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7月29日

東大病院、離職した看護師復帰へ再教育
 東京大学付属病院(東京都文京区)は9月3日から、離職した看護師を再教育し、復帰の後押しをするプログラムを始める。55万人といわれる「潜在看護師」を掘り起こすことで、看護師不足解消の一助にしたい考えだ。
 プログラムは、東大病院と看護師派遣大手「スーパーナース」(東京都新宿区)が連携して作成。5日間と10日間の2コースを開設する。定員は各10人で、看護師の資格を持っていながら現在は働いていない人を一般から募る。医療技術は日進月歩で、看護師に求められる知識や技量は増す一方。技術演習や病棟見学など実践的なプログラムで、長期間離職していた看護師の不安に応えるという。
(日経新聞)

〈一票のまなざし:5〉医師不足 地域の命、消えぬ不安(千葉)
 平日の午後、県立佐原病院(香取市)の待合室。内科や眼科の前は混雑しているのに、小児科はがらんとしている。日ごとの担当医を告げる案内板は午後の欄が空白。インフルエンザの予防接種中止を伝える張り紙は、「小児科常勤医師不在に伴い接種後の経過の観察が難しい為(ため)……」。
 06年4月、佐原病院が出産の受け入れと小児科の入院受け入れをやめた。25人の常勤医と約30人の非常勤医がいたが、内科と小児科の常勤医5人が、開業や派遣元の大学病院への引き揚げなどでいなくなった。小児科医がいないと出産時の異常に対応できないため、産婦人科も妊婦検診などの外来のみになった。
 それから1年以上。常勤医師のなり手はない。小児科は千葉大学病院などから派遣される非常勤医師が日替わりで、午前か午後の外来のみを行っている。今年4月現在で病院の常勤医は18人に減った。夜間も、これまでは2人の小児科医が交代で当直の輪番に入っていたが、今はいない。
(朝日新聞)

海部病院、分娩を8月末で休止 産科医確保できず(徳島)
 徳島大病院から県立海部病院(牟岐町)への産科医派遣期限が今月末で切れる問題で、県と徳島大病院は、期限を一カ月間延ばし、再延長しない方針を決めた。徳島大病院自体が産科医不足となっているのに加え、県が県内外で医師を探したが確保できなかったため。海部郡内でお産を扱う医療機関は当面なくなることになる。
 県などによると、現在の二十四時間対応を、九月以降は週二回の派遣とし、産婦人科外来や妊婦健診などを実施。助産師による二十四時間体制の「妊婦緊急相談窓口」も開設する。さらに母子の命が危ないなど緊急時には、医師が同乗する県防災ヘリで搬送。それが難しい場合は、阿南共栄病院などに協力を求め、海部病院で緊急分娩(ぶんべん)を行うという。
 二十五日、郡内三町の町長らに方針を説明。塩谷泰一県病院事業管理者は「医師不足や産科医の過重労働を考えると苦渋の決断。海部でお産のニーズがある限り再開を目指したい」と述べた。
(徳島新聞)

ルポ 課題を追う ’07参院選 <5> お産難民 産科崩壊 地域からじわり(神奈川)
 「えっ。市立病院で産めないの?」
 今年三月、厚木市下荻野の主婦柏木夏枝さん(30)は、厚木市立病院(同市水引一)で七月以降の出産の受け入れ休止を伝える新聞報道に驚いた。当時、妊娠三カ月。出産のため、市立病院で診療を受けようと思っていたときのことだった。
 市立病院は、年間六百件ほどの出産を扱う地域の中核施設。今年二月、同病院に産婦人科医を派遣する東京都内の大学病院が常勤医・非常勤医の八人全員を引き揚げる方針を示した。後任の医師探しが行われたが、結局見つからず七月末で産婦人科が休止されることになった。
 出産まで時間のあった柏木さんは市内の別の産婦人科医院で出産予約を取ることができたが、出産直前だった知人は受け入れてくれる病院がなかなか見つからなかったという。「まさか公共の病院までお産をやめるなんて思わなかった。私だってちょっと時期が違っていたら…」と柏木さんは不安げな表情を見せた。
(東京新聞)

7月28日

出産環境さらに厳しく/神奈川県内
 県は二十五日、県内にある産科・産婦人科の全医療機関を対象としたことし四月一日現在の調査結果をまとめた。出産を扱う医療機関は前年よりさらに七施設(4%)減った。出産の扱い件数も4%減の約六万二千五百件になると見込まれ、出産環境がさらに厳しくなっている。
(神奈川新聞)

女性医師の職場復帰支援・文科省、大学に助成
 文部科学省は25日、大学の医療分野の人材養成事業に対する財政支援プログラムで、今年度の支援先として筑波大や北里大など計16件を選んだと発表した。女性医師の職場復帰を支援する取り組みや、国際的な臨床研究者を育成する取り組みなどが対象で、1件当たり最大2250万円を助成する。
(日経新聞)

学内に人材登録、相談拠点 旭医大 離職女性の復職期待
 【旭川】旭川医大は二十五日、深刻化する医師、看護師不足対策として、職場を離れた女性医師、看護師の復帰を助ける復職支援研修センターと、在職中の女性を支援する子育て・介護支援センターを来年四月に学内に設置すると発表した。女性医師は年々増加傾向にあるが、出産などで離職する医師も多く、潜在的マンパワーを即戦力として活用したい考えだ。
 復職支援研修センターは、潜在的な人材を登録し、女性の希望する職種や時期を把握して各診療科と調整。復職が決まった女性に教材を送り、在宅や大学病院での講習を進める。
 子育て・介護支援センターは、学内の二十四時間保育園や小児科と連携。在職中の女性を対象に病児の一時預かりや悩み相談、市内介護施設などの情報提供をする。
(北海道新聞)

損害賠償:「患者の請求不当」 医師側の慰謝料認定−−地裁判決 /千葉
 八街市の耳鼻咽喉科医院の男性医師(49)が適切な治療をしたにもかかわらず、同市内の男性患者(67)から不当な損害賠償を要求されたとして、男性に200万円の慰謝料を求めた訴訟の判決が23日、千葉地裁であった。菅原崇裁判長は「治療は適切で、金銭の請求に正当性はない」とし、男性に30万円の支払いを命じた。原告側弁護人によると、患者のクレームが不当だなどとして医師側の慰謝料が認められるケースは異例だという。
(毎日新聞)

救急受け入れ秋再開へ/金木病院(青森)
 深刻な医師不足のため一月に救急車受け入れを休止した公立金木病院(五所川原市)が、今年秋をめどに受け入れを再開する方針を固めたことが二十四日、分かった。二十六日に同病院で開かれる病院議会議員との懇談会や定例議会で、議会側の理解が得られれば、病院を運営する一部事務組合管理者の平山誠敏市長らが同日、再開方針を公表する。
 金木病院は、二〇〇六年十二月末で常勤内科医二人が退職したことから常勤内科医が一人だけになり、〇七年一月一日付で救急告示を取り下げた。
 一月時点では、常勤医が内科一人、外科二人、婦人科一人、嘱託一人の計五人となった。
 その後、病院側が医師確保に努めたことなどから、二月と六月にそれぞれ一人ずつ常勤内科医を採用。常勤医に関しては〇六年一月時点と同じ七人体制となった。
(東奥日報)

医療機関倒産、倍増ペース 20都道府県、半年で31件
 一―六月の医療機関の倒産が全国二十都道府県で三十一件と、例年の二倍のペースで急増していることが二十五日、帝国データバンクの調べで分かった。診療報酬引き下げによる収入減や患者による選別が進んでいることが主な要因だが、地域医療に影響が出る恐れもありそうだ。
 医療機関の倒産は、過去数年、年間約三十件前後で推移していたが、今年に入ってペースが加速。半年間で昨年の年間件数を上回った。負債総額は三百一億八千二百万円で外食産業の約三百五十億円並み。既に二○○六年一年間の二倍以上となった。
 都道府県別で最も多いのは東京の六件。次いで北海道、神奈川がそれぞれ三件、埼玉、千葉の二件と続く。医療機関別では病院と診療所がそれぞれ十一件、歯科医院が九件。全倒産のうち八件は民事再生法の適用申請で、申請が認められれば診療は続けられるが、残りは破産申請で診療は中止される。
(中国新聞)

お医者さんたちの受難
 病院内での暴力や暴言、恫喝(どうかつ)など「院内暴力」をよく耳にするようになった。
 加害者が患者や家族、面会人の場合と病院職員の場合とがあるが、最近増えてきたのは前者という。筆者が入院・手術を受けたことのある東京医科大学病院はその一つ。具体例を紹介すると−。
 最も多いのが外来患者からの暴力で、長い待ち時間にいらいらし、やっと順番が回ってきたとき「お待たせしました」と詫(わ)びなかった医師に腹を立て足蹴(げ)りした。
 診察が順番通りではないとして大声を出して他の診察を妨害したり、ナイフを振り回す患者や「夫はマスコミ関係者だ。これからそちらへ行くのでタクシー代を払い、すぐに診察しろ」と電話で無理難題を吹っかける患者も。身の危険を感じ、一人で診察できなくなった女医もいる。
 「自分流の理屈をまくし立て、金銭や謝罪を要求するケースが増えている」と病院。直接の暴力など悪質なケースは月数件、暴力に至らない苦情まで含めると二百件近い。
 病院が迷惑行為や診療妨害に対して、転院勧告、場合によっては警察へ通報することを決めたのは当然だろう。
(東京新聞)

救急トリアージ、導入1カ月で49件適用 東京消防庁
 東京消防庁が6月1日から導入した「救急搬送トリアージ」は、開始1カ月で49件に適用され、うち39件で救急搬送しなかったことが24日、同庁のまとめで分かった。同庁は「トラブルの報告はなく、順調にスタートした」としている。
 救急搬送トリアージは、けがや病気の緊急性に応じて救急車による搬送が必要か判断する制度。救急車の出動件数を抑制し、重症者の搬送を遅れないようにするため、全国で初めて導入された。
 同庁によると、6月1カ月間の救急出動は約5万4000件で、トリアージが適用されたのは約0.1%。交通事故や室内でのけがで症状が軽いケースが多かった。
(産経新聞)

救急態勢ピンチ 消防職員5人退職へ「出動要請応じきれぬ恐れ」(北海道)
 【夕張】財政破たんによる給与削減などの影響で昨年度、職員が大量退職した夕張市消防署で、本年度も九月末までに五人が退職する見通しになった。うち二人は救急救命士で、救急態勢に支障が出かねない。補充のため募集を始めたが、即戦力の採用は見通しが厳しく、住民が十分な救命措置を受けられない恐れが出ている。
 同市消防職員は昨年度当初、四十九人だったが、年度末までに十三人退職。本年度初めに二人採用する一方、六月末に一人辞め、現在は三十七人と、市の財政再建計画で決めた定数四十三人を六人下回る状態だ。年収が最大46%下がったことなどから、今後も八月末に二人、九月末に二人辞め、三十三人になる見通しという。
 救命士は八人いる現状でも救急車二台に常時一人ずつ配備するにはぎりぎりで、九月末には六人に減る。その他の隊員も不足し、同署は「同時多発や大きな事故・災害だと、出動要請に応じ切れなくなる可能性もある」と話す。市内の医療体制縮小から、本年度、重傷患者は札幌などへ搬送しており、一件当たりの出動時間が延びたのも不安材料だ。
(北海道新聞)

知的障害者に賃金未払い 長時間労働も 岩手の会社
 岩手県花巻市内のクリーニング会社で知的障害者の従業員に長期間、賃金が支払われず、花巻労働基準監督署が労働基準法違反の疑いで調査に乗り出したことがわかった。また、岩手県は人道上問題が生じるほどの長時間労働を強いられているとして、同じ会社で働く別の知的障害者5人を保護し、社会福祉施設に移した。
 この会社は有限会社「藤原クリーニング」。91年度には障害者雇用優良事業所として大臣表彰を受けたが、近年、経営が悪化している。藤原勝治社長は朝日新聞の取材に対し、賃金未払いや長時間労働の事実を認め、「何とか改善しようと努力したが、毎日の仕事に追われていた。本人や保護者に謝りたい」と話した。昨年施行された障害者自立支援法は障害者の社会参加を促している一方、障害者の雇用をめぐる状況は厳しいことを示すケースと言えそうだ。
 花巻市に住む小瀬川佳弘さん(23)の場合、05年10月分の給料7万4646円が1年後の06年10月に支払われた後、05年11月分から今年6月まで1年8カ月分の支払いが途絶えている。
 母親の清子さんによると、この間、仕事は午前8時半から、途中に1時間の昼休みをはさんで午後11時ごろまで続いた。佳弘さんは体がもたず、6月末に退職した。
(朝日新聞)

【コラム断 評論家・井口優子】地方の医師不足のために…
 先日郷里の長野に帰省したさい、信濃毎日新聞(7月19日付)で、参院選長野県選挙区立候補者4人に、県内の医師不足対策を尋ねる記事が掲載されていた。「二〇〇四年度の新臨床研修制度導入以降、研修医が大都市圏に集中し、医師不足が深刻化。長野赤十字病院(長野市)が分院に当たる上山田病院(千曲市)を来年三月で閉鎖する方針を決めるなど、影響は病院の存続にまで及んでいる」という。
 長野市では、長野赤十字病院が長らく総合病院のキングである。たまたまある検査をする必要性に迫られ、それなら東京ではなく、ここの患者になってみることにした。東京と地方の医療格差がよくいわれるが、どんな格差があるのか、常々興味をもっていたからだ。
 ところが、長野赤十字病院では、地域では他の病院の選択肢はないのだからここで嫌われたくないという患者心理が私ですら生じて、聞きたいことを聞けなかった。
 最近、がんがみつかった友人はセカンドオピニオンをとることも躊躇(ちゅうちょ)した。病院側では患者の権利として、「当院ではセカンドオピニオンを推奨しています」との方針を明示しているのにである。
 地方の医師不足は「選択肢」についての医療格差を広げ、それは患者を萎縮(いしゅく)させることを身をもって体験したのだった。(評論家・井口優子)
(産経新聞)

7月27日

レセプトや健診結果、医療費抑制に活用 厚労省検討
 患者の病名や治療内容が記載された診療報酬明細書(レセプト)や健診結果をもとに、厚生労働省は08年度から、患者一人ひとりの個人情報を集計・分析し、医療費の抑制や診療報酬の改定などに活用する方向で検討に入った。電子化されたレセプト情報を分析し、地域ごとの医療費の傾向や体質によってかかりやすい病気などを把握し、効率的な医療を行う指標とする。ただ、健康情報を含めた詳細な個人情報が本人同意がないまま利用、保存されることに反発も予想される。
(朝日新聞)

グッドウィル違法残業…労使協定期限切れ、再締結できず
 グッドウィル・グループの人材派遣会社「グッドウィル」(東京都港区)が、残業のルールを定める労使協定の結び方が不適切だとして厚生労働省から再締結するよう指導を受けたものの、その後の手続きの遅れで、今月から一部の事業所で協定のない状態になっていることがわかった。
 こうした事業所の中には、協定のない状態で従来通り社員や派遣スタッフが残業しているケースもあり、労働基準法違反の疑いが出ている。同社を巡っては、二重派遣など他の労働法令違反の疑いも浮上しており、厚労省は、本格調査に乗り出す方針を固めた。
 厚労省から不適切と指導を受けた労使協定は、労働基準法36条に基づいて残業の許容範囲を労使間で決め、過剰な残業に歯止めをかける目的で締結されたもので、一般には「三六協定」と呼ばれる。
 労基法では、会社が三六協定を結ぶ相手は労働組合や労働者による投票などで選出した労働者代表でなければならないと定めているが、同社ではこれまで会社側が指名した社員らを代表として協定を結んできた。このため、厚労省は、正規の手続きで労働者代表を決め、協定を再締結するよう指示。同社は6月初めから、全国853事業所ごとに再締結の準備を始めていた。
 ところが、各事業所の足並みがそろわず、新たな協定書を労働基準監督署に提出しないまま旧協定の期限(提出後1年間)が6月末で切れ、今月から協定のない状態となった事業所が続出。関係者によると、これらの事業所の下にある支店で、社員や派遣スタッフに従来通り残業をさせているケースがあるという。
(読売新聞)

病院より診療所勤務-看護師の労働・健康実態調査(奈良)
 県医療労働組合連合会などでつくる医師・看護師の増員を求める県実行委員会(上村啓子実行委員長)は22日までに、看護職員の労働健康調査と同調査に関する分析を発表。県内の看護師の就労実態が厳しさを増す中、ここ数年で病院より診療所に勤務する看護師が急速に増えてきている実態を明らかにした。同委員会は「夜勤など厳しい労働条件の病院より診療所の方が働きやすいのだと思う。看護師を増やすことが急務だということが分かった」と話している。
(奈良新聞)

日本の医師不足、浮き彫り OECDの加盟国医療統計
 【パリ24日共同】経済協力開発機構(OECD、30カ国、本部パリ)は24日までに、先進国が中心の加盟各国の医療を比較する「ヘルスデータ2007」を発表した。日本については、医師の不足や、治療行為に比べて予防医療をなおざりにしてきた側面が浮き彫りになった。
 人口1000人当たりの医師数を見ると、日本は30カ国中27位の2・0人(04年)で、OECD平均の3・0人を大きく下回る。一方、1年間に医師の診察を受ける回数は国民1人当たり日本は13・8回(04年)で、データがある28カ国中で最多。少ない医師が多くの診察をこなさざるを得ないことが分かる。
(中日新聞)

釧路市夜間急病センター、来年4月開設へ(北海道)
 釧路市医師会(西池彰会長)の臨時総会が23日夜、釧路市医師会病院で開かれ、釧路市夜間急病センター(仮称)を2008年4月の開設を目指し、準備していくことを固めた。 同医師会によると、夜間急病センターは、釧路市住吉2のNTT東日本の空きビルを利用し、指定管理者としての管理、運営を模索している。診療科目は内科と小児科で、いずれも急患を受け入れる。「釧根は一つ」という考えから、釧路市以外の患者も診察する。事業費のほか、医師や看護師の人数などは今後、早期に釧路市と立ち上げる夜間急病センター運営委員会で協議する。 臨時総会終了後の記者会見で、西池会長は「臨時総会に諮り、力を合わせて踏み出していこうという会員全員の賛同を得た。市民の期待に応えられる態勢を築いていく」と抱負を述べた。齋藤孝次副会長は「夜間急病センターの運営は、市民の理解と協力が欠かせない。夜間診療所ではないという認識をアピールしていく」と語った。
(釧路新聞)

未払い診療費の回収に苦心/県内(青森)
 年々増え続ける診療費の未払い(未収金)対策に県内の各病院は頭を悩ませている。昨年度、未収金が初めて二億円を超えた県立中央病院(青森市)は専属徴収員が、県内全域の診療費滞納者をコツコツと訪問し、「分割でもいいので何とか」と呼び掛ける。一方、十和田中央病院は、滞納している患者が来院した場合、対話を重視しながらやんわりと支払いをお願いしているなど、苦心がうかがえる。
(東奥日報)

