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6月9日
医療事故:医師ら見つめる「ライブ手術」で患者死亡 愛知
医師の研修用に愛知県内の病院で中継放送しながら行われた「ライブ手術」で昨年9月、患者が死亡する事故が起きていたことが分かった。日本心臓血管外科学会は今後、同手術の安全管理向上のための指針を作る方針。
同学会の調査委員会がまとめた報告書によると、死亡したのは「胸腹部大動脈瘤(りゅう)」(大動脈と呼ばれる太い血管の一部に、こぶのようなふくらみができる疾患)の手術を受けた63歳の男性。手術の映像は神戸市の別会場に中継され、執刀医と会場の専門家らが質疑応答しながら進められた。しかし手術中にこぶが破裂し、男性は2日後に死亡した。執刀医は初めてのライブ手術だったという。
(毎日新聞)
産科医不足対策 「集約必要」15道府県
深刻化する産科医・小児科医不足対策として国が方針を打ち出した「拠点病院への集約化・重点化」について、実施が必要と判断した自治体は、産科が青森など15道府県、小児科は秋田など17道府県にとどまることが5日、共同通信の集計で分かった。集約化は医師空白域を拡大するなどの弊害もあり、住民の理解が得られるかどうかが鍵となる。両科とも「検討中」が宮城など20都府県に上り、各自治体が対応に苦悩している実情が浮かび上がった。
(河北新報)
日本公共政策学会 9日から仙台で研究大会
日本公共政策学会(会長・森脇俊雅関西学院大教授)の研究大会が9、10の両日、仙台市青葉区の東北大川内北キャンパスで開かれる。東北大創立100周年記念事業の一環で、同大大学院情報科学研究科との共催。「変革の時代の規範と合意」を共通テーマに、2つのシンポジウムと16のセッションが行われる。一般市民の参加も可能。
セッションは「ローカル・マニフェストがつくる新しい自治体」「医師不足を考える」「自治体議会制度改革に向けて」など。東北からは立谷秀清相馬市長、熊坂義裕宮古市長、山本啓東北大教授、今井照福島大教授らが討論に参加する。
(河北新報)
健保で「労災隠し」、労働局へ通報制度
労働者が職場や通勤途中でけがをしたとき、会社が労災保険ではなく健康保険で治療させようとするのは違法です――。不正な「労災隠し」を是正するため、厚生労働省は社会保険庁に届いた健康保険の診療記録に労災の疑いがある場合、その情報を各地の労働局に通報し、事業主を指導できるようにする新たな制度を今月中にも始める。
社保庁によると、05年度の健康保険による診療報酬請求のうち、労災保険が適用されるべきだと判断された例が約5万件あった。しかしこれまでの対応は、各地の社会保険事務所が本人や事業主に連絡して労災申請を促すだけ。厚生省と労働省の合併以前は所管が分かれていたこともあり、労働局への通報もなく、労災扱いに切り替えられないまま放置されるケースが多かった。
労働安全衛生法では、労働者が4日以上休む事故を企業が労働基準監督署に報告しない「労災隠し」には50万円以下の罰金が科される。
(朝日新聞)
6月8日
小児科「集約」は17道府県 国推進の医師不足対策
深刻化する小児科医・産科医不足に対処するため、国が進めている「拠点病院への集約化・重点化」について、実施が必要と決めた自治体は、小児科で17道府県、産科は15道府県にとどまることが5日、共同通信の集計で分かった。
厚生労働省が3月末までに実施の適否を決定するよう、都道府県に求めていた。集約化すると「医師空白地帯を生む」などマイナス面もあるため、両科とも結論を出せず引き続き「検討中」とした自治体が20都府県に上り、対応に苦悩している実情が浮かび上がった。
「集約化・重点化」は、公立病院などに分散している医師を1カ所に集めたり、新規の配置を集中的に進めたりして拠点病院の診療体制を強化、患者のたらい回し防止や医師の負担軽減を図る施策。マンパワーを取られる側の病院にとっては診療縮小につながる可能性もあり、住民の理解を得られるかが鍵となる。
集計によると、小児科医の集約化・重点化を「必要」としたのは北海道、秋田、福島、茨城、長野、静岡、三重、大阪、兵庫、奈良、島根、広島、山口、福岡、佐賀、熊本、大分の17道府県。
(東京新聞)
福医大助教・助手派遣、7月にもスタート
医師不足解消を目指し今年度から導入される福島医大の助教・助手の民間病院への派遣制度が、7月にもスタートする見通しとなった。派遣先の病院は限定せず、診療体制の変更を余儀なくされている病院などに医師を回す方針。福島医大は7月1日付で診療医ら10人を助教・助手として新たに採用する方針で、内科、外科など幅広い診療科目から人選を進めている。
(福島放送)
慈恵・青戸病院事件、元医師2審も有罪…「責任軽い」減刑
東京慈恵会医科大付属青戸病院(東京都葛飾区)で行われた腹腔(ふくくう)鏡下手術のミスで男性患者(当時60歳)が死亡した事件で、業務上過失致死罪に問われた元同病院泌尿器科医師、前田重孝被告(36)の控訴審判決が5日、東京高裁であった。
長岡哲次裁判長は「被告は手術チームの助手として執刀医を補佐する立場で、その責任は主治医や執刀医と同じとは言えない」と述べ、禁固2年、執行猶予4年(求刑・禁固2年6月)とした1審・東京地裁判決を破棄し、禁固1年6月、執行猶予4年を言い渡した。
(読売新聞)
医師不足で診療減収 県立病院06年度決算(岩手)
県医療局(法貴敬局長)は4日、2006年度の県立病院等事業会計決算を発表した。2年ぶりに約9億7000万円の単年度赤字となり、累積欠損金は過去最高の約127億5700万円に達した。医師不足で診療体制が弱体化したことにより入院、外来患者数とも減少。累積欠損金は「県立病院改革実施計画」(04―08年度)の見込みを約2億円上回った。一方、職員の退職金を借金で賄う「退職手当債」を初めて約15億円発行するなど、団塊世代の定年退職はピークを迎えており、経営状態は一層厳しさを増している。
県立25病院2診療所(07年度から大迫、伊保内両病院の診療所化により23病院4診療所体制)の総収益は約934億9100万円(前年度比3・5%減)。このうち約136億8900万円は県の一般会計からの繰入金。
病院別にみると、黒字(増益)となったのは中央、胆沢、釜石など7施設、赤字(減益)となったのは江刺、花巻厚生、遠野など20施設。
(岩手日報)
神大医学部、総合診療医を育成 地域医療に貢献へ
神戸大医学部は今春、三十一の専門領域に細分化されていた内科、外科の講座(診療科)を四つに統合する大幅な組織改革を実施した。領域ごとの“垣根”をはずして組織の閉鎖性を解消するとともに、幅広い知識と技術を持つ「総合診療医」を育てるのが狙い。医師不足が深刻な地域医療を担う医師の養成にも期待が高まりそうだ。千原和夫学部長は「全国的にも珍しい取り組み。優秀な人材が集まる医学部を目指したい」と話している。(今泉欣也)
具体的には神経内科、小児科、心臓血管外科などの講座を「内科」「内科系」「外科」「外科系」に統合。各講座内で異なる診療科の実習や研修を自由にした。
(神戸新聞)
自民党参院選公約の要旨
【美しい社会と暮らしのために】
医師不足問題への早急な対応・地域医療の再構築▽社会保険庁解体の断行=基礎年金番号に統合されていない5000万口は1年以内にすべての名寄せを完了する。5年の時効を超えた場合でも受給可能とする。社保庁の責任は極めて重大であり、政府与党一体となって再発防止のための調査、検証を早急に行う▽「ふるさと」を大切にする気持ちを支援=税制や寄付金のあり方を含め方策を検討する
(徳島新聞)
「こども救急電話」開設へ 休日夜間の急病に医師ら助言(徳島)
子育て中の保護者の不安軽減と、地域の小児救急医療体制を補完するため、徳島県は十六日から、「徳島こども救急電話相談(#8000)」を始める。休日夜間の子供の急病、けがへの対応を看護師や医師が助言するもので、土・日曜、祝日と年末年始(十二月二十九日−一月三日)の午後六時から同十一時まで受け付ける。
(徳島新聞)
【元・射水市民病院外科部長 ロングインタビュー 第1回】、「射水事件のこと、すべて話します」
医師、呼吸器外しで7人死亡――。2006年3月、そんな鮮烈な見出しで新聞各紙が報じた射水市民病院(富山県射水市)の“安楽死”事件。「医師による延命治療の中止は是か非か」という難問を社会に突きつけることになったこの事件は、報道から1年以上たった今でもしばしば議論の俎上(そじょう)に載せられる。しかし、事件の経緯の詳細はほとんど明らかになっていない。
当事者である元・射水市民病院外科部長の伊藤雅之氏は、現在、ほかの病院に嘱託医として勤務しているが、事件以来、警察からの事情聴取を受け、マスコミの取材攻勢にさらされ、一時は現場から遠ざけられるという苦汁を味わった。なぜ、このような事態に巻き込まれたのか。そのとき何を思ったのか。先日発表された厚生労働省の終末期医療のガイドラインに対して「危機感を感じている」と話す伊藤氏が、今、すべてを話す。
(日経メディカルオンライン)
歯科医への麻酔研修、指導医が監督怠る…三井記念病院
東京・千代田区の三井記念病院で、医師にしか認められていない外科手術での麻酔(医科麻酔)を、歯科医に研修として実施させる際、指導医が監視していない時間があるなど、厚生労働省の指針に違反していたことが東京都の調べでわかった。
都は「患者の安全が確保されていない」として、研修を中止するよう同病院に指導した。手術直前に、手術室に入ってから、患者に歯科医の研修だと告げるなど、同意の取り方も不適切だった。都は今後、他の医療機関についても同様の指針違反がないか調査する方針。
同病院での歯科医に対する麻酔研修を巡り、「不適切な点がある」との情報が都に寄せられたため、都医療安全課が今月1日、医療法に基づき緊急の立ち入り検査を行っていた。
(読売新聞)
佐大医学部に県の推薦枠 毎年2人受け入れ 医師不足を解消へ
佐賀大と県は4日、医学部の入試に県の推薦枠を設ける協定を結んだ。産科や小児科、麻酔科などの医師不足解消が狙い。県が推薦する6人の中から、佐大は毎年2人を受け入れる。卒業後、6年間は県内の公的医療機関で働くのが条件。2008年度入試から実施する。
出願対象は現役から二浪までで、出身高校は県内外を問わない。県は応募者の中から書類選考と面接で6人を推薦し、佐大が総合問題試験などを実施した上で2人に絞り込む。具体的な選抜要項は7月に発表する。
(西日本新聞)
首相、年金を争点化 「正面から取り上げないと勝てぬ」
年金記録問題などで内閣支持率が下落している安倍政権は4日、この問題を参院選の争点にすえる野党に対抗しようと動き始めた。首相は公約の最重要政策に年金問題の解決策を明記するよう自民党政調幹部に指示。柳沢厚生労働相も同日、照合作業の具体的なスケジュールを示すなど巻き返しに出た。一方、自民党がこの問題で作成したチラシには党内からも批判が寄せられるなど歯車がかみあわない対応も出ている。
4日朝、首相は自民党の中川昭一政調会長、河村建夫政調会長代理、舛添要一参院政審会長と官邸で会談し、参院選の公約について「年金問題と医師不足対策の二つを緊急に最重要政策として採り入れてほしい」と指示した。当初は憲法改正や教育再生など首相の持論を「目玉」とする方針だった。しかし、年金記録問題の解決について「年金を正面から取り上げない限り選挙は勝てないとの認識で一致した」(舛添氏)という。公約は計155項目にまとめ5日に正式発表する。
(朝日新聞)
6月7日
働くナビ:過労労災、認定受けるポイントは、過労による精神疾患 ◆過労労災、認定受けるポイントは
◇労働時間・業務内容、記録して
厚生労働省の06年度の労働災害についての統計によると、長時間労働など過労が原因で、脳や心臓の疾患になった人が355人(前年度比7・6%増、うち死亡147人)、うつ病など精神疾患になった人も205人(同61・4%増、うち自殺・未遂66人)に達した。いずれも過去最多の人数だった。だが、この数字は、過労労災と認定された人だけ。06年度に請求は、脳、心臓疾患で938人、精神疾患で819人からあった。これら請求した人のうち、労災認定されるのは4割程度とされる。
労災認定されれば、治療費や休業補償などが得られるほか、不幸にも亡くなった場合は遺族補償年金が受給できる。30代男性労働者の4人に1人が、過労死の危険性が指摘される月80時間以上の残業をしている時代。もしもの時も頭に入れて、あらかじめ準備できることはあるのだろうか。
具体的には、仕事の始まりと終わりの時間、業務内容などを記録する「残業手帳」を用意しよう。仕事量が増えたことや厳しい納期を指示されたことも書いておこう。
仕事用のパソコンの起動記録や仕事相手とやりとりしたファクスなども、労働時間の証明に役立つ。妻が家計簿に記していた夫の帰宅時間が残業時間の証明として使われた例もある。棗弁護士は「出社や帰宅する際に、家族や恋人にメールを毎日していれば、それも残業の証明に使えるはずだ。労働時間を記録することが自分を守ることにつながる」と話している。
(毎日新聞)
保育料滞納で全国調査へ 厚労省、差し押さえ徹底
全国で保育園の保育料滞納が問題になっていることを受け、厚生労働省は4日までに、全市区町村を対象にした初の実態調査を実施することを決めた。近く調査票を送り、8月をめどに結果をまとめる。
保育料の滞納をめぐっては、支払い能力があるのに拒否する保護者が相当数に上っているとみられ、厚労省は悪質なケースには差し押さえなどの処分を徹底するよう求める方針。
厚労省は「滞納を理由に子どもを強制的に退園させるのは児童福祉法違反に当たる」との見解を示している。調査結果を踏まえ、退園ではなく督促や差し押さえなどの対策を徹底するよう通知する方針だ。
(北海道新聞)
外科医不足深刻、医療も介護もピンチ 集会で福知山医師会などが訴え
懸念されている医師不足について、立道さんは「医師不足の余波を受けているのは過疎地。地域住民は不安な毎日を送っている」とし、冨士原副会長は産婦人科医や小児科医と同じように外科医が減っていることを訴えた。外科医不足について冨士原副会長は、「肉体的、精神的にストレスが多く、医療過誤訴訟などでリスクが高いから」と分析。「外科医が減れば救急医療が維持できなくなる」と、今後の医療について危機感を示した。
(両丹日日新聞)
北見ガス漏れ 検視・検案中に急患、医療現場 死因精査余裕なし
今年1月に北海道北見市で起きたガス漏れ事故で最初に犠牲者が見つかった際に、一酸化炭素(CO)中毒死の特徴の見落としがあったと報じた読売新聞の記事(5月23日付朝刊)には、医療関係者などから数多くの声が寄せられた。医療現場に負担を強いているうえに、正確な死因の判定には必ずしも結び付いていない――一つ一つの指摘から、検視・検案制度のそんな問題点が浮かび上がる。
救急病院に運び込まれた患者の死亡が確認された場合は、そのまま検視・検案に移行するケースが多い。北見市の事故で検案を行った北見赤十字病院もそうだった。この事故で最初に同病院に運ばれた女性は、院内の救急救命センターで死亡が確認され、同センターで引き続き検視・検案が行われた。
道警による検視と同時に55分間実施された検案の最中に、医師は14分間、その場を不在にしている。別の救急患者が心肺停止状態で運び込まれたためだ。
(読売新聞)
医師不足:市立根室病院の現状考えるシンポ 常勤医の確保訴え /北海道
医師不足が深刻な根室市で2日夜、「市立根室病院の現状を考える」市民シンポジウム(実行委員会主催)が開かれた。市民ら約120人が参加し、常勤医の減少で近隣市町の病院まで緊急搬送や通院しなければならない根室の特殊性について理解を深めた。
最初に同病院事務局の本田俊治管理課長が現状を報告した。本田課長によると、2年前には17人いた常勤医が6月1日現在、7人まで減少し、1日平均の外来患者が約780人から6割強の約480人まで減少。減少分の4割の患者は乗用車で1時間半〜2時間20分かかる近隣市町への通院を余儀なくされるようになった。特に消化器内科の常勤医がゼロになった影響で、それまで脳疾患が7割を占めていた救急搬送の割合が、消化器系だけで35%を占めるようになったという。
救急搬送でも1時間〜1時間40分かかり、近隣に病院が多い都市部とは違った特殊事情を強調。現在、救急車で搬送される急患のみに限られている日直、当直診療を正常化させるには、最低15人の医師の確保が必要で、ただでさえ激務の状態にある医師の負担を軽減するため、「診療はできるだけ日中に」と市民の協力を訴えた。
(毎日新聞)
医療事故に対する刑事責任のあり方について答申を公表
木下勝之常任理事は,医療事故責任問題検討委員会が取りまとめた答申について報告を行った.
