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4月20日

黒部市民病院の医師を根室病院に派遣(富山)
 黒部市民病院は、医師不足で救急医療への対応ができない状態になっている北海道根室市の市立根室病院に、外科医4人を1人ずつ交替で一時派遣することを決めました。
 市立根室病院は、根室市唯一の総合病院で、先月末までは11人の常勤医師がいましたが、平成16年に導入された新臨床研修制度に伴う大学の医局による医師の引き揚げの影響などで、現在は6人体制となっています。
 このため、救急医療への対応などができない状態となっていて、根室市と姉妹都市提携関係にある黒部市民病院に今月上旬、医師派遣の要請がありました。
 しかし黒部市民病院でも、一部で医師が不足していることなどから要請を一度は断りましたが、再度の要請に派遣を決めました。
(北日本放送)

京都府、北部に医師9人増 小児救急、透析を確保
 京都府は16日、本年度からの医師確保策により、府北部への府立医大(京都市上京区)と京都第一(東山区)、京都第二(上京区)の両赤十字病院からの派遣が計9人増(今年1月比)になったと発表した。一方、府立医大から府中部への派遣は2人減となった。
 府によると、4月1日現在で府立医大から府立与謝の海病院など北部に派遣された医師は210人で、1月末から4人増えた。また、両赤十字病院から新たに5人が派遣された。
 内訳は小児科が2人、泌尿器系が1人、脳神経や整形など外科系が4人、循環器や皮膚科など内科系が2人の増員で、「小児救急や人工透析の体制が確保された」(保健福祉部)という。不足している産婦人科は退職の補充などで現状維持とした。
(京都新聞)

大きな声では言えないが:産めない大病院=牧太郎
 某有名病院の待合室で「ここ、赤ちゃんが産めないの」という声を耳にした。エッ、産めない大病院?
 案内書に「婦人科・膣(ちつ)炎、月経不順、不正子宮出血、性行為感染症、不妊症、がん検診(子宮がん、卵巣がん)、骨粗しょう症の予防、老年期に多い子宮脱などを扱い、女性の生涯のあらゆる過程において、健康で快適な生活を送るための医療を提供しております」と書いてあるじゃないか。でも、もう一度、読み返すと、確かに「出産」はない。親しい医師が説明してくれた。
 「産科と婦人科の両方を備えているのが産婦人科。婦人科は妊娠中の経過は診ることはできるが、産むときは、患者が産科のある病院に移るんだ。もっとも産婦人科でも婦人科でも母体保護法指定医であれば中絶手術はできるけど」
 それにしても、東京の、しかも、こんなに有名な病院でも産めないのか?
 「産科医師の勤務状況」(臨婦産61巻3号・07年3月)によると産科医の病院勤務時間は月間314時間。140時間以上の時間外労働である。当直(終夜勤務)は週当たり平均27・7時間。労基法違反は当たり前。
(毎日新聞)

研修医過労自殺、厚労相「労務管理をしっかりと
 日大板橋病院(東京都板橋区)で臨床研修中だった女性研修医(当時26)が昨年4月に自殺した問題について、柳沢伯夫厚生労働相は17日、閣議後の会見で「研修も大事だが、労務管理をしっかりとしてもらわなくてはならない」と述べ、研修医への過度な労働を避けるよう医療機関に促した。
 また「一般的に起こりうる問題なら(調査などを)考えなくてはならない」として、事実関係の把握を急ぐ意向を示した。
 自殺した女性研修医は法定労働時間(週40時間)の2倍を超える勤務を強いられるなど、過酷な労働が常態化していた。
(日経新聞)

相談窓口設け転院先探しを 療養病床転換で指針案
 厚生労働省は16日、各都道府県が療養病床の老人保健施設などへの転換推進計画を策定するに当たって、住民や医療機関向けの相談窓口を設置し、患者が退院や転院する際には受け皿となる施設や病院を探す手伝いをする必要があるとの基本指針案をまとめた。
 施設や病院でなく住み慣れた地域や住宅で安心して暮らしたいという高齢者のニーズに対応するため、安否確認や生活相談などいろいろな見守りサービスが受けられる高齢者向け住まいの確保を考慮する必要があることも盛り込んだ。
(北海道新聞)

研修医自殺、労災と認定 日大付属病院
 日本大学医学部(東京都板橋区)付属病院で研修中に自殺した埼玉県の女性医師(当時26)について、池袋労働基準監督署が労災認定していたことが17日わかった。遺族側が「週40時間の法定時間を大きく上回る週87時間勤務があり、自殺は、過労でうつ状態になったことが原因」として労災申請し、今年2月に認められた。
 厚生労働省によると、現行の臨床研修制度が始まってから、研修医の自殺が労災認定されたのは初めて。
 勤務状況を調べたところ、最初に研修した救命救急センターでの勤務時間は多い週で78時間。日当直は月10回あった。夏からの消化器外科では、多い時で週87時間勤務していた。秋ごろから元気がなくなり、06年2月ごろから、疲労感や抑うつ、意欲低下などの症状を訴えた。家族には「辞めたい」「当直のない世界に行きたい」などと漏らしたという。日当直は年間77回に及んでいた。4月には研修を休みがちになり、心療内科も受診していた。
(朝日新聞)

日大板橋病院、研修医自殺で労災認定・週87時間労働
 日大板橋病院(東京都板橋区)で臨床研修中だった女性研修医(当時26)が昨年4月に自殺したのは「過労でうつ状態になったのが原因」という遺族の主張に基づき、労働基準監督署が労災認定していたことが16日分かった。労働時間は多いときで法定(週40時間)の2倍を超える週87時間に達していた。夜間当直と休日勤務を合わせた「日当直」も年間77回で過酷な勤務が常態化していたという。
 厚生労働省によると、2004年4月に始まった現行の臨床研修制度下で、研修医の過労自殺が労災認定されたのは初めて。制度のあり方が問われそうだ。
(日経新聞)

道内公的病院 派遣医打ち切り加速 診療科閉鎖・休診相次ぐ 昨年度37カ所・26%(北海道)
 道内の自治体病院を含む公的病院百四十カ所のうち、二○○六年度中に北大、札医大、旭医大の三大学を中心とする大学医学部から医師派遣を中止、縮小された病院は、全体の約26%にあたる三十七病院に上り、全道的な医師不足がより深刻化していることが北海道新聞社のアンケートで分かった。医師不足の影響で診療科を閉鎖・休診したと回答した病院も八カ所あった。○六年度の診療報酬改定で75%の病院が減収になっており、病院経営の一層の窮迫も浮き彫りとなった。
 ○六年度中に医師派遣の打ち切りがあったと回答した三十七病院の内訳は、市立十六、町村立五、道立四、その他十二。打ち切り医師数は計八十七人で、最も多かったのは江別市立病院の十五人。これに市立小樽病院十人、留萌市立病院、小樽協会病院の各五人などが続いた。
 道内百六の自治体病院に限ると、昨年のアンケートで、○四−○五年度の二年間で派遣医師が減ったとした病院は全体の25%にあたる二十六カ所だった。○六年度は一年間で二十五カ所に達し、打ち切りの動きは加速している。
 この結果、江別市立病院は昨年十月、神経内科を閉鎖したほか、昨年末からは産婦人科で出産を扱えなくなっている。診療科を閉鎖・休診した八病院以外でも「常勤医が出張医に変わったため入院診療が不可能になった」(市立士別総合病院)ケースや、残った医師の過重労働など、大半の病院で悪影響が出ている。
 一方、○六年度の診療報酬改定で、看護師の配置数が少ない病院への診療報酬が削減され、前年度に比べ減収となった病院は百五カ所に上った。減収額は、三千万円以上−五千万円未満が二十五病院、五千万円以上−一億円未満が二十二病院で、胆振管内白老町の町立病院や市立赤平総合病院など九病院では、一億円以上の減収だった。
(北海道新聞)

4月19日

地域医療 医師不足が深刻化 県地域保健医療協 解消策を中間報告(和歌山)
 紀南地方をはじめ、県内各地域で医師不足が深刻化している。現状を打開しようと、県医師会や県病院協会などでつくる県地域保健医療協議会の医療対策特別委員会(委員長=岡久雄県医師会長、10人)は、7カ月にわたり協議してきた解消策を中間報告としてまとめた。医師の養成では、県立医科大学の推薦入学枠拡大の検討などを提言している。15日までに県に提出した。
 中間報告によると、近年、医師の専門医志向や都会志向が強まり、地域での医師確保は難しい状況。県内の医師数(2486人)は全国平均を上回っているものの、和歌山市に集中、医師の地域偏在化が生じているという。
 特に小児科や産科の医師不足は全国的に深刻で、県内でも近年になって、済生会有田病院(湯浅町)で小児科を廃止、国立病院機構和歌山病院(美浜町)が小児科の外来廃止、那智勝浦町立温泉病院が小児科を休診している。
 医師の確保は、地方勤務医の勤務時間や給料の改善など処遇改善を第一に挙げ、地域ぐるみでの診療体制の構築などが重要としている。
 効果的な医師の配置については、各医療圏に中核病院を置き、小児科や産科の集約を図ることで、病院と診療所の機能分担を明確化することなどを盛り込んでいる。
(紀伊民報)

女性研修医の過労自殺、労基署が労災認定…日大付属病院
 昨年4月、日本大学医学部(東京都板橋区)の付属病院で研修期間中に自殺した埼玉県内の女性(当時26歳)に対し、池袋労働基準監督署が今年2月に労災を認定していたことが16日、わかった。
 2004年に国が新しい臨床研修制度を導入してから、研修医の過労自殺が明らかになるのは初めて。新制度は、従来の劣悪な労働条件の改善などを目指してできたものだったが、女性は法定労働時間を大きく超えて勤務しており、依然として研修医の過酷な労働実態があることを浮き彫りにしている。
 父親が給与明細などで調べたところ、1週間の平均労働時間は、法定労働時間(週40時間)を大幅に超える72・8時間で、夜間や休日の当直は多い時で月に10回、1年間で計77回に上っていた。このため、父親は「娘の自殺は研修中の過重な労働が原因」として、06年8月に池袋労基署に労災を申請。同労基署は労災と認定し、今年2月、遺族に通知した。厚生労働省によると、「新制度スタート後の過労自殺は聞いたことがない」という。
 新人医師の研修は従来、主に出身大学の医局で行われていたが、少ない給料で雑務や診療に追われ、1998年に関西医大病院(大阪府守口市)で研修医が過労死したほか、00年には横浜市大病院でも研修医が過労自殺するなど過酷な労働環境が問題化。国が04年から導入した制度では、各病院が給与や労働時間などの処遇を改善した上で、内科や外科など幅広い診療能力の習得を目指した研修プログラム(2年間)を公表し、新人医師が研修先を選ぶ方式になった。だが、今回、新制度下で過労自殺者が出たことで、国は実態調査などを迫られそうだ。
(読売新聞)

守られた灯 診療所に医師赴任(和歌山)
 白浜町市鹿野の川添診療所に今月、川崎市の元聖マリアンナ医科大学教授中川武正医師(60)が着任した。全国的に医師不足が深刻化する中、診療所の灯が守られ、住民の喜びもひとしお。14日には市鹿野の川添山村活性化支援センターで住民らが歓迎会を開き、拍手と花束で中川さんを迎えた。
(紀伊民報)

旭川医大に「地域枠入試」、来年度から5人 北海道
 北海道内各地の病院で医師不足による休診などが相次ぐ中、旭川医大は来年度の入試から道北、道東、北空知、中空知の出身者を対象にした地域枠推薦の入試を実施すると発表した。募集するのは医学部医学科100人のうちの5人。卒業後は対象地域内での臨床研修を義務付ける。
 地域枠の対象は、比較的医師数が確保されている旭川市と周辺8町を除く上川、留萌、宗谷、十勝、網走、釧路、根室支庁管内と北空知、中空知圏内の各市町村の出身者で、(1)卒業後は同医大が指定する研修指定病院で臨床研修を受けることを確約する(2)将来、対象地域での医療に貢献する強い意思がある−などが条件。
(朝日新聞)

ママさん医師の復職支援 東京女子医大と日赤 全国規模で
 東京女子医大(東京)と日本赤十字社(同)が連携して四月から、離職していた女性医師の復帰支援に全国規模で乗り出した。同大が復職を望む医師の窓口となり、旭川や釧路など道内の十カ所を含め全国に九十二ある赤十字病院などから居住地に近い研修先を紹介。医療ミス防止などの講義のほか、最新技術の実務を再教育する。医療現場の「勘」を取り戻すことでスムーズな復職につなげ、医師不足の解消に役立てたい考えだ。
(北海道新聞)

働くナビ:在宅勤務制度ってどんなもの。なぜ増えている
 会社員ながら、オフィスに出勤せずに自宅で働く「在宅勤務」が急速に広がっている。99年導入の日本IBMなど、最初は外資系IT(情報技術)企業が中心だったが、今月から松下電器産業が、希望する社員は理由に関係なく自宅で働ける新制度をスタート。日産自動車も昨年7月から育児・介護目的限定ながら在宅勤務制度を導入しており、国内企業にも広がってきた。
 松下の制度は国内の全従業員7万6000人のうち工場勤務者など在宅勤務が不可能な人を除くほぼ全員が対象で、その数は約3万人と国内で最大規模だ。
 希望者は前もって上司に自宅で行う仕事の内容などを申告。当日は仕事開始時と終了時に電子メールで報告すればいい。最大、週2〜3日まで認められ、パソコンなどは会社が支給する。
 同社で在宅勤務を推進する永木浩子室長は、「会社にいることが頑張っていること、という従来の勤労文化を壊さないと、優秀な若手は採用できない」と話す。
 1年間、社員約1000人を対象に試行した結果、「通勤時間が省かれ、家事と仕事の両立がしやすくなった」などと好評で、正式な導入を決めた。試行者の約7割が「仕事の効率が上がった」と答えるなど、会社にとってもメリットは大きいようだ。月2回程度、在宅勤務した東京支社の砂川章雄さん(34)は、「前もって段取りを組み立てて仕事に臨むし、会社での雑用や会議にも邪魔されないので、集中して仕事ができた。子供と一緒にお風呂にも入れました」と満足そう。松下の推進室には4月以降、申請の仕方の問い合わせが殺到しているという。
(毎日新聞)

4月18日

医療崩壊から医療再生へ 小松秀樹氏(虎の門病院泌尿器科部長) 井部俊子氏(聖路加看護大学学長)

井部 『医療崩壊』が話題となり,「立ち去り型サボタージュ」という言葉も広く認知されましたね。
小松 これは東大の医療政策人材養成講座の時にはじめて使った言葉で,2004年12月だったと思います。勤務医の労働環境があまりにもひどいので,「勤務医の会」をつくろうとしている医師がその講座にいました。私はそれに対して,「勤務医は集まるということを絶対にしない。それよりもたぶん,政治的な表現としては“立ち去り型サボタージュ”になるのではないか」と言ったのです。
 ですから,その時は明確な定義を自分で考えていたわけではありません。医療費抑制による予算不足,それから患者との齟齬――たぶん後者のほうが強いと思うのですが,それらで“疲弊”して嫌になり辞める。その行動には多少の“抗議”の意味も認識としてあるので,労使紛争の用語である“サボタージュ=怠業”という言葉を使いました。

