トピック (以前のトピックはこちら

4月3日

市立根室病院 常勤医当面5人減 外科、整形外科で不在に(北海道)
 【根室】医師不足に伴い旭川医大から派遣医師の大幅引き揚げを通告されていた市立根室病院(百九十九床)は、二○○六年度末の三十一日になっても新年度の常勤医師体制が確定せず、当面は○六年度比五人減の六人体制で診療することになった。外科と整形外科で常勤医が不在となるため、手術や入院の新規受け入れができなくなるほか、救急医療への対応も難しくなる。
 根室市は、医師が引き揚げられる内科、外科、整形外科で、道や札幌医大、国などに医師派遣への協力を要請。内科医は、札医大や自治医大出身者ら前年度より一人少ない三人を確保した。だが、それぞれ二人体制だった外科、整形外科では、国に要請していた国立病院機構などとの調整がついていない。
 このため、旭川医大が緊急措置として非常勤医師を派遣するが、外来診療だけとなる。手術や入院が必要な患者のほか、二十四時間体制の受け入れが難しくなる救急患者の多くは、百二十キロ離れた釧路市などの病院での受診を迫られる。
(北海道新聞)

医療・教育・地域格差「悪化」急増 内閣府世論調査
 「医療・福祉」「教育」「地域格差」の三つの分野で、「悪い方向に向かっている」と考える人の割合が1年前より急増していることが、内閣府が行った「社会意識に関する世論調査」でわかった。7月に参院選を控え、格差問題が与野党の争点に浮上するなか、格差をめぐる国民の実感も強まっているようだ。
(朝日新聞)

サービス残業、190時間 06年、シンクタンクが試算
 賃金が支払われないサービス残業が、2006年で労働者1人当たり平均190・8時間に上るとの試算を、民間シンクタンクのBRICs経済研究所(神奈川県横須賀市)がまとめた。賃金が支払われた総実労働時間の1割に匹敵する計算。最近は年200時間前後で高止まりしている傾向も判明し、長時間労働が一向に解消しない実態が浮かび上がった。
 サービス残業を示す政府統計はないが、労働時間には労働者の申告を基にした総務省の労働力調査の「就業時間」と、企業の回答による厚生労働省の毎月勤労統計調査の「総実労働時間」がある。同研究所は、就業時間から総実労働時間を差し引いた分が、働いたのに賃金が支払われなかった労働時間に当たり、サービス残業と判断した。
 試算によると、1980年代に年100時間前後だったサービス残業は、90年代半ばに150時間を突破。2000年以降は190時間前後で推移し、05年に204時間と最高になった。06年は前年比13・2時間減と3年ぶりに減ったが、高水準のままだ。
(福井新聞)

佐野市民病院の経営問題:眼科外来、一時休診へ 常勤医8人は絶望的 /栃木
 医師不足が深刻化している佐野市の同市民病院は4月1日から、眼科の外来診療を一時休診する。退職する担当医師の後任確保が見込めないためで、通院患者にはすでに通知したという。
 同病院によると、定年を迎える門脇淳院長を含め、常勤医8人全員が今月末で退職。4月からは、院長に山梨県富士吉田市の医療法人社団の前理事長兼院長の福光正行氏が就任するが、内定している常勤医は29日現在、院長を含め2人だけ。同病院が新年度事業会計予算で想定した「常勤医8人」の実現は絶望的になっている。
(毎日新聞)

医師の処分、ネットで検索 厚労省が4月から新システム
 厚生労働省は4月1日から、医師と歯科医師の免許の有無や行政処分などについて、インターネット上で検索できるシステムを導入する。患者自らが医師の情報を手軽に調べることができるため、無資格診療の防止など医療安全の向上に役立つと期待されている。
(朝日新聞)

救急搬送妊婦:神奈川県が受け入れ先照会 医師負担軽く
 人手不足や過酷な労働条件が問題になっている産科医の負担を減らそうと、神奈川県は新年度から、比較的危険度が高く救急搬送が必要な妊婦の受け入れ先を電話で探す業務を、医師に代わって県職員が担当する。従来は、総合周産期母子医療センターなどの医師が電話で他病院と受け入れ交渉をしていた。同県は「産科医の過剰な負担が少しでも軽くなれば」と話す。日本産科婦人科学会が求める救急情報ネットワークの運用改善のモデルケースになりそうだ。
(毎日新聞)

医官きょう引き揚げ/県立北部病院(沖縄)
 県立北部病院産婦人科に派遣されていた防衛医官が五月までの期間を繰り上げ三月末で引き揚げることが三十日分かった。派遣元の防衛医科大学校(埼玉県)も深刻な産婦人科医師不足に陥ったため。北部病院の産婦人科が休診状態になってから約二年。同病院は再び産婦人科医不在の状態に陥ることになった。
 県立北部病院は二〇〇五年四月、産婦人科医の辞任で休診状態になったが、防衛医官の派遣で、週一回診療を受け付けていた。
 県は「これまでの患者は、中部病院からの派遣などで診療継続できるよう配慮する」としている。同大学校の産婦人科医師は七人。うち六人を一―二週間交代で派遣していた。
(沖縄タイムス)

時間外診療を制限、加賀市民病院(石川)
 加賀市民病院は、四月一日からの時間外診療で当直医の専門疾患以外の患者の受け入れを制限する。医師が不足しており、時間外診療への対応によって通常の診療に悪影響が予想されるため。病院は利用者に対し、来院前に受診できるかどうかを電話で必ず確認するよう呼び掛けている。
 同病院は二十三人の勤務医のうち十九人が当番制で当直勤務をし、時間外診療に対応してきた。当直医の専門外の疾患の受診があった場合、診療できる医師を呼び出していた。
 しかし、医師が退職したり、皮膚科、眼科の専門医を当直勤務から除外したりしたことなどで、当直勤務できる医師は四月から十四人に減少。過重労働がさらに深刻化し、新たな医師の確保が難しくなることなどから患者の受け入れを一部制限することになった。
 同病院では時間外の受診者が年間約七千人に上るが、緊急の治療が必要でない患者は86%を占めるという。通常診療での待ち時間を嫌って夜間に来院する人もおり、医師の負担を増やす原因となっている。
(中日新聞)

残業代引き上げ法案「効果ない」が68% 県経協が調査(長野)
 残業代の割増率引き上げを盛り込んだ労働基準法改正案について、従業員の残業抑制や過労防止に「効果がある」と予想する県内企業の割合は32・0%にとどまり、68・0%が「効果はない」とみていることが、県経営者協会が30日までにまとめた会員企業の調査で分かった。効果がない理由には「人員不足から、残業せざるを得ない状況は変わらない」などが出ており、改正案への厳しい見方が目立つ。

4月2日

渋川総合病院の看護師15人が退職(群馬)
 渋川市が運営する渋川総合病院(横江隆夫院長)は三十一日付で、看護師十五人が退職するものの、不足数補充のための募集に対し応募は二人だけで、看護師の確保が困難な状況にあることが二十九日分かった。
 また、小児科の常勤医も四月一日から不在となり、同科の診療態勢は大幅に縮小される。
(上毛新聞)

資金提供、厚労省が了承=研究班3人を除外−タミフル寄付金問題
 インフルエンザ治療薬「タミフル」服用後の異常行動を調査している厚生労働省研究班の主任研究者横田俊平横浜市立大教授らに、輸入販売元の中外製薬から寄付金が渡っていた問題で、同省は30日、昨年7月以降、横田教授らから寄付金を受けることについて相談を受け、了承していたことを明らかにした。一部は実際に調査研究に使われ、同省は寄付金が使用される可能性も承知していたという。
 中沢一隆・同省医薬食品局総務課長は「寄付金を受ける方針が伝えられた段階で、研究の信頼性が損なわれないよう対応すべきだった。適切な指導、助言を怠ったことは問題」と、同省の対応に不手際があったことを認めた。寄付金の総額は計7600万円に上り、同省は研究班8人のうち、寄付金を受けていた横田教授ら3人を3月末で研究班から外し、2007年度からメンバーを入れ替える。
(時事通信)

54年の歴史に感謝、お別れ、深谷病院閉院式 涙ぬぐう職員も(宮城)
 四月一日に埼玉県所沢市の医療法人に経営移譲する公立深谷病院(石巻市広渕)で三十日、閉院式が行われ、一九五三年の開設以来、拠点病院として地域医療を担ってきた五十四年の歴史に幕を閉じた。
(三陸河北新報)

北海道の小児科医の現状<3/30 22:05>
 産婦人科医と同様、不足が指摘される小児科医。厚労省の調査では、数字上は小児科医の減少は見られず、むしろ増えている。しかし、地方病院では小児科が相次いで休診に追い込まれているのが実情だ。現場で何が起きているのか、STVが北海道大学の小児科医局を取材した。
(日本テレビ)

麻酔科医師の急死「過労死」と認定 大阪地裁判決
 大阪府立急性期・総合医療センター(旧大阪府立病院、大阪市住吉区)の麻酔科医だった奥野恭嗣(きょうじ)さん(当時33)が急死したのは過重労働が原因だったとして、奥野さんの母親が府に約1億5400万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が30日、大阪地裁であった。古谷恭一郎裁判長は「時間外労働が月88時間を超えており、業務と死亡に因果関係が認められる」と述べ、約1億700万円の支払いを命じた。府側は控訴する方針。
 判決によると、奥野さんは94年7月から旧府立病院の麻酔科に勤務。平日の所定勤務以外に、時間外労働や休日勤務などがあった。96年3月5日、大阪市内の自宅で急性心機能不全で死亡した。
 判決は、奥野さんの時間外労働について、同僚医師の証言などに基づき、95年9月〜96年2月に月88時間を超えていたと判断。そのうえで「病院側は十分な休憩を取らせるなどの配慮を怠った」と指摘した。
(朝日新聞)

旭川医大・産婦人科医局がピンチ
 旭川医大の産婦人科医局がピンチです。旭川医大は、医師を派遣していた足元の旭川赤十字病院からもあす医師を引き上げます。背景には入局者の極端な減少があります。取材しました。
 つまり、新人医師は卒業後―、札幌や本州の病院に、所属する傾向が強まったのです。旭川医大産婦人科はあすで、釧路労災病院など3病院からも医師を引き上げます。常勤医の派遣を、減らさざるを得ないのです。来年の入試からは、卒業後も大学に残る医師を育てる「地域推薦入学」を導入する旭川医大―。しかし、卒業生が出るのは、7年後のこと―。産婦人科の責任者は、いまの医局の状況を「明日が見えない」と、コメントしました。
(札幌テレビ)

