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ブルガダ症候群
(Brugada Syndrome)

[Synonyms:夜間突然死症候群(Sudden Unexpected Nocturnal Death Syndrome)]

Gene Reviews著者: Ramon Brugada, MD, PhD, Oscar Campuzano, BSc, PhD, Georgia Sarquella-Brugada, MD, PhD, Pedro Brugada, MD, PhD, Josep Brugada, MD, PhD, and Kui Hong, MD, PhD.
日本語訳者:櫻井晃洋(斗南病院ゲノム医療センター)  

GeneReviews最終更新日:2022.8.25 日本語訳最終更新日: 2026.9.19

原文: Brugada Syndrome


要約


疾患の特徴

ブルガダ症候群は、心臓伝導異常(心電図のV1~V3誘導におけるST部分異常および心室性不整脈のリスクが高いこと)を特徴とし、突然死を引き起こす可能性がある。ブルガダ症候群は主に成人期に発症するが、診断時の年齢は乳幼児期から成人後期まで幅広い。突然死の平均年齢は約40歳である。臨床症状には、乳幼児突然死症候群(SIDS;生後1年以内に原因不明で死亡する乳幼児)や、東南アジア出身者によく見られる夜間突然死症候群(SUNDS)も含まれる。その他の伝導障害としては、第一度房室ブロック、心室内伝導遅延、右脚ブロック、洞不全症候群などがある。

診断・検査

ブルガダ症候群の診断は、特徴的な心電図所見と示唆的な病歴および/または家族歴を有する患者において臨床的に確定される。分子診断は、特徴的な所見を有し、SCN5Aまたはブルガダ症候群に関連する他の42個の遺伝子のいずれかにヘテロ接合性の病的バリアントを同定することで確定する。

臨床的マネジメント

症状の治療:
神または心停止の既往歴のある患者には植込み型除細動器(ICD)を、電気的ストームにはイソプロテレノールを投与する。ブルガダ症候群の患者は、手術中および術後回復期間中は心電図(EKG)によるモニタリングを受けるべきである。

初期症状の予防:
キニジン(1日1~2g)。無症状者に対する治療については議論の余地がある。

経過観察:
ブルガダ症候群の家族歴がある、またはブルガダ症候群を引き起こす可能性のある既知の病的バリアントを有するリスクの高い個人に対しては、1~2年ごとに心電図モニタリングを実施する。

回避すべき薬剤/環境:
高熱、迷走神経刺激薬、αアドレナリン作動薬、βアドレナリン拮抗薬、三環系抗うつ薬、第一世代抗ヒスタミン薬(ジメンヒドリナート)、コカイン、クラス1C抗不整脈薬(フレカイニド、プロパフェノン)、クラス1A抗不整脈薬(プロカインアミド、ジソピラミド)。

リスクのある血縁者の評価:
心電図検査、または(家族内で病的バリアントが判明している場合)分子遺伝学的検査を用いてリスクのある血縁者を特定することで、予防措置を講じたり、心室性不整脈を誘発する可能性のある薬剤を回避したりすることが可能になる。

遺伝カウンセリング

ほとんどの場合、ブルガダ症候群は常染色体顕性遺伝で遺伝するが、例外としてKCNE5関連ブルガダ症候群はX連鎖遺伝形式をとる。ブルガダ症候群と診断された人のほとんどは、罹患した親または近親者がいる。de novo 病的バリアントによって引き起こされるブルガダ症候群の患者の割合は非常に低く(約1%)、常染色体顕性ブルガダ症候群の患者の子は、50%の確率で病的バリアントを受け継ぐ。浸透率の低下や他の遺伝的・環境的要因の可能性から、子が家族性病的バリアントを受け継いでブルガダ症候群を発症するリスクは50%未満になる可能性がある。浸透率の低下と表現型の多様性は、ブルガダ症候群の特徴である。罹患した家族でブルガダ症候群関連の病的バリアントが特定されると、リスクの高い妊娠に対する出生前検査や、ブルガダ症候群に対する着床前遺伝学的検査が可能になる。


診断

ブルガダ症候群は、活動電位を生成する膜貫通型イオンチャネルの遺伝子変化によって引き起こされるチャネル病であり、この場合は心臓不整脈のリスク増加につながる[ Benito et al 2009 ]。

示唆される所見

以下のいずれかの所見が認められる場合、ブルガダ症候群を疑うべきである。

さらに、以下のいずれかの心電図パターンが認められる。

ブルガダ症候群の特徴的な心電図。V1 ~ V3誘導にST上昇(コーブ型)が認められる
。

診断の確定

ブルガダ症候群の臨床診断は、臨床診断基準に基づいて発端者において確立することも、示唆的な所見があり、かつ表1に記載されている遺伝子のいずれかにヘテロ接合型(男性の場合はKCNE5のヘミ接合型)の病的(または病的の可能性が高い)バリアントを発端者において認めることによって確立することもできる(ブルガダ症候群の診断アルゴリズムについては図2を参照)。

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図2 ブルガダ症候群の診断アルゴリズム(Berne & Brugada [2012]より許可を得て転載