「病院上層部や管理者の理解がなくて辞める」というケースが共通してありますか
小松 かなりあると思います。医師の場合は,病院長が赤字削減にあまりに一生懸命になりすぎてしまうと,現場との齟齬が大きくなる。「院長との確執で辞める」ということはよくあります。今いちばん危ないのが,地方公共団体の病院でしょう。議員が地域住民の代表みたいなもので,自分の支持者である患者側からの苦情が来ると,そのまま病院に伝える。院長はほとんど抵抗せずに,そのままを現場に伝える。それで現場の士気が落ちて,大量離職につながる。
(週刊医学界新聞)

赤ちゃんポスト「各地に必要」・熊本の慈恵病院理事長が訴え
 親が育てられない新生児を匿名で預かる「赤ちゃんポスト」(こうのとりのゆりかご)設置を許可された慈恵病院(熊本市)の蓮田太二理事長は15日、全国の親から相談が相次いでいるとした上で「厚生労働省は駄目だと言うが、将来的には各地に必要だ」と訴えた。
(日経新聞)

患者が医師をナイフで刺した後、自殺図る 神戸の診療所
 15日午前10時10分ごろ、神戸市灘区水道筋6丁目の「ろっこう医療生活協同組合灘診療所」で、1階の診察室に無断で入ってきた男が、無言のまま切り出しナイフ(刃渡り約7センチ)で男性内科医(49)の脇腹を刺した。内科医が隣の部屋に逃げると、男は自分の腹を刺した。110番通報で駆けつけた兵庫県警灘署員が、診療所内で男を殺人未遂容疑で現行犯逮捕した。医師は別の病院に運ばれて手術を受け、重傷という。男は腹に軽いけが。
 調べでは、男は同区水道筋3丁目の無職二葉正男容疑者(70)。「体の調子が悪い」と同診療所に通院しており、「なかなかよくならず、恨んでいた。医師を殺して自分も死ぬつもりだった」などと供述しているという。同診療所はこの日、午前中が診療時間だったが、犯行当時は現場の診察室には患者はいなかったという。
(朝日新聞)

修学資金制度の利用者募集−県の医師確保策(香川)
 香川県は、医師確保策として4月に創設した医学生に貸し付ける修学資金制度の利用者を募集している。修学資金を受けた医学生が県指定の病院に一定期間勤務すれば、資金の返還が免除される。締め切りは30日(消印有効)。
 貸付額は月額で12万円。貸付期間は大学を卒業する年度までの最大6年間で、貸付期間の1・5倍の期間(最大9年)、県指定の病院に勤務すれば返還が免除される。
 対象は大学1―4年生で募集人数は8人。出身地や大学は問わないが、公募者が募集人数を超える場合は、香川大医学部の地域枠入学者や産科医・小児科医志望者を優先する。
(四国新聞)

4月17日

体外受精:自然妊娠より高率の妊娠異常 聖路加病院調査
 体外受精を受けた妊婦に、自然妊娠と比べて妊娠の異常が高率で発生していることが、聖路加国際病院の研究チームの調査で明らかになった。京都市で開かれる日本産科婦人科学会で16日に発表する。妊娠の継続に重要な胎盤などの異常と体外受精の関係が明らかになるのは、おそらく国内で初めてという。妊娠異常は、大量出血など母体や胎児を危険な状態にさらす可能性があり、研究チームは「体外受精を受けようとするカップルに、異常を起こしやすいことを理解してもらうことが必要だ」と話している。
(毎日新聞)

日本尊厳死協会:延命措置中止の判断基準などで試案
 尊厳死の法制化を目指す日本尊厳死協会(理事長、井形昭弘・名古屋学芸大学長)は14日の理事会で、延命措置を始めなかったり、中止する場合の医学的判断基準を盛り込んだ同協会研究班の試案を了承した。本人の意思表示があり、複数の医師の意見が一致することなどが条件。同協会は「国民が議論する際のたたき台にしてほしい」と話している。
 試案では、尊厳死を「自らの傷病が不治かつ末期に至った時、健全な判断の下での自己決定により、いたずらに死期を引き延ばす延命措置を断り、自然の死を受け入れる死に方」と定義。その上で、一般的な延命措置の不開始・中止の条件として(1)患者本人の意思表示がある(2)不治あるいは末期の判断と、どの延命措置をいつ中止するか、複数の医師の意見が一致する(3)尊厳ある生の確保と苦痛の除去が目的−−の3点を挙げた。
(毎日新聞)

研修医9人違法バイト、当直として単独勤務…兵庫医大
 兵庫医大病院(兵庫県西宮市)の臨床研修医9人が研修期間中、別の病院で少なくとも計46回にのぼりアルバイトをしていたことがわかった。
 2004年度から施行された新医師臨床研修制度で研修医のアルバイトが禁止されてから、多数の違反が判明したのは初めて。厚生労働省近畿厚生局は「研修医の管理が不十分」として昨年、兵庫医大病院に厳重注意していた。
 同省によると、研修医は国家試験に合格して医師免許を持っているが、指導医の管理下でなければ診療行為を行えない。ところが、9人はアルバイト先で当直医などとして1人で勤務していた。
(読売新聞)

「医者の卵」争奪戦 臨床研修へ67病院が札幌で合同説明会
 来春以降に卒業予定の医学部学生を対象にした臨床研修病院の合同説明会が十四日、札幌市内のホテルで開かれた。医師の道内定着を目的に道が主催し、今年で五回目。地域病院の医師不足が深刻化する中、各病院は「医者の卵」を確保しようと懸命の勧誘に努めた。
 説明会には国の研修指定を受ける道内六十七病院が参加。希望に合う進路を探そうと訪れた北大や札医大、旭川医大などの医学部の六年生を中心とした約百五十人を相手に、各病院ごとに設けられたブースで、研修内容や待遇を説明した。
(北海道新聞)

代理出産で根津院長を厳重注意=凍結精子の死後生殖禁止−産婦人科学会
 日本産科婦人科学会は14日、京都市内で総会を開き、祖母が孫を産む形での代理出産を手掛けた諏訪マタニティークリニック(長野県下諏訪町)の根津八紘院長を会告(指針)違反として、厳重注意処分にした。
 また、がんの化学・放射線治療などを受ける前に夫の精子を凍結保存した場合、体外受精に使うのは夫の生存中に限り、死後の利用は認めないとする会告(指針)を正式に承認した。
(時事通信)

合同で「臨床研修」の説明会(北海道)
"医師不足"が深刻化する中、道内の病院が合同で、医学生を対象にした新人研修=「臨床研修」の説明会を開きました。
 "医師不足"の原因を作ったとも言われる「臨床研修」は、大学を出た新人が2年間、希望する病院で勉強できる制度です。札幌で開かれた合同説明会には、67の病院がブースを連ねました。中には「英語教育」をアピールする病院や、「先輩の研修医」に体験話をさせる病院―。「茶菓子」を用意する病院などもありました。
 「(Q.調子はいかがですか?)全然来ていませんね。一人も…」
 大学医局の"医師引き上げ"が深刻化する中で、「新人の獲得」は重要で、各病院とも知恵を絞って、PRしていました。
(札幌テレビ)

地域医療に役割分担・厚労省が指針案
 厚生労働省は13日、地方自治体向けに地域医療の指針案をまとめた。夜間や土日なども含めた24時間の医療体制を整備するため、大病院は入院治療と専門的な外来に集中。診療所は時間外診療や往診に軸足を置くなど、地域で医療機関ごとに役割分担をするよう求めた。来週中に各自治体の医療関連政策の担当者に示す予定だ。
(日経新聞)

4月16日

開業医は日曜や夜も診療を 今後の医療政策で厚労省
 厚生労働省は13日、開業医に対し地域で果たすべき役割として、日曜日や祝日、夜間も診療することなどを求めた今後の医療政策に関する報告書案をまとめた。
 2030年には75歳以上の後期高齢者が、現在の2倍近い2260万人に増えるとみられており、現在は時間外や日曜・夜間の診療を行っている診療所が減少するなど身近な地域での医療に不安があると問題提起。
 このため、開業医について(1)地域で在宅当番医制のネットワークを構築、日曜日など救急センターに交代勤務(2)いつでも携帯電話で連絡が取れる(3)午前中は外来、午後は往診、訪問診療(4)みとりまで行う在宅療養支援診療所を含めグループによる対応で24時間体制の確保−といった取り組みが期待されるべきだと提言している。
(北海道新聞)

日本外科学会:医師不足解消へ医療費増を提言
 日本外科学会(約3万8000人、会長=門田守人(もんでんもりと)・大阪大教授)は13日、大阪市内での定期学術集会の閉会にあたり、医師数や国際的に見て低い水準の医療費を増やし、診療報酬体系を見直して技術や労力を適正に評価することなどを盛り込んだ提言を発表した。医療事故のリスクが大きいことや、手術の高度化による多忙さから、外科でも医師が不足しているため。同学会がこうした提言をするのは初めて。
 提言では、医療事故などの原因究明は、専門性の高い中立的組織に任せ、刑事司法が介入すべきでないとも主張している。門田教授は「現状は医療崩壊と言わざるを得ない状況。外科医の世界は閉鎖的と見られがちだが、世の中の皆さんと問題を共有したいと思い提言した」と話した。医師不足を巡っては、昨年10月に日本産科婦人科学会も提言を出している。
(毎日新聞)

代理出産:「7、8人が応募」根津院長へ電話やメール
 諏訪マタニティークリニック(長野県下諏訪町)の根津八紘院長が、不妊夫婦の受精卵で妻に代わって出産する「代理出産」ボランティアを公募すると明らかにした問題で、根津院長は13日、複数の応募があったことを発表した。根津院長は「電子メールなどで7、8人の応募があった」と語った。また「この気持ちを生かせるようにしたい」とし、応募女性による代理出産に前向きな姿勢を見せた。
(毎日新聞)

「大病院、一般外来なし」 役割分担促す 厚労省方針
 厚生労働省は13日、今後の医療政策の方向性として、大病院や専門病院は一般的な診察はせずに入院と専門的な外来に特化する一方、開業医に対しては休日・夜間の診療や患者の自宅を訪れる訪問診療を求める報告書をまとめた。病院と開業医の役割分担を明示することで、勤務医の過度な負担を軽減するとともに、在宅医療への移行をはかるのが狙いだ。今後、診療報酬の見直しなどを通じて実現を目指す。
 柳沢厚労相を本部長とする「医療構造改革推進本部」が報告書を作成。都道府県の担当者を集めた17日の会議で提示する。
 報告書では、日本の医療の問題点として、大病院、中小の病院、開業医の役割分担が明確ではない結果、「拠点となる大病院などに外来患者が集中し、勤務医に過度の負担がかかっている」と指摘。大病院は「質の高い入院治療が24時間提供されるよう、原則として入院治療と専門的な外来のみを基本とする」と明記した。

 一方、「夜間や休日などの治療に不安がある」とする患者のニーズに対応するため、開業医の果たすべき役割として(1)休日夜間急患センターに交代で参加する(2)時間外でも携帯電話で連絡がとれる(3)午前中は外来、午後は往診・訪問診療という経営モデルをつくる、などを挙げた。
(朝日新聞)

医療機関の役割分担見直しへ
 今の医療制度では、保険証があればどの医療機関でも受診でき、一方で時間外を受け付けない診療所もあるため、本来は高度な治療を担う大病院に一般の外来患者が数多く訪れて勤務医の負担が増し、医師不足に拍車をかけています。さらに急速な高齢化に伴ってお年寄りの患者が大幅に増えることも予想されるため、厚生労働省は、医療機関の役割分担を抜本的に見直す方針を固めました。具体的には、地域の拠点となる大病院は原則として入院治療と専門の外来のみを行い、診療所は時間外の診療や往診を受け持つとしています。また開業医についても、休日や夜間に地域の救急センターに交代で出勤することや、時間外でも携帯電話で連絡がとれることなどを求めています。
(NHK:ホームページの記事はすでに消えています)

休日に社員を自宅で待機させた場合、労働時間となるか
Q:当社は、土日が休日ですが、社内設備の担当者には、その間、自宅で待機してもらい、設備に不具合があった際には担当者の自宅に直接連絡が行くようにしようと思います。異常がなければ仕事をしないとはいえ、何かあれば出社して対応しなければなりません。また、原則として外出しないよう指示する予定ですので、その間、本人がまったく自由に使えるわけではありません。このような場合、実働がなくても、労働時間ととらえなければならないでしょうか。(千葉県U社)

A:呼出が稀(まれ)であれば労働時間には該当しない
1.労働時間の定義
 ご質問のケースでは、設備の不具合の連絡を受けた場合には、出社できるよう自宅に待機しているということですから、いわゆる「呼出待機時間」が労基法上の労働時間に当たるかが問題になります。
 ビル管理業務に従事する労働者の仮眠時間が労働時間に当たるかが問われた大星ビル管理事件判決では(最高裁一小平14. 2.28判決−第3539号(02. 5.24))、労働時間の概念については、上記三菱重工長崎造船所事件判決を引用し、「実作業に従事していない仮眠時間(以下「不活動仮眠時間」という) が労基法上の労働時間に該当するか否かは、労働者が不活動仮眠時間において使用者の指揮命令下に置かれていたと評価することができるか否かにより客観的に定まるもの」としたうえで、「不活動仮眠時間において、労働者が実作業に従事していないというだけでは、使用者の指揮命令下から離脱しているということはできず、当該時間に労働者が労働から離れることを保障されていて初めて、労働者が使用者の指揮命令下に置かれていないものと評価することができる」とし、「当該時間において労働契約上の役務の提供が義務付けられていると評価される場合には、労働からの解放が保障されているとはいえず、労働者は使用者の指揮命令下に置かれているというのが相当」とし、本件では、仮眠時間中、仮眠室における待機と警報や電話等に対して直ちに相当の対応をすることを義務付けられ、実作業への従事の必要も皆無に等しいなどの事情もない以上、労働からの解放が保障されているとはいえないとして、本件での仮眠時間は労働時間として扱われるべきものと判断しています。

第2 呼出待機について
 そこで、ご質問のケースのような呼出待機について検討すると、実作業の必要が生じる頻度等が明らかでないことから一概にはいえませんが、仮に社内設備に不具合が生じることが極めて稀であるとすれば、「社内設備の担当者には、設備に不具合があった際には出社して対応する」ことが労働契約上義務付けられてはいても、その義務付けは抽象的であり、また、場所的拘束性という点においては、「原則として外出しないよう指示」したとしても、会社事務所の待機室に待機している場合とは異なり、待機場所の選択がおおむね労働者の自由な選択にゆだねられていると考えられ、場所的拘束は緩やかであると解されます。
 これらのことからすれば、ご質問のケースのような呼出待機は使用者の指揮命令下にあるとはいえず、労働時間に該当しないと解すべきでしょう。
 ただし、ご質問のケースのような呼出待機については、待機する労働者の自由をある程度拘束せざるを得ないことから、一定額の待機手当等を支給すべきであると考えます。この場合には、いわゆる宿日直の許可基準たる1人1日平均賃金の3分の1程度というのが参考になると思います(昭22. 9.13 発基17、昭63. 3.14 基発150)。
(労働行政研究所)