夕張市内の急患 来月近隣搬送も(北海道)
 【岩見沢】岩見沢市と空知管内三町にある五カ所の公立病院と夕張市医師会などは二十九日、岩見沢保健所で、夕張市立総合病院が十九床の診療所となる四月以降の夕張市内の救急患者受け入れ態勢を協議した。同月中は同市内で受け入れが困難な場合は、岩見沢や栗山町など近隣の病院に搬送することで合意。夕張市立総合病院がこれまで対応してきた急患は、可能な限り同市医師会の加盟四診療所と、同市立総合病院から移行する市立診療所で対応する。五月以降の受け入れ態勢は四月中に再度協議する。
(北海道新聞)

豊岡病院:小児科医補充は研修医 3医師の負担増加、NICUを制限か /兵庫
 豊岡市戸牧の公立豊岡病院の小児科医2人が今月末で退職する問題で、同病院組合は4月1日付で、研修医2人を退職者の補充にあてる。竹内秀雄院長は「外来に支障はない」としながらも、「研修医がどこまでやれるか分からない」とし、NICU(新生児集中治療室)の運用制限を示唆。但馬では、未熟児などハイリスク分娩(ぶんべん)の対応に苦慮する可能性が高くなった。
 医師は義務研修2年間の後、後期研修として3年間、希望の科で専攻医として働く。小児科に配属となるのは、同院で義務研修を終え専攻医となる男性と、既に専攻医として神戸市須磨区の県立こども病院で1年間勤務した女性。
(毎日新聞)

足利赤十字病院:「小児夜間救急診療」日曜にも−−来月1日から /栃木
 足利市医師会(青木公平会長)が同市本城3の足利赤十字病院で、毎週金、土曜日の夜に行っている「小児夜間救急診療」が4月1日から、日曜日にも拡大されることになった。週末3日間の午後7〜10時、同医師会の小児科、内科医26人が輪番制で軽度の小児救急患者を診療する。
 金、土曜日の夜間診療は、同医師会が足利赤十字病院の協力を得て昨年4月から実施していた。しかし、日曜診療を求める要望があり、同市は新年度、同市が医師会に委託する方式にして診療日を拡大することにした。当初予算には、週4回の実施を想定して1700万円を計上しており、さらなる拡充も視野に入れている。
(毎日新聞)

南会津病院の小児科で常勤医師が不在に(福島)
 南会津町の県立南会津病院は4月1日から、小児科の常勤医師が不在となる。平日は非常勤医師が対応するが、週末や夜間は不在となり患者は会津若松市の病院へ搬送しなければなない。入院患者の受け入れもできなくなる。
(福島放送)

4月1日

小児科医自殺、病院の賠償認めず 東京地裁の判断割れる
 立正佼成会付属佼成病院(東京都中野区)の小児科医だった中原利郎医師(当時44)が自殺したのは当直勤務などによる過労でうつ病になったからだとして、遺族が病院側に損害賠償を求めた訴訟の判決が29日、東京地裁であった。湯川浩昭裁判長は、中原さんの業務は「うつ病を発症させるほど重いものではなかった」と指摘。自殺との因果関係を否定し、原告側の請求を棄却した。
 中原さんの自殺をめぐっては、労働訴訟を担当する同地裁の別の裁判部が14日、「過労でうつ病となり、自殺した」と認定。労災を認めなかった新宿労基署長の決定を取り消していた。勤務実態をめぐり、二つの判決で正反対の評価となった。
 当直勤務について、労働訴訟の判決は「疲労を回復できるほどの深い睡眠を確保することは困難だった」として心身への危険性を認めた。ところが今回の損害賠償訴訟の判決は「急患はそれほど多くなく、仮眠する時間はあった」として、心理的負荷は強くなかったと判断した。
 中原さんは99年8月に自殺。直前半年間の当直は多い時で月8回、平均で月6回程度だった。
(朝日新聞)

「患者の希望を尊重」医師の75%・市民の半数以上は否定的
 医師、看護師ら医療関係者と一般市民約2万6000人を対象に実施した医療の現状に関する意識調査の結果を日本医学会が29日、発表した。治療方法を選ぶ際、医師の約75%が「患者の意見や希望を尊重している」と回答したが、一般市民の半数以上は否定的な回答だった。
 小児科・産科・麻酔科などの医師不足の解決策については、医師の4割が「報酬を上げる」としたが、市民と医療関係者はいずれも「強制的に医師を配置する」との回答が最も多く3割を超えた。
(日経新聞)

小児科医自殺、損害賠償訴訟は勤務との因果関係認めず
 東京都中野区の「立正佼成会付属佼成病院」の小児科医・中原利郎さん(当時44歳)が自殺したのは、過密勤務からうつ病になったためだとして、遺族が病院側に慰謝料など計約2億5000万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が29日、東京地裁であった。
 湯川浩昭裁判長は「仕事は特に過密だったとはいえず、うつ病を発症させる危険性があったとも認められない」として、請求を棄却した。
 中原さんの自殺を巡っては、遺族が労働基準監督署を相手取り、遺族補償給付の支給を求めた訴訟で、東京地裁が今月14日、「過密勤務などが原因でうつ病にかかり自殺した」と労災を認定し、判決は29日に確定した。二つの訴訟の司法判断が正反対となったことについて、原告代理人は「同じ証拠で、ここまで180度違う判決になる理由が分からない」としている。
(読売新聞)

業務とうつ病関係否定=労災訴訟判決と逆判断−小児科医自殺・東京地裁
 1999年8月、小児科医中原利郎さん=当時(44)=がうつ病にかかり自殺したのは、過重労働が原因として、妻のり子さん(51)ら遺族が、病院を経営する立正佼成会(東京都杉並区)を相手に約2億5000万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、東京地裁(湯川浩昭裁判長)は29日、「うつ病発症の危険性を持つほど過重な業務とは認められない」として、うつ病発症との因果関係を認めず、請求を棄却した。
 労災認定を求めた訴訟では、東京地裁(佐村浩之裁判長)が14日、うつ病発症との因果関係を認め、遺族補償給付の不支給処分を取り消しており、正反対の判断となった。
(時事通信)

平成18年度全国医師会勤務医部会連絡協議会の“宣言”
1.政府は財政主導の医療費抑制政策を直ちに改めること。
1.勤務医の劣悪な勤務状態を改善するため、医師の養成人数を増やすこと。
1.女性医師のきめ細かい勤務支援体制を整えること。
1.開業医と勤務医が相互にサポートし合い、地域医療を支援する体制を考えること。
1.勤務医のアンガージュマン(医師会活動や医政活動に参加すること)を広く促していくこと。
(日本医師会)

過労運転命令で配車係逮捕 都内の5人死傷事故
 東京都大田区で昨年11月に起きた5人死傷の玉突き事故で、警視庁交通捜査課は29日、事故を起こしたトラック運転手(21)に休みを取らせないまま運転を命じていた道交法違反(過労運転下命)の疑いで、運送会社「丸橋運送」(静岡県焼津市)の元配車係橋本和也容疑者(27)=焼津市田尻北=を逮捕した。
 事故は昨年11月22日午後3時25分ごろ、東京都大田区の国道トンネル内で発生。丸橋運送のトラックが渋滞の最後尾に突っ込み東京都足立区のタクシー運転手=当時(45)=ら2人が死亡、3人が負傷した。
 運転手は事故を起こすまでの約1カ月の間、休みは1日だけで、直前の2日間も仮眠は計8時間しか取っていなかったという。
 調べでは、橋本容疑者は、昨年11月21日、運転手が十分な休息時間を取っていないのを知りながら、川崎市内などへ運転することを指示し、居眠り運転をさせた疑い。
(河北新報)

「死亡と因果関係」と県警が判断 射水病院の呼吸器外し
 富山県の射水市民病院で00年〜05年、入院中の末期患者7人が当時の外科部長らに人工呼吸器を外され死亡した問題で、死因などについて鑑定を依頼した専門医の意見をもとに、富山県警が、一部の患者について「人工呼吸器の取り外しと死亡には因果関係がある」と判断していることがわかった。
 県警は殺人容疑で調べを進め、取り外しの経緯などに関する捜査を事実上終えた。ただ、延命治療中止に関する明確な国の規定や指針はなく、県警と警察庁との協議では「今は捜査が医療現場に立ち入るべきではないのではないか」との意見も出ており、慎重に立件の可否を検討している。
(朝日新聞)

新生児死亡率、4年ぶり悪化(沖縄)
 改善傾向だった県内の新生児死亡率(生後4週まで)が2005年は1・6%(全国平均1・4%)となり、04年の1%(同1・5%)から悪化、全国順位でも45位から11位になったことが28日、那覇市内で開かれた県周産期保健医療協議会で示された。妊娠28週から生後7日までの周産期死亡率も5・6%と前年の4・7%から悪化。低体重児出生率と自然死産率は全国一高かった。一方、生後4週以降1歳未満の乳児死亡率は2・5%で、前年の2・9%から改善した。
 これらの結果について、同協議会委員で県立南部医療センター・こども医療センターの安次嶺馨院長は「数字の変動は毎年ある。新生児と乳児の死亡率は連続性がある。乳児死亡率は改善しており要因は断定はできない」としながらも、「産婦人科医不足や過重労働など、県内の周産期医療を取り巻く厳しい現状が(悪化した)要因の一つとも考えられる」と、産科医療の環境悪化が関係している可能性を指摘した。
(琉球新報)

[解説]減少する救急病院、深刻な勤務医不足 実情に沿った診療体制に
 全国の救急病院(救急告示施設)が過去5年間で約1割減少し、4644施設になっていることが本紙の調査で分かった。
 救急医療の窮状を象徴する診療科の一つが小児科だ。
 夜間に救急施設を訪れる患者の半数は子どもだ。当直の小児科医が診察に追われ、翌日もそのまま勤務するという状態が続いた結果、疲労した勤務医が病院を離れ、残った医師がさらに過酷な勤務に直面する事態となっている。
 これは小児科だけの問題ではない。2004年度から始まった医師臨床研修の必修化で、約半数の研修医が大学病院から市中の大型病院に移ったため、人手不足となった大学病院が、派遣先の中規模病院から医師を引きあげ、残った勤務医がより厳しい労働条件下で救急を担わざるを得ないケースがあちこちで出現している。とりわけ地方では深刻な状況だ。
 さらに、医療事故のリスクの高まりは、勤務医の意欲の低下を招き、勤務医から開業医への転身も増えている。ここ数年は、年間約6000もの診療所が開業する“開業ラッシュ”が続いている。
 どうすればいいのか――。
 「地域の実情にあった救急システムの構築が急務だ。医師や機能の集約化は解決策の一つ」と、医療提供体制に詳しい東京医科歯科大大学院の川渕孝一教授(医療経済学)は指摘する。現在は各病院に医師が薄く広く配置されており、診療体制に余裕がない病院が多い。このため、拠点となる病院の医師数を増やし、1人にかかる当直などの負担を軽減するというものだ。
(読売新聞)