注:ACMGのバリアント解釈ガイドラインによれば、「病的バリアント」と「病的の可能性が高いバリアント」という用語は臨床現場では同義であり、どちらも診断に用いられ、臨床上の意思決定に利用できる。本項における「病的バリアント」への言及は、病的の可能性が高いバリアントも含むものとする。

臨床診断

ブルガダ症候群の臨床診断は、以下の2つの所見が両方認められる発端者において確立される。

* 心電図異常の原因となる他の要因は存在しない。

注:ブルガダ症候群患者の約75%は、臨床歴と心電図検査の結果に基づいて診断が確定される。分子遺伝学的検査は診断を確定し、臨床検査を補完する可能性がある[ Benito et al 2009 ]。

分子遺伝学的検査

分子遺伝学的検査のアプローチには、遺伝子標的検査(単一遺伝子検査、多遺伝子パネル)と包括的ゲノム検査(エクソームシーケンシング、ゲノムシーケンシング)の組み合わせが含まれる。遺伝子標的検査では、臨床医が関与している可能性のある遺伝子を特定する必要がある(オプション1を参照)が、包括的ゲノム検査ではその必要はない(オプション2を参照)。示唆的所見に記載されている特徴的な所見を持つ人は、遺伝子標的検査を使用して診断される可能性が高く(オプション1を参照)、一方、心臓伝導異常を伴う他の多くの遺伝性疾患と区別できない表現型を持つ人は、ゲノム検査を使用して診断される可能性が高くなる(オプション2を参照)。

オプション1
SCN5Aから始めて、連続的な単一遺伝子検査を検討することができる。あるいは、臨床所見、検査所見、祖先などの要因から特定の遺伝子の変異が最も可能性が高いと判断される場合にも、連続的な単一遺伝子検査を検討することができる。まず対象遺伝子のシーケンス解析を行い、病的バリアントが見つからない場合は、遺伝子を標的とした欠失/重複解析を行う。
表 1に記載されている遺伝子とその他の関心のある遺伝子 (鑑別診断を参照) を含む多遺伝子パネルも、表現型の原因となりえない遺伝子の病的バリアントや病的意義不明バリアントの検出を減らしつつ、病態の遺伝学的原因を同定する目的で検討される。 注: (1) パネルに含まれる遺伝子および各遺伝子に対する検査の診断感度は検査機関によって異なり、時間の経過とともに変化する可能性がある。(2) 一部の多遺伝子パネルには、本GeneReviewで論じられている疾患とは関連のない遺伝子が含まれている場合があるため、臨床医は、根本的な表現型を説明しない遺伝子における病的バリアントや意義不明のバリアントの同定を最小限に抑えつつ、当該疾患の遺伝的原因を特定する可能性が最も高い多遺伝子パネルを選択する必要がある。(3) 一部の検査機関では、パネルオプションとして、検査機関が独自に設計したカスタムパネルや、臨床医が指定した遺伝子を含む表現型に焦点を当てたカスタムエクソーム解析などが含まれる場合がある。(4) パネルで使用される手法には、シーケンス解析、欠失・重複解析、および/またはその他の非シーケンシングベースの検査が含まれる場合がある。
多遺伝子パネルの概要については、こちらをクリック。遺伝学的検査を依頼する臨床医向けのより詳細な情報については、こちらを参照のこと。

オプション2
包括的なゲノム検査では、どの遺伝子が関与している可能性が高いかを医師が特定する必要はない。エクソームシーケンスが最も一般的に用いられるが、ゲノムシーケンスも可能である
包括的ゲノム検査の概要については、こちらをクリック。ゲノム検査を依頼する臨床医向けのより詳細な情報については、こちらを参照のこと。

表1 ブルガダ症候群における分子遺伝学的検査
遺伝子 1 臨床病型 ブルガダ症候群の
うちで占める割合
病的バリアント2の割合 
(検出方法による)
シーケンス
解析3
遺伝子標的欠失/重複解析 4
SCN5A ブルガダ症候群1型 30%  5 99% 約1%  6
ABCC9 1%未満 100% 報告なし 7
AKAP9
ANK2
CACNA1C ブルガダ症候群3型
CACNB2 ブルガダ症候群4型
CACNA2D1
CASQ2
DSG
DSP
FGF12
GPD1L ブルガダ症候群2型
HCN4 ブルガダ症候群8型
HEY2
KCNAB2
KCNB2
KCND2
KCND3 ブルガダ症候群9型
KCNE2
KCNE3 ブルガダ症候群6型
KCNE5
KCNH2
KCNJ8
KCNJ16
LRRC10
PKP2
PLN
ラングロフ
RyR2
SCN1B ブルガダ症候群5型
SCN2B
SCN3B ブルガダ症候群7型
SCN4A
SCN10A
SCNN1A
SEMA3A
SLMAP
TBX5
TKT
TRPM4
TTN
XIRP1
XIRP2
未知 約65%  8
  1. 染色体上の位置とタンパク質については、表A「遺伝子とデータベース」を参照のこと。
  2. これらの遺伝子で検出された変異に関する情報は、分子遺伝学の項を参照のこと。
  3. シーケンス解析では、良性、良性の可能性が高い、意義不明、病的の可能性が高い、または病的のバリアントを検出する。バリアントには、遺伝子内の小さな欠失/挿入、ミスセンスバリアント、ナンセンスバリアント、スプライス部位バリアントなどが含まれる。通常、エクソンまたは遺伝子全体の欠失/重複は検出されない。シーケンス解析結果の解釈における留意事項については、こちらをクリック。
  4. 遺伝子標的型欠失/重複解析は、遺伝子内の欠失または重複を検出する。使用される手法には、定量的PCR、ロングレンジPCR、多重連結依存性プローブ増幅法(MLPA)、および単一エクソンの欠失または重複を検出するように設計された遺伝子標的型マイクロアレイなど、さまざまな技術が含まれる。
  5. Kapplinger et al [2010]、Wilde et al [2022]、およびHuman Gene Mutation Databaseの購読ベースのプロフェッショナルビューから得られたデータ[ Stenson et al 2020 ]
  6. Mates et al [2020]
  7. Wilde et al [2022]