長時間労働増える・労働経済白書骨子案
 厚生労働省が今夏に公表する2007年版労働経済の分析(労働経済白書)の骨子案が13日、明らかになった。週60時間以上働く35―39歳の会社員が10年前と比べ約5%増えるなど、長時間働く男性が増えていると分析。「妻の育児負担を高め、就業参加も難しくしている」と指摘している。
 長時間労働の増加などを踏まえ今回の白書案は初めて、ワークライフバランス(仕事と家庭生活の調和)に着目。労働時間短縮などで「仕事と生活の調和を図り1人ひとりの働き方に応じた成果配分を実現することが重要」と提言している。「人口減少社会における就業参加、少子化抑制などの観点からも重要」なためだ。
(日経新聞)

へとへとツアコン蜂起、日当改善訴え労組
 「ツアコン」と呼ばれ、華やかなイメージもある旅行添乗員たちが、長時間労働や低賃金に悲鳴をあげて労働組合を結成、労働基準監督署も指導に乗り出した。業界慣行では何時間働いても日当が定額で、添乗員たちはこの慣行が労働基準法に違反していると主張。業界団体は逆に、業界慣行を正式に認めるよう厚生労働省に迫っている。
(朝日新聞:医療業界にも通じる)

注意睡眠
 翌朝、所定の時刻に覚醒することを予期して就寝するとき、予定した時刻にほぼ正確に覚醒する現象をヴァシーデ(1911)は注意睡眠(sommeil attentif)とよんだ。睡眠という無意識状態にあってもしっかり注意力が働いているというわけである。
 とくに交代制勤務における勤務シフトの設計をする際には、睡眠が疲労の回復過程であることから、この注意睡眠概念の導入が必要である。たとえば若い看護婦に面 接調査をすると、しばしば「夜勤よりも早朝勤務がつらい」という声を聞くが、これは明らかに注意睡眠が睡眠の疲労回復機能を阻害している結果 とみてとれるからである。また、常日勤者が日帰り出張をする場合においても、宿泊費を節約しようと早起きして出かけるより、前日から現地に1泊して仕事に臨むほうが成果 が大きく疲労の蓄積が少ないというのは、注意睡眠を考慮して適切な対処をとったためと考えることができるのである。(佐々木司 「労働の科学」50巻12号)
(労働科学研究所)

4月15日

厚生労働省総括審議官 宮島俊彦氏に聞く
「集約化」と「連携」で地域医療を立て直す

――これから10年での厚生労働省の医療施策の重点課題は何ですか。
宮島 今、医療で一番問題になっているのは、地域の急性期医療です。医師の地域偏在で、多くの病院で医師が足りなくなっている。勤務医がバーンアウトして病院を辞めて開業してしまう。本当の急性期、高度な技術を提供する医療は、最も大事なところ。この立て直しが施策の焦点です。実は、これまでの10年は高齢化への対応が中心で、この部分はあまり手が付いていませんでした。
(日経メディカル)

慈恵医大が医師引き揚げで、産婦人科の廃止や縮小などの可能性強まる/厚木市立病院(神奈川)
 厚木市立病院(同市水引一丁目、田代和也院長)の産婦人科が七月以降の分娩(ぶんべん)医療受け入れを停止している問題で、医師派遣など協力関係にある東京慈恵会医科大学は、常勤医師四人全員を引き揚げる方針を固め十一日、同市と病院側に伝えた。
(神奈川新聞)

急患医療:“お気軽受診”の市外患者増え「診察を断る場合も」−−大崎市 /宮城
 大崎市は同市医師会に委託し平日夜間と土曜午後・夜間に行っている急患医療で、市外の患者が増えていることから、栗原、美里、加美など隣接6市町に「医療機関の状況によっては診察を断ることもある」などと文書で申し入れた。病院の適切な利用を住民に啓発するよう求めている。
 急患医療は旧古川市以来12年目。市の単独事業で年間1億円を負担し、古川地域の8病院が週1・5回の割合で担当。隣接市町は無負担。制度が知れわたるとともに、ちょっとした風邪でも「夜間の方が空いている」といったお気軽受診が市内外問わず増え、実質徹夜して翌日勤務に就く医療スタッフの心身を蝕(むしば)んでいる。
 市はこのままでは制度が崩壊しかねないと、6市町に善処を求めた。05年度の同制度受診者9874人のうち27%(2675人)が市外だった。市民へは啓発を繰り返しているが、エゴが目立ったりする場合は、やはり診察を断ることもあり得るという。
(毎日新聞)

療養病床の削減計画策定 地域実情、配慮認める 厚労省方針
 慢性期の高齢患者が長期入院する療養病床の削減について、厚生労働省は十二日、削減計画を作る都道府県に地域実情への配慮を認める方針を固めた。全国に三十八万床ある病床を全体で二十三万床削減するとの目標は変えないが、患者やその家族らから不安の声が上がっているため、秋にまとまる計画では目標に届かない可能性が高い。
 事実上、目標の下方修正となるが、背景には今後五年間で七十五歳以上の高齢者が20%増える見通しであることや、退院患者の受け入れ先に想定している老人保健施設など介護施設への転換を希望する医療機関が少ないこともあるとみられる。
 療養病床の削減は、昨年の医療制度改革の中で医療費抑制策の柱。介護施設などへの転換で、二○一一年度末までに十五万床に削減するとしているが、目標があいまいなままだと医療費抑制策の見直しを迫られる可能性もある。
(北海道新聞)

「孫」代理出産他にも、50代女性が娘の卵子で妊娠せず
 子宮がなく子供が産めない30歳代の女性に代わり、50歳代の母親がこの女性の卵子を使って妊娠、出産する「代理出産」を、諏訪マタニティークリニック(長野県下諏訪町)が試みていたことが12日、明らかになった。
 数回体外受精を行ったが、妊娠しなかったという。同クリニックの根津八紘(ねつ・やひろ)院長と30歳代の女性が同日夕、東京都内で記者会見して公表する。代理出産をめぐっては、米国で行ったタレント向井亜紀さんの例などがあるが、国内で代理出産を依頼した当事者が会見するのは初めて。
 祖母が孫を産む形の代理出産は、根津院長が2006年10月、今回とは別の50歳代の女性が05年春に30歳代の娘に代わって子供を産んだことを公表している。
(読売新聞)

ドクターヘリ、高速道で初の離着陸訓練
 救命救急部門を持つ病院に患者を搬送する「ドクターヘリ」の官民合同による離着陸訓練が12日、館山自動車道木更津南ジャンクション―君津インター間(千葉県木更津市)で行われた。実際に高速道路の本線を使った訓練は初めて。
(日経新聞)

災害医療チーム、医師不足で休止/都城市郡医師会病院
 都城DMATや警察、消防などが参加した交通事故の救助訓練=2006年10月、都城市 都城市大岩田町の都城市郡医師会病院(総院長・夏田康則都城市北諸県郡医師会長)の「都城災害医療派遣チーム」(都城DMAT)が4月から人員が整わず休止となっている。2005年6月の発足以来、曽於市内で発生した交通事故を含め災害現場などに計31回出動しており、医師会や同病院は「早期再開できるよう人材確保に努める」としている。
 DMATは24時間体制。医師や看護師、連絡調整をする救急コーディネーターら計5人が救急車で現場へ駆けつけ、患者の救命処置をしながら病院へ搬送する。同医師会や同病院によると、中心的な役割を担っていた救急医療専門の外科医1人と、コーディネーター2人が3月末で辞職し、十分な出動体制がとれなくなった。
(南日本新聞)

過酷な勤務は医療の質低下招く
 日本外科学会が会員1276人を対象に行ったアンケート(4日発表)によると、外科医の勤務時間は平均週59.5時間、病院勤務医では同68.8時間に上り、労働基準法で定める週40時間を大幅に超えていることが分かった。また外科医の7割は当直明けに手術を担当、20〜40歳代では約9割が当直明けに手術を行っていた。
 医師不足が招く病院勤務医の長時間労働や、それに伴う医療の質低下の懸念については厚生労働省が小児科医を対象に行った調査でも明らかになっている。一昨年(2005年)11月に行ったアンケートによると、小児救急の拠点病院で、小児科医の宿直・夜勤の回数は月平均4・5回、最も多い医師は月15回行っていた。また24時間以上連続しての勤務は平均2・4回、最も多い人では月10回に達した。先の外科医の調査と同様、宿直や夜勤が明けた後も勤務を続けている医師は約7割に上り、最長で36時間働き続けていたケースもあった。
 過酷な勤務実態では、東京都中野区の総合病院に勤務していた小児科医が1999年に自殺したのは過労が原因として、妻が労災と認めなかった新宿労働基準監督署の処分取り消しを求めた訴訟で、東京地裁が先月、自殺を労災と認めて処分を取り消す判決を下したのに対し、厚生労働省が控訴を断念し自殺を労災と認める判決が確定している。過酷な勤務で辞める医師が増え、残った医師の負担が増す“負の連鎖”が続いている。
 産科でも、日本産科婦人科学会が先月発表した調査結果で、30歳代半ばまででは全体の半数を超える女性医師のうち、その半数が過酷な勤務を背景に、自らの出産・子育てを機に「お産」の現場を離れていることが分かった。
(公明新聞:なお、管理人はこの政党の関係者ではありません)

安曇野市が夜間急病センターを開設 内科と小児科(長野)
 安曇野市は11日、同市豊科の市医師会館内に内科と小児科の「市夜間急病センター」を開設した。月曜日から土曜日までの午後7時−10時に、市医師会所属の医師が交代で診察する。
 軽症の患者が対象で、症状によっては、同市内の安曇野赤十字病院や県立こども病院などを紹介する。小児科医が少ないことから、当面は大人を含めて注射や点滴はしない。薬は原則、院内で処方する。
(信濃毎日新聞)

産婦人科小児科の入局ゼロ/弘大
 弘前大学医学部の二〇〇七年度後期研修希望者(入局者)は二十五人で、前年度より九人減ったことが分かった。全国的に医師不足が深刻な産科婦人科は前年度に続き入局者ゼロ、小児科は初めて入局者がなかった。関係者は「若手医師が大学に残らないと地域医療は崩壊してしまう」と危機感を強くしている。
(東奥日報)

病気腎摘出、香川労災病院調査委が「医学的に妥当」
 病気腎移植問題で、4件の摘出手術を行い、宇和島徳洲会病院(愛媛県宇和島市)などに提供した香川労災病院(香川県丸亀市)の調査委員会は11日、「移植への利用は患者の同意を得ており、摘出は医学的に妥当だった」とする報告書を香川県に提出した。
 調査委は井上一・同病院長を委員長に、日本移植学会の専門医らを含む12人で構成。報告書は、4件のうち3件は摘出直前まで血流を止めないなど、通常とは異なる手法で、「移植が念頭にあった」としたが、「医師の裁量権の範囲内で、患者に不利益はなかった」と判断した。
(読売新聞)

4月14日

死後生殖:医療の進展に司法追い付けず 長野の出産公表
 夫の精子を凍結保存し、死後に体外受精して子どもをもうける死後生殖について、最高裁は昨年までに3度、夫の子として認知しない判断を示している。民法は死後生殖を想定しておらず、「法的父子関係を認めることはできない」ためだ。
 死後生殖は夫を亡くした妻の希望をかなえるが、生まれながらにして父のいない子を誕生させることは子の福祉に反するとの考え方が背景にある。判決を受け、日本産科婦人科学会(武谷雄二理事長)は昨年末の理事会で、本人が死亡した場合は凍結保存精子を廃棄するとの指針案を作成。14日の総会で正式決定することにしていた。
 諏訪マタニティークリニックの根津八紘院長が死後生殖の実施を公表したのは、学会に問題提起するためという。確かにこの問題を巡っては、世界的にも対応が分かれている。フランスやドイツ、オーストラリアは死後生殖を認めない一方、米英では認められている。
(毎日新聞)

死後生殖:04年に出産していた 長野県の医療機関公表
 諏訪マタニティークリニック(長野県下諏訪町)の根津八紘院長は11日同院で会見し、04年に西日本の女性(当時30代)が病死した夫の凍結精子を使って妊娠し出産していたと発表した。男性の死後に体外受精する死後生殖で生まれた子どもは、最高裁で夫の子とは認知しない判決が出ており、医療機関が公表するのは初めて。根津院長は「14日の日本産科婦人科学会総会で死後生殖禁止を決定する見通しであることから、問題提起の意味も込め公表した」と話した。
 根津院長によると、亡夫は不妊治療のため別の医療機関に精子を保存していたが病気で死亡。その後の02年、女性と亡夫の母が同院を訪れ「死後生殖」を求めた。同院で亡夫の凍結精子と妻の卵子を体外受精させ、03年に妊娠。04年に別の医療機関で出産したという。
(毎日新聞)

医師確保:「足りない」病院、90.5% 病院会調査
 社団法人日本病院会は11日、病院の医師確保状況に関する調査結果をまとめた。06年4月の医師数が3年前より増えたか否かの質問には大半の診療科が「増えた」と答えたものの、産科は「増えた」が14.4%、「減った」は21.7%。全体でも「医師が足りていない」という病院が90.5%に達し、医師不足の深刻な状況を裏付けた。
 診療科別にみると、医師不足が指摘される小児科でも「増えた」(25.1%)が「減った」(20.4%)を上回るなど、産科と内科以外はすべて「増えた」。不足している医師数も「1人」との回答が多く、「2人」と答えたのは小児科27.3%、外科34.1%、内科36.6%。これに対し、産科は「2人」が42.5%に上った。
 また、医師が「足りていない」と答えた病院は「(医師が少々増えても)地域の医療需要は依然満たせていない」と考えていることも分かった。
(毎日新聞)

過労知りながら運転命じる 容疑の運送会社を書類送検
 東京都大田区の国道で昨年11月、トラックが追突し、5人が死傷した事故で、警視庁は11日、事故を起こしたトラック運転手(21)=業務上過失致死傷罪で実刑判決=が疲れていることを知りながら運転を命じたとして、運転手の勤務先の「丸橋運送」(静岡県焼津市)を道路交通法違反(過労運転下命)の疑いで書類送検した。同社の社長(66)は「人手不足で、運転手の休みがないことは分かっていた」と話しているという。
 この運転手に過労運転を命じたとして、同課は先月、運行を管理していた社長の長男(27)を同法違反の疑いで逮捕している。
(朝日新聞)

「医療ミスの原因に慢性的な疲労」 多くの勤務医訴える
 病院に勤める医師の96%が法定勤務時間の週40時間を超えて働いているなど、過酷な労働実態が社団法人日本病院会(東京)の「勤務医に関する意識調査」でわかった。週48時間以上は7割で、週56時間以上も4割を超えた。多くの医師が、医療ミスの原因として「慢性的な疲労」を挙げた。
 調査は全国2535病院を対象に行い、536病院の5635人から回答を得た。夜間当直をすると答えた医師は72%で、月3〜4回が41%、5回以上も17%いた。9割近くは、夜間当直の翌日も「普通勤務せざるを得ない」と答えた。
 医療ミスと勤務との関係では、7割以上が「過剰な業務のために慢性的に疲労している」、6割以上が「患者が多く1人あたりの診療時間、密度が不足がち」と答えた。医療紛争による診療への影響は、7割が「防御的、萎縮(いしゅく)医療になりがちになる」とした。
 また、へき地病院への勤務は「したくない」が40%だった一方、当直回数や休日の確保、勤務期間の条件が合うなどすれば「勤務したい」と33%が回答した。
(朝日新聞)

日本の労働生産性、米の7割・05年内閣府が分析
 日本の労働生産性が2005年時点で米国の7割程度と、主要国で最低水準にとどまっていることが内閣府の分析で明らかになった。就業者の多い卸・小売業、運輸などサービス分野で低迷が目立ち、米国との同分野での格差は2000年以降広がっている。IT(情報技術)の活用や規制緩和で差がついた可能性があり、日本経済の成長力強化へサービス分野の効率化が必要になりそうだ。
(日経新聞)

診療報酬の債権流動化・北洋銀、06年度末の取扱額4.6倍に
 北洋銀行は、道内病院の抱える診療報酬債権の流動化に力を入れる。2006年度末時点で同行の取り扱いは16病院、金額で前年度末に比べ4.6倍の106億円に増えた。道内でも病院経営が厳しさを増すなか、病棟改築や医療機器購入の資金を安定調達したいというニーズに対応する。
 北洋銀が手掛ける診療報酬の流動化は、特別目的会社(SPC)を通じて病院から患者の自己負担分を除く診療報酬債権を1カ月に一度のペースで定期的に買い取る。通常は病院側への支払いは請求から2カ月近くかかるため、現金化までの期間を大幅に短縮できる。同行は手数料と金利収入を得る。
(日経新聞)診療報酬債権の手形割引?

