バリアントが同定されたことから、これらが同一の疾患であるという仮説が支持されている[ Hong et al 2004a ]。
ブルガダ心電図パターンおよび突然心臓死症候群の誘発因子には、発熱、コカイン使用、電解質異常、クラスI抗不整脈薬およびその他の非心臓薬の使用などがある[ Francis & Antzelevitch 2005 ]。最も重要なのは、一部の(通常は若い)人では、誘発された心電図パターンの存在が突然心臓死と関連していることである。この関連性の背後にある病態生理学的メカニズムは、依然としてほとんど解明されていない。
悪性不整脈のリスク予測 悪性不整脈の発症リスクの層別化を改善するために、いくつかのパラメータが調査されてきた(図3を参照)。
図3 ブルガダ症候群患者におけるリスク層別化スキームの提案と植込み型除細動器(ICD)に関する推奨事項 Berne & Brugada [2012]より許可を得て転載
病態生理 ナトリウムチャネル病によって引き起こされるブルガダ症候群は、心電図のPQ、QRS、HV間隔の延長など、加齢に伴う進行性の伝導異常と関連している[ Smits et al 2002、Yokokawa et al 2007 ]。ナトリウム電流の機能不全は心外膜の局所的な伝導ブロックに寄与し、QRS複合体内の複数のスパイクや心房細動および心室細動の誘発につながる[ Morita et al 2008 ]。
ナトリウムチャネル病は典型的なブルガダ型心電図を示し、徐脈時に頻繁な不整脈を呈した[ Makiyama et al 2005 ]。キニジンとイソプロテレノールはいずれもJ-ST上昇を正常化し、不整脈を予防した。
遺伝子による表現型相関
SCN5A ST上昇の程度と不整脈の発生は、ヘテロ接合型SCN5A病的バリアントを有するブルガダ症候群患者と有さない患者の間で類似していた[ Morita et al2009 ]。
遺伝型と表現型の相関
遺伝型と表現型の相関関係を調査した研究は少ない[ Ciconte et al 2021 ]。
SCN5A
浸透率
SCN5ASCN5A病的バリアントを有する個体のうち、約20~30%がブルガダ症候群と診断される心電図所見を示し、約80%がナトリウムチャネル遮断薬(例:アジマリン)投与時に特徴的な心電図変化を示す[ Hong et al 2004b、 Benito et al 2009 ]。
病名
Vatta ら [2002]およびHong ら [2004a]は、突然予期せぬ夜間死亡症候群 (SUNDS) とブルガダ症候群は、表現型、遺伝学的、機能的に同じ疾患であると結論した。SUNDS はもともと東南アジアの人々で報告された。SUNDS の別名には、予期せぬ突然死症候群 (SUDS)、バンガングット(フィリピン)、ノンライタイ(ラオス)、ライタイ(タイ)、ポックリ病(日本) などがある。
有病率
ブルガダ症候群は世界中で発生している。流行地域(南アジア)における罹患率は約2,000人に1人である。SUNDSが流行している東南アジア諸国では、40歳未満の男性の死因の第2位(事故に次ぐ)となっている。
発表された研究のデータによると、ブルガダ症候群は予期せぬ突然死の4~12%、そして心臓が正常な人における突然死全体の最大20%の原因となっている[ Brugada et al 1999a ]。
成人日本人集団(22,027人)を対象とした前向き研究では、ブルガダ症候群と一致する心電図を示す人が12人(有病率0.05%)いたことが示された[ Tohyou et al 1995 ]。日本の阿波市で行われた成人を対象とした2番目の研究では、有病率は0.6%(66人:10,420人)であった[ Namiki et al 1995 ]。対照的に、日本人小児を対象とした3番目の研究では、ブルガダ症候群と一致する心電図の有病率はわずか0.0006%(1人:163,110人)であった[ Hata et al 1997 ]。したがって、症状や分子遺伝学的検査がない場合、これらの研究は、研究対象集団におけるブルガダ症候群の心電図パターン(ブルガダ症候群そのものではない)の有病率の推定値を提供する。今回の結果は、ブルガダ症候群が主に成人期に発症することを示唆しており、これは突然死の平均年齢(35~40歳)と一致する所見である。
CHEK2関連がん易罹患性素因以外で、CHEK2の生殖細胞系列病的バリアントと関連している表現型は知られていない。
