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5月7日

子どもの人口、最低の1738万人・減少は26年連続
 総務省が「こどもの日」にちなんで4日発表した推計人口(今年4月1日時点)によると、15歳未満の子どもの数は前年より14万人少ない1738万人となった。子どもの人口は26年連続の減少で、統計上確認できる1920年以降の最低記録を更新した。総人口に占める割合は前年を0.1ポイント下回る13.6%。こちらも33年連続で低下し、少子化の進展が改めて浮き彫りになった。
 男女別では男子が891万人、女子が847万人。3歳ごとの年齢層別では中学生の12―14歳が362万人と最も多く、最少のゼロ―2歳は323万人。年齢が低くなるほど少なくなっている。
 都道府県ごとの子どもの割合(昨年10月1日時点)は、沖縄が18.4%と最も高く、滋賀(15.3%)、佐賀(14.9%)と続いた。最も低かったのは東京の11.6%で秋田(12.1%)、北海道(12.6%)の順。
(日経新聞)

【患者が支える医療 米国の取り組み】(上)何ができる
 日本と比べ患者の「自己責任」が強く求められる米国では、患者たちがより良い医療を受けるため、自ら努力を続けている。日本でも昨年、患者団体の働きかけでがん対策基本法が成立するなど、患者参加型の医療へ向けた取り組みが始まっている。患者が支える米国の医療事情を報告するとともに、日本国内での今後の課題を探る。
(産経新聞)

保育料滞納34億円、悪質例多く差し押さえも…読売調査
 自治体の認可保育園で2005年度に滞納された保育料が、全国の主要都市だけで34億円近くに上ることが、読売新聞の調査で分かった。
 本来徴収されるべき保育料に占める割合(滞納率)は2・3%に達している。支払い能力が十分あるにもかかわらず、長期間にわたって滞納を続ける保護者も多く、財産差し押さえなどの強硬措置をとる自治体も現れている。
 読売新聞は3〜4月、全国の道府県庁所在地、政令市、東京23区の計73市区を対象に、05年度の保育料の滞納額を聞いた。
 その結果、全市区でそれぞれ200万円以上の滞納があり、本来支払われるべきだった保育料の総額1447億3322万円に対し、滞納総額は33億9767万円に上った。文部科学省の調査で全小中学校の滞納総額が22億円超、滞納率0・5%だった学校給食費に比べても、深刻な状況に陥っている。滞納額が多かったのは、大阪市(3億7973万円)、仙台市(2億1730万円)など。東京23区は全体で5億6780万円。滞納率は東京都北区(9・6%)、世田谷区(7・4%)などで高かった。
(読売新聞)

少子化対策:政府の有識者会議が苦慮 妙案浮かばず
 少子化対策を検討する政府の有識者会議「子どもと家族を応援する日本重点戦略検討会議」は6月の中間報告に向け、連休明けから議論を加速させる。焦点は出産、子育てと両立できる新たな働き方をどう具体化できるか。将来の人口減少をにらみ、働き手を確保しつつ出生数を増やすという難題に挑んでいる。会議メンバーは「団塊ジュニア世代の出産適齢期はあと数年。政策展開を急ぐ必要がある」と危機感を強めるが、妙案はなかなか浮かばないのが現状だ。
(毎日新聞)

新人看護師が辞めていく、04月27日(金)
 看護師不足が深刻化する中、医療現場では新人看護師が次々に辞めていく事態が起こっている。即戦力として厳しい勤務をこなしながら、高度化する医療技術や患者への対応の仕方など、様々な課題に追われ、精神的、肉体的に疲弊してしまうためだ。日本看護協会の調べでは、1年以内に職場を去る看護師の数はおよそ4500人。10人に1人が辞めている。川崎市にある聖マリアンナ医科大学病院でも、昨年度、1割を超える新人が辞めた。今年4月に入ってきた新人は124人。看護師を辞めさせず、一人前にどう育てていくか、病院側は様々な対策に乗り出している。新人看護師を取り巻く現状と課題を伝える。
(NHK 「特報首都圏」)

本県で低出生体重児と帝王切開増(青森)
 体重二五〇〇グラム未満の「低出生体重児」の割合が本県で年々高くなっている。高齢出産、生殖補助医療の普及による多胎妊娠の増加、妊婦のやせ志向−などが背景にあるとされる。ハイリスク妊娠の増加とともに、帝王切開分娩(ぶんべん)の割合も全国並みに上昇。高まるリスクを回避するため県内の医療関係者は「出産前の妊婦健診を必ず受けてほしい」「行政は健診の補助を増やしてほしい」と訴えている。
(東奥日報)

<4>疲弊する医師、8人で手術年3600件
 3月4日夕、救急車のサイレンが響き、高岡市永楽町の厚生連高岡病院救命救急センターに次々急患が運びこまれた。午後6時20分から20分間で立て続けに4台。狭い病院の入り口で患者を運ぶストレッチャーが交差する。
 同病院には、麻酔科医は6人いるが、3次救急と呼ばれる重篤な急病人を引き受けるには、研修医も入れて10人は欲しいという。その分を補うため、休みを削らざるを得ない。
 医師全体が不足する中で、麻酔科、小児科、産科医の不足は特に深刻だ。各市町村からの要望を受け、県が昨年5月に設置した「県小児科・産科等医療対策検討会」の中間報告書によると、最も手術件数が多い県立中央病院で、2005年は3576件。それを8人の麻酔科医が担う。麻酔科医が足りないために、手術の予約待ち日数が長くなる傾向さえある。
 県立中央病院小児科の勤務医の1日あたりの時間外勤務は約6時間、1か月のうち自宅待機は8回、当直回数は約4回で、翌日も通常勤務を行っている。
(読売新聞)

<5>開業医が夜間救急、「病診連携」突破口に
 南砺市福光で石黒医院を開業する石黒雅臣院長(73)は2日夜、同市梅野の公立南砺中央病院で夜間の救急外来を担当した。「電子カルテにはなかなかなじめませんね」と苦笑いする横で、病院当直医で泌尿器科の山本健郎医師(32)が「内科は専門外。開業医の先生にいてもらえると助かります」と笑顔を見せた。
 同病院では4月から、地元の開業医と病院の勤務医がペアになって救急を担当する全国でも珍しい試みを始めた。開業医ら55人で作るNPO法人「南砺市医師会」が、内科医を月、水、金曜日の週3回、午後8時から同11時まで派遣している。
 連携のきっかけは、同病院の医師不足だ。2002年度の開院当初16人いた常勤医は、06年度に9人に減少。臨床研修制度導入で大学病院で働く医師が足りなくなり、金沢大が公立南砺中央病院に派遣していた医師を引き上げたからだ。
(読売新聞)

5月6日

災害時救助:「妊婦優先」配慮を 学会が指針づくり
 災害時に妊婦や胎児をどう救護するかを示す指針づくりを、日本産科婦人科学会と日本産婦人科医会が共同で進めていることが分かった。大規模被災地では多数の母児が被害を受ける可能性があるが、負傷者救助の優先順位を決める「トリアージ」の区分には、要救護の女性が妊婦である場合が考慮されておらず、改善を求める声が挙がっていた。指針には、妊婦なら優先順位を上げることや、搬送・処置にあたっての注意点が盛り込まれる予定だ。
(毎日新聞)

救急隊員に暴行、東金署、無職女を逮捕(千葉)
 東金署は三日、公務執行妨害と器物損壊の現行犯で九十九里町不動堂、無職、水野弘容疑者(49)を逮捕した。
 調べでは、水野容疑者は同日午前九時四十五分ごろ、自宅近くの空き地に一一九番通報で呼び出した救急車内で「早く病院に運べ」などと言って暴れ出し、男性救急隊員(35)ら三人に対してけるなどの暴行を加え、車内の医療器具を壊した疑い。
 同署によると、水野容疑者は「頭が痛い」と言って救急車を呼んでいた。
(千葉日報)

セクハラは男性にもダメ 裸踊り強要など
 改正男女雇用機会均等法が4月に施行され、女性だけでなく、男性へのセクシュアルハラスメント(性的嫌がらせ)の防止も企業に義務づけられた。これまで、「男同士だから」と大目にみられた言動も、場合によっては懲戒処分の対象になる。一体どんなケースがセクハラになるのか、法改正は男性社員にとってどんな意義があるのか−。専門家2人に聞いた。
 厚生労働省では職場でのセクハラを、上司の性的な言動を拒んで降格などの不利益を受ける「対価型」と、性的な言動によって不愉快な思いをさせられたりする「環境型」の2タイプに分けている。
 インターネットの情報サイト「All About」で「ストレス」ガイドを務める産業カウンセラーの大美賀(おおみか)直子さんによると、「ありがちなのは、上司から風俗店やキャバクラへ行く誘いを男性社員が断るようなケース」という。「この結果、上司ににらまれ、仕事を与えられないようなケースは、『対価型』のセクハラになる可能性があります」
 また、会社の宴会で男性社員に裸踊りを強要したりする“体育会系のノリ”も、本人が不快に感じれば「環境型」セクハラになりうるという。
(産経新聞)

労災隠しを洗い出し 不適正な健保治療
 労働災害に遭ったのに労災保険を使わず健康保険で治療するケースが多いことから、厚生労働省は二日までに、労働者の治療情報を社会保険庁から提供してもらうことを決めた。各労働局に近く通知を出し、会社側が労災事故を労働基準監督署に届け出ない「労災隠し」の洗い出しに役立てる。
 不適正な健康保険利用の事例は年間数万件あるとされ、厚労省は「従来、労働者本人からの通報に頼ってきた労災隠しの発見に、大きな効果が期待できる」としている。
 労働安全衛生法は、職場で発生した労災によって労働者が仕事を休んだ場合、会社が労基署に届け出ることを義務付けている。治療費は労災保険から支払われる。
 しかし、労災発覚による会社のイメージダウンや、管理責任が問われることを嫌い、労災を隠して労働者に健康保険で受診するよう求める会社がかなりあるという。
(東京新聞)

東京労働局、仕事と子育て両立支援で日経など30社認定
 東京労働局は1日までに、次世代育成支援対策推進法に基づいて、仕事と子育ての両立支援に積極的に取り組む企業として日本経済新聞社など30社を認定した。同法では従業員に男性の育児休業取得者がいて、女性の育児休業取得率が70%などの基準を満たしている企業を認定する。各企業が2―5年間の行動計画を作ったうえで、計画通りに両立支援が進んでいるか評価する。ほかに認定を受けたのは野村総合研究所、アメリカンファミリー生命保険など。
(日経新聞)

平川病院の診療所化を正式決定、市議会が条例案可決(青森)
 国保平川病院(診療休止中)をめぐる問題で、平川市議会は2日、臨時会を開き、病院の廃止と診療所設置を定める条例案を賛成多数で可決し、同病院の診療所化が正式に決まった。国保平川診療所は早くて6月を目標に、院長となる常勤医の招へいと準備が整い次第、診療再開を目指す。
 診療所転換関連条例案の提案理由で、外川三千雄市長は医師確保と財政問題が病院存続の障害になったと説明。05年度3億円以上、06年度見込み2億円以上の一般会計からの繰り出しがあり、05、06年度で合計2億6千万円以上の不良債務を抱える見込みを明らかにした上で「今後の一般会計に及ぼす影響は極めて大きい」とし、理解を求めた。
(陸奥新報)

閉鎖病院の医療機器オークション 忠岡町(大阪)
 忠岡町は、町のホームページ(HP)などを通じて、経営難のため3月末に閉鎖した公立忠岡病院の備品売却を始めた。対象は検査・治療機器類やベッドなどで、提示価格の高い順に決定する。HPを通じての申し込み締め切りは9日、運送費は購入者負担。
 病院事務局がなくなり、経理処理などを町企画財政課が引き継いでいるが、HPを通じた購入申し出とは別に、民間病院などから複数の問い合わせが来ているという。町は「できるだけ高く買ってもらい、病院の処理費用に充てたい」としている。
(読売新聞:リンクが切れました)

津島市民病院 医師不足で診療制限、神経内科、患者受け入れ休止(愛知)
 津島市民病院は、内科常勤医師の急減に伴い、今月から診療制限に踏み切った。3月まで12人在籍していた内科常勤医が4月に11人に、5月は9人に減り、さらに7月には8人になる見込みという。
 内科医の急減に伴い同病院は今月から、神経内科での新規の患者受け入れを休止。外来で比較的症状が安定している患者には近隣の開業医を紹介している。
 また、平日時間内の内科の新しい患者については、原則、開業医の紹介状がある人を診察し、2次医療機関に求められる診療、病院でなければできない診療を最優先したいとしている。
(読売新聞)

5月5日

2006. 10. 31妊婦死亡大淀病院 脳出血疑いもせず 意識消失「失神」けいれん「子癇」診断 大阪朝刊社会39
読売新聞に診療記録が掲載されています。
(読売新聞ヨミダス文書館)

11月めどに産科休止 登米・佐沼病院(宮城)
 登米市立佐沼病院(宮城県登米市迫町)の産婦人科が11月をめどに分娩(ぶんべん)の受け入れを休止する見通しであることが1日、分かった。産科の休止は、医療資源の集約化を進めて医師の負担が大きい一人診療を解消する国や東北大の方針を受けた。「現時点で複数の産科医、小児科医を確保できる見通しが立たない」(佐沼病院)と判断した。
 佐沼病院は5つある市立病院の中心で登米医療圏の中核病院。産科休止後は、市内で分娩ができる医療施設は民間診療所1カ所となる。
 同病院の産科は、昨年3月末で常勤医が2人から1人に減ったのに伴い、体制を縮小。経過が順調な地元在住の経産婦のみを受け入れ、月50件前後あった分娩は、月14―18件に減った。
(河北新報)

(3)女性医師と育児 過酷な両立、育休あきらめた 同僚に負い目
 「子供を産んでも働きやすい世の中になってほしい」(横浜市立大病院で) 1・26。わが国の合計特殊出生率は危機的な数値に落ち込んでいる。官民あげて知恵を絞る中、医療現場でも、産婦人科医や小児科医らが厳しい労働条件に耐え、子どもの誕生や成長を支えている。しかし、皮肉にも、そこで働く女性勤務医自身の出産・育児環境ほど厳しいものはない。
(読売新聞)

