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8月19日(夏期休暇中です)
医学部目指す高校生ら診療所訪問(青森)
高校生に医療現場を肌で知ってもらう医療施設見学会が十五日、始まった。初日は弘前、五所川原市の高校生二十三人が五所川原市の市浦医科診療所を訪れ、医師への志を強くした。県内の高校生百四十人が十七日まで、各地域の病院や診療所を見て回る。
見学会は、県内の医師不足対策として、県が主催した。
初日は弘前、弘前南、五所川原の三高校から医学部を目指す二十三人が、五所川原市市浦地区の市浦医科診療所を訪れた。
(東奥日報)
県立一志病院が「家庭医療」提供へ 脱「専門医志向」へ試み(三重)
県立一志病院(津市白山町南家城)が、年齢や性別を問わず病気もけがも幅広く初期診療をする「家庭医療」を提供する病院に変わろうとしている。県内では初めての病院形態で、全国的にもまだ珍しい。常勤医師は四人、病床数は四十六床の小さな病院だが「地域で本当に役に立つ病院」という大きな目標に向かって取り組んでいる。
(中日新聞)
8月18日(夏期休暇中です)
医政局長、「医師の3交代制」に前向き姿勢 ―「勤務環境の改善」テーマに討論(日医・男女共同参画フォーラム:日本医事新報記事)
医師不足:解消へ、臨床研修医に説明会 35人参加−−県内19病院 /宮崎
医学部を卒業した臨床研修医の誘致を進めようと、県内19の病院が13日、宮崎市内で説明会を開いた。医師不足解消のために県医師会や各病院が連携して企画、今年で2回目。参加した県内外の医学部生からは「直接話を聞け内情が分かった」と好評だった一方、参加者は35人にとどまり、県医師会幹部も「周知の方法を考えたい」と話している。
(毎日新聞)
初診患者の土曜日の診療を中止へ/厚木市立病院(神奈川)
厚木市は九月十五日から、同市立病院(同市水引)で初診患者の土曜日の診療を中止することを決めた。医師や看護師の勤務負担を改善し、救急患者の診察や高度診療体制の充実を図るとしている。
市立病院では土曜日の午前中、各診療科計六十三人で初診患者の外来診察を行ってきた。だが、平均初診患者が三十八人と少ない上、土曜日の診察体制を充実させてきた市医師会から、休診とするよう要望が寄せられていた。
(神奈川新聞)
勤務医の労働改善へ土曜休診 (山口)
山口県内の市立病院12カ所で唯一、すべての土曜日に外来診察を続ける光市の市立光総合病院が10月から、土曜休診を決めた。週休2日の定着で大学からの医師派遣の協議で労働日数の多さを理由に難色を示されるケースもあり、勤務医の労働改善と同時に経費の節減につなげる。市病院局によると、土曜日は午前中だけで外来患者は平均110人。医師を現状の9人から1人に減らし、救急専門にする。
(中国新聞)
救急搬送、半数が「軽症」 大船渡(岩手)
大船渡市内で病気やけがで救急搬送された人の約半数が、入院の必要がない「軽症者」で占められていることが大船渡消防署の調べで分かった。県内の状況より10ポイントも高く、医師不足が深刻化する県立大船渡病院の業務の圧迫にもつながっている。全国的にも安易な救急車利用が社会問題化しており、行政や医療機関などで組織する同病院医療体制充実対策協議会(会長・甘竹勝郎市長)は「地域医療を守ろう」とのパンフレットを作製。医療機関の適切な利用を訴えている。
(岩手日報)
ドクターバンク:暗礁…4カ月で登録ゼロ 個人情報条例が壁−−奈良県
奈良県が産科・小児科の医師不足対策で始めた「ドクターバンク制度」が、空回りしている。結婚や出産、定年などで離退職した後、再び働く意思のある医師を掘り起こして登録、病院に紹介するはずだったが、開始から約4カ月たっても登録医師はゼロ。県は離退職した医師の名簿を持ちながら、県個人情報保護条例が禁じる「目的外の利用」にあたるとして“封印”、積極的な勧誘ができずにいる。
制度創設のきっかけは昨年8月、同県大淀町立大淀病院で分娩(ぶんべん)中の高崎実香さん(当時32歳)=同県五條市=が意識不明となり、転送先探しが難航した末、死亡した問題。医師不足が深刻な産科・小児科、へき地勤務医を対象に、4月9日から登録受け付けを始めた。医師登録は県医務課職員が「積極的に掘り起こす」としていた。
バンクを利用した求人は、大淀病院の4人をはじめ、県内の公的病院4カ所から計9人寄せられている。しかし、紹介したくてもできない状態だ。
(毎日新聞)
常勤医7人が退職へ 筑西市民病院 存廃問う調査を開始(茨城)
筑西市玉戸の市立筑西市民病院で、常勤医師七人が本年度内に退職することが明らかになった。同病院では近隣の大学病院などに医師の派遣を要請しているが、難航している。医師不足が解消されなければ、赤字経営の改善計画への影響は必至で、同病院は市民千人を対象に病院の存廃や経営形態を問うアンケートを始めた。
同病院には現在、七つの診療科に常勤医師が十四人おり、ほかに脳外科で外来診療を行う非常勤医師が一人いる。
市や同病院によると、内科医三人が年内に派遣元の日本医科大に引き揚げ、整形外科、形成外科、眼科、泌尿器科の医師四人も来年三月までに同大に戻るか、ほかの病院に移るなど、計七人が同病院を去る。
内科医については同大から三月に「医局の医師が足りず六月末日で引き揚げたい」と打診があり、五人のうち一人は七月に戻ったが、交渉の結果、三人は十二月まで期間を延長した。補充のめどが立っておらず、内科の入院患者に対し、九月ごろから転院や退院を勧めるという。
(東京新聞)
8月17日
野党3党有志 医師不足議論へ
格差問題に取り組む、民主党、社民党、国民新党の野党3党の議員グループは、過疎地域などに見られる医師不足の問題などに焦点を当てて議論を行うことにしており、秋の臨時国会に向け、具体的な解決策を盛り込んだ提言を取りまとめる方針です。
(NHK)
県行政要望トップは「安心・安全」(島根)
島根県が実施した県政県民満足度調査で、県民が県行政に求める施策として、医療機能・施設の充実、医療従事者の確保、消防防災体制の確立など「安心・安全」にかかわる分野が上位を占めていることが分かった。施策の満足度では、労働福祉の充実、商業の振興、企業誘致など、産業振興・労働政策が低かった。
(山陰中央新報)
医大生対象に道内実習 全国から募集へ 道、地域医療担い手確保(北海道)
道は本年度、全国の医大生を対象に道内での医療実習参加を呼びかけ、将来の地域医療を担う若手医師確保に乗り出す。医師不足が深刻化する中、北海道の魅力を伝えると同時に、地域医療の現場を肌で感じてもらう試みだ。
道職員が全国の医大を訪問したり、インターネットを通して募集し、学生が春休みに入る来年春をめどに実習を行う。参加する医大生に日当は支給されないものの、宿泊費や交通費は道が負担する予定。
(北海道新聞)
チラシで救急の適正利用呼び掛ける、金木病院の救急体制を維持する会(青森)
公立金木病院(五所川原市)の10月1日からの救急車受け入れ再開に伴い、住民団体「金木病院の救急体制を維持する会」が計画していた救急の適正利用を呼び掛けるチラシのデザインが決まった。同会は9月中にも、同病院を主に利用する同市金木町以北の地域に毎戸配布する方針だ。
同病院の常勤医師数七人は救急対応に必要最低限の体制で、救急維持には医師の負担軽減が大きな課題となっている。全国的にもタクシー代わりの救急車利用などが問題となっており、一戸さんは「チラシ配布を通じて地域に『救急の適正利用』という考え方を定着させたい」と語る。
(陸奥新報)
朝来・梁瀬病院の時間外救急中止へ(兵庫)
豊岡、朝来両市でつくる公立豊岡病院組合は十三日、公立梁瀬病院(朝来市、木山佳明院長)の時間外救急の受け入れを九月一日から中止することを明らかにした。十月以降、医師数を五人から三人に減らすことに伴う措置。同病院は、へき地医療の担い手を養成する自治医科大(栃木県)地域医療学センターから「小規模病院の成功例」として研修先に指定されており、規模縮小は波紋を呼びそうだ。
再編方針は、但馬の各市町長や公立病院長、県などでつくる「但馬の医療確保対策協議会」で二月末、決まった。梁瀬病院などの医師を減らし、公立豊岡病院と公立八鹿病院に医師を集めることで、両病院での救急体制確保などを狙っている。
(神戸新聞)
小児科の夜間救急についてのお知らせ(都立駒込病院)
今まで、すべての日において夜間当直体制をとってきましたが、医師の欠員により、暫定的措置として夜間当直体制を縮小することといたします。8月は月曜日が、9月は日曜日及び月曜日が夜間当直医不在となりますので、ご了承願います。
小児科の紹介のページ:常勤の小児科医4名が診療にあたっています(夜間外来担当かどうかは不明)
社内託児所の設置支援拡充 助成金の支給急増で厚労省
厚生労働省は13日、社員の子どもを預かる社内託児所の設置を一段と後押しするため、企業への助成枠をさらに拡大する方針を固めた。新設した企業への助成金の支給が2006年度は42件と4年前の3倍超に伸び、07年度はさらに増える見込み。このため、来年度予算の概算要求では、07年度当初予算の22億6000万円の大幅増を求める方向だ。
社内託児所が増えているのは、子どもを持つ女性社員に辞められたくない企業が増えていることが背景にある。景気回復や少子化による労働力不足で、技術を持ち能力のある社員が出産や子育てを理由に退職するのは企業にとって損失だからだ。
政府も少子化対策の一環として、設置推進の方針で、02年度からの5年間で、新規設置で助成を受けた企業などは125団体にのぼる。現在、託児所を新設すると、2300万円を上限に、中小企業には設置費の3分の2、大企業には2分の1が支給される。
(中日新聞)
社説:開通相次ぐ高速道 機能生かす方策構築を(秋田)
来月29日に開幕する秋田わか杉国体本大会を前に、県内高速道路の「開通ラッシュ」が始まった。新たに4区間計46キロが来月17日までに順次開通するのに伴い、本県の高速道路整備率(計画路線に対する開通区間の割合)は18年度の63%から75%にアップ、東北では最も高くなる。折しも今年は、秋田自動車道が東北自動車道に直結してから10年。高速道路を地域にどう生かしていくのか総合的に点検し、戦略を再構築する節目とすべきだろう。
それに、地方にとって高速道路は「命の道」という性格を年々色濃くしている点も見逃せない。医師不足が叫ばれている本県では早期搬送によって救命率を高め、高度な医療サービスを受けるために高速道路の拡充は不可欠だ。豪雪時や災害時における幹線道路の代替路としての重要性も増している。安心・安全の確保を含め、高速道路の多面的機能を踏まえた利活用計画の再検討が急務といえる。
(さきがけ)
夕張再建計画*見直しは素早く柔軟に(8月14日、北海道新聞社説)
総務省が、夕張市の財政再建計画について、市政の執行や、市民生活に影響のある分野などは、その変更を一部認める方針を初めて固めた。変更の対象は、市職員の残業代支給の緩和、市立診療所の改修などだ。
このため、月百時間を超す残業をした市職員にも残業代は出なかった。再建計画が、残業代の上限に枠をはめているからだ。労働基準法に抵触しかねない。それが放置されてきた。見直しは当然だ、と言うしかない。
県立病院:胆沢での出産不能に 釜石は高リスク分娩移転−−産婦人科 /岩手
県医療局は13日、県立胆沢病院産婦人科の分娩や手術の機能を県立北上病院に移転すると正式発表した。婦人科外来や妊婦検診は継続するが、胆沢病院での出産はできなくなる。また県立釜石病院の産婦人科も、帝王切開などリスクが高い分娩の機能を県立大船渡病院に移し、婦人科外来や妊婦検診と、健康な妊婦の通常分娩のみを取り扱う体制に縮小する。
過酷な勤務環境などを背景に、県内の産婦人科医は00年の115人から04年は89人に減少。同局の根子忠美経営改革監は「過労でさらに産科医が辞める可能性もある。あくまでも緊急措置だ」と話している。
(毎日新聞)
医療事故「謝罪マニュアル」 社会保険連52病院で導入へ
全国で52の社会保険病院を運営する「全国社会保険協会連合会」(全社連、伊藤雅治理事長)は、医療事故が起きた際、患者本位の姿勢で対応する方法を示した米国の「医療事故・真実説明・謝罪マニュアル」をグループ病院で実施することを決めた。医療事故の際、患者側に十分な説明をしない病院が少なくない中、大手病院グループが謝罪マニュアルの実施に踏み切るのは初めて。
(読売新聞)
8月16日
介護労働調査:5人に1人離職 4割以上が就業1年未満
介護職場では年間で5人に1人が離職し、その4割以上が就業から1年未満だったことが財団法人「介護労働安定センター」の介護労働実態調査で分かった。介護職場では給与が低水準、福利・厚生が不十分などの問題が指摘されているが、「今の介護報酬では十分な賃金が払えない」などの悲痛な訴えも多数寄せられた。
(毎日新聞)
産科医7病院に集約 釜石、胆沢は常勤ゼロに 岩手県
岩手県医療局は13日、今月中に県立病院の産婦人科医を7病院に集約する拠点化を進めると発表した。常勤医を3人以上とし、医師不足に対応するのが狙い。集約に伴い釜石、胆沢の2病院は常勤医がゼロになる。拠点に位置付けられた県北の二戸、久慈の2病院は依然、1人しか常勤医を確保できておらず、安心して出産できる体制には遠いのが現状だ。
(河北新報)
長時間労働、4割「使命感失われる」 大阪府勤務医調査
勤務医の勤務状況が過酷だといわれる中で、6割が「勤務医の未来に希望が持てない」、4割が「医師としての使命感ややりがいが失われていく」と考えていることが、大阪府保険医協会・勤務医部会の調査で分かった。週60時間以上働いている医師は半数近くにのぼり、労働基準法で定める週40時間を大幅に超えた。調査チームの原田佳明・小松病院副院長(小児科)は「法を守った働き方では医療が成り立たない現状を広く知ってもらいたい」と話している。
(朝日新聞)
国交省、バス運行会社を緊急監査・愛知の東名玉突き事故で
愛知県岡崎市の東名高速道路で起きた玉突き事故を受け、国土交通省は13日、観光バスを運行する「シンフジハイヤー」を緊急監査した。会社の運行管理や運転手の労働条件、勤務実態などが道路運送法などの関係法令に違反していないかどうか調べる。