白血球におけるCHEK2病的バリアントの低レベル体細胞モザイクはよく見られる所見であり、加齢、細胞障害性治療、基礎にある造血器悪性腫瘍または前悪性腫瘍、あるいは循環腫瘍細胞による意義不明のクローン性造血(CHIP)に関連する後天的な病的バリアントであることを示唆している[ Slavin et al 2019 ]。非造血組織には存在せず、補助評価によってCHIPまたは造血細胞におけるクローン増殖の結果であることが確認されたCHEK2病的バリアントを有する個体は、CHEK2関連のがん素因を持たない。
多くの種類の散発性腫瘍には、CHEK2の体細胞病的バリアントが含まれている。個人または家族の臨床管理への影響を考慮して、CHEK2病的バリアントが生殖細胞系列由来か体細胞性かを判断するための補助評価が実施される可能性があり、培養皮膚線維芽細胞などの非造血組織に対するCHEK2分子遺伝学的検査が含まれる場合がある[ Sutcliffe et al 2022 ]。
ブルガダ症候群関連遺伝子の生殖細胞系列病的バリアントによって引き起こされることが知られている疾患を表2にまとめる。
注:表2には、ブルガダ症候群関連遺伝子における遺伝的修飾因子(ゲノムワイド関連研究によって特定された感受性遺伝子座/多型など)に関するデータは含まれていない。これらの遺伝子は、特定の表現型のリスクにわずかながら寄与する可能性がある。
| 遺伝子 | 疾患 |
|---|---|
| ABCC9 | Cantu症候群 |
| 拡張型心筋症 | |
| 心房細動(現在までに1例で報告されている[ Olson et al 2007 ]) | |
| 早期再分極症候群 [ Hu et al 2014 ] | |
| CACNA1C | QT延長症候群 |
| Timothy症候群(CACNA1C関連疾患を参照。) | |
| QT短縮症候群(CACNA1C関連疾患を参照)。 | |
| CACNA2D1 | QT 短縮症候群 [ Templin et al 2011 ] |
| 早期再分極症候群 [ Burashnikov et al 2010 ] | |
| CACNB2 | ブルガダ症候群以外の表現型が引き起こされることは知られていない。 |
| FGF12 | 小脳萎縮とてんかん性脳症(現在までに1家系で報告されている[ Siekierska et al 2016 ]) |
| GPD1L | ブルガダ症候群以外の表現型が引き起こされることは知られていない。 |
| HCN4 | てんかん [ Becker et al 2017、Campostrini et al 2018 ] |
| KCND2 | てんかん(現在までに1例報告されている[ Singh et al 2006 ]) |
| 突然死関連J波症候群(現在までに1例報告されている[ Perrin et al 2014 ]) | |
| KCND3 | 脊髄小脳失調症 |
| KCNE2 | 心房細動 [ Yang et al 2004 ] |
| QT延長症候群 | |
| KCNE3 | ブルガダ症候群以外の表現型が引き起こされることは知られていない。 |
| KCNE5 | 心房細動(現在までに1例で報告されている[ Ravn et al 2008 ]) |
| KCNH2 | QT延長症候群 |
| QT 短縮症候群 [ Brugada et al 2004、Grunnet et al 2008 ] | |
| KCNJ8 | Cantu症候群 |
| PKP2 | 不整脈原性右室心筋症 |
| RANGRF | ブルガダ症候群以外の表現型が引き起こされることは知られていない。 |
| SCN1B | 側頭葉てんかん [ Scheffer et al 2007 ] |
| 全般性てんかんと熱性けいれんプラス1型(GEFS+1)[ Scheffer et al 2007 ] | |
| 心房細動 [渡辺ら 2009 ] | |
| 発達性てんかん性脳症 [ Ramadan et al 2017 ] | |
| SCN2B | 心房細動 [渡辺ら 2009 ] |
| SCN3B | 心房細動 [ Wang et al 2010 ] |
| SCN5A | QT延長症候群 |
| 進行性伝導系疾患(PCCD、Lenegre病、孤立性心臓伝導障害)[ Schott et al 1999、Tan et al 2001、Wang et al 2002 ] | |
| 心房細動 [ Olson et al 2005 ] | |
| 拡張型心筋症 | |
| 副鼻腔炎症候群 [Benson et al 2003 ] | |