一つ目の提言は,医療関連死を所轄警察署だけではなく,保健所に届け出ることができるようにするというもので,医師法二十一条(「医師は,死体又は妊娠四月以上の死産児を検案して異状があると認めたときは,二十四時間以内に所轄警察署に届け出なければならない.」)に,「ただし,医療に関連する死亡の場合には,保健所への届出をもってこれに代えることができる.」との但し書きを加えるとしている.
二つ目の提言は,警察・検察庁など捜査当局に,医療事故に起因する業務上過失致死傷事件の刑事訴追要否の判断に際し,謙抑的姿勢の伝統を堅持することや,全国的な捜査方針の明確化を求めるもの.捜査方針については,医療事故事件の複雑性,内容理解の困難性に鑑み,刑事法上の過失・犯罪相当の医療事故であるか否かなどの判定基準を定め,可能であれば公表することが望ましいとしている.
三つ目の提言は,医療に関連する異状死の届出先を保健所としたうえで,保健所段階で死体検案書を発行できなかった事案について審査・評価する中立的な第三者機関の設置を求めるもの.第三者機関については,高等裁判所・高等検察庁の管轄に対応する八地域に地域評価委員会を設け,犯罪相当の医療事故か否かの審査・評価を行うとしている.
(日医ニュース)
日曜インタビュー:県医師会副会長・浮田俊彦さん /石川
◇病理解剖システム、北信越で初導入 ミス再発防止に軸足−−浮田俊彦さん(65)
石川県医師会は、県内の病院や診療所で予期せず患者が死亡した場合に、直接死因を解明することを目的とした病理解剖(剖検)を組織的に行う「石川県医師会剖検システム」を立ち上げた。死亡した患者の家族が依頼するか、担当医が必要だと判断し、家族の同意を得られた場合に、同医師会を通じて県立中央病院(金沢市)で剖検を実施する。死因をはっきりさせるシステムを作ることで、医療ミスなどを疑う患者側とのトラブルを回避し、信頼関係を築くのが狙いだ。北信越地方の医師会では初めての導入となった同システムの内容について、同医師会副会長の浮田俊彦医師(65)に聞いた。
(毎日新聞)
6月6日
<殺人未遂>男性患者が女性看護師を刺す 尼崎市の病院
2日午後2時ごろ、兵庫県尼崎市戸ノ内町3の尼崎医療生協戸ノ内診療所2階待合室で、男性患者が突然、持っていた果物ナイフで女性看護師(30)の腹部を刺した。男性所長(57)が取り押さえ、男は駆け付けた県警尼崎東署員に殺人未遂容疑で現行犯逮捕された。看護師は2週間のけが。
逮捕されたのは、同町4、無職、仲尾慶栄(けいえい)容疑者(60)。肝炎の持病があり調べに対し「病気が治らないことに焦りがあった。何であんなことをしたのか」などと話しているといい、動機などを追及している。
(毎日新聞)
政府の医師不足対策 実効性に現場から疑問 「中堅」不在/低い育児休業取得率
政府・与党が五月末にまとめた「医師不足対策」について、医療関係者から「具体性に乏しい」などと懐疑的な声が上がっている。対策には、国主導の医師派遣システムの構築や臨床研修制度の定員見直しなどが盛り込まれたが、深刻な医師不足が続く道内からは、早期に実効性のある対策を求める声が強い。
政府・与党が策定した医師派遣システムは、国が国立病院や医師会などを通じて医師を募集し、都道府県の要望を受けて派遣する仕組みが想定される。ただ、北海道医師会の長瀬清会長は「私たちも退職医師を中心に声をかけているが、大半は次の行き先が決まっている。国はどうやって医師を集めるのか」と疑問を投げかける。
国立病院も医師数に余裕があるわけではない。昨年秋、全国百四十六の国立病院を管轄する国立病院機構が、都市部から医師不足地域に医師を派遣する制度を導入したが、派遣医師を確保できなくなり、半年で中止に追い込まれた。
(北海道新聞)
東北大、医師派遣は要請の3割弱 3分の2が宮城県内
医師の名義貸しなどの再発防止策として、2005年から医師派遣の窓口を一本化した東北大医学部は3日までに、窓口設置1年目の派遣実績をまとめた。地域の病院の依頼に応じて常勤医を派遣した割合は30%に満たなかった。派遣先のほぼ3分の2が宮城県内で、特に東北5県の関連病院への医師供給が滞っている状況が浮き彫りになった。
(河北新報)
全研修医をへき地派遣 神戸市立中央市民病院
神戸市立中央市民病院(神戸市中央区)は2日までに、来年度からすべての研修医にへき地での臨床研修を義務付けると決めた。内科や外科を区分しない総合診療など地域特有の医療に触れ、幅広い視野を養うのが狙い。都市部の病院が希望者だけでなく研修医全員を派遣するのは、兵庫県内でも珍しい。
(神戸新聞
医師の卵定着率向上 県内医療機関07年度(岩手)
県によると、今春臨床研修を終えた医師は県内出身者28人、県外出身者37人。このうち56人が県内に残り、後期研修などに当たっている。県内出身者は約4割。
調査を行っていない宮城県を除く東北各県の今春の臨床研修医の定着状況は、青森県42人(82・4%)、秋田県41人(67・2%)、山形県50人(89・3%)、福島県52人(83・9%)。
県内で研修を受ける医師数も増加傾向にある。06年度から本県で臨床研修を始めた医師は75人。臨床研修必修化前の03年度と比べると37人増え、全国では島根県に次いで2番目に高い伸び率だ。
(岩手日報)
【断・久坂部羊】まず診療科の資格化を
厚労省は医療機関の診療科名を、現在の38から26に減らす方針を明らかにした。現状では内科、消化器科、胃腸科などが混在し、患者にわかりにくいからだ。
診療科名の整理は好ましいが、その前にすべきことがある。それは看板を掲げるための資格化だ。
現在、医師ならどの科の看板を掲げるのも原則、自由である(麻酔科を除く)。しかも、いくつでもあげられる。だから、内科医なのに小児科を兼ねたり、花粉症の患者目当てにアレルギー科を入れたり、比較的ありふれた病気の多い皮膚科も看板に付け加えたりする。
診療科名選択の自由は、医師なら責任の持てる診療科以外の看板をあげないだろうという、医師=性善説に拠っている。“医は仁術”という言葉が生きていたころならまだしも、今や医師のモラルは、ほかの職種と変わらない程度になっている。宣伝に規制の多い医療機関で、診療科名が自由に選べるなら、誇大広告に走るのは当然だろう。
(産経新聞)
支局の目:切実な課題 /秋田
「6人しかいない医師が月5〜7回の泊まりをこなし、次の日も勤務する過酷さ。かかわればかかわるほど、病院の大変さを思い知らされた2年間だった」
男鹿市の男鹿みなと市民病院の医師契約問題をめぐり、先月30日に開かれた教育厚生委員会協議会。引責辞任を決断した佐藤文衛副市長は、市議から病院の今後を聞かれ、堰(せき)を切ったように話し出した。コンサルタントを介した失敗や、不自然な契約などずさんな点が多かったとはいえ、病院や市民が直面する深刻な現状はまぎれもない事実。胸に迫るものがあった。
協議会の場で、佐藤副市長は市議らから質問もないのに、誰にともなく訴えていた。「昨年一年をみると、5930人の救急患者のうち5000人近い人が時間外に来ていた。1日16、17人になる。この病院が崩壊すれば、男鹿半島の突端からでも秋田市の組合病院まで行かなければならない。もし医師が一人でも倒れたら大変なことになる」。男鹿市に限らず、医師確保は人の生死を左右する急務だ。改めてそう思った。
(毎日新聞)
6月5日
救急患者医療費:未払い急増、10年で4倍…東京消防庁
救急患者が支払わない医療費を代わりに補てんする東京消防庁の事業で、医療機関からの申請額が10年で4倍以上に増え、06年度は約2億6800万円に上ったことが分かった。うち、補てんしきれない額は1億円を超え、病院側は頭を抱える。医療関係者は、未払い増加の背景に、医療費を支払えない低所得者が増える一方、支払えるのに払わない患者の増加もあるとみている。
同制度は73年から、救急患者の未払いを恐れる病院側が受け入れを敬遠し、患者がたらい回しにされることがないように、東京消防庁が実施している。
医療機関からの申請を取りまとめる東京都医師会によると、病院からの申請は96年度に3034件(6033万円)だったが、06年度は7099件(2億6787万円)と件数で2・34倍、金額で4・44倍に増えた。同医師会は「所得が低くて払えないケースが増えたようだ」と話す一方、「急病でないのに1日に3回も救急車を呼んで医療費を支払わない例もあった。払えるのに払わない患者も決して少なくない」と明かす。
新宿区内の救急病院の事務局長も「希望して個室に入りながら、未払いの患者もいた。強く請求すると『病院のくせに、サラ金みたいにカネを取り立てるな』と怒鳴る人もいる」(事務局長)とため息をつく。
同医師会によると、未払い分の補てん額は96年度に5500万円だったが、99年度から6000万円に、04年度からは1億220万円に増額された。しかし、未払いの増加に追いつかず、補てん率は96年の92・4%が06年は45・4%に低下している。
(毎日新聞)
医師不足解消へ奨学金制度の募集、京都府、北部勤務条件に返済免除
京都府北部で深刻な医師不足を解消するため、府は将来の北部勤務を条件に返済を免除する新たな奨学金制度の募集を始めた。また、府が本年度から始めた女性医師の再就職支援で、2人が名乗りを上げ、子育てなどからの復職を目指し研修を始めた。府は「1人でも多くの医師を確保したい」としている。
奨学金は、大学生や大学院生、臨床研修医、専門研修医を対象に月額15万円を1年間単位で貸与する。特に、医師不足が深刻な産婦人科や小児科が専門の場合は月額5万円を加算する。
貸与が終わった後、貸与期間分を南丹市以北の医療機関で勤務した場合、返済を全額免除する。例えば1年間貸与を受けた場合は、北部での1年間の勤務が必要となる。ただ、すぐに北部で勤務できない場合は、府内で勤務することを条件に3年間の猶予期間も設ける。
(京都新聞)
雲南の地域医療を考えるシンポ(島根)
「雲南の地域医療を考えるシンポジウム」が二日、雲南市木次町のチェリヴァホールであり、医療や福祉、保健機関の関係者と住民が、医療従事者の確保や、互いが連携した地域医療の維持へ向けて方策を探った。
地元の自治労でつくる雲南地域医療を考える会などが、住民とともに深刻化する地方の医療課題を話し合おうと企画。市民ら三百人が参加した。
(山陰中央新報)
医師の就職をあっせん 人材不足で県がドクターバンク(群馬)
医師不足に対応するため、県は一日から、医師の登録と紹介を行う「県ドクターバンク」を始めた。全国では二〇〇六年度に十四県がすでに設置している。県は「働きたい医師に情報を提供し、医師確保につなげたい」としている。
県医務課によると、同バンクは、登録とハローワーク的な就職あっせんの二つが柱。現役医師や医学生、病院などの医療機関にバンクへ登録してもらい、登録者には医療業界のトピックなどをメールマガジンで発信する。医師百人と二百医療機関の登録を見込んでいる。関東では茨城、栃木県に同様の登録の仕組みがあるという。
求職・求人をする医師と医療機関は、キャリア、診療科や給料など、より詳細な情報を登録し、同課が仲介する。同課には以前から「在外公館で医師として勤めていたが、県内の職場で働きたい」「研究医だが、臨床の現場を探している」など問い合わせがあったが、紹介制度がなく十分な対応ができなかったという。
(東京新聞)
与党、公務員法案成立を断念 首相も受け入れ
与党は1日、国家公務員の「天下り」規制を柱とする政府の公務員制度改革関連法案の今国会での成立を断念した。「宙に浮いた年金記録」問題や松岡利勝前農水相の自殺などで苦境に立つ首相官邸が、与党に成立を強く働きかけてきたが事実上、断念を受け入れた。国会が最終盤を迎える中、安倍首相の求心力の回復が政局の焦点となりそうだ。
同法案は、中央官庁や自民党の異論を押し切る形で首相官邸の主導でまとめた。だが、自民党内には「優秀な人材が役所に集まらなくなる」などの反対論も根強かった。
年金法案の採決強行の舞台となった衆院厚生労働委員会では労働3法案が審議されている。しかし、1日午前の同委員会では、採決強行に反発を強める野党が欠席するなど混乱が続いており、成立が危ぶまれている。
(朝日新聞)
大阪で事故 バスの運行会社と社長ら2人書類送検
大町労働基準監督署(大町市)は1日、運転手に過剰な時間外労働をさせたとして労働基準法違反の疑いで、大阪府吹田市で事故を起こしたバスの運行会社「あずみ野観光バス(現ダイヤモンドバス)」(北安曇郡松川村)と、社長の下総健司容疑者(40)=大阪府警が道交法違反容疑で逮捕、妻で専務の美和子容疑者(44)=同=の書類を、地検松本支部に送った。
バス運転手の労働時間は、労使協定の締結を届け出れば、休憩を含む拘束時間を最大週71・5時間まで延長できるとする改善基準があるが、勇輝運転手は乗務時間のみで同基準を超過。労使協定を結んだとする届け出もなかったという。
(信濃毎日新聞)
医大生奨学金:Uターン条件に31府県が導入
地域の医師不足を解消しようと、地元で働くことを条件に医大生に奨学金を出す自治体が急増している。04年度は5県だったが、今年度は31府県が導入。人口10万人当たりの医師数が150人で全国ワースト2位(04年12月末時点)の茨城県では応募者が殺到し、急きょ補正予算を組む事態に。一方で希望者ゼロという県もあり明暗を分けているが、地方の市なども独自で制度化に踏み切っており、今後もこうした動きが広がりそうだ。
(毎日新聞)
6月4日
くしろ救急医療・こども福祉センター開設(北海道)