(日経新聞)
医療事故委の議事録開示を拒む 日本医大
千葉県印旛村の日本医科大学千葉北総病院(田中宣威(のりたけ)院長、600床)が、重い脳障害を負って生まれた男児(2)の出産時の処置について話しあった「事故対策委員会」の議事録の開示を母親(34)に求められながら、個人情報保護法を理由に非開示としていたことがわかった。「業務の適正な実施に著しい支障を及ぼすおそれがある」としている。病院の対応に、個人情報保護法の専門家からは疑問の声も出ている。
(朝日新聞)
「搬送先、そこじゃない」救急車けった容疑で男逮捕(愛知)
救急車をけってテールランプを壊したとして、愛知県警は12日、名古屋市東区矢田町4丁目、無職村上全弘容疑者(35)を公務執行妨害などの疑いで現行犯逮捕した。
春日井署の調べでは、村上容疑者は12日午前2時25分ごろ、春日井市東野町の自宅の階段で転んで軽傷を負った知人の女性を病院に搬送しようと、救急車を呼んだ際、駆けつけた春日井市消防本部の救護隊員が、自分が望んだのとは別の病院に搬送しようとしたことに腹を立て、「そこじゃない」などと救急車の後部をけって左のテールランプを壊した疑い。
(朝日新聞)
筑西市民病院存続の危機 8人退職、常勤医半減へ、内科は1人に(茨城)
筑西市民病院(筑西市玉戸、古谷政一院長)で、今年四月時点で十五人いた常勤医師が来年三月までに八人やめる予定であることが十日、明らかになった。特に四人の内科医が今年中に派遣元の大学病院に引き揚げるため、内科医はわずか一人になってしまう。同病院や筑西市では医師確保を近隣の大学病院などに打診しているが、これまでのところ、よい感触は得られていないという。同病院は慢性的な赤字が続いており、自主再建に向けて経営改善を図っているまっただ中。今回の事態に総合病院としての存続を危ぶむ声も出ている。このため、同病院では近日中に市民約千人を対象に病院の存続を問うアンケートを実施し、病院の存続か廃止、民間委譲などの方策も含めて対応を検討する方針だ。
(茨城新聞)
継続へ一層の医師確保を/金木病院救急体制(青森)
地域住民は、ほっとしていることだろう。
深刻な医師不足の影響で、今年一月から救急車の受け入れを休止していた五所川原市の公立金木病院が、十月一日からの受け入れ再開を正式決定した。
休止を受け、地域住民でつくる「金木病院の救急体制を維持する会」は約二万人の署名を集め、行政を動かした。休止後、病院側も医師確保に努めた。
その結果、病院は一月に婦人科一人、二月と六月に内科医各一人の常勤医を採用。常勤医七人体制(うち内科医三人)となり、ようやく救急再開のめどが立った。
(東奥日報)
8月15日
広域医療早期実現を/羅臼町議会(北海道)
羅臼町国保病院の診療所への縮小問題などについて話し合う町議会病院運営調査特別委員会(松原臣委員長)が10日開かれた。 委員会では、今月初めに議会が行った積丹町の視察結果や町民の意見を含めて話し合った。 松原委員長によると、町立中標津病院をサテライト病院とする広域医療を早期に実現させることや、町が打ち出した予防医療には病院も積極的にかかわることなどを強く求めていくこととした。 今月末に再度委員会を開いて考え方をまとめ、9月定例会で中間報告を行う予定。 同委員会は原則公開としているが、この日は報道機関に非公開で行われた。
(釧路新聞)
医師確保に“足”で協力 上小阿仁村のNPO法人(秋田)
自家用車で高齢者や障害者の運送を行っている上小阿仁村のNPO法人・村移送サービス協会(小林佳代子理事長)は、村の委託を受けて村立国保診療所=同村小沢田=の非常勤医師の送迎を行っている。同協会は設立5年目で、本来の業務外の契約を結ぶのは初めて。財政難の中、医師不足対策に悩む村に力を貸した形だ。
(さきがけ)
北部医師会病院の救急ヘリ/遠隔地の救命に成果(沖縄)
「本来救える命を、搬送時間や距離のために失ってはいけない」―。“医療過疎”が指摘されてきた本島北部の遠隔地や離島へ、医師を搭乗させる北部地区医師会病院(高芝潔院長)の救急ヘリ運用がスタートして一月半余り。治療開始時間が大幅に早まり救急救命活動に成果を挙げる一方、ヘリ着陸地点確保や地形的な問題から時間を要する救出困難地域へのアクセスなど課題も見えてきた。
着陸地点確保
「せっかくヘリで早く着陸地点に着いても、目的地間の移動に時間がかかる場合がある」。八日、同病院で現場の医師と消防隊員が参加した初の事後検証会が行われた。
かさむ運用費
ヘリ一機の運用に、機体の賃貸や操縦士、運行管理の人員確保といった直接経費だけで年間八千万円以上。さらに格納庫、ヘリ着陸帯整備などの費用が加わる。患者から通常の往診費以外は徴収しておらず、現状では病院側の負担は大きい。
(沖縄タイムス)
県、医師確保策を拡充 長期の研修補助(静岡)
医師不足が深刻化する中、県は医師確保に向けたインセンティブ(誘導策)を拡充する。県内の公的病院に勤務する医師の国内外への長期研修費用を最大400万円補助する制度をスタートさせるほか、産婦人科の医師には雑用をこなす「秘書」の人件費を補助する制度も導入する。既に募集を始めた奨学金制度との3点セットで、県は「県内の現場で働く医師を何とか確保したい」(厚生部)と期待を寄せる。
研修費用の補助は、勤務医確保と既に勤務している医師の資質向上が目的。対象は市町立や済生会、日赤、厚生連の県内33病院。病院が派遣する医師の研修期間の人件費、研修地への往復旅費、語学研修費などの2分の1を補助する。研修場所は国内外の医療機関などで、研修期間は3カ月以上1年以内。9月にも募集を始める。
(静岡新聞)
診療報酬改定:小児・産科へ配分焦点 政府・与党、月末から財源調整
政府・与党は08年度の診療報酬改定について、年末の決着をにらみ、月末から調整に乗り出す。厚生労働省は「地域医療の確保・充実」を掲げ、一足早く8日の中央社会保険医療協議会(中医協、厚労相の諮問機関)で議論をスタートさせた。報酬総額の拡大が難しい中で、深刻な医師不足にあえぐ小児・産科への重点配分をどう実現するのか、その財源に当て込む診療所の初診・再診料をどこまで引き下げられるのかが最大の焦点となる。
総枠の大幅アップが見込めない状況の下、厚労省は8日、中医協に(1)勤務医の負担軽減(2)救急、産科、小児医療の重点的評価(3)初診・再診料体系の検討−−などを次期改定に向けた議論のたたき台として示した。
いずれも開業医の時間外報酬を手厚くし、夜間、休日診療を促す→大病院への患者集中を防ぎ、勤務医の負担を軽減→産科などへの加算とともに、医師不足の原因を断つ−−という厚労省方針に沿っている。ただ財源が必要で、実現の度合いは、(3)で示唆する開業医の初診・再診料のカット幅に左右される。
(毎日新聞)
8月14日
市民ら4病院統合案に注文も、舞鶴地域医療あり方検討委(京都)
医師不足に悩む舞鶴市の医療体制の将来像を議論している「舞鶴地域医療あり方検討委員会」が11日、委員と市民を交えた意見討論会を市商工観光センター(浜)で開いた。検討している4公的病院の統合案に対し、参加者から「過疎地や今、入院中の患者など、現状にもっと目を向けて」などの意見が出た。
検討委は4病院代表や学識経験者ら11人で構成し、すでに4度会合を開催した。市民参加の場は7月に続く2回目で、▽今後の医療体制のあり方▽救急医療の整備−など5テーマに計10人の市民が参加した。検討委からは後藤章暢委員長、渡邊能行副委員長が出席した。
(京都新聞)
医療事故:母の調査書開示請求を拒否 日医大千葉北総病院
日本医科大学千葉北総病院(千葉県印旛村、600床)が、05年に同病院で女性(34)が重い脳障害を負った長男(2)を出産したケースについて、調査報告書をまとめていたにもかかわらず、個人情報保護法を理由に、女性の開示請求を退けていたことが分かった。個人情報保護法に基づく医療分野のガイドラインでは、非開示にできるケースを限定しており、厚生労働省などは病院の対応を批判している。
(毎日新聞)
筑西市民病院存続の危機 8人退職、常勤医半減へ(茨城)、内科は1人に
筑西市民病院(筑西市玉戸、古谷政一院長)で、今年四月時点で十五人いた常勤医師が来年三月までに八人やめる予定であることが十日、明らかになった。特に四人の内科医が今年中に派遣元の大学病院に引き揚げるため、内科医はわずか一人になってしまう。同病院や筑西市では医師確保を近隣の大学病院などに打診しているが、これまでのところ、よい感触は得られていないという。同病院は慢性的な赤字が続いており、自主再建に向けて経営改善を図っているまっただ中。今回の事態に総合病院としての存続を危ぶむ声も出ている。このため、同病院では近日中に市民約千人を対象に病院の存続を問うアンケートを実施し、病院の存続か廃止、民間委譲などの方策も含めて対応を検討する方針だ。
(茨城)
“出産難民”出る可能性 産科医全員退職する天使病院(札幌)
産婦人科医六人全員が九月末までに退職することが十日明らかになった札幌市東区の天使病院は、地域周産期母子医療センターとして、早産や重い妊娠中毒症など高いリスクの出産を道央全域から受け入れてきた。高リスク出産に対応できる他の医療機関は満床状態が続いており、同病院が後任医師を確保できずに産科の診療体制を縮小すれば、産む場所の見つからない「出産難民」が出る可能性もある。
「天使病院が高リスク出産の受け入れをやめたら本当に困る。今でも受け入れ先を探すのはひと苦労なのに」。同市白石区で産婦人科医院を開業する小泉基生医師は影響を予測する。天使病院では、高リスクの妊婦が別の医療機関から運び込まれる「母体搬送」だけで年間七十件を数え、道央圏では市立札幌病院の同百四十件に次ぐ多さだ。
高齢出産の増加などで増えている高リスク出産には、新生児集中治療施設(NICU)を設置し、産科と小児科が連携した二十四時間体制の医療が必要。人手を確保できる医療機関は限られ、道央圏で積極的に受け入れている病院は、北大病院などごくわずか。
(北海道新聞)
産科医確保に業務手当導入へ/厚木市立病院(神奈川)
医師不足を理由に厚木市立病院(同市水引)の産婦人科が今月から休止している問題で、同市は十日、新たな人材確保策として、産科医を対象にした「病院業務手当」と、産科医や助産師などへの「分娩(べん)介助手当」を新設する方針を決めた。毎月手当を支給する病院業務手当の導入は県内の公立病院で初めて。市議会九月定例会で条例が可決すれば、十一月から施行される。
市病院事業局によると、同市に産婦人科医として採用された医師を対象に病院業務手当を三十六カ月支給。分娩を介助した際に支払われる分娩介助手当を医師や助産師、看護師を対象に新設する。いずれの手当も支給金額は今月末までに決めるという。
同病院で十五年ほどの経験がある医師の平均年収は千五百万円弱で、年収二千-二千四百万円程度の民間と給与面で開きがあったという。手当の拡充で市は「年収は県内で最高水準になるはず」と話している。
(神奈川新聞)
伊那中央病院が産婦人科診療を制限、郡外からの里帰り出産は遠慮してほしい(長野)
全国的な医師不足で、伊那中央病院は10日記者会見し、産婦人科の診療を制限したいと発表した。来年4月、昭和伊南総合病院(駒ケ根市)の産婦人科常勤医師がゼロになる見込みで、中病は▽来年4月以降、郡外からの里帰り出産は遠慮してほしい▽産婦人科初診は紹介状を持参してほしい―の2点を挙げる。
紹介状の持参は産婦人科外来の「パンク状態」を解消するため、10月ごろから始めたいという。ここ数カ月、外来受診は増加が顕著に表れ、6月は1624件だった。
(伊那毎日新聞)
新組織への報告義務付け 患者死亡時、医療機関に
医療事故の原因について中立的立場で究明する新たな組織創設を目指している厚生労働省の検討会(座長・前田雅英首都大学東京大学院教授)が10日開かれ、患者の死亡事例を対象に新組織への届け出を医療機関側に義務付けることで委員の意見が一致した。届け出を怠った場合には何らかのペナルティーを設ける方針で、近く検討会で出された主な意見を「中間報告」としてとりまとめ、公表する。
現行の医師法では、死因がはっきりしない「異状死」は24時間以内に警察に届け出ることになっているが、検討会では「届け出先は原則として新組織にすべきだ」との意見が大勢を占めた。
ただ明らかに過失が疑われるケースに限り、これまで通り警察に届け出るべきだとの指摘もあり、この点については各委員の主張が対立。「明らかな過失」の判断基準や、調査の過程で遺族の声をどのように反映させるかなど細部も決まっていない。検討会は年内に最終報告書をまとめる方針だが、結論が出るまでにはなお曲折がありそうだ。
新組織は国土交通省航空・鉄道事故調査委員会になぞらえ「医療事故調」と呼ばれている。
(東京新聞)
8月13日
医学生に研修先の魅力アピール(富山)
近年、県内の病院で医師が不足している背景には、研修医の不足があると指摘されています。
県は10日、大学の医学部の学生を対象に、県内の病院の見学会を開き、研修先としての魅力をアピールしました。
この見学会は、これまで自治医科大学の学生のみを対象に行っていましたが、今年は対象を拡大して募集し、地元富山大学をはじめ金沢大学、鹿児島大学の医学生あわせて21人が参加、グループに分かれて県内8つの病院を見学しました。
県が今回、見学会の門戸を広げた背景には、研修医の激しい争奪戦があります。
平成16年度に新しい臨床研修制度が導入され、研修先は大学病院以外に一般病院も広く選べるようになり、研修医は大都市に集中し、地方は研修医の確保に苦労しています。
学生は「全国の病院をいろいろ比べて自分の行きたいところを見つけていこうかなという気でいる。症例数とか研究数とか先生方も世界的な研究をしていらっしゃる方どうしても都会に多いので、そういうところに魅力を感じる方は都会のほうにいきますし」
県内でも、今年度14の病院が112人の研修医を募集しましたが、54人しか決まりませんでした。
充足率は48.2%と全国45位に低迷しています。
(北日本放送)
県の地域医療体験実習が好評(青森)