高度小児医療21病院で 道が素案 札幌除く12圏域医師3人以上配置(北海道)
 道は二十三日、医師不足が深刻化している小児科医療の重点化計画の素案を明らかにした。道内を十三の医療圏に分け、三人以上の小児科医を配置し、高度な小児科医療を行う拠点とする「重点化病院」の候補として砂川市立病院、市立室蘭総合病院など二十一病院を挙げた。八月以降、各地域の意見を聞いた上で、十月をめどに重点化計画を策定する方針だ。
 道内の小児科医師数は年々減少傾向にあり、労働環境の悪化や診療科の縮小が深刻化している。このため医療圏ごとに、入院や救急医療が可能な重点化病院を定め、そこを中心に医師を派遣するなどして、地域内の病院が連携して医療体制を維持していくのが狙い。
 札幌を除く十二医療圏と、重点化候補病院は以下の通り。
▽南渡島・南桧山・北渡島桧山 函館中央病院、市立函館病院▽後志 小樽協会病院▽南空知 岩見沢市立総合病院▽中空知 砂川市立病院▽西胆振 日鋼記念病院(室蘭市)、市立室蘭総合病院▽東胆振・日高 苫小牧市立総合病院、王子総合病院(苫小牧市)▽北空知・上川中部・富良野・留萌 旭川厚生病院、深川市立病院、市立旭川病院、富良野協会病院▽上川北部 名寄市立病院▽宗谷 市立稚内病院▽遠紋・北網 北見赤十字病院、遠軽厚生病院▽十勝 帯広厚生病院、帯広協会病院▽釧路・根室 釧路赤十字病院、市立釧路総合病院
(北海道新聞)

7月26日

福島県立医科大:忘年会で患者を侮べつするような余興
 福島県立医科大の教員や学生が02年暮れに行った忘年会で、一部参加者が患者を侮べつするような余興をしていたことが23日、明らかになった。参加者が当日の写真を大学講座内のホームページに掲載し、インターネットで見た人から「医療者としてモラルに欠ける」と批判が出ている。
 同大によると、忘年会は02年12月に開かれ、参加者の一部が宴会場のステージで余興をした。ベッドに横になったおむつ姿の男性をハイヒールで踏みつける様子などを演じた。忘年会には整形外科講座の教員や学生らが参加したという。
(毎日新聞)

介護職員、最低40万人の増員必要・厚労省推計
 厚生労働省は、団塊世代の高齢化に伴う介護ニーズを賄うには、2014年までに介護職員などを40万―60万人増やす必要があるとの推計をまとめた。現状に比べ介護サービス従事者が4―6割増となる計算だ。ただ介護職員は離職率が高く、人材難が深刻。労働力人口が年々減るなかで人員を確保するには、外国人労働者の受け入れ拡大も含む抜本策が必要との指摘も出ている。
(日経新聞)

医療現場 環境改善を 管内病院労組 連絡協が初総会 洞爺湖(北海道)
 【洞爺湖】自治体病院の赤字問題など、医療を取り巻く環境が悪化していることに関し、管内の公立、民間六病院の労働組合が二十一日、洞爺湖温泉のホテルで「胆振地区連絡協議会」の第一回総会を開いた。各労組が横のつながりを強め、労働環境の維持、改善の声をあげる狙いがある。
(北海道新聞)

地方と都市部は別基準に 公立病院効率化で有識者懇
 経営難が指摘される公立病院の経営効率化などを検討する総務省の有識者懇談会(長隆座長)は23日、初会合を開き、病床の利用率など病院の再編や統合を促す判断基準を設けることを決めた。ただ、離島や中山間地などを抱える地方と、医療施設が充実している都市部では別の基準を採用することで一致した。
(北海道新聞)

〈争点の現場〉医療 「お産の場」確保が急務
 病院の産科を存続させるためには、勤務する産科医の負担軽減が必要だ。「病院での正常分娩を産科医の代わりに助産師が担うことで可能になるのではないか」と本舘さんは言う。「正常分娩は地域の助産所や個人病院で、異常分娩は大病院でという具合に、国が分娩場所を分担するシステムを考え、整備することも必要だ」
(朝日新聞)

県の医療秘書補助 6病院17人配置(青森)
 研修医を指導する医師の負担を減らすため本年度から始まった県の「メディカルクラーク」(医療秘書)事業で、本年度、県の補助を受けて医療秘書を置いたのは県内六病院で、配置されたのは十七人に上ることが二十二日、分かった。しかし、十七人はこれまでも各病院で医療事務などを行っており、新たに採用された人はゼロ。県の事業説明が遅かったことや、二年間の限定事業で先行きが見えず、病院側は秘書を新規採用できなかった。一部の関係者は「補助は助かるが、医師負担軽減に特段の効果があるかどうかは微妙だ」と首をひねる。一方、県は「制度を活用すれば業務効率が上がる」と効果を強調している。
(東奥日報)

医師不足解消で、札幌医科大が特別推薦枠(北海道)
 卒業後に北海道内での勤務を義務づける特別推薦制度の導入を検討していた札幌医科大学は19日、来年度医学部入試から、5人分の特別推薦枠を設け、在学中の6年間で総額約1300万円の奨学金貸与制度を導入することを決めた。推薦枠確保のため、2次試験の後期日程は廃止する。
 特別推薦は、道内の高校を卒業、または卒業見込みで、校長が推薦する者が対象。同大卒業後の一定期間、道内の地域医療に従事すると確約する――などの条件が課せられる。センター試験と、総合問題と面接による試験で選抜する。
 特別推薦での入学者全員に、入学金と授業料に加え、毎月15万円程度の生活費が貸与される。道内勤務の義務期間は確定していないが、同大では卒業後6〜9年程度と説明する。卒業後、道内での地域医療従事を拒否した場合は、全額返還を求められる。同大の當瀬(とうせ)規嗣医学部長は「厳しい状況が続く地域医療の現場に意欲ある医師を供給していきたい」と話している。
(読売新聞)

広島県立瀬戸田病院の民間移管、白紙に 医療法人が応募辞退
 広島県は十九日、県立瀬戸田病院(尾道市瀬戸田町)の移管先公募で、最終候補に残っていた県東部の医療法人が応募を辞退したことを明らかにした。民間移管で現状のまま病院を存続させる県の計画は白紙に戻った。今後、尾道市や地元医師会と移管の在り方を協議したいとしている。
 県福祉保健部によると、法人は六月、応募時の収支計画について「裏付けが取れるように努力したが、難しい」などと説明。医師や看護師の確保も厳しい情勢になったとしていた。県は今月末に結論を出す予定だったが、法人側が九日付で辞退届を提出した。
(中国新聞)

7月25日

看護師確保 宮城県が本腰 初の就職ガイダンス
 昨年の診療報酬改定の影響などで、地方病院の看護師不足が深刻化する中、宮城県は看護師確保策を本格化させる。今月末、看護学生などを対象とした就職ガイダンスを初めて開催。看護師の離職と県外流出に歯止めをかけるとともに、地域偏在の解消を狙う。
 県医療整備課は「条件のいい大都市部の大規模病院に看護師が集中し、地域偏在が起きている。自治体病院も看護師確保策に苦悩しており、看護師の県内定着を図りたい」と話している。
(河北新報)

過労状態放置運転命令の疑い 運送会社強制捜査へ 仙台
 仙台市宮城野区の国道4号で5月、大型トレーラーが軽乗用車に衝突、軽乗用車の男性が死亡した事故で、県警交通指導課と仙台東署は22日までに、事故を起こしたトラック運転手に過労状態のまま運転を命じた道交法違反(過労運転下命)の疑いで、勤務先の仙台市内の運送会社を強制捜査する方針を固めた。
 調べでは、同社は、事故を起こした東松島市大曲、トラック運転手佐藤友也被告(23)=業務上過失致死罪で起訴=が20時間近い連続運転で過労状態だったにもかかわらず、運転を命令した疑い。
『河北新報)

歯医者もワーキングプア? 「月給25万」から「夜逃げ」まで
歯医者は儲かる――そんなイメージはもう捨てた方がいいのかもしれない。歯科医の「100人中5人は所得ゼロ」、5人に1人は月間所得25万円でワーキングプア寸前、という分析もある。さらには、「夜逃げ」した歯医者もいるというから驚きだ。「格差社会」が、一般的に高所得が望めるとされてきた歯科医の世界にも到来した。
(JCASTニュース)

自治体の定員管理、総務省が新指標策定へ…スリム化を促進
 総務省は、地方自治体の定員管理に関する新たな指標を整備する方針を固めた。人口と面積を基本に、職員数の適正規模を試算できる指標とする考えで、年内にも策定する。
 新指標は、人口、面積を基本とし、昼間人口、事業所数、都道府県の場合は政令市の有無などを考慮することも検討している。都道府県、政令市、一般市、町村などについて、それぞれ策定する考えだ。
 現在は、人口や産業構造が類似するグループ(一般市16類型、町村15類型など)ごとに、人口1万人当たりの職員数を加重平均により算出した指標があるが、近隣に同じグループに属する自治体がない場合などは、住民は比較しにくい。
(読売新聞)

「母子」救急体制探る 仙台で医療シンポ
 医師不足が深刻化する産科医療の現場で、妊婦のリスクに応じた病院の受け入れ体制などを探るシンポジウム「母と子の命を救う救急医療ネットワーク」が21日、仙台市青葉区の仙台国際センターで開かれた。
 愛育病院(東京)の中林正雄院長と国立循環器病センターの池田智明周産期科部長は、年間60人程度と公表されている国内の妊産婦死亡には、間接的な要因などが含まれていない可能性があると指摘。「死亡症例をきちんと分析し、医療現場の対応や連携にフィードバックする必要がある」などと述べた。
 NPO法人・救急ヘリ病院ネットワーク(東京)の国松孝次理事長は、10道県で11機にとどまるドクターヘリコプターの配備状況を説明。「ヘリの有無で、救われる命に地域格差が生じている。救急搬送の実情を住民に示し、早急に導入を図るべきだ」と訴えた。
 東北大病院周産母子センターの千坂泰講師、青森県立中央病院総合周産期母子医療センターの佐藤秀平母体胎児集中治療部長、岩手県立釜石病院の小笠原敏浩副院長らは、医師不足で苦心する各地の救急医療の現状と課題を報告した。
(河北新報)

7月24日

勤務医問題、日医の"不作為"に批判集中
消化器外科学会で討論 A/B会員にも不満噴出「やめてほしい」(東京日和より転載)

 大病院の勤務医が多く所属する学術団体のひとつである日本消化器外科学会は18日、都内ホテルで財務官僚、日医幹部、マスコミら関係者を演者として呼び、問題となっている外科医不足や医療の質の低下について、原因や今後の対策について討論。そのなかで、勤務医が疲弊しているのは「日医が開業医のためだけに政治力を発揮、勤務医には何もしてこなかった」との声に、日医の鈴木満常任理事(勤務医担当)は「その指摘に異論はない」とし、勤務医問題に対する日医の"不作為"を認めた。
 同学会の医療環境検討委員会の中川国利委員は、会員471人から回答を得たアンケート結果を公表。なかでも「夜間当直翌日に通常勤務をしている医師は94%」に達し、労働基準法に反する長時間労働を強いられている実態を明らかにした。厳しい労働環境によってやる気を奪われた医師が職場を離れ、現場に残された医師はさらなる過酷な環境で診療を強いられるという、悪循環に陥っている。
 医療の崩壊現象にはさまざまな要因が混在しているが、医療従事者の業務分担見直しに触れた鈴木常任理事は「病院薬剤師の業務範囲拡大は対策のひとつで、医師の口頭指示によって経験を積んだ薬剤師に処方せんを書いてもらい、最後に処方せんを医師が確認できれば、医師の過重な業務負担は相当変わってくる(減る)のではないか」との見方を示した。また、医師不足の背景には財源目的の医療費抑制があるとし、緊急対策として診療報酬引き上げが必要であることを主張した。
 勤務医問題に日医が取り組まなかったことについて、鈴木常任理事は「唐澤会長も認めている。このことは、これから日医が変わるということでもある」と、従来の姿勢は変えたことを強調。しかしそこへ、国立がんセンター中央病院の土屋了介院長が「(日医批判の声に)異論がないというなら、A会員/B会員(開業医/勤務医の区分)はやめるべき」と反撃。「代議員を選べない(選挙権のない)B会員はA会員の奴隷と同じ。これはおかしい。このままでは勤務医が日医に入っていても意味がない」と、日医会員としての不平・不満をぶつけ、会場からは拍手を浴びた。

南郷診療所に新医師 9月から入院受け入れ(宮崎)
 美郷町の林田敦町長は20日、医師不足のため入院患者受け入れを休止していた南郷区・南郷診療所の医師確保のめどが立ち、9月から再開することを明らかにした。
 同診療所は南郷病院として医師2人態勢で救急医療、入院対応などを行ってきたが、昨年3月末に医師1人が退職。保険医療機関の病院として存続できなくなり、5月から入院のできる診療所に転換した。しかし、1人の医師では入院や24時間の救急医療に対応できず、町は医師確保に奔走していた。
(宮崎日日新聞)

医療過誤で証人が「はく離中止すべき」(福島)
 大熊町の県立大野病院医療過誤事件で、業務上過失致死と医師法違反の罪に問われた大熊町下野上、産婦人科医加藤克彦被告(39)の第6回公判は20日、福島地裁(鈴木信行裁判長)で開かれ、検察側主張の支えとなる鑑定書を作成した新潟大医学部教授の証人尋問を行った。
 教授は、最大の争点である癒着胎盤への措置について「胎盤のはく離が困難になった時点ではく離を中止し、直ちに子宮摘出に移るべきだった」と起訴事実に沿った証言をした。
(福島放送)

開高健NF賞に志治さん
 第5回開高健ノンフィクション賞(集英社主催)は21日、志治美世子さんの「医療の光と影〜隠ぺいとの闘い」に決まった。
 志治さんは1956年、東京都生まれのフリーライター。受賞作は、医療過誤訴訟や過重労働を強いられる医療現場などを取材。患者と医師の双方が納得できる医療の在り方を探り、マスコミの医療報道も問うている。
(スポーツ報知)

今春採用予定の看護師 病院の6割が確保できず 協会が全国調査
 全国の病院の六割近くが今春、採用を予定していた看護師数を実際には確保できなかったことが、日本看護協会(東京)の調査で分かった。昨春の診療報酬改定で、診療報酬の点数が高い「患者七人あたり看護師一人」が新設され、病院間の看護師獲得競争が激化したといい、同協会は「給与や労働条件がいい一部の病院に看護師が集まる傾向が強まっている」とみている。
(北海道新聞)

福島・大野病院事件 胎盤剥離見極め困難 産婦人科医証言
 福島県立大野病院(大熊町)で2004年、帝王切開中に子宮に癒着した胎盤を剥離(はくり)した判断の誤りから女性患者=当時(29)=を失血死させたとして、業務上過失致死罪などに問われた産婦人科医加藤克彦被告(39)の第6回公判が20日、福島地裁であった。検察側提出の医学鑑定書を作成した大学教授(産婦人科医)が証人に立ち、争点である子宮と胎盤の癒着状況について「どれだけ深く入り込んでいるかは、手術中に医師には分からないだろう」と述べ、剥離をどこまで続けていいかどうかの判断の難しさを指摘した。
 教授は「剥離が困難な際は無理に続けるべきではないが、どんな場合が困難かは医師の判断に委ねられる」と述べた。
 公判の冒頭、自身を「周産期が専門ではなく、一般の産婦人科医」とした教授は、検察側が過失の一つに挙げる剥離時のクーパー(医療用ばさみ)使用について「鑑定時には、クーパーを剥離に使うとする文献は見なかった。最近、周産期の専門家からそういう方法もあると聞いた」と証言した。
(河北新報)

消化器の2医師確保、市立根室病院(北海道)
 根室市の長谷川俊輔市長は20日、定例記者懇談会に出席し、市立根室病院の消化器内科専門医1人を8月1日付で、消化器外科専門医1人を同月中旬に確保できることを明らかにした。 消化器内科専門医は、札幌医科大学地域医療支援センター枠で派遣が決定した。派遣されるのは、同大学医学部放射線医学講座准教授の小井戸一光氏(56)。小井戸氏は、札幌厚生病院消化器科医長を務めたベテラン医師で、ヒト胆管細胞癌に関する医学博士。特に、消化器疾患の中でも、肝胆道膵の画像診断とIVR、超音波を用いた診断と治療を専攻分野にしている。
 消化器外科専門医は、札幌医科大学第一外科や札幌鉄道病院に勤務歴のある医師(42)。現在、札幌近郊で勤務医(外科部長)をしている。 この消化器専門医2人の招へいが決定したことで、市立病院の医師体制は常勤医10人、非常勤医11人の計21人体制となる。
(釧路新聞)

柳沢氏招かれざる人? 記者閉め出し、候補者同席せず
 参院選三重選挙区(改選数一)の自民新人小野崎耕平さん(37)=公明推薦=を応援するため、柳沢伯夫厚生労働相が二十日、三重県入りした。しかし、「女性は産む機械」発言や年金記録不備問題などで“不人気”な助っ人とあってか、候補者は同席せず、記者を一度は閉め出す厳戒ぶりだった。
(中日新聞)

医師充足率:秋田周辺152.9%、鷹巣阿仁80.1% /秋田
 県医務薬事課によると、医療圏ごとに病院(20床以上)の病床数に対する適正な医師数を表す「医師充足率」は05年、秋田市周辺152・9%▽由利本荘110・2%など100%を超えたが、県北は大館鹿角88・6%▽鷹巣阿仁80・1%と医師不足が顕著だった。
(毎日新聞)

「節度ある受診」啓発 「守る会」が活動再開(兵庫)
 県立柏原病院の小児科を守る会が、 第2期の活動を始める。 軽症でコンビニを使うような感覚で病院を受診することを控え、 本当に必要な患者が必要な時に病院にかかれるよう、 「節度ある病院受診」 を改めて呼びかけていく。 再始動の第一歩として22日午前10時から、 神楽の郷 (青垣町文室) で開かれるフリーマーケットに出店する。 ベビー用品を格安販売し、 あわせて、 医師を大切にすることが、 ひいては、 患者を救うことにつながるという 「こどもを守ろう お医者さんを守ろう」 のメッセージを伝える。
(丹波未来新聞)

入院の診療報酬に新基準・08年度改定、厚労省方針
 厚生労働省は、患者が入院した場合に病院に支払う診療報酬を見直す方針だ。現在は看護師が多ければ診療報酬も高くなる仕組みだが、患者の看護の必要度に応じた数値基準を新たに導入。看護の必要がないのに多くの看護師を抱えている場合には診療報酬を引き下げる。2008年度の診療報酬改定で実施する考え。
(日経新聞)

産婦人科救急を縮小/藤沢(神奈川)
 藤沢市医師会の協力で同市が行っている休日・夜間の急患診療のうち、産婦人科救急が二十三日から縮小され、夜間と土曜の当番医がなくなることになった。全国的な産婦人科医不足の中、高齢化などで当番医を受け持つ診療所が減り、輪番が難しくなったためという。
 市によると、昨年度まで十四あった産婦人科当番医が今月からは十以下に減り、医師会側から「継続が困難」と申し出があった。制度そのものは存続し、日曜・祝日の日中のみ当番医が担当する。
(神奈川新聞)