釧路市は31日、市議会5月臨時会の民生福祉常任委員会で、来年4月に旧NTT東日本住吉ビル(市内住吉2)の跡地に開設予定の「くしろ救急医療・こども福祉センター」(仮称)の概要を明らかにした。延べ床面積7679平方メートルの鉄筋コンクリート地下1階地上5階建て、建物は無償譲渡される見込み。用地買収8000万円の補正予算を計上し、議会の承認を得た。財源には合併特例債を充てる方針だ。
(釧路新聞)
【正論】参議院議員、国際政治学者・舛添要一 2007年を医療ルネサンス元年に
≪医師を増やせばいいか≫
日本各地で、医療ミス、医師不足、産婦人科の閉鎖などが話題となり、医療をめぐる訴訟も急増している。私たちにとって最も大切なのが健康であり、不幸にして病に罹(かか)ったり、けがをしたりしたときには、いかにして早く回復させるかを考えねばならない。政治の課題もそこにある。
≪産科・小児科の深刻事態≫
2006年2月18日、福島県立大野病院の産婦人科医が医療事故に関して業務上過失致死罪および医師法違反容疑で警察に逮捕され、全国の医師たちに衝撃を与えたことは記憶に新しい。この医療事故とは、2004年12月17日に、患者が帝王切開中に大量出血して死亡した件である。この事故は、癒着胎盤という極めてまれなケースで事前診断が困難であり、かつ予想外の大量出血であり、医療ミスではない。このような患者に対して適切な対応ができないシステムこそを問題とすべきなのである。
≪「医療崩壊」の現場から≫
この事件以来、産婦人科医や分娩(ぶんべん)実施施設の数が激減しており、極めて深刻な事態となりつつある。産婦人科と並んで問題なのが小児科であり、医師不足問題の中でもこの2つの科が目立っている。医師不足問題の背景には、病院勤務医の過剰労働と賃金面でも恵まれない状況がある。当直勤務が多く、夜間や休日に患者が集中する状態は過酷である。患者の生命を救うという医師の使命感にのみ頼るには限界がある。さらには、近年における医療紛争の激増はいつ訴えられるかわからないという不安を増大させ、医師になる気を喪失させてしまう。最近は女性医師がとりわけ産婦人科や小児科で増えており、彼ら自らが出産・育児で離職することも医師不足に拍車をかけている。また、大学の医局の医師派遣機能も低下している。
(産経新聞)
研修医違法アルバイト、大阪でも
臨床研修医の違法アルバイト問題で、大阪市天王寺区のNTT西日本大阪病院の研修医が、医師法が禁じるアルバイト診療をしていたことがわかった。
同様のケースは千葉市や静岡市の病院でも発覚しており、厚生労働省は近く各地方厚生局の担当者会議を開き、指導徹底に乗り出す。
NTT西日本大阪病院では、男性研修医が昨年9〜11月に計11回、兵庫県などの計4病院で当直勤務のアルバイトをしていた。
(読売新聞)
小児科医の集約は困難 県医対協中間報告(栃木)
地域医療を支える県内中核病院の深刻な小児科・産科医不足の対応を検討していた県医療対策協議会は三十一日、医療圏ごとに小児科医を集約化するのは、かえって医療提供体制を悪化させる、などとして「現時点では困難」と中間報告で結論付けた。このため入院の必要のない軽症患者に対応する初期救急拡充などの言及にとどまった。一方、産科は病院と診療所の連携を強化するセミオープンや院内助産所の導入に向け、モデル的に実施して検証する必要性を提言した。
(下野新聞)
医療費未払い:「国立病院機構」の実態調査へ 厚労省
医療費の自己負担増などで、患者が治療費を支払わないケースが増えている問題で、厚生労働省は1日、病院関係者らでつくる「医療機関の未収金問題に関する検討会」で、独立行政法人「国立病院機構」(146病院)の未払い額を調査する方針を明らかにした。国として初めての実態調査。同省は、03年度にサラリーマンの窓口負担が2割から3割に引き上げられたことや不況などが背景にあるとみている。
医療機関の収入は、国民健康保険(国保)など医療保険運営者の診療報酬と、患者の一部負担で成り立っている。ところが、全国の6割の病院が加入する「四病院団体協議会」(加盟5570病院)の調べでは、02年からの3年間で、患者の未払いは約853億円に達していた。このため、同協議会は、状況が好転しない場合は、保険運営者との訴訟も辞さない構えを見せている。
(毎日新聞)
医師不足、即効の決め手なく、村井知事迎え、飯山で車座集会(長野)
県民と知事が自由に語り合う車座集会「あなたの声を県政に」が26日、飯山市公民館で岳北4市村の住民ら約160人が参加して開かれた。
病院の勤務医不足については、「県が本気になって正面から取り組む問題と位置づけて奔走しているが解決のめどがたたない」と状況を説明。まずは患者も掛かり付けの開業医を持つなど“医者のかかり方”に工夫を−と呼びかけた。
市民からは勤務医不足解消に努めて欲しい−と1万7770人の署名が直接手渡されたが、県では県医師会や信大医学部にも相談しながら取り組んでいるものの即効性のある対策は期待できない状態で、開業医の負担増や国の取り組みに頼るしかない現状を説明した。
(北信ローカル)
道庁に"医局"が誕生(北海道)
医師不足問題―。"道庁医局"ができました。"医師確保"を最重要課題に掲げた高橋知事が「医師確保推進室」を道庁に作りました。今年度中に、5人の"道職員医師"採用を目指すといいます。
道庁が目指すのは、道が独自に医師を採用・派遣する仕組みづくりです。これまで、病院の医師の多くは、大学の医局から派遣されてきました。それに期待できなくなったいま、道庁自身が「医局」になろうというのです。具体的には、道職員としての「身分を保障」した上で、2年間は医師不足病院に派遣し、1年間は有給で、希望する研修を約束しようというのです。
(札幌テレビ)
法定料金の6割で受注=スキーバス事故で会社送検−大阪府警
大阪府吹田市で2月、スキー客を乗せた「あずみ野観光バス」(現ダイヤモンドバス)の大型バスが橋脚に衝突し27人が死傷した事故で、同社が長野〜大阪間の往復料金を、国土交通省が定める最低料金目安の約6割の金額で受注していたことが1日、府警交通捜査課などの調べで分かった。社長の下総建司容疑者(40)=道交法違反で逮捕=は「1月が暖冬で客が少なく、2月にフル稼働させるしかなかった」と供述している。
同課は1日、道交法違反(過労運転下命)などの容疑で、法人としての同社を大阪地検に書類送検し、捜査を終結。長野県の大町労働基準監督署も同日、運転手に労働基準法の規定を大幅に上回る最大で週53時間15分の時間外労働をさせたなどとして、労基法違反の疑いで同社と下総容疑者らを長野地検松本支部に書類送検した。
(時事通信)
臨床研修医県内の採用 前年度比4人増で64人(和歌山)
新人医師に義務付けられた臨床研修で、県内12の受け入れ先となる病院が2007年度、前年度比4人増の計64人を採用した。県によると、制度が始まった2004年度以降の採用数は増加傾向にある。一方で、研修医を募集しても応募者がないなど採用できなかった病院もあり、医師の配置が地域によって偏っている。
県医務課によると、県内の臨床研修病院で研修を受ける人数は、制度の始まる前の03年度は68人だったが、制度が始まった04年度には都市部の市中病院に人気が集中し48人に大幅に減った。
その後は増加傾向に転じたことについて、同課は「合同説明会を開き県内での研修を呼び掛けたり、各病院が魅力的な研修プログラム作りなどに取り組んだりした成果」と話す。
県全体の採用人数は上向きになってきているが、本年度は計12病院のうち半数の病院で、募集をかけたが採用がなかった。
(紀伊民報)
佐野市民病院:眼科、婦人科など再開 今月から週1、2日 /栃木
医師不足が問題化している佐野市民病院に関し、佐野市は31日、6月の診療体制を発表した。常勤医師が1人増えて3人に、非常勤医師も年度当初比20人増の45人程度となる。これに伴い、休診していた眼科、婦人科、整形外科の診療を週1、2日ながら再開する。土、日曜日の1次救急の受け入れもすでに再開している。
また、同病院の指定管理者制への移行準備などを担当する、総合政策部同病院対策室(職員4人)を6月中に本庁舎から同病院内に移し、福光正行院長らが主導する医師確保の支援にあたる。
(毎日新聞)
東京消防庁、緊急性に応じ救急搬送 「救急相談センター」も開設
東京消防庁は1日、けがや病気の緊急性に応じて救急車で病院に搬送する必要があるかどうか判断する、新たな“トリアージ制度”の運用を始めた。
救急車が必要なケースかどうかを助言する「救急相談センター」も同時に開設。運用開始式で同庁の小林輝幸消防総監は「症状の判断がつかない時などに利用してほしい」とあいさつした。
救急搬送に“トリアージ制度”を導入するのは全国で初めてで、重症者の待つ現場に遅れないよう、搬送だけでなく出動件数も抑制するのが狙い。年間約5000件の搬送が削減できるとみている。
(産経新聞)
死亡医療事故 昨年度は2件 市立札幌病院
市立札幌病院(吉田哲憲院長)は三十一日、二○○六年度の医療事故状況をホームページで公表した。医師や看護師らから報告があった事故は前年度比二・六倍の四千七百五件に上ったが、死亡事故は二件と半減した。同病院は事故の増加について「報告する姿勢が徹底した」と話している。
同病院によると、死亡事故は麻酔注射をした女性が心肺停止となり、約一カ月後に死亡したケースと、精神疾患の女性が食事を急いで食べ、呼吸困難で死亡した事例の二件。同病院は麻酔注射のケースについては「経過観察が不十分だった」、呼吸困難に関しては「女性の行動を制御できなかった」と説明している。
また、患者に実害のない事例は全事故の93%の四千三百九十三件。このうち「事故が起こりそうな環境に前もって気がついた」事故手前の事例は二千五百三十二件と、前年度の十七倍に上った。
(北海道新聞)
市民病院に助産師外来10月開設へ(神奈川県横須賀市)
全国的に問題になっている産科医不足は、地元横須賀市でも深刻化している。お産の場を失い近隣の横浜市の施設に流れる傾向が見え始め、このままでは横浜市の病院も溢れることが予想される中、横須賀市はその対策の一環として、市立市民病院で今年10月を目処に妊婦検診を加えた「助産師外来」を開設。6月1日からはその前段として保健指導外来と母乳外来をスタートさせる。
現在同地区でお産が可能な施設は、横須賀共済病院、市立うわまち病院、市立市民病院の3病院と他に2診療所、1助産所のみで、しかも同医会の調査によると平成23年までに分娩を休止する予定の施設があるといい、分娩数はさらに減り2557件と推定されている。同医会ではこのままいけば横浜市の病院もあふれてしまうことは必至と危惧する。
この最大の原因は産科の医師不足だ。ではなぜ医師がいないのか。「一番の問題は世間で言われているようにやはり待遇です。もちろん報酬もそうですが、夜も眠れない中での勤務は疲労との戦いですし、さらにリスクの高い仕事ですから、辞めたくなるのもわかります」と、同医会の小関聡医師(小関産婦人科医院副院長/横浜市旭区)は話す。
また、平成16年4月1日以降の医師免許取得者に義務づけられた臨床研修制度も、2年の研修のうち1年目に内科・外科等を行い、産婦人科等は2年目となっているため、すでに1年目で内心進む道を決めてしまうケースや、研修時に産婦人科の厳しさがわかるため避けるケースが多く、なり手が生まれにくい温床になっていると指摘する。
(タウンニュース)
国への要望23件決定 秋田市で北海道・東北議会議長会
北海道・東北6県議会議長会は31日、秋田市の秋田ビューホテルで会議を開き、地方分権実現に向けた地方税財政改革の推進、地域の医師確保など国への要望事項23件を決めた。
地域の医師確保については「北海道・東北で医療分野の最大の課題は医師確保」と指摘。医師不足是正のため、医学部の入学定員を拡大し、増員分を地域枠として創設することなどを求めた。
(さきがけ)
道庁が機構改革 医師確保へ体制整備(北海道)
高橋はるみ知事は2期目スタートにあたる機構改革を実施し、医師不足解消のために専門組織を設けるなど、新たな人事を発令しました。高橋はるみ知事は、新しい部長・次長らを前に次のように訓示しました。
(高橋はるみ知事)「伸ばすべきものは従来の取り組みを加速して伸ばし、変革すべきものは果敢に変えてゆく・・・」
今回の異動は2707人と規模としては例年並みですが、経済部長に経済産業省から41歳の官僚を登用するとして、財政再建に力点を置く方針です。また高橋知事は、「地域医師確保推進室」など5つの新しい組織も設けて、「地域の再建」を重点とする考えを明らかにしました。
(札幌テレビ)
医師確保きめ細かく対応 県が圏域本部(兵庫)
県内各地で深刻化する医師不足の解消に向け、地域に密着して情報収集し、きめ細かく対応するため、県は三十一日、各県民局に「県医療確保対策推進圏域本部」を設置すると発表した。昨年度に設置され、地元の病院や市町などが参加する各地の「圏域会議」と一体となって医師確保に取り組む。県は、厚生労働省や県関係の与党国会議員に、へき地などへの派遣拠点となる病院での研修医受け入れ拡大などを申し入れており、県内外での取り組みを強化する。
(神戸新聞)
政府の少子化対策検討会議が中間報告
新たな少子化対策を検討する政府の「子どもと家族を応援する日本重点戦略検討会議」(議長・塩崎恭久官房長官)は1日、中間報告をまとめた。ワークライフバランス(仕事と生活の調和)の実現を最優先課題と位置付け、社会全体で働き方の意識改革に取り組んでいくことの必要性を強調。政府は中間報告の内容を「骨太の方針」に反映させ、年末を目途に具体策を盛り込んだ「重点戦略」を取りまとめる。