柏原病院に小児科医派遣 県立こども病院(兵庫)
 小児科の医師不足が深刻な丹波市柏原町の県立柏原病院が四月中旬から、神戸市須磨区の県立こども病院から週二日、医師の派遣を受け、緊急的な診療態勢で臨んでいる。当面は六月末までの臨時的な対応だが、こども病院が単発ではなく、一定期間、他の県立病院を支援するのは初めてという。
(神戸新聞)

リンクスタッフが仲介事業 日本語のできる中国人医師を日本の医療機関に
 転職を希望する医師を医療機関に橋渡しする人材紹介会社、リンクスタッフ(東京都港区)は1日、日本語のできる中国人医師を日本の医療機関に仲介する事業に乗り出す方針を明らかにした。中国の国有人材会社、北京外企人力資源服務(FESCO)との提携関係を拡大し、日本語の話せる中国人医師のデータベースを活用する。日本国内では医師が都市部に偏在し、地方での医師不足が社会問題化しているほか、深刻化する小児科、産婦人科の医師不足にも対応する。
(FujiSankei Business i)

「患者様」ちょっと違和感 「患者さん」に戻す病院も
 「患者様」という呼び方が病院ですっかり定着した。しかし、好きで病気になったわけでもないのに、違和感を感じる人もいる。もともと患者の立場を尊重した医療の実現などを意識して使われ始めた言葉だが、「日本語としておかしい」という指摘もあり、「患者さん」に戻す病院が出てきた。
(朝日新聞)

5月4日

全医学部で地域医療実習 体験重視、医師不足に対応
 山間部や離島などで医師不足が深刻化する中、文部科学省は2日までに、医学生を各地域の診療所で実地訓練する「地域医療臨床実習」を、国公私立すべての大学医学部で実施するよう、医学教育の指針(モデル・コア・カリキュラム)を改定した。
 地域医療で特に重要とされるプライマリーケア(初期診療)や在宅医療などの体験を通じ、各地で求められる医師像を医学生に伝えるのが目的。卒業生が大都市部に集中するのを抑え、過疎地域での医師不足解消につなげる狙いもある。
(東京新聞)

「分娩」重い負担感 勤務医は全員 産婦人科医調査
 医師不足が深刻化する産科医療の現場で、産婦人科医の6割以上は仕事に負担を感じていることが、河北新報社が宮城県内の産婦人科医を対象に実施したアンケートで明らかになった。東北各地で分娩(ぶんべん)を取りやめる病院、診療所が相次いでいるが、分娩を扱う医師ほど負担感が大きくなっている傾向も浮き彫りになった。
(河北新報)

「ER京都」の運営始める、伏見・京都医療センター
 京都市伏見区の国立病院機構京都医療センターは1日、時間外の救急受け入れを円滑にする救急救命室「ER京都」の運営を始めた。宿直医・日直医5人が、患者の重症度にかかわらず、すべての症例の初期診療を行う。京都府内の救急救命センター(3次救急医療施設)で、こうした北米型のERに取り組むのは初めてという。
 ER京都では、小児科疾患は現在受け入れ困難なほか、救急処置が必要な人が優先としている。
(京都新聞)

【千変上海】前田徹 市場化した「医は仁術」(中国)
 そんな小村さんの話を聞いて心底驚いたのは、中国が実は大変な医療危機に直面しており、抜本的な解決法が当分、見あたらないことだった。
 小村さんによると、中国の農村は改革開放前までは人口の90%が人民公社を単位とする合作医療制度によってカバーされ、基本的な診療を受けられるようになっていた。だが、人民公社の消滅でほぼ全員無保険になったうえ、国公立病院が市場経済の導入で所得水準の低い農村部から撤退し、医師に診てもらえない状態にあるという。
 つまり広大な農村地帯の大半がいわゆる無医村になってしまった。本来、人口抑制のため全土に張り巡らした人口計画生育委員会が日本の援助で家庭保健制度を広める場になろうとしているのは、この無医村状態を改善するのが目的というわけだ。
(産経新聞)

格差社会に『使い捨てやめろ』 フリーターらメーデー集会
 派遣労働者やフリーターの若者らによる「自由と生存のメーデー」が三十日、東京・新宿で開かれた。「非正社員を使い捨てにするな」「残業代を支払え」。一日のメーデーを前に、いつもは集まることのない若い参加者が集まり、切実な声を休日の繁華街に響きわたらせた。
(東京新聞)

医の現場 疲弊する勤務医、(1)「医師逮捕」心キレた
ミスの不安と激務 女医辞める
「精いっぱいやっても患者が亡くなれば逮捕。これではやっていけません」
 昨年夏、公立病院に勤務していた一人の女性産婦人科医(42)が、そんな理由で医療現場を去った。月6回の当直日は翌日夕まで32時間の連続勤務。仕事の合間にコンビニエンスストアのおにぎりをかじり、睡眠不足のまま手術することも。たまの休日でも呼び出しがかかる。スタッフ削減などで仕事は増える一方だ。
 体力の限界。この生活がいつまで続くのかという不安。燃え尽きる直前の女医に、白衣を脱ぐ決断をさせたのが福島県で起きた「大野病院事件」だった。

 今年2月、妊娠10か月の母親が東京都内の病院に担ぎ込まれた。異常妊娠で男児は死亡していたが、産婦人科医(35)は母親の命を守るため陣痛促進剤を使い、出産を支えた。「助けるよ。心配しないで」。十数時間の格闘で、医師は母親を励まし続けた。
 翌日、両親は男児の病理解剖を望んだ。「原因が分かれば他の赤ちゃんが救われる。でも顔は傷つけないで」
 が、その後の病院の対応が両親との信頼関係を壊す。大野病院事件の医師は異状死体の届け出義務違反でも立件されたが、この二の舞いを恐れた病院側が警察に連絡したのだ。警察官の姿を見た父親が叫んだ。「なぜ警察を呼ぶの?(司法解剖で)顔も切るの? 僕の赤ちゃんだよ」
(読売新聞)

(2)患者の「院内暴力」急増、苦情対応 信頼回復の試み
 患者が病院に寄せた意見や苦情。スタッフの対応や待ち時間の長さに関するものが多い。
「おれの親を殺す気か」「お前ら、謝れ」
 今春、関東地方の病院の面談室。末期の入院患者の息子が主治医や看護師を相手にどなり声を上げた。
 面談室の扉の側に息子ら家族を座らせたため、医師たちは出口をふさがれた形になった。3時間近く罵声(ばせい)を浴びた末に土下座を強いられた。精神的ショックが尾を引き、何人かが数週間、職場を休んだ。病院は刑事告訴も検討したが、医師たちは「もう思い出したくない」と拒んだ。
 最近、医師や看護師が患者から暴言を浴びるケースが増えている。医療現場でそんな声を聞いた北里大医学部の和田耕治助教らが昨年、病院の臨床医485人を対象に調査したところ、過去半年間に患者の「暴言」を受けた医師は25・8%に上った。「暴力」を受けたケースも3・1%あった。看護師への暴言・暴力は、医師へのそれよりも、はるかに多いとも言われている。
(読売新聞)

医師の多忙、「武勇伝」では済まされず
 この16日、日大板橋病院で臨床研修中だった女性研修医(当時26歳)が昨年4月に自殺した事件について、遺族の「自殺は過労でうつ状態となったのが原因」という主張が認められ、労災認定されていたことが分かり新聞各紙で報じられました。
 研修医の過労死については以前にも書きましたように(「研修医の過労死と研修必修化」)、1998年に研修医が過労死した事件が、裁判化して労災と認定されました。「研修医の労働者性」について司法判断も確立し、早急に彼らの過酷な労働環境を何とかしなければとされ、2004年4月から必修化された臨床研修制度の導入にも大きな影響を与えています。厚生労働省の研究班によると、米国では研修医の労働時間に週80時間以下という制限を設け、違反には処罰規定もあり、EU(欧州連合)も現行の週58時間を、遠からず週48時間に短縮しようという流れのようです。日本でも厚労省が臨床研修必修化に伴い、研修病院に労働基準法などの労働法規に従うようにと指導していますが、現場では十分な配慮がされているかどうか心許ないところです。実際に十分な配慮がなかなかうまく行っていないのが、今回の結果にも出ているように思います。
 ところで、このような問題が報じられる中で、既にエスタブリッシュした旧研修制度を経た医師たちの中から、「われわれのころは、連日病院に泊まり込んで、何日も家に帰ったこともなかった」というような「武勇伝」を耳にすること再々です。しかし、私はそれは少し違うと思っています。新研修医たちが特別にヤワになったわけではなく、環境が大いに厳しくなったということだと思います。部長級の医師でも過労自殺の判決の出る時代、覚え頃切り頃の医師の過労死、バーンアウト、逃散、日々女工哀史ならぬ、勤務医哀史が進んでいます。
(日経メディカル オンライン)

福島・大野病院事件の第4回公判が開催
「医療過誤はないと判断、異状死の届け出せず」と院長

 次回の公判は5月25日。大野病院が病理解剖を依頼した医師への尋問が行われる。その後は確定はしていないが、6月には検察側の鑑定書を書いた、ある大学の産婦人科教授への尋問が検討されている。6月までは検察側の証人だが、それ以降は弁護側の証人への尋問が続く。加藤医師本人、胎盤病理の専門医、周産期医療の専門医、医師法第21条に詳しい法律家のほか、今回の事件が産科・外科医療などに与えた影響について説明してもらうため、日本産婦人科学会の代表者などが証人候補として挙がっている。「月1回のペースで公判が開かれる。結審は来年の春くらいが予定されているが、少し伸びるかもしれない」
(日経メディカル オンライン)

柏原赤十字で5月14日から「応急診察室」(兵庫)
 丹波市医師会 (田中潔会長) と丹波市は21日、 柏原赤十字病院を使って実施する平日夜間救急について詰めの協議を行い、 5月14日から受け入れを始めることで合意した。 名称は、 「丹波市8時〜10時応急診療室」 とする。
 受け付け時間は、 午後7時半から同9時半。 診察時間は午後8時から同10時。 市医師会の会員が日替わりで、 当番医を務める。 現在のところ、 22人から23人が事業に賛同しており、 今月中に会員に最終的な協力可否を再度調査し、 人数を確定させ、 当番表の作成を進める。 当番表は、 事前に一カ月分をまとめて公表し、 何科の医師が当番なのか、 氏名と診療科を周知する。
 田中会長によると、 小児患者は、 専門外の医師が診察するのが難しい場合があることから、 事前に同病院に電話 (0795・72・0555) し、 診察の可否を確認した上で来院することが望ましい。 来院者のほとんどが当番医にとって 「初診の患者」 になることが見込まれることから、 症状にもよるが、 2時間の診察時間内に20人診察ができるかどうかという。
(丹波「未来」新聞)

専門医を紹介する「総合科」新設・厚労省方針
 厚生労働省は分野を問わず幅広く手掛ける医師の診療科として「総合科」を新設すると決めた。患者がまず総合科の医師を訪れ、症状など診療の必要性に応じ専門医を紹介してもらう仕組みを整える。医療効率化と同時に、脳神経外科など専門分野を受け持つ病院勤務医の負担を減らす。
 厚労省は総合科の医師を同省の認可対象とすることで「お墨付き」を与え、能力の高い医師を集める狙い。現行の制度では内科や小児科、整形外科といった診療科名を看板に掲げる規制はないが、例外として麻酔科だけが厚労省の認可を必要とする。医療法関連の政省令を改正し、早ければ来年度中にも創設する。
(日経新聞)

死亡妊婦カルテ、医師専用ネットに流出
 奈良県大淀町立大淀病院で昨年8月、出産中に意識不明となり、19の病院に受け入れを断られた後、死亡した高崎実香さん(当時32)のカルテ内容がインターネット上に流出していることが29日、分かった。医師専用の会員制掲示板に「カルテのコピー」を見たとの書き込みがあり、複数のブログなどに転載された。高崎さんの遺族は担当弁護士と協議し、個人情報保護条例や地方公務員法(守秘義務)違反などで刑事告訴を検討している。
 高崎さんのカルテ内容とみられる情報は、医療関係者のものとみられる複数のブログなどに今も転載されている。あるブログは、掲示板への書き込み以前に、遺族が報道陣に「カルテのコピー」を公開していたと主張。コピーを医療関係者が分析してまとめただけとし「(個人情報保護条例違反には)当たらないだろう」と書き込んでいる。しかし、遺族側は「報道陣に公開したのは、出産のために入院した昨年8月7〜8日の『看護記録』だけ。カルテなど公開してない。さらされた情報には、遺族も知らない通院中のカルテの内容が含まれ、病院関係者しか知り得ない情報だ」としている。
(日刊スポーツ)

中小病院7割 「看護師不足」 県医師会調査、「7対1体制」で争奪戦が加速(宮城)
 県内の約7割の中小病院が恒常的に看護師不足に悩んでいることが、県医師会のアンケート調査でわかった。昨年4月の診療報酬改定で導入された「7対1看護体制」をきっかけに、病院間で繰り広げられた看護師の争奪戦が、特に中小病院に影響を及ぼしていることが背景にあるとみられる。県医師会では「これでは中小病院がどんどんつぶれていく」と、制度の改善を訴えている。
(読売新聞:リンク切れてます)

5月3日

セクハラ:阪大院教授に賠償命令 安全配慮義務違反と
 大阪大学大学院の女性研究員が上司の男性教授から出張先で性的暴行を受けたとして500万円の賠償を求めた訴訟で、大阪地裁(西川知一郎裁判長)が性的暴行の事実を認めて教授に慰謝料300万円の支払いを命じていたことが明らかになった。提訴まで約5年経過していたため、判決は不法行為による賠償責任(提訴時効3年)ではなく、部下をセクシュアルハラスメントの危険にさらした安全配慮義務違反に基づく賠償責任(同10年)を認めた。教授は暴行自体を否定しており、控訴して争っている。
(毎日新聞)