| 家族性発作性心室細動 [Watanabe et al 2011 ] | |
| SCN10A | 家族性発作性疼痛症候群 [ Faber et al 2012 ] |
| SEMA3A | Kallmann症候群(孤立性ゴナドトロピン放出ホルモン欠乏症を参照。) |
| TRPM4 | 赤血球角皮症変性症と進行性 [ Wang et al 2019 ] |
| 進行性家族性心ブロック1B型 [ Kruse et al 2009 ] |
初診後の評価
ブルガダ症候群と診断された個人の疾患の程度とニーズを把握するために、以下の評価(診断に至った評価の一部として実施されていない場合)が推奨される。
症状の治療
ブルガダ症候群は、 V1~V3誘導におけるST上昇を特徴とする。植込み型除細動器(ICD)は、失神または心停止を伴うブルガダ症候群患者に現在有効であることが知られている唯一の治療法である[ Brugada et al 1999b、Wilde et al 2002 ]。ブルガダ症候群患者におけるICDのリスク層別化と推奨事項については、図3を参照のこと。
電気的ストームは、他の抗不整脈薬の前に第一選択治療としてイソプロテレノール(1~3μg/分)の点滴投与によく反応する[ Maury et al 2004 ]。
以下の点は重要である。
さらに
無症状者の治療については議論がある。推奨事項は様々で[ Benito et al 2009、Escárcega et al 2009、Nunn et al 2010、Brugada et al 2018 ]、以下のようなものがある。
ブルガダ症候群の患者は、手術中および術後の回復期間中、心電図によるモニタリングを受けるべきである。
原発症状の予防
キニジン(1日1~2g)はST上昇を回復させ、不整脈の発生率を低下させることが示されている[ Belhassen et al 2004、Hermida et al 2004、Probst et al 2006 ]。
経過観察
ブルガダ症候群の家族歴がある、または既知の病的バリアントを持つリスクの高い人は、出生時から1~2年ごとに心電図モニタリングを受けるべきである[ Oe et al 2005 ]。タイプ1の心電図変化が見られる場合は、さらに詳しく調査する必要がある。
回避すべき薬剤/状況
以下の所見はブルガダ症候群の心電図所見を顕在化する可能性がある[ Antzelevitch et al 2002 ]:
以下のことは避けるべきである[ Antzelevitch et al 2003 ]:
リスクのある血縁者の評価
ブルガダ症候群に関連する病的バリアントが罹患した家族に確認された場合、子を含むリスクのある血縁者の分子遺伝学的検査は、以下の理由から適切である。
既知の病的バリアントを持つ人は、出生時から1~2年ごとに心電図モニタリングを受けるべきである(「経過観察」の項を参照)。
病原性変異が家族内で確認されていない場合、親族は出生時から1~2年ごとに心電図検査を受けるべきである(「経過観察」の項を参照)。I型心電図が確認された場合は、さらなる検査が必要である。
遺伝カウンセリングを目的とした、リスクのある血縁者の検査に関する問題については、「遺伝カウンセリング」の項を参照してください。
妊娠管理
妊娠中のホルモン変化は、ブルガダ症候群の女性に不整脈を引き起こす可能性がある。低用量イソプロテレノールの静脈内投与に続いて経口キニジンを投与することで、再発性心室頻拍を抑制し、心電図パターンを正常化することができる[ Sharif-Kazemi et al 2011 ]。
キニジンは胎児への催奇形性は知られておらず、妊娠中の不整脈治療薬として推奨されている。妊娠中の薬剤使用に関する詳細は、MotherToBabyを参照のこと。
研究中の治療法
米国ではClinicalTrials.gov 、欧州ではEU臨床試験登録簿を検索して、幅広い疾患や症状に関する臨床試験の情報を入手のこと。注:この疾患に関する臨床試験がない場合もある。
「遺伝カウンセリングは個人や家族に対して遺伝性疾患の本質,遺伝,健康上の影響などの情報を提供し,彼らが医療上あるいは個人的な決断を下すのを援助するプロセスである.以下の項目では遺伝的なリスク評価や家族の遺伝学的状況を明らかにするための家族歴の評価,遺伝学的検査について論じる.この項は個々の当事者が直面しうる個人的あるいは文化的、倫理的な問題に言及しようと意図するものではないし,遺伝専門家へのコンサルトの代用となるものでもない.」 -編集者注