県内外の医学生が本県で地域医療を体験する県の事業「へき地における卒前教育モデル事業」が好評だ。本年度すでに県外医学生枠十人いっぱいの申し込みがあり、関東、関西の“医師の卵”がむつ、深浦、三戸などで研修を積み、地域医療の大切さを肌で感じている。県事業のほかに各病院・診療所が独自に医学生を受け入れるケースも増えており、本県は“地域医療のメッカ”として、医学生に浸透しつつある。
(東奥日報)
男鹿みなと市民病院、経営改善委設置へ 経営健全化に向け意見反映(秋田)
男鹿市は男鹿みなと市民病院の経営健全化に向け、有識者らで組織する経営改善委員会(仮称)を設置する。9日開かれた同市議会教育厚生委員会協議会で報告した。
同市は先月、医師確保推進室を設置、医師不足が続く同病院の医師確保と経営計画策定を進めており、委員会の意見は同計画に反映される。
(さきがけ)
県内外の医学部生、信大で夏季研修 県内定着を狙う(長野)
信大医学部(松本市)は16日から3日間、主に県外の大学医学部で学ぶ県出身者を対象とした「信州医療ワールド夏季セミナー」を、松本市の信大松本キャンパスで初めて開く。県内出身の医学部生とつながりを保つことで、将来県内で働いてもらう狙いがある。地域の勤務医不足が深刻化する中、「全国の医学部に先駆けた取り組み」(信大)としている。
信大は昨年10月、県内での医師育成を目的に「地域医療人育成センター」を開設。不足が著しい産科・小児科医を増やそうと、学生が子どもと接する場を設けるなど、やりがいを体験する研修を始めた。医師のUターン支援なども行っている。
(信濃毎日新聞)
天使病院 産婦人科医全員が来月末までに退職(北海道)
産婦人科医の集団退職が明らかになった札幌市東区の天使病院(杉原平樹(つねき)院長、二百六十床)で、診療科長を含む産婦人科医全員の六人が、九月末までに離職することが十日分かった。同病院は道の地域周産期母子医療センターに指定されているが、十月以降は高リスク出産の受け入れは難しく、道央全域の産婦人科医療への影響は避けられない。
同病院は十月、医療法人社団カレスアライアンス(室蘭)から、特定医療法人社団カレスサッポロ(札幌)へ移管される予定だが、新法人の経営方針をめぐる意見対立により、産婦人科医の前院長が八月で退職する。診療科長を含む三人も「経営内容の不透明な新法人による再雇用を望まない」と病院側に伝え、九月末の離職を決めていた。
(北海道新聞)
県立保健大の企画を文科省が採択(青森)
県立保健大は八日、静脈注射の最新技術・知識を習得してもらう看護技術研修の企画が、文部科学省の「社会人学び直しニーズ対応教育推進プログラム」に採択されたと発表した。二〇〇九年度までの三年間、約二十時間前後の研修を、現職や離職中の看護師計百五十人を対象に実施する。安全な医療の提供を進めるとともに、離職した看護師の職場復帰を支援し、看護師不足の緩和も目指すという。
(東奥日報)
東京女子医大:「特定機能病院」厚労省が再承認
厚生労働省の社会保障審議会医療分科会は9日、01年の心臓手術ミス・隠ぺい事件で高度医療を行う「特定機能病院」の承認を取り消されていた東京女子医大病院(東京都新宿区)について「再承認は差し支えない」との結論をまとめた。
同病院は02年9月に全国初の承認取り消し処分を受け、05年2月に再承認を申請したが、この時は認められなかった。厚労省医政局は「今回は過去の医療事故で被害者側との示談など一定の区切りがついたことに加え、院内の報告制度や医療記録の整備、職員の意識改革などで安全管理体制が強化されたことが評価された」と説明した。
再承認について、取り消しのきっかけとなった医療ミスで次女を亡くした平柳利明さん(57)は「審議結果に異を唱えるつもりはないが、被害者側からも意見を聞いて検討してほしかった。病院は責任の重さを十分に自覚して、さらなる改善、改革を進めてほしい」と話した。
(毎日新聞)
社会医療法人に法人税優遇・政府、来春導入控え骨格
政府が来年4月に導入する社会医療法人制度の骨格が固まった。経営が苦しい公立病院に代わり地域医療の中核を担う組織として、救急やへき地医療などの実施を条件に法人税率を軽減する。個人病院など一般的な医療法人の税率は30%だが社会医療法人は22%以下にする方向だ。また物品販売など収益事業の展開や公募債の発行も認める。税負担や規制の緩和で社会医療法人の財政を支援。地方部で必要な医療サービスの確保をめざす。
社会医療法人は来年4月から都道府県の認可で設置される新しい組織形態。通常の医療法人とは異なり、人手不足が深刻な救急、へき地、災害医療などの実施が認定の条件になる。
(日経新聞)
参考 病院開設者と課税
堀田哲夫.小児救急医療の現場からB.病院小児科の減少−中小民間医療機関では病院小児科は維持できない−.小児科 2005;46:1489-1495. の表3
県立病院赤字19億 中期経営計画「達成は困難」(千葉)
県病院局がまとめた県立病院の2006年度決算概要によると、赤字額は19億2500万円で、中期経営計画で見込んだ6億3000万円を大きく上回り、累積赤字は244億5300万円にふくらんだ。
同局経営管理課では「診療報酬のマイナス改定や、医師不足による診療体制の縮小が響いた」と分析している。
現計画は最終年度にあたる今年度、単年度赤字額を約1億8000万円まで削減することを目標に掲げたが、「収支面での完全達成は困難な状況」(同課)となった。
決算概要によると、患者数は新規入院患者が計2万1886人で前年度比62人の微増だったが、新規外来患者は同6303人減の4万5371人にとどまった。県立7病院のうち赤字だったのは循環器病センター(市原市)、東金病院(東金市)、佐原病院(香取市)の3病院。医業収益が伸びない一方で、人件費や減価償却費は増加し、医業収支の欠損額は86億5181万円に上った。
(2007年8月10日 読売新聞)
姫川病院跡に10日診療所開設(新潟)
経営破たんにより6月末に閉院し、自己破産手続きを進めている糸魚川市の糸魚川医療生活協同組合「姫川病院」の元医師1人が10日から、同病院の施設を借り受け、診療所を開業することが明からになった。同病院の閉院後、市内の他の医療機関に患者が集中するなど地域医療に大きな影響が出ていただけに、関係者は「患者の分散が図れる」など安堵(あんど)している。
開業するのは6月まで、同病院で脳神経外科を担当していた美野善紀医師(48)。旧病院施設の一部を使い、脳神経外科、内科、リハビリ科の計3科の診療を再開する。同医師と、看護師2人ら計8人のスタッフで診療に当たる。
(新潟日報)
146国立病院で治療費不払い46億円、9割が生活困窮
全国の医療機関で患者の医療費滞納が問題化する中、独立行政法人「国立病院機構」が経営する全国146の病院でも、患者が支払わない治療費(未収金)の残高が今年1月末で約46億4000万円に上っていることがわかった。
滞納理由の9割以上が「生活困窮」といい、同機構では「経済格差拡大の影響が大きい」と分析しているが、「払えるのに払わない人もいる」とも指摘している。
昨年度は約9億円が時効で回収不能になるなど病院経営の圧迫要因となっているため、同機構では、訴訟を起こすなどして回収に努めているが、思うような効果は上がっていない。
未収金増加の要因には、サラリーマン本人が3割負担になるなど医療費の自己負担率が上昇したことや、低所得者層の増加が挙げられている。6割以上の病院が加盟する四病院団体協議会の調査では、加盟5570病院の未収金は04年度までの3年間で、853億円以上と推計されている。
このため、これまでは医療機関の自助努力に任せていた厚生労働省も、6月から検討会を設置して対策を練り始めた。同省の神田裕二・国民健康保険課長は「経済的な問題、支払えるのに支払いを拒否するモラルの問題、患者を待たせたり、必要のない検査をしたりして患者とトラブルになるなど病院側の運営上の問題と、未収金の原因は様々」とした上で、「それぞれの事情に応じたきめ細かい対策が必要」と話している。
(読売新聞)
8月12日
小児救急「鹿屋方式」守れ 大隅地域保健医療協が発足(鹿児島)
崩壊の危機にある鹿屋市の夜間・休日小児救急医療体制「鹿屋方式」について話し合う「大隅地域保健医療協議会」が8日、発足。同方式存続に向けた論議をスタートさせた。
同市は2001年度から、時間外小児患者の診療を、地域の中核病院と開業医が分担する、独自の方式を始めた。ところが近年、時間外小児患者が急増。開業医の負担が増し、鹿屋市医師会は「負担が限界に達している」と来年3月末に撤退することを表明している。
(西日本新聞)
医学部入学に「地域枠」10人 岩手医大
岩手医大(大堀勉理事長)は、2008年度からの医学部入試で、大学卒業後に県内で勤務する人を対象とした「地域枠」制度を導入する方針を固めた。定員は10人程度となる見込みで、推薦入試を軸に検討している。来年度入試から医学部定員(1学年)が現在より10人増え90人となることに伴う措置で、卒業後一定期間は県内での地域医療に従事することなどを条件とする。県も奨学金制度など環境整備に向けた調整を進めており、医師不足が深刻な本県にあって医師の定着を促す狙いがある。
(岩手日報)
県内4地域に強化病院-産婦人科医療の集約化(奈良)
地域医療の確保という観点から県が設置する県医療審議会の産婦人科医療部会(部会長・小林浩県立医科大教授、15人)の3回目の会合が7日、奈良市登大路町の県文化会館会議室で、非公開で開かれた。産婦人科医療の集約化、重点化計画素案について話し合われ、県内を4地域に分け、強化病院を選ぶことなどを話し合ったという。
(奈良新聞)
8月11日
東京女子医大:「特定機能病院」の再承認を申請
01年の心臓手術ミス・隠ぺい事件で、高度医療を行う「特定機能病院」の承認を02年9月に取り消されていた東京女子医大病院(東京都新宿区)が、厚生労働省に再承認を申請していたことが分かった。9日の社会保障審議会分科会で審査し、認められれば8月中にも厚労相が再承認する。
同病院は05年1月にも再承認を求めたが、医療安全体制などの問題点を指摘され、見送られた経緯がある。今回の申請は今月1日付で、大学広報室は「医療記録の記載ガイドラインを新たに作り、今年4月までに8件の医療事故について遺族と示談が成立するなどの改善があった」と説明している。
特定機能病院には現在81病院が指定されており、大学病院では同病院のほか、重大な医療事故を起こして承認を取り消された東京医大病院が外れている。
(毎日新聞)
大学病院の医療事故に公表指針 被害程度で方法定める
80の国公私立大学でつくる全国医学部長病院長会議(会長=大橋俊夫信州大学医学部長)は8日、大学病院で起きた医療事故の公表に関する指針を発表した。05年3月に国立大学付属病院長会議がまとめたものとほぼ同じ内容の公表指針が全大学病院に適用される。実施は、学内手続きが済んでいない1大学を除き9月1日から。
指針は、医療従事者や病院の過失の有無、被害の程度によって公表方法を定めた。過失が認められる事故で患者が死亡したり重い障害が残ったりしたケースは、発生後速やかに公表するとともに、原因を調査し概要と改善策を病院のホームページ(HP)に掲載する。過失の有無は、病院内の調査委員会などの意見を踏まえ病院長が判断する。
(朝日新聞)
妊産婦死亡:都道府県格差5.8倍 搬送整備でも明暗か
厚生労働省の研究班は、妊産婦死亡について分析を進めている。95〜04年の10年間で出生10万人あたり、京都府で10.7人が死亡したのに対し、広島県では1.84人。都道府県によって最大5.8倍の差があった。
死亡率が低いのは、広島、富山、愛媛、鳥取、岡山など中四国地方に集中する傾向があり、逆に悪かったのは京都、鹿児島、山形、長崎、高知の順だった。背景を探るため、研究班がアンケートしたところ、44都道府県から回答があり、その43%が、周産期医療に携わる医師の減少を挙げた。
(毎日新聞)
周産期母子医療センター:奈良など4県、年度内の整備困難
母体や新生児の救急搬送に対応し、周産期医療ネットワークの中心となる「総合周産期母子医療センター」の全国整備が、国の目標である今年度内に完了できないことが、毎日新聞の調査で分かった。奈良県大淀町立大淀病院で昨年8月、妊婦が意識不明となり19病院に転送を断られた末、大阪府内の病院で死亡した問題を受け、柳沢伯夫・厚生労働相が「07年度までに整備する」と言明していた。未整備だった8県のうち、奈良、山形、宮崎、佐賀の4県が、現段階で「期限内整備は困難」としている。
(毎日新聞)
最低賃金の引き上げ目安、平均14円に・過去最高
最低賃金を引き上げる目安を決める中央最低賃金審議会(厚生労働相の諮問機関)の「目安に関する小委員会」が7日から8日早朝にかけて開かれ、全国平均で時給を14円引き上げるとの目安を決めた。現行制度で最高の引き上げ幅だが、厚労省が提案していた引き上げ幅(13―34円)の下限に近い水準で決着した。
現在の最低賃金額は全国平均で時給673円。目安は地域の経済力の差などを考慮して四つに分かれる。東京都などAランクは時給19円、B(静岡県や京都府など)は14円、C(北海道や福岡県)は9―10円、そして沖縄県や青森県など雇用情勢が特に悪いDは6―7円の引き上げ幅とした。同じランク内で引き上げ額に幅を設けたのは初めて。
(日経新聞)
医師確保へ県が5事業に補助金 東濃5市の奨学基金など(岐阜)
県は、深刻化する県内の医師不足に対応するため、地域が取り組む医師確保の五事業に対して市町村振興補助金を出して支援していくことを決めた。東濃五市が圏域の市立病院などに勤務する意思を持った医学部生らに貸与する奨学基金制度や、飛騨市が大都市圏の民間病院医師にアドバイザーを委嘱して相談に応じてもらう制度などを打ち出しており、こうした地域の試みを財政的に支える。
(中日新聞)
天使病院 産婦人科医4人辞職へ 危険性高い出産に対応 「経営側に不信感」(北海道)
道の地域周産期母子医療センターとして、道央の産婦人科医療の拠点となっている札幌市東区の天使病院(杉原平樹(つねき)院長、二百六十床)で、産婦人科医六人のうち四人が、病院を辞める意向を固めたことが七日分かった。病院側は「仮に一部の医師が退職しても、新たな医師を確保して診療機能は維持する」としている。