在宅医療の報酬上げ・厚労省方針、入院減らし医療費抑制
 厚生労働省は「在宅医療」を充実させるため、24時間体制で往診や看護に応じる開業医の診療報酬を2008年度から引き上げる方針だ。外来患者の診療に頼って在宅医療に取り組まない開業医の診療報酬は抑え込む。費用のかかる入院を減らして自宅での療養を促すのが狙いで、医療費の膨張を防ぐ。
(日経新聞)

死亡妊婦のカルテ内容、医師専用掲示板に流出
 奈良県の大淀町立大淀病院で出産中に意識不明になり約20の病院に受け入れを断られた後、死亡した高崎実香さん=当時(32)=のカルテ内容などがインターネット上に流出していることが29日、分かった。医師専用の掲示板に「カルテのコピーを見た」などと書き込まれた文章が、ブログなどに転載された。遺族は、個人情報保護条例や地方公務員法(守秘義務)違反などでの刑事告訴を検討している。
(産経新聞)

診療情報のインターネット上への流出と法令

刑法
(秘密漏示)第134条 医師、薬剤師、医薬品販売業者、助産師、弁護士、弁護人、公証人又はこれらの職にあった者が、正当な理由がないのに、その業務上取り扱ったことについて知り得た人の秘密を漏らしたときは、6月以下の懲役又は10万円以下の罰金に処する。

大淀町個人情報保護条例
第7章 罰則
(罰則規定)
第50条 実施機関の職員若しくは職員であった者又は第10条第2項の受託業務に従事している者若しくは従事していた者が、正当な理由がないのに、個人の秘密に属する事項が記録された第2条第4号アに係る個人情報ファイル(その全部又は一部を複製し、又は加工したものを含む。)を提供したときは、2年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処する。
第51条 前条に規定する者が、その業務に関して知り得た保有個人情報を自己若しくは第三者の不正な利益を図る目的で提供し、又は盗用したときは、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

地方公務員法
(秘密を守る義務)第34条 職員は、職務上知り得た秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も、また、同様とする。2 法令による証人、鑑定人等となり、職務上の秘密に属する事項を発表する場合においては、任命権者(退職者については、その退職した職又はこれに相当する職に係る任命権者)の許可を受けなければならない。3 前項の許可は、法律に特別の定がある場合を除く外、拒むことができない。
(罰則)第60条 左の各号の一に該当する者は、1年以下の懲役又は3万円以下の罰金に処する。
2.第34条第1項又は第2項の規定(第9条の2第12項において準用する場合を含む。)に違反して秘密を漏らした者

介護保険料にボランティア制、活動に応じポイント獲得…65歳以上対象
厚労省が新制度、健康維持 給付の抑制狙う
 厚生労働省は、介護保険と連動させた高齢者ボランティア制度を考案し、全国の市町村に普及させていく方針を決めた。積極的に社会参加してもらうことでいつまでも元気でいてもらい、介護給付費の抑制につなげる考えだ。
 参加を促すため、活動実績に応じてポイントが獲得できるようにし、ポイントで介護保険料などが払えるようにする。大型連休明けに各市町村に通知する。
(読売新聞)

受診、最初は「総合科」→専門医に橋渡し…医療効率化狙う
 厚生労働省は、専門分野に偏らない総合的な診療能力のある医師を増やすため、新たな診療科として「総合科」を創設する方針を決めた。
 能力のある医師を国が「総合科医」として認定する仕組みを整える。初期診療は総合科医が行い、必要に応じて専門の診療科に患者を振り分ける2段階方式を定着させることで、医療の効率化を図り、勤務医の労働環境の改善にもつなげる狙いがある。日本医師会にも協力を求め、5月にも具体策の検討に入り、早ければ来年度中にもスタートさせる。
(読売新聞)

「労働基本権制約は時代錯誤」・公務員改革で行革相
 渡辺喜美行政改革担当相は29日のNHK番組で、国家公務員の労働基本権が制約されている現状について「時代錯誤だ。スト権まで含めた基本権の付与は当然のことではないか」と述べた。この問題を扱う政府の専門調査会(佐々木毅座長)に早期の結論取りまとめを促した形だ。
(日経新聞)

5月2日

自治体病院見直し加速 医師不足、赤字響く
 医師不足や赤字経営などから今年四月一日までの五年間で、全国に千近くある自治体病院のうち六病院が閉院、十七病院が民間へ移譲されたことが二十八日、総務省や全国自治体病院協議会の調べで分かった。
 計二十三件のうち七割に当たる十六件が二〇〇五年以降の二年間余りに集中、経営の見直しが加速している。これとは別に、民間事業者などへの運営委託も今年一月現在で四十三病院に上る。
 自治体病院は採算性が低い山間部や離島などのへき地医療や小児医療を担う一方、民間の医療機関が充実している都市部では役割が低下。地方財政の圧迫要因にもなっており、今後も病院経営から手を引く自治体は増えそうだ。
(東京新聞)

病気腎移植後ウイルス感染死、宇和島病院の調査委が公表
 病気腎の移植問題で、市立宇和島病院(愛媛県宇和島市)の調査委員会は29日、B型肝炎ウイルス陽性の患者の腎臓を移植された患者の1人がその後、ウイルス陽性になり、肝障害と急性膵すい炎で死亡していたことを明らかにした。
(読売新聞)

診療情報流出:19病院で転送断られた妊婦遺族が告訴へ
 奈良県大淀町の町立大淀病院で昨年8月、分娩(ぶんべん)中に意識不明になった高崎実香さん(当時32歳)=同県五條市=が、県内外の19病院で転送を断られた末に搬送先の病院で出産後に死亡した問題で、高崎さんの診療情報がインターネット上に流出していたことが分かった。遺族は被疑者不詳のまま町個人情報保護条例違反容疑で、5月にも県警に告訴する。
 流出したのは、高崎さんの看護記録や意識を失った時刻、医師と遺族のやりとりなど。ネット上の医師専用の掲示板に書き込まれ、多数のブログなどに転載された。この掲示板は登録者数10万人以上で、問題が報道された昨年10月から書き込みが始まった。
 遺族は「医師専用掲示板には患者の中傷があふれている。診療情報の流出は自分たちだけの問題ではないと思い、告訴に踏み切ることを決めた」と話している。
(毎日新聞)

大淀町個人情報保護条例
第7章 罰則
(罰則規定)
第50条 実施機関の職員若しくは職員であった者又は第10条第2項の受託業務に従事している者若しくは従事していた者が、正当な理由がないのに、個人の秘密に属する事項が記録された第2条第4号アに係る個人情報ファイル(その全部又は一部を複製し、又は加工したものを含む。)を提供したときは、2年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処する。
第51条 前条に規定する者が、その業務に関して知り得た保有個人情報を自己若しくは第三者の不正な利益を図る目的で提供し、又は盗用したときは、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
第52条 実施機関の職員がその職権を濫用して、専らその職務の用以外の用に供する目的で個人の秘密に属する事項が記録された文書、図画又は電磁的記録等を収集したときは、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

5月1日

転院断られ死亡の妊婦、詳細な診療情報がネットに流出
 奈良県大淀町の町立大淀病院で昨年8月、高崎実香さん(当時32歳)が出産時に脳内出血を起こし、19病院に転院受け入れを断られた後、死亡した問題で、高崎さんの診療経過など極めて詳細な個人情報がインターネット上に流出していることがわかった。
 情報は医師専用の掲示板に、関係者らしい人物が書き込んだとみられ、「転載して結構です」としていたため、同じ内容が、医師や弁護士など、かなりの数のブログに転載されている。
 遺族側の石川寛俊弁護士が28日、大阪市内で開かれた産科医療をめぐる市民団体のシンポジウムで明らかにした。石川弁護士は、個人情報保護条例に基づく対処を町に要請した。遺族は条例違反(秘密漏示)などでの刑事告訴も検討している。
(読売新聞)

医師不足解消訴え 4市で署名活動 秋田県医労連
 秋田県医療労働組合連合会(医労連)は28日、地方の医師不足や看護師不足の解消を求める街頭署名活動を、秋田、大館、能代、横手の4市で一斉に実施した。組合員の医師や看護師ら約100人が、街頭で「地域の医療を守ろう」と訴えた。
(河北新報)

昨年度道内 支援策が順調、移住273人 道、医師確保狙い拡充へ(北海道)
 道は、道内市町村と協力して昨年度実施した「移住促進事業」の実績報告をまとめた。道内生活を短期間経験してもらう移住体験事業の利用者は四百十七人、道や市町村の相談窓口を活用して実際に移住した人は二百七十三人に上り、道は「予想を上回る成果だ」(知事政策部)と総括。本年度の事業継続を決めるとともに、移住促進に民間活力の導入を図ることで内容を充実させ、深刻な医師不足解消にもつなげていく考えだ。
 また、高橋はるみ道政二期目の公約でもある医師不足解消に向けては、田舎暮らしを考えている団塊世代の医師らを対象に、「ちょっと暮らし」の特別プログラムを新設。短期間の移住体験の中で、実際に地域の診療活動にも協力してもらい、地域医療に取り組む「第二の人生」を検討してもらう考えだ。
(北海道新聞)

大野病院事件 院長「届け出不要」(福島)
 県立大野病院で04年に女性(当時29)が帝王切開手術中に死亡した事件で、業務上過失致死と医師法(異状死体の届け出義務)違反の罪に問われた、産科医加藤克彦被告(39)の第4回公判が27日、福島地裁(鈴木信行裁判長)で開かれた。同院の院長は、病院のマニュアルに従い、院長が警察に届け出る必要が無いと判断したと証言した。
 作山院長の証人尋問によると、女性が亡くなった04年12月17日の午後10時半ごろから、院長ら3人が、加藤医師と手術に立ち合った麻酔科医の2人から事情を聴いた。加藤医師らは「過誤にあたる行為は無かった」と報告したという。
 このため、院長は「医療過誤による死亡の疑いがある場合、院長が警察署に届け出る」という院内マニュアルの規定にあたらず、届け出の必要が無いと判断。マニュアルに従い、県の担当者と電話で協議した上、届け出ないことを決めたという。
(朝日新聞)

産科医療シンポ:被害者の視点忘れずに…大阪で開催
 被害者の視点を忘れずに産科医療について考えるシンポジウムが28日、大阪市内で開かれた。産婦人科病院「堀病院」(横浜市)と奈良県大淀町の町立大淀病院の医療事故の被害者遺族らが参加。産婦人科医不足の原因に被害者らによる訴訟の多さも理由とする声があることに、「被害者が裁判を起こすのは医師側があまりにも不誠実な場合だ」「医師もなぜ医療事故が起きたかを考え、再発防止に努力してほしい」と訴えた。
 堀病院の被害者遺族は「医師不足は問題だが、事故の被害とは別だ。医療側はまず事故の真相を究明してほしい」と語った。大淀病院の被害者遺族も「(事故が起きた理由など)真実を知りたい。そして二度とこんなことが起きてほしくない」と涙を流しながら話した。
(毎日新聞)

内山病院6月から休止 医師不足など 内子町(愛媛)
 喜多医師会(大洲市、清家秀登会長)は27日までに、喜多医師会病院(大洲市徳森)と統合する方針を決めていた内山病院(喜多郡内子町城廻)について、5月16日で外来患者診療を終了し、6月1日付で休止することを決めた。
 両病院の統合は医師不足や経営悪化などを理由に医師会が検討を進め、3月26日の臨時総会で統合を決定。一方、内山病院継続を求め同病院職員が3月、患者ら1万815人分の署名を清家会長に出し、内子町自治会連絡会も1万3234人分の署名を4月16日に提出していた。
 清家会長は内山病院休止期日の決定について「入院患者に不安が広がっており、落ち着く先を早く決めた方がいいと判断した」と説明。一部の入院患者は既に希望に応じて医師会病院などに転院させているという。
(愛媛新聞)

閉院6件、民間移譲が17件 自治体病院の見直し加速
 医師不足や赤字経営などから今年4月1日までの5年間で、全国に1000近くある自治体病院のうち6病院が閉院、17病院が民間へ移譲されたことが28日、総務省や全国自治体病院協議会の調べで分かった。計23件のうち7割に当たる16件が2005年以降の2年間余りに集中、経営の見直しが加速している。これとは別に、民間事業者などへの運営委託も今年1月現在で43病院に上る。
(東京新聞)

北側幹事長 医師不足解消に取り組む
 公明党の医師不足問題対策本部(福島豊本部長=衆院議員)は27日、衆院第2議員会館で初会合を開き、地域・診療科間の医師偏在の現状などについて、厚生労働省らと意見を交わした。坂口力、井上義久の両副代表、北側一雄幹事長、斉藤鉄夫政務調査会長、福島本部長らが出席した。
 同対策本部は、25日の自民、公明の与党両党の幹事長、国会対策委員長、政調会長の会談で与党プロジェクトチーム(PT)の立ち上げが了承されたことを受け、設置された。
 冒頭、北側幹事長は、地域の病院に医師を紹介していた大学医局の医師派遣機能の低下などに言及し、医師確保策について「どこに住んでいても必要な医療サービスを安心して受けられる体制の整備は国の役割であり責任だ。党を挙げて取り組んでいく」と強調した。
 会合では、出席議員から「初期臨床研修で地方への研修医派遣を促すべき」「女性医師が働き続けられる環境の整備が必要」「医局が担っていた役割を担う機関の明確な制度設計が必要。都道府県の医療対策協議会による地域への医師派遣機能を強化すべき」「勤務医の労働環境改善へ、診療報酬上の評価を検討すべき」などの意見が出た。
(公明新聞:管理人は当該政党の関係者ではありません)