医師確保へ独自政策 県医師会が策定作業着手(沖縄)
 県医師会(宮城信雄会長)は10日、産婦人科や小児科など県内で深刻化している医師不足問題を打開し、医師確保を図るため、県、市町村、民間、大学、地域の関係機関の役割を網羅した形の医師会独自の医療政策の策定に着手した。理事会は同日夜、浦添市の県医師会に産婦人科医会メンバーを招き、県内の産婦人科医の実態や提言を聴取した。今後、小児科医からも聴取し、県全体の医療政策をまとめ、早期に県などに提言する方針だ。
 産婦人科医のメンバーからは県立八重山病院の医師確保について「新しく開業する医師への資金補助制度を自治体が設けてはどうか」「1カ月10人のお産に医師1人の計算で県や石垣市がモデル事業をしてはどうか」などの新しい提言が出された。
 実態については「産婦人科医は当直が必要で少なくても3人体制でないと厳しいが、3人でも過重労働で(医師が)疲弊して定着しない。(その実態が)表面化し、なり手が激減している」などと報告された。
(琉球新報)

4月13日

宿直明けも出番9割/休めない勤務医
 宿直のある全国の勤務医の9割が、宿直明けの日も通常勤務をしなければ仕事が回らない状況であることが、社団法人日本病院会のアンケート結果で分かった。医師不足を背景に長時間労働を強いられる勤務医の実態が浮き彫りになった。
(佐賀新聞)

小児科や産科の病院統合、都道府県の8割「必要」・厚労省調査
 厚生労働省は都道府県に対して小児科と産科の病院統合に関して調査し、10日に開いた地域医療支援中央会議で報告した。医師不足対策として複数の小児科病院を統合させることが「必要」と答えた都道府県(県内の医療圏含む)は24、「検討中」は18で、合計で8割強に達した。産科は統合が「必要」と「検討中」を合わせて8割弱だった。
 小児科医や産科医は、地方の過疎地で不足が深刻になっている。複数の病院を集約して、地域医療の効率化を検討する都道府県が増えていることが浮き彫りになった。北海道や福島、山口県などは小児科・産科の両方で病院統合が「必要」と答えた。
(日経新聞)

子供の医療―医師の数を増やせ
 月に当直8回。休日出勤6回。24時間以上の連続勤務が7回。それなのに、休みはたった2日だけだ。こんな過酷な勤務の果てに、東京の病院に勤める40代半ばの小児科医が自殺した。
 東京地裁は過労やストレスによるうつ病が自殺の原因だとして、労災の適用を認めた。その一方で、遺族が病院に求めた損害賠償訴訟では、別の裁判部が「業務はうつ病を発症させるほど重くはなかった」と訴えを退けた。同じ裁判所で判断が分かれた。
 しかし、勤務の実態を見れば、過労が自殺の引き金になったのは明らかではないだろうか。
 患者がいきなり病院に駆け込むような態勢も改めたい。まず地域の小児科医が診療にあたる。そのうえで、必要なら病院の専門医へ行く。こうした開業医と病院の連携を進めるべきだ。
 この30年間、小児科医は微増にとどまっている。医師の総数が増えていることを考えれば、小児科は新人医師から敬遠されているということだろう。
 しかし、勤務時間などの待遇を改善したうえで、新人医師を小児科に呼び込む手立てがないわけではない。たとえば、小児科の研修期間をもっと長くし、関心を持ってもらうようにしてはどうか。
(朝日新聞)

厚労省 地域医療に助言者派遣 医師不足対策、今夏にも
 深刻な医師不足に悩む地域を支援するため、厚生労働省は10日、対策の在り方などを助言する「地域医療アドバイザー」を今夏にも都道府県に派遣することを決めた。医師確保のノウハウを持つ広域病院の経営者や、医療行政に詳しい学識経験者ら10人程度を同省が選任して委嘱。都道府県とともに問題解決に向けた取り組みを始める。
 派遣の要否は都道府県の要請に基づいて厚労省が判断。医師の減少で産科や小児科が閉鎖に追い込まれたり、救急医療体制の整備が遅れたりするなど、住民生活への支障の程度などで優先順位を決める。
 同省と文部科学省、総務省の3省は昨年8月、「新医師確保総合対策」を策定。都道府県ごとに医療機関や大学の関係者、自治体担当者らによる対策会議を設置して対応を協議するよう求めたが、地域内での取り組みには限界があるとの指摘も出ていた。
(産経新聞)

勤務医:7割が週48時間以上労働 病院会調査で明らかに
 全国で働く勤務医の7割以上は、夜勤当直を除く1週間の勤務時間が、法定の40時間を大幅に超えて48時間以上に達していることが10日、社団法人日本病院会の調査で明らかになった。医療過誤の原因として「過労」と答えた医師も7割に上っている。過労によるうつ病で自殺した小児科医(当時44歳)について先月、東京地裁で労災適用を認める判決が出たが、医療現場で広く同様の過酷な勤務実態があることを裏付ける内容。厚生労働省は医師不足への本格的な対策を迫られている。
 1週間の勤務時間を聞いたところ、「48〜56時間未満」が26.1%(1469人)で最も多く、▽64時間以上=23.2%(1307人)▽56〜64時間未満=20.8%(1173人)と続く。週48時間以上働いている勤務医は計70.1%に達する一方、法定の「40時間未満」は4.1%(229人)にとどまっている
 「夜間当直をする」と答えたのは71.6%(4034人)。月の夜勤当直回数は、▽3〜4回=40.8%(1645人)▽5回以上=17.1%(688人)で、「2回以内」は41.9%(1692人)だった。また、宿直勤務をした医師の88.7%が、「忙しさと無関係に翌日も通常勤務せざるを得ない」と答えた。勤務時間、当直回数は、年齢や病院の規模による差はなかった。
 医療過誤の原因(複数回答可)については、「過剰勤務のために慢性的に疲労している」を挙げた人が71.3%(4015人)を占めた。医師不足の要因(同)についても、「過酷な労働環境」と答えた人が61.0%(3435人)で最も多かった。
(毎日新聞)

医師の集約化 格差を広げないために
 県内の医療機関で医師不足による産科、小児科の休止、縮小が相次いでいる。こうした事態を受け県の検討会は、小児救急や周産期医療を維持するには、地域の中核病院に医師を重点的に配置すべきだとの提言をまとめた。
 産科の減少は深刻だ。2001年に68カ所あったお産を扱う施設は、今年1月に50カ所に減っている。今後も分べんの制限や休止を予定している病院が複数ある。
 小児科医不足も同様だ。4月から辰野町立辰野総合病院、飯山赤十字病院で小児科の常勤医がいなくなったほか、規模の大きい総合病院でも医師の欠員状態が続いている。
 総合病院では日中の外来、病棟診療に加え、当直勤務や緊急呼び出しの待機などを繰り返し、疲れ切った医師が少なくない。開業や転勤で医師が減ると、残った勤務医の負担が増すといった悪循環だ。
(信濃毎日新聞)

4月12日

延命中止、チームで判断 国が初指針
 終末期医療に関するガイドラインづくりを進めてきた厚生労働省の検討会(座長=樋口範雄・東大大学院教授)は9日、延命治療の開始や中止は患者本人の意思を基本とし、主治医の独断ではなく医師らのチームで判断することを柱とする指針をまとめた。国が終末期医療の指針をつくったのは初めて。ただ、「終末期」の定義や、延命治療の中止が容認されうる要件などについては「価値観が多様で難しい」として先送りされた。
(朝日新聞)

自殺対策、世代別に・政府検討会最終報告
 政府の自殺総合対策の在り方検討会(座長・中村桂子JT生命誌研究館館長)は9日、最終報告をまとめ高市早苗内閣府特命担当相に提出した。年間自殺者数が3万人という高い水準を改善するため、青少年、中高年、高齢者と各世代別に対策を明記。特に自殺者の6割を占める中高年については「周囲が早期に異常に気付く必要がある」として、精神科での治療などを促している。
 中高年と高齢者が自殺する場合は「うつ病にかかっている割合が多い」と指摘。このため精神科医など専門家による早期治療が必要と強調した。中高年については「多重債務や長時間労働などストレスの原因の解消」を、高齢者には「介護疲れなどに伴う意欲の低下への配慮」をそれぞれ求めた。
(日経新聞)

医師不足:確保策助言 専門家を派遣へ 厚労省
 厚生労働省は9日、深刻化する医師や看護師不足に悩む都道府県を支援するため、専門家を派遣する「地域医療アドバイザー派遣事業」を始める方針を固めた。医療経営や医療政策の専門家を地域に派遣し、助言や指導をしてもらう。10日に発足する「地域医療支援中央会議」(座長・久道茂宮城県対がん協会長)に提案する。
 同事業は都道府県の依頼に基づき、医師確保策や、医療機関の集約化・重点化などに詳しい専門家を送り込む。10人前後を委嘱し、年12回程度派遣する。厚労省は3年内に報告書の提出を求めて成功例を蓄積し、全国的に展開する意向だ。
(毎日新聞)

県立こども病院の一般診療問題:必要あれば急患受け入れも 考える会が提言書 /長野
 「県立こども病院のあり方を考える会」はこのほど、これまでの議論をまとめた提言書を村井仁知事に提出した。一般診療の開始には消極的な姿勢で、従来通り高度小児医療を担う一方、「必要があれば急患の受け入れを行っていくべきだ」とした。
(毎日新聞)

「週35時間労働」の限界、サービス残業増に悲鳴…フランス発
 パリ西郊の公立病院で働く整形外科医ステブ・アンゼンさん(35)は1週間の労働時間が時に100時間を超える。宿直明けの日もそのまま続けて働き、また泊まることさえ多い。公務員だから法定労働時間は週35時間のはずだが、外科医の絶対数が足りないのだ。
 「患者に何かあったら責任を取らされるのは医者だ。労働法なんか守れない」とアンゼンさんは憤る。
 同僚の看護師や事務員は勤務時間通りに帰る。アンゼンさんは不満げに言う。「自分は訓練医で、手取りは月1400ユーロ(約21万7000円)。看護師の平均(1700ユーロ)より安い」
 2000年に導入された「週35時間制」は、先進国でも突出して短いが、ひずみも生まれた。残業を一手に背負う幹部社員の過労。勤労意欲の減退。
(読売新聞)

In Japan’s Rural Areas, Remote Obstetrics Fills the Gap
 Japan, with a rapidly aging population and a declining birth rate, is grappling with a severe shortage of working obstetricians and places for them to work. With a dearth of babies, hundreds of hospitals and clinics in Japan have shuttered their maternity wards since the beginning of the decade, turning their attention to potentially more lucrative elderly care.
 Since 2000, the number of obstetricians in Japan has declined by more than 5 percent to 11,282 in 2004, the most recent year for which figures are available, according to the government. But that figure masks the severity of the shortage, experts say. The number of doctors actually delivering babies was fewer than 8,000 in 2005, according to an estimate by the Japan Society of Obstetrics and Gynecology.
 Roughly half of all obstetricians are 50 or older, and overworked; many have given up delivering babies and are focusing only on gynecology. At the same time, the number of medical students choosing obstetrics as their specialty has plummeted since 2004. Turned off by long hours, average pay and a rising risk of malpractice lawsuits in obstetrics, young doctors are gravitating instead toward specialties like dermatology and ophthalmology.
 “Young doctors nowadays won’t work just out of a sense of vocation,” said Dr. Kiyoo Tanabe, director of the Japan Association of Obstetricians and Gynecologists. “You have to give them quality of life, a good income and their private time.”
 What is more, women make up a majority of obstetricians in their 20s and early 30s. Many retire when they themselves have children, Dr. Tanabe said, because the medical field remains unfriendly to working mothers.
 The crisis, he said, “began in rural Japan and reached the major cities in the last year.”
 Even in Tokyo, maternity wards are being closed or consolidated, creating a sense of anxiety among pregnant women who are warned to make an appointment for delivery as soon as they learn their due date.
(The New York Times)

高橋氏「地域医療で対策室」(北海道)
 再選を果たした高橋はるみ知事は八日、北海道新聞の単独インタビューに応じ、二期目の最重点課題として「経済産業構造の転換」と「地域医療の充実」を挙げた。そのうえで、地域の医師確保策などを検討する「地域医療問題対策室」(仮称)を保健福祉部に新設する方針を表明。危機的な道財政の再建と並行して、百六十八項目に上る選挙公約を実現するため、「事業の刈り込みなど、新たな道民負担も検討せざるを得ない」と述べ、引き続き歳出削減に取り組む考えを強調した。
(北海道新聞)

医師不足問題で署名活動実施 飯山市の市民団体(長野)
 飯山市の市民団体「いいやま男女共同参画市民会議」は8日、飯山赤十字病院(飯山市)の常勤医師不足問題の解決を求める署名活動を同市常盤のスーパーで行った。住民の意見を県や国に届けようと、岳北地方4市村の住民団体が協力して実施している一環。4月末まで署名を集めて県に提出し、国にも常勤医の過酷な勤務実態の改善などを求める方針だ。
 同病院は、4月から小児科の常勤医が不在となり、救急や入院の対応をやめて平日午前だけの診療に切り替えている。署名活動に取り組んだ同会議の会員8人は、こうした地域医療の状況を説明しながら買い物客に呼び掛けた。
(信濃毎日新聞)