安倍晋三首相は同日の会議で「長時間労働を前提として経済が成り立つのは間違い。ワークライフバランスの実現に本格的に取り組む」と述べ、関係省庁に行動指針をまとめるよう指示した。
中間報告では「急速な生産年齢人口の減少は政策努力で変えられる余地がある」と指摘。(1)国民の希望する結婚、出産の実現(2)若者、女性、高齢者の就業促進−の2点に対し実効性のある制度の再構築が必要だとした。
(産経新聞)
道内病院、総合診療を拡充・医師不足解消へ効率化(北海道)
道内病院があらゆる患者の初期診療を担う「総合診療」の拡充に乗り出す。北海道厚生農業協同組合連合会(道厚生連)は札幌や旭川で運営する6病院に総合診療科を設ける。勤医協中央病院(札幌市)などは総合医の育成を本格化する。総合診療は患者と専門医の橋渡し役として期待を集めている。勤務医の負担を軽減し、効率の良い診察体制を整えるとともに、病院の経営体質強化にもつなげる。
(日経新聞)
政府・与党、医師不足対策まとめる
へき地や特定の診療科の医師不足などを解消するため、政府・与党は、地元で勤務することを条件に、大学医学部の入学を認める「地域枠」の新設などを盛り込んだ対策をまとめました。まず、緊急対策では、国立病院など規模の大きい病院が、都道府県からの要望に応じて、自治体の病院に医師を派遣する体制を構築するとしています。また、長期的対策として、大学の医学部を卒業した後も、一定期間、大学のある地元で勤務することを条件にした「地域枠」を、新たに設けるということです。これによって、都道府県知事の求めに応じて、医師不足が深刻な地域や産婦人科や小児科に確実に医師を派遣できるとしています。「地域枠」では学費を免除するなどの優遇措置も設けられ、政府はこの対策を「骨太の方針」に盛り込み、2008年度予算に反映させることにしています。
(テレビユー福島)
6月3日
市立脳血管医療センターの本格的再建求める要望書提出/横浜
横浜市立脳血管医療センター(同市磯子区)の医師不足が深刻化し十分な態勢が確保できない状態に陥っている問題をめぐり、患者らの団体「脳卒中から助かる会」(上野正代表)は三十一日、中田宏市長に対し、センターの本格的な再建などを求める要望書を提出した。
(神奈川新聞)
医師:現行の診療体制維持なら4万人不足 厚労省統計
常勤医だけで現在の診療体制を維持するには、少なくとも約4万人の医師が足りないことが、厚生労働省の統計を基にした東北大研究チームの分析で分かった。全国の医療機関が報告した診療に従事する医師数の合計が、実際の医師数を約4万人上回っていた。報告は非常勤医も常勤医とカウントしており、常勤医の不足をアルバイトで診療にあたる大学病院の医師らが補っているためとみられる。日本は大幅な医師不足の状態にあることが、国の統計から裏付けられた形だ。
分析は、医師自身が2年に1回、勤務先などを届け出る「医師・歯科医師・薬剤師調査」と、医療機関が3年に1回、勤務医数(非常勤医師も常勤医師に換算)などを報告する「医療施設調査・病院報告」を基に、診療に従事する医師数を比較した。
(毎日新聞)
諏訪地区小児夜間急病センター開所 軽症者が対象
諏訪広域連合は5月31日、夜間の小児患者を対象にした「諏訪地区小児夜間急病センター」の開所式を諏訪市四賀飯島の同センターで開いた。1日から診療を始める。センター方式による小児夜間救急施設は県内で8カ所目という。
運営は諏訪市、岡谷市、諏訪郡の3医師会でつくるセンター運営医師会(小松道俊会長)に委託。年中無休で、診療時間は午後7―9時(受付は午後6時半から)。医師、看護師、事務員各1人を配置。諏訪地区の小児科、内科、信大医学部の医師計75人が交代で勤務する。
小児救急医療をめぐっては、小児科医の不足に加え、2次救急病院に軽症の救急患者が集中。本来の2次救急業務への支障や小児科医師の負担増大が指摘されていた。このため、1次救急と2次救急の機能分担を図り、小児救急医療体制の確保を図る狙いで、1次救急を担う同センターの設置を決めた。
(長野日報)
市民病院医師らの手当増額など8議案を6月議会に 伊賀市長定例会見(三重)
伊賀市の今岡睦之市長は5月31日、同市役所で記者会見し、6月の定例議会に提出する8議案と10の報告事項を発表しました。提出議案には、伊賀市上野総合市民病院の医師引き揚げや看護師の離職を防ぐため、各種手当を増額する条例改正案などが含まれています。
(伊賀タウン情報YOU)
大木市長 きょう所信表明(神奈川)
大和市議会(青木克喜議長)の6月定例会が、6月1日に開会する。会期は6月25日まで。6月1日の本会議では、4月の統一地方選で初当選した大木哲市長が所信表明を行うほか、市立病院の産科医に分べん手当を新設する条例改正案など17議案ほかが上程される。
(タウンニュース)
県内28中核病院、新制度後、常勤医初の増(栃木)
入院が必要な重症患者を受け入れる2次救急を担う県内28カ所の中核病院で今年4月現在の常勤医は、臨床研修医を除くと計794人となり、2004年度の新臨床研修制度導入後、初めて前年(782人)比で増加に転じたことが30日、県保健福祉部の調査で分かった。しかし中核病院でも休止・受け入れ縮小が相次ぐ産科などの診療科や、地域によっては減少に歯止めが掛からず、深刻な状況の広がりに関係者は危機感を募らせている。
調査は県内の二医大病院を除いて実施。外科は前年比十四人増の三百六十九人、減少が続いていた小児科も四人増え四十六人になった。しかし両診療科とも〇四年八月比は下回った。
(下野新聞)
ドクターバンク:深刻な勤務医不足解消へ あすから運用−−県 /群馬
県内でも深刻な勤務医不足を解消するため、県は「ドクターバンク」の運用を6月1日から開始する。県内勤務を希望する医師が同バンクに登録すると、県が情報提供や医療機関との仲介役を行う。地方の勤務医不足が全国的に問題となる中、県は同制度の導入でスムーズな医師確保を図りたいとしている。
県内では渋川総合病院(渋川市)や総合太田病院(太田市)、館林厚生病院(館林市)など地域の中核医療機関で医師不足が発生している。要因は医師研修の新制度導入に伴い、医師不足が生じた大学病院が派遣医の引き揚げを進め、派遣先病院の医師確保が難しくなるなどの状況を生んでいる。
こうした問題を解消するため、県立病院勤務の医師をこれら中核病院に緊急派遣したり、昨年度からは県内勤務に意欲のある医学生や研修医に奨学金を貸与する制度などを創設。また、子育てなどで現場を離れた女性医師の復帰を促すなどの施策も導入した。同バンクもこうした取り組みの一環で、県医務課は「県内医療機関への就職まで、きめ細かくお手伝いできる」と胸を張る。
(毎日新聞)
昨秋スタートの国立病院間の医師派遣、半年で打ち切りに
国立病院でも深刻化する医師不足に対処しようと、全国146病院を管轄する独立行政法人・国立病院機構が「緊急医師派遣制度」を昨秋導入したものの、半年で中止に追い込まれていたことがわかった。一方、31日に医師確保対策を決める政府・与党は、「即効性のある対策」として、国立病院の医師らを地方の病院に派遣する制度を打ち出す。同機構は「国立病院間でも難しかったことなのに」と困惑している。
政府・与党が描く確保対策は、都道府県の拠点病院が地域の自治体病院などに医師を派遣しても足りない場合に、国立病院機構などがプールした医師らを数カ月〜1年間派遣する。国立病院の医師らを登録して派遣医師をプールする計画。さらに定年退職して間もない医師らも公募して登録してもらう。
さらに医師への動機付けとして、派遣終了後のポスト確保や留学・研修といった「特典」も検討している。自民党幹部は、6月中にも最初の医師派遣をさせたい考えを示しているが、機構は「国立病院同士の調整すら難しい」としており、必要な医師数を集められるかは不透明だ。
(朝日新聞)
脳疾患の急患受け入れ 岡山赤十字病院24時間体制にほころび
脳神経外科医の不足で、岡山赤十字病院(岡山市青江2丁目)が今年度に入って救命救急センターへの脳疾患患者受け入れを24時間体制でできなくなっていることが分かった。同病院は「ほかの病院に協力を求め、影響はない」としているが、県南東部保健医療圏では、唯一の3次救急医療機関だけに波紋を呼びそうだ。
(岡山日日新聞)
医師不足地域、国から緊急派遣 政府・与党が対策決定
政府・与党は31日午前、地方を中心に深刻化する医師不足対策に関する協議会を首相官邸で開き、国が不足地域に医師を緊急的に派遣する制度の構築などを柱とする対策を決めた。実行に向けて政府の行動計画を策定することでも一致。6月中にまとめる骨太方針2007に盛り込み、08年度予算から反映する。与党も参院選の公約に明記する。
席上、安倍晋三首相は「できるだけ速やかに具体化を図り、多くの国民が地域の医療が改善されたと実感できるよう全力で取り組む」と強調。柳沢伯夫厚生労働相は「08年度診療報酬改定の中でも対策を検討していきたい」と述べた。なり手が少なくなっている小児科や産科の報酬引き上げなどが検討課題となる見通しだ。
(日経新聞)
政府・与党が「緊急医師確保対策」を決定
政府・与党は31日、産科や小児科など地方を中心に深刻化する医師不足を解決するための「緊急医師確保対策」をまとめた。国レベルの医師派遣システムの構築や大学医学部の地域枠拡充などが目玉。6月にも取りまとめる政府の「骨太の方針」や夏の参院選の与党公約に反映させる。
首相官邸で同日午前、開かれた政府・与党協議会で、安倍晋三首相は「多くの国民が地域の医療が確かに改善されたと実感し、安心してもらえるよう全力で取り組む」と述べ、早急に対策を実行していく考えを示した。
緊急対策としては、医師不足地域に対し、都道府県からの求めに応じて医師を臨時的に派遣できるよう国レベルで「医師バンク」を設置。登録者は引退した勤務医らを想定している。中長期対策では、研修医が集中する大都市圏の臨床研修病院の定員を減らすことで、若手医師を地方に誘導。地元定着率が高い大学医学部の地域枠を拡大し、医師不足の地域や診療科で勤務する医師には奨学金返還を免除する。
(産経新聞)
医師不足対策:「地域勤務枠」設定など決定 政府・与党
政府・与党は31日、深刻化する医師不足に対応するための「緊急医師確保対策」を正式決定した。全国の医大の定員に、都道府県が定める医師不足地域・診療科への勤務を前提とする「地域勤務枠」を設け、同枠で入学した医大生は、卒業後に都道府県の指示に従ってへき地に勤務すれば奨学金の返還を免除する。今後各都道府県の増員数などを詰めた上で、09年度からスタートする見通し。6月に政府がまとめる「骨太の方針」に盛り込む。
また6月に始める短期対策として、勤務医OBらを拠点病院などにプールし、緊急的に国が医師不足地域へ派遣できるシステムをつくる。このほか、▽病院内の保育所整備など女性医師らの職場環境整備▽都市部の病院の研修医受け入れ枠を削減し、研修医をへき地へ誘導することなどを盛り込んでいる。
(毎日新聞)
医師の緊急派遣など対策決まる 政府与党協議会
政府、与党は31日午前、地方を中心に深刻な医師の不足や偏在に関する協議会を首相官邸で開き、国が主導して緊急に医師を派遣することを柱とした与党の緊急医師確保対策を了承した。関係省庁が施策をまとめるための骨格で、政府の「骨太の方針」に盛り込み2008年度予算に反映させる。
短期間での効果が期待される当面の対策として、国立病院や規模の大きな民間病院を中心に派遣機能を持たせ、国が都道府県からの求めに応じて各地の自治体病院などに派遣する体制を構築する。早ければ6月にも始まる見通し。医師らの人材派遣についての規制を緩和する。
中期的な対策では勤務医に交代勤務制などを徹底し、過重労働を解消。医療従事者の役割を見直し医師の事務量を軽減する。国家試験合格者の3割を占める女性医師の活用のため、院内保育所の整備など職場環境を改善させるほか、離職した女性医師の復職を支援、促進する。
(北海道新聞)
6月2日
医師不足対策、政府・与党が合意 緊急派遣する仕組みも
自民党の中川昭一、公明党の斉藤鉄夫両政調会長は30日、首相官邸に安倍首相を訪ね、国レベルの緊急医師派遣システムの構築を柱とする与党の緊急医師確保対策を報告した。31日の医師確保対策政府・与党協議会で正式にまとめる。
対策は「国民が地域医療が改善された」と実感できることをめざして策定。ただちに着手する予定なのは、医師不足地域に国から緊急派遣する仕組みづくり。病院勤務医の負担を減らすため、事務作業などを手伝う人員を増やす。関連して、比較的軽いけがや病気で救急まで含めて対応する「総合医」のあり方についても検討することとした。
(朝日新聞)
宮城との連携に意欲 岩手知事、県南首長と意見交換
医師不足問題は各首長から出され、相原正明奥州市長は「大学の医局だけでは地域医療に責任を持ちきれない。県自ら一定の医師を確保するなど、新たな制度を模索する必要もある」と語り、現場の困窮を伝えた。
(河北新報)
黒塗り部分、見えちゃった、厚労省HPの「意見募集」
医療事故の原因究明に向けた第三者組織創設について、厚生労働省が国民から募集した意見をホームページに掲載したところ、氏名や勤務先など「黒塗り部分」が特定のソフトを使えば閲覧できる状態になっていたことが29日、分かった。
厚労省は同日までに該当部分をいったん削除し、閲覧できないよう修整した。意見を寄せたすべての人には謝罪するという。同省医療安全推進室は「閲覧防止のセキュリティーが不十分だった。今後、個人情報の保護に万全を期したい」としている。