過労運転:5人死傷事故 トラックの配車係を逮捕 警視庁
 東京都大田区の国道で昨年11月、5人が死傷した交通事故で、事故を起こしたトラックの男性運転手(21)=懲役4年6月の実刑が確定=に過労状態で運転させていたとして、警視庁交通捜査課は29日、勤務先の運送会社「丸橋運送」(静岡県焼津市)の当時の配車係、橋本和也容疑者(27)を道交法(過労運転の下命禁止)違反の容疑で逮捕した。法人としての同社も同容疑で書類送検する方針。
 調べでは、橋本容疑者は昨年11月21日、十分な休息をとれないまま運転業務に従事していた男性運転手に対し、運転を続けるよう指示した疑い。
 過労運転よる重大事故が全国で相次いでおり、警視庁は正常な運転ができないおそれを知りながら運転を命じた配車係の逮捕に踏み切った。調べに対し橋本容疑者は「このまま運転させれば過労になると分かっていたが、代わりの運転手を手配できなかった」と供述している。
(毎日新聞)

3月31日

患者取り違え:医師の有罪確定へ 最高裁が上告棄却
 横浜市立大学医学部付属病院(横浜市)で99年に起きた手術患者取り違え事故で、業務上過失傷害罪に問われた医師、佐伯(旧姓・芦田川)美奈子被告(37)に対し、最高裁第2小法廷(津野修裁判長)は26日付で、上告を棄却する決定を出した。1審の無罪を破棄し、罰金25万円とした2審判決が確定する。弁護側は「本人かどうか確認する義務は尽くした」と無罪を主張したが、第2小法廷は「一応の努力をしたと評価出来るものの注意義務を尽くしたとは言えない」と述べた。
 東京高裁判決(03年3月)によると、佐伯被告と同病院の医師3人、看護師2人=5人とも有罪確定=は99年1月11日、心臓手術予定患者と肺手術予定患者を取り違え、別人と気付かないまま手術を行い、約2〜5週間の傷害を負わせた。
(毎日新聞)

産科・小児科医師不足対策に「連携強化病院」を選定(長野)
 県内の産科・小児科医師不足対策を検討してきた県産科・小児科医療対策検討会(会長・小西郁生信大医学部教授)は28日、県内10圏域で中核を担う病院を「連携強化病院」に選定し、医師を重点的に配置して地域の診療所、連携病院と協力しながら危機的状況にある両科の医療体制と水準を維持する―とした提言をまとめ、県庁で開いた県地域医療対策協議会に提出し、了承された。
 提言によると、選定された連携強化病院は産婦人科9、小児科10施設。同病院にある程度の医師を確保し、24時間体制で入院を必要とする二次医療、救急搬送に対応する。連携強化病院と併せて選定された連携病院は、一般診療を行い、地域の産科・小児科医療体制の構築もあたると規定した。
 諏訪地方は両科とも諏訪赤十字(諏訪市)を連携強化病院に指定した。産婦人科は市立岡谷(岡谷市)と諏訪中央(茅野市)、厚生連富士見(富士見町)、小児科は市立岡谷、信濃医療福祉(下諏訪町)、諏訪中央、厚生連富士見をそれぞれ連携病院に選定した。
(長野日報)

医師派遣希望40人 道医療対策協、新年度過去最多25人分調整つかず(北海道)
 道内の市町村立病院が大学病院に医師派遣を断られ、道医療対策協議会(医対協)に調整を求めた派遣希望人数が、新年度は過去最多の四十人に上っていることが二十八日、分かった。このうち二十五人分の調整がついておらず、加速する地域の医師不足に対応できない現状が浮き彫りとなった。今後、制度の見直しを検討する。
 新年度に向けては大学病院から医師を引き揚げられた江別市立病院が十三人、市立根室病院が十二人の派遣を依頼するなど、十三病院で計四十人の要請があった。
 医対協は道職員や地域医療振興財団の紹介、札幌医大からの派遣などで医師十五人を確保、渡島管内松前町立松前病院や留萌市立病院など七病院への派遣を取り持った。ただ希望医師数をすべて満たしたのは五病院にとどまった。
(北海道新聞)

江別市立病院、5月までに内科医9人確保・総合診療内科を新設(北海道)
 内科系常勤医12人が退職し、医師不足から経営が悪化していた江別市立病院(江別市)は、5月までに内科医を9人に増やす。現在の常勤医2人に4月から3人を加え、5月に社団法人地域医療振興協会(東京・千代田)から4人の派遣を受ける。合わせて4月から内科を全般的に診察する「総合診療内科」を設けるなど医師の負担を軽減する。
(日経新聞)

小児科医の過労自殺訴訟、敗訴の国側は控訴せず
 「立正佼成会付属佼成病院」(東京・中野区)の小児科医だった中原利郎さん(当時44歳)の自殺をめぐり、妻、のり子さん(51)が新宿労働基準監督署を相手取り、遺族補償給付の不支給処分の取り消しを求めた訴訟で、過労自殺を認定して処分取り消しを命じた東京地裁判決について、厚生労働省は28日、控訴しないことを決めた。
(読売新聞)

産科医不足を集約化で改善へ(北海道)
「道」と「3つの医科大学」、それに「自治体」などで作る北海道医療対策協議会は、特に不足する「産科医」について道内6つあまりの病院を核として医師を集める「集約化」の方向で改善策を探ることになりました。
 医療協議会は、「医師派遣」「医師養成」、そして「広域化」の3つの分科会で不足する医師の問題を協議しています。このうち「広域化」部会では、特に不足する産科医については、地域の中核となる病院を作る方向で解決策をまとめる事になりました。
 具体的には現在、国の「総合周産期母子医療センター」に指定されている6つの病院に加えて、地域の核となる数か所に5人以上の産科医を集めて、高度な産科医療を行います。実際に釧路では、労災病院にいた3人の医師が、4月からは赤十字病院の6人と一緒に釧路・根室地域の産婦人科医療の中核になるスタイルが、先行して始まります。
 また、小児科についても釧路赤十字をはじめ21施設以上の病院を中核にする方向で議論を進め、夏には、協議会としての結論を出すことにしています。
(札幌テレビ)

県立3病院1診療所が今月で廃止(福島)
 地域医療の核として住民の健康を支えたリハビリテーション飯坂温泉病院、同病院本宮診療所、三春病院、猪苗代病院の3病院1診療所が31日付で廃止される。
 三春病院は三春町に、猪苗代病院は猪苗代町に病院の土地・建物が無償譲渡され、三春は星総合病院が、猪苗代は温知会が指定管理者として引き続き病院の運営に当たる。福島市のリハビリテーション飯坂温泉病院は脳神経疾患研究所に経営が引き継がれる。
(福島放送)

室蘭の日鋼病院 産婦人科休止へ 医師確保できず(北海道)
 【室蘭】日鋼記念病院(室蘭、勝賀瀬貴院長)は二十八日、産婦人科の医師を四月以降確保できず、同科の診療を休止すると発表した。また、脳神経外科も常勤医が一人となるため、当面は外来診療のみとする。
 産婦人科は、現在一人のみの常勤医が三月末で退職することが決まっていたが、後任医師が確保できなかった。同病院は危険性の高い分娩(ぶんべん)を扱う「地域周産期母子医療センター」の指定を受けているが、その機能は既に休止状態となっている。勝賀瀬院長は「診療再開に向けて早期に新たな医師を確保したい」と話している。
 脳神経外科は常勤医二人体制だったが、北大が全員を三月末で引き揚げる。四月からは新たな医師一人が着任するが、当面は手術などには対応できないため、入院診療や夜間・休日の救急診療は休止する。
(北海道新聞)

小児科医自殺で労災認定、厚労省が控訴断念へ
 立正佼成会付属佼成病院(東京・中野)の小児科医、中原利郎さん(当時44)が自殺したのは過労が原因と認定し、遺族補償給付の不支給処分を取り消した14日の東京地裁判決について、厚生労働省は28日までに、控訴を断念する方針を固めた。
 小児科医不足が深刻化し、過酷な労働環境での過重労働を認めた判決を覆すのは難しいと判断したもようだ。
 判決によると、1999年に同病院小児科部長代行に就いた中原さんは月8回の泊まり勤務など激務を強いられ、管理職としての精神的負担も重なって、同年8月、病院の屋上から飛び降り自殺した。妻(50)は2001年9月、労災保険法に基づく遺族補償給付を請求したが、新宿労働基準監督署は労災と認めず、不支給処分とした。BR> 東京地裁は月8回の宿直は「相当なストレス要因」と指摘した上で、小児科医不足で「管理職として心理的な負荷がかかった」と労災認定、不支給処分を取り消した。
(日経新聞)

産婦人科・小児科不足で県に「連携強化病院」提言(長野)
 産科・小児科の医師不足対策を検討してきた県の産科・小児科医療対策検討会(会長・小西郁生信大教授)は28日、県内9−10の病院を「連携強化病院」とし、重点的に医師を配置する−との提言書を、県庁で開いた県地域医療対策協議会で報告した。医師を集約することで、地域における産婦人科、小児科の医療水準を維持することを目的にしている。
 提言では、連携強化病院以外の病院が独自に医師確保を図ることを妨げるものではないとしたが、提言に沿って医師の集約化を進めると、ほかの病院では、医師確保はより困難になるとみられる。この日の県地域医療対策協議会では、委員から「県民の理解をどう得ていくかが課題だ」との意見が相次いだ。
(信濃毎日新聞)

子ども医療圏を設置 3ブロックに医師集約(宮崎)
 県や大学、医師会などでつくる県地域医療対策協議会(会長・河野博県福祉保健部長、11人)が27日県庁であり、県内を県央、県西、県北の3ブロックに分けた小児救急医療圏「子ども医療圏」を設置することを決めた。
 医師不足が深刻な小児科について、医療圏ごとにプロジェクトチームを組織し、開業医、中核病院、行政が連携して24時間医療体制の確立を目指す。
 3つの医療圏では、それぞれ県、宮崎大医学部小児科、開業医、中核病院、行政からなるプロジェクトチームを発足。医師を中核病院に集約させる地域中核病院単独型や中核病院に夜間急病診療所を併設する夜間急病診療所併設型などの5案から2007年度内に1つを選び、地域の実情を加味する。
(宮崎日日新聞)

隠岐広域連合が医学生に修学資金貸与(島根)
 島根県隠岐の島町の隠岐病院を運営する隠岐広域連合は二十七日、同院で将来勤務することを条件に、医学生に対し返還免除規定を付けた修学資金を月額十−十五万円貸与する条例案を臨時議会に提案、可決された。四月から施行する。
 本土からの派遣医師に頼る隠岐病院の医師確保対策。対象者は隠岐島出身者に限らず、同院で勤務を希望する医大生たち。貸与月額は大学生十万円、大学院生十五万円。修了後、貸与期間と同年数を同院で勤務することを条件に返還を免除する。
(山陰中央新報)