大野病院事件で栃木県保険医協会が声明
 大熊町の県立大野病院の産婦人科医が逮捕、起訴された医療過誤事件で、栃木県保険医協会は「起訴は不当で取り下げるべき」とする声明を発表した。
 検察側が「被害者の女性が異状死だったのに警察に届け出なかった」と医師法違反の罪を適用した点について「常軌を逸した暴挙」と批判。業務上過失致死罪についても「不当」と判断した。
 起訴されたのは大熊町下野上、産婦人科医加藤克彦被告(39)。起訴状によると、加藤被告は平成16年12月17日、楢葉町の女性=当時(29)=の帝王切開手術を執刀し、癒着した胎盤をはがし、大量出血で死亡させた。女性が異状死だったのに24時間以内に警察署に届けなかった。
(福島放送)

4月11日

医学会シンポ:厚労省局長、産科医不足に強い危機感示す
 4年ごとに開かれる「日本医学会総会」の特別シンポジウムが最終日の8日、大阪市北区の大阪国際会議場で開かれ、医療制度のあり方などを話し合った。深刻な医師不足について厚生労働省の松谷有希雄・医政局長は「過去に医師が増え過ぎという議論があり、減らす方向で閣議決定された。しかし、虚心坦懐(たんかい)に考えないといけない」と述べ、現実を見て議論する必要があるとの考えを示した。
 その上で松谷局長は「医師が多いほどいいのは当たり前。ただ適正な医師数については(医療費負担増など)難しい問題がある。医師不足は局所的な問題が大きく、短期的には(激務の)病院勤務医にどのような手当てをするかだ。産科だけは非常に危機感を持っている」と述べた。
(毎日新聞)

「医師少なく勤務過酷」 医学会総会が特別シンポ
 大阪市で開かれていた日本医学会総会は8日、医療制度の現状について特別シンポジウムで討論し、閉幕した。次回総会は2011年に東京で開かれる。
 特別シンポで岸本忠三総会会頭は、医師も一般の人も約3分の2は現在の医療に満足していないとのアンケート結果を紹介。黒木登志夫岐阜大学長は、国立大病院は財政状況が厳しく医師の数が少ないため、研究時間や論文数が減っているとの現状を紹介した。
 日本医学会の高久史麿会長は、勤務医の労働条件が過酷だとして「主治医制を見直し、看護師のように交代制にしなくてはならない。そのためにも医師確保が課題だ」と指摘した。
(東京新聞)

佐沼病院中核化を 登米市検討委報告 再編進め医師集中(宮城)
 宮城県登米地域の医療体制の在り方を考える「登米市地域医療福祉システム検討委員会」(委員長・佐藤良友市医師会長)が、報告書をまとめた。市立5病院を再編し、佐沼病院の施設を拡充整備して中核病院とする方向性を明示した。
 報告書は市立病院の現状について、(1)圏域人口10万人に対する医師数が2002年末の115人から11人減少(2)06年度推計の累積欠損金が約77億円(3)耐震基準を満たさない施設が3病棟―などの問題点を挙げ、「医師不足、経営の悪化、耐震対策の必要性という課題があり、5病院での体制維持は困難」と指摘した。
 短期的な対策として、現在の医師を集めて診療体制を維持する必要性に言及。登米、米谷両病院を病床数縮小か診療所移行、豊里、よねやま両病院を現状維持として医師を再配置し、費用面から「佐沼病院の拡充整備が現実的」と結論づけた。
(河北新報)

医療現場もう限界…日本医学会総会で“崩壊寸前”報告
 医療現場はもうヘトヘト――。大阪市で開催中の日本医学会総会で7日、医師不足をテーマにしたパネル討論「日本の医療クライシス 産科、小児科、麻酔科、救急医療と医師のQOL」が開かれた。長時間労働に疲れた勤務医が病院をやめて開業するといった事態が報告され、「崩壊寸前だ」「今の状況は序の口」などと“悲鳴”が相次いだ。
 QOLとは「生活の質」の意味で、ふだんは患者の状態を語る時に使う言葉。基調講演で大島伸一・国立長寿医療センター総長は「医師が自分たちのQOLを議論すると聞いてびっくりした」と切り出し、「必要な数の医師を養成してこなかった」と国を批判した。
 「産婦人科や小児科を希望する医学生は少なくない。なのに臨床研修を経験すると、どんどん逃げていく」。武谷雄二・東京大教授(産婦人科)、衛藤義勝・慈恵医大教授(小児科)は口をそろえた。魅力は感じるものの、あまりにも忙しく、医療事故や訴訟のリスクも高い現状を見て敬遠する例が多いという。
(読売新聞)

医療クライシス:医師が足りない/5止 「手術待ち」でがん悪化
 埼玉県立がんセンターで今年1月、70代の男性患者に予定されていた手術が中止となった。リンパ節に転移のある下咽頭(かいんとう)がん患者。手術直前の検査で、転移したがん細胞が頸(けい)動脈に入り込み、切除できないことが判明した。2カ月近く手術を待つ間、抗がん剤で治療はしたものの、症状が進行したためだ。
 西嶌渡・同センター頭頸部外科科長は「リンパ節を切除できるかどうかが、患者の予後を左右する。摘出可能と判断されたのに、1カ月以上も手術予定が組めないために手術不能になる例が少なくない。周辺の数カ所の病院が医師不足などで同様の手術をしなくなり、患者が増えている」とため息をつく。

 必要な医師数について、国は「人口10万人に対し150人」を目標に掲げ、73年から「1県1医大設置」を推進した。しかし、83年に目標を達成すると、「2025年には医師の1割が過剰」との推計を基に、医学部の定員削減へ転じた。
 その結果、93年の医学部入学定員は7725人となり、86年に比べて7・7%減少。それでも97年には「大学医学部の整理、合理化も視野に入れつつ、引き続き、医学部定員の削減に取り組む」と閣議決定した。

 ところが、海外は違う道を歩んでいた。日本が「150人」の83年、経済協力開発機構(OECD)諸国の平均医師数は人口10万人あたり200人だった。04年現在、日本は200人だが、OECD平均は310人。医療の高度化や高齢化が進む中、医師の需要が高まるのは当然だからだ。
(毎日新聞)

4月10日

仙台弁護士会のADR機関 初年度紛争38件解決(宮城)
 仙台弁護士会(角山正会長)が、2004年制定の裁判外紛争解決手続き(ADR)促進法を受けて06年4月に開設したADR機関「紛争解決支援センター」の初年度の活動実績をまとめた。1年間で107件の申し立てがあり、38件を解決した。申立件数は目標の75件を大きく上回った。
 解決した38件はいずれも和解形式で、公立深谷病院(石巻市)の債務負担割合問題などが含まれる。間に入った仲裁人(弁護士)が仲裁判断したケースはなかった。
 紛争の種類は、男女間のトラブルや医療過誤などでの不法行為が40件で最多。次いで相続などの家族間紛争、解雇や賃金など職場紛争が各13件となった。
 解決事件の審理回数は平均2.32回で、最長は6回、最短は1回。申し立てから平均56.6日の審理で解決した。
(河北新報)

人口8000人増に 昨年、出生数回復
 厚生労働省は6日、国内の日本人を対象とした人口動態統計(月報)の2006年11月分を公表した。
 05年12月〜06年11月の1年間で、人口が1177人の自然増となった。自然減から自然増へと転じるのは、1年1か月ぶりのこと。残る06年12月分も出生数が順調に増加していることから、06年は1〜12月の年間を通じて、8000人前後の増加となることがほぼ確実となった。
 ただ、今後は、人数が多い1971〜74年生まれの「団塊ジュニア」世代の女性が、出生率が低下する傾向にある30代後半へと突入するうえ、高齢者の増加に伴い、死亡数は今後、増加を続けることが確実な情勢だ。このため、同省では「今回の自然増は短期的な傾向で、中長期的には再び人口減少社会に戻ることが確実だ」と分析している。
(読売新聞)

医師確保へ苦心の高給 自治体病院2倍の差 政投銀調べ
 自治体病院に勤める医師の給与は都道府県によって2倍の開きがあることが、日本政策投資銀行の調べでわかった。北海道や東北を中心に医師不足が深刻な地域ほど給与は高い傾向があり、自治体が「高給」で医師をつなぎとめている実態が浮きぼりになった。
 総務省がまとめた04年度の地方公営企業年鑑をもとに、同銀行が全国1000の自治体病院(都道府県立、市町村立、一部事務組合立)の経営を分析した。
 常勤医の給与(時間外、期末手当などを含む)の全国平均は、年額換算で1598万円(平均年齢42歳)。都道府県別では北海道の2301万円が最高で、最低は奈良県の1132万円だった。岩手、宮城など東北各県は軒並み高水準なのに対し、西日本は全般的に低く、神奈川や東京、大阪など大都市部も低かった。
 全国でもっとも給与が高かった病院は、北海道北部の幌延町立病院(6科36床)の4586万円。町内唯一の病院で、ただ1人の常勤医である院長が日中の勤務に加え、平日は毎晩当直についているという。同病院は「町の財政は厳しいが、地域の医療を守るためにはこの待遇もやむをえない」と説明する。
(朝日新聞)

厚労省、医師不足対策でアドバイザー派遣
 厚生労働省は過疎地の医師不足の解消対策を指南するアドバイザーを都道府県に派遣する。経営や地域医療に詳しい医師などをアドバイザーとする人選を始め、夏にも地方の病院への助言を始める。10日に開く地域医療支援中央会議に諮る。
 厚労省は「東京都など都市部には医師が集中するが、北海道や東北地方では医師が足りない」として、地域医療の衰退を懸念している。当初、集めるアドバイザーは10人前後。高齢化が進む地方の過疎地域では産科医や小児科医がいなくなるなど医師不足は深刻さを増している。実際に事情に詳しい人を派遣して、対策を支援する。
(日経新聞)

医療危機パネル討論:医師不足…待遇改善など訴え相次ぐ
 医師不足が社会問題化している産婦人科や小児科、救急科などの医師のQOL(生活の質)などを考えるパネルディスカッション「日本の医療クライシス」が7日、大阪市内のホテルで開かれた。パネリストを務めた医師からは、厳しい医師不足の現状や過酷な労働環境、待遇改善などを求める訴えが相次いだ。
 150人を超える医師らが参加した。基調講演で、大島伸一・国立長寿医療センター総長が「危険性が高く、過剰な労働や低い待遇が、産婦人科や小児科離れ、開業志向に拍車をかけている」と指摘。「医療体制の構造的な問題で、医療需要に応じて医師や医療費などが適正に配分されていない」と批判した。また、「社会からの敬意こそ、医師のQOLを高める」と訴えた。
(毎日新聞)

重症児診療を縮小 公立豊岡病院(兵庫)
 小児科医師二人の退職で診療体制が揺らいでいる兵庫県豊岡市戸牧の公立豊岡病院(竹内秀雄院長)は六日、本年度の小児科診療を今月から当分の間、五人体制で行うと発表した。
 同病院の小児科医師は二〇〇四年がピークで七人。昨年四月から六人に減り、同八月に五人いたものの、うち二人が今年三月末で退職した。新体制は、ベテランの小児科部長と新生児科部長、小児科医長の三人に加え、県立こども病院と豊岡病院で臨床研修していた専攻医二人を加えた計五人と人数的には従来の体制を確保した。
 しかし、専攻医二人は経験が浅いため、低体重児などは治療する一方、重度の呼吸不全やけいれんなど救急の重症入院児の治療がある場合に一般外来を中断したり、呼吸管理が必要な重症児は京阪神の専門施設に移して入院させるなど限定して対応するという。
(日本海新聞)

産科医施設5減/県内・過去1年(青森)
 県内の産科医療施設は、この一年間で総合病院が十六施設から十三施設に、民間診療所(開業医)が二十四施設から二十二施設にそれぞれ減少していることが六日、本紙の調べで分かった。医療機関は三市に集中、郡部の産科医不足がより深刻化しているほか、中核病院は人手不足で労働環境が悪化、民間診療所も医師の高齢化、助産師不足などによって厳しい運営を迫られている。
(東奥日報)

終末期医療で大規模調査へ 厚労省、秋に検討会設置
 厚生労働省は7日までに、終末期医療について、国民や医療従事者の意識変化を探る大規模調査を来年初めにも実施することを決めた。終末期医療をめぐっては、国として初のガイドライン(指針)が9日にも同省の検討会でまとまる見込み。同省は「指針づくりは対策の第一歩」としており、意識調査を踏まえて、国民の合意を得られる施策を進めたい考えだ。
 終末期医療をめぐる意識調査はこれまで1993、98年、2003年にも実施。前回03年2−3月に約1万4000人を対象にした調査では、延命治療を望むかどうかを事前に書面で意思表示する「リビングウイル」に賛成する人が、初めて一般国民の過半数を占めた。
(北海道新聞)

4月9日

療養病床:削減に悲鳴 家族に負担、病院も混乱
 国が06年度から進めている長期入院施設「療養病床」の削減政策により、不安を抱く高齢者が増えている。ピークの06年2月に38万1840床だったベッド数は同年12月で1万2411床減の36万9429床に。率では3.3%減と目立たないが、入院ベッドを求めて住み慣れた地域をやむなく離れたり、自宅で引き取った家族が介護に悲鳴を上げるなどの深刻なケースが出始めている。
(毎日新聞)

医師不足 派遣・育成余力なし 宮城県政課題
 「富県戦略」に重きを置く村井嘉浩宮城県政で、1つの保健福祉政策が注視されている。
 医師不足を補うドクターバンク制度。地域医療を志す人材を県が採用し自治体病院へ派遣する。期間3年のうち1年は大学や専門病院で研修できる。医学生や医師の反応は悪くない。
 05年の県調査では、県内35自治体病院のうち、外来患者やベッド数に見合う医師を確保できたのは17病院。登米、気仙沼医療圏は8病院すべてが基準割れした。 県は09年度までにバンクに25人を採用する計画だが、それでも医師不足解消は遠い。「どんな病院にも派遣する、とはいかない」と県関係者が打ち明ける。
 医療技術は刻々と進化する。若い医師ほど、一定規模の総合病院で経験を積み、中小診療所へ移る繰り返しが欠かせないが、人を育てる余力のない現場も多い。
 県が受け皿として示すのは地域医療支援病院。かかりつけ医を別に持ってもらい、専門医療に特化する。多くの症例をこなし指導体制も整うが、6病院のうち、みやぎ県南中核病院(大河原町)以外は仙台市に集中する。
 地域保健医療計画を決めるのは県。ところが実際は「病院建設や医師派遣は市町村と医局が決めて口を挟めない。リーダーシップも求められなかった」(医療整備課)として、再編論議をタブー視してきた。
 医師不足が深刻な県北では「人口10万程度の市で医師を集めやすい大病院を単独運営するのは無理」(医師会幹部)との声も上がるが、県は「首長や住民の議論が大切」と静観する。近い将来の公的医療をどう保障するのか。市町村も県も主導権を手にしないまま、時間だけが過ぎる。
(河北新報)

労働調査会第1次報告 規制改革なお意欲 経済界の思惑見え隠れ
 経済財政諮問会議の労働市場改革専門調査会が六日の諮問会議に提出した第一次報告は、就業率の引き上げや労働時間削減の数値目標を示し、「ワークライフバランス(仕事と生活の調和)」実現への取り組みをアピールする内容となった。ただ、一部労働者の労働時間規制を外すホワイトカラー・エグゼンプションの導入検討を示唆する表現も残り、労働規制改革を進めたいという経済界の意欲が、なお見え隠れしている。
(北海道新聞)