7月23日

補償なく災害支援「行けない」と判断 南信2病院(長野)
 大災害の発生直後に負傷者を治療する「災害派遣医療チーム(DMAT)」を持つ県内の7病院のうち2病院が、新潟県中越沖地震直後にチームを派遣していないことが19日、分かった。現地でスタッフがけがをした場合に、補償する仕組みが長野県にはないことなどを理由に挙げている。県衛生部も必要性を認めており、ルールづくりを急ぐ考えだ。
 飯田市立病院(飯田市)は医師や看護師らが待機したが、出動しなかった。看護師1人が研修で県外にいたのに加え、スタッフに対する補償がないままでの派遣は難しいと判断した。
 伊那中央病院(伊那市)も派遣しなかった。地域救急医療センターの医師が半減の3人となっていたほか、けが人が出た場合の補償の問題もあったという。地震後、県に協定締結を求め直した。
 厚労省は出動の費用負担や補償を県と医療機関の間で取り決めるように勧めるが、協定や要綱があるのは7都道県。長野県の望月孝光・医療政策課長は「保健医療計画策定の会議でも話題になっていた。素早く対応を考えたい」としている。
(信濃毎日新聞)

八戸市の定期預金差し押さえ 医療過誤めぐる民事訴訟
 青森県八戸市立市民病院での医療過誤訴訟で、一、二審とも敗訴した市の定期預金約4500万円が20日までに、青森地裁八戸支部に差し押さえられた。大慌ての市は「市政の運営に影響する可能性がある」と、差し押さえ停止の申し立てを検討している。
 地裁八戸支部は06年10月、市に約330万円を支払うよう命じる判決を言い渡し、仙台高裁は今年3月、一審判決を変更、約3200万円の支払いを市に命じた。市は最高裁に上告し、現在も係争中。
 これまで和解をめぐる綱引きがあったが、市は「過失はない」として拒否。原告側が早期解決を目指し、和解のテーブルにつかせるために、高裁判決に遅延損害金を加えた約4500万円の差し押さえに踏み切り、同支部に申し立てた。
 原告代理人によると、控訴審判決から最高裁判決が出るまでの間、強制執行停止の決定を受けるのが通例という。だが、八戸市は「最高裁判決には時間がかからない。大丈夫だろう」と油断。決定を受けていなかった。
(河北新報)

自衛隊医官の現状
 縮減される防衛予算のなかの医療費の制限,および国際平和協力活動などの医官派遣や医官退職増加による欠員状況下での医療安全要求により,厳しい対応が求められている.各種教育のための入校や,キャリアアップのための全国異動もある.二十四時間勤務の特別職国家公務員ゆえに,診療科による差別化や当直手当がなく,兼業兼職も原則的にできない.
 学会認定施設の維持には指導医の存在が必要だが,専門医・指導医の取得は自己研鑽に委ねられ,所要とのバランスのなかで計画的育成に難しさを感じる.さらに,施設の手術件数での差別化は,職域病院には厳しいものである.平時と有事の診療科医官所要数の違いや医官が希望する科のギャップも存在する.就職後のリアリティー・ショックに似た,現実とのギャップに悩む医官もいる.
 若い医官が部隊にいても,最新医療に接する機会を担保するため,近隣の公立病院等に研修でお世話になっている.近年,その病院から勧誘を受ける場合があり,懸念を抱いている.
(日医ニュース)

医師不足:東海市と産業医療団、協議会設置で合意 市民・中央病院間連携など /愛知
 医師不足に悩む東海市と医療法人・東海産業医療団は19日、それぞれが運営する、市民病院と中央病院の連携、協力、再編などに関する協議を行うため、病院連携等協議会を設置することに合意した。第1回目の会議は31日に行う。
 同市民病院(千木良晴ひこ院長、199床)は、定数25人の常勤医師が、06年に22人になり、07年は20人に減少した。新日鉄や愛知製鋼、大同特殊鋼など地元の企業が出資、運営する中央病院(竹中武昭院長、305床)も、02年には26人いた医師が、07年は19人となり、両病院とも一部の診療科を休診にしたり、入院受け付けを中止したりしている。このため、地域医療を守り、市民の安全と健康を確保しようと、具体的、現実的な協議をすることで合意した。
(毎日新聞)

医師がヘリで通勤 過疎地に期待 留萌、天売・焼尻間で体験搭乗(北海道)
 【留萌】過疎地や離島の病院などに登録医師をヘリコプターで送り届けるサービスを行う「日本ヘリ共同運用機構」(東京都、長隆(おさたかし)社長)は二十日、留萌市立病院から二人の医師を乗せ、天売、焼尻両島を往復する試験飛行を行った。
 同社のサービスは、患者も輸送する「ドクターヘリ」とは違い、医者の通勤手段としてヘリを使う。
 医師専門の人材派遣会社などを通じて登録した医師を当直医などとして派遣する。
 この日は、留萌市から約六十キロ離れた両島まで時速約二百キロで巡回、一時間ほどで往復。体験搭乗した医師に、乗り心地や便利さを実感してもらった。
(北海道新聞)

安浦診療所の入院業務、呉市が断念 指定管理者の応募なし(広島)
 入院業務の中断が続き、市民が再開の要望を出していた呉市安浦町の市国保安浦診療所問題で十七日、市が募集した指定管理者に名乗りを上げる新たな医療法人がないまま締め切りを迎えた。これを受け、市は入院再開を事実上断念し、医療計画の大幅見直しに乗り出す。
(中国新聞)

瀬戸田病院民間移管が白紙に(広島)
 広島県は19日、県立瀬戸田病院(尾道市瀬戸田町)の移管先公募で、最終候補に残っていた県東部の医療法人が応募を辞退したことを明らかにした。現状のまま病院を存続させる県の計画は白紙に戻った。今後、尾道市らと移管の在り方を協議したいとしている。法人は6月、収支計画について「裏付けが取れるように努力したが、難しい」などと説明。今月末に結論を出す予定だったが、9日付で辞退届を提出した。
(中国新聞)

大学病院の医療に関する懇談会、質の高い教育・医療のためには医療費財源の確保が必要
 大学病院の医療に関する懇談会が,六月二十八日,日医会館で開催された.
 冒頭,あいさつに立った唐澤人会長は,“経済財政改革の基本方針二〇〇七”について,日医から関係者への働き掛けによって,素案・原案時点にはなかった表現が追加された経緯に触れたうえで,「各地域で現実に起こっている医師不足・偏在,へき地医療等の問題を政府も明確に認識したようであり,今後も具体的な提言を行うなど,総合的・包括的に医政活動を続けて流れを変えていきたい」と述べた.
 次いで,大橋俊夫全国医学部長病院長会議会長が,大学病院では,法人化によって診療と教育・研究の板ばさみで中間指導層がいなくなる事態が発生,医育機関としての大学の存亡にかかわることから,卒前・卒後の一貫性ある医師養成に関する提言と要望を関係省庁へ提出することを考えていること,また,“緊急医師確保対策”として特別奨学金制度による医学部定員増が言われているが,質の高い医師育成には経済的裏付けが必要であること等を説明,日医とも協力しながら,国民や行政府の理解を得て改革を進めていきたいとした.
(日医ニュース)

自治体病院74%赤字 06年度決算全自病協調査 患者減で経営悪化
 全国の自治体病院の74・4%が二○○六年度決算が赤字になると見込んでいることが十九日、全国自治体病院協議会(東京)の調査で分かった。前年度に比べ12ポイントも多く過去最悪の水準。診療報酬の引き下げや患者数減少で経営状況が悪化している実態が浮き彫りとなった。
 調査は、同協議会に加盟する九百五十四病院を対象に行い、道内の五十四病院を含む五百三病院から回答があった。回収率は52・7%。
 赤字を見込んでいるのは三百七十四病院。八十病院が前年度の黒字から赤字に転落する一方、赤字から黒字になった病院は二十病院にとどまった。
 病床規模別に見ると、都市部に多い五百床以上の大規模病院では64・5%、道内に比較的多い百−百九十九床、二百−二百九十九床の中規模病院では81%が赤字を見込んでいる。
(北海道新聞)

同意書症候群
 勤務医の過重労働の原因の一つに,記入すべき書類の多さが挙げられる.殊に平均在院日数短縮の下では,なおさらである.入退院の際の計画書.検査,輸血,手術の際の説明と同意書.介護保険関係の書類.さらには生命保険の書類など,枚挙に暇がないほど多い.
 各病院ではそれぞれ工夫をこらして対処していると思うが,日医でもこの問題を取り上げ,ガイドラインなどを作成したらどうだろうか.勤務医の過重労働は,医師不足と低医療費政策が招いた現象であり,根本的にはこれらの解決が必要である.しかし,まず出来るところからと考えると,書類の整理や記入の工夫も,少しは改善策になると考える.
 重要な検査や手術前の説明や同意書は,当然,医師がすべきだろうが,簡単な検査にも必ず同意書が必要だろうか.仮に医療事故があった場合,同意書がなければ問題だが,同意書があっても免責にならないことは明らかである.
(日医ニュース)

07参院選 医療崩壊をどう防ぐ
 医師不足が深刻さを増している。千曲市の長野赤十字上山田病院が、来年3月で閉院になる見込みだ。最初のお産と同じ医療機関で2人目の出産を希望したら、産科がなくなっていたという話も珍しくない。生活への影響がじわりと広がっている。
 産科、小児科に限らず、多くの診療科で勤務医が足りない。このままでは病院から診療科がさらに減り、病院自体がつぶれていく医療崩壊につながりかねない。医師不足対策は、参院選で有権者の関心が高いテーマの一つだ。
(信濃毎日新聞)

7月22日

名古屋で「病児保育」開始へ 共働き夫婦の「強い」味方に(愛知)
 名古屋市は、病気の子どもを預かる「病児保育」を30日からスタートさせる。市医師会を通じて、既に実施している3カ所に、もう1カ所を加えた計4カ所の民間医療機関に運営を委託し、感染症などにかかっている小学3年生までの子どもを受け入れる。子育てをしている共働き夫婦の強い味方になりそうだ。
(中日新聞)

岡山市の市民病院存廃 専門会議が初会合(岡山)
 岡山市が移転新築構想を撤回した市立市民病院(同市天瀬)の存廃問題で、市は18日、病院のあり方を詳細に検証する庁内組織「市立市民病院あり方検討専門会議」を発足させ、市役所で初会合を開いた。病院が担うべき公的機能と市民負担を抑制する方策を探る。
(山陽新聞)

医師不足対策:札幌医大が地域枠 道内勤務条件に奨学金
 札幌医大は来春の入試から、深刻化する地方の医師不足対策として、道内の医療機関で9年間勤務することを条件に、在学6年間に生活費など総額1400万円余りの奨学金を支給する地域枠(募集定員5人)を導入する。
 同大によると、一般入試の後期日程(募集定員20人)を廃止して、5人を地域枠とし、残る15人を前期日程(同75人)に変更する。地域枠の出願資格は「道内の高校を卒業する現役か1浪」「校長が推薦する者」。大学入試センター試験の受験(5教科7科目)も必要となる。卒業後、4年間の研修と5年間の実習の計9年間、道内の医療機関に勤務すれば、奨学金の返済を免除する。奨学金は入学金(28万2000円)のほか、年間授業料(53万5800円)と生活費(月額15万円)で、道が今秋までに最終決定する。
(毎日新聞)

大崎市民病院、1病院4診療所へ再編 検討会議が提案(宮城)
 宮城県の大崎市民病院の将来像を議論してきた「市民病院改新検討会議」は19日、大崎市議会市民病院建設特別委員会で中間報告し、4病院1診療所の現体制を「1病院4診療所」に再編する案を示した。病床削減の対象に上がった鳴子、岩出山、鹿島台の各分院がある地域で反発も予想され、同会議議長の河合尭昭副市長は「医師不足は市民が思う以上に深刻。市民の命と健康を守るには、本院に医師を集約して効率的に回していくしかない」と理解を求めた。
(河北新報)

最低賃金の見直し…生活保護費下回り 勤労意欲そぐ恐れ
 課題として指摘されているのが、地域別の最低賃金が生活保護費を下回るケースがあることです。県庁所在地で働く労働者を比較した場合、例えば北海道では、最低賃金で1か月(1日8時間で22日間労働)働いた時の社会保険料などを差し引いた手取りは約9万8000円。一方、生活保護費は約11万8000円(12〜19歳単身者)(数値はいずれも2005年度)で、最低賃金が約2万円、下回っています。
(読売新聞)

氷見市民病院、「公設民営化やむなし」 経営改革、市民懇話会で大勢
 氷見市行政改革推進市民懇話会(前田利寛会長)は十八日、市ふれあいスポーツセンターで開かれた。市民病院の経営改革について、市側は公設公営のままでは赤字額が膨らむ試算を示して継続は不可能とし、指定管理者制度による公設民営の手法が最適であるとの判断を示した。懇話会の委員からも「公設民営化はやむなし」と意見が大勢を占めた。
 氷見市役所内のプロジェクトチームは、医師、看護師が今年度の人数を維持するケース1と毎年、減少するケース2の試算を示した。ケース1では、今年度が約六億円の累積赤字は二〇〇九年度に約十四億三千万円、同2では約二十二億円に膨らむなどのデータを示し、現在の公設公営の維持は困難と結論づけた。
(富山新聞)

病院・医師の努力限界/県内の医師確保(香川)
 県内の医師数は増えてはいるものの、産婦人科をはじめ、いくつかの診療科は減少傾向にある。新しい産婦人科の常勤医を探している砂川正彦院長(55)だが、「大学の医局にも、どこにも医師がいない」と話す。
 勤務医の仕事が年々激務になっているうえ、福島県の病院で昨年、帝王切開した女性を死亡させたとして産婦人科医が逮捕された影響も大きい、とみる。「一生懸命やっても逮捕される。飲酒運転で死亡事故を起こすよりも裁判で賠償額が多いこともあった。社会状況が医師には非常にマイナスに働いている」
 県立中央病院(高松市番町5丁目)の救命救急センターは、救急患者の最後のとりでだ。年間約3100人(05年)が救急車で運ばれてくる。その救急専従医2人が退職し、今年4月からゼロに。今は麻酔科、外科などの医師5人がチームを組んで救命に当たる。
 センターで昨年3月、心肺停止患者の受け入れを拒否したことが問題になった。そのとき松本祐蔵院長(61)は、改善策として「センターの人員態勢を強化したい」とコメントした。でも現実は逆行している。
(朝日新聞)

日本の医師数、1000人あたり2人で主要国最低・OECD調べ
 経済協力開発機構(OECD)は18日、医療に関する統計「ヘルスデータ」2007年版を公表した。人口1000人あたりの医師数は日本は2人と米英独など主要7カ国では最も低かった。医療費の負担内訳で日本は国など公的部門の割合が82%と英国に次いで高く、患者の自己負担や民間保険の割合が低かった。
 調査は05年(日本は04年)の統計を基に加盟30カ国を比較。日本の1000人あたり医師数は全加盟国でもトルコ、韓国、メキシコに次いで低かった。
 1人あたり医療費(各国の物価を調整した購買力平価換算)で日本は2358ドルと主要7カ国では最低で、最高の米国(6401ドル)のほぼ3分の1だった。
(日経新聞)

産科救急の現状と課題考える 21日、仙台でシンポ
 医師不足が深刻化する産科医療の現場で、リスクの高いお産への対応策などを考えるシンポジウム「母と子の命を救う救急医療ネットワーク」が21日、仙台市青葉区の仙台国際センターで開かれる。
 国立循環器病センター周産期科部長の池田智明氏は妊産婦の死亡原因などを解説。医師が同乗するヘリコプターの導入を進めるNPO法人・救急ヘリ病院ネットワークの国松孝次理事長は、ヘリ運用の制度設計などについて講演する。
 仙台赤十字病院産婦人科部長の谷川原真吾氏、青森県立中央病院総合周産期母子医療センター母体胎児集中治療部長の佐藤秀平氏、岩手県立釜石病院の小笠原敏浩副院長らは、各地の産科救急の現状と課題を報告する。
(河北新報)

「仕事と生活の調和」推進役・厚労省、残業時間が最長
 中央省庁で最も残業時間が長いのは厚生労働省――。霞が関国家公務員労組共闘会議(22組合、組合員約1万人)が18日発表したアンケートで、そんな結果が出た。
 その結果、最も残業時間が長かったのは、旧労働省の職員で作る全労働の月84時間。労働法制の改正ラッシュが原因とみられ、2位だった前年より4.8時間増えた。次が、旧厚生省の全厚生で79.3時間。前年は91.6時間でトップだった。長時間労働を抑制し、ワーク・ライフ・バランス(仕事と生活の調和)を推進するはずの厚労省自体が、2年連続で上位を独占している状況だ。
 全体の平均は前年比0.2時間増の月39.1時間。過労死の危険ラインとされる残業が月80時間以上の職員は10.3%、月100時間以上も5.3%。過労死の危険を「過去に感じた」か「現在感じている」職員は35.6%に上った。
(朝日新聞)

7月21日

医療事故:前年比182件増の1296件 死亡152件
 日本医療機能評価機構が18日公表した06年の医療事故情報年報によると、大学病院など報告義務がある273カ所の医療機関から寄せられた医療行為に起因する事故は、1296件(前年比182件増)で、死亡事例は152件(同9件増)。発生場面では、患者移動中(102件)▽開腹手術(42件)▽内視鏡治療(26件)▽静脈注射(19件)などが多かった。
 また「ヒヤリ・ハット」の事例は、1276カ所の医療機関から19万5609件の報告があり、うち患者の生命に影響する間違いに事前に気付いたケースが3155件あった。
(毎日新聞)

自治体病院の74%、赤字予想 診療報酬下げなど影響
 自治体病院の74.4%が06年度決算で経常赤字になる見通しであることが、全国自治体病院協議会の調査でわかった。前年同期の63.4%から大幅に増え、年末に確定する決算では、赤字の割合が過去最大だった73年度の70.4%を超える可能性が高いという。06年4月の診療報酬引き下げに加え、医師不足に伴う患者離れが経営悪化に拍車をかけている実態がうかがえる。
(朝日新聞)

<だから1票>(4)医師不足 医療格差、募る不安
 「病院の勤務医は疲弊している」
 滋賀医科大学教授の野田洋一(65)は、医師不足の背景を説明する。訴訟率の高さから、若手医師が産婦人科を敬遠。加えて二〇〇四年度に導入された新医師臨床研修制度も要因になっている。
 それまで医学部の卒業者の多くは大学医局に入局、研修していた。新制度では、希望する病院で二年間研修を受けることになった。
 その結果、都市部に研修医が集中。医師不足に陥った大学医局は、地方の病院から医師を引き揚げるようになった。
 「命の切り捨ては許さない」
 地域の医療の差は、命の格差につながる。
(中日新聞)

霞が関の公務員、「サービス残業」年間132億円 労組試算
 東京・霞が関の中央官庁に勤める約4万5000人の国家公務員が年間に総額132億円の「サービス残業」をしている、との試算を「霞が関国家公務員労働組合共闘会議」が18日、発表した。
 アンケートは今年3月に実施、霞が関で働く国家公務員(管理職を除く)の1割弱に当たる約4400人が回答し、残業は月平均39時間。
 一方、アンケートで残業の実態をみると「過労死危険水準」とされる月80時間超の人が10%いた。このうち「過労死の危険性を現在感じている」としたのは19%。
(産経新聞)

浜田のお産危機回避 医療センター3人体制に(島根)
 開業医の分べん中止に伴い、浜田市内唯一の出産対応施設となる浜田医療センター(同市黒川町)に、17日、産婦人科医1人が新たに着任し、3人体制となった。急増するお産に対応するため、同医療センターの要請を受けた島根大医学部が派遣。機能分担で妊婦健診を開業医が担う「セミオープンシステム」と合わせ、地域のお産危機をしのぐ見通しが立った。
(山陰中央新報)