臨床的特徴

臨床的特徴

診断時年齢 ブルガダ症候群は主に成人期に発症し、突然死の平均年齢は約40歳である。最年少の症例は生後2日で診断され、最年長の症例は85歳で診断された[ Huang & Marcus 2004 ]。

性差 ブルガダ症候群は男性に多く見られるが、女性にも発症し、男女ともに心室性不整脈や突然死のリスクが高い [ Hong et al 2004b ]。

症状 現在最も一般的な症状は、悪性不整脈があり過去に失神発作の既往歴がある50代の患者である。失神は一般的な症状である[ Mills et al 2005、Benito & Brugada 2006、Karaca & Dinckal 2006 ]。
持続性心室性不整脈が容易に誘発され、自然に異常な心電図を示す患者は、生涯のどの時点でも不整脈イベントが発生する可能性が45%ある[ Benito et al 2009 ]。電気的ストーム(不整脈ストームとも呼ばれる)は、短期間に複数回発生する心室性不整脈のエピソードであり、ブルガダ症候群では悪性だがまれな現象である。持続性心室頻拍(VT)は、数時間続く血行動態的に安定したVTと定義される。
ブルガダ症候群は伝導障害を伴って発症することがある。ブルガダ症候群では、1度房室ブロック、心室内伝導遅延、右脚ブロック、洞不全症候群の存在は珍しくない[ Smits et al 2005 ]。
ブルガダ症候群の臨床症状には、乳幼児突然死症候群(SIDS;生後1年以内の原因不明の死亡)[ Priori et al 2000、Antzelevitch 2001、Skinner et al 2005、Van Norstrand et al 2007 ] や、東南アジアでみられる原因不明の心停止で若年者が死亡する症候群である夜間突然死症候群(SUNDS)[ Vatta et al 2002 ]も含まれる。ブルガダ症候群とSUNDSの患者で同じSCN5Aの病的バリアントが同定されたことから、これらが同一の疾患であるという仮説が支持されている[ Hong et al 2004a ]。
ブルガダ心電図パターンおよび突然心臓死症候群の誘発因子には、発熱、コカイン使用、電解質異常、クラスI抗不整脈薬およびその他の非心臓薬の使用などがある[ Francis & Antzelevitch 2005 ]。最も重要なのは、一部の(通常は若い)人では、誘発された心電図パターンの存在が突然心臓死と関連していることである。この関連性の背後にある病態生理学的メカニズムは、依然としてほとんど解明されていない。

悪性不整脈のリスク予測 悪性不整脈の発症リスクの層別化を改善するために、いくつかのパラメータが調査されてきた(図3を参照)。

図3 ブルガダ症候群患者におけるリスク層別化スキームの提案と植込み型除細動器(ICD)に関する推奨事項 Berne & Brugada [2012]より許可を得て転載

  • 電気生理学的検査(EPS)中の不整脈誘発性は、現在臨床的意思決定に使用されている唯一のパラメータである。このような検査では、心臓内カテーテルを使用して心臓を電気的に刺激する。EPS中の無症状の個人における不整脈の誘発性は、その後の悪性イベント(不整脈および突然心臓死)を非常に高い精度で予測するが、データは依然として議論の的となっている。いくつかのグループは、無症状の個人におけるリスク層別化にEPSを使用していない。リスクを決定するための複数のパラメータアプローチが利用可能である。しかし、ブルガダ症候群の個人および無症状の個人におけるそれらの予測能力は依然として限定的である[ Rodríguez-Mañero et al 2022 ]。そのため、除細動器の植込み時期に関する決定は、医師や研究者の間で大きく異なっている[ Eckardt et al 2005、Glatter et al 2005、Ikeda et al 2005、Al-Khatib 2006、Delise et al 2006、 Gehi et al 2006 、Imaki et al 2006、Ito et al 2006、Ott & Marcus 2006、Tatsumi et al 2006、Benito et al 2009 ]。
  • 遺伝型は、リスク層別化のための追加パラメータとして提案されている。Meregalliら[2009]は、 SCN5A 病的バリアントを有する個体において、症状がより重い個体ほど伝導遅延の心電図所見が多く見られることを発見し、機能喪失型 SCN5A病的バリアントによって引き起こされる伝導遅延がブルガダ症候群の重要な病態生理学的メカニズムであるという考えを裏付けた。この限定的な研究は、将来的にリスク層別化に遺伝型情報を使用できる可能性を示唆しているが、現時点ではこれは研究段階にある。