小児救急存続のためにすべきこと(山口)
 4月から、済生会山口総合病院は常勤小児科医師を置かず、非常勤医師による午前中のみの診察となる。また、山口赤十字病院では常勤医師の人数が減り、時間外診療は紹介状を持った人と救急車で運ばれてきた人だけとなる。そのため、現在は小児科の設置が土、日曜だけだった市の休日・夜間急病診療所では木、金曜も開設が決定。「いきなり総合病院に行くのではなく、最初は夜間急病診療所に来て下さい」と市医師会では呼びかけている。
(サンデー山口)

磐城共立病院の産婦人科、医師5人体制に(福島)
 いわき市立総合磐城共立病院の産婦人科常勤医師3人のうち2人が医局に引き揚げるため3月末で退職する問題で市は27日、新たに常勤医師4人を確保し新年度から5人体制で診療を行うと発表した。
 同病院では昨年4月、産婦人科の常勤医師が4人から3人に減ったため自然分娩(ぶんべん)の妊婦は受け入れず、リスクの高い異常分娩の妊婦に特化し診察を続けている。新年度以降も現在と同じ体制で診察を行う。
(福島放送)

福井大病院 分べん開始 4月から 奥越の妊婦受け入れ
 勝山市の福井社会保険病院が産婦人科医の減少で4月から分べん業務を取りやめることを受け、福井大医学部付属病院(永平寺町)は27日、両病院の産婦人科の機能を連携させた医療体制を構築、4月1日から実施すると発表した。福井大病院が従来は行っていなかった通常の分べん業務を開始、奥越地域などの妊婦を受け入れていく。
(福井新聞)

3月30日

小児科医の過労自殺訴訟、厚労省が控訴断念 労災認定へ
 東京都内の民間病院に勤めていた小児科医、中原利郎さん(当時44)の自殺の労災認定を巡る訴訟で厚生労働省は27日、労災を認めなかった新宿労働基準監督署長の決定を取り消した東京地裁判決を受け入れ、控訴を断念する方針を固めた。宿直勤務が月8回に及ぶなど、判決が認めた過重労働による心的負担の大きさを覆すのは難しいと判断した。
 判決によると、中原医師が勤めていた立正佼成会付属佼成病院の小児科では医師の転職や退職が相次ぎ、中原医師の99年3月の勤務は宿直8回、休日出勤6回、24時間以上の連続勤務が7回で、休日は2日。宿直勤務も「疲労を回復し得る程度の睡眠を確保することは困難」として、「業務は精神疾患を発症させ得る程度の危険性を内在していた」と結論づけた。
(朝日新聞)

誤診で長女死亡 小児科医ら提訴 札幌市厚別区
 札幌市厚別区の会社員三上直也さん(27)とその妻が二十七日、長女紗英ちゃん=当時(4つ)=が昨年一月、同区内の小児科医院で誤診のために死亡したとして、医院と診察した医師二人に対し、約八千二百万円の損害賠償を求める訴えを札幌地裁に起こした。
 道警は三月中旬、医師二人が適切な医療を怠った結果、紗英ちゃんが腸捻転(ねんてん)による腹膜炎で死亡したとして、業務上過失致死の疑いでこの二人を書類送検している。
(北海道新聞)

24時間戦えますか?中国の労働時間最長に
 調査団体が発表した統計によれば、中国のホワイトカラーの労働時間は世界で最も長いという。
 現在、中国は北京オリンピック開催を控え、猛烈な経済発展を遂げている。それに伴って中国人の労働時間も次第に長くなり、いまでは「ジャパニーズ・サラリーマン」特有の現象かと思われた「過労死」も、中国で急増している。
(中国情報局ニュース )

西北五中核病院の設計者選定白紙(青森)
 つがる西北五広域連合(連合長・平山誠敏五所川原市長)は二十六日、二〇一一年度開業を目指している西北五医療圏域の新たな中核病院の基本設計者選定作業を、白紙に戻すことを決めた。中核病院最優先で進めてきた同圏域の自治体病院医療機能再編成計画だが、各自治体と国・県の財政負担問題、既存の周辺自治体病院(サテライト病院)の機能分担など未決定部分を〇七年度に固めた上で、計画実現を目指す。このため、中核病院開業時期は遅れる可能性が高くなった。
(東奥日報)

(4)開業医に負担 「病診連携」
 九州の南端、大隅半島にある鹿児島県鹿屋市は、2001年に病診連携をいち早く導入し、成功例として全国に知られるようになっていた。しかし、開業医が「時間外診療」の予想以上の負担増に悲鳴をあげ始めたのだ。
 鹿屋市では開業医側が受け持つ平日の時間帯は「夜間」だけでなく「翌朝まで」。病院の通常の診療時間外のほぼすべての時間帯で軽症患者を担当する。新制度が定着するにつれ、当番開業医を深夜に訪れる人が増え、1日100人を超す医院も出始めた。
 当番は月2回ほどだが、輪番から外してほしいと訴える開業医の声は切実だった。鹿屋市医師会で当番医制度を担当する小浜康彦副会長(50)は、「これ以上増えれば初期救急は破たんする」と訴える。医師会は、夜間に軽症者を専門に診療する「夜間急病センター」を設置すべきだとして今月15日、市民約2万5000人の署名を添え、市長に要望書を手渡した。病診連携の先行例は見直しを迫られている。
(読売新聞)

「使い捨て」不満根強く 地域の期待とずれ(兵庫)
 へき地からの流出が深刻化していることが分かった兵庫県養成医師。県が実施したアンケートには「生涯研修計画がない。医師の使い捨てと感じる」「早くやめたもん勝ち、という気風がある」など、現状へのいらだちがつづられ、地域の期待とのずれを示した。県医務課の担当者は「最初は地域医療への志を持っていたはず。残念な結果」と肩を落とす。
(神戸新聞)

東西南北:医療制度改革を考える /福岡
 患者の負担増が懸念されている医療制度改革の問題点などについて話し合う講演会とシンポジウム「許されんばい!! いのちの格差社会〜医療制度改革と患者の権利〜」(実行委主催)が21日、中央区で開かれ、約200人が参加した。
 九州大大学院法学研究院の内田博文教授は「医療『構造改革』と患者の権利」と題し基調報告。「医療制度改革は患者の“権利法”制定の機会でもある。制定で医療と患者の関係がうまくいくようにすべきだ」と法律面から改革を分析した。
 また産婦人科医、内科医らによるシンポジウムでは「勤務がきつく、看護職員の大半が『辞めたい』と思っている」など医療現場の問題点について話し合った。
(毎日新聞)

出石病院:院長が辞職 補充なし、来月から医師3人に /兵庫
 豊岡市出石町福住の公立出石病院の青木孝文院長が、豊岡病院組合に対し、辞職届を提出し受理されたことが26日、分かった。組合の進藤重亀管理者は「医師不足の中、慰留してきたが(青木院長の)強い信念があった。誠に残念」と話したうえで、退職に伴う補充ができないことも明らかにした。
 退職は今月末。同日の同組合議会で奥村忠俊議員の一般質問に対し、進藤管理者が答弁した。出石病院は院長含め常勤医3人、県派遣医1人の計4人だが、4月からは計3人となる。医療確保対策協議会の再編方針では、県派遣医1人が豊岡病院に集約される方針が示されており、10月からは常勤医2人のみとなる可能性も出てきた。青木院長は、病院再編の進め方について住民説明会で組合側に反対する意見を述べていた。
 豊岡病院の小児科医師が4月には1減の4人になる問題については、「県から新たに小児科医は来ない」とし、専門医ではなく内科系医師の補充になることを示唆した。
(毎日新聞)

公立深谷病院、後継法人と協定書 2診療科でスタート(宮城)
 今月31日で解散する公立深谷病院(宮城県石巻市)は26日、後継法人に決まった埼玉県所沢市の医療法人啓仁会(角岡東光理事長)と経営移譲の協定書を締結した。
 当面は内科、外科の2診療科を開設し、医師を確保でき次第、整形外科も設ける。病床数は20床でスタートし、4年後をめどに現在の許可病床数171床に増床する予定。
(河北新報)

再就職、子育てが壁に 看護師意識調査 環境整備が課題
 子育てや家事で働けない−。日本看護協会が離職した看護師を対象に実施した意識調査によると、再就業を希望しながら働いていない理由の多くが家庭内の事情であることが分かった。看護師不足が深刻化する中、看護師の養成とともに、就業環境の整備が課題であることがあらためて浮き彫りになった。
 看護師を離職後、働いていない理由(複数回答可)で最も多かったのは「子育て」(43・8%)。次いで「家事と両立しない」(21・7%)で、家庭の事情が再就業の大きな壁になっている。このほか、「責任の重さ・医療事故への不安」(17・3%)や「夜勤の負担が大きい」(15・9%)など、看護師の仕事に対する不安を挙げる回答もあった。
(北海道新聞)

新庄市夜間休日診療所:26日にオープン 応急的診療に対応 /山形
 新庄市堀端町の市保健センターで、同所の一部を改修して平日の夜間と休日に内科・小児科の診療をする「新庄市夜間休日診療所」の開所式が26日あり、午後7時から診療が開始された。
 同診療所は、主に急な発熱や、腹痛など応急的な診療をする。症状によっては病院を紹介し病院と連携する。これまでの在宅当番医制度に代わり、同じ場所で診療所を設置し救急医療を充実させる。また、急患が集中して重症患者が長時間待たされる県立新庄病院の混雑緩和も図る。
 診察時間は、平日は午後7時〜同9時半、休日は午前9時〜午後5時。夜間は医師と看護師が1人、日中は医師1人、看護師2人が対応する。
(毎日新聞)

3月29日

フランスの集中治療医の半数が“燃え尽き”
High Level of Burnout in Intensivists Prevalence and Associated Factors.American Journal of Respiratory and Critical Care Medicine.2007;175:686-692.