館林市夜間急病診療所:土曜も受け付け /群馬
 館林市夜間急病診療所(同市成島町)は、土曜も夜間診療を受け付けている。これまでは、月〜金曜のみだったが、館林市邑楽郡医師会の協力で実現した。診療科目は内科・小児科で午後7〜10時。日曜、祝日と年末年始は休診。「比較的軽症の患者を受け入れたい」としている。問い合わせは同診療所(0276・73・2313)へ。
(毎日新聞)

県立中央病院、経常損失18億9619万円、06年度決算概要 縮減目標は達成できず(山梨)
 県が十七日発表した県立病院事業会計の二〇〇六年度決算概要によると、中央と北の両病院、県医務課を合わせた当期純損失は十八億三千百九十七万円で五年連続の赤字となった。赤字額は前年度より約二十億円縮小した。このうち、経常損失を十四億千二百万円に縮減するという経営改善ステップアップ計画を掲げた中央病院は経常損失が十八億九千六百十九万円で、目標を達成できなかった。
(山梨日日新聞)

争点の周りで【2】 医師不足
 「医師が過労死するか、医療事故が起きるか。このままでは医療崩壊する」。四万十市立市民病院の内科医、三木豊和さん(35)はため息をつく。午前8時から午後9時までの週5日勤務。月7回は当直で病院に泊まり、そのまま翌日の勤務に入る。15人ほどの入院患者を抱えるため、週2回の休日も顔を出す。「しんどくないと言えばうそになる。使命感だけで頑張っている」
 97年に18人いた同病院の医師は、現在7人。07年4月からは夜間の救急受け入れをやめ、約30床のベッドがある。
(朝日新聞)

7月20日

厚労省が学童保育で初のガイドラン案
 厚生労働省は、保護者が仕事などで昼間家庭にいない児童を学校の授業後や休日に預かる放課後児童クラブ(学童保育所)に関する、ガイドラインの案をまとめた。小学校の1学級の規模に合わせ、40人程度までの「クラス」で一緒に行動させるほか、土曜日や休日の開所時間を8時間以上にすることなどを提案している。学童保育の指針づくりは今回が初めて。
(時事通信)

道「母子加算の削減は適正」 不服請求すべて棄却(北海道)
 生活保護受給者のうち、十五歳以下の子どもを持つひとり親世帯に支給されている母子加算が本年度から削減されたことに対し、道内の受給者三十五人が今年五月、道に減額処分の取り消しを求める不服審査請求をした問題で、道がすべてについて請求を棄却する裁決を出していたことが十七日、分かった。
(北海道新聞)

片岡福島地検次席検事が異動、後任は村上氏
 福島地検の片岡康夫次席検事(49)が8月1日付で千葉地検交通部長に転出し、後任に東京高検の村上満男検事(53)が就くことが内定した。
 片岡氏は平成17年9月に法務省法務総合研究所から福島地検に着任した。
 県立大野病院産婦人科医の医療過誤事件、石川町職員採用をめぐる汚職事件、泉崎村の3歳男児虐待事件、会津若松市の母親殺害事件などの捜査を指揮した。
(福島放送)

'07参院選 医療 根本からの論議尽くせ
 安倍政権は医療費削減を主眼とする「小泉改革路線」を受け継ぎ、診療報酬の見直し、療養病床の大幅削減を進め、さらに七十五歳以上を対象とする新医療保険制度も二〇〇八年度から始める。高齢者の負担が増えるだけでなく、病床削減で行き場を失う入院患者が「医療・介護難民」になる恐れもある。
 一方、産科、婦人科など深刻な医師不足が、離島や中山間地の病院を直撃し、お産や救急医療ができなくなる地域も出てきた。国民が安心して暮らせるには、緊急対策だけでなく、制度の根本的な再構築が必要だ。どういう方向をめざせばいいのか。
 自民党は、医師確保のため六つの緊急対策を掲げる。都道府県からの求めで国が病院に医師派遣を要請、研修を受ける病院の定数見直し、勤務医の待遇改善、大学医学部の定員増など―。だが財源はどうするか。医学部定員の削減をはじめ、自民は改革大綱などを基に、医療費の抑制を積極的に進めてきた。緊急手直しにしても、これまでの検証をした上でなければ、場当たり的と見られても仕方あるまい。
 公明党は、救急現場へ医師や看護師が同乗し駆け付けるドクターヘリの全都道府県への配備を法制化した、連立与党としての実績をアピール。産科、小児科の診療報酬アップなどを提示する。
(中国新聞)

音量操作『誰が』 把握せず 医療事故相次ぐ脳血管センター(神奈川)
 横浜市磯子区の市立脳血管医療センターで、入院患者の監視モニターの警告音が最低レベルに設定されていたため、看護師らが音に気付かず、患者が心肺停止となり、九日後に死亡した医療事故。事故から十日以上を経過してもなお、センター側は音量操作をした人物や時期、理由を把握できずにいる。同センターでは医療事故が相次いでおり、安全管理があらためて問われている。
(東京新聞)

公立病院再編、交付税で支援・総務省検討
 総務省は地方自治体が運営する公立病院の再編を地方交付税交付金で支援する検討に入った。高度医療を手掛け地域医療の中核になる「基幹病院」に医師を重点的に配置し、周辺の病院は医師が少なくてすむ診療所などに規模を縮小する。不足する医師を効率的に配置し、病院の経営改革を進めるのがねらい。年内にもガイドラインを策定、来年度からの導入を目指す。
 総務省は月内に、公認会計士ら有識者による「公立病院改革懇談会」を立ち上げ、具体案をつめる。
(日経新聞)

7月19日

香住病院 新規入院当面休止 当直体制維持できず(兵庫)
 公立香住総合病院(兵庫県香美町香住区若松)は十五日、常勤の内科医二人が健康上の理由で当直勤務が困難になったとして、十六日から当面、新規入院と時間外・休日救急の受け入れを休止すると発表した。現在入院中の患者への診療は継続するが、病状の急変など高度な医療が必要となる場合は、転院などの措置を取るとしている。
 同病院ではこれまで常勤医師五人(内科医三人、外科一人、泌尿器科一人)を中心に、二十四時間・三百六十五日体制による入院患者への診療や午後九時までの時間外・休日の救急の受け入れに対応していた。
 しかし、十三日までに内科医二人が「健康上の理由」のため、従来通りの勤務が困難と判断。内科医の交代待機での診療体制が取れなくなることから、新規入院と時間外・休日救急の受け入れを休止することにした。
(日本海新聞)

結婚などで医療現場離れた 女性医師の復帰支援、岐阜県事業始める
 岐阜県は、結婚や出産などで医療現場から離れた女性医師を対象に、復帰に向けた支援事業を始めた。産婦人科や小児科などの医師不足を少しでも解消するため、「貴重な人材を確保したい」との考えだ。現在、支援研修を受講する女性医師を募っている。
 県医療整備課によると、2004年12月末現在、県内の医師は約3480人。このうち女性医師は約550人と15・8%を占め、増加傾向にあるが、結婚や出産、子育てを理由に医療現場を離れるケースも多く、離職率は高い。
(読売新聞)

本県で研修を/臨床病院セミナー(青森)
 全国の臨床研修病院が医学生に研修内容を説明する「医学生のための臨床研修指定病院合同セミナー」(主催・メディカル・プリンシプル社)が十五日、東京有明の東京ビッグサイトで開かれ、本県の臨床研修病院が“医師の卵”に「症例が多く、プログラムも充実している青森の病院で研修を」と必死のアピールを展開した。
 セミナーには全国の二百五十病院、医学生約千三百人が参加した。今回初めて青森県として共同ブースを設置。県立中央、青森市民、弘大、健生、黒石、八戸市民、青森労災、十和田中央、むつ総合の九病院が説明テーブルを持った。
(東奥日報)

〈幸せへの一票:2〉33歳主婦 都会でも「出産難民」
 「えっ、私のお産はどうなるの?」
 愛知県豊明市の主婦(33)は昨年8月、通い慣れた名古屋市緑区の阪井病院で絶句した。
 「諸般の事情により、12月以降はお産ができません」
 院内の張り紙にそう書かれていた。第2子の出産予定日も12月……。
 流産の後、切迫流産を乗り越えて第1子を出産したのがこの病院だ。
 「過去の出産は順調じゃなかった。経過を知っている病院で安心して産みたかったのに」
 名古屋のような大都市で「出産難民」になるとは思いもしなかった。
(朝日新聞)

〈選挙の風景〉診察
 いつからこうなってしまったんだろう。横浜市内の病院に勤務する49歳の女性産科医は、最近そう考えることが増えた。
 病院でお産をしたあと、出産費用を払わないで帰ってしまう女性が、ここ2、3年で目立つようになってきた。健康保険に入っていれば、出産のための一時金が払われる。しかし、健康保険自体に入っていない人がいる。
 医師は、患者がお金を払わないからといって診療を拒むことはできない。医者と患者、いままでお互いの信頼関係でやっていたことがうまくいかなくなっているのではないか。一生懸命診察しても報われないと、落ち込む医師は周りにも多い。
(朝日新聞)

7月18日

夫婦外の体外受精160組、124人誕生…根津医師が実施
 不妊に悩む夫婦が第三者から卵子や精子の提供を受けて行う「非配偶者間体外受精」が、国内でこれまでに160組に実施され、84人が出産、計124人の子供が誕生していることを、実施した諏訪マタニティークリニック(長野県下諏訪町)の根津八紘(やひろ)院長が明らかにした。
 厚生労働省の厚生科学審議会は2003年、この治療を容認する報告書を出しているが、日本産科婦人科学会は認めていない。厚労省と法務省の要請で、日本学術会議が生殖医療のあり方を審議しており、ルール作りが急務となりそうだ。
(読売新聞)

保険料割り増しで持病も保障、新型医療保険の発売相次ぐ
 過去に大病を患ったり持病があったりして、健康に不安がある人も加入できる医療保険が相次いで発売されている。
 従来の医療保険の普及率が8割近くまで高まり飽和感が強まるなかで、新たな市場として保険各社が注目し始めているためだ。保険料は従来の1・5〜2倍程度と割高だが、新型保険で「販売対象が一挙に倍増する」(住友生命)との試算もあり、追随する動きが広がりそうだ。
(読売新聞)

介護職員の待遇改善へ国が指針 労働時間や賃金、事業所に近く通知
 厚生労働省は、介護サービス事業所で職員の過酷な労働実態が問題化していることから、都道府県や全国の事業所に労働時間や賃金についての監督・指導や待遇改善を求める「指針」をまとめた。二十六日の社会保障審議会福祉部会で正式決定し、関係先に通知する。
 「指針」では、訪問介護やグループホームなどの介護サービス事業所に対し(1)週四十時間労働制が適用されていない小規模事業所(十九人以下)も同制度を導入する(2)他産業の給与を考慮して、職員給与を適切な水準とする−ことなどを求めた。都道府県や政令指定都市に対しては、介護サービス事業所で労働基準法が順守されているか、監督や指導を徹底するよう明記した。
(中日新聞)

2007年7月号 特集 自治体病院の末路
 大阪中心部へ30分圏内にある公立忠岡病院が、今年3月廃止された。医師不足で常勤医が激減。診療報酬引き下げの影響もあり医業収益は3年間で半減した。頼みの忠岡町も小泉内閣の三位一体改革により交付税を約4億円減らされ、病院の赤字が続けば、町自体が財政再建団体へと追い込まれる可能性さえあった。これが、全国の自治体病院の悲しい縮図だ。未来には一条の光明もない。
(日経メディカル)

出石病院のいま ―守れ 地域医療(兵庫)
 公立出石病院(豊岡市出石町福住)が、病院運営に最低限必要な「常勤医師三人体制」に縮小されてから三カ月が経過した。深刻な医師不足を受け、公立豊岡病院組合が発表した病院再編案では十月から、公立梁瀬病院(朝来市山東町)も同様に規模縮小する方針だが、反発も予想される。先行して縮小された出石病院は今、どんな状況なのか。現場の医師らに話を聞いた。
(神戸新聞)

医療費助成:全額補助、中3まで拡大−−10月から品川区 /東京
 品川区は、子供に対する医療費助成制度を拡大し、中学3年生までの医療費を区で全額補助することを決めた。10月から実施する。
 区はこれまで小学6年までの医療費を全額補助していたが、区民がより一層安心して子育てが出来るよう、経済支援を拡充する。通院、入院を問わず、自己負担額すべてが対象となり、所得制限は設けない。
(毎日新聞)

来月末「ゼロ」? おがた総合病院の常勤内科医、市長、知事に対策要望(大分)
 豊後大野市緒方町の「公立おがた総合病院」(野田健治院長)が八月末で常勤内科医がゼロになる可能性があるため、芦刈幸雄市長らが十三日、県庁を訪れて、広瀬勝貞知事に早急に医師確保に取り組むよう要望した。
 同病院は昨年度まで大分大学医学部などから常勤内科医四人の派遣を受けていた。しかし「新医師臨床研修制度」の影響を受けて全国の大学病院は医師不足に陥り、派遣先の地域病院から医師を引き揚げているという現実があり、同病院も常勤医は二人に減少。八月末には二人とも大学に戻る予定になっている。大学が後任補充する見込みはなく、医師確保のめどは付いていない。
 さらに、隣接する竹田市の竹田医師会病院は内科医不足のため救急病院の指定を撤回している。現在、公立おがた総合病院は竹田市からの救急搬送を受け入れており、同病院も救急医療ができなくなれば、豊肥地域全体の地域医療がさらに深刻な状態になる。
(大分合同新聞)

7月17日

道内初 道が精神科救急センター 24時間対応、3年後にも(北海道)
 精神科の急患に対応する救急体制を拡充するため、道は十四日までに、重度症状の急患を二十四時間体制で受け入れる「精神科救急医療センター」を設置する方針を決めた。同センターは広島県や千葉県など全国に六カ所あるが、北海道では初めて。札幌市内の精神科救急が、夜間・休日にパンク寸前の状態にあることから、受け入れ体制を強化する。具体的な設置場所などを検討した上で、国の補助を受けて三、四年後をめどに設置したい考えだ。
(北海道新聞)

最低賃金 13−34円引き上げ厚労省が4案 経営者側は反発
 最低賃金の毎年の改定額を労使代表で話し合う「中央最低賃金審議会」(厚生労働相の諮問機関、中央最賃審)の本年度初会合が十三日開かれ、厚生労働省は平均賃金などを参考にした引き上げ案を示した。案を適用すれば、昨年は二−四円だった引き上げ額(時給)が十円単位に上がる。経営者側は強く反発、今後の議論は難航が予想される。
 厚労省が示した案は《1》平均賃金に対する最低賃金の比率を二○○六年度の37・2%から0・5ポイントか1ポイント上げる《2》高卒初任給を基準に、現行最低賃金との差を半分に縮小《3》小規模企業で働く労働者賃金の中央値の半分(六百八十二円)《4》生産性の伸び率を今後五年で一・五倍にする政府の計画に沿い六百八十八円とする−の四つ。これらを適用すれば、○六年度の最低賃金(時給)の全国平均額六百七十三円から、十三−三十四円の大幅な引き上げになる。
(北海道新聞)

新患の出産受け入れ停止、近江八幡の医療センター 医師退職で
 滋賀県近江八幡市土田町の市立総合医療センターで、産婦人科の常勤医師3人のうち2人が今月末までに辞めることになり、先月下旬から新規患者の出産の受け入れを停止していることが、14日までに分かった。整形外科でも9月末までに医師3人が辞める見通し。
 産婦人科の男性医師が15日付で、女性医師が31日付で辞表を提出した。この男性医師を12月まで非常勤として雇うほか、新たに常勤1人と非常勤1人を確保した。ただ来年1月以降は宿直体制が組めないとして、新たな患者の受け入れをしない。12月までの予約患者約260人については引き続き診療を続ける予定。
 整形外科では、6人いた医師のうち1人が6月末で辞め、残る5人のうち2人も9月末までに辞める意向という。
(京都新聞)

卒後臨床研修で連携へ 秋大と東京医科歯科大
 秋田大学医学部付属病院と東京医科歯科大学医学部付属病院(東京都文京区)は13日までに、卒後臨床研修について連携プログラムを立ち上げることで合意した。現在、国に「広域連携臨床研修プログラム」として申請しており、今月中にも認められる見通し。
 秋大の研修医は首都圏の医療を、東京医科歯科大の研修医は「へき地医療」をそれぞれ体験できるという点で双方にメリットがある。認可されれば国立大学法人同士が臨床研修で連携する全国初のケースとなる。
(さきがけ)

西日本高速、産科医学生に奨学金 200万円支給、西日本で医療従事条件
 西日本高速道路会社(大阪市)は13日、産婦人科医を志す医学生に対する奨学金制度を創設すると発表した。医学部の5〜6年生が対象で、来年度から1人に付き2年間で200万円を支給する。返済は不要。卒業後、西日本で産科医療に携わることが条件で、日本産科婦人科学会が推薦した学生の中から毎年15人を選ぶ。
(読売新聞)

新規患者の分娩中止…滋賀・近江八幡市立医療センター、医師退職相次ぎ
 滋賀県近江八幡市立総合医療センターの産婦人科の医師が相次いで退職し、6月下旬から新規患者の分娩(ぶんべん)を中止していることが、わかった。同センターは、切迫流産や帝王切開など「ハイリスク患者」を受け入れる「地域周産期母子医療センター」になっており、東近江圏域の産婦人科診療に影響が出そうだ。
 総合医療センターによると、産婦人科には3人の常勤医師がいたが、15日付で男性医師が辞め、31日付で女性医師が退職予定。1日から別の男性医師が来たが、8月以降は2人態勢になる。センターでは産婦人科の医師が毎日1人は宿直を行うため、常勤の医師2人では医療の安全確保ができないとして、新規患者の受け入れを中止したという。
(読売新聞)

「医師、機材とも不足」 弘前大が救急医療調査
 弘前大医学部救急・災害医学講座(浅利靖教授)は、青森県の委託研究「救急医療体制に関する調査・検証」の報告書をまとめた。自治体病院へのアンケートを基に、救急医療に携わるスタッフの不足や過重労働の実態などを指摘。救命救急センターの整備や救急医療用ヘリコプター(ドクターヘリ)の配備を提言している。
(河北新報)

7千時間の残業代未払い 大阪外国語大
 大阪外国語大(大阪府箕面市)は十三日、事務職員ら五十一人に、二〇〇五年四月から今年四月の未払いの残業代が計七千百五十五時間分、約千八百五十万円あったと発表した。十七日に全額を支払う予定。
 五十一人は庶務や会計などを担当する職員や補佐員ら。労働基準法三六条に基づく労使協定(三六協定)での上限を超えた残業を申告していなかったという。大学が上限を守るよう呼び掛けていたため、職員らが自主規制した可能性がある。
 大学は今年四月、淀川労働基準監督署から是正勧告を受け、職員らからの聞き取り調査を進めていた。
(中国新聞)