(共同通信)
小児センター 高度医療 思惑外れ、急患急増、大半は「軽症」(埼玉)
県立小児医療センター(さいたま市岩槻区、300床)の急患受け入れ数が5年間で4倍に急増している。急患の大半が、本来必要な地域の医療機関の紹介状を持たない、風邪や微熱など症状の軽い患者で、症状の重い小児患者に高度な医療を行うセンターの目的を圧迫している。県病院局は「症状の軽い患者がこれ以上増えると、センター本来の目的である高度な医療に専念できなくなりかねない」としており、利用抑制も導入せざるをえないとの声もあるほどだ。
(読売新聞)
与党、医師不足対策を決定・女医の復職支援
与党は29日、医師の足りない地域に国主導で医師を派遣することや、出産・育児で離職した女性医師の復職支援などを柱とする医師不足対策をまとめた。自民党の中川昭一、公明党の斉藤鉄夫両政調会長が30日に安倍晋三首相に報告、31日の政府・与党協議会で正式決定する見通し。7月の参院選の与党共通公約に反映させる。
(日経新聞)
各会派が知事に要望(北海道)
高橋道政二期目の実質的なスタートとなる第二回定例道議会を前に、各会派が補正予算の編成について高橋知事に要望をおこないました。
今回の補正予算は、知事選で再選された高橋知事の公約を踏まえて予算案がつくられ、来月の定例道議会で審議されます。最初に要望をおこなった与党、自民党・道民会議の神戸典臣氏は、「雇用対策と地域医療問題については早急な対策が必要だ」として雇用の創出や医師不足の対策に配慮した予算編成を求めました。これに対し高橋知事は、地域医療問題の専門部署を立ち上げることなどを説明し要望を踏まえて政策予算を編成していくと答えました。
(札幌テレビ)
中核構想白紙へ/自治体病院再編(青森)
二〇〇五年に県が示していた津軽圏域の自治体病院機能再編案で、弘前市立病院と国立病院機構弘前病院が連携し新設する中核病院構想が、白紙となる方向であることが、二十九日までに分かった。県と両病院が同日までに確認した。三十一日には津軽圏域自治体病院機能再編成推進協議会が二年ぶりに開催され、席上、白紙の方向が報告されるとみられる。今後について、県は見直しを含めた何らかの考えを提示する可能性もあり、各自治体病院は新たな対策が迫られる。
再編の枠組み案は、慢性的な医師不足や経営悪化に悩む各自治体病院の打開策として、県が〇五年三月に提示。津軽圏域の中核病院形成に関して市立病院と弘前病院の連携が盛り込まれていた。
しかし、旧国立で全国の国立病院機構の傘下の一機関である弘前病院と、市が財政支援して運営する市立病院の再編、統合は容易ではなく、全国的にも例がなかった。検討委員会や作業部会も開かれたが進展しなかった。
その過程では「リーダーシップを取る主体が分からない」(市立病院)「コンダクター(指揮者)がいない」(弘前病院)と再編推進の主体不在を指摘する声が上がっていた。結果として、津軽圏域では当事者間で解決できなかった。
(東奥日報)
6月1日
道、医師確保に2800万円 来月議会に補正予算案 道職員で5人採用(北海道)
道は本年度に実施する医師確保対策をまとめた。《1》道職員として医師五人を採用し医師不足の地方に派遣する《2》地域に勤務医を派遣する民間病院に資金支援する−など五事業で、本年度の補正予算案に計約二千八百万円を計上、六月中旬開会予定の定例道議会に提出する。
医師を道職員として採用する事業では、五人程度を三年単位で雇用し、医師不足の市町村立病院や診療所に派遣する。道内での義務勤務(九年間)を終えた自治医科大卒者に道職員となるよう働きかけるほか、新聞や雑誌で全国に呼びかける。
三年のうち、二年間は市町村立医療機関の勤務医として働き、一年間は道職員として都市部の病院で研修する。予算は給与を除いて約四百万円。
また、市町村立病院、診療所に医師を派遣した民間病院に対し、医師一人当たり年約五百万円の資金支援をする。年二人程度を予定している。初年度予算は約七百万円。
(北海道新聞)
研修医、都市部の定員削減=医師不足対策−与党
自民、公明両党は29日、医師不足問題への対策案をそれぞれまとめた。両案とも、地方で深刻化している医師不足を解消するため、大学卒業後の研修医の受け入れ先となる都市部の病院の定員を削減することや、大学医学部入学定員の「地域枠」を拡充することなどを盛り込んだ。
(時事通信)
医師を県職員に採用し派遣、医学生に県内勤務で新奨学金(山梨)
全国的に医師不足が深刻な問題となる中、山梨県は本年度、本格的な医師確保策に乗り出す。医師を県職員として採用し県内病院に派遣する制度や、県内に勤務する意思のある医学生を対象とした奨学金制度の創設が柱。人材不足に悩む医療機関に無料で登録医を紹介する「医師バンク」も計画、関連予算案を六月定例県議会に提出する。
医師の県職員採用は「医師プール制度」と称し、数人の採用を想定。採用者に対し、医師不足が深刻な病院に一定期間派遣する見返りとして、県職員の給与を得ながら希望する医療研修を受けられるようにすることを検討している。
(山梨日日新聞)
「安心の医療」論議、舞鶴市役所で検討委が初会合(京都)
京都府舞鶴市内の医療課題を踏まえ、市立舞鶴市民病院の再建方針などを論議する「舞鶴地域医療あり方検討委員会」が28日、市役所で初会合を開いた。検討委は斎藤彰市長が設置した私的諮問機関で、市内の総合病院の院長や学識経験者ら委員11人が医師不足が慢性化している現状などについて意見を交換した。
互選で委員長と副委員長を決めた後、委員同士で意見交換。産婦人科や小児科を中心とした医師の減少や、新たな医師確保の困難さなど、現在の課題を報告し合った。
(京都新聞)
医師確保へ奨学金拡充(鳥取)
鳥取県は二十八日までに、医師不足対策として鳥取大医学部の三―五年生と、県出身で県外の大学医学部生一―五年生を対象に、卒業まで毎月十万円の奨学金を貸与する方針を決めた。卒業後、県内の医療機関に一定期間勤務すれば、返還を免除する。
予算枠は鳥取大、県外の大学とも各学年五人で計四十人。四千八百万円を計上する。返還猶予期間内(貸与期間の二倍)に、知事が指定する県内の医療機関に貸与期間の一・五倍の期間勤務すれば、奨学金の返還を不要とする。鳥取大の募集は本年度のみ、県外の大学は来年度以降は新入生五人だけを募る方針だ。
(中国新聞)
国主導で医師を緊急派遣 女医の復職を支援
地方を中心とした医師不足を解消するため政府、与党が検討している医師確保対策の最終案が29日、ほぼまとまった。医師不足地域に対し国が主導して緊急的に医師を派遣したり、出産、育児などで離職した女性医師の復職を支援、勤務医の過重労働を解消することなどを盛り込んだ。
緊急医師派遣は短期に効果が上がる対策として整備。国立病院や規模の大きな民間病院などに派遣機能を担わせ、国が都道府県からの求めに応じて各地の自治体病院などに派遣する。へき地など一部に限定している医療従事者の人材派遣について労働者派遣法を一部緩和して派遣しやすい環境を整える。早ければ6月にも始まる見通しだ。
中期的な対策では、医師国家試験の合格者が3割を占める女性医師の活用を促す。特に出産や育児で離職する状況を減らすため、院内保育所の整備や、復職のための研修を実施する病院を支援する。
(東京新聞)
医師確保対策案の要旨 緊急臨時的な医師派遣体制
1、都道府県の求めに応じ国レベルで緊急臨時的な医師派遣体制を整備。規制緩和などの所要措置を講じる。
2、勤務医の過重労働解消のため交代勤務制などの勤務環境を整備。医師や看護師、助産師など医療補助者らの業務分担を見直し、医師不足が深刻な病院への支援を充実させる。
3、出産や育児での医師の離職を防ぎ、復職を促すために院内保育所の整備など女性が働きやすい職場環境を整備する。
4、医師臨床研修病院の定員の見直しなどを行い、都市の病院への研修医の集中を是正する。
5、産科補償制度の早期実現や、診療行為についての死因究明制度(医療事故調査会)の構築など、医療リスクに対する支援体制を整備する。
6、奨学金を活用し都道府県が定める地域や診療科に確実に医師が配置できるよう医師養成数を緊急臨時的に増加させる。地域医療に従事する医師増加のため、医学部の地域枠を拡充させ、医師養成総数の少ない県では医師の養成数を増やす。
(中国新聞)
与党、年金救済法案を優先審議 労働3法案は成立困難に
政府・与党は28日、年金記録のずさんな管理で支給漏れがある人に全額を支払う救済法案を30日に提出し、週内にも衆院厚生労働委員会で審議入りする方針を固めた。25日に同委員会で審議入りしている労働関連3法案の審議をストップし、後回しにすることになる。これによって労働3法案の今国会での成立は困難になった。
(朝日新聞)
肩書一つで残業代ゼロ 社員は全員役職付き:されど管理職:8
労働基準法は「管理・監督者は労働時間の規制から除く」としている。判例によると、「管理・監督者」とは自分の裁量で労働時間を決められる人だ。だが、店長、課長といった肩書の人には残業代の支払いは必要ないという誤解を利用した「管理職活用法」が広がっている。
【労働基準法41条】
労基法の労働時間、休憩、休日についての規定は、管理・監督者、及び機密の事務を取り扱う者には適用されない。
【通達などによる「管理・監督者」とは】
経営方針の決定に参加し、または労務管理上の指揮権限を持つなど、経営者と一体的な立場にあるかどうかを、肩書の名称にかかわらず実態に即して検討して判断。具体的には、勤務時間に自由裁量があるか、役職手当などで地位にふさわしい待遇を受けているか、なども重視。
(朝日新聞)
5月31日
医師不足や患者負担増に危機感、大津 地域医療めぐり県民集会(滋賀)
滋賀県医師会、県看護協会などでつくる県地域医療推進協議会が主催する「地域医療を守る県民集会」が28日、大津市内で開かれ、医療関係者ら230人が参加した。医師不足の解消や患者負担の軽減などについて意見を交わした。
趣旨説明で県医師会の三宅隆理事は、産婦人科や外科などで医師が不足している理由について、「医療ミスが警察の捜査対象になる事例が増え、患者を助けられるかもしれないのに、高度な手術をやらない医師が増えている」と指摘、医療をめぐる社会的環境の変化が、医師の負担を重くしている点を強調した。
(京都新聞)
女医の自殺、過労が原因 愛媛の病院に賠償命令
女性医師が28歳で自殺したのは過労が原因として、両親が十全総合病院(愛媛県新居浜市)側に約1億9000万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、大阪地裁は28日、約7600万円の支払いを命じた。
判決理由で大島真一裁判長は、自殺直前の4カ月間も当直を含む勤務が続き、時間外勤務は毎月100時間以上だったと指摘し「女性の様子から休職など十分な休養を取らせる注意義務があったのに、怠った」と病院側の責任を認めた。
判決は、既往症の影響や、同僚に勧められたのに精神科を受診していなかったことを理由に、3割の過失は女性側にもあると認定した。
両親側の弁護士は「勤務医の過労自殺をめぐって労災認定された例はあるが、損害賠償を認めたのは初めてではないか」としている。
(東京新聞)
自殺の女性医師は「過労死」 愛媛の病院側に賠償命令
愛媛県新居浜市の「十全総合病院」に勤めていた女性医師(当時28)が自殺したのは過労のためだとして、関西に住む両親が病院を経営する財団法人「積善(せきぜん)会」に対し、約1億9000万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が28日、大阪地裁であった。大島真一裁判長は、過労で自殺に追い込まれたと認定し、「うつ病なのに病院が業務を軽くする措置を怠った」と指摘。逸失利益と慰謝料など約7700万円の支払いを病院側に命じた。
原告側代理人の弁護士によると、勤務医の過労自殺をめぐり、病院側に損害賠償を命じた判決は全国で初めてという。
(朝日新聞)
規制改革会議第1次答申、「労働提言」盛り込まず
政府の規制改革会議(議長・草刈隆郎日本郵船会長)が月内にまとめる第1次答申で、原案にあった労働分野の提言を盛り込まないことが28日分かった。提言では安倍政権が進める最低賃金引き上げ方針に慎重な姿勢を示していたが、政府内や連合などから批判が噴出。答申に盛り込めば批判がさらに広がりかねないことから、同会議側が配慮を示した形だ。
同会議は今月21日、作業部会名の意見書の形で労働分野に関する提言を公表。事業主が金銭を支払えば解雇できる「解雇の金銭解決」の試験的導入など労働規制の大幅な緩和を求めるとともに、最低賃金引き上げについて「不用意に引き上げることは、その賃金に見合う生産性を発揮できない労働者の失業をもたらす」と指摘した。こうした内容を同会議の見解として第1次答申に盛り込む方針だった。
(朝日新聞)
国の医療費抑制を警戒 神戸で県民フォーラム
長期の療養を必要とする患者向けの療養病床の削減など、国の医療費抑制策の影響などを考える県民フォーラム「どうなる?医療と介護」が二十七日、神戸市中央区の兵庫県医師会館で開かれ、医療・介護や行政の担当者、自民と民主の参院議員らが意見交換した。
先駆的な地域医療の取り組みで知られる鎌田實・諏訪中央病院名誉院長が基調講演。日本の医療に米国型の「自己責任」の仕組みを取り入れようとする動きを警戒し、「誰でも必要な医療を受けられる国民皆保険に、貧しかった私の家族も支えられた。どうしても守らなければならない」と訴えた。