不良債務最多145億円、道内05年度 86%で累積赤字 自治体病院(北海道)
 道は六日、自治体病院を経営する道内八十四市町村(病院数九十七)の二○○五年度病院事業会計をまとめた。それによると、二十市町が「不良債務」を抱え、その総額は前年度比4・8%増の百四十五億円と、記録のある一九八二年度以降で最多となった。また、全体の86%に上る七十二市町が累積赤字を抱え、総額は千二百八億円に上った。市町村立病院の70%近くは過疎地にあり、急速な人口減が病院会計悪化をもたらしている実態が浮かび上がった。
 不良債務が最も多いのは、財政再建団体となった夕張市で、二十九億円。これに赤平市(二十一億円)、美唄市(十八億円)、留萌市(十三億円)、函館市(十一億円)、室蘭市(九億円)、深川市(六億円)と続く。
 不良債務が医業収益の10%を超えた場合、医療機器購入や病院建設の財源となる病院事業債の発行が制限される。道内では、不良債務を抱える二十市町のうち十四市町が制限対象となった。
 道は道内市町村の病院事業会計の悪化について、《1》市町村立病院の67%が採算のとれない過疎地にある上、高齢化が進んだ《2》医師不足で診療体制の縮小を余儀なくされた−などのため、患者が減少し、収入減に結びついているのが原因とみている。
(北海道新聞)

労働時間 10年で1割減 就業率アップも
 政府の経済財政諮問会議の労働市場改革専門調査会がまとめた第1次報告案が5日、明らかになった。年間労働時間の1割削減や女性就業率の大幅アップなど10年後に実現すべき数値目標を明記。調査会は当初、大胆な規制緩和で労働市場の流動化を図る「労働ビッグバン」を掲げていたが、世論や与野党の反発を受け労働者に配慮した政策を打ち出した形だ。
 労働時間短縮では、06年で年2041時間の正社員中心のフルタイム労働者の年間実労働時間を約1割減らすよう提言。完全週休2日制の完全実施や年次有給休暇の完全取得、残業時間半減の実現も掲げている。企業に対しては、連続休暇制度の義務づけや社員の未消化休暇の買い上げ、休日労働の上限規制などの検討を挙げた。
(朝日新聞)

医師不足:根室病院、常勤医師が6人に 夜間など救急外来休止 /北海道
 市立根室病院(荒川政憲院長、病床数144床)の常勤医師数が前年比5人減の6人になり、9日から当面の間、小児科を除く全科で平日夜間と土日祝日の救急外来を休止する。長谷川俊輔市長が5日、明らかにした。緊急時に医師が病院に駆けつける自宅待機態勢となり、救急車で搬送される重症患者のみ受け付ける。
 今年1月、内科医4人のうち3人を派遣してきた旭川医大が3月末で同病院への派遣打ち切りを通告。陳情などの結果、3人(前年比1人減)を確保し、内科医不在の危機は免れた。しかし、外科と整形外科に各2人いた常勤医師は確保できなかった。現在は2科のいずれも非常勤医1人で、手術もできない状況。
(毎日新聞)

医師不足:「医師数算定、緩和を」 十勝の8町長、きょう道に提言 /北海道
 地方病院の医師や看護師の確保が危機的な状況を迎える中、十勝管内で病院運営にかかわる8町と十勝支庁は、「地域の実態に応じて標準医師数の算定方法を緩和すべきだ」など6項目の提言をまとめた。6日、道に提出する。自治体病院開設者協議会理事の小林康雄・士幌町長は「医師・看護師の確保は、市町村の努力だけでは限界。地域に合った対策を講じてほしい」と話している。
 道の出先機関の支庁が管内町村と同調して道に対し提言するのは異例。提言は、道が今夏にもまとめる「自治体病院等広域化・連携構想」に、先手を打って、地域の実情を反映させるのが狙い。
(毎日新聞)

日本医学会総会が開幕・「市民3分の2が医療に不満」と会頭
 全国の医療関係者が一堂に会する第27回日本医学会総会(会頭・岸本忠三大阪大学前学長)が6日午前、大阪市で始まった。4年に一度開く日本最大規模の学会で、医師や看護師ら約3万人が参加。8日までの会期中に学術講演やシンポジウムで医師不足や医の倫理など医療を取り巻く様々な課題を議論する。
 今回の総会のテーマは「生命と医療の原点――いのち・ひと・夢」。あらゆる組織・臓器に成長する可能性を持つ胚(はい)性幹細胞(ES細胞)を使った再生治療やがん、生活習慣病を招くメタボリック(内臓脂肪)症候群などの研究最前線が紹介される。生殖医療と生命倫理、小児科などの医師不足など医療を取り巻く課題なども意見交換する
(日経新聞)

県内勤務医へのアンケート結果まとまる、五所川原市民団体実施、医師不足「国策が原因」(青森)
 五所川原市金木町などの有志でつくる「金木病院の救急体制を維持する会」が、県内公立総合病院の勤務医を対象に、勤務環境や医師不足問題などに対する考えを尋ねたアンケートの集計結果を公表した。
 同会によると、設問への回答に加え、いわゆる緊急を要しない「コンビニ受診」などへの苦言や、「地方の勤務医不足は国策が原因。勤務医の開業ラッシュも影響している」とする指摘が寄せられた。同会事務局の一戸彰晃さん=同市金木町=は「問題解決には医師、住民、病院を運営する自治体の相互理解と連携が必要」との見解を示している。
 一週間の時間外勤務時間を尋ねた項目では、40人が30―50時間以上勤務していると回答。地方の医師不足の原因を尋ねた設問(複数回答、無回答あり)では、「国策の問題」を選択した医師が最も多く、65人だった。
(陸奥新報)

4月8日

損賠訴訟:過労で障害 「月200時間の残業原因」−−鹿屋の男性ら提訴 /鹿児島
 月200時間に及ぶ残業を強いられ、脳に障害を負って寝たきりになったとして、鹿屋市王子町、元会社員、松元洋人さん(32)と両親が4日、勤務先の飲食店を展開する康正産業(鹿児島市、肥田木康正社長)を相手取り約3億5800万円の損害賠償を求めて鹿児島地裁に提訴した。弁護人で過労死弁護団全国連絡会議の松丸正代表幹事は「違法な残業が多いとされる外食産業に対しての損害賠償訴訟は全国でも珍しい」としている。
 原告側は、会社側の安全配慮義務違反▽労使協定なしの違法な残業▽厚労省の通達違反−−と主張。母紀子さん(57)は「外食産業では長時間の時間外労働を強いられている人が多い。泣き寝入りしないように提訴を決意した」と話している。
(毎日新聞)

医療クライシス:医師が足りない/3 奨学金枠、定員割れも
 国は昨年8月、医師不足が深刻な地域にある大学医学部と自治医大の定員増を認めた。対象の県は原則、10万人あたりの医師数が200人未満(04年)の県で、青森、岩手、秋田、山形、福島、新潟、山梨、長野、岐阜、三重の10県。08年度から10年間は定員を10人まで上乗せできる。政府は97年、「医師は過剰」を前提に医学部定員の削減に取り組むことを閣議決定しており、事実上、方針を変更した形だ。
 青森県は国の対策に先んじて、05年度から弘前大医学部の1学年25人を対象にした奨学金制度を設けている。特別枠と学士枠(各5人)は、1年次に年間約210万円、2年次以降は年間約170万円を貸与する。一般枠(15人)は授業料(年間約53万円)を貸与している。特別枠は卒後9年、学士、一般枠は卒後6年県内の病院で働けば返済免除になるが、一般枠は希望者が定員に満たないのが現状だ。
 県医療薬務課医師確保・機能再編推進グループは「国の条件通り奨学金を定員の半分の55人分準備しても、借りたい人がどれぐらい出てくるのか」と疑問を投げかける。
(毎日新聞)

佐野市民病院の経営問題:婦人科外来も休診 /栃木
 佐野市は3日、同市民病院の今月以降の診療体制を発表した。昨年度末と比べると常勤医師が8人から2人、非常勤医師が50人から30人に激減。眼科に加え、婦人科も外来診療を一時休診する。
 医師不足が深刻化している同病院では3月末で、院長、副院長を含む常勤医師8人全員と非常勤医師43人が退職。1日から福光正行・新院長ら常勤医師2人、非常勤医師23人が就任した。しかし、退職医師の後任が見つからない診療科もあり、週5日あった眼科、週1日あった婦人科の外来診療を休止。また、ペインクリニックや女性外来の診療も取りやめる。
(毎日新聞)

医療の値段、高額療養費 4月から制度改正
 保険診療での患者負担の上限を定めた高額療養費制度は4月から、いったん病院の窓口で全額払った後に超過分が返還されるこれまでの方式に代わり、最初から限度額分だけの支払いですむことが可能になります。
(読売新聞)

赤ちゃんポスト:熊本市長、正式許可表明へ 慈恵病院申請
 熊本市の幸山政史市長は5日午後、慈恵病院(熊本市)が申請していた、さまざまな事情で育児ができない親が匿名で新生児を預けることができる「赤ちゃんポスト(こうのとりのゆりかご)」の設置を正式に許可することを表明する。「ポスト」設置は国内初となる。「命が救える」「育児放棄を助長する」と世論の賛否は割れているが、安全な施設の運用や捨て子を防ぐための行政の一層の対策が求められる。
 病院は昨年12月15日に設置許可を申請。児童虐待防止法や母子保健法の母親の努力義務などに触れないかが問われ、熊本市が厚生労働省と協議した。厚労省は2月22日に「法的に問題はない」との見解を示した。ところが、翌23日、安倍晋三首相が「親が責任を持って産むことが大切」と強い懸念を表明したことなどもあり、市は慎重な対応を迫られていたが、病院から「子供を預ける行為は緊急避難で、病院は健康保持に万全を期す」などの文書回答を得て、最終決断した。
(毎日新聞)

期待の研修医予定より12人減、国家試験不合格など、弘大病院6人に(青森)
 今年度に本県で初期臨床研修を受ける研修医の数が、最終的に53人に減少したことが4日までに、県の調べで分かった。昨年10月に公表された研修希望者と研修指定病院のマッチング(組み合わせ)最終結果では61人、マッチング以外で4人の合計65人が県内で研修予定だったが、10人が医師国家試験で不合格となり、2人が留年などで研修を辞退。当初の予定より12人減った。医師不足の解消が求められる中で新たな人材採用が減少し、地域や医療現場の期待がそがれる形となった。
(陸奥新報)

府:女性医師を復職へ、環境づくりを支援−−今年度から /大阪
 府は今年度、子育てなどで離職している女性医師の復職を支援する事業を始める。復帰に向けた研修を行ったり、病院に女性医師が働きやすい環境づくりをアドバイスする。産婦人科などで医師不足が深刻な問題となっており、環境を整えて一線に戻ってきてもらう狙いがある。
 府によると、離職中で就労可能な女性医師は府内に350〜400人程度いるという。こうした医師に日進月歩で進歩する最先端の医療技術を講義形式で学んでもらったり、府立病院などで臨床研修を受けて、復職に向けて技術を磨き直してもらう。
(毎日新聞)

医師が危ない=団塊の世代削減計画?
 都内の大病院の勤務医が話していた。この何年か新しい患者が来ると、冷たくしているのだそうだ。なぜかと言うと仕事がきつくなって、新しい患者が増えると、時間がどんどんとれなくなる。手術と自分が手術した患者のその後の対応で手一杯で、これ以上人が増えると、身が持たない。現に、体調の悪い自分の検査の時間もないという。
 これは、過去の国関係の箱物行政での赤字や破綻の付けで、予算の締め付けが来ているのではないか。これでは、これから団塊の世代が引退して、病院にかかるようになると、人員不足から医療の質が落ちるのではないかと懸念していた。今、産婦人科や小児科など、時間を問わず生死に関わる医療に飛び込む医師が減っているという。公共の病院は予算の削減で効率、利益が優先され、病院の運営方法次第で、医師が思うような診療ができないのではないかと思った。
(ライブドアニュース)

4月7日

内診指針HP掲載厚労省「了解なし」…産婦人科医会が削除
 日本産婦人科医会が、「厚生労働省の了解を受けた」として、看護師は医師の指示監督のもとで、産婦への内診を行っていいとする内容のガイドライン(指針)をホームページに掲載していたことが、分かった。
 2日夜に掲載したが、同省から「了解していない」と指摘され、3日昼に削除した。同省は2日に内診を認めない内容の通知を都道府県に出したところだった。
(読売新聞)

外科医7割、当直明けに手術 病院勤務は週70時間
 外科医の7割が当直明け手術をしており、病院勤務では平均で週70時間労働――日本外科学会が会員1276人を対象にしたアンケートから、過酷な実態が浮かび上がった。約1割が医療訴訟も経験しており、同学会は「この状態が続けば、外科学会への新規入会者は2018年にゼロになる」と予想している。
 調査は去年11月、インターネット上で回答を募った。勤務時間は平均週59.5時間。病院勤務では同68.8時間。労働基準法で定める週40時間を大幅に超過していた。
 当直明けの手術参加は「いつもある」31%、「しばしば」28%、「まれに」が13%。「当直明け手術はしない」は2%しかなかった。20〜40代では、約9割が当直明けに手術をしている。
 門田教授は「過重労働や当直明け手術は、医療の質や安全性の観点からも問題だ。医師が訴訟に対し防衛的になれば、治療の選択肢がせばまり、患者への影響も大きい。国は医療費抑制の方針を抜本的に見直し、医師数の増加や過重労働の是正に乗り出してほしい」と話している。
(朝日新聞)

地方医大生:地元に残った医師は約3割…毎日新聞調査
 医師不足が深刻な10県にある大学医学部の04、05年の卒業生で、地元の病院に残った医師は約3割にとどまったことが毎日新聞の調べで分かった。各医学部には県内高校出身者が平均で約2割しかおらず、多くを占める県外高校出身者の大半が県外の病院へ流出しているためだ。国は医師確保対策の柱として、この10県の大学医学部に対し、08年度から最大10人の定員増を認めているが、各県の担当者からは「県内高校出身者が少ない中で、どれほど効果があるのか」と疑問の声が上がっている。
 調査は3〜4月、定員増を認められた青森、岩手、秋田、山形、福島、新潟、山梨、長野、岐阜、三重の10県にある大学医学部を対象に実施。05、06年度入学者の出身内訳は全県から、04、05年度卒業生の進路状況は5県から回答があった。
 卒業後の進路については、回答のあった5校の平均で、04年度は35%、05年度は33%しか県内に残っていない。出身高校別で見ると、県内出身者は約7割が県内に残るが、県外出身者は約2割しか残らなかった。
(毎日新聞)

新人医師の勤務で提言 日医会長、厚労相に
 日本医師会(日医)の唐沢祥人会長は4日午後、柳沢伯夫厚生労働相と厚労省内で会い、深刻化している医師の不足や偏在に関し、研修終了後の新人医師が、医師の少ない地域や小児科、産科で勤務するシステムを行政と連携して構築することを提案した。
(東京新聞)