同病院は、全道に二十五、札幌市内に四施設ある地域周産期母子医療センターの一つ。年に約八百件の出産のほか、道央で最大規模の新生児集中治療施設(NICU)を設置し、緊急の帝王切開手術や低体重児の出産など、危険性の高い出産に対応している。
(北海道新聞)
8月10日
産科・救急の診療報酬上げ検討 医師不足対策に重点
医療の公定価格である診療報酬の08年度改定で、厚生労働相の諮問機関の中央社会保険医療協議会(中医協)が検討する主要項目が7日、明らかになった。医師不足に対応し、地域医療を充実させるため、産科、小児科、救急医療や、中小の病院への診療報酬を手厚くする。また勤務医の過剰労働の緩和をめざし、開業医の夜間診療や往診の報酬を引き上げ、負担を肩代わりしてもらうことなどを柱としている。
検討案によると、「一定の地域や産科・小児科などで必要な医師が確保できず、医療の提供に支障がでている」とし、地域医療の確保・充実に「特に配慮を行う」と明記。こうした診療科への報酬を手厚くするとともに、医師不足の原因と指摘される勤務医の過剰な負担の軽減を目指す。
(朝日新聞)
柳沢厚労相ら退任へ…安倍内閣改造
安倍晋三首相は7日、女性を「産む機械」と発言した柳沢伯夫厚生労働相を退任させる意向を固めるなど、今月下旬に断行する内閣改造、党役員人事での「人心一新」に向けた調整に着手した。
(スポニチ)
医師対策や教職員増求める 知事会が厚労、文科省に
全国知事会は7日、2008年度政府予算の概算要求に向け、医師不足対策や教職員の増員などを求める要望書を厚生労働、文部科学両省に提出した。
知事会の社会文教委員長を務める神田真秋愛知県知事が両省を訪問し、柳沢伯夫厚労相には「医療、福祉政策は地方の実情に合っていない。もっと現場の声を聞いてほしい」と説明。(1)救急や小児医療の充実(2)自治体病院の経営健全化に向けた支援策(3)子育て家庭に対する手当や支援税制の充実−などを要望した。
(熊本日日新聞)
氷見市民病院民営化問題、県の労働委員会「斡旋」(富山)
氷見市民病院の民営化問題をめぐって7日、県の労働委員会が氷見市と病院職員の労働組合の間に立って話し合いを進める、1回目の「あっせん」を行い、双方から事情を聞きました。
氷見市民病院については、先月、氷見市の堂故市長が来年度からの公設民営化を目指すと発表しました。
(北日本放送)
8月9日
地元医師育成に県協力 三重大医学部でオープンキャンパス
三重大医学部医学科(津市)で六日、医師不足に悩む県が初めて加わったオープンキャンパスがあった。参加した中高生や保護者向けに、県は修学資金貸与制度や地域医療の魅力を紹介。医師を夢見る生徒たちに、県と大学が声をそろえて「地元の三重大で医者となり、地元に残って働いて」と訴えた。
(中日新聞)
当直明けでも夜まで勤務…産科医の過酷な実態、明らかに
早産や妊娠合併症など危険な出産を扱う全国の主要な大学病院産婦人科の約9割で、医師が当直翌日も夕方から夜間にかけて勤務しているほか、当直時に緊急入院などに対応した際の手当を支給されていないことが、日本産科婦人科学会の調査でわかった。産科医療は過酷な勤務体制などを背景に医師不足が深刻化しており、同学会は「人材確保には待遇改善が不可欠」として、厚生労働省に改善策を求める陳情書を提出した。
久留米大病院が同病院と系列14病院の産婦人科医に実施した調査では、「平均勤務時間が1日12時間以上」と答えた医師が8割いた。半数近くが月に11回以上の当直をしており、当直時の平均睡眠時間は4・8時間。1か月の平均休日は2・5日だった。
(読売新聞)
止まらぬ臨床研修医の県外流出 県が法改正要望(鳥取)
医師不足が社会問題化して久しい。地域間格差の象徴でもある。原因の一つは研修医が都市部の大病院や著名な大学病院に偏る現象だ。国による格差是正の論議を横目に、鳥取県は医学生の卒業後の研修先を一定地域に限定する法改正を厚労省に求めている。強引にも映る要望が、事態の深刻さを物語る。
医学部卒業後の臨床研修が必修化された二〇〇四年度以降、鳥取県内の病院(七病院)を研修先に選ぶ医学生は減少し続けている。本年度は二十八人。募集定員七十人の半分にも満たない。
一方、鳥取県は法律に切り込んだ。医師法は研修先病院の選択について規制を設けていないが、県は関係する条文に「卒業した大学の所在する地域ブロックの病院で研修を受けなければならない」と付け加えるよう厚労省に求めた。
例えば、鳥取大学の卒業生の研修先は中国地方の病院に限定する。県福祉保健部は「地域の病院に研修医を誘導できる」と効果を読む。国が審議会の答申を格差是正に生かすのなら、県は法律をつくる国会議員と連携して解決を目指す。
(日本海新聞)
来年度の医学部定員、11大学が増員申請
文部科学省は3日、国公私立の11大学が、2008年度からの医学部定員の増員を申請したと発表した。
同年度から10年間、各大学がそれぞれ10人増やし、全体で110人の定員増となる。同省は審議会の答申を経た後、9月末にも認可する見通しだ。今回の申請は、医師不足が深刻な県の大学医学部に、最大10年間の暫定的な定員増を認めたことに伴う措置。国立8大学(弘前大、秋田大、山形大、新潟大、山梨大、信州大、岐阜大、三重大)、公立1大学(福島県立医科大)、私立2大学(岩手医科大、自治医科大)が申請した。
(読売新聞)
健康配慮義務とは
最後に3つめの側面、メンタルヘルス対策をがんばっていたのに、不幸にして問題が生じてしまった場合を考えましょう。この場合、法律やガイドラインを守っていたら企業は免責されるかというと、そう簡単にはいきません。ここには「安全配慮義務(健康配慮義務)」が登場します。
企業には、「社員を業務に従事させるにあたって、社員の生命・身体・健康を守るべき義務」つまり「過度の疲労や心理的負担をかけて社員の心身の健康を損なうことがないよう注意する義務」があります。これを、「安全配慮義務(健康配慮義務)」といいますが、法律やガイドラインに書いてあるものではなく、1970年代から判例で認められるようになってきたものです。
時代の移り変わりによって、当初、安全配慮義務としてケガを防止することに力点が置かれていたのが、過労死などをめぐる紛争が急増するにつれ、次第に「従業員の健康を確保すること(=心身の疾病を予防すること)」も含まれる、と変化してきました。
そして最高裁は2000年の過労自殺の事件で、使用者は業務の遂行に伴う疲労や心理的負担が過度に蓄積して労働者の心身の健康を損なうことがないように注意する義務を負うと述べて、企業が社員の心の健康についても配慮する義務を負うことを明言しました。
過労自殺の裁判などで、会社側が、「自殺するとは思えなかった」と主張するのは、予見可能性がなかったから責任もないと言っているのです。しかし何のメンタルヘルス対策もとらずに、ただ気づかなかったではすまされません。予見「可能」性は、「予見できた」はずなのに、対策がお粗末で予見できなかったときにも存在するからです。
(日経ビジネスオンライン)
県政は今<下>医師不足 悪循環で減り続け(埼玉)
「夜間や休日に十分な診療ができず申し訳ない気持ちでいっぱい。でも自分一人ではどうすることもできない」
JR大宮駅から南へ歩いて約十分のさいたま赤十字病院(さいたま市中央区上落合八)。小児科部長の大久保隆志さん(44)は顔を曇らせる。
同病院の小児科は今年四月、四人いた医師のうち二人がほかの病院に移った。大久保さんは直後、同病院などの要請を受け市内の別の病院から移ってきた。しかし医師三人では夜間の当直勤務は土曜日しかできない。入院患者や産科の出産に異常があればすぐに駆けつける体制は維持しているものの、救急外来に十分対応できないことに後ろめたさを感じている。
小児科医の勤務は厳しい。大久保さんは朝八時半に出勤し、昼間は外来患者を診ながら入院患者の手当てをこなし、夜は呼び出し対応。当直日は一睡もできない日がほとんどで、うとうとしては急患が来る状況だ。同病院は土曜日しか当直日がないが、別の病院にいた時には当直明けでもそのまま外来診察などをこなしていたという。
なぜ小児、産科の病院が減少し続けるのか。ある医療関係者は「過酷な勤務に疲れ病院を辞める人が多く、なり手もいないという悪循環」と指摘する。加えて重症患者や出産後に異常が出る可能性があるハイリスク分娩(ぶんべん)へのストレス、さらに訴訟や刑事事件に発展するケースも増えている。
(東京新聞)
8月8日
小児科医不足を考える、研修医の意思を尊重した取り組みを
内山聖(新潟大学小児科教授)
マスコミは「小児科は3K(きつい,汚い,危険)のため成り手が少ない」としばしば報じている。潜在的に小児科に心引かれる医学生は多く,彼らが最終的に小児科を諦める理由こそが小児科医を増やすために取り組むべき課題といえる。3Kと簡単にいうが,小児科は医療訴訟が少ない科の一つであり,危険という言葉はあたらない。同様に,子どもたちを扱っている私たちが現場で汚いと感じることはまずない。したがって,問題になるとすれば,残りのK(きつい)であろうか。
このKの解決には適切な勤務体制の保障が最も大切であり,日本小児科学会は10−15名の小児科医が勤務する「地域小児科センター構想」など,小児科医の集約化を進めている。将来望ましい体制であるが,時間を要する検討課題がいくつかあり,特に地方では即効性は期待できない。
ないものねだりをせずに現状を打破するには,綺麗事は捨て,やれることをやるしかない。指導医は学生や研修医に,思い切り小児科を楽しんでいる姿を無理にでも見せて欲しい。もともと小児科が大好きな貴方たちのはずである。疲れ切って,愚痴しかでない小児科医を目の当たりにし,小児科医になろうとする若者は稀である。そのためには,中小病院では他科医による小児救急・当直のカバーなど,病院全体で小児科医を大切にする気運を高めて欲しい。これには院長の裁量が大きい。
(週刊医学界新聞)
医師養成奨学金に10人応募 県医療対策協が報告(高知)
県医療対策協議会の第四回会合が三日夜、高知市丸ノ内二丁目の高知城ホールで開かれ、県が本年度の医師確保対策の進ちょく状況を説明。県内で医師として将来勤務する意思のある医学生を対象にした医師養成奨学金(貸付枠十八人)に十人の応募があったことが報告された。
(高知新聞)
都留市立病院が分娩受け付け中止へ、県東部の出産施設消える(山梨)
都留市立病院は四日までに、分娩(ぶんべん)の受け付けを中止する方向で検討に入った。産科医を派遣している山梨大から「安全な分娩を行うため」と配置を求められた常勤の麻酔科医を確保できないことが理由。中止が決まれば、県東部地域では分娩を受け入れる医療機関がなくなることになる。麻酔科医を確保できないことなどを理由に分娩受け付けをストップするのは甲州市の塩山市民病院に次いで二例目。全国的に医療訴訟が相次ぎ、万全な分娩体制を望む医師が増えていることが背景にあり、麻酔科医の確保も産科医確保と同様、大きな課題となっている。
(山梨日日新聞)
Harvard Medical Practice Study(医療過誤と医療過誤訴訟)
HMPSは,その第3報で医療過誤と過誤訴訟との関連を報告したが,その結果はさらに衝撃的なものだった(ニュー・イングランド・ジャーナル・オブ・メディスン325巻245頁,1991年)。第3報で対象とされた約3万のカルテの分析で,280例に医療過誤が存在したと同定されたのだが,この280例のうち,実際に医療過誤の損害賠償を請求していたケースはわずか8例のみであった。一方,全3万例のうち,過誤による損害賠償を請求した事例は51例あり,その大部分は,HMPSの医師たちが「過誤なし」と判定したケースだったのである。つまり,実際に過誤にあった人のほとんど(280人中272人)が損害賠償を請求していない一方で,「過誤」に対する損害賠償の訴えのほとんどは,実際の過誤の有無とは関係のないところで起こされていたのである。
さらに,HMPSは過誤訴訟の帰結がどうなったかを10年間追跡したが,賠償金が支払われたかどうかという結果と,HMPSの医師たちが客観的に認定した事故・過誤の有無とはまったく相関しなかった。事故や過誤はまったく存在しなかったと考えられる事例の約半数で賠償金が支払われている一方で,過誤が明白と思われる事例の約半数でまったく賠償金が支払われていなかったのである。それだけではなく,賠償金額の多寡は医療過誤の有無などとは相関せず,患者の障害の重篤度だけに相関したのだった(ニュー・イングランド・ジャーナル・オブ・メディスン335巻1963頁,1996年)。
(週刊医学界新聞)
8月7日
周産期医療考えよう あす種子島こりーなで学習会(鹿児島)
種子島で唯一の産婦人科医院が年内いっぱいで休診する問題で、「種子島地区周産期医療を考える会」は6日、中種子町の種子島こりーなで、学習会を開催する。
テーマは「種子島の周産期医療の現状について」。講師は年内の休診を表明している池田医院(西之表市)の池田速水医師と、田上病院(同)の高山千史麻酔科部長。これまでの経過説明や現状の医療態勢などについて、現場からの報告がある。また、種子島1市2町や医師会、県熊毛支庁などで構成する産婦人科医確保対策協議会の取り組みの報告もある。
(南日本新聞)
医学生や臨床研修医に「奨学金」、県国保連 年180万円(滋賀)
医師不足に対応するため、滋賀県国民健康保険団体連合会はこのほど、県内の医学生や臨床研修医に対し、来年度から修学や研修のための資金を貸し付けることを決めた。
貸し付けの対象とするのは、医科大に在学する5年生(2011年度まで計9人)と、県内の公立病院などで研修する臨床研修医(13年度まで計18人)。いずれも年額180万円を最長2年間貸し付ける。
このうち、臨床研修は国保が運営する公立高島総合病院など七病院で行う。終了後、県内に定着することを前提に、返還を免除することも検討しているという。
(京都新聞)
ブランド医師結集で再生 新院長が人脈をフル活用、佐野市民病院(栃木)
経営危機が続いている佐野市民病院に患者が戻り始めた。知名度の高い医師を多く雇い、口コミやインターネットで情報が広がった。四月に就任した福光正行院長(68)による母校の東京大学医学部人脈を最大限駆使したあの手この手の医師勧誘作戦が奏功。一部の待合室は順番を待つ患者であふれ、二カ月先まで予約がいっぱいの診療科も。同病院は「この人気が病院再生のきっかけになれば」と期待している。