概要:1日の国家的研究をフランスの公的病院の成人ICUで調査
測定:燃え尽き度をMBI(Maslach Burnout Inventory)で評価
結果:189のICUで978人を調査、回答率は82.3%。回答者のうち燃え尽き度の高い人の割合は46.5%
(日経メディカル)

介護予防の利用低調、自治体6割 予算消化、50%未満…本社調査
 改正介護保険法が施行されて1年。改革の柱として2006年度に始まった「予防給付」の実施状況は、当初予算の50%未満にとどまる自治体が6割にのぼることが、読売新聞社の介護保険全国自治体アンケートで明らかになった。
 予防給付は、要介護認定で軽度と判定された人向けに創設されたサービス。筋力トレーニングや栄養指導などにより、状態の悪化を防ぐ。膨張する給付費を抑制する狙いで導入された。
 アンケートでは、予防給付の費用総額(年度末時点での見込み)が、当初予算の「30%未満」だった自治体は33%、「30〜50%未満」は29%で、予算の半分に満たない自治体が62%。予算の7割未満の自治体は77%にのぼった。
(読売新聞)

旭医大入試 勤務地限定の地域枠 08年度から 道北・道東出身5人(北海道)
 【旭川】旭川医大(八竹直学長)は二十六日、深刻化する地域医療機関の医師不足に対応するため、二○○八年度の入試から、医師不足が顕著な道北や道東などの出身者を対象に地域枠推薦入学制度を設けると発表した。募集枠は医学部医学科(定員百人)の五人。地域枠の入学者には、卒業後の研修先や勤務先を限定し、道北・道東の医療機関に勤務してもらうなど、地域医療に貢献する確約書を提出してもらう。
(北海道新聞)

看護師不足で2病棟休止、名古屋の2市民病院
 名古屋市は、看護師の新規採用者が不足したため、4月1日から東市民病院(千種区)と緑市民病院(緑区)の各1病棟を休止する。市によると、看護師不足による市民病院の病棟休止は初めて。市は「看護師が手配でき次第、すぐ再開したい」としているが、めどは立っていない。
 休止するのは、東市民病院(498床)の主に循環器系・呼吸器系疾患の患者が入院している南4階病棟50床と、緑市民病院(300床)の外科系の患者が入っている5A病棟44床。
 東市民病院の場合、同病棟を3交代制で運営するのに必要な看護師24人に対し、1人しか配置できなかった。緑市民病院でも定員20人に対し15人が不足した。この2病棟に入院している患者計約70人はほかの病棟に移り、担当の看護師も配置転換する。
(中日新聞)

医療従事者を暴言・暴力から守る
カナダのマギル大学附属病院の取り組み
和田耕治(マギル大学医学部産業保健学/北里大学大学院労働衛生学)

 カナダ東部のモントリオールにあるMcGill大学(以下,マギル大学)は『平静の心』の著者で知られるウィリアム・オスラー医師が卒業した大学である。わが国でも患者またはその関係者からの暴言や暴力は近年課題になっているが,その暴言や暴力から医療従事者を守る取り組みはマギル大学附属病院でも行われている。北米は,犯罪や薬物中毒がわが国よりも多いイメージがあるかもしれないが,モントリオールは北米の中でも治安が良好であり,銃器による犯罪も米国ほど多くない。本稿では,マギル大学附属病院での暴言・暴力への取り組みについて紹介する。
(週間医学界新聞)

医師不足に母が泣く(長野)
 医師不足で地域の医療が揺らいでいる。中核病院が救急や一部の診療科の休止を決めた。県は新年度予算で医師確保対策に9千万円余を盛ったが「即効性」はない。
(朝日新聞)

閣議後記者会見概要(厚生労働大臣)
(H19.03.20(火)08:56〜08:57 ぶら下がり)

(記者)
 各地で、医師が激務とかで救急病院が今なくなっているというのが、私は読売新聞なんですけれども、今日調査で記事にしているんですけれども、救急病院がなくなっている現状について、大臣どのようにお考えでしょうか。

(大臣)
 一般的に、医師が全体としては減っているというわけではない、むしろ増えているんだけれども、地域的にあるいは診療科ごとに、この偏在が起こっているということの影響で、そうしたことが起こっているとしたら、これはもう本当に放ってはおけないわけで、私も事務当局を督励してですね、前から国会でご答弁しているようなきめ細かい対策を打つということと、中長期的には医師を増やすと、こういうことで取り組んでいるわけですけれども、まあ非常に残念だと、早急にとにかく実効ある応急処置を打っていきたいと、こう思っています。

小児科医の過労自殺で署名活動(北海道)
小児科医の過労自殺を認めた裁判について、医大の学生たちが国に判決を受け入れるよう求める署名活動をしました。
 署名活動をしたのは、札幌医大と北大医学部の学生ら8人です。東京地裁が認めた小児科・中原利郎さんの「過労自殺」について、被告の国は過酷な勤務実態を理解し控訴しないで欲しいと訴えました。道内でも4年前に富良野の小児科医が過労自殺(注:新聞記事では過労死あります)する問題が起きています。
 署名は直ちに厚生労働大臣に送るということです。
(札幌テレビ)

社会保険料長期滞納、病院などに厳罰・厚労省
 厚生労働省は2009年4月をめどに医療・介護保険や年金など社会保険料を長期間滞納している悪質な医療・介護事業者への罰則を導入する。保険適用機関としての新規指定や指定更新を認めない。医療・介護事業者は診療報酬などを社会保険制度から受け取る立場で、社会保険料を負担する責任はより重いと判断した。
(日経新聞)

指針作りは医療従事者で 終末期医療で全日病が見解
 全日本病院協会(佐々英達会長)は24日、人工呼吸器取り外しなど終末期にある患者の延命中止について「統一した見解がない現状は好ましくない。指針作りを病院団体や学会などの医療従事者が推進するべきだ」とする見解を盛り込んだ報告書をまとめた。
 指針の法制化については「医師が医療現場で判断すべき問題で、法律による拘束はなじまない」などと反対する姿勢を示した。
 終末期医療をめぐっては、厚生労働省が指針作りを進めている。医療機関が延命中止などを決定する際の手続きが中心で、会見した飯田修平・同協会常任理事は「(個々の患者の病状に応じてどうすべきかなど)具体的な中身に踏み込んでいない」と批判した。
 同協会は民間病院を中心に、全国の病院の約4分の1にあたる約2200病院が加入している。
(北海道新聞)

3月28日

通報増 高まる意識、高齢者虐待防止法 施行1年
 市町村が今年度中に1万件近くの高齢者虐待を確認したことは、高齢者虐待防止法が一定の成果を上げていることを示している。しかし、自治体が虐待や介入の判断に迷うケースも多く、解決や防止への取り組みについては課題が多い。
(読売新聞)

参議院厚生労働委員会(3月20日)櫻井充氏(民主)の質問に対する答弁(12分から21分ころ)

櫻井充氏:医師の当直が労働なのかそうでないのか。
松谷医政局長:夜中に眠れないような実態は、不眠不休での超過勤務である。厳しい環境を改善していく。宿直の定義に反することも見られる。解決には交代勤務といった方法も考えられる。

櫻井充氏:当直時間は勤務なのかそうでないのか
青木労働局長:労働時間は使用者の監督のもとにいるものであり、休憩時間や仮眠時間が自由利用が認められれば労働ではないが、実際に診療や電話応対が予め想定されて自由利用が制限される場合は労働時間になると従来から取り扱っている。

どさんこワイド 北海道ニュース 月〜金曜日 18:16〜19:00
3月26日(月)の特集 ★小児科医が足りない!

 連続35時間勤務が月に6回―。それを小児科医の熱意だけが支えています。入る新人が頭打ちだという大学医局―。北大小児科に密着取材しました。
(札幌テレビ)

分娩取りやめ、105病院 本社全国調査
 慢性的な産科医不足の中、この1年間にお産の取り扱いを休止したり、休止する方針を決めたりした病院が全国で105カ所に上ることが、朝日新聞の全国調査でわかった。分娩(ぶんべん)を扱っている病院の約8%にあたり、過酷な勤務状況などから、勤務医の産科離れがさらに進んでいる実態が鮮明になった。深刻な事態を受けて、医学生・研修医の優遇策や離職した女性医師の復帰支援を打ち出す自治体も急増している。
 内訳は自治体立が45カ所で最も多く、民間27、日本赤十字、労災など公的病院25、国立病院機構7、大学付属1の順。都道府県別では北海道の9カ所が最多で、神奈川・兵庫の7カ所、千葉の6カ所、福島・新潟・山梨の5カ所と続く。
 「産科危機」が広がる中、厚生労働省は、医師の負担軽減のため、近隣病院の産科医を1カ所に集める「集約化」計画を年度内に策定するよう都道府県に求めている。だが、医師の退職が相次ぐほか、産科がなくなる地域の反発もあり、大半の自治体で具体的な計画づくりが進んでいない。「必要なし」「不可能」と結論づけた県もある。
(朝日新聞)

来月から小児科医の診療縮小 児島市民病院(岡山)
 倉敷市立児島市民病院(同市児島駅前)は4月1日から、小児科医による休日・夜間の診療時間を大幅に縮小する。医師3人のうち1人が退職、後任確保にめどがつかず対応できなくなるため。
 新しい診療時間は、平日夜間(現行は月〜金曜午後6時〜11時受け付け分)が火・木曜の午後5時半〜8時受け付け分となり、月・水・金曜は夜間診療を中止。午前中に診療している土曜も全日休診する。
 当番医となっている毎月第2・4日曜(現行は午前9時〜翌午前8時半)は午前8時半〜午後5時とする。
(山陽新聞)

桐生厚生総合病院:院内に「24時間保育所」開設へ 子育て中の医師らに便宜 /群馬
 桐生地域医療組合(桐生、みどり両市で構成)が運営する桐生厚生総合病院(桐生市織姫町)が4月から取り組む新施策の概要が24日、明らかになった。就労環境整備のため、子育て中の医師や看護師、職員向けの「24時間保育所」を県内で初めて院内に設置するほか、産婦人科医を増員する一方、新生児集中治療室(NICU)の増床などを進める。
 「24時間保育所」構想は、院内からの要望が強く、07年度内の設置を目指す。子育てを理由に休職・退職する医師や看護師も少なくなく「勤務条件の厳しい公立病院だからこそ、設置は必要不可欠」(関係者)という背景があった。このほかには、小児科常勤医を8人とし、NICUを6床から9床に増やす▽チーム医療に臨床心理士を加える▽県内各地で医師不在が顕著な産婦人科の常勤医を2人増の5人体制とする▽ガン対策として4月から「相談支援センター」(仮称)を設置する−−などとしている。
(毎日新聞)

小児科医の過労自殺、労災認定控訴しないで
 一九九九年に自殺した東京の小児科医中原利郎さん= 当時(44)= の「過労による労災」を認めた十四日の東京地裁判決に関し、札幌の医学生有志が二十五日午前十時から正午まで、国に控訴しないよう求める署名活動を札幌市中央区南一西三の三越前で行う。  中原さんは月の宿直勤務が八回に達するなど過重な労働を強いられ、勤務先の病院の屋上から飛び降り自殺した。署名活動は控訴期隈の二十八日を前に、札幌医大五年の遠藤香織さん(25)が企画した。遠藤さんは「少子化対策が必要と言われているのに、小児科医が厳しい状況にあるのはおかしい」と話している。
(北海道新聞3月25日朝刊札幌版、ネット公開なし)

3月27日

偽装請負、指導厳格に、厚労省 3年超なら直接雇用要求
 厚生労働省は、労働者派遣法に違反する「偽装請負」について3年を超えて続けていた場合には、請負労働者を正社員や契約社員などの形で直接雇用したり、ほかの仕事をあっせんしたりするよう企業側を是正指導することを決めた。
 従来は、労働者派遣の期間制限を超えて働かせていた場合も事実上、派遣社員への切り替えを認めていたが、不安定な雇用形態のまま働かせ続けることを避けるため指導を厳格化。都道府県の労働局長に通知を出した。
(中日新聞)