佐野市民病院、5人目の常勤医確保(栃木)
 佐野市民病院は十三日、五人目の常勤医を確保したと発表した。埼玉県在住の吉野美裕紀医師(46)で内科と小児科が専門。十七日付で採用する。
 吉野医師は、東京女子医大卒。以前は茨城県内の民間病院で診療にあたっていた。
 平日は主に病棟勤務で、入院患者を中心に対応。土曜日は外来診療に応じるため、二十一日から第一、三、五土曜日の総合内科の外来診療が再開する。
(下野新聞)

7月16日

市立敦賀病院市民アンケート 一定の赤字 半数が容認(福井)
 厳しい経営が続く市立敦賀病院の診療体制や、経営基盤強化の方向性を探る「あり方検討委員会」の第3回会合が12日、同病院で開かれ、事務局が市民を対象に行った意識調査の結果を基に話し合った。調査では「(公立病院として)ある程度の赤字は仕方ない」とする市民が半数を占めたことが報告された。委員からは対応における職員の意識改革や、広報活動の内容充実などソフト面の改善を求める意見が多く出た。
 また、意識調査で「不採算部門などある程度の赤字は仕方ない」とする者は217人(50・5%)。「不採算部門も含めて赤字を出さないようにすべき」の130人(30・2%)、「不採算部門の切り捨ても仕方ない」の12人(2・8%)を上回った。
(福井新聞)

公立病院改革懇談会:初会合は7月下旬に開催
 総務省は13日、経営が悪化している公立病院の合理化やネットワーク化などを検討する「公立病院改革懇談会」の初会合を今月下旬に開催すると発表した。座長には公認会計士の長隆(おさたかし)氏が就任、6人の委員が年内にもガイドラインを策定する。同省は全国の地方公共団体に対し、来年度中にガイドラインに基づく改革プランを作成するよう求める。座長のほかの委員は次の通り。
 相澤孝夫・医療法人慈泉会相澤病院理事長▽今岡輝夫・島根県地域振興部次長▽島崎謙治・政策研究大学院大学教授▽武弘道・川崎市病院事業管理者▽和田頼知・公認会計士
(毎日新聞)

虐待の兆候報告、保育所に義務化…厚労省方針
 児童虐待の急増を受け、厚生労働省は13日、保育所の指導要領に当たる「保育所保育指針」を大幅に改定し、虐待につながる兆候が見られた場合、市町村などに情報提供する義務を盛り込む方針を決めた。
 従来は、虐待の疑いを認めてから児童相談所などに通告する義務しかなく、見逃しの危険性が指摘されていた。
 今回の改定で、指針は、法的拘束力を持つ形に格上げされることも決まり、児童虐待に対する保育所の責任も重くなる。
 同指針の改定は2000年以来。これまでの指針を省令に基づく厚労相告示とし、法的拘束力を持たせる。
(読売新聞)

心臓血管外科医を派遣へ、府、舞鶴共済病院に 北部市町と合意(京都)
 京都府は13日、府北部での高度な心臓血管外科手術を担ってきた舞鶴共済病院の同科医師が全員退職したため、早期に府立医科大から医師を派遣することを決めた。舞鶴市内で地元自治体、医療関係者との会議で合意した。
 舞鶴共済病院の3人の心臓血管外科医師は金沢大から派遣されていたが、医局の医師不足を理由に3月末に2人、5月末に残りの1人が退職。休診状態となっていた。同病院は1994年、北近畿で初めて心臓血管外科を開設。高度な手術が可能で、福井県など府外の近隣他病院の紹介患者も多く受け入れてきた。
(京都新聞)

ジャーナリズムの本当の目的
 【PJ 2007年07月13日】− ジャーナリズムの目的とは何だろう。「真実を伝えること」とは本当だろうか。少なくともマスコミがそのような目的で動いているとは思えない。『ニューヨークタイムズ』の記者だったジョン・スウィントンは次のような名演説をした。
 「今日のアメリカにおいて、報道の自由などというものは存在しない。わたしは正直な意見を新聞に書かないことで給料をもらっている。われわれは金持ちたちの舞台裏の道具であり、召し使いだ。われわれは知性の売春婦なのだ」
 このことは現在のわが国についても言えるのではないか。全国で商店街の衰退が続いているが、NHKや新聞各紙は商店主の頑張りや行政のてこ入れで客を取り戻したわずかな成功事例を紹介するばかり。原因である大店法の廃止に触れることはない。
 地方の医師不足が深刻だが、この原因は医局制の廃止と診療報酬のマイナス改定にある。しかし、マスコミはこのことに触れず、医師の増員を説く専門家の話と、創意工夫で乗り切る地域を紹介するだけである。
(ライブドアニュース)

患者7人に看護師1人「七対一病院」 道内3倍増 揺らぐ医療現場(北海道)
 厚生労働省のまとめによると、昨年四月の診療報酬改定で点数を最も高くした「入院患者七人に対し看護師一人」を達成した「七対一」病院の届け出が、五月一日時点の速報値で、全国で昨年同期の二・八倍の八百十四に達した。北海道社会保険事務局によると、道内は三・一倍の六十九。達成は札幌など都市部の大病院などに集中、郡部では看護師の流出が進み、関係者は地域医療の質の低下を懸念する。
 「七対一」病院は、手厚い看護を提供しようと同省が推進している。全国の病床に占める割合は23・9%となり、前年を17ポイント上回り「予想以上に増えている」(同省)。
 一方で、看護師を増やせば収入増となるため、病院間の看護師獲得競争が過熱している。道内では達成病院の六割近い四十が札幌市内に集中。厚労省は都道府県別の内訳を公表していないが、全国的にも東京、大阪など大都市に集まる傾向があるという。
(北海道新聞)

〈美しい国とは:4〉医師不足 「フリー」選ぶ麻酔科医
 「フリー麻酔科医」と呼ばれる人たちが増えている。
 「ぼろぼろになるまで働いて、それがいつまで続くのかも分からない」
 筒井冨美さん(40)も3月末、関東地方の医大病院を辞めて、フリーになった。心臓麻酔を専門とし、コロンビア大学病院に留学、日本には31人しかいない米国心臓麻酔専門医の国家資格も持つ。心臓移植など難しい麻酔を担当していた。
 勤務先には03年まで14人の麻酔科医がいたが、1年間で半減。病院は報酬倍増を提示したが、医師は増えなかった。筒井さんも、6〜二十数時間かかる心臓手術の麻酔を1人で年間200件以上担当しながら、一般の外科手術の麻酔も受け持った。気が付いたら数日間家に帰っていない……そんな生活。限界だった。
 フリーの今は、手術ごとにさまざまな病院と契約、報酬を受け取る。休みもとれるし、年収は大学の4倍近くになる見通し。
 麻酔科だけではない。産科では医師不足で、分娩(ぶんべん)施設が急減している。小児科でも夜間救急がない地域が出始めた。
 経済協力開発機構(OECD)加盟国の平均と比べても、日本は医師が12万人不足している。そこへ04年度に始まった新臨床研修制度が偏在を加速した。研修先が選べるようになり、へき地や労働条件が厳しい診療科が敬遠された。
(朝日新聞)

比腎移植患者:国内病院で診療拒否広がる 臓器売買を懸念
 臓器売買となる恐れのあるフィリピンで今後腎臓移植を受ける患者に対し、その事後処置にあたる診療はしないという方針を打ち出す動きが国内の病院で広がっている。結果的に臓器売買という犯罪の手助けにつながることなどを懸念したためだ。今後、フィリピンで腎移植を受けた患者の国内での治療先が見つからなくなる可能性もあり、医療関係者は「フィリピンでの移植は控えてほしい」と呼びかけている。
(毎日新聞)

日赤病院医師614人不足 全国調査
 日本赤十字社(東京)が全国で運営する九十二病院のうち、八割強の七十六病院で計六百十四人の医師が不足していることが十三日、日赤の調査で分かった。二十四病院では、医師がゼロの診療科を抱えていることも判明。日赤医療事業部は「自助努力の限界を超えており、地域医療のほか、災害時の医療救護活動にも影響が出かねない状況」としている。
 調査は四月に実施。昨年四月に比べ、不足病院数は十四病院、不足医師数は百七十七人それぞれ増えた。診療科別では、内科系が百九十一人(昨年百四十九人)と最も不足。次いで産婦人科系六十二人(同五十二人)、小児科五十人(同四十二人)、麻酔科四十三人(同三十二人)、外科系四十二人(同二十三人)など。
 医師不足の病院の割合は、地域別では中国・四国が92・3%と高く、北海道、中部は90%。東北、関東(山梨、新潟含む)、近畿は80%台だった。一方、九州・沖縄は50%。
(神戸新聞)

7月15日

ドクターヘリ:救急車より合理的 入院日数短く治療費削減
 ドクターヘリで交通事故の負傷者を病院に緊急搬送すると、救急車を使った場合に比べて平均入院日数が短くなり、治療費も低く抑えられることが、日本医科大千葉北総病院(千葉県印旛村)の調査で分かった。ヘリや救急車で実際に同病院に運ばれた患者を比べた。同病院は「治療費の削減分はヘリの運航費用を上回っており、ドクターヘリの導入は医療コスト的にも見合うものだ」と話している。
 ドクターヘリは、ヘリコプターに医師が同乗して救急患者を搬送するシステム。搬送中も医師が対応でき、搬送時間も短くなることから、治療成績が向上するとされる。
(毎日新聞)

看護師:配置、国立大病院に集中 地方、中小なお不足−−7対1報酬新設を受け
 厚生労働省は11日、「看護師1人で患者7人」の手厚い看護師配置(7対1)を導入した医療機関(一般病棟)が、今年5月時点で前年同時期の2・8倍、787に増え、病床数は3・6倍の16万2730に急増したとの調査結果を公表した。06年度の診療報酬改定で、7対1を確保した医療機関の入院費を一律増としたことが背景にある。大病院が看護師の大量採用に踏み切り、地方や中小病院での看護師不足を招いているが、今春の看護師採用状況が「国立大学病院の独り勝ち」だったことを裏付けるデータも明らかになった。
(毎日新聞)

歯科医の外科麻酔不適切研修、三井記念病院が改めて謝罪
 東京・千代田区の三井記念病院で、歯科医の外科手術麻酔(医科麻酔)の研修が不適切な形で行われていた問題で、同病院は12日、記者会見を開いた。
 萬年徹院長は「当院を信頼してご利用いただいた患者やご家族に多くのご心配をおかけし、深くおわびします」と、改めて謝罪した。
 会見では、昨年10月に研修中の歯科医から全身麻酔を受けた直後、心停止に陥った男性(72)の症例について、質問が集中。歯科医の指導は、同病院の非常勤麻酔医でもあった日大歯学部教授(医師)に任されていたが、病院側は、〈1〉この教授は麻酔開始に付き添っていなかった可能性が高い〈2〉患者の容体急変後、教授が駆けつけるまでの間、歯科医は単独で昇圧剤などを投与せざるを得なかった――ことを明らかにした。
(読売新聞)

中小企業の従業員の1割が、「過去1年に自殺考えた」
 東京都内の中小企業の従業員の10人に1人が過去1年間に自殺を考えたことがあることが、厚生労働省の研究班(主任研究者=島悟・京都文教大教授)の調査でわかった。「実際に自殺をしようとしたことがある」と答えた従業員は2.2%。専門家は「高い数字だ。企業社会全体に抑うつ感が広がっているのではないか」と分析している。
 一方、各事業場の健康管理担当者への調査では、7.3%の事業場で過去1年以内に自殺未遂者が出ていた。心の健康問題で休業している従業員がいる事業場は14.5%だった。ただ、「メンタルヘルス対策が必要」と考える事業場が72.7%ある一方で、「対策を実施している」と答えたのは23.6%にとどまった。
 職場のメンタルヘルスに詳しい徳永雄一郎・不知火病院院長は「これだけの社員が自殺を考えているということを経営者は真剣に受け止めないといけない。個人や直属の上司の問題などととらえるのではなく、組織や経営の問題として考えるべきだ。今回の調査結果は、中小企業だけでなく大手企業にも当てはまると思う」と話している。
(朝日新聞)

京の開業医60歳以上、3割が引退危機 保険医協調査 地域医療に打撃
 診療報酬請求がオンライン化されるのに伴う京都府保険医協会(京都市中京区)の調査で、府内の60歳以上の開業医の3割が対応できずに引退すると回答していることが11日に分かった。国が4年後までに義務付けるオンライン化の影響調査は全国初。京都の地域医療に深刻な打撃を与えると懸念の声が出ている。
(京都新聞)

企業対象暴力を想定し訓練 諌早の病院で県内初(長崎)
 諫早市久山町の宮崎病院(古賀宏延院長)で十一日、暴力団組員風の男が金品を要求する事件を想定した防犯訓練があった。全国で企業対象暴力が多発する中、県内の病院では初の試みという。
 近年、侵入者が医師や看護師、患者にけがを負わせたり、新生児が誘拐される事件などが全国の病院で相次いでいることから、同病院は一一〇番に直結する非常通報装置を導入。緊急時に備えた訓練も必要として、諫早署に協力を要請した。
 暴力団風の男二人が事務スタッフに因縁を付け、ナイフを見せながら「誠意を見せろ。念書を書け」と暗に金品を脅し取ろうとする内容。同病院の宮崎博之医事課長(34)ら二人が「お話はお伺いしますが、念書はちょっと…」「警察に連絡しました」などと対応している間に、別の職員が一一〇番通報。混乱もなく冷静な対応で追い払った。
(長崎新聞)

【今日のニュース】米国で高まる海外医療ツアーの人気
 米国では、医療費の高騰や無保険者人口の増大に伴い、高水準かつ低価格の医療を求めて、外国への「医療ツアー」に出かける人が急増しているという。2005年の統計によると、米国では人口の15%以上にあたる約4,500万人が保険に未加入。2006年に医療目的で海外旅行に出かけた人は少なく見積もっても15万人以上で、2007年には倍増すると予測されている。
 国境を越えた医療により節約できる医療費の額は大きい。例えば、米国内で心臓バイパス術を受けると13万ドル(約1,560万円)を要するところ、インドでは1万ドル(約120万円)、タイでは1万1,000ドル(約132万円)で済む。股関節置換術の費用は、米国では4万3,000ドル(約516万円)だが、タイあるいはシンガポールでは1万2,000ドル(約144万円)。子宮摘出術は、米国では2万ドル(約240万円)、インドでは3,000ドル(約36万円)。米国の医療施設などを評価・認定する機関JCAHO(米国医療施設評価合同委員会)の国際部門Joint Commission Internationalにより認定を受ける海外の病院も増えている。
(薬事日報)

運送会社社長を逮捕、運転手に過労運転させた容疑 京都
 京都市山科区の名神高速で5月、車4台が衝突して1人が死亡、2人が軽傷を負った事故で、京都府警は12日、最初に追突事故を起こしたトラック運転手に過労運転を命じたとして熊本県南関町の運送会社「横溝物流サービス」社長、横溝尚登容疑者(54)=南関町豊永=を道路交通法違反(過労運転の下命)容疑で逮捕した。
 調べによると、横溝容疑者は同社の配車担当の松永弘次容疑者(36)=道交法違反容疑で逮捕=と共謀し、居眠り運転で追突事故を起こした運転手の上田真裕被告(39)=業務上過失致死傷罪などで起訴=が長時間勤務で疲労し、正常な運転ができない恐れがあると知りながら、長距離運転を指示した疑い。
(朝日新聞)

歯科医麻酔:死亡患者遺族に虚偽説明 東京・三井記念病院
 三井記念病院(東京都千代田区)が国の指針に反した歯科医の麻酔研修をしていた問題で、歯科医の全身麻酔後に容体が悪化して死亡した患者の遺族に病院側が「麻酔は医師が行った」との虚偽の説明をしていたことが、都の立ち入り検査報告書で分かった。また、歯科医の麻酔を受けた患者が、植物状態になっていたことも判明した。
 指針は、歯科医が全身麻酔をする場合、歯科医であるのを患者に伝え同意を得ることや、指導医が手術終了まで監視することなどを定めている。
(毎日新聞)

遠野市が公立助産院 相談業務や遠隔健診、年内開設予定(岩手)
 産科医の空白域となっている岩手県遠野市で、市立助産所の開設準備が進められている。お産は扱わないが、助産師が妊婦の相談に乗ったり、情報技術(IT)を利用した遠隔健診を手掛けたりする。独立した公立の助産所は全国でも珍しく、東北では初めて。
 「遠野市助産院」(仮称)は市内の遊休施設を活用し、助産師3人が常勤する。主な業務は母乳指導や健康管理などの相談。妊婦同士が気軽に情報交換できるスペースや、産前産後に利用可能な宿泊設備も整える。
 市の福祉医療施設と約30キロ離れた岩手県立釜石病院をインターネットで結び、2006年10月に始まった「遠隔妊婦健診」も担当。経産婦がお産の際、子どもを預けられるよう24時間保育も実施する。
 救急搬送体制を強化するため、ドクターヘリの配備を検討。将来は産科医を募り、自前で出産を扱える施設を目指す。
(河北新報)

自治体33%、不当要求経験 11%は応じる 警察庁などアンケート
 過去に暴力団などの反社会的勢力から工事契約や物品購入など不当な要求を受けたことのある自治体(都道府県、市、東京特別区)は33・5%に上り、うち半数が最近一年間に要求を受けていたことが十一日、警察庁などが実施した自治体へのアンケート結果で分かった。大半は要求を拒否したが、応じたとする自治体もあり、同庁は毅然(きぜん)とした対応を呼び掛けている。
 結果によると、最近一年間に不当要求を受けたのは17・5%。内容(複数回答)は機関紙購読が24・4%で最も多く、物品購入や生活保護などの公的給付の支給が続いた。公共工事などの入札に関する情報提供を求めるものも4・9%あった。
 最近一年間にこれらの要求を受けた自治体のうち、要求を拒否したのが87・1%に上り、四年前の前回調査より6・8ポイント増。一部を含め要求に応じたのが11・2%あった。その理由としては「トラブルが拡大することを恐れた」「威圧感を感じたから」などが目立った。
(北海道新聞)

現代っ子にぴったりの“詩” 「雨ニモアテズ」

 雨ニモアテズ 風ニモアテズ

 雪ニモ 夏ノ暑サニモアテズ

 ブヨブヨノ体ニ タクサン着コミ

 意欲モナク 体力モナク

 イツモブツブツ 不満ヲイッテイル

 毎日塾ニ追ワレ テレビニ吸イツイテ 遊バズ

 朝カラ アクビヲシ  集会ガアレバ 貧血ヲオコシ

 アラユルコトヲ 自分ノタメダケ考エテカエリミズ

 作業ハグズグズ 注意散漫スグニアキ ソシテスグ忘レ

 リッパナ家ノ 自分ノ部屋ニトジコモッテイテ

 東ニ病人アレバ 医者ガ悪イトイイ

 西ニ疲レタ母アレバ 養老院ニ行ケトイイ

 南ニ死ニソウナ人アレバ 寿命ダトイイ

 北ニケンカヤ訴訟(裁判)ガアレバ ナガメテカカワラズ

 日照リノトキハ 冷房ヲツケ

 ミンナニ 勉強勉強トイワレ

 叱ラレモセズ コワイモノモシラズ

 コンナ現代ッ子ニ ダレガシタ

(産経新聞)