病態生理 ナトリウムチャネル病によって引き起こされるブルガダ症候群は、心電図のPQ、QRS、HV間隔の延長など、加齢に伴う進行性の伝導異常と関連している[ Smits et al 2002、Yokokawa et al 2007 ]。ナトリウム電流の機能不全は心外膜の局所的な伝導ブロックに寄与し、QRS複合体内の複数のスパイクや心房細動および心室細動の誘発につながる[ Morita et al 2008 ]。

ナトリウムチャネル病は典型的なブルガダ型心電図を示し、徐脈時に頻繁な不整脈を呈した[ Makiyama et al 2005 ]。キニジンとイソプロテレノールはいずれもJ-ST上昇を正常化し、不整脈を予防した。

遺伝子による表現型相関

SCN5A ST上昇の程度と不整脈の発生は、ヘテロ接合型SCN5A病的バリアントを有するブルガダ症候群患者と有さない患者の間で類似していた[ Morita et al2009 ]。

遺伝型と表現型の相関

遺伝型と表現型の相関関係を調査した研究は少ない[ Ciconte et al 2021 ]。

SCN5A

  • 一般的に、 LQT3(ロングQT症候群を参照)を引き起こすSCN5Aの病的バリアントは、ブルガダ症候群や進行性伝導系疾患に関連する機能喪失ではなく、機能獲得に関連している。しかし、同じ家系内で両方の疾患に関連する病的バリアントが報告されています。
  • 一般的なSCN5Aバリアントp.His558Argは、ナトリウム電流の欠陥を(少なくとも部分的に)修復することで、臨床的に重要な心臓伝導障害を引き起こすp.Thr512Ile [ Viswanathan et al 2003 ]や、ブルガダ症候群を引き起こすp.Arg282His [Poelzing et al 2006]などのヘテロ接合型 SCN5A病的バリアントの表現型効果を調節していると考えられる[ Lizotte et al 2009 ]。

浸透率

SCN5ASCN5A病的バリアントを有する個体のうち、約20~30%がブルガダ症候群と診断される心電図所見を示し、約80%がナトリウムチャネル遮断薬(例:アジマリン)投与時に特徴的な心電図変化を示す[ Hong et al 2004b、 Benito et al 2009 ]。

病名

Vatta ら [2002]およびHong ら [2004a]は、突然予期せぬ夜間死亡症候群 (SUNDS) とブルガダ症候群は、表現型、遺伝学的、機能的に同じ疾患であると結論した。SUNDS はもともと東南アジアの人々で報告された。SUNDS の別名には、予期せぬ突然死症候群 (SUDS)、バンガングット(フィリピン)、ノンライタイ(ラオス)、ライタイ(タイ)、ポックリ病(日本) などがある。

有病率

ブルガダ症候群は世界中で発生している。流行地域(南アジア)における罹患率は約2,000人に1人である。SUNDSが流行している東南アジア諸国では、40歳未満の男性の死因の第2位(事故に次ぐ)となっている。

発表された研究のデータによると、ブルガダ症候群は予期せぬ突然死の4~12%、そして心臓が正常な人における突然死全体の最大20%の原因となっている[ Brugada et al 1999a ]。

成人日本人集団(22,027人)を対象とした前向き研究では、ブルガダ症候群と一致する心電図を示す人が12人(有病率0.05%)いたことが示された[ Tohyou et al 1995 ]。日本の阿波市で行われた成人を対象とした2番目の研究では、有病率は0.6%(66人:10,420人)であった[ Namiki et al 1995 ]。対照的に、日本人小児を対象とした3番目の研究では、ブルガダ症候群と一致する心電図の有病率はわずか0.0006%(1人:163,110人)であった[ Hata et al 1997 ]。したがって、症状や分子遺伝学的検査がない場合、これらの研究は、研究対象集団におけるブルガダ症候群の心電図パターン(ブルガダ症候群そのものではない)の有病率の推定値を提供する。今回の結果は、ブルガダ症候群が主に成人期に発症することを示唆しており、これは突然死の平均年齢(35~40歳)と一致する所見である。


遺伝学的に関連する疾患

CHEK2関連がん易罹患性素因以外で、CHEK2の生殖細胞系列病的バリアントと関連している表現型は知られていない。
白血球におけるCHEK2病的バリアントの低レベル体細胞モザイクはよく見られる所見であり、加齢、細胞障害性治療、基礎にある造血器悪性腫瘍または前悪性腫瘍、あるいは循環腫瘍細胞による意義不明のクローン性造血(CHIP)に関連する後天的な病的バリアントであることを示唆している[ Slavin et al 2019 ]。非造血組織には存在せず、補助評価によってCHIPまたは造血細胞におけるクローン増殖の結果であることが確認されたCHEK2病的バリアントを有する個体は、CHEK2関連のがん素因を持たない。