(東京新聞)
県立3病院、診療費未収2億円 民間に徴収委託も(静岡)
県立3病院(総合、こころの医療センター、こども)で1年以上支払いのない診療費未収金が、平成18年度末までの累計で1億9700万円にも上っていることが3日、分かった。診療費滞納者の14%が生活困窮を理由にしている一方、明確な理由がないのに未払いの人も58%いた。県は近く、3病院の担当者と未収金対策を検討し、民間の債権回収会社に徴収を委託することなども視野に、回収策を強化する。
県立総合病院は昨年12月、不払い額の上位10人に対して内容証明郵便で督促したが、半数は受け取り拒否やあて先不明で届かず、届いた滞納者も支払いの能力・意思がなかった。「結局、実効は上がらなかった」と対応に苦慮している現状を話した。
支払い能力があるのに払わない事例が増えていることについては「電話での督促など地道な対応だけでは限界がある。負担の公平性の観点から、悪質なケースは訴訟など強制手続きもやむを得ない」と未収金回収のルールや体制づくりを急ぐ考えだ。
(静岡新聞)
8月6日
3病院「群」に追加 初期臨床研修、医師不足が影響(千葉)
8つの県立病院が「病院群」として、ともに実施してきた研修医に対する初期臨床研修をめぐり、県は平成20年度から、病院群に新たに3病院を追加することを決めた。これまで研修を実施してきた県立病院で内科医らが不足し、研修医への十分な指導態勢の確保が困難になっている実情が背景にある。県病院局は「3病院の追加で、研修医の初期研修が一層充実する」と意義を強調するが、県内で深刻化する医師不足が、若手医師の研修にも影響を与えている実態が浮き彫りになったといえる。
新たに病院群に加わるのは千葉東、千葉社会保険、川鉄千葉のいずれも千葉市内の3病院。千葉東、千葉社会保険の両病院は、半年近くの内科の研修を予定。川鉄千葉病院は1カ月程度の産科の研修が実施され、手薄になりつつある態勢を補う研修として期待は大きい。
国が新医師臨床研修制度を始めた平成16年、県は8カ所の県立病院での初期研修を導入し、研修医は複数の県立病院を回り、必要な研修を受けられるようになった。病院群で17年度に研修を受けた15人のうち約半数はその後も県内の病院にとどまり、若手医師の県内への定着という意味でも効果的だった。
ところが最近は、内科の研修を行っている東金病院(東金市)や佐原病院(香取市)で内科医不足が深刻化し、産科医については現在、研修を実施できる県立病院は皆無。指導医が不在だったり不足したりする病院が大半で、研修態勢が手薄になってきていた。
(産経新聞)
国公私立11大学、医学部定員の増員を申請…文科省認可へ
文部科学省は3日、国公私立の11大学が、2008年度からの医学部定員の増員を申請したと発表した。同省は審議会の答申を経た後、9月末にも認可する見通しだ。今回の申請は、政府が昨年8月に決めた「医師確保総合対策」で、医師不足が深刻な県の大学医学部に対し、最大10年間の暫定的な定員増を認めたことに伴う措置だ。
国立8大学(弘前大、秋田大、山形大、新潟大、山梨大、信州大、岐阜大、三重大)、公立1大学(福島県立医科大)、私立2大学(岩手医科大、自治医科大)が申請した。08年度から10年間、各大学がそれぞれ10人増やし、全体で110人の定員増となる。
(読売新聞)
精神科救急、存続の危機 由利組合病院、指定医確保困難に(秋田)
由利組合総合病院(西村茂樹院長、由利本荘市川口)の精神科救急医療が来年以降、存続が危ぶまれていることが2日、明らかになった。精神保健指定医を派遣してきた秋田大医学部が、後任を派遣できない旨を連絡してきたためだ。同組合病院は指定医確保に懸命だが、「今のところめどが立っていない」(西村院長)という。指定医不在となれば、現在30人の患者がいる精神科入院棟も閉棟に追い込まれる。
(さきがけ)
草津市、1460万円の支払い決める、非常勤嘱託職員残業代未払い問題(滋賀)
滋賀県草津市の非常勤嘱託職員への残業代が未払いとなっていた問題で市は3日、2005、06両年度の同職員と元職員延べ226人に対し、計1460万円を支払うことを決めた。8日に開かれる臨時市議会に一般会計補正予算案として提案する。
残業代未払いは今年5月、元職員の女性が、過去2年に550時間の残業があったとして大津労働基準監督署に申し入れていた。市は同31日に、同労基署から是正勧告を受けており、今月3日までに、未払いがあった部署の所属長や担当部長ら計30人に対し、勤務形態の監督や管理が不適切だったとして、文書と口頭で注意した。
(京都新聞)
塀の中でも医師不足…法務省調べ、「ゼロ」8か所 定員割れは20か所
全国に75か所ある刑務所・拘置所のうち、20か所の常勤医が4月1日現在で定員割れとなり、1人もいない刑務所も8か所に上ることが法務省矯正局のまとめでわかった。
2004年4月に新たな臨床研修制度が導入されてから、医局勤務医が少なくなった大学が医師派遣を取りやめるなど、一般病院と共通する問題も背景にあるとみられている。
刑務所・拘置所75か所の常勤医の総定員は226人だが、欠員は28人と1割以上も不足している計算になる。法務省組織規程で各刑務所・拘置所に医師である医務課長1人を常駐させるよう定めているほか、各施設は収容人数などを基に定員を決めている。しかし、定員3の千葉(千葉市若葉区)、定員2の長野(長野県須坂市)両刑務所などでは、常勤医が1人もいない。
(読売新聞)
仕事と家庭生活の調和、成長に重要・労働経済白書
柳沢伯夫厚生労働相は3日の閣議に2007年度版の労働経済の分析(労働経済白書)を報告した。今回の白書は人口減少社会となるなか、長時間労働など働き方の様々な問題を解消しワークライフバランス(仕事と家庭生活の調和)を実現することが今後の持続的な経済成長には重要だと指摘している。
調和の実現にはまず正社員と非正社員を賃金などで公平に処遇する、特に30―40歳代の会社員に目立つ長時間労働を是正するなど「誰もが安心して働くことのできる労働環境の整備が必要」と指摘。今の雇用システムを見直す必要があると強調している。
(日経新聞)
「転職したい」新入社員急増、人材各社への登録2―4倍に
今春に入社したばかりで早くも転職を希望する新社会人が増えている。人材紹介最大手のリクルートエージェント(東京・千代田)には6月半ば時点で前年同期の2倍の新社会人が転職希望を登録。他の紹介会社でも前年を上回る多数の希望者が集まっている。企業が大量の新卒採用を進めた結果、人材と職場のミスマッチが増えたとの指摘が多い。だが転職で必ずしも期待通りの職場が見つかるわけではなく、大学などには若者の移り気を不安視する声も出ている。
(日経新聞)
人口、2年連続で減少 死亡者最多の108万人
総務省が2日、発表した3月31日現在の住民基本台帳に基づく人口動態によると、全国の人口は、前年に比べ1554人減の1億2705万3471人となった。人口減少は昭和43年の調査開始以来、初めて減った昨年に続き2年連続。
少子高齢化社会を反映し65歳以上の老齢人口は21%で過去最高を更新。死亡者も8893人増の108万1174人で過去最多。人口減社会の進行をあらためて裏付けた形となった。
昨年、過去最低を記録した出生数は2万6384人増え、出生数から死亡数を引いた自然増加数は1万743人とプラスに転じた。
(産経新聞)
8月5日
グランツ 「ジョブシェアリング」開始 女性医師職場復帰を支援
女性医師を対象にした人材紹介サービス「女性医局」を関東地区で展開するグランツ(東京都世田谷区)は1日、医師2人で労働時間を分け合って働ける「ジョブシェアリング」による人材紹介サービスを6日から開始すると発表した。結婚や出産で退職した女性医師を対象に職場復帰を支援する。
同社は2006年9月から、日本初の女性医師に特化した人材紹介サービスを開始。希望勤務地や勤務可能な時間を細かく聞き、最適な医療機関を紹介している。限定された時間や曜日でも医療機関に受け入れてもらえるようにジョブシェアリングの提案を開始する。
ジョブシェアリングは、2人1組でペアを組み、午前と午後、曜日別など常勤医師1人分の労働時間を2人で分担する仕組み。家事の時間や子どもの保育園の都合に合わせて、働く時間や曜日を限定できるため、出産で退職した子どものいる医師でも働きやすい。子どもが病気になったときなどはペアを組む相手が代わりに働くこともできる。
また、ペアのどちらもが働くことができない日には「女性医局」と協力関係にある退職後の医師が臨時で診療にあたるなど、緊急時に備えたバックアップ体制も整えた。
(FujiSankei Business i.)
割増賃金の不払い是正 252事業所で計5億円、埼玉労働局
埼玉労働局(古曳享司局長)は、割増賃金が適正に支払われていないとして、労働基準法(第三十七条)にもとづく是正指導を事業主に行った結果、不払い賃金が支払われた二〇〇六年度の是正状況を発表した。
悪質な賃金不払残業の事例として、時間外労働時間数を労働者から自己申告制により過少申告させ、実際の時間外労働時間数に応じた割増賃金を支払っていなかったり、割増賃金額または時間外労働時間数に上限を設定し、上限を超えた時間外労働時間数について割増賃金を支払っていなかった例を挙げている。
同労働局は、時間外労働および休日労働に対する割増賃金が適正に支払われていないとする労働者からの相談などが寄せられていることから、引き続き賃金不払残業の解消を最重点対策とし、事業場に対する監督指導を行うこととしている。(埼玉新聞)
藤沢市、休日夜間の産婦人科救急を変更(神奈川)
土・日・祝日の夜間急患診療を中止
藤沢市医師会の協力で藤沢市が行っている、産婦人科の休日・夜間急患診療が、7月23日から変更になった。変更となったのは、(1)日曜・祝日の夜間、(2)土曜日の夜間、(3)平日の準夜。平日の準夜は藤沢市民病院が対応するが、土日祝日の夜間の急患診療は中止になった。休日・夜間急患診療はこれまで同医会の医師が輪番で行っていたが、当番医を受け持つ診療所が減少し、継続が困難となったためだという。
同制度は昨年度までは14診療所で当番・輪番していたが、産科・婦人科を扱う医療機関の減少にともない今年7月から8〜9診療所に減少、藤沢市医師会から市に「継続困難」との申し出があった。藤沢市医療予防課は、「医師会の報告によると、明らかに救急処置が必要なケースは1割弱で、全体的に軽易な相談が多いとのこと。変更しても影響ないと判断した」と話す。
(タウンニュース)
札幌医大:昨年度の医師派遣は2104件−−196件対応できず /北海道
札幌医大の医師派遣対策委員会が31日、同大であり、道内の公立病院などの医療機関から昨年度2300件の派遣要請があり、2104件に応じたことを報告した。今年度も1744件の派遣要請(7月10日現在)があるが、継続派遣を中心に前年度並みの水準を維持する方針。
昨年度の派遣要請の内訳は継続1257件、新規1043件。要請に応じたのは継続1247件(派遣率99%)、新規857件(同82%)で、継続の方が高かった。常勤が276件、常勤外が1828件だった。
昨年度は新規の派遣要請を中心に196件に応えられなかった。島本和明病院長は「医師不足の現状は分かるが、これ以上の派遣は限界。北大や旭川医大と協力して対応に当たりたい」と話した。
(毎日新聞)
最低賃金引き上げの目安、15円前後に・厚労省方針
厚生労働省は1日、最低賃金を引き上げる目安について時給15円前後で調整する方針を固めた。中央最低賃金審議会(厚労相の諮問機関)を10日をメドに開き、正式決定する。厚労省は当初、30円前後の高い引き上げを視野に入れていたが、地方や中小企業の経営状態悪化を懸念する経営側委員の声に配慮し、引き上げ幅を最低限に抑える。
2ケタ台の引き上げは、引き上げ幅を目安として時給換算で示す今の制度になった2002年度以来、初めての高い水準。今の最低賃金額は全国平均で673円だが、10月以降は最低15円前後は上がる見通しだ。
(日経新聞)
知事、支援策創設を検討 医師の研修環境整備の病院(長野)
村井知事は30日、県の医師不足対策の一環で、若い医師の研修環境整備に取り組む病院に対し、何らかの支援策を創設する方向で検討していることを明らかにした。研修医は現在、大都市圏の病院に集中しており、県衛生部は、研修医の病院への定着を促進することが医師不足の解消にもつながるとし、どんな制度が可能か検討している。
(信濃毎日新聞)
8月4日
市バスは黒字、地下鉄は赤字、京都市 06年度の公営企業決算概要
京都市は1日、2006年度の公営企業決算概要を発表した。市バスは乗客増などで4年連続の黒字を見込んだ。地下鉄は運賃値上げで増収となったが赤字が続いている。上水道は給水管取り換え事業で支出が増えて6年ぶりの赤字。下水道は支払利息の減少などで6年連続の黒字を確保した。病院事業は京北病院の収益悪化が影響して3年連続の赤字となった。
市立病院(中京区)と京北病院(右京区)を合わせた総額では、収入138億1200万円に対して支出139億5600万円で、1億4400万円の赤字。9割近くは京北病院分で、医師不足の影響で患者数が入院、外来ともに約1割減った。
市立病院では入院病棟に看護師を手厚く配置すると診療報酬が増える制度改定に対応し、収入は約7000万円増の128億6100万円、支出は薬価引き下げなどにより約1億6000万円減の128億8000万円だった。
(京都新聞)
過重労働による過労死や心の病 企業の無理解浮き彫り・岡谷労基署(長野)
諏訪地方で時間外・休日労働が月100時間を超える労働者を抱えている企業の半数が、労働者の過労死や心の病の発症をあまり心配していないことが1日、岡谷労働基準監督署の実態調査で分かった。岡谷労基署は長時間労働の短縮や労働者の健康確保措置を求めている。
(長野日報)
自治体病院 道内30区域で再編案 道医療対策協提示、年内に構想策定(北海道)