日本の医療費が先進国中最低水準で、現場の医師が疲弊している現状にも触れ、「医療費を年二兆円増やしてほしい。その代わり、医師側も温かく、優しい医療を死にものぐるいで提供する必要がある」と話した。
(神戸新聞)
【日医総研調査】治療費の窓口負担‐患者の半数が「妥当」、国民の6割は「高い」
日本医師会総合政策研究機構(日医総研)は、治療費の窓口負担についての意識調査結果報告(速報)を公表した。調査では、窓口負担の水準について、患者の半数以上が「ほぼ妥当な金額」としている一方、国民の約6割は「高くなりすぎだ」と感じていることが分かった。また、国民、患者の3分の2以上が治療費の未払い問題を認知をしていると共に、半数以上が払えない人に対する配慮を求めているという結果も明らかになった。
(薬事日報)
外国人研修 人権侵害の対策をまず(信濃毎日新聞社説)
外国人の研修・技能実習制度の見直しをめぐり、政府の足並みが乱れている。低賃金などの劣悪な環境を改善するためには規制強化が必要だ、と主張する厚生労働省に対して、経済産業省は柔軟な運用を求めている。
人権侵害が起きている現実は放置できない。労働環境を改善するにはどうしたらいいか、政府や専門家、企業などが知恵を出し合い、対策を急ぎたい。
問題は制度を悪用する企業が多いことだ。研修の1年間は雇用契約がない。労働基準法や最低賃金法が適用されないのをいいことに、研修名目で長時間にわたって働かせる−。そんな事例が多発している。
雇用者が賃金から不当な天引きをしたり、パスポートや預金通帳などを管理するケースもある。今年3月には、人権侵害や残業代未払いの訴訟も起きている。このままでは国際問題にもなりかねない。改善は急務である。
5月30日
医師不足:政府・与党が対策案 研修医のへき地誘導など
政府・与党が31日の医師確保対策に関する協議会で決定する医師不足対策の原案が27日、明らかになった。対策は6項目で、地方の医師不足を招いたとされる臨床研修制度に関し、研修医が集中する大都市圏の定員を減らし、若手をへき地勤務へと誘導することなどが目玉。6月に決める「経済財政運営と構造改革に関する基本方針」(骨太の方針)に盛り込んだうえで、与党の参院選公約とする。
臨床研修制度は、研修医と厚生労働省の指定病院の双方の希望が一致して研修先が決まる。昨年の場合、定員1万1306人に対し、研修先が決まったのは8094人。受け入れ枠が上回り地方には1人もいない指定病院もあった。このため、大都市圏の枠を減らす案が浮上。政府・与党はへき地の研修医に対し、将来進みたい分野に行けるよう留学の機会を与えたり、収入加算などの優遇措置を設ける意向だ。
(毎日新聞)
医師人口比:20年には最下位転落 OECD30カ国中
人口1000人当たりの日本の医師数が、2020年には経済協力開発機構(OECD)加盟30カ国中最下位に転落する恐れがあることが、近藤克則・日本福祉大教授(社会疫学)の試算で分かった。より下位の韓国など3カ国の増加率が日本を大きく上回るためだ。日本各地で深刻化する医師不足について、国は「医師の地域偏在が原因で、全体としては足りている」との姿勢だが、国際水準から懸け離れた医師数の少なさが浮かんだ。
(毎日新聞)
医師確保担当の副市長が辞表 男鹿市立病院の兼職問題
秋田県男鹿市立の「男鹿みなと市民病院」が採用した非常勤医が兼職の禁止されている国家公務員だった問題で、佐藤文衛副市長は27日、辞表を提出し受理された。佐藤副市長は医師の確保の担当で、「ずさんな契約を結んだ責任を取った」という。
市は3月、佐藤副市長の知人のつてで「医療コンサルタント」を名乗る男性から紹介された医師と雇用契約を結んだ。その後、市議会からの指摘を受けて調べたところ、国家公務員である防衛省医官とわかり、契約を解除した。医師が診療したのは4日間だけだった。
(朝日新聞)
竹田市の竹田医師会病院 来月から救急指定辞退 地域医療が深刻化(大分)
竹田市の竹田医師会病院が6月1日から、救急告示医療機関(救急病院)の指定を辞退することが分かった。常勤内科医の辞職に伴い救急病院として対応できないことが理由。豊後大野市の公立おがた総合病院でも常勤内科医が相次ぎ退職する予定だが、後任の確保のめどは立っていない。県内の地域医療制度が揺らいでいる。
(西日本新聞)
政府与党が最終判断へ 労働3法案、天下り規制
国会は会期末まで一カ月を切った。政府、与党は、最低賃金の底上げなどを図る労働関連三法案や、天下り規制強化を柱とする国家公務員法改正案など重要法案に関し、成立か見送りかの最終的な判断を迫られる。
一方、年金問題で与党に攻勢をかける野党側は、社会保険庁改革関連法案の衆院通過に抵抗する構え。七月の参院選をにらみ、緊張感が高まりそうだ。
格差問題への取り組みを重視する安倍晋三首相は、最低賃金法改正案など労働三法案の成立に意欲をみせる。対する野党側は、社会保険庁改革関連法案の強行採決に反発、労働三法案の提案理由説明を欠席しており、法案の行方は不透明だ。
(中国新聞)
次々と医師が流出!このままでは自治体病院が無くなる?(噂の東京マガジン)
市町村などが運営する自治体病院で“医師不足”から各地で危機的状況に陥っているというので清水國明が取材した。
栃木県南部の地域医療を担う佐野市民病院では、かつて29人いた常勤医が今年3月には全員退職した。なんとか2人の医師を新たに確保できたのだが残りは非常勤の医師。診察科目は大幅に縮小し、救急患者の受け入れも中止した。
千葉県銚子市立総合病院でも、この1年で35人の常勤医のうち13人が辞めた。そのため新規入院の受け入れが不可能になったという。このような医師不足の背景には医療費の抑制、医師を増やさないという国の方針があるのだ。
埼玉県の済生会栗橋病院も深刻な医師不足に陥っている。若い外科医は32時間勤務のあと手術室へ向かった。小児科ではわずか2名の医師で当直など全ての勤務をやりくりしている。医師のひとりは「お母さんが“救急”といえば断れないが全てを受け入れていたら崩壊する」という。
(TBS)
産婦人科医の勤務改善訴える、盛岡で講演会(岩手)
産婦人科医の不足など、県内を取り巻く医療問題について考える「県産婦人科医会講演会」が26日、盛岡市菜園の県医師会館で開かれ、助産師や県職員ら約100人が参加した。
県産婦人科医会(小林高会長)が主催した。「産科医療のあり方を考える」と題して利部輝雄前盛岡赤十字病院院長が講演。1994年に132人いた県内の産婦人科医が、2004年には89人に減ったことを指摘し、「県内の産婦人科医は月平均61時間の超過勤務を強いられており、環境改善が急務」と訴えた。
(読売新聞)
大弦小弦 (2007年5月27日 沖縄タイムス朝刊 1面)
それぞれの人にそれぞれの考えがあるのは当然で、同じ考え方では、社会は無味乾燥になってしまう。
だが、それも事と次第である。司法になると、違った判断は不信感を招くこともある。小児科医がうつ病で自殺したのは過労やストレスが原因だとして、妻が労災を求めた行政訴訟で、東京地裁は労災の適用を認めた。だが、妻が損害賠償を病院に求めた民事訴訟で東京地裁は一転して、過労を否定した。同じ裁判所で正反対の判決だ。
多い時で月八回の宿直勤務が過労の原因かが争点の一つだった。「深い睡眠を確保するのは困難だ」と多さを認める判断と、日本小児科学会の実態調査をもとに「突出して多いとまではいえない」と否定する判断に分かれた。
仕事上のストレスでうつ病になり、二〇〇六年度に労災認定を受けた人が二百五人で過去最多になった。長時間労働や成果主義の浸透などが認定増加の要因と厚生労働省はみる。小児科医が自殺したのは八年前だが、小児医療は改善されているとはいえない。
「医師が安心して働ける場になってほしい」。そんな思いで妻は提訴に踏み切ったという。献身的に働く医師を守れなくて、患者の健康を守れるだろうか。(銘苅達夫)
国立病院の医師「バイト収入」、3カ月で933万円
国立病院の医師の一人が昨年、給与以外に3カ月間で計933万円の「アルバイト収入」を得ていたことがわかった。大半が講演料や原稿料で、利害関係の審査が必要となる製薬会社からの報酬も多かった。厚生労働省は「本業に支障はない」と問題視していないが、国家公務員倫理法を所管する菅総務相が「非常識」との認識を示すなど、政府内でも見解が割れている。
小宮山泰子衆院議員(民主)が25日の衆院決算行政監視委員会で明らかにした。
(朝日新聞)
週のはじめに考える 医療崩壊を食い止めよ(東京新聞社説)
産科や小児科の医師不足
医療の「崩壊」や「危機」とは、病院の医師が激務を理由に次々に辞めてしまい、産科や小児科などの診療科や外来の閉鎖が相次いでいる実情にあります。地元で出産できず、また小児科救急に対応できない地域が増えているのです。
辞めた医師の多くは開業医に転じているそうです。昨年の開業件数は六千件以上といいます。
勤務医の過重な労働環境は、大学病院による医師引き揚げ問題が影響しています。二〇〇四年度から実施された新臨床研修制度で、研修医が自由に研修先を選べるようになり、研究が主体で症例の少ない大学病院に残る研修医が減りました。
大学病院が人手不足を補うため、地域の関連病院から医師を引き揚げるようになり、結果的に残された勤務医の労働環境がより厳しくなるという悪循環が始まったのです。
もう一つ、医療危機の大きな背景があります。あるいは、こちらの方が深刻かもしれません。現場の医師たちが使命感や誇り、自信を失いつつあるというのです。
近ごろは、医師と患者の関係が逆転したといわれます。わがままで身勝手な患者や家族が増えたとも聞きます。現場の医師が、ささいなことで怒鳴り込まれ、訴えるぞと迫られる。そうした状況が日常化し、さらに医療事故で刑事責任を問われるケースも増えました。医師は自信を失って委縮し、ときにおびえているようにさえ見えるそうです。
医師側にも責任があります。医療ミスを隠したり、治療費を不正請求したりと不祥事が続出しています。医療の権威の低下が、医師への尊敬を損ねているのも事実です。
運営順調 地域に安心 「こども準夜診療センター」設置半年 諫早市(長崎)
諫早市内の小児科の開業医と勤務医が協力して夜間の小児救急にあたる「諫早市こども準夜診療センター」が健康保険諫早総合病院(諫早市)に開所して半年が過ぎた。既存の病院と地元医師会、運営費を負担する自治体の3者が連携した取り組みは県内初。センターの診療時間は午後8時から同11時までの3時間だけだが、開設でさまざまな効果が表れている。小児科医の減少で地域の小児救急の在り方が問われる中、“諫早方式”が注目を集めそうだ。
(西日本新聞)
大竹で小児科診療を一部制限(広島)
大竹市玖波、国立病院機構・広島西医療センターが医師不足のため、小児科診療の一部受け入れ制限を始めている。地域の中核を担う医療機関だけに、市は「若者世帯の市外流出につながりかねない」と懸念している。小児科診療は4月から、それまで24時間態勢で受け付けていた救急の時間外診療を、午後8時までとした。同時に、入院についても期間が1週間程度の軽症患者に限定。重症患者は市外へ転送する。
(中国新聞)
勤務医の労働改善など求める−県立病院長と知事ら意見交換(山形)
県立病院の病院事業管理者会議が25日、山形市の県立中央病院で開かれ、全国的に問題となっている勤務医の過重労働などについて、病院長と斎藤弘知事らが意見を交換した。
意見交換では、勤務医の過酷な労働状況の改善を求める声が相次いだ。特に、過重労働の要因となっている夜間の救急医療体制や医師不足について、医師側から「開業医の協力を得られるシステムづくりを行政が指揮し、人的資源の活用を考えてほしい」「研修医を引きつける努力が必要だ」「労働に見合った給与体系の見直しも検討してはどうか」などの意見が出された。
(山形新聞)
5月29日
島根県が養成の自治医大生の半数が流出
へき地医療を担う目的で島根県が養成した自治医科大卒業生の義務年限後の地元定着率は57・1%で、全国平均の70・9%を大きく下回っていることが分かった。深刻化する医師不足の解消へ、待遇改善などで定着率の向上が求められそうだ。
同県によると、県が養成した自治医大卒業生は六十三人。義務年限の九年を終えた四十二人のうち十八人が県外の大学や医療機関での勤務を選択し、継続して県内で働くのは二十四人にとどまっていた。
総務省の二〇〇五年七月時点でのまとめでは、都道府県別のトップは新潟で90・0%。岩手、奈良など80%台も多かった。最低の福島、熊本は50・0%で半分の定着にとどまっている。鳥取は63・6%。
卒業生が出身地を離れる理由は、地元に義務年限後の主な勤務先となる県立病院やポストが少ないことや、最先端の医療に触れたりスキルアップの機会が持ちにくいことなどが指摘される。
(山陰中央新報)
労働審判の申立件数1163件・制度発足から1年で、最高裁発表
会社と労働者個人との紛争を迅速に解決するため昨年4月に始まった労働審判制度で、最高裁は26日までに、3月末までの1年間で全国の地裁への労働審判の申立件数が1163件(速報値)に上ったと発表した。
審理が終了したのは919件、平均審理期間は74.2日で、7割は目標とされた「3カ月以内」に終了していた。
(日経新聞)
県立大野病院の裁判 鑑定医も証言が揺れる(福島)
大熊町の県立大野病院で帝王切開の手術を受けた女性が死亡した事件の公判がきょう開かれ、女性の子宮を鑑定した病理鑑定医が証言に立ちました。