道内3医大が治験支援・9月に共同組織立ち上げ
 札幌医科大学と旭川医科大学、北海道大学の道内3医大は9月、学内の基礎研究が新薬開発に結びつくよう支援する事業に乗り出す。共同で新組織を立ち上げ、創薬の前段階として欠かせないヒトを対象にした臨床試験(治験)について、手順書作成やデータ収集などのノウハウを教える。札幌医大の独立行政法人化など、大学の医学研究でも成果が求められる中で、医療ビジネスに結びつける狙いだ。
(日経新聞)

提供卵子で高齢出産、妊婦8割が重度の合併症
 閉経後に米国で卵子提供を受けた50歳前後の妊婦の約8割が、切迫早産などの重い合併症で入院が必要になったことが、東京日立病院(東京・文京区)の合阪幸三・産婦人科医長の調査でわかった。
 多胎妊娠に比べリスクの低い27人の合併症の発生は、妊娠高血圧が9人(33・3%)と最も多く、卵子提供のない通常の出産よりも約6倍頻度が高かった。妊娠糖尿病も8人(29・6%)で約2・5倍、切迫早産も12人(44・4%)で約3倍だった。これらの合併症の治療のため、27人のうち22人が入院した。双子を妊娠した4人は全員、切迫早産のために入院した。また、母乳の分泌は、1か月検診時では、31人中17人が良好だったが、3か月検診時には3人に激減した。
(読売新聞)

7月14日

入院費包括払い:導入病院で平均入院日数減少 評価報告書
 厚生労働相の諮問機関、中央社会保険医療協議会の小委員会は11日、1日の医療費を定額とするDPC(入院費包括払い)を導入(準備含む)する731の病院で、昨年7〜12月に退院した約258万人の追跡調査結果を踏まえ、DPCの評価報告書をまとめた。初年度の03年度から取り入れた82病院は、06年の平均入院日数が17.35日と導入前の21.22日(02年)から着実に減り、「入院医療の効率化が進んでいる」とした。しかし、同じ病気で6週間以内に再入院した人は3.94%から7.09%へと増えた。
 「治癒」した患者の割合は11.73%から5.05%に落ちる一方、「軽快」の割合は67.08%から74.07%へ増えており、患者を「前倒し」で退院させている実態がうかがえる。
(毎日新聞)

診療報酬改定:国立大学病院で手厚い看護師配置急増
 厚生労働省は11日、「看護師1人で患者7人」の手厚い看護師配置(7対1)を導入した医療機関(一般病棟)が、今年5月時点で前年同時期の2.8倍、787に増え、病床数は3.6倍の16万2730に急増したとの調査結果を公表した。06年度の診療報酬改定で、7対1を確保した医療機関の入院費を一律増としたことが背景にある。7対1達成のため大病院が看護師の大量採用に踏み切り、地方や中小病院での看護師不足を招いているが、今春の看護師採用状況が「国立大学病院の独り勝ち」だったことを裏付けるデータも明らかになった。
 国立大病院は今春の大量採用で、総看護師数に占める新人の割合が20%に達した。厚労省は11日の中央社会保険医療協議会で「安全な医療ができるのか、十分配慮をしてほしい」と異例の注意を促した。
(毎日新聞)

旭医大 推薦入試地域枠を倍増(北海道)
 【旭川】旭川医大の吉田晃敏学長は十一日、同大で記者会見し、二○○八年度入試から設ける勤務地限定の地域枠推薦入試で、これまで五人としていた募集定員を二倍の十人に拡大すると発表した。一日に就任した吉田学長は地域貢献を医大運営の柱に掲げており、深刻化する地域の医師不足解消に向け、定員増が必要と判断した。
 同大の地域枠推薦入試は、医師不足が深刻な道東北の出身者が対象で、卒業後は道東北の医療機関で研修、勤務することが条件。卒業後の進路に条件を付ける推薦入試は道内医大では初めてで、強制力はないが旭医大独自の医師不足解消策として注目されている。
(北海道新聞)

「良心」が介護業界で働く若者を酷使する〜『働きすぎる若者たち 「自分探し」の果てに』
阿部真大著、生活人新書、700円(税抜き)

 『搾取される若者たち』が労働×趣味の掛け合わせでワーカホリックになっていく若者の話であるとしたら、この本は労働×良心の掛け合わせでワーカホリックになっていく若者の話であり、今回はケアワーカーに焦点を当て、低賃金で長時間労働にのめり込む人々とその職場環境、介護業界全体について考察している。
 この方程式の要は、「良心」だ。ケアワーカーたちが、肉体的にも経済的にも辛いにもかかわらず、ワーカホリックに陥ってしまう。その矛盾について著者は、自分が「使い捨て」だと分かっていても、ケアワーカーたちは熱心に働きつづける。理由は、そこに困っている利用者がいるから。そんなジレンマ的状況に彼らは置かれていると指摘している。目の前に介護を必要としている利用者がいる状況で、定時に帰るのは後ろめたい。そして、ついつい残業をしてしまうという心理を突いている。そして、著者は問題は、ワーカホリックに「ならざるをえない」職場の状況であると主張する。
(日経ビジネスオンライン)

理不尽クレーム:19教委が対応策 支援チームや研修で
 児童や生徒の親から理不尽なクレームや抗議が公立小中学校に寄せられている問題で、主要都市の教育委員会のうち、19教委が支援チームや職員研修などの対応策に乗り出していることが、毎日新聞の調べで分かった。東京都江戸川区教委では苦情件数が過去5年間で3.5倍と急増しており、教育現場が対応に苦慮している実態が改めて裏付けられた。
(毎日新聞)

サービス産業の生産性向上 大田経財相、軽井沢で講演
 大田弘子経済財政担当相は11日、長野県軽井沢町のホテルで開かれた社会経済生産性本部のセミナーで講演し、日本の労働生産性について「米国の7割程度にとどまっている。サービス産業の水準の低さが、全体の足を引っ張っている」と述べ、サービス産業の労働生産性向上に重点的に取り組む考えを表明した。
 特に卸・小売り、運輸、飲食・宿泊などの業種の生産性は米国の5割前後と低迷しており、そこでの就業者数が国内全体の約4割を占めている実態を指摘。「これから労働力人口が減っていく日本にとっては、非常に深刻な問題になる」として、官民一体となった早急な対策が必要との見方を示した。
(中日新聞)

日本企業の社会的負担は実は軽かった〜『日本の経済――歴史・現状・論点』
伊藤修、中公新書、900円(税抜き)

 わりあいに客観的な叙述で抑えている前半の歴史部分に対して、後半の各論になると筆者の主張が前面に出てくる。例えば財政と社会保障のあり方を説いた10章である。現在、日本の法人税は高いと非難の的になっているが、そこから企業の負担が大きすぎるという論を引き出すのはおかしい、と通説に異議を唱える。
 企業の負担を正確に見るには、法人税に加え従業員の社会保険負担も勘案する必要がある。そこで筆者は両者を合算した国際比較データ(対GDP比および対賃金比)から、「日本の企業負担は重いどころか逆に軽い」ことを発見した。そして、日本が陥っている巨額の財政赤字の一因は企業負担が軽すぎることにあり、今後の負担率の上昇は避けられないのではないか、と主張する。
(日経ビジネスオンライン)

長野赤十字上山田病院:閉院問題 存続へ県に周辺首長ら、財政支援など陳情 /長野
 長野赤十字上山田病院(千曲市上山田温泉)が来年3月に閉院する問題で、千曲市の宮坂博敏市長や坂城町の中沢一町長らが10日、県に対し、病院の存続に向け、財政支援の検討などを求める陳情書を提出した。
 陳情書では病院の存続に向けて、閉院の理由でもある医師不足の解消や、病院への財政支援の検討などを県に求めた。一方で仮に病院の存続が難しい場合は「保健医療計画などにより何らかの医療機関を存続させるよう努力してほしい」としている。
(毎日新聞)

自治体病院 赤字に悩む、合併後に再編、研修医にPR、診療所と連携生き残りへ模索続く(富山)
 県内の自治体病院が赤字体質に悩んでいる。11ある市町立病院で05年度に黒字になったのは黒部市民病院だけ。だが同病院も06年度は赤字になる見通しだ。救急、へき地医療など経営的に「不採算」な部門を抱えて、経営は苦しく、医師・看護師も不足する。業務縮小をする病院や、研修医集めに苦労する病院もあり、医療の地域間格差につながりかねない状況だ。
(朝日新聞)

産科医不足 横浜でも深刻、4年間で20人減、他市からの「お産流入」も顕著に
 「自宅の近くで出産できない」「産科が見つからない」−。横浜市内で産科不足の窮状が顕著になっている。市内の医師数はここ数年横ばいの状況の中、なぜ「産科医」が足りないのか。横浜市産婦人科医会の明石敏男会長に、現状を聞いた。
 神奈川県産婦人科医会のまとめによると、横浜市内の分娩件数は平成16年に33238件だったが、17年に31722件に減少、一転、昨年は33023件と増加している。しかし、平成14年から18年の4年間で、産科医師数は211人から191人に20人減、医師一人あたりの分娩件数は172・9人と増え、分娩件数の増加と「産科医不足」が数字として明らかになっている。
 そして市内で顕著なのは他市からの流入だ。横浜南部では横須賀市など以南から、横浜北東部では川崎周辺から病院・診療所(開業医)の「お産ができる病院」探して流入するケースが増加。今まで一人年間100〜200件の分娩を扱っていた開業医も、今までの倍以上の分娩件数に立ち合わなければならないという。「分娩予約は半年先まで満杯」という診療所も多い。打開策として、助産師の増員などでしのいでいるが、実際にお産の診療を行うのは産科医。件数が増えても、人件費までカバーしきれないのが現状だ。県産婦人科医会の調査では、横浜市内の分娩取扱施設が5年後には7施設の減、産科医数も4人減と予測。明石会長は「産科を辞めた地域のお産をカバーすることで精一杯」とその悪循環を懸念する。
(タウンニュース)

7月13日

医療クライシス:どうする医師不足/4 長谷川京子氏/山崎麻美氏

 ◇ワークシェアで選択肢−−篠ノ井総合病院小児科医師・長谷川京子氏

 04年から、もう1人の女性医師(パートナー)と日替わりで出勤するワークシェアリングをしている。患者は連名の主治医として受け持ち、外来診療や病棟での勤務をする。夜間や休日の呼び出しに備えて待機するオンコールも2人で1人分を担当。原則として平日に2日は休めるので余裕ができ、3人の子どもと接する時間が増えて母親同士の友人もできた。
 女性医師には事実上、仕事と家庭の二者択一の選択肢しかなかった。仕事を続けても非常勤で外来診療をする程度で、子育てや家事をしながら常勤で働くのは困難だ。大学の小児科で同期の女性6人のうち、今も常勤なのは自分を含め2人だけで、4人は結婚や出産などで一線を退いた。

 ◇女性医師復職がカギ−−国立病院機構大阪医療センター副院長・山崎麻美氏

 女性医師は確実に増えている。医師国家試験の合格者は3割強が女性。当センターでも同様で、研修医だと約5割も占める。だが、結婚や出産を機に職場を離れると、元の職に戻れないことがほとんどだ。今後、医師不足に拍車がかかることが懸念される。
 女性医師が離職するのは、妊娠や出産のための制度がなく、子どもを預けられる施設がないからだ。休職制度があっても「他の先生に迷惑がかかる」と、ほとんど利用しない。子どもができた時点で、医師を続けるのは無理と決めつけられ、3歳までは育児に専念しなければならないと思い込んでいる人も多い。
(毎日新聞)

「博士」も定職が見つけられず…ポストドクター1万5000人超
 大学院で博士号を取得したものの、研究機関や企業から正規採用されずに研究を続ける「ポストドクター」が、全国で1万5000人超に達したことが10日、文部科学省の調査で分かった。平成17年度中のポストドクターは1万5496人で、前年度より642人(4.3%)増加。「博士」になりながら定職が見つけられず、修行を続ける研究者が多い実態が浮き彫りになった格好だ。
(産経新聞)

<明日を選ぶ 課題と争点>■5■医師不足(長野)
 上山田病院が閉院する理由は医師不足と収益の悪化。置かれた環境はほかの地域病院も変わらない。地域医療は今、深刻な局面を迎えている。
 引き金になったのは、幅広い医療分野を学ばせるため、国が二〇〇四年度から導入した新人医師の臨床研修制度だ。二年間の研修を義務付ける一方、研修先を自由に選べるようにした。その結果、新人医師らは症例数が多い都市部の大病院に集中。地方の大学病院は、人手を確保するため、それまで地域病院へ派遣していた医師の引き揚げを始めた。
 辰野町の町立辰野総合病院でも、信州大からの派遣停止が続き、常勤医師数は八人とピーク時の半分にまで落ち込んだ。医師の数が減れば、入院患者の受け入れや診療科の受診日などを削減せざるを得ない。
 こうした措置は病院経営にはね返り、昨年度の収支は二億八千九百万円の赤字。赤字幅は前年度より拡大しており、金子文武事務長は「なんとしても現状の医師だけでも死守しなくては。医師さえ確保できれば、経営は必ず上向く」と話す。
 県がまとめた医師募集情報では、県内百三十八病院の六割が医師不足を訴え、求めている医師数は合計三百四十人に上った。
 医師不足は、勤務医たちの過密労働にもつながっている。長野医療労働組合連合会がまとめたアンケートによると、回答した勤務医の四人に一人が月に八十時間以上の超過勤務をこなし、七割の勤務医が「職場を辞めたいと考えることがある」と答えた。
(中日新聞)

大学入試:高知大医学部が「地域枠」導入へ 県内高校出身者に−−来年度から /高知
 高知大医学部(南国市岡豊町)は、来年度入試から県内の高校の出身者に限った入試制度「地域枠」を導入する。医学科の入学定員90人のうち推薦入試で10人以内、3年次編入でも3人以内を募集する。卒業後には県内の医療機関に従事することを条件にしており、医師確保の一助とする狙い。
 最近5年間の医学科入学者のうち、県内出身者は15・5〜27・7%。卒業時、県内の病院(同大付属病院を含む)に研修医として勤務する医師の割合は、▽04年度25・5%▽05年度19・2%▽06年度26・6%と、2割前後で推移している。厚労省のデータでは県内の医師数は04年現在で、96年から約160人増え、2099人となったが、04年度には医師の臨床研修制度の変更に伴い、大学医局などが医師を派遣先から引き揚げるなど、地域での医師不足が発生し、社会問題となっている。
(毎日新聞)

入院、20日で停止/羅臼町国保病院(北海道)
 羅臼町国保病院は看護師不足などにより縮小せざるを得ない状況になっているが、町は少しずつ縮小してきた入院対応を20日で停止する方針を打ち出した。病院問題にかかわる町民への説明会の中で示しているもので、正式決定はしていないものの来年4月からの無床診療所化に向けて進んでいる。 同病院は療養型病床48床だが、看護師の退職により救急医療を停止するとともに3月から少しずつ入院部門の縮小を図ってきた。今回の措置で21日以降は入院も停止するということになる。
(釧路新聞)

公立病院改革でガイドライン=プラン策定、自治体に要請へ−総務相
 菅義偉総務相は10日の閣議後記者会見で、経営や医師確保面で厳しさの増している公立病院の改革を促すため、経営効率化や再編ネットワーク化、経営形態見直しに関するガイドラインを年内に示し、2008年度以降、各地方自治体に改革プランを策定するよう求める方針を明らかにした。
(時事通信)

教師悲鳴「つぶされる」 理不尽な保護者らのクレーム
 モンスターにたとえられるほど理不尽な保護者らのクレーム。対応にあたる学校現場の悩みは深刻で、体調を崩す教員も出ているという。文部科学省が本格支援に乗り出す背景には、このままでは教員らが負担に押しつぶされてしまうという、深刻な実情があるようだ。
 学校現場がもっとも苦慮するのは、こうした強硬な姿勢だ。毎晩深夜に電話をかけたり、校長室で何時間も怒鳴ったりする“怪物”が、全国的に増えているという。
 「不当な要求を突きつける保護者はごく一部にすぎないが、学校に1人でもいれば、その対応に振り回されて本来の業務に支障が出る。現場の校長や教員が抱えるストレスは、一般に考えられているよりはるかに深刻だ」
 文科省の委託で昨年7〜12月に行われた教員勤務実態調査によると、全国の公立小学校教員の75%と中学校教員の71%が、「保護者や地域住民への対応が増えた」と感じていた。「授業の準備時間が足りない」と支障を訴える教員も、小学校で78%、中学校で72%に上った。
 何らかのトラブルで保護者から訴えられるかもしれないと考える教員も多く、東京の公立教員の3人に1人が、訴訟の際の弁護士費用などを補償する「訴訟費用保険」に加入しているというデータもある。
(産経新聞)

昭和伊南総合病院 診療体制一部見直し(長野)
 伊南行政組合議会全員協議会は9日開き、同組合が運営し、医師不足に悩む昭和伊南総合病院(駒ケ根市)の今後の診療体制について、理事者や病院関係者が説明した。開業による勤務医の離職が相次ぐ整形外科は、現在3人の常勤医が9月から常勤1人臨時1人となるが、手術、入院、救急いずれも対応していく。県の方針による連携強化病院の医師集約で、来年4月から産科は臨時1人となる見通しで、院内産院の設置を検討していく。
 産科はこれまで医師2人で年間平均500例の出産を扱ってきた。千葉院長は、自然分娩(ぶんべん)が可能なケースを対象に、助産師による院内産院の設置を検討していることを説明。「伊那中央病院のバックアップ、助産師のモチベーションにもよるが、その場合年間、100例から150例を扱えるのではないか」と述べた。
 福沢利彦事務長は、今年4月から3人いた小児科医師が2人になったが、現状維持に向け努力する―とした。
(長野日報)

7月12日

選択:’07参院選おかやま/4 暮らしルポ 医師不足 /岡山
 県の調べでは、05年は県内29市町村のうち、5市と全14町村すべての医療機関が出産を扱った経験がなかった。
 もっとも、医師不足に悩むのは産婦人科だけではない。「地方の病院は、あらゆる診療科で医師の確保に追われている」と話すのは、県西部にある公立病院の事務長だ。その原因は、04年から始まった卒後臨床研修制度にあると指摘する。これまで大学の医局が中心だった研修先を、学生が自由に選べるようになったため、医局員が減少。大学から医師の派遣が期待できなくなったという。
 長年、医局人事に携わってきた岡山大の内科臨床教室の教授は、「医局が担っていた医師派遣の役割は徐々に薄れ、今後は教育機関としての性格が強くなっていく。これからは地域や病院が頑張って医師を呼ぶしかない」と予測する。
(毎日新聞)

やまぐち格差事情:07参院選/3 医師不足 /山口
 地域医療には医師を派遣する大学に支えられてきた側面がある。ところが04年度、新卒の医師が希望する病院で2年間研修できる臨床研修制度が導入され、若手医師が条件の良い都市部に流出する傾向が全国で出始めている。
 山口大でも制度導入前に比べ若手医師が2〜3割減り、産婦人科への入局は05年度までの2年間はゼロ。最近2年間で計8人が入局したが、中堅6人が開業を理由に退職した。激務の産婦人科同様、麻酔科、小児科も医師不足で派遣を中止した病院もある。
 「研修制度がボディーブローのように効いている」と杉野教授。県内の開業医も98年から6年間で15軒減るなど、医療の空洞化が起こりかねない事態に直面している。
 政府は大都市圏の病院に対し研修医の受け入れ数を減らし地域へ誘導する方向で検討。国は医師の臨時派遣を始めた。
(毎日新聞)