赤字が深刻化している自治体病院の再編に向け、道医療対策協議会は三十一日の分科会で、道内を三十の区域に分けるたたき台案を提示した。区域ごとに、総合的な医療を行う中核病院に医師や設備を集約することで、病院の共倒れを防ぎ、地域医療の空洞化に歯止めをかける狙い。今後、各地域の意見を聞きながら、年内に「広域化・連携構想」を取りまとめたい考えだ。
道内の市町村立病院の累積赤字は、二○○五年度で約千二百億円に上り、自治体経営を圧迫している。このため、区域ごとに、自治体病院や日赤などの公的病院の中から中核病院をつくるとともに、その他を初期医療を行う診療所などに再編。核となる病院を中心に地域内の病院で役割分担しながら、医療体制の維持や各自治体の負担減を目指す。
たたき台は《1》現在の患者の通院動向《2》二百床程度の中核規模の病院が含まれている−などの条件を基に、道内百八十市町村を最小三市町、最大十八市町村からなる三十区域に分けた。
ただ、通院に車で片道二時間程度かかったり、十八市町村が含まれる広大な区域などもあるため、各地域の事情をふまえながら、同協議会でさらに区域割りを調整し、十月をめどに素案としてまとめたい考え。その上で、各区域ごとに保健所を中心に各自治体や医療関係者から意見を聞きながら、年内に構想をまとめる方針だ。
(北海道新聞)
県内救命士わずか14% 全国の約半分(沖縄)
救急救命士の医療行為が法改正で拡大し2004年7月から気管挿管、06年4月から薬剤投与の2行為が可能となったが、これら2行為を実施できるための認定を得ている救急救命士の全体に占める割合は、沖縄県は14・4%にとどまり、全国の26・4%よりも大幅に下回っていることが分かった。全国都道府県で割合が低い順に5位だった。理由について専門家は「医療行為の認定に必要な実習を受け入れる医師が足りない。沖縄は研修医が多く救急救命士まで対応が追いつかない」と医師不足の影響を指摘した。
(琉球新報)
岡山県 医療対策協を設置 産科、小児科医確保へ、3専門部会で 対応策議論
岡山県は31日、全国的に不足が懸念されている産科医らの確保策を検討する「県医療対策協議会」を設置した。少子化対策も視野に、どこに住んでいても、適切な医療が受けられる体制をつくるのが狙いで、今秋にも「産科」「小児(救急)」「へき地」の3専門部会を立ち上げ、短期、中長期で取り組むべき課題を精査。協議会に持ち帰って対応策を練る。
(山陽新聞)
1日から医師1人増、水曜夜対応(徳島)
徳島市を中心とする県東部医療圏(同市以北、吉野川市以東)で、水曜日の深夜11時半から翌朝午前8時半までの間、小児救急医療が〈空白〉となっていた問題が、1日から1年4か月ぶりに解消されることになった。徳島市民病院の小児科医が1人増え、水曜深夜の患者の受け入れ体制が整ったため。
県医療政策課によると、東部医療圏には365日、24時間体制で小児救急医療を実施できるスタッフがそろった病院がなく、徳島市や鳴門市、板野町などの5病院が交代で担当する「輪番制」を取っていた。しかし昨年4月以降、小児科医が減ったことなどを理由に2病院が相次いで離脱。水曜だけは手が回らず、南部医療圏(小松島市以南)の徳島赤十字病院(小松島市)がカバーしていた。
(読売新聞)
8月3日
共同通信記者の過労死認定 NY勤務中にくも膜下出血
2005年4月に共同通信ニューヨーク支局で勤務中にくも膜下出血で倒れ死亡した記者福田泰教さん=当時(46)=について、三田労働基準監督署(東京)は31日、過重な労働が原因として労災認定をした。
福田さんの遺族が昨年12月に労災申請。労基署は(1)直前1カ月に100時間超の残業をしていた(2)密度の濃い仕事をしていた上、日本との時差の関係で業務は昼夜を問わなかった−などを考慮したとしている。
福田さんはカイロ支局勤務などを経て03年にニューヨークに赴任。倒れた当時は国連担当として、国連安保理改革や核拡散防止条約(NPT)再検討会議などの取材をしていた。
共同通信社は「ご遺族の労災申請については全面的に協力してきた。今後も職員の健康管理に万全を期すよう努める」としている。
(北海道新聞)
宮崎大側に2400万円の支払い命令
宮崎医大病院(現宮崎大病院)で2003年、研修医の未熟な採血の結果、心臓病の長女(当時2)が呼吸困難で死亡したとして、宮崎県清武町に住む父親(42)が、大学に損害賠償を求めた訴訟の判決で、宮崎地裁は30日、約2400万円の支払いを命じた。
判決理由で高橋善久裁判長は「研修医に経験を積ませることよりも、呼吸困難を起こす危険性を低下させることを優先すべきだった」と指摘した上で「注射針を刺す回数を最小限に抑える義務を怠った」と病院側の過失を全面的に認めた。
判決によると、長女は03年9月12日、心臓病手術の輸血準備のため採血をされた際、研修医が2回失敗するなどして計4回の注射を受けた。長女は痛みや恐怖で号泣、その後も2回激しく泣いて呼吸困難に陥り、同日死亡した。
(日刊スポーツ)
院長ら4医師退職へ、浜松市リハビリ病院(静岡)
浜松市リハビリテーション病院(同市中区和合町)の医師10人のうち4人が今月末までに退職してリハビリテーション科の入院取り扱いを休止することが30日、市議会厚生保健委員会の市の報告で明らかになった。うち1人は本田哲三院長(56)で、さらに来月退職の意向を示している医師がいるため「病院の存亡にかかわるのではないか」と委員の市議から運営状態を危惧(きぐ)する意見が出た。
4人はリハビリテーション科の3人と内科の1人。既に2人が6月末に退職し、本田院長ら2人が今月31日付で退職する。理由は「健康上の問題や家庭の状況、大学の医局の異動」と市側は説明し、「目指す医療と違いがあったかも知れない」と医師の考えと病院の現状にギャップがある可能性も示唆した。
(静岡新聞)
東京女子医大事件で「週刊女性」に賠償命令 東京地裁
東京女子医大病院(東京都新宿区)で01年、心臓手術を受けた当時12歳の女児が医療ミスで死亡したとされる事件で、業務上過失致死罪に問われた元病院医師の佐藤一樹被告(43)=一審で無罪、検察側が控訴=が「週刊女性」の記事で名誉を傷つけられたとして1100万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が30日、東京地裁であった。石井忠雄裁判長は名誉棄損を認め、発行元の主婦と生活社に対し、55万円の支払いを命じた。
問題となったのは02年7月23日号の「あなたの大切な人も医者に殺される」と題した記事。判決は「(医療ミスがあったとされることを)ほかの報道機関の報道で知ったというだけで、自ら取材して検討したことが全くうかがわれない。医療ミスが真実と信じる相当な理由はない」と述べた。
(朝日新聞)
すかいらーく労組に調停申し立て=過労死した店長の妻
過労死したファミリーレストラン店長中島富雄さん=当時(48)=の妻晴香さん(51)が31日、富雄さんが加入していた「すかいらーく労働組合」を相手取り、組合の義務を果たさなかったことの謝罪などを求め、武蔵野簡易裁判所に民事調停を申し立てた。過労死問題で労組の責任を追及するのは異例。
申し立てによると、富雄さんは2004年8月、脳梗塞(こうそく)を発症し、10日後に死亡。残業時間は月平均130時間に及び、05年3月に労災認定された。会社は責任を認めて謝罪、昨夏示談が成立した。
(時事通信)
上伊那の市町村長「医師確保早急に」県に要望(長野)
知事と市町村長が直接意見を交わす地域懇談会「ボイス81」が30日、伊那市の県伊那合同庁舎で開かれた。上伊那地方の市町村長からは、県に対し、医師確保の積極的な取り組みを求める意見が相次いだ。
医師確保は、小坂樫男伊那市長ら4人が発言。「来年4月から昭和伊南総合病院(駒ケ根市)で産婦人科の医師がいなくなると、現在の伊那中央病院(伊那市)では医師もベッドも足りず、大きな問題になる。早急に昭和伊南に医師を配置してほしい」(小坂市長)、「辰野病院も含め、公的病院が果たす役割を県も共に責任を持ってやってほしい」(中原正純駒ケ根市長)などと強く要望した。
これに対し、村井知事は、県内の病院で研修医を増やすための施策や、退職した女性医師の復帰、本県で勤務してもらうための研究助成金の交付も対策に考えられるとし、医師確保は県中期計画で「県の責任も明確にして進めたい」と答えた。
(長野日報)
8月2日
「武見落選、自見当選」で日医に衝撃、唐澤執行部に初の試練、再選にも影響か
7月29日に投開票が行われた第21回参議院議員選挙の結果に、日本医師会の執行部は、大敗した自由民主党の幹部と同じくらいの衝撃を受けているだろう。日医の組織力が問われる比例区で、日本医師連盟が推薦した武見敬三氏(自民)が落選した一方で、一部都道府県医師会が推した自見庄三郎氏(国民新党)が当選したからだ。
武見氏と自見氏には、日医執行部をめぐり浅からぬ因縁がある。武見氏は、「反小泉政権」と見られていた植松治雄・前日医会長に対抗し、政権との協調路線を掲げる唐澤祥人・現会長を担ぎ出し、その当選に大きな役割を果たした人物。当然、植松氏がかつて会長を務めた大阪府医師会など、親植松派からは目の敵にされている。
そもそも植松氏は、小泉政権に「是々非々」の姿勢で臨んでいた。それが、「反小泉」と決定的にみなされるきっかけになったのが、一昨年の衆議院選挙で、郵政民営化に反対して自民党の公認を得られなかった自見庄三郎氏を推薦したこと。自見氏は落選したが、結果的に昨年4月実施の診療報酬改定は過去最大の引き下げ幅となり、これが植松前執行部の再選を妨げた最大の要因となった。
(日経メディカル)
医師会が水曜夜に須坂病院へ医師派遣(長野)
須高医師会(山口英之会長)は、内科医が3人欠員状態の県立須坂病院(斉藤博院長)を支援するため、水曜午後7時〜10時に同院で一次救急を担当する平日夜間緊急診療事業を始めた。同院の当直医は午後5時15分から翌日午前8時半まで内科・外科系2人が二次救急で詰めるが、水曜は外科系2人となるため、内科・小児科系医師1人を派遣する。
同会に所属する12診療所の13医師が交代で詰める。日曜・祝日に一次救急を行う須高休日緊急診療室(2年目)と同様に県の非常勤職員となって勤務する。比較的患者の多い時間帯を選定した。
(須坂新聞)
8月1日
全議席が確定 民主60、自民37
第21回参院選は30日午前、全議席が確定した。自民党は改選議席64を37に減らし、宇野宗佑首相が退陣した1989年参院選(36議席)に次ぐ歴史的な惨敗。参院で与党は過半数(122)を大きく割り、与野党が逆転した。続投を表明した安倍晋三首相の求心力低下は避けられず、厳しい政権運営を迫られる。
最後の議席は公明党の魚住裕一郎氏。自民党の厚生労働副大臣、武見敬三氏は落選した。
(スポニチ)
産科医不足に危機感訴え 彦根で助産師ら交え勉強会(滋賀)
お産を取り巻く環境について考える「ぷちたま塾」が二十八日、彦根市小泉町の「ひこね燦(さん)ぱれす」で開かれた。
同市立病院の分娩(ぶんべん)休止問題を受け、産婦人科医の確保を求めて活動している「安心なお産を願う会」(高居涼佳代表)の主催。近江八幡市立総合医療センターも六月末から新規の分娩予約を受け付けていないことを踏まえ、子育て中の女性を中心とする会員や助産師、医大生ら十五人が話し合った。
会員らは、県内の病院や診療所の位置を示した地図を掲げながら「このままでは長浜市から栗東市まで約六十キロの間、二次医療を扱う分娩施設がなくなってしまう」と危機感を訴えた。医師不足の原因についても意見交換。会場からは「医療訴訟が増えるのは、患者と医師のコミュニケーションが不足しているからではないか」などの声もあった。
産科医の実態を調査する授業の一環として参加した滋賀医科大四年の寺井万里紗さん(25)は「私も今は産婦人科医を目指しているが、国の医療制度を根本的に変えない限り、現状は打破できない。市民も自ら積極的に情報を得ていくことが必要だと思う」と話した。
(中日新聞)
桑名市民病院:「再編協議先、1病院が応募」/三重
病院再編に向け協議先として民間病院からの公募をしていた桑名市民病院はこのほど、「協議先候補として、1病院から応募があった」ことを公表した。27日の同市議会全員協議会で、市民病院の水野雄二事務長が報告した。
報告では、6月の公募期間中に北勢保健医療圏の民間病院一つから応募があった。病院名は「相手の意向に配慮して控える」としている。10月末まで相手病院の経営など基本調査を行い、結果が良ければ、再編候補として協議を進める。
(毎日新聞)
7月31日
女性医師の働きやすさ考えるフォーラム/横浜
女性医師が働きやすい環境づくりを考えるフォーラムが二十八日、横浜市中区富士見町の県総合医療会館で開かれた。全国の医師会や厚生労働省の担当者らが熱心に議論し、深刻化する医師不足問題に、女性医師の復職や勤務環境の改善が大きな役割を果たすことを確認した。日本医師会(日医、唐澤人会長)の主催で三回目。
厚労省によると、総医師数に占める女性の割合(16・5%、二〇〇四年末)は近年、一貫して上昇。最近は医師国家試験合格者の約三分の一を女性が占めるが、三十代前後で出産を機に離職する傾向があるという。
(神奈川新聞)
産科休止2カ月前倒し 分娩予約の妊婦に戸惑い 登米(宮城)
宮城県登米市立佐沼病院の産婦人科が、分娩(ぶんべん)の取り扱いを8月末で休止することになった。医師を拠点病院に集中配置する集約化に伴って、常勤医が8月いっぱいで大崎市民病院(大崎市)に移ることが決まり、10月末の予定が2カ月前倒しされた。9月以降に分娩予約を入れていた妊婦35人は転院を余儀なくされ、戸惑いと不安が広がっている。
佐沼病院の産婦人科は現在、東北大から派遣を受けた常勤医1人に加え、応援の医師が週3日、東北大から来ている。病院には4月下旬、東北大から産科医と小児科医を複数確保できない施設での分娩取り扱いを休止する方針が伝えられていたが、常勤医の退職が当初見通しより早まった。
(河北新報)
2割が母体救急態勢に不安 厚労省研究班が調査
リスクが高い妊娠・出産を引き受ける中核施設として全国に60カ所余り設置されている総合周産期母子医療センターの診療態勢を厚生労働省研究班が調べたところ、回答施設の約2割が、脳出血など産科以外の妊産婦の急性疾患は「受け入れ不可能」とし、態勢に不安があることが28日までに分かった。