遺伝形式
X連鎖遺伝子であるKCNE5の病的バリアントに関連するブルガダ症候群の1家系を除き、ブルガダ症候群は常染色体顕性形式で遺伝する[ Ohno et al 2011 ]。
家族構成員のリスク
発端者の両親
発端者の同胞
発端者の兄弟姉妹のリスクは、発端者の両親の遺伝的状態によって異なる。
その他の家族構成員
その他の家族へのリスクは、発端者の両親の状態によって異なる。親が罹患している場合、および/または病的バリアントを持っている場合、その親の家族もリスクを有する可能性がある。
関連する遺伝カウンセリング上の諸事項
早期診断および治療を目的とした、リスクのある血縁者の評価に関する情報については、「臨床的マネジメント、リスクのある血縁者の評価」を参照のこと。
家族計画
DNAバンク
検査方法や遺伝子、病原性メカニズム、疾患に関する理解は将来的に向上する可能性が高いため、分子診断が確定していない(すなわち、原因となる病原性メカニズムが不明な)被験者からDNAをバンクに保存することを検討すべきである。
出生前検査および着床前遺伝学的検査
罹患している血縁者でブルガダ症候群に関連する病的バリアントが特定されれば、出生前および着床前遺伝学的検査の実施が可能となる。
出生前および着床前遺伝学的検査の利用に関しては、医療従事者間や家族内でも見解の相違があるかもしれない。ほとんどの医療従事者は、出生前検査および着床前遺伝子検査の利用を個人の判断に委ねるべきであると考えているが、これらの問題について話し合うことは有益であろう。
分子遺伝学
分子遺伝学とOMIMの表の情報はGeneReviewsの他の場所の情報とは異なるかもしれない。表は、より最新の情報を含むことがある。データは、以下の標準的な参考文献から収集されている:遺伝子はHGNC、染色体座はOMIM、タンパク質はUniProt。リンクが掲載されているデータベース(Locus Specific、HGMD、ClinVar)の説明については、こちらをクリック。
| 114204 | カルシウムチャネル、電圧依存性、アルファ2/デルタサブユニット1;CACNA2D1 |
| 114205 | カルシウムチャネル、電圧依存性、L型、アルファ1Cサブユニット;CACNA1C |
| 152427 | カリウムチャネル、電位依存性、サブファミリーH、メンバー2;KCNH2 |
| 300328 | カリウム電位依存性チャネル、サブファミリーE、調節サブユニット5;KCNE5 |
| 600003 | カルシウムチャネル、電圧依存性、ベータ2サブユニット;CACNB2 |
| 600163 | ナトリウム電位依存性チャネル、アルファサブユニット5;SCN5A |
| 600235 | ナトリウム電位依存性チャネル、ベータサブユニット1;SCN1B |
| 600935 | カリウムチャネル、内向き整流型、サブファミリーJ、メンバー8;KCNJ8 |
| 601144 | ブルガダ症候群1型;BRGDA1 |
| 601327 | ナトリウム電位依存性チャネル、ベータサブユニット2;SCN2B |
| 601439 | ATP結合カセット、サブファミリーC、メンバー9;ABCC9 |
| 601513 | 線維芽細胞増殖因子12;FGF12 |
| 602701 | 筋形質膜関連タンパク質;SLMAP |
| 602861 | プラコフィリン2; PKP2 |
| 603796 | カリウム電位依存性チャネル、サブファミリーE、調節サブユニット2;KCNE2 |
| 603961 | セマフォリン3A;SEMA3A |
| 604427 | ナトリウム電位依存性チャネル、アルファサブユニット10;SCN10A |
| 604433 | カリウム電位依存性チャネル、サブファミリーE、調節サブユニット3;KCNE3 |
| 605206 | 過分極活性化環状ヌクレオチド依存性カリウムチャネル4;HCN4 |
| 605410 | カリウム電位依存性チャネル、SHAL関連サブファミリー、メンバー2;KCND2 |
| 605411 | カリウム電位依存性チャネル、SHAL関連サブファミリー、メンバー3;KCND3 |
| 606936 | 一過性受容体電位型カチオンチャネル、サブファミリーM、メンバー4;TRPM4 |
| 607954 | RANグアニンヌクレオチド放出因子;RANGRF |
| 608214 | ナトリウム電位依存性チャネル、ベータサブユニット3;SCN3B |