多くの種類の散発性腫瘍には、CHEK2の体細胞病的バリアントが含まれている。個人または家族の臨床管理への影響を考慮して、CHEK2病的バリアントが生殖細胞系列由来か体細胞性かを判断するための補助評価が実施される可能性があり、培養皮膚線維芽細胞などの非造血組織に対するCHEK2分子遺伝学的検査が含まれる場合がある[ Sutcliffe et al 2022 ]。


鑑別診断

ブルガダ症候群関連遺伝子の生殖細胞系列病的バリアントによって引き起こされることが知られている疾患を表2にまとめる。
注:表2には、ブルガダ症候群関連遺伝子における遺伝的修飾因子(ゲノムワイド関連研究によって特定された感受性遺伝子座/多型など)に関するデータは含まれていない。これらの遺伝子は、特定の表現型のリスクにわずかながら寄与する可能性がある。

表2 ブルガダ症候群関連遺伝子の生殖細胞系列病的バリアントによって引き起こされる疾患
遺伝子 疾患
ABCC9 Cantu症候群
拡張型心筋症
心房細動(現在までに1例で報告されている[ Olson et al 2007 ])
早期再分極症候群 [ Hu et al 2014 ]
CACNA1C QT延長症候群
Timothy症候群(CACNA1C関連疾患を参照。)
QT短縮症候群(CACNA1C関連疾患を参照)。
CACNA2D1 QT 短縮症候群 [ Templin et al 2011 ]
早期再分極症候群 [ Burashnikov et al 2010 ]
CACNB2 ブルガダ症候群以外の表現型が引き起こされることは知られていない。
FGF12 小脳萎縮とてんかん性脳症(現在までに1家系で報告されている[ Siekierska et al 2016 ])
GPD1L ブルガダ症候群以外の表現型が引き起こされることは知られていない。
HCN4 てんかん [ Becker et al 2017、Campostrini et al 2018 ]
KCND2 てんかん(現在までに1例報告されている[ Singh et al 2006 ])
突然死関連J波症候群(現在までに1例報告されている[ Perrin et al 2014 ])
KCND3 脊髄小脳失調症
KCNE2 心房細動 [ Yang et al 2004 ]
QT延長症候群
KCNE3 ブルガダ症候群以外の表現型が引き起こされることは知られていない。
KCNE5 心房細動(現在までに1例で報告されている[ Ravn et al 2008 ])
KCNH2 QT延長症候群
QT 短縮症候群 [ Brugada et al 2004、Grunnet et al 2008 ]
KCNJ8 Cantu症候群
PKP2 不整脈原性右室心筋症
RANGRF ブルガダ症候群以外の表現型が引き起こされることは知られていない。
SCN1B 側頭葉てんかん [ Scheffer et al 2007 ]
全般性てんかんと熱性けいれんプラス1型(GEFS+1)[ Scheffer et al 2007 ]
心房細動 [渡辺ら 2009 ]
発達性てんかん性脳症 [ Ramadan et al 2017 ]
SCN2B 心房細動 [渡辺ら 2009 ]
SCN3B 心房細動 [ Wang et al 2010 ]
SCN5A QT延長症候群
進行性伝導系疾患(PCCD、Lenegre病、孤立性心臓伝導障害)[ Schott et al 1999、Tan et al 2001、Wang et al 2002 ]
心房細動 [ Olson et al 2005 ]
拡張型心筋症
副鼻腔炎症候群 [Benson et al 2003 ]
家族性発作性心室細動 [Watanabe et al 2011 ]
SCN10A 家族性発作性疼痛症候群 [ Faber et al 2012 ]
SEMA3A Kallmann症候群(孤立性ゴナドトロピン放出ホルモン欠乏症を参照。)
TRPM4 赤血球角皮症変性症と進行性 [ Wang et al 2019 ]
進行性家族性心ブロック1B型 [ Kruse et al 2009 ]

 


臨床的マネジメント

初診後の評価

ブルガダ症候群と診断された個人の疾患の程度とニーズを把握するために、以下の評価(診断に至った評価の一部として実施されていない場合)が推奨される。

症状の治療

ブルガダ症候群は、 V1~V3誘導におけるST上昇を特徴とする。植込み型除細動器(ICD)は、失神または心停止を伴うブルガダ症候群患者に現在有効であることが知られている唯一の治療法である[ Brugada et al 1999b、Wilde et al 2002 ]。ブルガダ症候群患者におけるICDのリスク層別化と推奨事項については、図3を参照のこと。
電気的ストームは、他の抗不整脈薬の前に第一選択治療としてイソプロテレノール(1~3μg/分)の点滴投与によく反応する[ Maury et al 2004 ]。

以下の点は重要である。

さらに

無症状者の治療については議論がある。推奨事項は様々で[ Benito et al 2009、Escárcega et al 2009、Nunn et al 2010、Brugada et al 2018 ]、以下のようなものがある。

ブルガダ症候群の患者は、手術中および術後の回復期間中、心電図によるモニタリングを受けるべきである。
原発症状の予防
キニジン(1日1~2g)はST上昇を回復させ、不整脈の発生率を低下させることが示されている[ Belhassen et al 2004、Hermida et al 2004、Probst et al 2006 ]。