配転先ない職員、「分限免職」の宝刀 社保庁の新法人
 厚生労働省は24日、社会保険庁廃止に伴い2010年1月に発足予定の「日本年金機構」に採用されず、配置転換先も決まらない同庁職員を本人の意思に反し解雇する「分限免職」とする方針を固めた。分限処分は国家公務員法に規定があり、組織の改廃時に認められている。ただ、1964年以降は発動された例がなく、実際に適用できるかは不透明だ。
(朝日新聞)

柏島・安満地の2診療所月末廃止 派遣医師削減受け(高知)
 幡多郡大月町は町立大月病院(小野歩院長、25床)の医師不足のため、3月末で柏島、安満地の両診療所を廃止。両診療所での出張診療と竜ケ迫地区での巡回診療を取りやめる。同病院は5人の内科医全員を県へき地医療協議会からの派遣に頼っているが、19年度は1人削減になり態勢が組めなくなるためだ。地元では「足の悪い高齢者が病院まで通うのは大変」という切実な声も上がっている。
(高知新聞)

なんとする?秋田:県議選を前に/1 医療 /秋田
◇医師不足と制度改革、二重苦

 「来年はもう、うちから医師を出せません」。昨年7月、医師派遣を受けていた弘前大医学部付属病院(青森県弘前市)の医局を訪れた北秋田市立米内沢総合病院の関係者に、大学側がそう告げた。米内沢病院のショックは大きかった。今年度11人だった米内沢病院の常勤医師は、4月に一時、4人に激減する。嘱託医3人とパート医師で補い、5月から県外の常勤医師1人を確保したが、人員不足に変わりはない。同病院は病棟縮小が続いており、成田元晴事務長は「今後医師を確保できなければ、病棟はさらに縮小せざるを得ない。長期的展望は立たない」と先行きを不安視する。
 弘前大医学部は「派遣中止を公式に打ち出してはいない」としながらも、「結果的に派遣先から大学に戻ってもらうことはある。今は大学病院でさえも医師が足りない状態」と苦しい事情を説明する。「ほかの病院の面倒を見ている場合ではない」という危機感。地方での深刻な医師不足は最大の医師供給源である大学病院の足元さえ脅かし、そこをよりどころとする医療過疎地にひずみを拡大している。
(毎日新聞)

大船渡病院 救急機能“縮小”を説明 循環器科医師減で4月から(岩手)
 大船渡市大船渡町の県立大船渡病院(菅野千治院長)は二十三日、気仙二市一町の行政、消防関係者に、四月以降の診療体制や救急対応について説明を行った。同病院では循環器科の常勤医師が三人から一人に減るが、夜間・休日時の心疾患による重症患者は今後、救命救急センターでの初期対応後に釜石、気仙沼などの各公立病院に搬送することを説明。説明を聞いた関係者からは理解を示す一方、移動手段や搬送時間について不安を示す声が相次いだ。
(東海新報)

与党、ドクターヘリ普及へ新法案・全県に配備めざす
 与党は、医師や看護師を乗せ救急患者を治療・搬送する「ドクターヘリ」の普及に向けて、今国会に国の財政支援拡充などを盛り込んだ新法案を議員立法で提出する方針を固めた。山間部や離島の救急体制を整えるため、2008年をメドに各都道府県に1機ずつ配備を目指すことで、医療の地域格差の縮小につなげる。
 現在、ドクターヘリはリース形式で千葉、静岡など10道県の救命救急センターなどに計11機を配備済み。1機当たりの維持・管理費約2億円は一部を除き国と各県などが折半するが、ヘリ普及の根拠法がないため、全都道府県での配備には至っていない。
(日経新聞)

救急業務の「トリアージ」検討会報告書まとまる 消防庁
 救急車の現場到着時間が遅くなっていることへの対策を検討してきた総務省消防庁は23日、患者の緊急度や重症度に応じて優先順位をつける「トリアージ制度」の導入に向けて課題を整理し、報告書をまとめた。昨年4市でモデル的に行ったトリアージの結果も公表。問題点が山積することから新年度も引き続き、作業部会で検討する。
 この日開かれた「救急業務のトリアージに関する検討会」の最終報告書では、(1)実際には重症なのに、119番通報では「軽い」と判断され搬送や治療が遅れないよう、対策を取る(2)緊急度に応じ、救急隊の種類を区別する(3)通報を受ける指令員の訓練をする――など今後の課題をまとめた。
 また、昨年11月に札幌、仙台、横浜、京都の4市でモデル的に実施したトリアージの結果を公表。通報では「重症でない」と判断されたが、実際には重症だった例は31件あった。通報時の情報として「立てない」「まひ」「75歳以上」という人が多く、こうした点を重視すれば、31件中21件は「重症」に分類されるという。
 逆に「重症」と判断された5371件中、実際に「重症」だったのは335件。残りはそれよりも軽く、電話では重めに判断されていた。
(朝日新聞)

3月26日

医師47.9%が「海外移民を希望」(韓国)
医師たちの半分近くが海外移民を考えたことがあることがわかった。
医師らのひと月の平均収入は701万−900万ウォン(84万円から108万円)が最も多くて21.1%、101万−300万ウォン(19.1%)、901万−1千万ウォン(14.9%)、2千万ウォン以上(13.6%)、501万−700万ウォン(13.5%)の順だった。(1韓国ウォン = 0.12円として計算)
 また医師の1週間当たりの勤務時間は41−50時間と51−60時間が31.8%、続いて61−70時間(11.2%)が大部分を占めた。
(聯合ニュース)

医療法改正反対集会開催、全国で多くの医院が休診(韓国)
【ソウル21日聯合】医者や歯科医、韓医師、准看護師などが21日に集団で休診し、医療法改正に反対する大規模集会を開く。このため、医院2万3000カ所、歯科医院1万1000カ所、韓医院9000カ所が休診する見通しだ。市民への影響を最小限にとどめるため、国公立病院を中心に大型病院では午後8時まで、薬局は午後10時まで勤務時間を延長する。
 大韓医師協会と大韓歯科医師協会、大韓韓方医協会、韓国看護助務士協会は同日、京畿道果川市の政府庁舎前で5万人が参加する医療法改正反対決起大会を開き、改正案阻止に向けた総力戦を行うことを明らかにした。参加団体は事前に配布した決意文を通じ、医療法改正案の即時廃棄と柳時敏(ユ・シミン)保健福祉部長官の辞任を強く求め「今後も医師免許の返納をはじめ医療機関の休廃業闘争を展開する」と強硬姿勢を示した。
 これに対し政府は、休診により診療に大きな影響が出ると判断した場合は業務復帰命令など行政措置で対応に出るとしており、緊張が高まっている。
(聯合ニュース)

佐野市民病院の8常勤医全員が3月で退職(栃木)
 深刻な医師不足で運営難に陥っている佐野市民病院(二百五十八床)の常勤医八人が、三月末で全員退職することが二十三日までに分かった。新たに四月からの新院長と副院長は確保しているが、常勤医がこの二人となる可能性が高い。診療科目の縮小など運営面に大きな支障が出るのは避けられない状況だ。
(下野新聞)

民主、タミフル問題で厚労省の対応の遅れを追及の構え
 民主党など野党は、厚生労働省がインフルエンザ治療薬「タミフル」の服用と異常行動の因果関係を見直すことについて厚労省の対応の遅れを追及する構えだ。タミフルの輸入販売元の中外製薬に厚労省の課長が天下っていた点についても批判を強めている。
(朝日新聞)

道内27市町、連結赤字 新指標試算 夕張が突出(北海道)
 道は二十三日、二○○五年度の道内市町村の財政状況を発表した。このデータを基に、○八年度決算以後、財政再建団体への移行を決める新指標の一つとなる「連結実質収支比率」の概数を北海道新聞社が独自に試算したところ、夕張市を筆頭に二十七市町で赤字(マイナス)となった。
 市町村は現在、普通会計(一般会計と基本的な行政サービスに充てられる一部の特別会計)の黒字、赤字の割合を示す「実質収支比率」がマイナス20%を下回ると起債が制限され、財政再建団体に指定されている。
 試算は、総務省が試案として示した計算式に基づき、普通会計と特別会計の実質的な収支を合わせ、標準財政規模(税収や地方交付税など一年間の収入額)で割ることで概数を出した。各市町村が今後、公表する実際の数値とは違いが出るが「おおむね近い数字になるのでは」(道市町村課)という。
 ただ、一般会計と他会計との間で貸付金などをやりとりし、道から不適切な会計処理を指摘された小樽市や釧路市など八市町は、○五年度の財政状況では本来の赤字額が示されていないため、実際の赤字額を基に計算すると赤字幅が拡大するとみられている。
 一方、普通会計に限定した従来の「実質収支比率」では、赤字は夕張(マイナス37・8%)、小樽(同4・5%)、留萌(同3・4%)の三市で、小樽市のみだった○四年度決算から二市増えた。
(北海道新聞)

外来医療、高齢者に定額制・75歳以上、過剰診療抑える
 厚生労働省は75歳以上の高齢者を対象に、外来診療でかかる医療費を検査や投薬の数量にかかわらず、同じ病気なら定額とする「包括払い方式」を導入する方針を固めた。2008年4月から適用する。過剰診療を減らす狙いで、患者の医療費負担も減る公算が大きい。特定の主治医が外来診療から在宅ケアまで対応する公的な「かかりつけ医」制度と一体的に導入し、医療の効率化を目指す。
(日経新聞)

産科勤務環境改善へ青森で検討会
 産科医療提供体制の在り方に関する検討会が二十二日、青森市で開かれた。国が提案している産科医の集約・重点化について「産科医不足が著しい本県では既に集約化・重点化は進展している」との認識で一致。今後、産科医の勤務環境改善や助産師の活用を打ち出した「産科医療体制の将来ビジョン」の具体化に取り組んでいくことを確認した。
(東奥日報)

諏訪地区小児夜間急病センター 6月1日開所(長野)
 諏訪広域連合は22日までに、諏訪市四賀飯島に設置する「諏訪地区小児夜間急病センター」を6月1日に開所する方針を決めた。26日開会の同連合議会3月定例会に同センターの設置条例案や事業費を盛った来年度一般会計当初予算案を提出する。
 開設場所は中央道諏訪インター近くの書店裏側に建設される2階建てビルの1階。年中無休で、診療時間は午後7―9時の2時間。岡谷市、諏訪市、諏訪郡の3医師会でつくる協議会(仮称)を指定管理者として運営を委託し、小児科医や内科医1人が毎日交代で診療にあたる。
 同センターは、小児科医の不足や負担増大が指摘される中、症状の軽い初期の小児救急患者を受け入れることで1次救急と2次救急病院の機能分担を図る狙いで設置。症状が重かったり、午後9時以降については従来の2次救急輪番制に基づき市立岡谷病院、諏訪赤十字病院、諏訪中央病院で対応する。
(長野日報)