大野病院医療事故:院長「医療過誤でない」判断、事故調指摘で揺らぐ−−地裁 /福島
 県立大野病院で起きた帝王切開手術中の医療事故で、業務上過失致死と医師法違反の罪に問われた同病院の産婦人科医、加藤克彦被告(39)の第4回公判が27日、福島地裁(鈴木信行裁判長)であり、証人尋問が行われた。事故を医療過誤ではないと判断した同病院の院長は、県の事故調査委員会で手術の問題性を指摘された際に「やってはいけないことをやってしまったのではないかと思った」と自身の考えが揺らいだことを明らかにした。
 同病院のマニュアルでは、医療過誤やその疑いがある時は院長が富岡署に届け出ることが規定されており、医師法でも医師自身が24時間以内に警察署に届け出ることが義務づけられている。院長は事故当日の夜、加藤被告と麻酔科医に事情を聴いたが「医療過誤にあたる行為はなかった」と答えたため、警察への届け出をしなかった。
(毎日新聞)

飯山赤十字病院、小児科医1人常勤へ(長野)
 小児科常勤医が4月から不在になっている飯山赤十字病院の川村信之院長は27日、小児科医1人が5月初めから常勤となることが決まった−と明らかにした。
 3月まで同病院に15年間勤務していた40代の男性医師が勤務を希望したという。小児科では、入院は引き続きできないものの、夜間・休日の救急が限定的に対応できるようになる。
(信濃毎日新聞)

4月30日

医師、歯科医師、獣医師、薬剤師の有効求人倍率 6.11倍(厚生労働省:平成19年2月)


医師、歯科医師、獣医師、薬剤師の有効求人倍率:一般常用4.7倍、パート常用9.0倍(東京都労働局、平成19年2月)


貸し切りバス運転手、睡眠施設の確保強化・国交省
 国土交通省は27日、全国の貸し切りバス事業者に対し、目的地に運転手の睡眠施設を確保することを義務付ける方針を決めた。大阪府吹田市で27人が死傷したスキーツアーバス事故の背景に、運転手の過重労働が指摘されていることから、運転手の身体的な負担を和らげる狙いがある。3カ月以内に省令を改正する。
(日経新聞)

党緊急医師不足対策特命委員会が発足、初会合(自民党)
 深刻化する医師不足問題に対応し、早急に対策を検討するため、中川昭一政調会長を委員長とする「緊急医師不足対策特命委員会」が設置された。4月27日に初会合を開き、党を挙げてこの問題に取り組んでいくことを確認した。
 会議の冒頭、あいさつに立った中川政調会長は「医師不足は特定の地域の問題ではなく、日本全体の問題。早急にやるべきことから中長期的なものまで政府・与党一体となって取り組んでいきたい」との決意を示した。
 この日の会議では、厚生労働省を始め、関係省庁から医師不足の現状などについて説明を受けた。同特命委としては、離島やへき地などに加え、都市部でも小児科や産婦人科などを中心に医師が不足している現状を解消するため、総合的な見地から検討を行い、予算や立法措置なども含めた対策を早急に打ち立てていく考え。
(自由民主党:管理人は当該政党関係者ではありません)

第1回岐阜県地域医療対策協議会
 医療関係者や行政機関、医療を受けるユーザーがメンバーとなって、地域医療の水準の確保を目指す「岐阜県地域医療対策協議会」の初会合が、4月26日、岐阜県庁で開かれました。
 続いて県から、世界的に見た日本の医師不足の現状や、女性医師が出産後に再就業しやすい環境を整備する必要があるなど、県内の医師確保対策が報告されました。医療現場からは、若手の医師とベテランの医師が、それぞれ自信を持って連携プレーのできるシステムの構築を進めていることや、看護職員の養成と確保の現状などについて報告され、意見交換が行われました。
(岐阜県)

大学の承認なく医師を採用 男鹿みなと市民病院(秋田)
 男鹿市は男鹿みなと市民病院(下間信彦院長)の内科の非常勤医師に、都内の大学病院で研修中の女性医師(30)を採用した。医師不足解消のためコンサルタント会社に依頼した結果で、女性医師は既に勤務を開始。しかし大学側の承認を得ていないことが26日に判明、議会から批判の声が出ている。
 この問題は同日開かれた市議会教育厚生委員会協議会で当局が報告した。女性医師は関東の大学で内科や外科などの研修を終え、現在は都内の大学病院で形成外科の研修を行っている。男鹿みなと市民病院での勤務は隔週の週3回で月6回。賃金は月100万円。今月23日からの3日間が初勤務となった。
 佐藤一誠市長らは「議会への説明なしに契約した点はおわびしたい。早く医師を確保したい一心だった。今後コンサルタント会社と話し合い、大学側の承認を求めていく」と話した。
(秋田魁新報)

内科の常勤医ゼロに(北海道岩内町)
 地方での医師不足、やはり深刻です。後志の岩内町にあるマチで一番大きい岩内協会病院では、常勤の内科医が、今月いっぱいでいなくなってしまいます。住民からは不安の声も聞かれています。
 岩内協会病院です。11の科を持つこの地域の中核病院で、内科の医師は4人いました。しかし、臨床研修制度がはじまったのをきっかけに派遣元の旭川医大が医師を引き揚げるなど、内科医が次々と病院を去りました。そして、内科の医師としは残る1人となっていた院長も今月いっぱいで退職すると申し出ました。
(札幌テレビ)

ワークライフバランスをテーマに長時間労働の是正求める
 厚生労働省は26日、07年版労働経済の分析(労働経済白書)の骨子案を自民党の雇用・生活調査会と厚生労働部会の合同会議で示した。初めて「ワークライフバランス(仕事と生活の調和)」をメーンテーマに掲げ、長時間労働の是正の必要性を強調したのが特徴だ。
 同骨子案では、働き盛りの25〜49歳の男性社員で週60時間以上働く人の割合がこの10年で上昇しているグラフを提示。特に、最も割合が高い35〜39歳では2割弱だった94年に比べ、04年は25%近くまで上昇していた。
(朝日新聞)

医師不足対策:自民が特命委発足 医師派遣制度など検討
 自民党は27日、医師不足対策を協議する特命委員会(委員長・中川昭一政調会長)を発足させた。地域の拠点病院からの医師派遣を制度化し、小児科、産科の医師不足を解消する案などを検討する見通し。6月をめどに緊急対策案をまとめ、参院選マニフェストに盛り込む。公明党も同日、同様の対策本部を設置しており、参院選をにらんで、与党でこの問題に取り組む姿勢をアピールする狙いもあるとみられる。
 厚生労働省によると、人口10万人当たりの医師数(04年)が最も少ないのは埼玉県(134人)で、茨城県(150人)、千葉県(152人)と続く。埼玉県と最多の徳島県(282人)では2倍以上の開きがあるなどばらつきが出ている。
(毎日新聞)

4月29日

北海道立の病院で医療事故331件発生
 北海道立の病院で2006年度に発生した医療事故は死亡事故を含む計331件だったことが26日、道が公表した調査結果で分かった。このうち治療を要した医療過誤は1件あった。
 患者に具体的な被害がなかった「ヒヤリ・ハット」事例も計3184件あった。
 調査は、道立病院の運営の透明性を高めるために06年度から実施。事故のほとんどは比較的被害の軽い事故だったが、死亡事故も4件あった。内訳は院内での自殺2件と廊下での転倒による死亡、食事介助中に患者が誤ってのみ込むなどして死亡したケース。
 医療過誤では、手術で胸に入れていた管を抜く際に、一部がちぎれて体内に残ったため、後日再手術をして取り除いた。
(日刊スポーツ)

8割で調停成立 審理も迅速化、労働審判制度でさいたま地裁
 解雇や退職強要、賃金不払いなどの労働紛争を迅速に解決するための労働審判制度が全国の地裁でスタートして、四月で一年が経過した。さいたま地裁への申し立て件数は三月三十日現在、計四十件で、審理が終了した二十六件のうち二十一件、約八割で調停が成立。平均審理日数も約八十一日とこれまでの民事訴訟に比べて格段に迅速化するなど、労働紛争への新しい解決策として注目が集まっている。
 さいたま地裁などによると、同地裁に申し立てられた四十件の内容は、解雇無効を求めた地位確認や賃金、残業代請求、パワーハラスメント(パワハラ)による慰謝料請求、退職金支払い請求など多岐に及ぶ。
(埼玉新聞)

サービスの国際化
 規制緩和とは別の問題として、日本型労働慣行や言語の問題などが日本におけるサービスの国際化の課題となると思われる。日本型労働慣行には、組織力を活かした安定的な経営の実現などの正の側面と、労働力市場の流動化を妨げるなどの負の側面が同居している。サービスの国際化の実現のために、サービスの同時性や不可分性などの特性の要因となるサービス提供者の生産性に、日本型労働慣行がどのように影響を与えるかを分析する必要がある。
(ITExpress)

「週60時間労働」時代
 大変な時代になった。1週間に60時間以上働くサラリーマンが増えている。労働経済白書(06年版)によると、世代別では、とくに「30代後半」が“働きづめ”で、この世代のほぼ4人に1人が長時間労働で頑張っているのだ。
 40〜44歳、45〜49歳の世代でも5人に1人が60時間労働に耐えている。週休2日だと1日12時間労働。8時間勤務として、毎日平均4時間も残業している勘定だ。
(日刊ゲンダイ)

小樽病院呼吸器操作ミス 市に1570万円賠償命令 札幌地裁
 市立小樽病院の看護師が二○○二年、人工呼吸器の電源を入れ忘れて女性入院患者=当時(84)=が死亡した事故をめぐり、遺族が小樽市に計約四千七百七十万円の損害賠償を求めていた訴訟の判決が二十五日、札幌地裁であった。奥田正昭裁判長は市に約千五百七十万円の支払いを命じた。
(北海道新聞)

4月28日

母親ら「小児科を守る会」設立 県立柏原病院(兵庫)
 丹波市内の母親ら十三人が、「県立柏原病院の小児科を守る会」(吉田綱和代表)を発足させた。勤務医不足で負担が重くなっている同病院医師への支援として、「かかりつけ医を持つ」など、母親としてできることを実践しようと呼びかける。二十五日には、辻重五郎市長らを訪問し、医師確保へ向けた取り組みについて説明を受けた。

医師の負担軽減に配慮
 「病気の子どもの命を守れる地域に」との願いから、母親たちが動き出した。行政や病院に医師の増員を求めるだけの活動とは異なるものになりそうだ。
 過酷な労働に耐えながら、丹波地域に残るわずかな医師たちが、親たちの安心を支えている。入院など、病院しか果たせない高度な医療を守るためにも、会は、今いる医師への過剰な要求を避け、できることを始めようとしている。
 患者側の意識が、医師の負担を軽くする大切な一歩になる。
(神戸新聞)

1〜3次救急対応で搬送件数急増、旭川医科大病院、患者振り分けは医療サイドの発想
 旭川医科大病院(北海道旭川市)救急部への救急車搬送患者数が急激に伸びている。2002年度には年間400人弱だった救急車搬送患者数が、06年度には5倍の2077人へと急増。同大救急医学講座の郷一知教授は、「救急医療の1次、2次、3次の振り分けは医療サイドの発想。救急隊は近くの施設へ一刻も早く運びたい。救急医療は1カ所で対応するのが理想だ」と述べ、今後も1次、2次、3次の救急患者を「すべて受け入れる」としている。
(JapanMedicine)

ドクターヘリ法案、参院厚労委で可決
 医師や看護師を乗せて救急患者を応急措置しながら運ぶ「ドクターヘリ」の全国展開をめざす特別措置法案が26日、参院厚生労働委員会で全会一致で可決された。国の補助や民間からの基金で自治体の財政負担を減らして導入をうながす内容。最新の救命機器を備えるドクターヘリは「空飛ぶ救命室」とも呼ばれ、へき地や離島の医師不足対策としても期待されている。
 ドクターヘリ事業は、厚労省が01年度から補助制度を始め、現在は都道府県と折半で1病院あたり年間約1億7000万円まで補助している。しかし、搬送が増えて補助額を超えた分は自治体や医療機関の持ち出しとなるため二の足を踏む自治体も多く、千葉、静岡、岡山など10道県で計11機の導入にとどまっている。
(朝日新聞)

道内の救急医療機関 過去20年で最少 ピーク時から2割減(北海道)
 道内の救急医療に対応する病院や診療所は、二○○六年度に二百九十二施設と五年連続で減少し、過去二十年間では最も少なくなったことが二十五日、道のまとめで分かった。民間医療機関が医師不足により救急認定を返上するケースが目立つ。医療関係者は「道内では救急医療体制がすでに破たんしている地域もある」とし、早急な対応の必要性を指摘している。
 救急車の搬送先となる救急医療機関は、基本的に二十四時間の医療体制と入院設備を持つ病院や診療所が道に申し出て、知事に「救急告示医療機関」として認定される。
 道内の救急医療機関は、記録が残る一九七六年度以降増加傾向だったが、八八年度の三百八十二施設をピークに、○六年度は二割以上減少。過去二十年間では最も少なく、本年度もさらに減る見通しだ。
 北海道病院協会の徳田禎久理事長は「基本的に救急医療は病院にとって赤字。地方病院では通常勤務と並行しての対応になり、医師の負担も非常に大きい」とし、「早急に道が医師や看護師を効率的に配置するなど集約化を図る必要がある」と指摘している。
(北海道新聞)

大隅の救急医療「鹿屋方式」崩壊危機、医師負担重く 医師会、行政が意見交換(鹿児島)
 鹿屋市での小児科の夜間・休日救急医療を開業医が当番制で担当している「鹿屋方式」が崩壊の危機だとして、関係者が25日、同市役所で意見交換会を開いた。今後も各自治体が地域医療の現状を把握し、共通認識のもとで対応を検討することで一致した。
 鹿屋市では2001年以降、「鹿屋方式」を採用。近年は同市外や救急以外の患者が当番医を訪れ、受診患者数が増加している。会議は、負担増で救急患者への対応ができない現状への対策を求める開業医の声を受けて開かれた。
 鹿児島県内の小児科をめぐっては、霧島市立医師会医療センターの小児科が4月から休診、南さつま市の県立薩南病院は7月から休診の予定。
(南日本新聞)