医療現場に赤信号 飯能、医師不足(埼玉)
 飯能市の山あいが不安な春を迎えている。市街地の約十キロ西、東吾野地区にある市立病院の外科外来が、四月から休診となった。外科医一人の後任を確保できなかったのだ。
 専門は外科と内科。五十床を配置し、一日平均約八十人の外来患者が来院する。高齢化が著しい同地区周辺の市民には「頼りになる」医療拠点だが、新年度は定数を三割り込み、内科医二人のみの体制となる。
 経営状況もきわどい。市立の一病院と二診療所は事業費全体の23%に当たる計一億七千六百万円を、本年度一般会計から繰り入れる。専門家らでつくる市の「保健・福祉の将来を考える懇談会」は「入院は段階的に縮小、廃止」との方向性を打ち出した。
(WEB埼玉)

深刻化する地方の医師不足 奨学金や定員増…懸命の対策
 地方の医師不足が深刻化している。医師の総数は年4000人のペースで増え続けているにもかかわらずこうした事態を招いているのは、医師の偏在が急激に進んでいるからだ。何とか医師を確保しようと、破格の奨学金を設けたり、医学部の地域枠(地元出身者の入学枠)を拡充させたりと行政も手は尽くしている。さらに国は20年来の方針を転換させ、来年は11大学で医学部の入学定員を増加させることを決めたが、効果が現れるかは不透明だ。
 千葉県は来年から、県内に付属病院を持つ東京慈恵医大、東京女子医大、日本医大などの6私大の中から2大学と協定を結び、毎年各大学2人の計4人に、在学6年間で総額3200万円を上限とした異例の奨学金を創設する。奨学生は国立の千葉大学医学部と同等の学費(6年間で約350万円)だけを負担し、不足分を補う3000万円超の高額奨学金は、卒業後に県内の自治体病院などの医療機関に9年間(小児科と産科は7年間)勤務すれば、全額返還が免除される。
(産経新聞)

「地域枠」で医師を確保 旭川医大が新推薦制度
 北海道旭川市の旭川医科大学は2008年度入学試験で、医師不足が深刻な北海道北部や東部地域の出身者を対象にした地域枠推薦制度を導入する。04年度から義務化された2年間の臨床研修を同地域の病院ですることが条件で、定員は医学部医学科(定員100人)の5人。
 出願条件は、富良野市、帯広市などから北東の地域(旭川市と周辺8町を除く)にある小、中、高校のいずれかに通学し、保護者が同地域に3年以上住んでいることなど。12月1日に小論文と面接試験を実施した後、大学入試センター試験の得点が75%以上の受験者が選抜対象で、合格発表は2月13日。
(熊本日日新聞)

4月6日

母体胎児ICU:患者受け入れ率の施設間に開き
 全国の総合周産期母子医療センターなどの代表者が作る「全国周産期医療連絡協議会」(末原則幸代表)が、同センターにある母体・胎児集中治療室(MFICU)の実態調査を初めて実施した。05年1年間の妊婦の搬送依頼に対する受け入れ率は最高100%、最低27%と開きがあり、危険なお産を引き受ける「最後のとりで」とも言える施設間で大きな差があることが分かった。
 勤務医数は最大38人、最低3人で、平均は12.9人。大学病院を除くと平均7.9人にとどまった。現場の産科医1人あたりの1カ月の宿直回数は最大10回に上り、平均でも月6.5回だった。24時間態勢の施設のため、労働基準法に沿うと交代制が必要だが、実際に交代制を導入しているのは3施設だけ。宿直制を取っている残りの56施設のうち、宿直明けも早めに帰らず翌日夜まで通常勤務をしているのが全体の8割にあたる48施設に上った。1晩あたりの宿直医数も平均1.7人で、同時に複数の患者に対応できる2人に満たなかった。
(毎日新聞)

看護師内診:HPに一部可能…抗議受け削除 産婦人科医会
 厚生労働省が看護師の内診行為を禁じる通知を出したことをめぐり、日本産婦人科医会が逆に内診の一部が可能になったととれるガイドラインをホームページに公開し、厚労省から抗議を受けて自主的に削除したことが分かった。通知には分かりにくい面があるため、厚労省は来週中にも医師と助産師、看護師の各団体代表を集め、通知の内容を説明する方針。
(毎日新聞)

医療クライシス:医師が足りない/2 「宿直」多忙で眠れず
 「宿直勤務は週1回、日直勤務は月1回を限度とする」。厚労省が02年3月、日本病院会などに送った通知にはそう明記されている。同病院は休診直前まで、産婦人科医3人と大学病院からの宿直応援で対応していたが多い時には夜間の宿直や休日の日直が月12回に及ぶ医師もいたという。
 医師に宿直や日直をさせるには、労働基準監督署長の許可が必要だ。厚労省の通知は許可条件として、「病室の定時巡回など軽度・短時間の業務で、十分な睡眠時間が確保されなければならない」とする。許可されれば、宿日直は労働時間にカウントされない。
 しかし、頻繁に救急患者への対応が必要で、昼間と同様の勤務内容が常態化している場合は、宿日直扱いはできない。宿日直も労働時間にカウントされるため、医師の労働時間が週40時間以内になるよう複数の医師による交代制にするか、時間外・休日労働の割増賃金を支払う必要がある。
 ところが、厚労省が03〜04年に指導、監督を実施したところ、宿日直に関して全国430施設で法令違反が見つかった。特に195施設は「昼間と同様の労働に従事することがまれではない」ことが判明した。
(毎日新聞)

県内の「飛び込み分娩」増加(青森)
 妊婦健診を受けずに出産直前に医療機関を受診する「飛び込み分娩(ぶんべん)」が県内の医療機関で目立っている。八戸市民病院では二〇〇六年、十二件で前年の四倍となった。妊婦の意識の問題、社会・経済的問題などが要因として挙げられるが、「医療事故を懸念する民間医療機関から“飛び込み”を断られた妊婦が、公立病院に集中する」という指摘もある。また、一部関係者は「一回の健診費用が六千円前後と妊婦の経済負担が重く、それが健診を受けないままの“飛び込み”の一因になっている。自治体は補助拡大を」と訴える。
 八戸市の飛び込み分娩の現状は三月、青森市で開かれた産科医療フォーラムで八戸市民病院の助産師が報告した。同病院の〇六年の飛び込み分娩は十二件で、〇五年度の三件から、大幅に増えた。〇七年も三月十一日現在で既に四件とハイペースで推移している。
(東奥日報)

医師派遣は民間頼み 道内に19社 常勤希望は都市集中(北海道)
 大学病院に頼ってきた地域病院の医師確保策が、大学側の医師不足で限界を露呈する中、民間の医師紹介業が好調だ。登録する医師の数は急増、業者を介して独自に医師を探す公的病院も増えている。ただ、圧倒的な売り手市場の医師は、都市部志向も強く、「民間頼みでは、へき地に医師が集まらない」と嘆く声も聞こえてくる。
 一九九九年に札幌で創業し、全国展開する大手医師紹介業、キャリアブレイン(東京)は二○○六年度、過疎地を含む道内の病院に対し、医師三十二人の就職を仲介した。前年度実績を七人上回り、登録医師数は現在、全国で約四千人と、前年度より千人も増えた。
(北海道新聞)

経営改善へ長崎市が検討チーム 衛生公社、市立病院問題(長崎市)
 長崎市は二日、赤字経営に陥っている市の第三セクターの長崎衛生公社と、医師不足などの問題を抱える市立病院の改善策を検討するプロジェクトチームをそれぞれ設置した。
 市立病院のプロジェクトチームは、企画部、総務部、財政部、病院局、病院局管理部の幹部で構成。不足している医師の確保、経営安定のための職員の人件費の見直し、一三年度開業予定の新市立病院の病床数や機能などについて具体策を練る。
(長崎新聞)

現業職の公務員給与、民間の1.6倍も
 不透明さが指摘されている清掃職員など現業部門の地方公務員給与が、類似業種の民間企業の平均月給の1.3〜1.6倍程度、割高となっていることが3日、総務省の調査で分かった。
 調査では、都道府県と政令指定都市を対象に、平成18年4月1日現在の地方公務員の平均月給と民間給与を比較。その結果、いずれの業種も地方公務員の方が割高で、清掃職員は都道府県が1.66倍、政令市が1.52倍▽給食調理員は都道府県が1.52倍、政令市が1.38倍▽バス運転手は都道府県が1.54倍、政令市が1.47倍だった。
 現業職員数が多いとされる政令市の現状をみると、神戸市は、清掃職員が民間の1.73倍、バス運転手が1.67倍と2業種でトップ。給食調理員は北九州市の1.89倍がトップだった。
(産経新聞)

医師確保策の切り札に、中津市民病院に保育所(大分)
 医師不足を理由に今年度、産科を休診した中津市立中津市民病院(増田英隆院長)は、医師の確保策として、幼い子どもを抱える医師や看護師を対象とした保育所を病院の敷地に開所し、2日、1歳男児2人の入園式が行われた。
 医師不足が問題となっているのは産婦人科や小児科で、約5割が女性とされる。同病院では子育て中でも安心して働ける職場環境を整えることで、スタッフの充実を図り、いち早く産科を復活させたい考えだ。
(読売新聞)

「病院をやめたい」相次ぐ、その本当の理由
 先日、ある病院から依頼を受けていた外科医師募集の件で、首都圏の公立病院に勤務する知人の医師と会った。彼からは2週間ほど前に、「私の職場にいる同僚が転職を希望している」と聞いており、依頼の病院の情報を届けたのだった。
 その医師いわく、一般病院より安い給料をさらに1割カットする方針が市議会で決定され、実施されたにもかかわらず、新人医師の臨床研修制度改革で大学の医局から派遣されていた医師が多数大学に戻り、医師不足に陥り常勤医の負担は以前の2倍以上に増加している、そんな医療現場の実態を分らず給料カットをする市の方針には納得できない、とのことだった。
 それに拍車をかけたのが、ある市民から「われわれの税金でこの病院を運営しているのだから、もっと働け」と言われたこと。「とてもショックだった」と話していたという。
 この公立病院は現在、筆者が住んでいる町で、信頼がある病院であるが、今後は医療の質の低下は避けられないことが確実となり、公共機関としての存在価値が問われることになろう。
 現在、全国の公立医療機関では医師の退職が相次いでいるが、その理由の多くが今回紹介したのと同様なものが多いと私は分析している。
(日経メディカルオンライン)

地方の医療法人・社福が相次ぎ東京進出、過去の「財産」を武器に民間活用の波に乗る
 地方に事業拠点を持つ医療法人や社会福祉法人の東京進出が最近目に付く。例えば、新潟県長岡市の社福である長岡福祉協会は、昨年春から、港区で高齢者・障害者施設の運営に当たっている。また、愛媛県八幡浜市の医療法人青峰会も、やはり昨年、別法人で江東区に90床の病院をオープンさせ、心療内科や内科の診療を行っている。
 考えてみれば、診療報酬も介護報酬も、東京と地方でそれほど変わるわけではない。しかし、スタッフの人件費や諸経費にはかなりの差がある。東京やその周辺に拠点を持つ医療法人・社会福祉法人に比べ、地方で事業を展開しているこれらの法人の方が、一般に余力を蓄えやすかっただろう。
 加えて地方都市では、人口が減少し続けているところも多く、事業拡大の余地が限られている。一方、東京で事業を展開する上で最大のネックになる高い土地代も、最近トレンドになってきている自治体との共同事業であれば障害にならないことが多いはずだ。こうした事情もあって、地方から東京へ攻め上がる医療法人や社福が増えてきているとみられる。
(日経メディカルオンライン)

近畿は「夜診」、関東は「午後診」 診療所の診察時間帯の地域差が明らかに
 午後の昼下がり。大阪の街を歩いてみると、目に入る診療所のほとんどが夕方まで休み時間を取っていることが分かる。そうした診療所の多くが、夕方5時ごろから7〜8時までの診察、いわゆる「夜診」を行っている。一方で関東の診療所は、午後は2時か3時くらいに開け、夕方は5時か6時に閉める「午後診」が一般的だ。
(日経メディカルオンライン)

隠岐病院の「助産科」で初の出産(島根)
 島根県隠岐の島町の隠岐病院に開設された院内の助産師がお産を担う山陰初の助産科で、初日の1日夜と2日未明に相次ぎ出産があり、女児2人が無事に誕生した。出産経験のある女性の正常分娩(ぶんべん)について島内出産を担保する助産科は幸先良く始動した。
 助産科は、1日からの常勤の産婦人科医1人体制移行後も、要望の強い島内出産を可能にするため設置。出産経験のある女性の正常分娩だけを扱う。初産やリスクのある分娩は本土出産となる。
(山陰中央新報)

4月5日

医療クライシス:医師が足りない/1 脳卒中診療、先細り
 3月1日、衆院予算委員会の第5分科会。日本の医師数が経済協力開発機構(OECD)の平均より少ないことを指摘する質問に、厚生労働省の松谷有希雄医政局長は「医学部の定員を抜本的に増やすことは、必ずしも必要でないと考える」と答えた。背景には「全体としてはほぼ足りているが、地域や診療科間で医師が偏在し、医師不足の地域や診療科がある」との国の姿勢がある。
(毎日新聞)

毎日新聞調査:手術待ち「延びた」3割 医師不足鮮明に
 全国の大規模病院やがんセンターを対象に、毎日新聞が患者の手術待ち期間を調査したところ、回答した病院の3割以上が「5年前と比べ待機期間が延びた」と答えた。医師不足や患者の増加が原因で、待機中に症状が悪化した例もある。日本と同じ低医療費政策を続けて医師不足が深刻化した英国では90年代、手術待ち期間が大幅に延びて患者が死亡する事故が発生した。日本でも同様の事態を懸念する声が出ているが、それを裏付けるデータが明らかになったのは初めて。
 その結果、最近5年間の手術待ち期間の変化について、一診療科でも「延びている」と回答したのが41病院(36%)あった。理由(複数回答)は、麻酔科医の不足が34病院で最も多く、手術室の不足も32病院あった。以下▽麻酔科以外の医師不足26病院▽看護師不足22病院▽空きベッド不足21病院▽患者の希望14病院▽患者の増加10病院−−と続いた。
 手術待ち期間の平均については、1カ月と回答した病院が最も多く、長い病院では2.7カ月。がんに限ると0.5カ月が最も多く、1.5カ月に達した病院もあった。
(毎日新聞)

市立病院の特殊勤務手当を見直し/大和市(神奈川)
 大和市は、市立病院に勤務する職員の特殊勤務手当の改正案を同市議会三月定例会に提出する。国の基準に準じて八年ぶりに大幅に見直したもので、可決されれば四月一日から施行される。同市職員課は「年間約五千万円の削減になる」と話している。
 改正案では、病院の業務に従事した医師に支給する月額六万円〜二十万円の「医師手当」を廃止、学術研究に従事した病院の勤務医に支給する月額五万円の「研究手当」や、死体を解剖した医師に一件につき二千五百円支給していた「死体解剖処置手当」など、計四手当を廃止する。
(神奈川新聞)

保助看法問題解決のための医政局長通知について(日本産婦人科医会)