調査は、奈良県で昨夏、出産時に意識不明となった妊婦が約20の病院から受け入れを断られた後、脳出血で死亡した事故を教訓に昨年末実施。計61のセンターにアンケートを送り、敗血症をはじめとする重篤な疾患や、脳疾患、心臓疾患など成人の急性疾患の診療態勢を尋ねた。
(北海道新聞)
地方公営企業年鑑(総務省:平成17年4月1日−平成18年3月31日)
平成17年度においては、経営損失を生じた事業数が68.7%で、前年度(66.2%)と比べ2.5ポイント増加し、病院事業全体では経常損益の赤字額が1,430億円(前年度1,317億円)と平成16年度から2年連続して経常損益の赤字額は1,000億円を超え、一段と厳しい経営状況となっている。平成17年度において経営状況が悪化した主な要因としては、相対として医業収益は若干ながら増加したものの、医師不足の影響等による患者数の減少により収益が伸び悩んだこと、その一方で減価償却費や燃料費、委託料といった経費が増加したことにより、医業費用が偉業収益を上回ったこと等が考えられる。
地元医師会員8人が平日夜間当直を担当、北海道・北海道社会事業協会岩内病院 4町村の初期救急体制守る
国の緊急臨時的医師派遣システムで8月から内科医が1人派遣されることになった北海道社会事業協会岩内病院(240床、略称:岩内協会病院)で、内科医が不在になった4月から、地元の岩内古宇(ふるう)郡医師会(北慎一郎会長)の会員8人が交代で同病院の平日夜間当直を始めた。北会長は、「困っているから助けるという、当然のことをしているだけ」と気負うことなく話すが、道庁・岩内町などの行政、周辺病院、医療関係者などから「感謝」の言葉が贈られている。
一方、岩内協会病院は、3月末に地元の岩内古宇郡医師会の北会長に、「内科医が4月末で不在になり、整形外科も出張医体制になる。入院が必要な患者を引き受けられなくなる。夜間救急もできなくなる」という厳しい事情を説明。「診療所の医師の当直支援など、協力を得られないか」との要請を行った。
この要請に対し北会長は、2人目の内科医が異動になった昨年10月以降「入院患者を引き受けられない」という状況もあったことから、「来るべきものが来たか」との思いを当時持ったのだという。
同時に、診療所の医師が病院の要請に応えてできることは何かを検討し、まず北会長自身が当直支援を行うことを決断。会内の医師にも呼び掛けた。「昼間に診療所で診察した患者が、夜間に急変して病院にお世話になることもある」と北会長は指摘。「当直支援をしなければ、この地域の初期救急体制が失われ、4町村の住民が困ることになる。われわれはこの町で暮らしている。病院が困っているのだから医師として助けるのは当たり前。単純な結論だ」と説明する。
ただ、「夜間当直を担当した日は睡眠が取れないために、体調回復には2日間かかってしまう。支援に応じた医師の年齢は47歳から57歳だが、もしも年代がもっと上だったら難しかっただろう」と指摘。「みんながお互いの状況を考え、譲り合いの精神で当直日を決めている」という。
(Japan Medicine)
産婦人科の診療 休日夜間休止へ 藤沢市(神奈川)
藤沢市は28日から、市医師会産婦人科医会の診療所が当番制で受け持ってきた土曜日と休日の産婦人科の夜間救急診療を中止する。同じく当番制だった平日準夜帯(午後8〜11時)の救急診療はすでに23日から市民病院に引き継がれており、同医会による救急診療は休日の昼間だけとなる。産婦人科医が減少し、制度の維持が難しくなった。
市によると、当番には昨年度まで14診療所が参加していたが、4月からは11診療所になり、今月には8〜9診療所に減った。昨年度の土休日夜間の産婦人科救急の患者数は約40人、平日準夜帯は約90人だったという。
(朝日新聞)
医師不足対策など陳情採択
病院を経営する自治体でつくる全国自治体病院開設者協議会と全国自治体病院協議会の第46回中国・四国地方会議が26、27日、四万十市内のホテルで開かれ、地方で深刻化する医師不足の対策や薬剤師確保、がん医療の充実など5項目を国に求める陳情を採択した。
9県、約50の自治体から病院関係者ら約150人が出席。「自治体病院の緊急課題と改革」と題して講演した辺見省司・病院協議会副会長は、赤ちゃん写真展や興行など病院内のイベント例をスライドで紹介しながら、「とにかく病院に人を集めることが生き残りのカギ」と締めくくった。
意見交換では、医師不足で泊まり勤務が増え、過剰労働になっている実態を訴える声が相次ぎ、シンポジウムでも、勤務医不足の中で地域医療を確保する方策などについて論議された。
(2007年7月28日 読売新聞)
県立病院 5年連続赤字(山梨)
県がまとめた平成18年度病院事業会計によると、総収入は前年度比3.1%増の172億929万円、総支出は7.3%減の190億4125万円で、最終損益はマイナス18億3196万円と5年連続で赤字を計上した。累積損失は120億9287万円に膨らんだ。県は中央病院の経営形態を見直す検討委員会を設置し、経営改善策の協議をする方針。
外来患者は中央病院で4.4%増の25万4455人、北病院(韮崎市)で3.5%増の5万9529人と改善傾向が見られた。また「前年度と比べ経費削減に努めた」(医務課)結果、単年度ベースの最終損益は昨年度のマイナス38億4654万円より約20億円減った。
(産経新聞)
開業医らと連携強化、石巻赤十字病院
入院診療を急性期に特化へ、手始めに30日、情報交換会
二〇一〇年度を目標に石巻圏の「中核的急性期病院構想」を掲げる石巻赤十字病院(飯沼一宇院長)は、地域医療の連携体制を整えるため、医療機関との緊密なネットワークづくりに乗り出す。急性期医療に特化した入院診療を進めるには、開業医や病院との役割分担・連携が不可欠と判断した。まず三十日に石巻市内のホテルで石巻赤十字の現状を理解してもらう講演会・情報交換会を開催。その後、医学講演会や研修会など定期的な交流の場を持ち、「顔の見える連携」(飯沼院長)につなげていく。
石巻赤十字の中核的急性期病院構想は、「断らない救急」「患者志向の切れ目のない連携」をスローガンに、(1)人材の獲得・育成(2)医療の質と安全の推進(3)救急医療体制の充実(4)疾病別ネットワークの構築−の四点を基本戦略に掲げている。
構想実現の第一歩として、石巻赤十字の登録医(百三十人)である開業医や病院医師との連携を強化。具体的には、地域医療の拠点病院として急性期医療を充実させるため、紹介患者の受け入れや、亜急性期に移行した患者の転院、退院後の医療機関の紹介などをスムーズにすることを目指す。
(三陸河北新報)
7月30日
蒲郡市民病院、異例の呼びかけ(静岡)
経営改革を進めている蒲郡市民病院(伊藤健一院長)が、医師の勤務環境改善や人材の確保のため診療抑制を強めている。市広報や患者向けの「病院だより」に異例の呼びかけを掲載し、市民に外来診療を控えるよう訴えている。
7月1日付市広報の募集欄で、看護師や技師などの職員募集とともに、「『日中受診できない』『待ち時間が少ない』など患者の都合による利用はご遠慮いただきますように」と、平日の午後や夜間・休日に来院しないよう呼びかけた。
伊藤院長は、病院だよりに「今、医師は大変つかれています」と医師の勤務状況について投稿。「激務のため医療そのものを縮小しなければ医師が倒れます」とし、場合によっては外来だけでなく入院も制限せざるを得ないので「不要不急の救急受診は避けていただきたい」と懇願している。
(東日新聞)
市民病院医療過誤訴訟 八戸市の上告棄却 最高裁
左脚を切断せざるを得なくなったのは青森県八戸市立市民病院の医師が適切な診断を怠ったためとして、同市の農業男性(63)が市に約7000万円の損害賠償を求めた訴訟の上告審判決で、最高裁は27日までに、市に約3200万円の支払いを命じた仙台高裁の判決を支持し、市側の上告を棄却した。
三浦一章院長は「大変残念。医療従事者に過大な責任を押しつけた判断で、医療従事者と患者との信頼関係を損なう結果をもたらすばかりと、憂慮している」とのコメントを出した。
訴訟をめぐっては、原告側の申し立てで、市の定期預金約4500万円が差し押さえられた。勝訴判決を受け、原告は「二審判決金額の入金が確認され次第、差し押さえ手続きを取り下げる」としている。
男性は1999年、自宅前の畑で耕運機を使って作業中、誤ってひざ下を切り、市民病院で縫合手術を受けたが、感染症のため左脚を切断した。
(河北新報)
看護師:就業数80万人に 30代が大量復職
就業している看護師の数は06年末現在で81万1972人に上り、初めて80万人を超えたことが、厚生労働省が27日公表した保健・衛生行政報告で分かった。特に30代の増加が目立ち、同省看護課は「結婚や出産後に復職するケースが増えている」とみている。
調査は2年に1回行われ、前回(04年末)と比べ5万1751人増えた。年齢別で前回最多だった20代が約8000人減り23万2134人になったが、30代が約2万5000人増の26万503人に達し、20代を上回った。勤務先は20床以上の病院が75%を占める。
看護師の配置をめぐっては、06年度の診療報酬改定で、看護師1人に患者7人という基準を満たした医療機関の報酬を増額したことで、大病院での大量採用が相次いだ。人員確保のために病院や自治体が退職看護師の再雇用に向けたナースバンク事業を活発化させたことも、30代以上の増員の背景にあるとみられる。
(毎日新聞)
自治医大、女性医師の育児を支援・文科省の推進事業に採択
文部科学省の「地域医療など社会的ニーズに対応した質の高い医療人養成推進プログラム」に、自治医科大学(栃木県下野市、高久史麿学長)の女性医師の育児などを支援するプログラムが採択された。国から補助を受け、出産などで医療現場を離れた女性医師の再就職支援などに取り組む。
自治医大付属病院の過去2年の臨床研修修了者のうち女性が約6割を占めている。島田和幸病院長は「医師不足に悩む全国の医療機関の良き前例となるよう努力したい」と抱負を述べた。
(日経新聞)
氷見市民病院の労働組合が斡旋申し立て(富山)
氷見市が目指している氷見市民病院の民営化を巡り職員による労働組合が、27日県労働委員会に話し合いをあっせんするよう申し立てました。
労働組合側は民営化後の雇用問題などについて市側と交渉の場を持ちたいと話しています。
申し立てをしたのは氷見市民病院の医師や看護師と病院職員らによる氷見市職員労働組合医療評議会です。
氷見市民病院は経営が悪化しているため市側は来年度から指定管理者制度を導入し民営化することを目指しています。
これに対し組合側は病院の民営化は職員の解雇を伴う重大な問題であるにも関わらず市側は誠実な交渉を行っていないとしています。
組合側は県労働委員会に氷見市との間に入って十分な話し合いの場をあっせんするよう求めています。
申請書を受理した県労働委員会ではあっせん員を派遣し、労使双方の意見を聞いて早期解決を目指す方針です。
(北日本放送)
消化器外科医の不足深刻、当直翌日も通常勤務
胃がんや肝臓がんの手術などを行う消化器外科医のほとんどが、当直勤務をした翌日も、手術や外来など通常の診療を日常的にこなしている実態が、日本消化器外科学会(理事長・北野正剛大分大教授、会員数約2万1000人)の調査で明らかになった。
過酷な勤務の影響で、医療ミスを起こす不安を抱く医師は半数を超え、同学会は「消化器外科医の不足は深刻で、労働環境の改善が急務」と訴えている。
「当直勤務がある」と答えた医師は、管理職などを除く62%で、その94%が当直の翌日も「通常勤務」をしていた。翌日の半日勤務は4%、非番は1%だった。当直回数は1か月3〜4回が全体の22%で最も多かったが、「月7回以上」も10%にのぼった。
1週間の勤務時間が「60時間以上」と答えた医師は69%にのぼり、「80時間以上」も29%いた。過酷な勤務の影響について尋ねたところ、自分の健康の不安が69%、医療ミスの不安が54%にのぼった。消化器外科医は当直の夜間や休日に、急病患者に緊急手術を行うことも多い。
(読売新聞)
金木病院10月救急車受け入れ再開(青森)
深刻な医師不足により一月から救急車受け入れを休止している公立金木病院(五所川原市)は二十六日、受け入れ再開を十月一日からと正式決定した。休止後に常勤医を三人確保したことで救急再開方針を固めていたもので、今後早急に看護職増員を図るとともに、西北中央病院(同市)など近隣の救急病院と連携を協議、九カ月ぶりの救急復活に向け態勢を整える。
(東奥日報)
医師の育成、盛岡から 日本医学教育学会が開幕
医師養成などに関する研究の充実を図る日本医学教育学会の第39回総会・学術大会は27日、盛岡市盛岡駅前北通のホテルメトロポリタン盛岡ニューウイングを会場に2日間の日程で始まった。全国から約600人の医学教育関係者が参加。全国的に医師不足が深刻化する中、「地域医療と医学・医療教育」をテーマに、講演やシンポジウムを通して大学医学部の教育、医学部卒業後の臨床研修などについて議論を深めている。
(岩手日報)
(会津)若松の夜間急病センター、昨年度初めて黒字(福島)
会津若松市の夜間急病センターは昨年度、昭和54年度の開設以来、初めて収支が黒字となった。小児科を中心に利用者が増加し、診療報酬が増えたのが主な要因。センターは平成18年度、約300万円の黒字を達成した。17年度は約180万円の赤字で、市の一般財源で補てんしていた。
黒字転換の理由は利用者の増加。18年度は前年度より7・7パーセント多い383人となった。
医師不足が叫ばれている小児科の診療をメーンに据えた15年度から利用者が増えた。
(福島放送)
海部病院、お産休止…徳島、9月以降 徳島大医師派遣打ち切り
徳島県海部郡で唯一、産婦人科がある県立海部病院(牟岐町)で9月以降、当面、出産ができなくなることになった。昨年8月から受け入れていた徳島大病院の産婦人科医の派遣が8月末で打ち切りとなるためで、地元では海部郡内の分娩施設が休止されることに不安の声が募っている。
海部病院では、昨年7月、医師の退職で常勤の産婦人科医が不在に。県の要望を受けた徳島大病院が、昨年8月から産科医を交代で派遣してきた。