業務上過失致死などの罪に問われている、県立大野病院の産婦人科医、加藤克彦被告は、2004年の12月、当時29歳の女性の帝王切開の手術をした際、癒着した胎盤を無理に引き剥がして死亡させたなどとされています。
きょう福島地裁で開かれた5回目の公判では、死亡した女性の子宮を鑑定した病理鑑定医の証人尋問が行われました。
この鑑定医は、まず検察官の尋問に「胎盤の癒着を予測できた可能性がある」とする検察側の主張に沿った証言をしました。
しかし、鑑定医は、弁護側の反対尋問には「手術の前に行う超音波検査では、癒着を予測するのは難しい」と違った見解も示し、争点の一つとなっている癒着の予測に関して、その判断の難しさが浮き彫りになった形です。
(福島中央テレビ)
中津市民病院:産婦人科の休診などで、県が対策協議へ /大分
医師不足による産婦人科の休診などが問題になっている中津市民病院について県は28日、阿南仁・福祉保健部長らを同病院に派遣し、産婦人科復活問題を院長らと協議する。
同病院で24日開かれた県政ふれあいトークで広瀬勝貞知事が対策に乗り出す考えを示した。同病院の増田英隆院長が(1)医師不足による産科などの休診(2)老朽化による建て替え(3)緊急医療態勢の見直し−−などの問題を挙げ「市民病院を核に、民間病院のそれぞれの病院と連携した中津方式の地域完結型(総合病院化)の医療態勢がほとんど機能していない」と述べ「24万人医療圏(宇佐市や福岡県豊前市などを含む)で産婦人科がないのはおかしい」と復活を強く要望した。
(毎日新聞)
高砂市民病院:経営改善へ市が素案 特別委で厳しい意見 /兵庫
厳しい経営環境にある高砂市民病院(350床)を審査する市議会市民病院経営改善対策特別委員会が25日開かれ、市は岡恒雄市長が5月中の策定を明言していた経営健全化計画の素案を明らかにした。内容をめぐって若干の質疑が交わされたが、会派に持ち帰って検討することとし、これまでの調査と合わせて6月定例会で委員会としての中間報告をする。【成島頼一】
同病院は医師不足に加え診療報酬のマイナス改定などの影響をもろに受け、05年度決算で約4億6700万円の純損失を出すなど累積赤字は約73億円に上っている。
素案によると、計画期間を今年度から11年度までの5年間に設定。基本方針を「自治体病院として不採算医療や救急医療は継続しながら、バランスシートを導入し、収入の確保と費用の削減に努める」としたうえで、▽医師数と病床数(現行37人を40〜45人確保、適正な病床稼動)▽収益の向上(インターネット公募も導入した常勤医師の確保、医師の待遇改善など)▽歳出削減(職員数の適正化や委託などの見直し)▽新規事業の取り組み(東播磨医療圏域での他病院との機能分化とともに内科の特化)▽一般会計からの特別繰り入れ−−などの具体的な取り組みを挙げている。
(毎日新聞)
奥州市:小児救急受け入れ 水沢に夜間診療所−−来月から /岩手
奥州市は6月1日から水沢区多賀21の水沢医師会館内に小児夜間診療所を開設し、365日毎晩午後6時半から午後9時まで小児救急医療を受け入れる。県内では保健センター内に開設している盛岡市(午後7時〜午後11時)に次ぎ2番目。運営には水沢医師会が協力し、80〜90人の医師が輪番制で詰める。
小児科の診療が閉じる夜間は症状が軽度な子供も県立胆沢病院と総合水沢病院に診療に訪れるため、両病院に負担が集中し本来の重度な救急医療が困難になっていた。今年4月から胆沢病院の小児科医が1人になったことも背景にある。両病院には毎晩20人前後の子供が夜間診療に来るがその大半は急な発熱や軽いけがで初期医療で済む症状という。
当面は水沢医師会会員の医師が輪番で務めるが、来年4月からは江刺医師会の医師も加わる。看護師と事務員は市が雇った。
(毎日新聞)
自治体再建法案、衆院委で可決 早期是正で破たん防止
衆院総務委員会は二十四日、財政危機に陥った地方自治体に適用する新たな再建法制となる自治体財政健全化法案を、自民、公明、民主、国民新の各党の賛成多数で可決した。二十五日の衆院本会議で可決し、参院に送付する。
同法案は、自治体の財政破たんを防ぐため、現行の地方財政再建促進特別措置法にはない早期是正措置を盛り込んだのが特徴だ。
財政状況判断の指標として《1》普通会計の赤字額の割合を示す実質赤字比率《2》水道や病院など全会計赤字額の割合を示す連結実質赤字比率《3》毎年度の借金返済額の割合を示す実質公債費比率《4》第三セクターや公社を含めた連結債務額の大きさを示す将来負担比率−を用い、自治体の財政状況を多角的に把握する。
(北海道新聞)
病院累積赤字が401億円に(新潟)
県は25日、病院、企業、新潟東港の3企業会計の2006年度決算を発表した。病院事業会計の単年度赤字は29億2700万円と前年度より15億8700万円増加し、過去2番目に高い赤字額となった。診療報酬のマイナス改定や患者数減少による収益減が響いた。
赤字は20年連続。累積赤字は401億9000万円に膨らみ、初めて400億円台に達した。15病院中5病院で損益が改善したものの、医師不足の状況で経営環境は依然厳しく、黒字は一減の6病院にとどまった。企業局の電気事業会計と工業用水道事業会計は黒字、工業用地造成事業会計は赤字。東港臨海用地造成事業会計は、一般会計から31億円を一時借り入れして補てんし、事業を終了した。
(新潟日報)
地域医療は今・自治体病院、(5)黒字へ 一丸で意識改革
鹿児島市や埼玉県で病院経営を立て直し、自治体病院の「再建請負人」とも呼ばれる武弘道氏(70)(川崎市病院事業管理者)は、そう訴えて危機感をあらわにした。
自治体病院の多くが赤字に陥っている要因について、「経営観念が全くないまま流されている部分がある」と、武氏は指摘する。コスト意識の徹底で鹿児島市立病院の黒字経営を続けた手腕を買われ、埼玉県から赤字に苦しむ四つの県立病院の改革を依頼されたのは2001年。県健康福祉部参事となり、早速、収支の見直しに取り組んだ。
その際の基礎資料にしたのは厚生労働省などを通じて個人的に収集してきた全国各地の自治体病院のデータだ。医業収支や医師、看護師の1日当たりの収益、医薬品購入費……。データは23年分、50病院に及ぶ。
埼玉県では四つの県立病院が別個に医薬品を購入していた。「それでは値引き率も悪くなる」。物品購入チームを作り、一括購入する方式に改めた。4病院で購入する医薬品は年間約40億円。1%でも値引きできれば4000万円は削減できる。
赤字に苦しんでいた福岡県の大牟田市立総合病院も、数値目標を設定してコスト意識を重視したことで立ち直った。各部門ごとに達成の度合いを点検する「目標管理システム」を2005年度から本格的に導入。早速、初年度、13年ぶりに約1億9000万円の黒字を計上した。
先頭に立って改革に取り組む経営改善対策室の肥川(こいかわ)一元室長(58)は、「かつて民間病院の運営も経験したが、自治体病院は民間が手を出さない採算性の低い分野をカバーせざるを得ない部分がある。公共性とともに経済性も両立させることが医療の質を保つためにも重要だ」と話している。
(読売新聞)
地方の医師不足 解消へあらゆる手だてを尽くせ(愛媛新聞社説)
地方の医師不足が大きな社会問題になっている。本県でも病院や診療所の休廃止、入院部門の取りやめ、診療日の削減などが続いている。特に南予では医療体制が急速に弱体化している。事態は深刻だ。
対策として政府、与党は受け入れ病院の総定員を削減する方向で検討している。研修医が集中している大都市圏の定員を減らし、研修医を地方へ誘導する狙いだ。地域に定着する可能性も強まる。しかし、やり過ぎれば新制度の目的がゆがめられる。注意も必要だ。
臨床研修を終えた医師を対象にした調査では、大学病院について「雑用が多い」「待遇が悪い」などの不満が多かった。こうした点も改善しなければ地方への誘導は難しい。
ほかにも国公立大学の医学部に、卒業後に過疎地勤務を義務付ける「へき地枠」を創設する方向で政府、与党は調整に入った。入学定員百人当たり五人程度を同枠として増員する案が上がっている。
産科医や小児科医の不足に関しては、厚労省などは昨年まとめた「新医師確保総合対策」で出産時の事故に対する無過失補償制度創設や、小児科医、産科医を重点配置する拠点病院づくりなどの施策を打ち出した。医師の負担をできるだけ軽くする必要がある。
プライマリ・ケア 医療を病む人の側に取り戻す(宮崎日日新聞社説)
休日。「変だな」と体の異変に気付き、すぐ近くのお医者さんへ行く。医師は普段から接していて患者の健康状態は熟知。軽症ならその場で。緊急なら専門、救急病院に手配する…。
■病院と開業医の分担■
「3時間待ちの三分診療」。大病院で見かける集中的な受診状況だ。なぜそうなったのか。高度化・専門化する医療技術や設備、科目は大きな病院が完備しやすく、患者に安心感を与えることになる。また開業医の中で夜間や休日診療、往診のできる医師が少なくなってきたことも患者離れに拍車をかける。
いきおい、大きな病院には患者があふれ、勤務医は疲弊。全国では病院の激務に耐えかねて退職する医師が増え大きな社会問題にもなっている。日本医師会が提唱している「かかりつけ医」の定着は、こうした大病院と開業医の受診のアンバランスを打開。専門的治療と入院は大病院で、日常の病気や健康相談などは開業医という「役割分担」を進める狙いがある。厚生労働省がこのほど示した「総合科医」構想も、背景に医療費抑制があり多くの課題を抱えてはいるものの、「町医者」の復権的意味を持つ。
野党、厚労相不信任案提出も
民主党は社保庁改革法案を採決する29日の衆院本会議で、柳沢伯夫厚生労働相の不信任決議案の提出を検討する。28日の社民、国民新両党との幹事長会談で最終調整する。小沢一郎代表が先頭に立ち、7月の参院選に向けて年金記録漏れ問題を最大の争点に据えて攻勢を強める。
25日の衆院厚生労働委員会の総括質疑で、民主党の山井和則氏は「受給者の落ち度ではなく、記録をなくした社保庁の対応が問題だ。立証責任を受給者から社保庁に変えるべきだ」と主張。同党の長妻昭氏も「年金記録の調査期限を明示すべきだ」などと畳みかけ、政府の救済策では不十分だと強調した。
(日経新聞)
5月28日
女性医師の就労支援、病院内に保育所も…不足解消へ緊急案
地方で深刻になっている医師不足解消を目指す「医師確保対策に関する政府・与党協議会」の緊急対策案が25日、明らかになった。
対策案は、〈1〉出産・育児などで離職する割合が高い女性医師が働きやすい職場環境を整備する〈2〉現役を退いた医師などを中心とした「医師バンク」を作って医師がいない地域に派遣する――などが柱だ。
医師不足地域への対策として、国が都道府県からの要請を受け、医師を臨時に派遣できるようにする「医師バンク」を設ける。登録者としては、高齢の医師、企業内などで活動している医師などを想定している。
このほか、〈1〉産科医減少を避けるため、医療事故の際、患者に金銭補償を行う補償制度を早期に実現する〈2〉勤務医の過重労働を解消するため、交代勤務制を促進し、医師や看護師、助産師などの業務分担も見直す――などの項目も盛り込んでいる。
(読売新聞)
医師不足対策 医学部定員増も提案 国公立大に地域枠
政府・与党が検討している緊急の医師不足対策の全容が25日、明らかになった。国レベルの緊急医師派遣という短期的対策から、大学医学部の定員増や推薦入学枠の拡充などで医師の養成増を図る中長期的対策まで6項目。勤務医の過重労働の解消や、女性医師が働きやすい環境づくりも目指す。6月上旬に最終案をまとめ、政府の「骨太の方針」や与党の参院選公約に盛り込む。
当面の対策としては、「国レベルで緊急の医師派遣体制を整備する」とした。都道府県からの要請に応じ、国立病院を管轄する国立病院機構や全国ネットワークを持つ病院から、数カ月〜1年程度、各地の自治体病院などに医師を派遣する。定年退職して間もない医師に呼びかけるなどして医師を確保する。
また、勤務医の過重労働を緩和するために交代勤務制など働きやすい職場環境を整備。医師、看護師、助産師の役割分担を見直し、医療事務員の配置を支援する。女性医師が出産や育児を機に離職するのを防ぐため、病院内に保育所を整備し、復職のための研修なども行うとしている。
(朝日新聞)
解雇・賃金カット…労働紛争巡る相談、過去最多の18万件
全国の都道府県労働局や労働基準監督署などに寄せられた、解雇や賃金カットなどの労働紛争の相談件数が、2006年度は18万件を超え、過去最多を更新したことが25日、厚生労働省のまとめで分かった。
戦後最長の好景気を迎えながらも、労使間の紛争が依然として増え続けている現状が浮かび上がった。
まとめによると、06年度の労働紛争の相談件数は18万7387件(前年度比6・2%増)。内訳をみると、「解雇」23・8%(前年度26・1%)、賃金カットなどの「労働条件の引き下げ」12・8%(同14・0%)が減ったが、「いじめ・嫌がらせ」が10・3%(同8・9%)に増加した。
(読売新聞)
医師不足解消策を強化 宮城県「医療推進委」設置
医師不足の解消策を強化するため、宮城県は7月、医療関係者らで構成する「県地域医療推進委員会」を設置する。医師を一定規模の病院に集約化させるモデル事業など、新しい施策の展開を目指す。国に対し制度改正や規制緩和策も提言する。
委員会は自治体病院長や東北大教授、県医師会、県薬剤師会、県看護協会の関係者ら約20人で構成する予定。