産科医の「お産離れ」深刻/神奈川県内
 お産の場、さらに減少―。県産科婦人科医会(八十島唯一会長)が二〇〇六年七月、県内百八十六の産院・産科に分(ぶん)娩(べん)継続の意向を尋ねたところ、五十六施設が既にやめたか、五年以内に中止することが分かった。〇五年七月調査では四十六施設で、わずか一年の間に、分娩数の多い病院を中心に産科医の「お産離れ」が急速に進んでいる実態が浮かび上がった。
 調査対象は、〇二〜〇六年の間に分娩を行った実績がある百八十六の病院と診療所。各施設の分娩実施の意向が前回調査後に変化したかどうかなどを追跡調査した。
 その結果、〇六年までに分娩をやめたのは、病院九、診療所三十七の計四十六施設。五年以内に中止する意向なのは、病院二、診療所八の計十施設に上った。
(神奈川新聞)

医師確保、知事に要請 北部病院産科(沖縄)
 【名護】名護市の県立北部病院に派遣されていた防衛医科大学の産婦人科医が1年の任期を約2カ月早めて3月末で引き揚げたことを受け、同市の島袋吉和市長は3月31日、仲井真弘多知事に産婦人科医の確保と同科再開を求めた。島袋市長は近く内閣府に対しても早期再開を要請する。
 同問題は、北部病院の産婦人科休止を受け、06年5月末から防衛医科大学の医師を派遣。医師は産科の外来は行わず、同病院内のほかの診療科で産科が絡む際の支援と緊急時対応などに当たっていた。
(琉球新報)

厚労省がお産時の看護師補助行為を明示、内診は認めず
 厚生労働省は2日、都道府県に対し、お産の際に産婦の様子をみるなど、看護師も一定の役割を果たせることを明示した通知を出したと発表した。
 産婦への内診行為については、これまで通り認めていないが、同省では、「助産師がいなくとも、医師と看護師だけでのお産も可能ということを明確にした」としている。
 通知では、お産に関する看護師の業務について、「自らの判断で分娩(ぶんべん)の進行管理はできない」とした上で、医師・助産師の指示監督のもとで「診療または助産の補助を担う」とした。産婦の様子をみたり、機器の数値を読み取り、医師・助産師に伝えたりすることが想定されている。
(読売新聞)

釧路赤十字 医師不足で集約化(北海道)
医師不足解消への試みとして、釧路赤十字病院の産婦人科で、北大の医師と旭川医大の医師が一緒に診療する「集約化」がスタートしました。釧路赤十字病院産婦人科に加わったのは、3月まで釧路労災病院に旭川医大から派遣されていた玉手健一医師ら3人です。 赤十字病院には、これまで北大から6人の産婦人科医が派遣されていましたが、医師不足解消の為に北大と旭川医大が協議して、「集約化」に踏み切りました。医師の集約化は、国や北海道が進めていますが、2つの大学の医師が一緒に勤務するのは初めてのケースだということです。
(札幌テレビ)

大学病院も産科医不足 研究・がん治療瀬戸際 本社調査
 子宮がんなどの治療も縮小し、研究も思うようにできない――。朝日新聞が全国80大学の産婦人科医局に実施した調査で、大学病院でも医師不足が深刻になっている実態があきらかになった。夜間の出産への対応に加え、トラブルがあればすぐに訴訟になるといった理由から敬遠傾向にある中、地域の病院に派遣していた医師を引き揚げても補えず、5年間で医師が半減した大学も多い。高度医療と人材育成、治療法の研究を担う大学病院の産婦人科が危機に直面している。
 西日本のある私立大の産婦人科医局は07年3月時点で、教授、講師、助手、大学院生の4人しかいなかった。02年度以降、新規入局者はゼロ。病院での診療は、大学院生以外の3人で分担。当直は組めず、夜間の緊急時には教授が駆けつけることもある。昨年の分娩(ぶんべん)数は約170件で前年の半分ほど。新生児を診る医師も昨年やめ、母子の命にかかわるような危険なお産は受け入れられない。
 札幌医大は「地域医療への貢献が大学の方針」のため、派遣している医師を引き揚げていない。他大学が医師を引き揚げた病院もカバーしており、02年に33人いた医局員はほぼ半減した。

調査の結果
 調査は全国80大学の産婦人科医局を対象に調査票を2月に送り、67大学(84%)から回答があった。1月現在、大学本体の医局にいる医師数は平均22.1人。02年の27.1人から5人減った。5年前より医局員数が増えたのは4大学だけだった。
 入局者数は、02年が3.9人、03年は3.4人だったが、臨床研修が必修化され、新人医師が2年間に様々な診療科を回るようになった04年は1.1人、05年は0.9人。研修を終えた医師が初めて入局した06年も2.7人と、必修化前の水準には戻らなかった。
 4月の新規入局予定者数は平均2.9人。「0人」が7大学、「1人」が15大学あった。
(朝日新聞)

深刻化する医師不足(北海道)
 釧路市内での夜間・休日の救急医療体制が2007年度は大幅に変わることになり、釧路市ではこの周知を図るとともに「救急医療を継続していくための市民ルール」の順守を呼び掛けている。深刻化する医師不足を反映している。夜間・休日の救急医療については釧路市医師会病院が中心となり、年間を通じ24時間体制で当たってきた。しかし、04年度からの「新医師臨床制度」の導入などで、地域医療に従事する医師の不足、それに診療科の偏在が進み、釧路市内の病院の診療体制に大きな影響を与えている。
(釧路新聞)

南砺中央病院夜間業務の一部を地元開業医が受け持つ(富山)
 南砺市では、2日から医師不足に悩む公立南砺中央病院の夜間業務の一部を地元の開業医で作る医師会が受け持つことになります。
 南砺市内の開業医などで作るNPO法人「南砺市医師会」は、2日から当面の間、試験的に公立南砺中央病院で、毎週月曜・水曜、金曜日の週3日、夜8時から11時まで1次救急の外来患者への対応します。
 公立南砺中央病院は、内科医が不足していて、医師会に所属する12人の内科医が交代で支援に回る見通しで、軌道に乗れば、日数も増やしていく事も検討しています。
 地元の開業医が医師不足に陥る公立病院を支援するケースは全国的にも珍しく、背景には、医師の過重労働の軽減の他、一般に病診連携、すなわち、大規模な病院と診療所の連携を強めて地域医療のスムーズ化をはかる狙いもあります。
(北日本放送)

4月4日

医師等資格確認検索(厚生労働省)


お産拠点 8割で32時間勤務
 これは、全国の総合周産期母子医療センターの協議会が去年8月から11月にかけて調査したもので、1つを除く59の施設から回答がありました。その結果、95%、56の施設で、日勤の産婦人科医が引き続き当直勤務をしていました。
 また、81%、48の施設では当直明けの医師がそのまま夕方まで診療を行い、日勤、当直、日勤と続く連続32時間に及ぶ勤務が日常的に行われていました。総合周産期母子医療センターは、24時間態勢で妊婦や赤ちゃんの異変に対応する施設で、仮眠がまったく取れないこともあるということです。回答した施設からは「慢性的なスタッフ不足で、いつ医療事故が起きてもおかしくない状況だ」という訴えも寄せられたということです。
 調査した北里大学の海野信也教授は、「産婦人科医不足で、このままでは続けられなくなるところが出るかもしれない。交代勤務という形で無理なく仕事を続けられるようにする必要がある」と話しています。
(NHKニュース4月1日 17時33分)
テレビ画面


政府は医療に介入しない
 「自分の健康は自分で管理する」のが世界の常識です。予防から治療まで、自分の健康は自分で管理する。予防目的でも医師に相談する。子供の健康は親が管理する。一定年齢に達したら、医師に相談して予防接種を受けさせる。病気に備えて医療保険に加入する。契約、保険料納入、支払った医療費の請求、全て自分でする。治療は医師が患者のために行うもので、政府は患者の選択権を狭めるような規制はしない。
 ところが、日本の政府は医療機関や企業にさまざまな指導や規制を行なっています。国民のためを思ってのことでしょうが、結果として国民は「おんぶにだっこ」で、国民の健康管理意識は著しく低下しています。
(海外勤務健康管理センター)

「柳川」「嘉穂」の2県立病院 1日から民営化(福岡)
 柳川市の県立柳川病院と飯塚市の県立嘉穂病院は、1日から民間経営になる。柳川病院は「財団法人医療・介護・教育研究財団柳川病院」、嘉穂病院は「福岡県済生会福岡第二病院」に名前が変わり、それぞれ現地で開院式がある。
 県は朝倉(朝倉市)、遠賀(岡垣町)、太宰府(太宰府市)の3つの県立病院を既に民営化しており、2003年度からの県立病院民営化事業はこれで終了する。土地と建物の譲渡額は、柳川病院(210床、16診療科)が約2億5000万円、嘉穂病院(250床、9診療科)が約1億9000万円。民営化後も診療科目数は変わらない。
(西日本新聞)

4月3日

市立根室病院 常勤医当面5人減 外科、整形外科で不在に(北海道)
 【根室】医師不足に伴い旭川医大から派遣医師の大幅引き揚げを通告されていた市立根室病院(百九十九床)は、二○○六年度末の三十一日になっても新年度の常勤医師体制が確定せず、当面は○六年度比五人減の六人体制で診療することになった。外科と整形外科で常勤医が不在となるため、手術や入院の新規受け入れができなくなるほか、救急医療への対応も難しくなる。
 根室市は、医師が引き揚げられる内科、外科、整形外科で、道や札幌医大、国などに医師派遣への協力を要請。内科医は、札医大や自治医大出身者ら前年度より一人少ない三人を確保した。だが、それぞれ二人体制だった外科、整形外科では、国に要請していた国立病院機構などとの調整がついていない。
 このため、旭川医大が緊急措置として非常勤医師を派遣するが、外来診療だけとなる。手術や入院が必要な患者のほか、二十四時間体制の受け入れが難しくなる救急患者の多くは、百二十キロ離れた釧路市などの病院での受診を迫られる。
(北海道新聞)

医療・教育・地域格差「悪化」急増 内閣府世論調査
 「医療・福祉」「教育」「地域格差」の三つの分野で、「悪い方向に向かっている」と考える人の割合が1年前より急増していることが、内閣府が行った「社会意識に関する世論調査」でわかった。7月に参院選を控え、格差問題が与野党の争点に浮上するなか、格差をめぐる国民の実感も強まっているようだ。
(朝日新聞)

サービス残業、190時間 06年、シンクタンクが試算
 賃金が支払われないサービス残業が、2006年で労働者1人当たり平均190・8時間に上るとの試算を、民間シンクタンクのBRICs経済研究所(神奈川県横須賀市)がまとめた。賃金が支払われた総実労働時間の1割に匹敵する計算。最近は年200時間前後で高止まりしている傾向も判明し、長時間労働が一向に解消しない実態が浮かび上がった。
 サービス残業を示す政府統計はないが、労働時間には労働者の申告を基にした総務省の労働力調査の「就業時間」と、企業の回答による厚生労働省の毎月勤労統計調査の「総実労働時間」がある。同研究所は、就業時間から総実労働時間を差し引いた分が、働いたのに賃金が支払われなかった労働時間に当たり、サービス残業と判断した。
 試算によると、1980年代に年100時間前後だったサービス残業は、90年代半ばに150時間を突破。2000年以降は190時間前後で推移し、05年に204時間と最高になった。06年は前年比13・2時間減と3年ぶりに減ったが、高水準のままだ。
(福井新聞)

佐野市民病院の経営問題:眼科外来、一時休診へ 常勤医8人は絶望的 /栃木
 医師不足が深刻化している佐野市の同市民病院は4月1日から、眼科の外来診療を一時休診する。退職する担当医師の後任確保が見込めないためで、通院患者にはすでに通知したという。
 同病院によると、定年を迎える門脇淳院長を含め、常勤医8人全員が今月末で退職。4月からは、院長に山梨県富士吉田市の医療法人社団の前理事長兼院長の福光正行氏が就任するが、内定している常勤医は29日現在、院長を含め2人だけ。同病院が新年度事業会計予算で想定した「常勤医8人」の実現は絶望的になっている。
(毎日新聞)

医師の処分、ネットで検索 厚労省が4月から新システム
 厚生労働省は4月1日から、医師と歯科医師の免許の有無や行政処分などについて、インターネット上で検索できるシステムを導入する。患者自らが医師の情報を手軽に調べることができるため、無資格診療の防止など医療安全の向上に役立つと期待されている。
(朝日新聞)

救急搬送妊婦:神奈川県が受け入れ先照会 医師負担軽く
 人手不足や過酷な労働条件が問題になっている産科医の負担を減らそうと、神奈川県は新年度から、比較的危険度が高く救急搬送が必要な妊婦の受け入れ先を電話で探す業務を、医師に代わって県職員が担当する。従来は、総合周産期母子医療センターなどの医師が電話で他病院と受け入れ交渉をしていた。同県は「産科医の過剰な負担が少しでも軽くなれば」と話す。日本産科婦人科学会が求める救急情報ネットワークの運用改善のモデルケースになりそうだ。
(毎日新聞)

医官きょう引き揚げ/県立北部病院(沖縄)
 県立北部病院産婦人科に派遣されていた防衛医官が五月までの期間を繰り上げ三月末で引き揚げることが三十日分かった。派遣元の防衛医科大学校(埼玉県)も深刻な産婦人科医師不足に陥ったため。北部病院の産婦人科が休診状態になってから約二年。同病院は再び産婦人科医不在の状態に陥ることになった。
 県立北部病院は二〇〇五年四月、産婦人科医の辞任で休診状態になったが、防衛医官の派遣で、週一回診療を受け付けていた。
 県は「これまでの患者は、中部病院からの派遣などで診療継続できるよう配慮する」としている。同大学校の産婦人科医師は七人。うち六人を一―二週間交代で派遣していた。
(沖縄タイムス)

時間外診療を制限、加賀市民病院(石川)
 加賀市民病院は、四月一日からの時間外診療で当直医の専門疾患以外の患者の受け入れを制限する。医師が不足しており、時間外診療への対応によって通常の診療に悪影響が予想されるため。病院は利用者に対し、来院前に受診できるかどうかを電話で必ず確認するよう呼び掛けている。
 同病院は二十三人の勤務医のうち十九人が当番制で当直勤務をし、時間外診療に対応してきた。当直医の専門外の疾患の受診があった場合、診療できる医師を呼び出していた。
 しかし、医師が退職したり、皮膚科、眼科の専門医を当直勤務から除外したりしたことなどで、当直勤務できる医師は四月から十四人に減少。過重労働がさらに深刻化し、新たな医師の確保が難しくなることなどから患者の受け入れを一部制限することになった。
 同病院では時間外の受診者が年間約七千人に上るが、緊急の治療が必要でない患者は86%を占めるという。通常診療での待ち時間を嫌って夜間に来院する人もおり、医師の負担を増やす原因となっている。
(中日新聞)

残業代引き上げ法案「効果ない」が68% 県経協が調査(長野)
 残業代の割増率引き上げを盛り込んだ労働基準法改正案について、従業員の残業抑制や過労防止に「効果がある」と予想する県内企業の割合は32・0%にとどまり、68・0%が「効果はない」とみていることが、県経営者協会が30日までにまとめた会員企業の調査で分かった。効果がない理由には「人員不足から、残業せざるを得ない状況は変わらない」などが出ており、改正案への厳しい見方が目立つ。