与党、医師不足問題でプロジェクトチーム
 自民、公明両党は25日の政調会長や国会対策委員長らの会談で、地方の医師不足の解決策を話し合うためのプロジェクトチーム(PT)の新設を決めた。座長に自民党の中川昭一政調会長が就任し、検討結果を7月の参院選の与党公約に盛り込む方向だ。
(日経新聞)

代診医利用が急減 派遣元病院人手不足で/鹿県内(鹿児島)
 離島・へき地の診療所の医師が学会出席や休暇で不在になる間、代わりの医師を手当てする国の代診医派遣事業の利用が、鹿児島県内で2006年度になり急減している。派遣元の病院も医師が不足し要請に応じられないため。勤務環境の悪化による負担感が、へき地医師確保にさらに影を落としそうだ。
(南日本新聞)

平川病院休診、分限免職案を撤回、労使交渉で市側示す(青森)
 5月から当面診療を休止する国保平川病院と、病院職員の処遇をめぐる問題で平川市は24日、市職労との19日の交渉で、方向性の一つとして示した医療職員の分限免職案を撤回した。同日改めて行った団体交渉の席上、病院職員に対しては希望退職や他部署への配置転換の希望を募り、一部は病院から転換後の市営無床診療所で雇用する案を示した。
(陸奥新報)

座間味・医師辞意/中傷文がきっかけ(沖縄)
 【座間味】県立座間味診療所の医師(59)が辞意を表明している問題で、医師の村内での活動を中傷する匿名の怪文書が三月、医師の自宅や村内、県病院事業局に配布されたため、辞意を決意するきっかけになったことが二十四日までに分かった。
 医師は「怪文書が出回って以降、受診に来ない患者がいる。島に一つしかない診療所に、少人数とはいえ受診できない状況、受診しづらい状況をつくってしまったことは医師として耐え難かった」と打ち明けた。
 怪文書はA4サイズの紙一枚。医師が発起人メンバーとなって昨年の村議選前に開いた公開討論会や村内の諸問題を話し合う有志の会参加などを暗に指し、「村民同士の対立を煽り(中略)村長の『首』を取る計画」として、言動を慎むよう求める内容。
(沖縄タイムス)

4月27日

医療問題取り組み強化 与党、参院選へ具体策
 自民党の中川昭一政調会長、公明党の北側一雄幹事長ら与党幹部は25日午前、都内で会合し、7月の参院選対策の一環として、地方で深刻化する医師不足など医療問題への取り組みを強化することを決めた。
 医師の不足、偏在への対応策を検討するため、中川政調会長をトップとする与党プロジェクトチームを近く設置。医師の増員に向けた予算、立法措置について具体案を取りまとめ参院選の与党公約として打ち出す。
(東京新聞)

「希望の杜」に1億円協調融資 政策銀、北洋銀、北海信金(北海道)
 日本政策投資銀行(政策銀)は北洋銀行、北海信金(後志管内余市町)とともに二十五日、夕張市立診療所の運営を請け負う指定管理者の医療法人「夕張希望の杜(もり)」(村上智彦理事長)に対し、一億円の無担保協調融資を実行する。自治体の財政難が深刻化する中、公営施設の民営化を支援する政策銀の低利制度融資を活用した。
 政策銀などは《1》公設民営で、貸し倒れリスクが低い《2》意欲のある医師が計三人確保される見通しにある《3》経営規模が医師数に合っている−などを評価し、無担保でも十分に返済可能と判断した。
 融資を受けた夕張希望の杜は、当面の運転資金などに活用するという。
 政策銀は、道内の公立病院の多くが経営難に陥っているため、「この低利制度融資を公立病院再生のモデルケースにしたい」としている。
(北海道新聞)

入院患者自殺:一般病院の3割で 予防研修実施は5%
 過去3年間に入院患者が自殺したケースがあった病院は一般(総合)病院で29%、精神科病院(精神科病床がある病院を含む)で66%に上ることが、病院団体の調べで分かった。自殺予防の研修は一般病院では5%しか行われておらず、対策の遅れが浮き彫りになった。調査した病院団体は自殺の危険性がある患者を見分けるチェックリストを作成、注意を払うよう呼びかけている。関係者によると、入院患者の自殺の実態が具体的に明らかになったのは初めてという。
(毎日新聞)

地域医療の満足度低下 県が意識調査 背景に「医師不足」(熊本)
 県は、県民を対象に地域医療の満足度などを聞いた保健医療意識調査の結果を発表した。身近な病院の診療科目について、4割が「不足している」と回答するなど、地域医療のサービスが不十分と感じる割合が5年前の同調査に比べて増加した。背景に、地域や診療科目によって勤務医が不足する「医師不足」問題があるとみられる。
 今後の医療サービスについて望むことは「夜間・休日の小児救急医療機関の整備」を挙げた回答者が全体の6割近くを占め、子どもが急病になったときの診療体制に不安を抱いている実態をうかがわせた。
(西日本新聞)

“ゆいまーるプロジェクト”開所式(沖縄)
 県内の医師不足を解消しようと、全国から医師を募集し、離島やへき地の医療機関に派遣するプロジェクトが始まりました。
 県が今年度新しく始めたゆいまーるプロジェクトは、沖縄の地域医療に関心を持つ医師を全国から募集し、離島やへき地の医療機関に派遣するものです。プロジェクトの活動拠点として、南部医療センターに推進室が設置され、今日開所式が行われました。推進室では、医師の募集や登録を行い、医師の都合と医療機関のニーズを調整します。また、出産などで職場を離れた女性医師のために、相談窓口を設置し、再就職を支援するということです。全国から医師を登録することで、医療体制の安定につながると、関係者は期待を寄せています。
(沖縄テレビ)

宿直多いのは産科・救急医 平均のほぼ倍 医労連調査
 産婦人科と救急部門で働く勤務医の宿直回数は月平均5回を超え、全体の平均2・8回の2倍近いことが24日、日本医労連が加盟単組の医師らを対象に実施したアンケートで分かった。
 「前月に何回宿直をしたか」との質問に対する常勤医の平均は、産婦人科(61人)が5.5回、救急部門(12人)が5.4回と特に多く、次いで精神科(40人)の3.8回、心臓血管外科(13人)3.6回。最も少ない放射線科(8人)は1.3回だった。産婦人科はほぼ4人に1人が月8回以上の宿直をしていた。
(産経新聞)

4月26日

福山市民病院 婦人科あすから再開、週2回 産科はめど立たず(広島)
 岡山大から産婦人科医の派遣を打ち切られ、4月から産婦人科が休診している福山市民病院(浮田実院長)は23日、医師を招く準備が出来たとして、25日から婦人科の外来を週2回、再開すると発表した。
 担当するのは、福山市水呑町で開業している「おおもとウィメンズクリニック」の大本裕之院長(54)。市民病院に1982年から4年間勤務した経験があり、「OBとして支援したい」との思いを知った病院側が交渉。毎週水、金曜日の午前9時〜正午に診察することになった。
(読売新聞)

産科と救急の宿直月5回超 平均のほぼ倍、医労連調査
 産婦人科と救急部門で働く勤務医の宿直回数は月平均5回を超え、他の診療科も含めた全体の平均2・8回の倍近いことが24日、日本医労連が加盟単組の医師らを対象に実施したアンケートで分かった。
(東京新聞)

へき地の病院勤務 医師4割「いや」/勤務医に関する意識調査
 病院に勤務する医師の42%がへき地の病院には勤務したくない――。こんな実態が日本病院会がまとめた「勤務医に関する意識調査」で分かった。ただ、休日などの条件が合えば勤務したいと答えた勤務医師も30.3%おり、今後、条件整備が国などに求められそう。
(日本農業新聞)

医療は2019年、年金は41年に破綻・米政府予測
 米政府は23日、2007年版の年金と医療の財政見通しについて報告をまとめた。高齢化の進展や第2次大戦後生まれのベビーブーマー世代の大量退職を踏まえて医療の基金は19年、年金の基金は41年に破綻するとの予測を示した。昨年の同時期の見通しに比べてそれぞれ1年ずつ破綻を想定する時期が後ろに延びた。
 ただ、ポールソン財務長官は記者会見で「解決策を待つほどコストがかさむ」と語り、議会の立法作業を通じて社会保障制度の改革を急ぐべきだと訴えた。
(日経新聞)

「国民病」4疾患、死亡率や治療態勢に数値目標も
 厚生労働省は、がんや脳卒中など「国民病」といわれる4疾患について、都道府県ごとに定める医療計画に、初めて死亡率や健診率など具体的な数値目標を盛り込むことを決めた。地域ごとの病気の特徴や、医療ニーズをつかみ、病状に応じて、受診すべき医療機関を明記するなど、施策に反映する狙いだ。小児救急や周産期医療など5分野についても、救急搬送に当たる人員の割合などの数値目標をあげ、病院の役割分担を明確にして連携を促す。
 厚労省は、医師確保策として、各都道府県に「地域医療対策協議会」をつくり、病院ごとの役割分担や医師を中核病院に集める「集約化・重点化」を検討するよう求めている。そのうえで、新たな医療計画についても、こうした施策と歩調を合わせることで、地域の病気の実情を反映した医療提供態勢の充実につなげたい考えだ。
 また、治療態勢も「発症後、△時間以内に患者搬送できる」「施設到着後、△時間以内に専門治療を開始できる」などと具体的な数値を盛り込む予定だ。
(朝日新聞)

病気腎移植、国も原則禁止…厚労省が改定案を公表
 厚生労働省は23日、病気腎移植の原則禁止を盛り込んだ臓器移植法運用指針の改定案を公表した。
 宇和島徳洲会病院(愛媛県宇和島市)の万波誠医師らによる病気腎移植を契機にまとめられた関連4学会の声明を受け、改定案には「現時点では医学的妥当性がない」と明記した。生体移植全般についても、提供者と患者の間で金銭の授受がないことを移植施設の倫理委員会で確認することなどを求めている。この夏にも運用を始め、病気腎移植と臓器売買事件の再発に一定の歯止めをかけたい考えだ。
(読売新聞)

生活ナビ:医療 入院費、支払い簡素に
 ◆春からこう変わってます
 ◇払い戻し制→自己負担限度額のみ
 ◇「認定証」申請必要、通院は従来通り

 多額の入院費で、生活できない−−。そんなケースに今月から、救いの手が差しのべられるようになった。入院治療費で70歳未満の人についても、所得額などで決まる一定額だけを病院の窓口で支払えばよくなったからだ。ただ、手続きは必要で、黙っていても恩恵にはあずかれないから注意が必要だ。
(毎日新聞)

4月25日

ニッポンの医者、病院、診療所(週刊東洋経済2007年4月28日・5月5日合併特大号)
外科も産科も小児科も消滅の危機、町に人が住めなくなる… 医療費抑制と医療崩壊の関係図
・ 医療崩壊が女性と子どもを襲う 消える産科、縮む小児科
・ 医療の担い手は大丈夫か!? 大激変下の医者、ナース、患者
・ 中途半端な病院は残らない あなたの病院は? 病院ビックバンを生き延びられるか?
・ 開業ラッシュの診療所 「気楽で儲かる」は本当か

労基法違反:労働局への申告513件 7割近くが賃金不払い−−昨年 /栃木
 栃木労働局は、昨年1年間に寄せられた、労働基準法などの違反について、申告件数を発表した。計513件(前年比2.5%減)で、うち賃金不払いに関するものが最多で、計355件(構成比69.2%)を占めた。
 賃金不払いは、同労働局による定期監督も含め、昨年度計396件(前年比7.6%増)あり、対象労働者数は計1230人。不払い金額は計3億5507万円に達した。申告・相談に対し、同労働局では是正指導、司法処分で対応し、昨年は計24件が書類送検された。
(毎日新聞)

システム思考の“思慮深い”適用
 このところ,出勤前の“冴えた”時間に居住まいを正して読んでいる本がある。医療の安全を研究する二人の医師が書いたノンフィクション『新たな疫病「医療過誤」』(R・ワクター,K・ショジャニア著,福井次矢監訳,原田裕子訳,朝日新聞社,2007年)である。
 著者たちは,「ほとんどの医療過誤は機能不全に陥ったシステムの中で働く善良な人間が起こしてしまうものだ」ということを主張し,「システム思考の“思慮深い”適用によって,ほとんどの医療過誤が防止できることを伝えるのが本書の意図である」としている。そのために,「病院の内幕を披露し,医療過誤を当事者がどのように受け止めているかを読者に知ってほしい」という。原題の「internal bleeding」が,新たな疫病として医療過誤を位置づけるとした日本語のタイトルもあいまって,読者を刺激する。
(週刊医学界新聞)

第13回 産業保健スタッフによるケア、産業保健スタッフと事業者の役割
久保田聰美(近森病院総看護師長/高知女子大学大学院)

 都内民間病院勤務の小児科医自殺に対し,東京地裁においては過労が原因の「労災」と認定したと報じられています。この裁判が象徴するように,医療従事者の心身の健康は専門職であるがゆえの対策の遅れが目立ちます。しかし,この連載で紹介してきた厚生労働省の「事業所における労働者の心の健康づくりのための指針(以下,メンタルヘルス指針)」の対象は一般企業ばかりではありません。過酷な労働条件が社会問題となっている医療現場にこそ対策が求められているとも言えるでしょう。