経過観察

ブルガダ症候群の家族歴がある、または既知の病的バリアントを持つリスクの高い人は、出生時から1~2年ごとに心電図モニタリングを受けるべきである[ Oe et al 2005 ]。タイプ1の心電図変化が見られる場合は、さらに詳しく調査する必要がある。
回避すべき薬剤/状況
以下の所見はブルガダ症候群の心電図所見を顕在化する可能性がある[ Antzelevitch et al 2002 ]:

以下のことは避けるべきである[ Antzelevitch et al 2003 ]:

リスクのある血縁者の評価

ブルガダ症候群に関連する病的バリアントが罹患した家族に確認された場合、子を含むリスクのある血縁者の分子遺伝学的検査は、以下の理由から適切である。

既知の病的バリアントを持つ人は、出生時から1~2年ごとに心電図モニタリングを受けるべきである(「経過観察」の項を参照)。

病原性変異が家族内で確認されていない場合、親族は出生時から1~2年ごとに心電図検査を受けるべきである(「経過観察」の項を参照)。I型心電図が確認された場合は、さらなる検査が必要である。
遺伝カウンセリングを目的とした、リスクのある血縁者の検査に関する問題については、「遺伝カウンセリング」の項を参照してください。

妊娠管理

妊娠中のホルモン変化は、ブルガダ症候群の女性に不整脈を引き起こす可能性がある。低用量イソプロテレノールの静脈内投与に続いて経口キニジンを投与することで、再発性心室頻拍を抑制し、心電図パターンを正常化することができる[ Sharif-Kazemi et al 2011 ]。
キニジンは胎児への催奇形性は知られておらず、妊娠中の不整脈治療薬として推奨されている。妊娠中の薬剤使用に関する詳細は、MotherToBabyを参照のこと。

研究中の治療法

米国ではClinicalTrials.gov 、欧州ではEU臨床試験登録簿を検索して、幅広い疾患や症状に関する臨床試験の情報を入手のこと。注:この疾患に関する臨床試験がない場合もある。


遺伝カウンセリング

「遺伝カウンセリングは個人や家族に対して遺伝性疾患の本質,遺伝,健康上の影響などの情報を提供し,彼らが医療上あるいは個人的な決断を下すのを援助するプロセスである.以下の項目では遺伝的なリスク評価や家族の遺伝学的状況を明らかにするための家族歴の評価,遺伝学的検査について論じる.この項は個々の当事者が直面しうる個人的あるいは文化的、倫理的な問題に言及しようと意図するものではないし,遺伝専門家へのコンサルトの代用となるものでもない.」 -編集者注

遺伝形式

X連鎖遺伝子であるKCNE5の病的バリアントに関連するブルガダ症候群の1家系を除き、ブルガダ症候群は常染色体顕性形式で遺伝する[ Ohno et al 2011 ]。

家族構成員のリスク

発端者の両親

発端者の同胞 

発端者の兄弟姉妹のリスクは、発端者の両親の遺伝的状態によって異なる。

発端者の子

その他の家族構成員

その他の家族へのリスクは、発端者の両親の状態によって異なる。親が罹患している場合、および/または病的バリアントを持っている場合、その親の家族もリスクを有する可能性がある。

関連する遺伝カウンセリング上の諸事項

早期診断および治療を目的とした、リスクのある血縁者の評価に関する情報については、「臨床的マネジメント、リスクのある血縁者の評価」を参照のこと。

家族計画

DNAバンク

検査方法や遺伝子、病原性メカニズム、疾患に関する理解は将来的に向上する可能性が高いため、分子診断が確定していない(すなわち、原因となる病原性メカニズムが不明な)被験者からDNAをバンクに保存することを検討すべきである。

出生前検査および着床前遺伝学的検査

罹患している血縁者でブルガダ症候群に関連する病的バリアントが特定されれば、出生前および着床前遺伝学的検査の実施が可能となる。
出生前および着床前遺伝学的検査の利用に関しては、医療従事者間や家族内でも見解の相違があるかもしれない。ほとんどの医療従事者は、出生前検査および着床前遺伝子検査の利用を個人の判断に委ねるべきであると考えているが、これらの問題について話し合うことは有益であろう。


関連情報

GeneReviewsスタッフは、この疾患を持つ患者および家族に役立つ以下の疾患特異的な支援団体/上部支援団体/登録を選択した。GeneReviewsは、他の組織によって提供される情報には責任をもたない。選択基準における情報については、ここをクリック。