寄付金受けた横田教授ら、タミフル研究班から除外へ
 インフルエンザ治療薬「タミフル」の服用と異常行動との関連性を調べている厚生労働省研究班の主任研究者、横田俊平・横浜市立大教授らが、タミフルの輸入販売元の中外製薬から奨学寄付金を受けていた問題で、柳沢厚労相は23日の衆院厚労委員会で「寄付をもらっている先生は除外し、いささかも公正性が疑われない体制を構築して見直しにあたらせたい」と述べ、横田教授らを研究班から外す考えを示した。
(朝日新聞)

常勤医不在の市立病院リハビリ科、継続診療可能は14人/小田原市(神奈川)
 四月から常勤医が不在となる小田原市立病院(中島麓院長)のリハビリテーション科で、継続して診療を受けられる外来患者が十数人にとどまることが、二十二日開かれた市議会経済厚生常任委員会に報告された。常任委は、患者らの団体が同科の体制充実などを求めた陳情を採択した。
 市立病院によると、リハビリ科はこれまで常勤医が二人いたが、派遣元の大学の医局が医師不足に陥ったため派遣されなくなり、四月からは臨時の医師二人が週二日、小児患者か補装具利用の患者に限って診療する。
(神奈川新聞)

旭川医大でも医局離れ進む(北海道)
きょうは、旭川医大でも卒業式があったんですが、卒業生の進路に異変が起きています。何が起きているかーこちらのフリップをご覧下さい。まずこれまでは医学部を卒業すると大半が自分の大学病院の医局に残っていました。そして、医学病院から地方病院へ医師が派遣されるしくみです。しかし、2004年から医局だけでなく民間病院などでも研修をうけることができるようになりました。このため、旭川医大では3年前は27人が大学医局に残りましたが、今年はわずか2人だけになったのです。
(札幌テレビ)

3月25日

出生数、ほぼ1年通じて増加 人口動態統計・前年同月比
 今年1月に生まれた子どもの数(出生数)は9万5095人で、昨年同月よりも1380人多く、昨年9月を除いて1年連続で前年同月を上回り続けていることが、厚生労働省が22日に発表した人口動態統計速報でわかった。出生数と関連が強いとされる結婚するカップル数も増加傾向にあり、1月は前年同月より2575組多い5万1210組。死亡数は前年同月より4304人少ない10万6111人だった。
 出生数は、昨年2月に前年同月を上回ってから、9月に前年同月より4人少なかった以外は前年を上回り続けている。厚労省はすでに、06年の出生率は1.3台へと回復する可能性が高いとの見通しを示している。
(朝日新聞)

タミフルと異常行動、因果関係「否定的」を白紙撤回・厚労省次官
 インフルエンザ治療薬「タミフル」服用後の異常行動について、厚生労働省の辻哲夫事務次官は22日の定例会見で、これまで「否定的」としてきた死亡との因果関係の見解を事実上、白紙撤回し、再調査する考えを明らかにした。
(日経新聞)

来月から常勤医ゼロ-県立五條病院婦人科(奈良)
 南和地域の拠点病院となっている県立五條病院(五條市野原西5丁目)の婦人科常勤医が4月からいなくなることが、20日までに分かった。現在勤務している30代の常勤医が3月末で退職。全県的な医師不足で後任常勤医が確保できず、4月からの外来診療は週1日(木曜日)に限り、県立医大派遣の非常勤医一人体制で行う。
(奈良新聞)

八戸周辺自治体で協議を/病院で格差料金(青森)
 八戸市民病院は、七月一日から個室の入院室料や分娩(ぶんべん)料を市民と市外の患者で格差をつけることになった。県内の自治体病院では初めての試み。果たして、患者に料金格差を設けることが中核自治体病院になじむのか、大きな問いを発している。
 同病院の考え方は、八戸市民は税金を繰入金として同病院に毎年入れており、それと応分の金額を市外の利用者にも負担してもらおうというものだ。
(東奥日報)

防げ早期離職 新人看護師を宿泊研修、京都府、新年度から
 就職したのに、すぐに辞める新人看護師の増加が医療現場で大きな問題となっていることを受けて、京都府は新年度から離職防止策を本格化する。先輩看護師との交流や泊まりがけの研修を行うなど職場環境を整え、新人に仕事を続ける自信を回復してもらう。
 新人看護師の離職が全国的に増えている背景には▽実技の履修時間の変更などで看護学生による注射や採血などの機会が減った▽看護師不足から各病院が現場研修に十分な時間をとれなくなっている−などが要因とされている。
 現場での戸惑いや、患者とのコミュニケーション能力の不足などで、仕事に嫌気を感じる新人が多いという。新人の早期離職が、看護師不足や激務に拍車をかけているとの指摘もある。
 府内の1年以内離職率は15・5%(2005年度、府看護協会調べ)で、全国平均(9・3%、日本看護協会調べ)を大きく上回っている。
(京都新聞)

産科婦人科学会、産科医減少への対応策発表
 日本産科婦人科学会は21日、産科医減少と訴訟問題に対する対応策を発表した。女性医師の就労改善に取り組むとともに、お産に関する診療ガイドラインの策定などを盛り込んだ。今後、厚生労働省や地方自治体、地域の医師会などに働きかけ、実現を目指す。
 対応策は同日都内で開いた同学会の医療提供体制検討委員会でまとめた。
 委員会では女性産婦人科医の勤務実態調査の報告があった。経験年数が11―15年になると実際に分娩(ぶんべん)を扱う医師は出産や育児で半分まで減るという。
(日経新聞)

厚木市立病院、出産受け入れ中止の危機(神奈川)
 平成15年4月に県から移譲され、新たなスタートを切った厚木市立病院。開院から丸4年を迎えようとする今、大きな不安材料が浮上している。今年の7月以降、出産できなくなる可能性が出ているのだ。
 市病院総務課によると、現在、東京慈恵会医科大学から派遣され、市立病院に常勤している産婦人科医4人全員が、今年7月末で大学に戻る恐れがあるという。
(タウンニュース)

小児科医は疲れている
 病院に勤務する小児科医が激務で疲弊している問題に、改めて警鐘を鳴らす判決と言えるだろう。医師の疲弊は医療の質の低下につながる。その影響は結局のところ、患者の不利益となって及ぶことを忘れてはならない。
 厚生労働省が一昨年(2005年)11月に行ったアンケート調査によると、小児救急の拠点病院で、小児科医の宿直・夜勤の回数は月平均4.5回、最も多い医師は月15回行っていた。また24時間以上連続しての勤務は平均2.4回、最も多い人では月10回に達した。宿直や夜勤が明けた後も勤務を続けている医師は約7割に上り、最長で36時間働き続けていたケースもあった。
 調査結果は、医師の過労自殺がいつ起きてもおかしくない勤務が常態化していることを浮き彫りにしている。激務に疲れ果てた医師が病院を辞めてゆく“立ち去り症候群”も広がっている。
 小児科医が疲れ果ててゆく要因の一つに、特有の病院事情、小児科の医師数が少ない病院が“乱立”している実態がある。日本小児科学会が行った調査(2005年)によると、医師が1人ないし2人しかいない病院小児科が全体の49%を占め、逆に7人以上の小児科医がいる病院小児科は、わずか16%しかなかった。
 医師を疲れ果てさせることなく毎晩1人を当直させるためには、7人以上の医師がいるとされる。つまり、病院小児科で夜間の小児救急が担える病院は16%に過ぎないことになる。
(公明新聞)

3月24日

お産を守る会:産婦人科医らが設立 看護師にも内診容認を
 お産の際に子宮口の開き具合を測る内診について、医師と助産師にしか認めないとする厚生労働省の通知に対し、看護師にも認めるよう求める動きが広がっている。嵯峨嵐山・田中クリニック(京都市)の田中啓一院長らが「助産師不足の現状で、通知を守ろうとすれば日本の産科が崩壊する」と訴えて、「日本のお産を守る会」を設立。賛同者は1カ月余りで全国の産婦人科医(約1万人)の2割近い約1700人に達した。同会は22日、厚労相に通知変更を求める要望書を提出する。
(毎日新聞)

勤務医負担軽減策:初・再診料下げて夜間厚遇 開業医
 厚生労働省は21日、勤務医の負担軽減策として、開業医の診療報酬については、外来患者を時間外に診療した場合の加算を手厚くする代わりに初・再診料を引き下げ、夜間や休日に診療をしないと高収益を望めない体系に改める方針を固めた。現在、患者は大病院に集中し、病院勤務医が疲弊して開業医に転じるため、勤務医不足が深刻化しているが、地域の診療所の夜間診療を促進し、この現状を改善するのが狙い。08年度の診療報酬改定で実現させる考えだ。
(毎日新聞)

脳梗塞:患者の後遺症の程度、病院間で大きな差
 脳梗塞(こうそく)で入院した患者の後遺症の程度は、病院によって大きく異なり、同じ病状の患者が、ある病院では自力で歩いて退院できるのに、別の病院では歩けなくなるなどの差が出ていることが、厚生労働省研究班(班長=岡山明・国立循環器病センター予防検診部長)の調査で分かった。脳卒中専門の内科医が多く勤務する病院ほど後遺症が軽く、専門でない内科医が治療にあたる病院で重かった。福岡市で開かれる日本脳卒中学会で、22日に発表する。
(毎日新聞)

助産所、廃業の危機…産科医不足補うはずが
 日本のお産の1%を担う「助産所」が存続の危機に立たされている。4月1日施行の改正医療法で、緊急時の搬送先となる「嘱託医療機関」を定めることが助産所に義務付けられるが、病院に嘱託を断られるケースが相次いでいるからだ。
 国は産科医不足を補うため、助産所の活用を掲げているにもかかわらず、廃業に追い込まれる助産所が出てきそうだ。
(読売新聞)

3月18日(日)の読売新聞全国版、3月19日(月)の朝日新聞全国版の意見広告
 今、日本の産婦人科・産科の半分は、お産を受け入れられない、という事実があります。※1地域の産科が、次々と閉鎖に追い込まれています。それにより、将来50万人の「お産難民」が発生する可能性があります。

「休日・夜間急患センター」を訪れる救急患者の50%以上は、赤ちゃんや子どもたちです。※2 しかし、夜間に子どもを連れて行っても小児科医がいない、という事態が今、全国各地で起きています。

 こうした問題の要因として考えられるのは、まず、地方と都市部において、医師数に格差が生じていること。さらに、日本は人口1,000人当たりの医師数が、先進国中、最も少ない国であること、※3 などがあげられます。

 国は、5年後の平成24年3月末までに、全国に現在38万床ある「長期療養者のためのベッド」を、半分以下の15万床まで削減する方針を打ち出しています。

 それにより、退院を余儀なくされる「医療難民」が、2万人。在宅や施設での受け入れすら困難な「介護難民」が、4万人。計6万人の「難民」が発生するおそれがあります。※4