産婦人科や小児科の深刻な医師不足について抜本的な解決策を検討する。救急医療の充実に向けた搬送手段の改善や、宮城県沖地震に備えた医療体制の構築についても協議する。へき地への医師派遣のあり方なども調査する。
(河北新報)
医師不足などの問題考える、自治体病院等開設者協が総会(京都)
病院を運営している府・市町などでつくる府自治体病院等開設者協議会(会長・四方八洲男綾部市長)は25日、京都府綾部市青野町の綾部市立病院で総会を開き、医師不足など、自治体病院がかかえる問題について考えた。
協議会には府と10市町、2病院組合が参加。黒字経営を続ける綾部市立病院の鴻巣寛副院長が「自治体病院の現状と課題」と題し、講演した。同副院長は都市部、民間病院への医師の偏在、医療従事者の過重労働、医療訴訟の増加など厳しい現状を指摘。病院では「院内保育所の設置など労働環境の改善、医学生・看護学生の勧誘、医療事故に対し病院をあげて責任体制をとる、などが必要」とした。
(京都新聞)
地域医療は今・自治体病院、(4)「過疎地で存続」運営者を変更
京都府福知山市大江町の井上恭子さん(78)はそう言って夫の順さん(78)とともに市立新大江病院(72床)の送迎ワゴン車に乗り込んだ。山間部にある大江町の人口は病院が開設された1953年当時、1万2000人だったが、現在は5500人。過疎化が進む。井上さんは、脳梗塞(こうそく)を患った夫の予後診療のため、約1キロ離れた自宅から2週間に一度、2人で病院を訪れる。
町立としてスタートしたこの病院は、大江町と福知山市の合併協議が始まった2003年4月、存続の危機に立たされた。病院は過疎化の影響を受けて病床稼働率が下がり、経営は悪化していた。福知山市は、町が年間2億円の繰入金で支える赤字を嫌い、診療所への縮小を示唆した。
「自治体の直営ではなく医療法人なら存続を図れるのではないか」。大江町は有識者も交えて議論を重ね、院長を中心とした医療法人を設立して運営を任せる「指定管理者制度」での存続を決意した。
(読売新聞)
増える医療費未払い 『格差』ひずみ ここにも(石川)
県立中央病院(金沢市)と県立高松病院(かほく市)の医療費未払いが二億円を超えている。医療改革による高齢者やサラリーマンへの負担増のほか、患者のモラル低下も原因とみられる。病院は対応に苦慮するが、国による抜本策を求める声も出ている。
主な未払い者は年金生活の高齢者。県立中央病院では無職の若者や中高年のほか、フリーターも多い。両病院の医事課は「医療制度改革で負担が増したサラリーマンや高齢者などの低所得者へのしわ寄せが大きい」と分析する。「県立という役割上、きつい取り立てはできない。危機感はあるが…」。県立中央病院の担当者は頭を抱える。
(中日新聞)
患者負担増から予防重視へ=厚労白書の骨子案
厚生労働省は25日、2007年版厚生労働白書の骨子案を自民党厚労部会に示した。「医療構造改革の目指すもの」との仮題で、医療費が増加し続ける中、患者の自己負担引き上げなどによる対応にも限界があると指摘。今後の医療政策の方向性として、生活習慣病対策を中心とする予防の重視などを掲げた。8月中に取りまとめ、柳沢伯夫厚労相が閣議に報告する。
(時事通信)
医師手当廃止反対87% 県内公務員医師アンケート(沖縄)
特殊勤務手当に位置付けられた医師手当が廃止された場合、県立病院や保健所で働く公務員医師の5割近くが「退職したい」と考えていることが、今月中旬に公務員医師会が会員を対象に実施した調査で分かった。調査は県総務部が保健所などで働く県知事部局の医師32人に対し医師手当廃止方針の通知を文書で送付したことを受けて実施。手当廃止に「反対」との回答が174人、87・0%に上ったのに対し、「賛成」はわずか8人、4・0%だった。
保健所や県立病院の医師でつくる公務員医師会(大城清会長)は県内の公務員医師約330人のうち、同会会員226人を対象に「医師偏在化問題と医師手当に関する意識調査」を実施。200人(回答率88・5%)から回答を得た。
医師手当が廃止された場合は「退職したい」との回答が95人、47・5%で、「最後まで勤務する」とした19人、9・5%を大きく上回った。
(琉球新報)
個別労働紛争の相談が最多 18万7千件、いじめ微増
解雇やいじめ、嫌がらせなど、労働者個人と使用者の間のトラブルについて、労働局の「個別労働紛争解決制度」に寄せられた相談が、2006年度に約18万7000件に上ったことが厚生労働省の集計で、25日分かった。前年度より6%増え過去最多だった。
解雇の相談が24%で最も多く、次いで労働条件引き下げの13%だが、いずれも前年度より微減。これに対し、いじめ・嫌がらせは1ポイント増え10%だった。
(東京新聞)
早急な医師配置を、自民党本部で窮状訴え 銚子市長
銚子市の岡野俊昭市長が、永田町の自由民主党本部で開催された自由民主党政務調査会の緊急医師不足対策特命委員会(中川昭一委員長)に出席。医師不足から診療科目が減少し、経営危機に陥っている市立総合病院の窮状を説明した。
岡野市長は、同様の問題を抱える北海道士幌町長、島根県隠岐の島町長、大分県中津市長らとともに出席。同病院の佐藤博信院長、日本医師会の内田健夫常任理事、日本看護協会の古橋美智子副会長らも同席した。
(千葉日報)
5月27日
格差の現場:07年知事選の争点/下 困難続く地域医療 /青森
◇止まらぬ勤務医減少−−県対策に成果みえるが…
五所川原市郊外にある大型商業施設「エルムの街」の周辺に、数年前から「開業医の街」が姿を現し始めた。医師のほとんどは、公立病院などの勤務医から開業医に転身した人たちだ。
数年前に小さなクリニックを開業した40代の男性小児科医も元勤務医だ。今月下旬のある日の夕、院内には、まだ7組の患者が順番待ちしていた。そこに突然、ほおを赤らめ、ぐったりした男の子を抱いた母親が駆け込んできた。既に診療受け付け終了の午後6時を40分も過ぎていたが、診療を断ることなどできない。結局、全員を診察し終えた時は午後7時を回っていた。
開業医は激務だ。それでも、医師は「勤務医時代に比べれば全然苦にならない。勤務医は2〜3日寝ないのが当たり前だった」と笑い飛ばした。
県は公立病院の運営を効率化して地域医療の崩壊を防ごうと、県内を一定地域に分割し、各地域の中核病院に医師を集中させようとしている。外ケ浜中央は陸奥湾東側の地域で中心的な病院と位置づけられており、県は「病院再編のモデルケース」と自賛している。
だが、この県の病院再編に対し、地域医療の現場では疑問の声も多い。津軽地方の病院関係者は「いくら再編しても、医師数が増えなければ医師の負担は軽減されない。激務が続けば勤務医は辞めていく」と指摘する。
県が描くデザインで、命の格差を広げる「医療格差」は解消できるのか。地域医療の未来は、まだはっきりと見えてこない。
(毎日新聞)
地域医療は今、(2)安易な利用、病院は限界
2006年2月に「救急告示医療施設」を返上した新潟県阿賀野市の市立水原郷病院。地域医療を担い、患者もひっきりなしに訪れる その病院は、いつでもどんな症状でも診てもらえるという気安さから1年ほど前まで「コンビニ病院」と呼ばれていた。
だが、一昨年暮れごろから次々と医師が退職し、昨年2月には「救急告示医療施設」(救急病院)の指定を撤回する事態に追い込まれてしまった。辞めた医師の一人は「夜間の外来や呼び出しで、どの医師も無理を重ね、ぼろぼろになっていた。それでも、だれも評価してくれなかった」と当時を振り返る。
夜間などの時間外診療になると仕事を終えた人も訪れた。時間外の外来患者数は1日平均24〜25人。次から次へと外来が来て、当直はまさに戦場のような忙しさだった。「8割が軽症者で本当に救急診療を必要とする人は少なかった」と同医師。疲れた医師の軽症者への対応が粗略になることもある。すると、対応が悪いなどとしてすぐに苦情が出る。市の審議会でも「市立病院なのに医師の対応が悪い」と批判された。
(読売新聞)
学校に理不尽な要求する親、教委が対応 再生会議
政府の教育再生会議(野依良治座長)が来月初めにまとめる第2次報告案の概要が明らかになった。問題があるとされる保護者の対応に教育委員会が乗り出すなど「親」への対策を打ち出しているのが特徴だ。ただ、緊急提言を見送った「子育て指南」については、子育て支援策の拡充にとどめた。6月にとりまとめる政府の「骨太の方針」に盛り込む。
報告案の概要によると、課題を抱える子どもだけでなく、保護者への対応で困っている学校を支援するため教育委員会に「学校問題解決支援チーム」(仮称)を新たに設置。チームには警察官OBや弁護士、臨床心理士などが参加し、学校に理不尽な要求をするいわゆる「モンスターペアレント」と呼ばれる親の対応にあたる。教委を「指導」から「共に考え、支援する」立場に転換すると提言している。
(朝日新聞)
地域医療救済策考える 東北大シンポの講演録出版
東北大大学院医学系研究科が開いた地域医療シンポジウムの講演内容などをまとめた「医師不足と地域医療の崩壊―今、医学部に何ができるのか」が出版された=写真=。東北の医療現場を覆う窮状に苦悩しつつも、前向きに解決策を模索する医学部の姿を分かりやすく紹介している。
東北にある6大学医学部の地域医療への取り組みをそれぞれ紹介。定員に地元枠を設けた入試導入の意義や、地域と連携した学生教育の必要性などに触れている。
パネル討論では、地域医療に対する医学部の考え方、激務で減少する勤務医の問題などが取り上げられた。公開のシンポとは別に開かれた医師不足をテーマにした座談会も収められている。
(河北新報)
伊那中央病院地域救急医療センター 専従医師4人減へ(長野)
伊那中央病院(伊那市)の地域救急医療センターで、4月当初6人いた専従医師が大学病院などへの異動や退職により7月から2人となる見通しであることが24日、分かった。病院では医師の確保に努めるとともに、上伊那医師会と対応策の協議を始めたが、救急患者の8─9割を占める比較的軽症な1次救急患者は「受け入れを制限せざるを得ない」(小川秋実院長)といい、地域医療の在り方にも大きな影響を与えそうだ。
センターは2003年4月の病院新築移転に伴い新たに開設。医師が2人1組で、24時間態勢で勤務し、緊急な治療や、入院の必要がある2次、3次救急に加え、入院を必要としない程度の1次患者も受け入れてきた。
しかし、全国的な医師不足の影響などで、医師が4月末と5月末に各1人大学病院などに異動。6月末に1人が異動し、1人が退職予定。今のところ補充のめどが立たないという。
(長野日報)
入院・夜間診療を休止 北秋田・市立阿仁病院(秋田)
秋田県北秋田市の市立阿仁病院(60床)は今月、入院病床と夜間・休日診療の休止に追い込まれた。常勤医師が3人から2人に減ったためで、医師確保のめどは全く立っていない。病院のある旧阿仁町は、高齢者が多く、開業医が1人もいない山間地。住民からは、医療の質の低下に、「このままここで暮らしていけるのか」と不安の声が上がっている。
(河北新報)
道、市町村立病院の経営健全化を組織横断で支援(北海道)
道は市町村立病院の経営健全化に向け、庁内横断的な支援態勢を整える。医療サービスの確保を担う保健福祉部と市町村財政を監視する企画振興部が初めて連携。病院ごとに各支庁の担当者が地元と検討会議を組織し、他の病院との連携や運営効率化を助言する。地域医療の継続と市町村財政の健全化の両立が求められるなか、全庁的な支援が欠かせないと判断した。
市町村立病院は地域医療の拠点を担ってきたが、医師不足が道内全域で大きな社会問題となっている。経営が悪化している病院も増えており、2009年度に連結ベースで自治体の財政状況を判定する新再建法制に移行した場合、病院の赤字が原因となって「第2、第3の夕張」が出かねない。
(北海道新聞)
大学研修医 3年で半減 本年度は97人(北海道)
臨床研修制度が導入された二○○四年度以降、道内の三大学病院で研修を受ける医師が減少し続け、本年度は○四年度の54%減の九十七人となったことが二十四日、分かった。一方、研修後に三大学病院に就職した新人医は昨年度比12%減の百九十人となっており、研修医の大学離れで、大学病院の医師不足が加速している現状が浮き彫りになった。
同日、札幌市内で開かれた道医療対策協議会で道が報告した。
また、同日の医療対策協議会では、高橋はるみ知事が会長に就任。医師確保対策として、自治体病院と民間病院、開業医との連携体制をつくることや、地方勤務を義務付ける奨学金制度の創設、病院に医師を効率的に配置する集約化構想などについて協議した。
(北海道新聞)
子ども医療費 現物給付分1・6倍(栃木)
県の子ども医療費助成制度の拡充に伴う、現物給付導入による助成件数・医療費(昨年六月−今年三月)は、導入前に比べともに一・六倍にとどまり、当初見込んでいた二倍を下回って推移していることが二十四日、分かった。インフルエンザの流行開始が今年は遅かったなどの要因が考えられるが、県保健福祉部は「制度が定着しておらず、通年ベースで引き続き推移を見る必要がある」としている。
医療機関窓口で一時立て替えの手間がない現物給付は三歳未満が対象。同部によると、十カ月間の件数は八十二万七千件で、導入前より三十二万件近く増えた。県内市町と折半している医療費の県負担分は三億円増の八億四千九百万円だった。
制度拡充は、福田富一知事がマニフェスト(公約集)に掲げ、昨年四月から実施。対象を未就学児から小学三年まで引き上げ、医療機関にかかる率がほかの年齢に比べ高い三歳未満は現物給付とした。ただ医師不足が深刻な現状から、三歳以上の償還払いの対象者には一部自己負担を新たに設けた。
(下野新聞)