| 611777 | ブルガダ症候群2型;BRGDA2 |
| 611778 | グリセロール-3-リン酸デヒドロゲナーゼ1様タンパク質;GPD1L |
| 611875 | ブルガダ症候群3型;BRGDA3 |
| 611876 | ブルガダ症候群4型;BRGDA4 |
| 612838 | ブルガダ症候群5型;BRGDA5 |
| 613119 | ブルガダ症候群6型;BRGDA6 |
| 613120 | ブルガダ症候群7型;BRGDA7 |
| 613123 | ブルガダ症候群8型;BRGDA8 |
| 616399 | ブルガダ症候群9型;BRGDA9 |
分子病態
| チャネル | 臨床病型1 | 遺伝子 | 一般的なタンパク質名 |
|---|---|---|---|
| ナトリウム | BrS 1 | SCN5A | ナビゲーション1.5 |
| BrS 2 | GPD1L | グリセロール-3-P-DH-1 | |
| BrS 5 | SCN1B | ナビブ1 | |
| BrS 7 | SCN3B | ナビブ3 | |
| BrS 16 | SCN2B | ナビブ2 | |
| ナトリウム関連 | BrS 10 | RANGRF | RAN-G放出因子 |
| BrS 14 | SLMAP | 筋形質膜関連タンパク質 | |
| カリウム | BrS 6 | KCNE3 | MiRP2 |
| BrS 8 | KCNJ8 | Kv6.1 | |
| BrS 9 | HCN4 | 過分極環状ヌクレオチドゲート4 | |
| BrS 11 | KCNE5 | カリウム電位依存性チャネルサブファミリーEメンバー1様 | |
| BrS 12 | KCND3 | Kv4.3 Kir4.3 | |
| カルシウム | BrS 3およびQT短縮 | CACNA1C | Cav1.2 |
| BrS 4 & より短いQT | CACNB2 | 電圧依存性β-2 | |
| BrS 13 | CACNA2D1 | 電圧依存性 a2/d1 | |
| BrS 15 | TRPM4 | 一過性受容体電位M4 |
| 参照配列 | DNA塩基の変化 | 予測されるタンパク質変化 | コメント [参考] |
|---|---|---|---|
| NM_000335.5 NP_000326.2 |
c.845G>A | p.Arg282His | 「遺伝型と表現型の相関」を参照 |
| c.1535C>T | p.Thr512Ile | ||
| c.1673A>G | p.His558Arg | ||
| c.2893C>T | p.Arg965Cys | タイにおける創始者バリアント [ Chimparlee et al 2021 ] |
表に記載されているバリアントは著者らから提供されたものである。GeneReviewsスタッフは、これらのバリアントの分類について独自に検証を行っていない。
GeneReviewsは、ヒトゲノム変異学会(varnomen.hgvs.org)の標準的な命名規則に従っている。命名法に関する説明については、「クイックリファレンス」を参照のこと。
Gene Review著者: Ramon Brugada, MD, PhD, Oscar Campuzano, BSc, PhD, Georgia Sarquella-Brugada, MD, PhD, Pedro Brugada, MD, PhD, Josep Brugada, MD, PhD, and Kui Hong, MD, PhD.
日本語訳者: 窪田美穂(ボランティア翻訳者),櫻井晃洋(札幌医科大学附属病院遺伝子診療室)
Gene Review 最終更新日: 016.11.17,日本語訳最終更新日:2016.12.27
Gene Reviews著者: Ramon Brugada, MD, PhD, Oscar Campuzano, BSc, PhD, Georgia Sarquella-Brugada, MD, PhD, Pedro Brugada, MD, PhD, Josep Brugada, MD, PhD, and Kui Hong, MD, PhD.
日本語訳者:櫻井晃洋(斗南病院ゲノム医療センター)
GeneReviews最終更新日:2022.8.25 日本語訳最終更新日: 2026.9.19[in present]
原文: Brugada Syndrome
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