1年間の派遣期間が今年7月末に切れるのを前に、県は派遣の継続を要望。しかし、徳島大側が、産科医1人で対応するのは危険が大きく、継続は困難と判断した。周知期間を設けるため、産科医の派遣は8月末までとなる。
(読売新聞)
医師会と救急医療に関する調査、調査結果報告書(暫定集計)
T.休日夜間急患センター対応状況:全地域をカバーする形で休日夜間急患センターがある医師会は、全体の41.3%。一部の地域をカバー、もしくは隣接地域との共同設置の割合も含めると52.9%が実施をしている。
ブロック別に見ると、関東甲信越、東京ブロックにおいて全地域をカバーしての実施率が5割超と高く、隣接地域との共同設置率(16.7%)が高い近畿ブロックも含めると、大都市圏での対応が進んでいることがわかる。
(日本医師会)
7月29日
東大病院、離職した看護師復帰へ再教育
東京大学付属病院(東京都文京区)は9月3日から、離職した看護師を再教育し、復帰の後押しをするプログラムを始める。55万人といわれる「潜在看護師」を掘り起こすことで、看護師不足解消の一助にしたい考えだ。
プログラムは、東大病院と看護師派遣大手「スーパーナース」(東京都新宿区)が連携して作成。5日間と10日間の2コースを開設する。定員は各10人で、看護師の資格を持っていながら現在は働いていない人を一般から募る。医療技術は日進月歩で、看護師に求められる知識や技量は増す一方。技術演習や病棟見学など実践的なプログラムで、長期間離職していた看護師の不安に応えるという。
(日経新聞)
〈一票のまなざし:5〉医師不足 地域の命、消えぬ不安(千葉)
平日の午後、県立佐原病院(香取市)の待合室。内科や眼科の前は混雑しているのに、小児科はがらんとしている。日ごとの担当医を告げる案内板は午後の欄が空白。インフルエンザの予防接種中止を伝える張り紙は、「小児科常勤医師不在に伴い接種後の経過の観察が難しい為(ため)……」。
06年4月、佐原病院が出産の受け入れと小児科の入院受け入れをやめた。25人の常勤医と約30人の非常勤医がいたが、内科と小児科の常勤医5人が、開業や派遣元の大学病院への引き揚げなどでいなくなった。小児科医がいないと出産時の異常に対応できないため、産婦人科も妊婦検診などの外来のみになった。
それから1年以上。常勤医師のなり手はない。小児科は千葉大学病院などから派遣される非常勤医師が日替わりで、午前か午後の外来のみを行っている。今年4月現在で病院の常勤医は18人に減った。夜間も、これまでは2人の小児科医が交代で当直の輪番に入っていたが、今はいない。
(朝日新聞)
海部病院、分娩を8月末で休止 産科医確保できず(徳島)
徳島大病院から県立海部病院(牟岐町)への産科医派遣期限が今月末で切れる問題で、県と徳島大病院は、期限を一カ月間延ばし、再延長しない方針を決めた。徳島大病院自体が産科医不足となっているのに加え、県が県内外で医師を探したが確保できなかったため。海部郡内でお産を扱う医療機関は当面なくなることになる。
県などによると、現在の二十四時間対応を、九月以降は週二回の派遣とし、産婦人科外来や妊婦健診などを実施。助産師による二十四時間体制の「妊婦緊急相談窓口」も開設する。さらに母子の命が危ないなど緊急時には、医師が同乗する県防災ヘリで搬送。それが難しい場合は、阿南共栄病院などに協力を求め、海部病院で緊急分娩(ぶんべん)を行うという。
二十五日、郡内三町の町長らに方針を説明。塩谷泰一県病院事業管理者は「医師不足や産科医の過重労働を考えると苦渋の決断。海部でお産のニーズがある限り再開を目指したい」と述べた。
(徳島新聞)
ルポ 課題を追う ’07参院選 <5> お産難民 産科崩壊 地域からじわり(神奈川)
「えっ。市立病院で産めないの?」
今年三月、厚木市下荻野の主婦柏木夏枝さん(30)は、厚木市立病院(同市水引一)で七月以降の出産の受け入れ休止を伝える新聞報道に驚いた。当時、妊娠三カ月。出産のため、市立病院で診療を受けようと思っていたときのことだった。
市立病院は、年間六百件ほどの出産を扱う地域の中核施設。今年二月、同病院に産婦人科医を派遣する東京都内の大学病院が常勤医・非常勤医の八人全員を引き揚げる方針を示した。後任の医師探しが行われたが、結局見つからず七月末で産婦人科が休止されることになった。
出産まで時間のあった柏木さんは市内の別の産婦人科医院で出産予約を取ることができたが、出産直前だった知人は受け入れてくれる病院がなかなか見つからなかったという。「まさか公共の病院までお産をやめるなんて思わなかった。私だってちょっと時期が違っていたら…」と柏木さんは不安げな表情を見せた。
(東京新聞)
7月28日
出産環境さらに厳しく/神奈川県内
県は二十五日、県内にある産科・産婦人科の全医療機関を対象としたことし四月一日現在の調査結果をまとめた。出産を扱う医療機関は前年よりさらに七施設(4%)減った。出産の扱い件数も4%減の約六万二千五百件になると見込まれ、出産環境がさらに厳しくなっている。
(神奈川新聞)
女性医師の職場復帰支援・文科省、大学に助成
文部科学省は25日、大学の医療分野の人材養成事業に対する財政支援プログラムで、今年度の支援先として筑波大や北里大など計16件を選んだと発表した。女性医師の職場復帰を支援する取り組みや、国際的な臨床研究者を育成する取り組みなどが対象で、1件当たり最大2250万円を助成する。
(日経新聞)
学内に人材登録、相談拠点 旭医大 離職女性の復職期待
【旭川】旭川医大は二十五日、深刻化する医師、看護師不足対策として、職場を離れた女性医師、看護師の復帰を助ける復職支援研修センターと、在職中の女性を支援する子育て・介護支援センターを来年四月に学内に設置すると発表した。女性医師は年々増加傾向にあるが、出産などで離職する医師も多く、潜在的マンパワーを即戦力として活用したい考えだ。
復職支援研修センターは、潜在的な人材を登録し、女性の希望する職種や時期を把握して各診療科と調整。復職が決まった女性に教材を送り、在宅や大学病院での講習を進める。
子育て・介護支援センターは、学内の二十四時間保育園や小児科と連携。在職中の女性を対象に病児の一時預かりや悩み相談、市内介護施設などの情報提供をする。
(北海道新聞)
損害賠償:「患者の請求不当」 医師側の慰謝料認定−−地裁判決 /千葉
八街市の耳鼻咽喉科医院の男性医師(49)が適切な治療をしたにもかかわらず、同市内の男性患者(67)から不当な損害賠償を要求されたとして、男性に200万円の慰謝料を求めた訴訟の判決が23日、千葉地裁であった。菅原崇裁判長は「治療は適切で、金銭の請求に正当性はない」とし、男性に30万円の支払いを命じた。原告側弁護人によると、患者のクレームが不当だなどとして医師側の慰謝料が認められるケースは異例だという。
(毎日新聞)
救急受け入れ秋再開へ/金木病院(青森)
深刻な医師不足のため一月に救急車受け入れを休止した公立金木病院(五所川原市)が、今年秋をめどに受け入れを再開する方針を固めたことが二十四日、分かった。二十六日に同病院で開かれる病院議会議員との懇談会や定例議会で、議会側の理解が得られれば、病院を運営する一部事務組合管理者の平山誠敏市長らが同日、再開方針を公表する。
金木病院は、二〇〇六年十二月末で常勤内科医二人が退職したことから常勤内科医が一人だけになり、〇七年一月一日付で救急告示を取り下げた。
一月時点では、常勤医が内科一人、外科二人、婦人科一人、嘱託一人の計五人となった。
その後、病院側が医師確保に努めたことなどから、二月と六月にそれぞれ一人ずつ常勤内科医を採用。常勤医に関しては〇六年一月時点と同じ七人体制となった。
(東奥日報)
医療機関倒産、倍増ペース 20都道府県、半年で31件
一―六月の医療機関の倒産が全国二十都道府県で三十一件と、例年の二倍のペースで急増していることが二十五日、帝国データバンクの調べで分かった。診療報酬引き下げによる収入減や患者による選別が進んでいることが主な要因だが、地域医療に影響が出る恐れもありそうだ。
医療機関の倒産は、過去数年、年間約三十件前後で推移していたが、今年に入ってペースが加速。半年間で昨年の年間件数を上回った。負債総額は三百一億八千二百万円で外食産業の約三百五十億円並み。既に二○○六年一年間の二倍以上となった。
都道府県別で最も多いのは東京の六件。次いで北海道、神奈川がそれぞれ三件、埼玉、千葉の二件と続く。医療機関別では病院と診療所がそれぞれ十一件、歯科医院が九件。全倒産のうち八件は民事再生法の適用申請で、申請が認められれば診療は続けられるが、残りは破産申請で診療は中止される。
(中国新聞)
お医者さんたちの受難
病院内での暴力や暴言、恫喝(どうかつ)など「院内暴力」をよく耳にするようになった。
加害者が患者や家族、面会人の場合と病院職員の場合とがあるが、最近増えてきたのは前者という。筆者が入院・手術を受けたことのある東京医科大学病院はその一つ。具体例を紹介すると−。
最も多いのが外来患者からの暴力で、長い待ち時間にいらいらし、やっと順番が回ってきたとき「お待たせしました」と詫(わ)びなかった医師に腹を立て足蹴(げ)りした。
診察が順番通りではないとして大声を出して他の診察を妨害したり、ナイフを振り回す患者や「夫はマスコミ関係者だ。これからそちらへ行くのでタクシー代を払い、すぐに診察しろ」と電話で無理難題を吹っかける患者も。身の危険を感じ、一人で診察できなくなった女医もいる。
「自分流の理屈をまくし立て、金銭や謝罪を要求するケースが増えている」と病院。直接の暴力など悪質なケースは月数件、暴力に至らない苦情まで含めると二百件近い。
病院が迷惑行為や診療妨害に対して、転院勧告、場合によっては警察へ通報することを決めたのは当然だろう。
(東京新聞)
救急トリアージ、導入1カ月で49件適用 東京消防庁
東京消防庁が6月1日から導入した「救急搬送トリアージ」は、開始1カ月で49件に適用され、うち39件で救急搬送しなかったことが24日、同庁のまとめで分かった。同庁は「トラブルの報告はなく、順調にスタートした」としている。
救急搬送トリアージは、けがや病気の緊急性に応じて救急車による搬送が必要か判断する制度。救急車の出動件数を抑制し、重症者の搬送を遅れないようにするため、全国で初めて導入された。
同庁によると、6月1カ月間の救急出動は約5万4000件で、トリアージが適用されたのは約0.1%。交通事故や室内でのけがで症状が軽いケースが多かった。
(産経新聞)
救急態勢ピンチ 消防職員5人退職へ「出動要請応じきれぬ恐れ」(北海道)
【夕張】財政破たんによる給与削減などの影響で昨年度、職員が大量退職した夕張市消防署で、本年度も九月末までに五人が退職する見通しになった。うち二人は救急救命士で、救急態勢に支障が出かねない。補充のため募集を始めたが、即戦力の採用は見通しが厳しく、住民が十分な救命措置を受けられない恐れが出ている。
同市消防職員は昨年度当初、四十九人だったが、年度末までに十三人退職。本年度初めに二人採用する一方、六月末に一人辞め、現在は三十七人と、市の財政再建計画で決めた定数四十三人を六人下回る状態だ。年収が最大46%下がったことなどから、今後も八月末に二人、九月末に二人辞め、三十三人になる見通しという。
救命士は八人いる現状でも救急車二台に常時一人ずつ配備するにはぎりぎりで、九月末には六人に減る。その他の隊員も不足し、同署は「同時多発や大きな事故・災害だと、出動要請に応じ切れなくなる可能性もある」と話す。市内の医療体制縮小から、本年度、重傷患者は札幌などへ搬送しており、一件当たりの出動時間が延びたのも不安材料だ。
(北海道新聞)
知的障害者に賃金未払い 長時間労働も 岩手の会社
岩手県花巻市内のクリーニング会社で知的障害者の従業員に長期間、賃金が支払われず、花巻労働基準監督署が労働基準法違反の疑いで調査に乗り出したことがわかった。また、岩手県は人道上問題が生じるほどの長時間労働を強いられているとして、同じ会社で働く別の知的障害者5人を保護し、社会福祉施設に移した。
この会社は有限会社「藤原クリーニング」。91年度には障害者雇用優良事業所として大臣表彰を受けたが、近年、経営が悪化している。藤原勝治社長は朝日新聞の取材に対し、賃金未払いや長時間労働の事実を認め、「何とか改善しようと努力したが、毎日の仕事に追われていた。本人や保護者に謝りたい」と話した。昨年施行された障害者自立支援法は障害者の社会参加を促している一方、障害者の雇用をめぐる状況は厳しいことを示すケースと言えそうだ。
花巻市に住む小瀬川佳弘さん(23)の場合、05年10月分の給料7万4646円が1年後の06年10月に支払われた後、05年11月分から今年6月まで1年8カ月分の支払いが途絶えている。
母親の清子さんによると、この間、仕事は午前8時半から、途中に1時間の昼休みをはさんで午後11時ごろまで続いた。佳弘さんは体がもたず、6月末に退職した。
(朝日新聞)
【コラム断 評論家・井口優子】地方の医師不足のために…
先日郷里の長野に帰省したさい、信濃毎日新聞(7月19日付)で、参院選長野県選挙区立候補者4人に、県内の医師不足対策を尋ねる記事が掲載されていた。「二〇〇四年度の新臨床研修制度導入以降、研修医が大都市圏に集中し、医師不足が深刻化。長野赤十字病院(長野市)が分院に当たる上山田病院(千曲市)を来年三月で閉鎖する方針を決めるなど、影響は病院の存続にまで及んでいる」という。
長野市では、長野赤十字病院が長らく総合病院のキングである。たまたまある検査をする必要性に迫られ、それなら東京ではなく、ここの患者になってみることにした。東京と地方の医療格差がよくいわれるが、どんな格差があるのか、常々興味をもっていたからだ。
ところが、長野赤十字病院では、地域では他の病院の選択肢はないのだからここで嫌われたくないという患者心理が私ですら生じて、聞きたいことを聞けなかった。
最近、がんがみつかった友人はセカンドオピニオンをとることも躊躇(ちゅうちょ)した。病院側では患者の権利として、「当院ではセカンドオピニオンを推奨しています」との方針を明示しているのにである。
地方の医師不足は「選択肢」についての医療格差を広げ、それは患者を萎縮(いしゅく)させることを身をもって体験したのだった。(評論家・井口優子)
(産経新聞)