研修で勘取り戻し 再び看護の現場へ 小樽で復帰支援を開始(北海道)
 【小樽】結婚や育児で医療現場を離れた「潜在看護師」の職場復帰を支援しようと、市立小樽病院(鈴木隆院長)が今年創設した研修制度が九日、スタートした。小樽や札幌の十一人から応募があり、初日は現場を離れて二年から十六年という三十−五十代の女性八人が、同病院で一日間の研修を受けた。
 地方都市の病院で特に深刻になっている看護師不足への対策として、同病院が独自に始めた無料研修制度。三日間のモデルプログラムを用意しているほか、希望に応じて最低一日から可能。
(北海道新聞)

医師・助産師不足、関係学会が緊急対策を要望
 医師不足で産科の閉鎖が相次ぐなど産科医療の危機的な状況を打開するため、日本産科婦人科学会(理事長=吉村泰典・慶応大教授)は9日、緊急対策の実施を柳沢厚生労働相に要望した。
 危機的状況にある原因として、産婦人科の医師と助産師の不足、偏在を指摘。医師などへの経済的支援の必要性を強調。重症の産科の救急患者を扱う医師に対して、時間外救急対応手当を適正に支給することを求めた。
 さらに、国の周産期医療対策事業の適切な見直しを行い、合併症などにより、母体や胎児に危険が及ぶ可能性が高い「ハイリスク分娩(ぶんべん)」の妊婦の管理の保険点数の加算を引き上げることなどを求めた。
(読売新聞)

燃え尽きる?
 大学医局講座制の人事異動は、時に不人情でありつつも、「○年がまんしてくれたら悪いようにはしない」という交換条件がどこかに含まれていた。それなりにへき地にも医者がきちんと派遣されたのは、そんな人事があったからだ。誰もが都会の最先端病院で良い条件で働きたい。テレビで見たようなへき地の孤島の勤務を望むような医者がわんさか、いるわけじゃない(滅多にいないからこそ、あんな風にテレビドラマになるんだ)。ある種の強権をもってそこに医師が派遣されていた。派遣された医師はそこでがんばっていた。医局講座制の悪いところばかりが言われるけれども、良い面もあった。だからあれほど長く続いてきた。
 研修医は「自分の意志」で研修病院を指定し、ここ数年で医局人事はほとんど崩壊した。残念ながら地方大学の医局には関連病院も含めて医師は戻ってこないだろう。そして大学病院本体の人事が回らなくなって、関連病院からの医師の引き揚げが始まった。残された関連病院の勤務状況はより悪化し、疲弊した医師が開業を理由に逃げ出している。
(朝日新聞)

岐阜から言わせて〜参院選を前に<4> 医師不足
 「このままじゃ、地域で暮らしていこうと思う人が少なくなってしまう」。郡上市民病院(郡上市)の職員は、解消のめどが立たない医師不足を嘆いた。
 特に困っているのが内科と産婦人科。内科は今春から公募をかけているが、まだ引き受け手は見つかっていない。
 医師不足は県内各地の地方病院で顕在化。飛騨市民病院(飛騨市)では今年四月、それまで十一人いた常勤医師が六人になり、小児科の常勤医師がいなくなった。県立多治見病院(多治見市)でも四月から、精神科の入院患者の受け入れを停止している。
 県も四月、医師確保などを議論する「県地域医療対策協議会」を設置。医療関係者、行政だけでなく、住民代表らもメンバーとなって議論を進めており、今年十月をめどに対応策をまとめる予定だ。医師会の働きかけによる開業医の病院支援や診療時間の延長など、即効性のある具体策が議論されている。
(中日新聞)

夕張市、退職者相次ぐ 「役所自体が崩壊」の声も
 財政再建団体の北海道夕張市で「職員流出」が止まらない。退職者の続出で4月には半減したが、残った職員のうち、さらに42人が低賃金などを理由に今年度中の退職を検討していることが8日、市職員労組の調査で分かった。市幹部は「このまま職員が減り続ければ、市役所自体が崩壊する」として、市としても国や道と協議する意向で、財政再建計画の見直しに発展する可能性もある。
 再建団体になって以降の職員の年収は4割減、残業手当は再建計画で給与の2.5%以内と決められた。多くの職員の残業代は不払いになっている。7月末で退職する職員の1人は子ども3人で手取りが月約18万円。生活保護受給基準である最低生活費を下回った。
(朝日新聞)

医療費抑制、企業が加速・後発薬利用促進など、健保負担軽減
 大手企業が医療費抑制の取り組みを加速し始めた。NTTや三菱電機は社員やその家族に価格の安い後発医薬品の利用を促す。トヨタ自動車が来年初めをめどに健康管理の専用施設を開設して生活習慣病などの予防を強化する動きもある。「団塊の世代」の大量退職で退職者医療費の負担が拡大、企業の健康保険組合は今後財政悪化が避けられない見通し。各社はその影響を少しでも緩和しようとしている。
 健康保険組合連合会によると、今年度は大企業が組織する1500強の健保組合のうち3分の2が赤字になる見通し。赤字が拡大すれば保険料引き上げなどでまかなわざるをえなくなる。組合が徴収する保険料は労使が原則折半負担しており、企業の費用負担も膨らむ。
(日経新聞)

日高病院と開業医の連携、日高病院の小児救急医療充実へ(和歌山)
 日高地方地域医療対策協議会小児救急医療体制部会は、国保日高総合病院と地域開業医の連携体制強化を進める方針を決めた。医師不足から365日24時間体制の地域小児科センター設置構想は事実上白紙に戻り、有効な打開策は見出せなかったが、仕切り直しして県下で例のない病院と開業医の連携システムを確立することで時間外救急診療体制の充実を図る考え。 日高病院の小児科医3人と、御坊保健所管内の小児科専科4人を中心とした開業医が連携した地域システムを検討しており、実現すれば県下で初めて。野尻孝子御坊保健所長は「前向きに取り組んでいるところ。19年度中にまとめたい」と意欲を見せる。日高病院の小児科医3人のうち2人は女医のため、待遇改善として民間病院の院内保育所(24時間)を活用できるシステムを模索していることも説明した。
( 紀州新聞)

7月11日

深刻医師不足 地域で人材育成急務 東北大シンポ
 東北大の地域医療シンポジウム「医師のキャリア・デザイン構築 『地域』で医師を育てる」が8日、仙台市青葉区の仙台国際センターであり、医師不足が深刻化する地方の医療を支える人材育成の方策を探った。
 東北大大学院医学系研究科地域医療システム学寄付講座の主催で、東北各地の医療関係者や行政の担当者ら約150人が参加した。
(河北新報)

医師不足にどう対処/開業医 小山田雍さん(秋田)
 住民の安全・安心を足元から脅かす医師不足を、どう解消に導くか?。「医師個人としての意見」と前置きし、県医師会会長の小山田雍さん(61)が参院選で注目するのは、まずこの点だ。
 一例を挙げると、開業医として自らもかかわる病診連携。「地域の複数の医療機関が中核病院の診療支援に参加することは有効だが、そのためには財源が必要だ。医師を派遣した医療機関は損失を被るし、派遣を受けた医療機関にとっては報酬の持ち出しがある。人材の相互交流は、そう簡単な話ではない」
 女性医師の比率が増加する一方で、出産や育児を機に働き盛りに離職し、医師不足の一因になっているとの指摘も出ている。「女性の一時リタイアは結婚、出産、子育てだけが理由ではない。女性の特性に対する理解が必要だ。職場環境の整備と、それに対する資金援助が鍵になる」
(さきがけ)

ドクターヘリ整備を訴え、根室で講演会(北海道)
 認定NPO法人救急ヘリ病院ネットワーク理事長の國松孝次氏(元警察庁長官)を招いた「ドクターヘリ講演会in根室」が7日、根室市総合文化会館で行われた。ドクターヘリの整備は、全国の地方自治体や医療過疎地の懸案で、特に医師不足が深刻な根室地方にとって生命を救う救急医療の要となる搬送システム。國松氏は「財政規模の小さいまちほど、ドクターヘリの整備は緊急の課題」と、意識向上と整備運動の促進を訴えた。釧路・根室地方にドクターヘリの整備促進を働きかけている釧路ドクターヘリ運航調整研究会(事務局・医療法人孝仁会釧路脳神経外科病院内)が主催、根室市が共催した。市民の関心も高く、この日は200人を超える市民が参加した。
(釧路新聞)

姫川病院 民事再生を断念、近く自己破産手続きへ(新潟)
 先月末に閉院した糸魚川市の糸魚川医療生活協同組合「姫川病院」(清水勇理事長)が、民事再生法による再建を断念したことが7日わかった。事業を継続するために同法の適用申請を模索していたが、同生協の理事会が断念した。近く自己破産手続きに入るとみられる。
 同病院の今年3月期の負債総額は約22億6000万円にのぼり、先月4日の理事会で閉院が決定。新潟地裁高田支部に破産手続きを申し立てることになったが、その後、清水理事長が同市に対し、民事再生を視野に入れて病院を継続する方法を模索していると伝えていた。
 このため、理事会の動向が注目されていたが、再建は困難と判断したとみられる。9日午後から清水理事長が病院で記者会見し、経緯を説明する。同病院の医師や看護師など113人はすでに全員が解雇されている。
(読売新聞)

産科医不足、妊婦の8割「不安」=緊急時の対応も気掛かり−日医総研
 病院や診療所に通院する妊婦の8割近くが、産科医不足の報道に不安を感じていることが8日、日本医師会総合政策研究機構(日医総研)の調査で分かった。産科医不足や緊急時の不安で次の妊娠を控えたくなるという人は約2割に上った。
 調査は今年2月、宮城、神奈川、三重、香川、福岡の5県の病院や診療所に通う妊婦に質問票を配布し、計45施設、約900人からの回答を集計した。
 産科医不足の報道に不安を感じている人は77.9%。分娩(ぶんべん)時の医療事故やミスについては44.5%、緊急の事態への対応には27.2%の人が不安を感じていた。
(時事通信)

7月10日

“改革の波紋”:’07参院選・公示を前に/1 医師不足 /京都
 国立病院機構舞鶴医療センター(舞鶴市行永)の循環器内科医(47)は、びっしりと埋まった外来予約台帳を見てため息をついた。「土日も仕事に出ないと診察が回らず、休みはほとんど取れない」
 府内の医師数(04年末現在)は、人口10万人当たり274人で、全国で4番目に多い。しかし地域別にみると、149人と全国平均の211人を大きく下回る丹後(京丹後市など)などが、医師不足に陥っている。
 背景には、国が04年度に導入した臨床研修制度がある。地方の病院は大学の診療科(医局)による派遣で医師を確保してきた。ところが、同制度で派遣システムが崩れ始めた。同センターの平野伸二院長は「北部の医師は減少傾向だったが、臨床研修制度が追い打ちをかけた」と話す。
 「従来は誰かが抜けても大学から別の医師が派遣された。しかし、臨床研修制度で医局の力がなくなり、今後は派遣されるのか不安」と循環器内科医は打ち明ける。激務になった地方病院勤務をやめ、開業する医師も増えているという。京都大医学教育推進センターの平出敦教授は「疲弊した医師の労働負担を軽減することは最重要課題の一つ」と指摘する。基幹病院の医師がますます減り、「医療の屋台骨が倒れてしまう」と危惧(きぐ)するからだ。
(毎日新聞)

’07参院選ちば 争点を聞く いま国政は 医師の絶対数が不足
 日本の医療で一番問題なのは、医師の絶対数の不足です。日本福祉大教授の試算によると、二〇二〇年には人口千人当たりの医師数が、経済協力開発機構(OECD)に加盟する三十カ国の中で、最低になるそうです。その一方、高齢化率は世界一で、医療ニーズは増加の一途をたどっています。需要に対して供給が追いつかず、現行の医療制度が崩壊するのは、目に見えています。
 医療は食糧と同じで、絶対量が足りなくなると、すべての制度が機能しなくなります。韓国はメディカルスクールを新設して医師数を増やし、イギリスは医療費の総枠を一・五倍にして、医療制度の充実を図っています。
(東京新聞)

町村部41%が「実感」…産婦人科や小児科不足、子育て世代に危機感
 「自分の住む地域の医療に満足しているか」という質問では、「非常に」と「多少は」を合わせて「満足している」人が65%で、「不満だ」の計32%を大きく上回った。ただ、不満に感じている人を都市規模別に見ると、人口10万人未満の「町村・小都市」(計39%)が人口10万人以上の「大都市・中都市(中核都市を含む)」(計27%)よりも10ポイント以上多かった。都市規模が小さくなるほど、満足度が低くなる傾向が見られた。
 実際に医師不足を感じたことがある診療科を聞くと、
〈1〉産婦人科(43%)
〈2〉小児科(37%)
〈3〉眼科・耳鼻科(33%)
〈4〉内科(26%)などの順だった。
 また、地域別では、北海道・東北で、「産婦人科」を挙げる人が58%、「小児科」を挙げる人が52%と、他の地域より高かったのが目立った。
(読売新聞)

どうする医師不足/3 松丸正氏/武見敬三氏
 
◇残業代求める訴訟も−−過労死弁護団全国連絡会議代表幹事・松丸正氏

 医師の過労死や過労自殺を4件担当したことがある。いずれも、職場で信頼され、良い医療を目指していた医師たちだった。そういう人たちが、自分の健康を顧みずに仕事し、倒れる現状を深刻に考える必要がある。過労は医療事故にもつながる。良い医療のため、医師にも自分たちの労働条件を見直してほしい。
 医師の労働現場では、超過勤務の歯止めが崩れている。厚生労働省の調査では、平均的な労働時間は週63・3時間。法定労働時間は週40時間で、週20時間以上の超過だ。「過労死ライン」である月80時間の時間外労働をも超える。他職種で平均して過労死ラインを超える職場はあまりない。
 時間外労働の歯止めの一つが、労働基準法36条に基づく「36協定」だ。時間外労働や休日労働をさせるには、労使が36協定を結ぶ必要がある。ところが、協定がない病院、協定で定めた時間外労働時間を守らない病院、月150時間の時間外労働を認める協定を結んだ病院などがある。
 また、宿日直は、同法の労働時間や休日の規定を適用しなくていい勤務形態で、厚労省は「宿直は週1回、日直は月1回を限度」などの基準で宿日直を許可している。だが、最高裁は02年、ビル管理会社従業員の泊まり勤務について、仮眠中も電話に直ちに対応することを義務付けていることなどから、仮眠時間も労働時間に当たると判断した。この判例に従えば、急患への対応が必要な医師の宿日直も労働時間として扱うことになる。

 ◇勤務実態把握が必要−−副厚生労働相・武見敬三氏

 医師の宿日直の基準は、一定の医療行為が伴うことは想定しているが、切れ目なく患者を診察するような昼間と同様の業務は認めていない。そして、それに見合う割増賃金を払うことになっている。問題は、基準が守られているのか、基準の設定自体が実態に見合っているのかだ。
 03〜04年に596の医療機関を監督、指導した結果、430カ所で労働関連の法令違反があり、249カ所は宿日直の許可基準を満たしていなかった。是正指導で一定の改善効果は出ているが、勤務医がどんな職場環境や労働条件のもとで仕事をしているのか、もう少し詳細な把握が必要だ。
 もし、宿日直が実質的に昼間と大して変わらない労働環境にあるなら、宿直明けに外来診療や手術をすることが医療安全上問題はないのかを議論し、改善していくべきだ。そうなると必要な医師数も変わり、医師の需給バランスの議論にもつながる。診療報酬の財源確保が必要になる。今までこういう議論に真剣に取り組んでこなかった。それが、勤務医を燃え尽きさせる過酷な状況を作った背景にあると思う。
(毎日新聞)

「この6年…」(4) 小児医療(岩手)
 一関市の佐藤美佳さん(28)は、救急車のサイレンを聞くと、いまでも、脳裏にあの日がよみがえる。
 02年9月。次男頼ちゃん(当時8カ月)は数日前から嘔吐(おう・と)や高熱が続いていた。3日夜、救急を含む4病院に電話したり訪ねたりしたが、それぞれで小児科医が不在で、結局は自宅に帰された。4日朝、容体が急変し、救急車で搬送される時には呼吸も鼓動も途絶えていた。
 死因は、ウイルス性の高熱による脱水症状だった。「医者がいないという理由で、なぜ頼は死ななければならなかったのか」。佐藤さんのわだかまりはとけない。
 県内の小児科医は約125人で、半数は盛岡近郊に集中する。全体の医師数は増えても、小児科医は横ばい状態が続く。一関市を含む両磐医療圏は、県面積の8・6%だが、小児科医は頼ちゃんが亡くなった当時の6人から1人増えただけだ。
 現状を改善するには――。佐藤さんは「医師の集約化も一つの方法」と考える。身近に医師がいなくなるのは不安だ。それでも「この病院に行けば24時間、必ず小児科医がいるという安心感を持てる方が大きい」。
(朝日新聞)

7月9日

赤ちゃんポストに4人目 生後10日程度の女児
 熊本市の慈恵病院(蓮田太二理事長)が「こうのとりのゆりかご」の名前で運用している匿名の新生児を受け入れる窓口「赤ちゃんポスト」に5日未明、新生児の女児が預けられていたことが6日、わかった。「赤ちゃんポスト」に子どもが預けられたのは、同病院が5月10日に運用を開始して以来、4人目。
(朝日新聞)

県浜松医療センター:外来カードに「低所得」 患者の抗議、システム修正 /静岡
 浜松市中区の県西部浜松医療センターで、会計処理のため診療科から外来患者に渡される「外来基本カード」に「低所得者」など患者の所得区分の表記があり、患者から抗議を受けていたことが分かった。同センターは4日、記載されないようコンピューターシステムを修正した。
(毎日新聞)

医療クライシス:どうする医師不足/2 吉村博邦氏/林雅人氏

 ◇研修施設は大病院に−−全国医学部長病院長会議顧問・吉村博邦氏

 新医師臨床研修制度は基本的に希望する病院で研修する仕組みだから、都会や給料がよい所を選ぶ研修医が増えた。しかし、研修医が集まる都会の一部の大学でさえ、終了後に外科や小児科を希望する人は少ない。
 激務の科が敬遠されるのは、先輩医師の疲弊した姿を見るためだろう。当直がない、週末は休めるといったQOL(生活の質)が重視される。研修ではさまざまな科を細切れで回り、一つ一つの科は1〜3カ月程度見るだけ。どの科も深くやればやりがいはあるのに、少し見るだけでは大変さばかり目に付く。

 ◇診療科ごとに定員を−−日本病院会地域医療委員長・林雅人氏

 「プライマリーケア(初期診療)をよく学ばせ、どの診療科に行っても最低限のことはできるように」という新医師臨床研修制度の考え方は理解できる。最近は専門医志向の人が多く、プライマリーケアを志望する人は少ない。開業医でも、必ずしも学んでいるわけではない。激務といわれている診療科からの医師離れや、勤務医不足が生まれているが、プライマリーケアを重視する理念には賛成だ。
 診療科間の偏在が起きるのは、そもそも医師が足りないから。主に小児科や産科、麻酔科の医師が足りないと言われているが、他にも不足している科はある。国はどの科にどれぐらい医師が必要なのかを把握し、科ごとに不足医師数を明確にしなくてはいけない。そのうえで、医師を増やし、科ごとの定員を設定すべきだ。定員を決めれば、あふれた医師は他の科へ行く。厳しい診療科でも、医師数が確保され休めるようになれば、やりがいや興味を感じる人は必ずいる。
(毎日新聞)