医療現場の実情
 では,病院の実情はどうでしょうか? 前述の小児科医の自殺労災訴訟では,新聞報道によれば,亡くなられた44歳の小児科医部長は,当該病院の小児科医の不足に伴い月8回の当直をこなすだけでなく,当直明けにも連続勤務もまれではない労働環境(今の救急に対応している病院には共通する状況ですが)のもとでの自殺に遺族が労災を確信し申請しています。しかし,新宿労働基準監督署の当時(2001−04年)の判断は,当直は労働時間とみなされないとして,労働災害とは認定されなかった経緯があります。
 たしかに労働基準法では,第41条において「労働時間規制の適応除外労働者」の中の「監視・継続的な労働に従事する者で行政官庁の許可を得た者」として,「医師または看護師などの宿直勤務も許可条件を満たせば該当する」としています。しかし,この許可条件には,夜間に十分睡眠が取りうることや,急患等への対応は昼間と同態様の労働に従事することが常態であるようなものは適応外である等数多くの条件が明記されています。この裁判の判決では,「同病院の小児科の宿直勤務は,診療の多くが深夜時間帯で,十分な睡眠は確保できず,月8回の当直勤務は精神疾患を発症させる危険性の高いものだった」と指摘しています。
 当時よりもさらに過酷さが増す医療現場において,今回の判決の影響は計り知れないものがあるでしょう。全国の労働基準監督署は,継続的な宿直または日直勤務として許可していた病院や施設の見直しにはいるかもしれません。病院側の安全配慮義務違反を争点とした民事訴訟の結果は,東京地裁において原告の訴えが退けられました。しかし,これで病院における労務管理の現状が肯定されたわけではありません。必要なのはこれ以上犠牲者を出さないための対策であり,医師や看護師などの医療従事者であったとしても,労働者としての最低限の環境を整えることではないのでしょうか。
(週刊医学界新聞)

浦安市川市民病院が「分娩」休止 医師不足 再開めど立たず(千葉)
 市川市と浦安市が運営する「浦安市川市民病院」(鎌野俊紀院長、浦安市当代島)が5月1日から産婦人科の出産を休止することが21日わかった。常勤の産婦人科医1人が退職し、24時間態勢で対応できなくなったのが理由。産婦人科医の補充の見通しも立たず、当面、再開は困難な状況に陥っている。同病院の出産数はこれまで年約200件だった。
 同病院によると、産婦人科はこれまで常勤医3人の態勢だったが、20代の女性医師が個人的な理由で3月末で退職。常勤医2人では出産に24時間態勢で対応するのは難しいと判断し、5月以降の受け入れ休止を決めた。
 浦安市川市民病院は昭和26年、当時の浦安町と南行徳町とで病院組合を設立し、診療を開始。現在344床、15の診療科を有する総合病院で、県の救急基幹センターに指定されている。
(産経新聞)

島根の医師不足 対策待ったなし
 「10年後は中山間地域の医療はなくなる」−。山陰中央新報社が島根県内の中核的な病院に実施した調査で、へき地を中心に悲痛な声が寄せられた。市部の大病院でも余裕がなく、医師不足が過重労働と勤務医離れを招く悪循環がまん延。地域医療は崩壊の瀬戸際にあり、地域を挙げての対策は待ったなしだ。
 全体の常勤医が昨年同期より減ったのは、松江生協や飯南、大田市立、浜田医療センター、益田赤十字など11病院。7つの二次医療圏域別でみると、松江や出雲の減少率が0−4%だったのに対し、隠岐を除く4圏域は5%を超え、地域格差を浮き彫りにした。
(山陰中央新報)

高額医療制度 健保変更後も割引維持 厚労省
 厚生労働省は、月間医療費がかさんだ場合に一定額を超えた分を健康保険が負担する高額医療制度の見直しに着手した。見直されるのは、過去12カ月間で制度適用月が3カ月を超えると患者の自己負担分をさらに少なくする割引ルール(多数該当)だ。退職や転職で加入健保が変わると、このルールは適用されない。そこで、健保を移っても継続して割引の恩恵を受けられるようにする。
(産経新聞)

民主が救急制度改革法案・搬送は重症患者限定
 民主党は20日、独自の救急制度改革法案を発表した。安易な要請による出動数の増加を防ぐため、都道府県に新設する救急本部で医師が緊急度を判断したうえで重症患者に限り搬送する仕組みに改める内容だ。軽症者には病院を紹介するにとどめる。
(日経新聞)

開業医:総合診療に公的資格、在宅医療を推進 厚労省方針
 厚生労働省は21日、75歳以上の人が加入する後期高齢者医療制度を08年度に創設するのに合わせ、複数の疾患を持つ高齢者を一人で診ることができる開業医を「総合的な診療能力を持つかかりつけ医」と認定し、公的な資格を与える方針を固めた。1次医療の窓口を地域の診療所とし、往診をして患者の死をみとることも含めた在宅医療を推進するほか、複数の医療機関での重複検査・投薬を防いで医療費を抑制する。08年度の診療報酬改定で、資格のある開業医に支払う診療報酬を手厚くする意向だ。
(毎日新聞)

医療保険広告「不安あおりかねない」 厚労省が指導
 医療保険の広告やテレビコマーシャルが消費者の不安をあおりかねないとして、厚生労働省が保険会社に対して改善指導に乗り出している。がんなどの重い病気の治療費のうち、大半は公的な健康保険でまかなえることが多いが、多額の自己負担が必要だとの誤解を与えかねないケースがあるためだ。保険会社の監督官庁でない厚労省による指導は異例のことだ。
 厚労省は2月下旬に掲載されたある外資系生命保険会社のがん保険の新聞広告について、一定額以上の医療費を支払った場合に払い戻しを受けられる「高額療養費制度」の説明が一切なかったとして経緯をただした。
 広告では、がんの平均入院日数と1日当たり診療費の一覧を載せ、医療費が合計100万円前後かかることを示唆した。その下に「実際は3割程度の自己負担になる」という注釈をつけているため、30万円ほどの負担をまかなうのに保険が必要との印象を与えていた。
 厚労省は昨年夏、健康保険の説明が足りない医療保険広告が目につくとして消費者の誤解を招くような広告をやめるよう生命保険協会と日本損害保険協会、外国損害保険協会に文書で指導。高額療養費制度について正確に説明するよう求めた。
 この制度を使えば、一般的な所得の人が、がんの手術を受けて1カ月入院をしたときの医療費が100万円かかるケースでも、入院中の食費などを除き自己負担は9万円弱ですむ。
(朝日新聞)

島根の中核病院、医師不足の影響深刻
 島根県内で地域医療を担う中核的な病院の約三割が、この一年間で医師不足の影響により外来の診療日数を減らしたり、病棟の一時閉鎖に追い込まれたことが二十一日、山陰中央新報社の調べで分かった。半数の病院が常勤医師数の減少に直面。県民の命綱の地域医療が綱渡りで支えられる実態が浮き彫りになった。
 外来日を減らすなどしたのは六病院七科。雲南総合病院が四月から精神科病棟を閉鎖したほか、済生会江津総合病院では眼科、益田赤十字病院でも眼科と耳鼻咽喉(いんこう)科がそれぞれ常勤医不在になり、外来診療体制を縮小した。
 常勤医減少の背景で最多だったのが、大学の引き揚げ。二〇〇四年度の臨床研修制度義務化などで人手不足に陥った大学が各地の派遣先病院から医師を呼び戻し、慢性的な不足に拍車がかかる構図がみえる。
(山陰中央新報)

医師不足:深刻さ浮き彫り 消防隊員らが窮状訴え−−旭で地域救急医療協議会 /千葉
 「このままでは地域医療が崩壊する」−−。深刻な医師不足に直面している東総地区の中核病院「国保・旭中央病院」(旭市、吉田象二院長、986床)で19日、消防本部との「地域救急医療協議会」が開かれた。旭市消防本部、今回初参加の鹿島南部地区消防組合(茨城県)など6消防本部から約25人が出席。救急患者の搬送に当たる隊員らから「搬送先の病院確保に苦労している」「祝祭日や夜間は(救急の受け入れを)断る病院が多くなった」などの現状が明らかにされた。
(毎日新聞)

市立根室病院院長挨拶(抄)
 この度、前任の羽根田前院長の辞職に伴い、市立根室病院の院長職を拝することとなりました。
 皆様ご承知の如く、我が市立根室病院は四発のエンジンの内三発が止まり、残りの一つのエンジンで辛うじて飛び続けている状態です。それも敢えて申し上げれば超低空飛行です。しかもこれは我が市立根室病院だけの問題ではなく、北海道中の地方病院で同じ現象が多発しています。更に言えば、もはや全国的な現象と言えるでしょう。
 その大きな原因としては勿論、現在の研修医制度により大学を卒業した医師がより条件の良い都会の病院に流れ、本来彼らの実家であるべき大学が空っぽになってしまった現状にあります。
 しかし、原因は果たしてそれだけでしょうか。市や市民、病院を挙げての医師招聘の努力不足や出足の遅さ、些細な事で深夜に病院を訪れ、数少ない当直医を更に疲労に追い込む住民事情(常勤医の夜間当直は、翌日も通常通りの診療が待っています。)など、これを機会に市も病院も、そして住民も反省すべき点が多々あるように思います。

4月24日

医療版「事故調」創設へ 厚労省検討会が初会合
 医療行為中の患者の死因などを調べる医療版「事故調査委員会」の制度創設に向け、厚生労働省の検討会(座長=前田雅英・首都大学東京法科大学院教授)が20日、初会合を開いた。医療関連死の調査は現在、刑事事件や民事裁判の中で行われることがほとんどで、迅速な原因究明や再発防止のためには課題が多い。検討会は約1年かけて調査委のあり方や事故の届け出の義務化などを論議、新法の制定も視野に、早期に新制度をスタートさせたい考えだ。
(朝日新聞)

労働時間制限求める、参院委で小池議員 過労自殺で追及
 研修医の労働実態について青木豊労働基準局長は、研修医のデータはないとしながらも、医療保健業で監督指導した千七百五十九件のうち、労働基準関係の法令違反が千三百六十三件で77%にのぼり、そのうち労働時間に関するものが八百六十五件で、「通常の全国平均の違反率と比べても高い」と認めました。
 小池氏は、研修医の三人に一人が八十時間以上、七人に一人は九十時間以上で休日なしで一日十三時間働いているという労働実態調査もあると指摘。「アメリカでは研修医の労働時間は週平均八十時間以下とされており、EU(欧州連合)では現在の週五十八時間から〇九年までに週四十八時間までに短縮するという指針も示されている」とただしました。
 松谷有希雄医政局長は、研修制度上、労働時間の定めがないことを認めました。
 小池氏は、「自殺したこの研修医はうつ状態になり、休むこともあったが、『これ以上休んだら単位をもらえなくなる』と悩み、自ら命を絶った」と指摘。実態調査と労働時間の上限規制を導入するよう求めました。
(赤旗:管理人は当該政党支持者ではありません)

平賀医師が根室病院に(北海道)
 札幌鉄道病院名誉院長で、札幌根室会会長の平賀洋明医師(76)が、今月から毎週木・金曜の週2回、市立根室病院の呼吸器科専門外来診療に従事している。平賀氏は「中学・高校時代を過ごした根室の地域医療の窮状に手助けしたい」と、根室市の要請に応え、月―水曜に札幌鉄道病院で診療に当たり、週後半の2日間、根室に入り、専門外来診療に当たる。診療は午前8時30分―午後0時30分。木曜のみ午後1時30分―午後4時50分も担当。予約外来でぜんそく患者など1日約30人を診る。
(釧路新聞)

勤務医の約8割「労働環境厳しい」
 医師の労災認定を巡る裁判などで、勤務医の過酷な労働が明らかになり、問題となっています。県内でも、県保険医協会がアンケートを行った結果、およそ8割が「労働環境が厳しい」と回答しました。
 アンケートは、県保険医協会の会員で、県内で勤務する1325人を対象に行われ、262人が回答しました。勤務医の置かれている状況については「体力的・時間的に厳しい環境に置かれている」とした医師が8割近くに上りました。「適当な勤務環境である」と、回答したおよそ半数が60歳代の医師でした。厳しいと回答した医師の割合は、大学病院で92.6%、自治体病院で88.9%だったのに対し、民間病院は60.8%で、自治体病院では、夜間の緊急呼び出しが、また大学病院では、治療だけでなく研究や教育も求められる点が大きな負担になっていると見られます。また、勤務の現状を改善するために必要なことは「医師の増員」「当直明けの確実な休暇取得」などとする回答が多く集まりました。県保険医協会では「医療現場では、現状に危機を感じている。解決に踏み出すことがそろそろ必要」と話しています。医療現場の問題は、命に関わる問題です。安心して診察が受けられるよう改善が求められます。
(熊本朝日放送)

研修医の充足率は島根56.7%、鳥取40.0%
 島根、鳥取両県の病院で本年度に臨床研修する研修医は五十一人と二十八人で、前年度よりそれぞれ十人と四人減ったことが、医師臨床研修マッチング協議会や両県のまとめで分かった。募集に対する充足率は56・7%と40・0%で、全国平均72・1%に比べて低率。研修医の減少は将来的な地域の医師不足につながりかねず、取り組み強化が求められそうだ。
(山陰中央新報)

医師派遣、4月末で打ち切り、市立舞鶴市民病院(京都)
 医師不足と経営難が続く市立舞鶴市民病院に対し、昨年10月から続けられてきた兵庫県の医療法人社団・愛明会からの医師派遣の支援が、4月末で打ち切られることになった。同法人はこれまで「5月をめどに引き揚げたい」としていたが、時期を早めた。市が、20日の市議会議員協議会で明らかにした。
 愛明会から派遣中の常勤医1人と非常勤医3人が去ることになるが、市民病院事務局は「新たに内科と外科の非常勤医計2人の確保のめどがついている」としている。5月からは常勤医4人(加佐診療所を除く)、非常勤医10人の体制になる見込み。
(京都新聞)

医師不足:銚子市立総合病院、新規入院お断り 内・婦人、小児科が来月から /千葉
 銚子市立総合病院(佐藤博信院長)は医師不足のため、5月から内科と婦人科、小児科の3科の新規入院を断り、精神神経科は7月から1病棟(54床)を休止する。佐藤院長が19日に「大学病院からの派遣医師の退職などで、3科の2次救急(入院、手術など)の対応もできなくなった」と発表、3月末の呼吸器科休止に続く縮小に市民から不安の声が出ている。
(毎日新聞)