分子遺伝学

分子遺伝学とOMIMの表の情報はGeneReviewsの他の場所の情報とは異なるかもしれない。表は、より最新の情報を含むことがある。

表A.ブルガダ症候群:遺伝子とデータベース
遺伝子 染色体座位 タンパク質 座位特異的データベース HGMD ClinVar
ABCC9 12p12​.1 ATP結合カセットサブファミリーCメンバー9 ABCC9データベース ABCC9 ABCC9
CACNA1C 12p13​.33 電位依存性L型カルシウムチャネルサブユニットα-1C CACNA1Cデータベース
CACNA1C @ ZAC-GGM
CACNA1C CACNA1C
CACNA2D1 7q21.11 電位依存性カルシウムチャネルサブユニットα-2/δ-1 CACNA2D1 CACNA2D1
CACNB2 10p12​.33-p12.31 電位依存性L型カルシウムチャネルβ2サブユニット CACNB2データベース CACNB2 CACNB2
FGF12 3q28-q29 線維芽細胞増殖因子12 FGF12 FGF12
GPD1L 3p22.3 グリセロール-3-リン酸デヒドロゲナーゼ1様タンパク質 GPD1Lデータベース GPD1L GPD1L
HCN4 15q24.1 カリウム/ナトリウム過分極活性化環状ヌクレオチド依存性チャネル4 HCN4データベース HCN4 HCN4
KCND2 7q31​.31 A型電位依存性カリウムチャネルKCND2 KCND2 KCND2
KCND3 1p13​.2 A型電位依存性カリウムチャネルKCND3 KCND3 @ LOVD KCND3 KCND3
KCNE2 21q22​.11 カリウム電位依存性チャネルサブファミリーEメンバー2 KCNE2データベース
KCNE2 @ ZAC-GGM
KCNE2 KCNE2
KCNE3 11q13.4 カリウム電位依存性チャネルサブファミリーEメンバー3 KCNE3データベース KCNE3 KCNE3
KCNE5 Xq23 カリウム電位依存性チャネルサブファミリーE調節βサブユニット5 KCNE1L @ LOVD KCNE5 KCNE5
KCNH2 7q36.1 電位依存性内向き整流カリウムチャネルKCNH2 KCNH2データベース
KCNH2 @ ZAC-GGM
KCNH2 KCNH2
KCNJ8 12p12​.1 ATP感受性内向き整流カリウムチャネル8 KCNJ8 KCNJ8
PKP2 12p11​.21 プラコフィリン-2 PKP2 @ LOVD
ARVD/C 遺伝子変異データベース - PKP2
PKP2 PKP2
RANGRF 17p13​.1 Ranグアニンヌクレオチド放出因子 ラングロフ ラングロフ
SCN1B 19q13.11 ナトリウムチャネル調節サブユニットβ-1 SCN1Bデータベース SCN1B SCN1B
SCN2B 11q23.3 ナトリウムチャネル調節サブユニットβ-2 SCN2B SCN2B
SCN3B 11q24.1 ナトリウムチャネル調節サブユニットβ-3 SCN3Bデータベース SCN3B SCN3B
SCN5A 3p22​.2 ナトリウムチャネルタンパク質5型サブユニットアルファ SCN5A @ LOVD
SCN5A @ ZAC-GGM
SCN5A SCN5A
SCN10A 3p22​.2 ナトリウムチャネルタンパク質10型サブユニットアルファ SCN10A SCN10A
SEMA3A 7q21.11 セマフォリン-3A SEMA3A SEMA3A
SLMAP 3p14​.3 筋形質膜結合タンパク質 SLMAP SLMAP
TRPM4 19q13.33 一過性受容体電位型カチオンチャネルサブファミリーMメンバー4 TRPM4データベース TRPM4 TRPM

データは、以下の標準的な参考文献から収集されている:遺伝子はHGNC、染色体座はOMIM、タンパク質はUniProt。リンクが掲載されているデータベース(Locus Specific、HGMD、ClinVar)の説明については、こちらをクリック。

表B.ブルガダ症候群のOMIMのエントリ(OMIMで全件を表示)
114204 カルシウムチャネル、電圧依存性、アルファ2/デルタサブユニット1;CACNA2D1
114205 カルシウムチャネル、電圧依存性、L型、アルファ1Cサブユニット;CACNA1C
152427 カリウムチャネル、電位依存性、サブファミリーH、メンバー2;KCNH2
300328 カリウム電位依存性チャネル、サブファミリーE、調節サブユニット5;KCNE5
600003 カルシウムチャネル、電圧依存性、ベータ2サブユニット;CACNB2
600163 ナトリウム電位依存性チャネル、アルファサブユニット5;SCN5A
600235 ナトリウム電位依存性チャネル、ベータサブユニット1;SCN1B
600935 カリウムチャネル、内向き整流型、サブファミリーJ、メンバー8;KCNJ8
601144 ブルガダ症候群1型;BRGDA1
601327 ナトリウム電位依存性チャネル、ベータサブユニット2;SCN2B
601439 ATP結合カセット、サブファミリーC、メンバー9;ABCC9
601513 線維芽細胞増殖因子12;FGF12
602701 筋形質膜関連タンパク質;SLMAP
602861 プラコフィリン2; PKP2
603796 カリウム電位依存性チャネル、サブファミリーE、調節サブユニット2;KCNE2
603961 セマフォリン3A;SEMA3A
604427 ナトリウム電位依存性チャネル、アルファサブユニット10;SCN10A
604433 カリウム電位依存性チャネル、サブファミリーE、調節サブユニット3;KCNE3
605206 過分極活性化環状ヌクレオチド依存性カリウムチャネル4;HCN4
605410 カリウム電位依存性チャネル、SHAL関連サブファミリー、メンバー2;KCND2
605411 カリウム電位依存性チャネル、SHAL関連サブファミリー、メンバー3;KCND3
606936 一過性受容体電位型カチオンチャネル、サブファミリーM、メンバー4;TRPM4
607954 RANグアニンヌクレオチド放出因子;RANGRF
608214 ナトリウム電位依存性チャネル、ベータサブユニット3;SCN3B
611777 ブルガダ症候群2型;BRGDA2
611778 グリセロール-3-リン酸デヒドロゲナーゼ1様タンパク質;GPD1L
611875 ブルガダ症候群3型;BRGDA3
611876 ブルガダ症候群4型;BRGDA4
612838 ブルガダ症候群5型;BRGDA5
613119 ブルガダ症候群6型;BRGDA6
613120 ブルガダ症候群7型;BRGDA7
613123 ブルガダ症候群8型;BRGDA8
616399 ブルガダ症候群9型;BRGDA9