青森市民病院、紹介状持参呼び掛けへ 小児科医の負担軽減
 青森市民病院(青森市)は小児科の受診者に紹介状の持参を呼び掛けるなど、小児科医の負担軽減策を打ち出した。軽症者の受診や夜間呼び出しが日常化し、診療に深刻な影響を及ぼす恐れがあるためという。青森市小児科医会(工藤協志会長)は市民病院の現状を重視し、初期救急を担う市急病センターに小児科医の常駐が必要として、会員の開業医が当直医として勤務することを申し出た。
 市民病院の小児科医は5人。新生児集中治療室の担当者らを除く2人が主に夜間救急外来を受け持つ。小児科は当直以外でも頻繁に呼び出しがあり、2人の時間外診療(午後8時―午前7時の夜間と休日)は月平均50―60時間で、100時間を超えた月もある。
 市民病院は「医師の疲労は限界で、診療が成り立たなくなる心配もある」と説明。保護者らに対し(1)日中に近隣の小児科専門医を受診する(2)高度治療が必要な場合は紹介状を持参する―ことを求める方針を決めた。月内に院内で告知する。
(河北新報)

松下電器が過労死訴訟で和解=健康管理の徹底を表明−大阪地裁
 夫が心筋梗塞(こうそく)で死亡したのは過労が原因だとして、大阪府内に住む女性(58)らが松下電器(大阪府門真市)を相手取り、計約1億6000万円の損害賠償を求めた訴訟は6日、大阪地裁(田中敦裁判長)で和解が成立した。
 和解条項には解決金支払いのほか、同社が従業員の健康、労働時間の管理徹底を表明することなどが盛り込まれている。
(時事通信)

種子島唯一の産科閉鎖へ 支援整わず「継続は危険」(鹿児島)
 人口約3万4000人の鹿児島県・種子島で唯一の産婦人科が12月で診療をやめ、島内で出産ができなくなる恐れが出ていることが6日までに分かった。1人でほぼすべてのお産を担当する開業医が、緊急時の支援体制が不十分なことや医療過誤訴訟の増加を理由に、現状での医療継続は危険だと判断したためだ。
 閉鎖を予定しているのは西之表市にある池田医院。島内の年間250件ほどの出産のほぼ百パーセントを、池田速水医師(39)が1人で手掛けてきた。
(中日新聞)

総合水沢病院、苦戦続く 医師不足で収入減(岩手)
 多額の累積赤字を抱える奥州市の自治体病院、総合水沢病院(梅田邦光事業管理者、282床)は、本年度も事業運営に苦戦している。6月末までに医師2人が退職して15人となり、収入の落ち込みが懸念される。医師不足は全国的な傾向で、一朝一夕では解決しない。優良な医療の提供という公立病院の使命と経営改善のバランスをどう取るか。関係者の悩みは深い。
 赤字の大きな要因となっているのは、深刻な医師不足。2000年度には常勤医26人がいたが、年々減り続け06年度には18人になった。減少率は30・8%で、比例するように患者数も30・6%、収入も36・3%減った。
 06年度決算はまだまとまっていないが、5億円前後の赤字が見込まれ、累積赤字は40億円近くに達する。
(岩手日報)

医療ミスの最たる原因は、医師の疲労による「眠気」!
 「疲労による眠気のために、これまで何らかの医療ミスをしたことがある」と答えた研修医は全体の3分の2、また「過去6ヵ月間に間違いをした」と答えた研修医も全体の40%にのぼることが調査の結果明らかになり、研修医の多忙な勤務形態が問題視されていることが伝えられた。
 英国では現在、医師や研修医の週あたりの勤務時間を減らそうという動きがあるが、英国医師会では、医療ミスの原因となっている医師の疲労は、直前に夜間勤務や当直勤務のスケジュールが変更されることが原因とし、週あたりの勤務時間そのものを減らしても医師の疲労を和らげることにはならないと指摘。法律で勤務時間だけを定めても、多くのNHS(英国の国民健康保険制度)管轄下にある医療機関では、疲労を増幅させる勤務パターンを医師や研修医に強いざるを得ないのが常であり、これによって医療ミスのリスクも高まっていると警告している。
(UK Today)

県の医学生奨学金きょうから募集 公的病院勤務条件(静岡)
 県は本年度に新設した医学生向け奨学金制度「医学修学資金」の貸与希望者の募集を6日から始める。県内の公的医療機関に勤務する意思がある医学生、医学科の大学院生が対象で、貸与金額は月額20万円。貸与期間の1・5倍に相当する期間、県内の公的病院に勤務すれば、奨学金の返還を全額免除する。
 県内各地で医師不足が深刻化する中、県は医師確保策の1つとして制度化した。県内出身者や特定の診療科にこだわらず、県内の病院現場で働く意思がある学生を広く募る。募集人数は5人。貸与期間は最長6年間。募集締め切りは8月20日。対象者は書類審査と面接で決定する。
 返還免除の条件は、医師免許取得後に行う臨床研修の修了後、直ちに県内公的38病院のいずれかに勤務する。返還免除を受けない場合は、修学資金に年利10%の利息を付けて返還する。
(静岡新聞)

他地域の医師の協力必要 郡内小児救急医療センター計画、設置場所は県に委ねる(山梨)
 郡内地域への小児救急医療センター設置について協議している富士・東部地域保健医療推進委員会は五日、県富士吉田合同庁舎で会議を開き、国中地域などの小児科医にも協力を求めながらセンター設置を目指すことで意見集約した。設置場所については意見が分かれ、県が設置準備を進めている検討会に判断が委ねられた。
 同委員会は昨年十一月以降、郡内地域の市町長や病院長、医師会長ら十三人で構成する専門委員会でセンター設置について協議してきた。この日の委員会では、専門委がまとめた(1)センター設置は必要(2)センターは勤務医と開業医が交代で運営(3)郡内地域以外の小児科医の協力を求める(4)設置場所などは県の検討組織で協議する−との検討結果が報告された。
(山梨日日新聞)

医療3機関、交渉不調-生駒市新病院(奈良)
 生駒市が平成22年の新病院開設に向けて指定管理者選考のために3つの公的医療機関と進めていた交渉が5日、すべて不調になったことが明らかになった。いずれの医療機関も6月下旬に、市に対して指定管理者になる意向はないと回答。採算面や医師の確保の問題などが主な理由とみられる。新病院開設許可の事前協議を求める県医療審議会の開催が近い中で計画が暗礁に乗り上げたことで、市は早急な対応策を迫られることになりそうだ。
 市が各医療機関に示していた新病院の場所は、同市東生駒二丁目の証券会社社員寮跡地(敷地面積約4240平方メートル)。新病院の病床規模は百床程度で、内科、外科、小児科を基本診療科目とし、特に小児科医療と救急医療の充実を求めた。併せて、救急医療の充実や建設、運営事業費の市、指定管理者双方の費用負担、病院運営が赤字、黒字になった場合の損益の負担、納付の条件なども提示され。
(奈良新聞)

搬送中、救急車内で出産4件 県立北部病院(沖縄)
 2005年4月に県立北部病院の産婦人科医が不在になって以降、ことし4月末までの間、北部地区から県立中部病院へ救急車で搬送された妊婦は169人で、このうち救急車内で出産した妊婦が4人いた。それぞれ医師は添乗せず救急救命士が子供を取り上げた。5日の県議会文教厚生委員会で狩俣信子県議(護憲ネットワーク)の質問に対し、県病院事業局が明らかにした。
 救急車内で出産した4人のうち、2人は早産のため子供が未熟児だった。未熟児の場合、低温にならないようにするなどさまざまな措置が必要。県病院事業局は「低温にならないよう気を付けている」と対応を示したものの、一方で「通常、救急車の中に保育器などは設置していない」と明らかにした。
(琉球新報)

7月8日

北の田舎町に医師が集まるワケ
 この総引き揚げに懲りた当時の町長は、「病院のことは病院に任せる」「医師を大切にする」という方針を打ち出したのです。別海町は、今年まで約40年間、町長選挙を行ったことがなく、その約40年間で3人しか町長になっていません。その3人は、「病院のことは病院に任せる」「医師を大切にする」という考え方を引き継いできたのだと思います。
 現在も、町長のみならず町議会議員も、「医療行政は病院に任せる」として、余計な口を挟むことはありません。当院は年間4億5000万円程度の赤字で、うち2億円を交付金で穴埋めしても、約2億5000万円程度の赤字を出しています。町の財政は、決して楽な状況ではないのですが、「2億円の赤字を出しても、町民の健康を守る」と腹をくくってくれているのです。
(日経メディカルオンライン)

Newsクリック:やまぐち 山口大医学部の若手医師不足 /山口
 医師の新臨床研修制度が導入された04年度以降、宇部市の山口大医学部の若手医師が、導入前に比べ2〜3割減少していることが分かった。研修医が研修先を選択できるようになり出身地や都会の病院などに流出しているため。大学は医局を中心に県内病院への派遣機能を担っており、同大卒後臨床研修センターは「このままでは地域医療が崩壊する」と危惧(きぐ)している。
 センターによると、従来は同大医学部を卒業後、70人前後が21あるいずれかの医局に入局し研修医として働いていた。ところが研修先が選べる新制度が導入された04年度は58人で、以後年々減少。今年度は28人と半減した。この背景を福本陽平センター長は「学生が給料など待遇が良く、症例数が多い東京、大阪などの都会の病院に流れる傾向がある」と分析する。
(毎日新聞)

整形外科医:遠野市長ら、医師配置を県に緊急要望 /岩手
 遠野市内で唯一の整形外科医が急病で入院し、市内の整形外科医が不在となる事態を受けて4日、本田敏秋市長と河野好宣市議会議長が県庁を訪れ、達増拓也知事らに1カ月の間、県立遠野病院に整形外科医を配置するよう緊急要望を行った。
 同市によると、同病院の整形外科医の過労による退職に伴い、昨年11月から1人の開業整形外科医が1日100人以上の患者を診察していたという。同医師は2日から休診しており、復帰には1カ月程度かかるとみられる。
 市ではそれまでの間、釜石市や花巻市、盛岡市の県立病院に患者を搬送するためのバスの手配などを検討している。
(毎日新聞)

県立4病院 未払い医療費急増 悪質なケースも県病院局、訴訟も検討(埼玉)
 県立四病院で未払い医療費が急増している。今年三月末現在で一年以上の未払い合計額は約一億三千四百万円に上り、四年間で五千万円近く増加。低所得者の増加や医療費自己負担増などが原因とみられるが、一方で、支払い能力があるのに未払いのケースもある。県病院局は、悪質な未払い患者に対して民事訴訟を起こすことも検討している。
(東京新聞)

キレる患者に戦々恐々、院内暴力へ対策次々…九州・山口の病院
 医師や看護師が患者からの暴力や罵倒(ばとう)にさらされる「院内暴力」への対応策を講じる病院が増えている。
 診療に不満を訴えてつかみかかったり、度重なる苦情を寄せて医師を退職に追い込んだりする例も。従来は医師の無神経な言動が問題化していたが、最近は、教師に対する暴言や機内暴力、駅員への暴行の増加などと同様、患者側の規範意識の希薄化を指摘する声がある。九州・山口の病院でも警察官OBの配置やマニュアル策定などに乗り出した。
 九州大病院では4月、トラブル対策に警察官OB1人を雇用。職員が患者から襟首をつかまれたり、ハサミで切りつけられたりしたケースが昨年、数回発生したためだ。「治らないのは医者が悪い」と受診のたびに治療費支払いを拒否、威圧的な態度で女性医師をおびえさせる――という患者も。警察官OBはトラブルの多い患者らの苦情を受ける際に同席する。同病院患者サービス課は「警察官OBが待機していることを告げることもあり、理不尽な要求は減った」としている。
(読売新聞)

産婦人科医を書類送検 北九州、出産後に出血死
 福岡県警捜査1課と折尾署は5日、出産後の女性に適切な処置を行わず出血性ショックで死亡させたとして、業務上過失致死容疑で北九州市八幡西区のセントマザー産婦人科医院に勤務する男性医師(56)を書類送検した。
 調べでは、医師は同医院に当直医として勤務中だった昨年4月5日、北九州市若松区の会社事務員の女性=当時(31)=の出産を担当。午前6時半すぎの出産後、容体を軽視して直ちに出血量などを把握しなかった上、適切な処置も行わず、同日午前9時45分ごろ、転送先の病院で出血性ショックで死亡させた疑い。
(中国新聞)

自治体病院の常勤医145人足りず(青森)
 県内の二十七自治体病院の常勤医数は五月一日現在、四百八十一人で、各病院が施設運営上必要とする常勤医総数より百四十五人不足し、充足率は過去五年で最低の76.8%にとどまっていることが、県国民健康保険団体連合会の調べで分かった。医療の高度化・専門化により、現場の仕事量が増加。文書作成や患者への説明時間も増える傾向にあることから、特に中核病院の人手不足感がますます強くなっていることが鮮明になった。
 医療機関別に見ると、充足率が100%に達したのは八戸市民、外ケ浜中央、六戸、名川の四病院にとどまった。むつ総合は充足率57.8%で常勤医が三十八人も足りない深刻な状況だ。ほかに十和田中央63.6%(不足数二十)、三沢67.6%(同十一)と、中核病院の医師不足が目立った。一月から救急告示を取り下げた金木病院は50%(同六)と低迷している。
 不足している百四十五人の診療科別の内訳は、内科が四十一人で最多。小児科十一人、外科十人、整形外科十人などとなっている。
(東奥日報)

7月7日

医療クライシス:どうする医師不足/1 伊藤恒敏氏/木村清志氏
 ◇医学部定員大幅増を−−東北大教授(地域医療システム学)・伊藤恒敏氏
 政府は「都市と地方の間の医師偏在」を前提として対策を立てている。しかし、この地域は医師が余り、この地域では足りないというデータを見たことがない。
 私たちは、全国を358地域に分けた2次医療圏ごとに、人口10万人あたりの医師数を調べてみた。東京都や政令市が入る医療圏は平均255人で、それ以外は175人。多いはずの大都市ですら、経済協力開発機構(OECD)諸国平均の300人を下回る。偏在というより、全国で足りないと言う方が正しい。
 勤務医は平均で週約60時間働いているが、我々の計算では、労働基準法通りの週40時間にするには約10万人足りない。OECD平均に追いつくには約14万人不足だ。
 政府は地方の医師不足対策として、医師不足の県で医師養成数を増やすと言うが、どの県で何人不足かのデータもないままでは意味がない。そもそも、全体で不足なのだから、OECD平均に追いつけるよう、医学部の定員を大幅に増やすべきだ。
(毎日新聞)

歯科医麻酔:厚労省が指針厳格化へ 三井記念病院の違反で
 三井記念病院(東京都千代田区)が国の指針に反した歯科医の麻酔研修をしていた問題で、厚生労働省は、歯科医が麻酔に関与することへの患者の同意を記録に残すなど、指針を厳格化する方向で見直すことを決めた。日本歯科麻酔学会と日本麻酔科学会が共同で改定案をまとめ、年内にも各都道府県に通知する。患者には見分けがつきにくい歯科医の立場をはっきりさせることで、責任の所在などを巡るトラブルを防ぐ狙いがある。
 現在の指針は、01年に札幌市の病院で、研修中の歯科医に救命処置をさせたとして医師が起訴された事件を受け、02年7月に策定された。
 歯科医の医科研修は、医師以外の医業を禁じた医師法との関係が問題になる。そこで(1)研修前に歯科分野で全身麻酔の経験が20例以上(2)研修項目を「実施許容」から「見学」まで4段階に分ける(3)患者に歯科医であることを説明し、原則同意を得る−−などのルールを作った。
(毎日新聞)

国立大学法人北海道大学職員労働時間,休憩,休日及び休暇規程
(裁量労働制)
第16条 教授研究(主として研究に従事するものに限る。)に従事する教授,助教授,講師並びに専ら人文科学及び自然科学に関する研究の業務に従事する助手については,労基法第38条の3に基づく労使協定を締結し,専門業務型裁量労働制を適用するものとする。
2 前項の規定が適用される職員の基本的な所定の勤務時間は,別表第3のとおりとする。ただし,業務の遂行に必要な所定の勤務時間の変更は弾力的に運用するものとし,所定の勤務時間は,専門業務型裁量労働制が適用される職員の裁量によるものとする。
3 休日は,第6条の規定によるものとする。
4 当該職員が,休日に勤務又は深夜勤務を行う場合には,事前に所属長の許可を受けなければならない。

残業代不払いでコナカ指導 労組側「店長は偽装管理職」
 紳士服大手のコナカ(本社・横浜市)が、仕事上の裁量が十分与えられていない店長も一律に管理職と見なし、残業代を支払わなかったとして、横浜西労働基準監督署が6月27日付で是正指導をしていたことがわかった。指導を求めていた全国一般東京東部労組コナカ支部は「店長は『偽装管理職』という主張が認められた。残業代の全額支払いなどを求めていく」としている。
 労基署は、店舗に所属する社員の4割が店長で、出退勤の自由も認められておらず、「全店舗の店長を管理監督者と取り扱うことには疑義がある」と指摘。コナカは店長ら管理職約380人に「特別賞与」の名目で総額約4億7000万円を支払うと発表しているが、労組側は、残業代分がまだ全額支払われていないと主張している。
(朝日新聞)

日本医師会テレビ健康講座(福島県)、「安全安心な地域医療」をテーマに
 今年度初の「日本医師会テレビ健康講座―ふれあい健康ネットワーク」の収録が,福島県医師会ならびにテレビユー福島の協力のもと,六月二十三日にテレビユー福島のスタジオで行われた.
 本事業は,地域医療における地域医師会の役割を住民に理解してもらうことを目的として実施しているもので,今年度で十九年目を迎える.
 番組では,谷雄三福島県医師会副会長や実際に地域医療に携わる医師らがVTR出演し,医師不足のために病院が閉鎖され,近くの病院でお産ができなくなったり,勤務医が過重労働になっているなど,県内の深刻な状況を報告.それを解消するための取り組みとして,福島県立医科大学が実施している「ホームステイ型医学教育研修プログラム」や,県の「女性医師復帰支援事業」などが紹介された.
(日医ニュース)
県立病院労使/看護師の過重労働調査(沖縄)
 県病院事業局の労使で構成する看護業務改善委員会(委員長・上地悦子県立病院看護企画監)が県立六病院すべての看護師(臨任職員を含む)約千五百人を対象に「看護業務改善のためのアンケート調査」を始めた。今年九月末までに調査結果をまとめ、看護師の過重労働解消に向け、具体策を示す行動計画を策定する。県立病院一斉の看護師調査は初めて。
(沖縄タイムス)
登録医師の46%が外国出身=英
 【ロンドン3日時事】英ロンドンとグラスゴーの連続テロ事件で、拘束者の多くが外国人医師だったことが明らかになったが、3日のBBC放送によると、英国の登録医師の46%が外国で教育・訓練を受けた者という。
 登録医師27万7000人のうち、12万8000人が外国から来た医者。そのうち、拘束されたビラル・アブドラ容疑者と同じイラク出身の医師は1985人に上る。今回の事件を受け、外国人医師受け入れ制度の妥当性を問う声が出始めている。
(時事通信)