4月23日

生保不払い、なお170万件超の調査必要
 生命保険会社全38社が過去5年間の不払い実態を調査した結果、不払いの可能性があり、今後調査の必要な契約が少なくとも170万件超あることが19日、分かった。不払いの合計は各社が確認した分だけで約44万件・約359億円に達するが、不払いの規模がさらに膨らむのは必至だ。各社の調査の完了は今夏以降になる見込み。
 保険金などの支払い状況調査は金融庁が今年2月に命令。各社は2001年度から05年度の契約について、保険金や給付金の不払いのほか、保険料支払いをやめた契約者への失効返戻金や解約返戻金、保険金支払いが規定より遅れた場合に払う遅延利息などの支払い漏れなどを点検。13日までに判明した調査の途中経過を金融庁に報告していた。
(日経新聞)

夕張の夜間急患 週3日地元対応 来月から1年(北海道)
 【岩見沢】夕張市と夕張市医師会が夜間の救急患者を五月から一年間、週三日に限り午後九時まで夕張市内の医療機関で受け入れる方針を十九日、岩見沢保健所で開かれた会議で示し、岩見沢市や周辺の公立病院などと合意した。
 夜間対応する医療機関名や曜日などは今後、住民に公表される見通し。また、診療時間以外でも市内にかかりつけ医があれば急患に対応し、必要に応じて空知管内栗山、由仁、長沼各町の病院に受け入れを依頼する。重症の場合は岩見沢、札幌などの病院に搬送される。休日当番医は夕張の医療機関五カ所が引き続き輪番制で担当する。
 これまで救急医療を担っていた夕張市立総合病院が今月から診療所に移行し、救急医療業務を行えなくなったため、近隣の医師会などと救急医療態勢を協議してきた。
(北海道新聞)

看護師の内診禁止を再徹底 厚労省が関係団体に
 厚生労働省は20日、看護師による出産時の内診行為を禁じた局長通知の趣旨を徹底するため、日本産婦人科医会や看護協会など関係団体の代表を集め、内容を説明した。
 同通知は3月30日付で、看護師の業務について「自らの判断で分娩の進行管理を行うことができず、医師または助産師の指示監督の下、診療または助産の補助を担う」と明記。看護師による内診行為を禁止する内容だったが、日本産婦人科医会は子宮口開大の計測などは認められると誤って解釈し、独自のガイドラインをホームページに一時掲載した。
 同省は混乱が生じたことを重視し、あらためて十分な説明が必要と判断した。
(河北新報)

厚木市立病院出産受け入れ停止へ、年間約600人が“出産難民”の恐れ
 厚木市立病院に常勤の産婦人科医を派遣している東京慈恵会医科大学(東京都港区・栗原敏学長)は4月11日、今年7月末で医師4人全員を引き揚げる方針であることを厚木市に伝えた。これにより、市立病院では7月以降、出産が行えなくなる。
(タウンニュース)

4月22日

特養の7割で終末医療 医師・看護師体制には不安も
 特別養護老人ホームのターミナルケア(終末医療)に関する調査をNPO法人「特養ホームを良くする市民の会」(東京)が行ったところ、7割の施設でターミナルケアを実施しているものの、医療・看護体制に不安を感じている施設も多い実態が明らかになった。
 それによると、ターミナルケアを行っているのは71%で、実際に加算をとっている施設は67%だった。一方、ターミナルケアに関する医師の理解、協力が得られているとしたのは60%にとどまった。協力が得られない理由として「夜間の協力が得られない」を挙げた施設が最も多かった。
(読売新聞)

学士編入でも青森枠 弘前大医学部、医師不足の解消図る
 弘前大は19日、2008年度の医学部医学科学士入学試験(定員20人)で、5人分の青森県内枠を設けると発表した。06年度から実施している推薦入試の県内枠20人と合わせ、医師不足の解消を図る。
 対象は県内高校出身で、4年制大学の既卒者か08年3月までに大学卒業見込みの者、または県内の大学卒業生か卒業見込みの者。出願時に、県が募集する「医師修学資金修学生」を利用するか、卒業後に弘前大で初期臨床研修をし、県内で医師として働く意志を示す必要がある。
(河北新報)

救命救急募る不安 県立大船渡病院
 県立大船渡病院の深刻化する医師不足について関係機関が意見を交わす医療体制充実対策協議会(会長・甘竹勝郎市長)は17日夜、大船渡市役所で初会合を開いた。救命救急センターを併設する同病院だが、循環器科の医師が一人だけの状況が報告され、現場からは「このままではトラブルが起きかねない」「万が一に誰が責任を取る」などの悲痛な声が上がった。県医療局への厳しい意見も相次ぎ、今後は幹事会などを通じて医師確保の具体策をまとめることを確認した。
(岩手日報)

(19)揺れる牧歌の里(下)/住民と生きる医師を
 「ここで浮かれていられない」。昨年11月下旬の夕、岩手県葛巻町の中村哲雄町長(53)は口を引き締め、足早に仙台駅に向かった。仙台市内のホテルで山形大医学部の男子学生(19)と面談し、奨学金を出す約束をしたばかりだった。
 葛巻は牛乳生産量が東北一。中村町長は酪農家の長男に生まれ、東京で獣医に。町畜産開発公社に23年勤め、牛の飼育指導や乳製品開発に力を注いだ。
 妻和子さん(51)は大学の後輩で、酪農家に嫁いだ主婦32人から成る「よつば会」を創設。3人の子どもは葛巻病院の小児科医の世話になった。長年1人で担当した、例の岡田信親医師(53)である。
 同医師が秋田県に去った後、中村氏は町長選に出馬、医師の確保を公約にした。小児科の充実を求めた酪農家の母親らの応援も得て当選。酪農や都会との交流、風力発電による町おこしにも取り組んだ。
 小児科医の確保はとりわけ難しい仕事だ。それでも町長は、岡田医師のように住民の暮らしや酪農家の悩みを理解してくれる常勤医を望んでいる。「医師は医師でも、地域のために生きてくれる人が欲しい」と。
 東奔西走してきた中村町長。首都圏の大学の医学部長を訪ねた時は「岩手に行く若い医師などいない。親のリストラで授業料を払えない学生を援助すれば、1年交代で出す」とはねつけられた。国際的ボランティア「国境なき医師団」の東京事務所では「医師不足は世界も東北の山村も同じ」と訴えたが、実らなかった。
(河北新報)

新人看護師が多数進出、大学病院、報酬改定で
 昨年の診療報酬改定の影響で、大病院を中心に看護師募集が急増した結果、新卒看護師の就職が始まるこの4月から、国立大学病院などで多数の新人看護師が働き始めた。中には入院患者をみる看護師の4割程度が「新人バッジ」を着けている病棟もあるほどで、各病院とも研修の強化などの対応に努めている。
(共同通信)

「労働審判」1000件突破・紛争、平均73日で決着
 会社と労働者個人との紛争を迅速に解決するため昨年4月に始まった労働審判制度で、全国の地裁への申立件数が2月末までに1000件を超えたことが19日、最高裁の集計(速報値)で分かった。約7割で審理を終え、平均審理期間は73日と目標の3カ月以内をクリア、早期救済という制度の趣旨にかなった。
 最高裁によると、2月末までの申立件数は1055件。うち審理が終わった778件の申し立て理由では、解雇無効など「地位確認」関連が393件(51%)と半数を占めた。金銭関係のトラブルは「賃金など」が187件(24%)、「退職金」が63件(8%)だった。
(日経新聞)

パート労働法案を可決
 賃金などの面での正社員とパート労働者の「均衡待遇」を目指すパートタイム労働法改正案は19日午後の衆院本会議で可決された。職務や責任が正社員と同程度のパートには正社員と同じ賃金、教育訓練、福利厚生の適用を義務付ける内容。参院審議を経て今国会で成立の見込みだ。
(日経新聞)

勤務医中心の医師会~「立ち去り」か「参加」か~
古川俊治(医師・弁護士)

 勤務医の労働環境は,厳しさを増す一方である.勤務医の過労死や過労自殺事例が多数報道されているが,その給与は低く抑えられたままである.
 近年,勤務医の労働環境が悪化した主な原因としては,(1)医療機関の経営状況の悪化(診療報酬抑制,建て替えや新機器購入のための資金需要の高まり)(2)医療安全の要求の高まり(医療安全のための業務負担の増加,医療従事者の民事・刑事責任の厳格化)(3)臨床研修必修化等に伴う医師の獲得困難(特に地方,重責診療科において格差が顕著)などが挙げられる.
 そのため,小児科,産科,麻酔・外科系など,少なからぬ診療科で,勤務医が耐え切れなくなって職場から立ち去りつつある.その結果,残された勤務医の労働環境はさらに悪化し,次の立ち去りを余儀なくされているという悪循環が続いている.
(日医ニュース)

割増率アップでも期待薄、長時間労働是正と残業代増加ー労働基準法改正のポイント
 今通常国会へ提出された、雇用ルール改革を目的とする法案のポイントを連載で解説してきた。最終回は、残業代の割増率を引き上げるとする労働基準法改正案である。「ホワイトカラー・エグゼンプション(WE)」制度とセットで論議されていたが、残業代未払いになると懸念されたWEが見送られたために、割増率引き上げが単独で進められることになった。「残業代割増率アップ」は、残業せざるをえないビジネスパーソンにメリットがあるように見える。給与が多少とも上がり、なかなか減らない長時間労働の実態に対して、企業への抑止力になるだろうか。
 これらから生じえる問題を2つ指摘しよう。

1つは
“過労死ライン”と言われる「80時間」で線引きされたこと。大騒ぎする割には80時間まではほとんど何も変わらないということだ。80時間を超えるような残業をほとんどさせない、または禁止するくらいの対応が企業にできるだろうか。むしろ逆に「50%(以上)の高い割増率で払っているのだからうしろめたいことはなく、その分働いてもらうしかない」と健康管理面からの抑止力も効かなくなるのではないか。とすると、「長時間労働に拍車がかかり残業手当が増加」、もしくは「80時間超のサービス残業が増加」、といういずれにしても好ましくない展開が予想される。

もう1つは
中小企業が当面猶予されることにより、労働者の8割を占める人々には実質的に影響がないことだ。激変緩和措置はよいとして、その後のことはこれから考えるというのも場当たり的で、あまりに中小企業の実態が考慮されていない。中小零細企業ではコンプライアンス対応も遅れており、猶予期間が過ぎれば賃金不払いをますます助長させる危険性がある。高い割増率で残業代を支給する大企業と、払えない中小零細企業の実質的な賃金格差がさらに拡大するだろう。
(日経BP)

岩内協会病院 内科常勤医ゼロに 院長も今月末で退職(北海道)
 【岩内】後志管内岩内町の岩内協会病院(二百四十床)で奥山修兒院長(54)が四月末で退職し、同病院の内科の常勤医が五月からゼロになることが十八日、分かった。同病院では出張医の外来応援などで内科診療を続ける方針だが、一部休診日も出る見込みだ。
 同病院は十一科を持つ岩内地方の中核病院だが、二〇○四年度の臨床研修制度導入に伴う医師の引き揚げなどが相次ぎ、四人いた内科医は五月からは奥山院長一人になる予定だった。その奥山院長も「途中で倒れるのは目に見えている。無念だが、いくら院長といえども耐えられない」と話している。
(北海道新聞)

札幌に「模擬病院」 マネキンで手術の練習も カレスが開設へ
 大手医療法人カレスグループ(札幌、西村昭男理事長)は二○○八年四月をめどに、医療技術の訓練施設「医療シミュレーショントレーニングセンター北海道」(仮称)を札幌市内に開設する。人体を模した医療用マネキンによる手術の訓練などで、医療関係者の技量向上を図る。大学や他の医療機関と共同利用し、医学生や医師に加え、看護師や薬剤師、救急救命士などの研修の場としても活用する計画だ。
(北海道新聞)

平川病院が今月末で一時休止 無床診療所移行目指す(青森)
 青森県平川市は18日、深刻な医師不足に陥っていた国保平川病院を今月いっぱいで一時休止する方針を決めた。今後は速やかに医師を確保し、市営の無床診療所として再出発を目指す。
 平川病院は内科、外科など5科体制。常勤医4人のうち、2人が昨年末と今年1月に辞職していた。入院患者は3月末までに、別の医療機関に移したという。
 市によると、常勤医就任に前向きな医師が1人いるが、就任時期は未定。診療所は内科のみで、医師を含め10人程度の小規模なものを想定している。
 今後は約50人の職員の処遇や、設置条例の作成など、診療所開設に向けた準備を急ぐ。
(河北新報)

4月21日

宿直明け医師原則休み、市立病院など 待遇改善「引き留めたい」(神戸)
 医師の公立病院離れを食い止めようと、神戸市は4月から、市立病院などの医師の勤務体制を見直し、宿直勤務翌日を原則、休日にするなどの制度をスタートさせた。宿直中は救急患者の受け入れなどでほとんど仮眠を取れず、翌日の通常勤務と合わせて32時間連続となる過酷な労働が、医師が病院勤務を敬遠する原因の一つと言われるため。宿直明けの休日の制度化は民間でも珍しく、市は「待遇の改善で何とか医師を引き留めたい」としている。
 医療センター中央市民病院など3つの市関連の病院に勤務する医師ら約360人が対象。宿直勤務は午後5時半〜翌日午前8時45分で、宿直明けは原則休みとする。外来患者の対応などで翌日も勤務を続けた場合は、その分を時間外勤務として手当を支給する。
(読売新聞)

妊婦死亡事故で、産婦人科医を不起訴処分 奈良地検
 奈良県大和高田市の同市立病院(松村忠史院長)に入院中の妊婦が出産直後に死亡した事故で、奈良地検は18日までに、業務上過失致死容疑で書類送検された産婦人科の30代の男性医師を不起訴処分とした。「死因の子宮破裂による出血性ショックを、予見させる症状がなかった」と判断した。
 調べによると、04年10月、同病院の産婦人科に入院していた当時30代の女性が出産後、脈拍や呼吸状態、血圧が異常に高い数値を示し、子宮内の大量出血で死亡した。
 奈良県警は、医師が施した投薬が一時的に数値を下げるだけの効果しかなく、妊婦の体内に出血など異常が生じていた恐れがあったのに、漫然と放置したと判断。06年3月、書類送検に踏み切った。
(朝日新聞)