分子病態

表3 イオンチャネルとブルガダ症候群の表現型、遺伝子、タンパク質との関連性
チャネル 臨床病型1 遺伝子 一般的なタンパク質名
ナトリウム BrS 1 SCN5A ナビゲーション1.5
BrS 2 GPD1L グリセロール-3-P-DH-1
BrS 5 SCN1B ナビブ1
BrS 7 SCN3B ナビブ3
BrS 16 SCN2B ナビブ2
ナトリウム関連 BrS 10 RANGRF RAN-G放出因子
BrS 14 SLMAP 筋形質膜関連タンパク質
カリウム BrS 6 KCNE3 MiRP2
BrS 8 KCNJ8 Kv6.1
BrS 9 HCN4 過分極環状ヌクレオチドゲート4
BrS 11 KCNE5 カリウム電位依存性チャネルサブファミリーEメンバー1様
BrS 12 KCND3 Kv4.3 Kir4.3
カルシウム BrS 3およびQT短縮 CACNA1C Cav1.2
BrS 4 & より短いQT CACNB2 電圧依存性β-2
BrS 13 CACNA2D1 電圧依存性 a2/d1
BrS 15 TRPM4 一過性受容体電位M4
BrS = ブルガダ症候群

  1. 著者、個人的なやり取り
SCN5Aは心臓ナトリウムチャネルのαサブユニットをコードしており、心電図における活動電位の初期上昇を担っている。この膜貫通タンパク質は、興奮性膜の電圧依存性ナトリウムイオン透過性を媒介する。膜を挟んだ電圧差に応じて開閉構造をとることで、このタンパク質はナトリウム選択性チャネルを形成し、Na+イオンは電気化学的勾配に従ってこのチャネルを通過する。SCN5Aはヒト心房および心室の心筋に発現している。

疾患発症のメカニズム SCN5Aの病原性変異は、ナトリウムチャネルの構造、機能、および輸送に影響を与えることにより、 Na +電流の利用可能性を低下させる。

表5 注意すべきSCN5A病的バリアント
参照配列 DNA塩基の変化 予測されるタンパク質変化 コメント [参考]
NM_000335​.5
NP_000326.2
c.845G>A p.Arg282His 「遺伝型と表現型の相関」を参照
c.1535C>T p.Thr512Ile
c.1673A>G p.His558Arg
c.2893C>T p.Arg965Cys タイにおける創始者バリアント [ Chimparlee et al 2021 ]

表に記載されているバリアントは著者らから提供されたものである。GeneReviewsスタッフは、これらのバリアントの分類について独自に検証を行っていない。

GeneReviewsは、ヒトゲノム変異学会(varnomen​.hgvs.org)の標準的な命名規則に従っている。命名法に関する説明については、「クイックリファレンス」を参照のこと。


更新履歴:

  1. Gene Review著者: Ramon Brugada, MD, Pedro Brugada, MD, PhD, Josep Brugada, MD, PhD, Kui Hong, MD, PhD
    日本語訳者: 窪田美穂(ボランティア翻訳者),四元淳子(お茶の水女子大学人間文化創成科学研究科)
  2. Gene Review著者: Ramon Brugada, MD, PhD, Oscar Campuzano, PhD, Pedro Brugada, MD, PhD, Josep Brugada, MD, PhD, Kui Hong, MD, PhD
    日本語訳者: 窪田美穂(ボランティア翻訳者),櫻井晃洋(札幌医科大学医学部遺伝医学)  
    Gene Review 最終更新日: 2012.8.16.  日本語訳最終更新日: 2013.11.15. 
  3. Gene Review著者: Ramon Brugada, MD, PhD, Oscar Campuzano, BSc, PhD, Georgia Sarquella-Brugada, MD, PhD, Pedro Brugada, MD, PhD, Josep Brugada, MD, PhD, and Kui Hong, MD, PhD.
    日本語訳者: 窪田美穂(ボランティア翻訳者),櫻井晃洋(札幌医科大学附属病院遺伝子診療室)
     Gene Review 最終更新日: 016.11.17,日本語訳最終更新日:2016.12.27

  4. Gene Reviews著者: Ramon Brugada, MD, PhD, Oscar Campuzano, BSc, PhD, Georgia Sarquella-Brugada, MD, PhD, Pedro Brugada, MD, PhD, Josep Brugada, MD, PhD, and Kui Hong, MD, PhD.
    日本語訳者:櫻井晃洋(斗南病院ゲノム医療センター)
      GeneReviews最終更新日:2022.8.25 日本語訳最終更新日: 2026.9.19[in present]

原文: Brugada Syndrome

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