東京女子医大病院、患者参加型の調査活用・医療事故6件で示談
 東京女子医大病院(東京都新宿区)で心臓のカテーテル検査後に死亡した男性(当時18)の遺族など計6組の患者側と同病院側で示談が成立したことが18日、分かった。原因調査に患者側が参加する同病院の先駆的な取り組みを利用した。同じ制度ですでに2組の示談が成立しており、同制度を利用した全8組で訴訟に至らず解決した。
 医療不信が高まり、新規の医療訴訟が年約1000件に上る中、患者側、病院側にとって負担の大きい訴訟に至らず、解決できた患者参加型の医療事故調査、検証方式は注目されそうだ。
(日経新聞)

閣議後記者会見概要:日大研修医労災認定関連(抄)(H19.04.17(火)09:20〜09:28 省内会見場)

(記者):ではお聞きします。日大板橋病院のですね、研修医が自殺したことに対して労災認定がされたそうなんですけども、その事実関係とですね、あと新しい臨床研修制度の下で過酷な労働環境が改善がみられていないと見ることもできるんですけれども、今後の対応についてお聞かせ下さい。
(大臣):これは研修といえどもですね、もちろん研修をしていただくことが大事でありますし、また同時に、労務管理というかそういうことをきちっとしていただかなきゃいけない、ということを強く思いますね。こうした事案が、不幸な事案が起こりますと、そういう気がいたしますので、総合的な診断のできるお医者さんをつくると、総合医療のできるお医者さんをつくるということで一所懸命やっていただいていると思いますけども、それだけになかなか負荷、労働が大変かと思いますが、そこはやっぱりきちっとした職場の管理者が管理をして貰いたいと、適切な管理をして貰いたいとそのように思います。

(記者):これについて実態調査、また、それを踏まえた上での何らかの規制を加えるというようなお考えはありますでしょうか。
(大臣):もうちょっとこの事案をよく調べて、そして、そういうものが一般的に起こり得るというようなことだったら、さらにそういう、今言ったようなことを考えなければいけないんでしょうけれども、とりあえずは、まず個別の事案について、しっかり状況把握をするということだろうと思います。
(厚生労働省)

院内感染対策、重要度でランク付け 厚労省が統一手順書
 医療施設の院内感染対策について、厚生労働省の研究班(分担研究者、武澤純・名古屋大教授)が、科学的根拠に基づく統一手順書を作った。各項目を重要度に応じてランク付けした。今春改正された医療法は、無床診療所や助産所などにも院内感染症対策を求めており、小規模な医療施設でも重要度に従って対応できる目安ができた。今月中に各都道府県や関係機関に配布する。
 国内外の研究論文をもとに信頼性を検証、重要度の高い順に「1」〜「3」の3段階に格付けした。
 「1」は比較対照試験などで実証されたもの。「2」は、比較対照試験ではないが、集団を対象に研究した結果、証明されていることが前提。「3」は科学的に立証されてはいないが、専門家が取り組むべき対策として意見を述べているもの。さらに「すべきである(A)」「できればする方がよい(B)」「任意でよい(C)」とも区分けした。
(朝日新聞)

内山病院:存続を求める要望書と署名、住民代表が提出−−内子 /愛媛
 大洲市の喜多医師会(清家秀登会長)はこのほど、運営する内子町の内山病院を医師不足などを理由に休止して大洲市内の喜多医師会病院に統合する方針を決めた。これに対し地元の自治会連絡会(西岡誠会長)の代表ら3人は16日、同町役場で清家会長に病院存続を求める要望書と同町の約66%に当たる1万3234人分の署名を手渡した。
 89年に開設された内山病院は、同町が土地を無償貸与するなどして誘致した。医師が不足したため、当面1年間休止する方針を打ち出している。要望書は「内山病院の休止を撤回し、存続を強く求める」などとしている。同席した河内紘一・内子町長も「存続は町民の総意である。どんな形になっても継続してほしい」と強く要望した。
(毎日新聞)

4月20日

代理出産:20人から応募あった…根津院長
 不妊夫婦の受精卵で妻に代わって出産する「代理出産」を引き受けるボランティアを公募した諏訪マタニティークリニック(長野県下諏訪町)の根津八紘院長は17日、約20人から応募があったことを明らかにした。根津院長は「来月中に応募者に家族の理解などを問うアンケートを送付し、書類選考を経て面談をしたい」と話している。
(毎日新聞)

厚労省:開業医は時間外診療を 救急センター交代勤務も−−提言
 厚生労働省は、勤務医の負担軽減策として開業医に休日・夜間診療を行うよう求める報告書「医療政策の現状と課題」をまとめ、17日の都道府県担当者を集めた会議で説明した。▽開業医は時間外でも携帯電話で連絡がつくことが「期待される役割」である▽開業医が交代で地域の救急センターに勤務するように在宅当番医制度を強化する▽自宅で死に至る患者を開業医がみとる24時間態勢の在宅医療を推進する−−などを提言している。
 社会問題化している勤務医の人数不足・過重労働について、厚労省は、時間外診療を常時行っている開業医が少ないため、夜間・休日の患者が大病院に集中しているのが主な原因とみている。
(毎日新聞)

開業医をチーム化、24時間在宅医療…医療改革で厚労省案
 厚生労働省は17日、医療構造改革に関する同省案を公表した。
 高齢化社会にふさわしい医療を実現するため、「かかりつけ医」を核に、地域の複数の開業医をチーム化し、患者を交代で診察して24時間の在宅医療を実現することが柱だ。
 地域の在宅医療を充実させることで、大病院などは、症状の軽い一般外来を受け付けず、原則として入院治療や専門的な外来のみ対応する体制作りを目指す。
 厚労省案は、「医療構造改革推進本部」(本部長・柳沢厚労相)がとりまとめたもので、17日に省内で開かれた都道府県担当者向け説明会で示された。2008年度から都道府県単位でスタートする医療費適正化計画(5か年計画)などを通じ、具体化を目指す方針だ。
 同省によると、04年末現在で、病院の勤務医は約16万4000人、開業医は約9万3000人。だが、勤務医は当直明けの通常勤務など、週平均で約63時間(休憩含む)と、慢性的な長時間労働を強いられており、病院を辞めて、開業医に転身するケースが増加しているとされる。
(読売新聞)

黒部市民病院の医師を根室病院に派遣(富山)
 黒部市民病院は、医師不足で救急医療への対応ができない状態になっている北海道根室市の市立根室病院に、外科医4人を1人ずつ交替で一時派遣することを決めました。
 市立根室病院は、根室市唯一の総合病院で、先月末までは11人の常勤医師がいましたが、平成16年に導入された新臨床研修制度に伴う大学の医局による医師の引き揚げの影響などで、現在は6人体制となっています。
 このため、救急医療への対応などができない状態となっていて、根室市と姉妹都市提携関係にある黒部市民病院に今月上旬、医師派遣の要請がありました。
 しかし黒部市民病院でも、一部で医師が不足していることなどから要請を一度は断りましたが、再度の要請に派遣を決めました。
(北日本放送)

京都府、北部に医師9人増 小児救急、透析を確保
 京都府は16日、本年度からの医師確保策により、府北部への府立医大(京都市上京区)と京都第一(東山区)、京都第二(上京区)の両赤十字病院からの派遣が計9人増(今年1月比)になったと発表した。一方、府立医大から府中部への派遣は2人減となった。
 府によると、4月1日現在で府立医大から府立与謝の海病院など北部に派遣された医師は210人で、1月末から4人増えた。また、両赤十字病院から新たに5人が派遣された。
 内訳は小児科が2人、泌尿器系が1人、脳神経や整形など外科系が4人、循環器や皮膚科など内科系が2人の増員で、「小児救急や人工透析の体制が確保された」(保健福祉部)という。不足している産婦人科は退職の補充などで現状維持とした。
(京都新聞)

大きな声では言えないが:産めない大病院=牧太郎
 某有名病院の待合室で「ここ、赤ちゃんが産めないの」という声を耳にした。エッ、産めない大病院?
 案内書に「婦人科・膣(ちつ)炎、月経不順、不正子宮出血、性行為感染症、不妊症、がん検診(子宮がん、卵巣がん)、骨粗しょう症の予防、老年期に多い子宮脱などを扱い、女性の生涯のあらゆる過程において、健康で快適な生活を送るための医療を提供しております」と書いてあるじゃないか。でも、もう一度、読み返すと、確かに「出産」はない。親しい医師が説明してくれた。
 「産科と婦人科の両方を備えているのが産婦人科。婦人科は妊娠中の経過は診ることはできるが、産むときは、患者が産科のある病院に移るんだ。もっとも産婦人科でも婦人科でも母体保護法指定医であれば中絶手術はできるけど」
 それにしても、東京の、しかも、こんなに有名な病院でも産めないのか?
 「産科医師の勤務状況」(臨婦産61巻3号・07年3月)によると産科医の病院勤務時間は月間314時間。140時間以上の時間外労働である。当直(終夜勤務)は週当たり平均27・7時間。労基法違反は当たり前。
(毎日新聞)

研修医過労自殺、厚労相「労務管理をしっかりと
 日大板橋病院(東京都板橋区)で臨床研修中だった女性研修医(当時26)が昨年4月に自殺した問題について、柳沢伯夫厚生労働相は17日、閣議後の会見で「研修も大事だが、労務管理をしっかりとしてもらわなくてはならない」と述べ、研修医への過度な労働を避けるよう医療機関に促した。
 また「一般的に起こりうる問題なら(調査などを)考えなくてはならない」として、事実関係の把握を急ぐ意向を示した。
 自殺した女性研修医は法定労働時間(週40時間)の2倍を超える勤務を強いられるなど、過酷な労働が常態化していた。
(日経新聞)

相談窓口設け転院先探しを 療養病床転換で指針案
 厚生労働省は16日、各都道府県が療養病床の老人保健施設などへの転換推進計画を策定するに当たって、住民や医療機関向けの相談窓口を設置し、患者が退院や転院する際には受け皿となる施設や病院を探す手伝いをする必要があるとの基本指針案をまとめた。
 施設や病院でなく住み慣れた地域や住宅で安心して暮らしたいという高齢者のニーズに対応するため、安否確認や生活相談などいろいろな見守りサービスが受けられる高齢者向け住まいの確保を考慮する必要があることも盛り込んだ。
(北海道新聞)

研修医自殺、労災と認定 日大付属病院
 日本大学医学部(東京都板橋区)付属病院で研修中に自殺した埼玉県の女性医師(当時26)について、池袋労働基準監督署が労災認定していたことが17日わかった。遺族側が「週40時間の法定時間を大きく上回る週87時間勤務があり、自殺は、過労でうつ状態になったことが原因」として労災申請し、今年2月に認められた。
 厚生労働省によると、現行の臨床研修制度が始まってから、研修医の自殺が労災認定されたのは初めて。
 勤務状況を調べたところ、最初に研修した救命救急センターでの勤務時間は多い週で78時間。日当直は月10回あった。夏からの消化器外科では、多い時で週87時間勤務していた。秋ごろから元気がなくなり、06年2月ごろから、疲労感や抑うつ、意欲低下などの症状を訴えた。家族には「辞めたい」「当直のない世界に行きたい」などと漏らしたという。日当直は年間77回に及んでいた。4月には研修を休みがちになり、心療内科も受診していた。
(朝日新聞)

日大板橋病院、研修医自殺で労災認定・週87時間労働
 日大板橋病院(東京都板橋区)で臨床研修中だった女性研修医(当時26)が昨年4月に自殺したのは「過労でうつ状態になったのが原因」という遺族の主張に基づき、労働基準監督署が労災認定していたことが16日分かった。労働時間は多いときで法定(週40時間)の2倍を超える週87時間に達していた。夜間当直と休日勤務を合わせた「日当直」も年間77回で過酷な勤務が常態化していたという。
 厚生労働省によると、2004年4月に始まった現行の臨床研修制度下で、研修医の過労自殺が労災認定されたのは初めて。制度のあり方が問われそうだ。
(日経新聞)

道内公的病院 派遣医打ち切り加速 診療科閉鎖・休診相次ぐ 昨年度37カ所・26%(北海道)
 道内の自治体病院を含む公的病院百四十カ所のうち、二○○六年度中に北大、札医大、旭医大の三大学を中心とする大学医学部から医師派遣を中止、縮小された病院は、全体の約26%にあたる三十七病院に上り、全道的な医師不足がより深刻化していることが北海道新聞社のアンケートで分かった。医師不足の影響で診療科を閉鎖・休診したと回答した病院も八カ所あった。○六年度の診療報酬改定で75%の病院が減収になっており、病院経営の一層の窮迫も浮き彫りとなった。
 ○六年度中に医師派遣の打ち切りがあったと回答した三十七病院の内訳は、市立十六、町村立五、道立四、その他十二。打ち切り医師数は計八十七人で、最も多かったのは江別市立病院の十五人。これに市立小樽病院十人、留萌市立病院、小樽協会病院の各五人などが続いた。
 道内百六の自治体病院に限ると、昨年のアンケートで、○四−○五年度の二年間で派遣医師が減ったとした病院は全体の25%にあたる二十六カ所だった。○六年度は一年間で二十五カ所に達し、打ち切りの動きは加速している。
 この結果、江別市立病院は昨年十月、神経内科を閉鎖したほか、昨年末からは産婦人科で出産を扱えなくなっている。診療科を閉鎖・休診した八病院以外でも「常勤医が出張医に変わったため入院診療が不可能になった」(市立士別総合病院)ケースや、残った医師の過重労働など、大半の病院で悪影響が出ている。
 一方、○六年度の診療報酬改定で、看護師の配置数が少ない病院への診療報酬が削減され、前年度に比べ減収となった病院は百五カ所に上った。減収額は、三千万円以上−五千万円未満が二十五病院、五千万円以上−一億円未満が二十二病院で、胆振管内白老町の町立病院や市立赤平総合病院など九病院では、一億円以上の減収だった。
(北海道新聞)