 WHOから「健康達成度世界一」※5と評価されてきた日本の医療は、今や、崩壊に向かっています。この国の医療が抱える危機を、乗り越えるためのタイムリミットは、刻々と近づいています。あなたとともに私たち日本医師会は、医療の崩壊を食い止めたい。医療の未来を守っていきたいのです。あなたの声を、ぜひ、私たちにください。私たちは、みなさんのご意見を、国に訴えかけてまいります。

※ 「将来50万人の『お産難民』が発生する可能性があります」   日本産婦人科医会HP http://www.jaog.or.jp/News/2007/31Jan2007.pdf
※2『日医雑誌』第134巻第5号 H.17.8「小児救急が問題となる社会的背景」田中哲郎:国立保健医療科学院生涯保健部長
※3 人口1,000人当たり医師数の国際比較(2004年)(OECD Health Data 2006 から作成)
※4 日本医師会「療養病床の再編に関する緊急調査」結果
※5 日本医師会『世界トップレベルの医療を提供するために』
(日本医師会)

社説:産・小児科医不足 集約化で医療の確保を(秋田)
 県内の公的病院で産科と小児科の医師不足が深刻化し、医療確保の上で由々しき事態に陥っている。特に医師不足が顕著な産科について県は、2次医療圏を再編統合し、医療資源の集約化・重点化を進めるという。医師を増やすという本質的な解決策ではないが、当面の医師不足解消策として、そうした方策に力を入れるべきだ。
 産科・小児科の医師不足を一挙に解消する手だては、残念ながら見当たらない。解決策の一つとして検討されているのが医療資源の集約化・重点化である。患者にとっては交通の便などに不安も残るが、医療の質の確保や過酷な医師の労働条件改善などは図られるであろう。医師確保が容易でない現状からすれば、集中化のメリットに期待したい。
(秋田魁新報)

分べん制限の県立足柄上病院、産科の常勤医1人増/神奈川
 産科医不足で分べん数を昨年五月から大幅に制限している県立足柄上病院(松田町松田惣領、宮本一行院長)は四月から、産科の常勤医を一人増やして二人態勢にする。足柄上地域(一市五町)で唯一、産科を扱う病院のため地域の要望が高かった。分べん数を現状の月十件程度から徐々に増やす。
 同病院総務局によると、東海大医局から六十代の男性医師を一人確保した。「夏ごろから件数を増やせるのではないか」としている。
(神奈川新聞)

3月23日

“交渉人”養成へ 医療トラブル、解決目指す(沖縄)
 対話による医療トラブルの解決を目指し、医療者と患者の間に立って橋渡しを行う仲介者「医療メディエーター」を養成する動きが県内でも始まった。宜野湾市で19日に開かれた研修会「医療コンフリクトマネジメントセミナー」(医療マネジメント学会沖縄地方会主催)には、医療機関の院長や看護部長、ソーシャルワーカーなど約30人が参加。医療者と患者双方が納得できる解決方法を導くための方法を学んだ。20日まで。
 医療事故の疑いなど医療をめぐるトラブルが発生した際、原因を究明する公的機関はない。病院の説明に納得できない患者側は民事訴訟を起こすことになるが、裁判となると患者側、医療者側双方に負担がかかる。新たな解決方法について国も第三者機関の設置などの検討を進めている。
(琉球新報)

新年度からドクターバンク 休職の特典、給与保証(福島)
 福島県は県立病院の医師確保に向け、勤務する医師を全国から募る「ドクターバンク」制度を新年度内に創設する方針を固めた。海外留学などを視野に、要望に応じて2年の連続勤務で1年、4年で2年の休職期間を与え給与の約7割を保証する「特典」を設け、アピール力を強める。ホームページでの募集に加えて職員が医大・医学部を直接訪問し、本県出身の医師らにUターンを促す取り組みも開始する。来週中にも制度の概要を公表する見通しだ。
(福島民報)

お産ガイドライン作成へ 産婦人科学会 訴訟対策も視野
 日本産科婦人科学会は、「お産」に関する診療のガイドラインを08年までに作ることを決めた。標準的な治療法の普及が目的だが、お産をめぐる医療事故が相次ぐ中で「訴訟対策」もにらんだ内容とする。開業医が中心の日本産婦人科医会と共同で、現場の意見も聞きながら約1年かけてまとめる。
 作成の目的の一つは訴訟対策。最高裁のまとめでは、04年度の産婦人科医1千人あたりの医療事故訴訟件数は11.8件。外科の9.8件、内科の3.7件などと比べ圧倒的に多く、これが産婦人科医不足に拍車をかけていると指摘されている。
(朝日新聞)

事故相次ぎ、一転「禁止」 現場混乱も タミフル制限
 インフルエンザ治療薬としてもてはやされている「タミフル」が、10代の患者への使用を制限されることになった。薬と異常行動との因果関係に否定的な姿勢をとっていた厚生労働省が、服用後の転落事故が新たに2件報告されたことを受け、21日未明、記者会見で発表した。インフルエンザの流行さなかの緊急措置に、医療現場や家庭での混乱が予想される。
(朝日新聞)

海外医師研修連携先に「クリーブランド」、新年度に医師の招へい、本県から派遣事業行う(青森)
 医師確保対策の一環として、海外と連携した医師研修を検討してきた県は19日、米国オハイオ州のクリーブランド・クリニックを連携先に決めた。同クリニックは心臓や消化器、泌尿器、腎臓などの研究・治療で評価が高く、世界的にも有名。日本の特定の自治体や組織との継続的な連携はなく、本県が初めてとなる。新年度には米国からの医師の招へい、本県からの派遣事業を行う。
(陸奥新報)

出産7カ所で中止検討 県内医療機関、医師の労働環境厳しく(徳島)
 徳島県内で出産を扱う二十六医療機関のうち、七医療機関が将来的に出産の取り扱い中止を検討していることが、日本産婦人科医会県支部(三谷弘支部長代理)のアンケート調査で分かった。背景には産科医の労働環境の厳しさや出産の手助けをする助産師の不足があるとみられる。
(徳島新聞)

無資格看護師に内診 愛知の産婦人科診療所に行政指導
 愛知県豊橋市の産婦人科の診療所が分娩(ぶんべん)の時に子宮口の開き具合などを指で確認する内診行為を資格のない看護師らにさせた(無資格内診)として起訴猶予処分となった事件を受け、同市が実施した緊急調査で、市内の別の1診療所も過去に無資格内診をしていたことが分かった。同市保健所は、厚生労働省通知に基づき医師か助産師のみが内診行為をすることを徹底するようこの診療所に対し行政指導した。
 緊急立ち入り調査は同市保健所が昨年12月末から2月1日まで市内の8診療所に対して実施。市内の産婦人科の診療所院長が1月中旬に、昨年まで助産師の不在時、看護師に内診行為をさせていたと保健所に対して申し出た。
(朝日新聞)

24時間産科センター創設を 安定した医療へ学会提言
 安定した産科医療サービス提供のための方策を検討していた日本産科婦人科学会の検討委員会(委員長・海野信也北里大教授)は、お産をめぐる緊急事態に24時間対応する「地域産婦人科センター」の創設などを提言する報告書案をまとめ、19日公開した。
 それによると、健康な妊婦も合併症などで予想外の緊急事態に陥ることがあり、救急対応は不可欠。地域産婦人科センターには10人以上の産婦人科医を勤務させ、現在は都道府県に1カ所程度しかない「総合周産期母子医療センター」より数を大幅に増やし、人口30万−100万人、出生数3000−1万人ごとに1カ所設置すべきだとした。
(東京新聞)

道厚生連が厚生病院再編、100床以下の8病院を診療所などに(北海道)
 北海道厚生農業協同組合連合会(道厚生連)は、運営する厚生病院の再編に乗り出す。病床数100床以下の中小病院を対象に、無床診療所や、自治体が所有し厚生連が運営する指定管理者制度への移行を検討する。厚生病院は地域の中核病院を担ってきたが、過疎化や診療報酬の改定などで中小病院では経営悪化が続いており、抜本的な見直しが必要と判断した。
 これまでは赤字分の3分の2を地元自治体、残りを道厚生連が負担してきた。今後の医療制度改革や過疎化の進展で経営環境が厳しくなるとみて、厚生連は昨年以降、自治体に赤字分の全額負担を要請。しかし自治体も財政難で負担増に応じられないため、機能再編を進める。
(日経新聞)

内山病院(内子)の休止を検討(愛媛)
 喜多医師会(大洲市、清家秀登会長)が、運営する内山病院(喜多郡内子町城廻)を数カ月以内に休止して、全医師を喜多医師会病院(大洲市徳森)に移す形で統合し、施設の一本化を検討していることが、19日分かった。内山病院は同町最大の病院で、町は医師会に存続を申し入れている。
(愛媛新聞)

重篤は妊産婦死亡の70倍 出産異常で厚労省調査
 出産時の大量出血などで、一時でも「生命に危険がある」と判断される重篤な状態に陥った妊産婦は、実際の死亡者数の70倍以上、出産約250件に1人の割合に上るとみられることが、厚生労働省研究班(主任研究者・中林正雄愛育病院院長)などの全国調査で20日までに分かった。
 2000−05年の国内の妊産婦死亡は出産10万件当たり4−7人程度で、一般には比較的まれな現象と受け止められてきたが、死に至る危険は多くの妊婦にあった実態が明らかになった。
(北海道新聞)

道立病院 夜間・休日の医療費支払い「預かり金制」に(北海道)
 道は四月から、道立病院で夜間、休日の外来診療を受けた患者の医療費の支払い方法に、診療直後に一定金額を支払う「預かり金制度」を導入することを決めた。道立病院の累積赤字が約六百億円に膨らんでおり、これ以上の医療費未納を防ぐためだ。
 夜間や休日に道立病院を受診した患者の支払いは現在、平日の日中に再度来院して支払う「後日払い」になっている。夜間や休日は会計担当者が休んでいるためだが、日を改めて支払いに来ない患者もおり、医療費の未納額が二○○五年度末時点で八千三百万円に膨れ上がる一因となっている。
 新制度は、患者が夜間や休日の時間外診療を受けた直後に、二千−五千円を病院に預け、後日、来院した際に医療費を差し引いた分を返還してもらう。
(北海道新聞)

産科入局研修医13人 東北・6医学部
 2007年度に東北の6大学医学部の産婦人科医局に入る後期研修医は計13人にとどまることが、19日までに分かった。06年度の8人よりは若干増えたが、新臨床研修制度が始まった04年度以前に比べると、ほぼ半分の水準。大学医局の人手不足状態は続く見通しで、地域の病院に対する医師派遣打ち切りなど、産科医療体制維持への余波も懸念される。
 新制度では医学部を卒業し、国家試験に合格した新人医師は2年間の初期研修で内科、外科など7分野を回る。その後、任意の後期研修医(1―3年間)となり、専門の各診療科に進む。
 各大学によると、07年度の産婦人科医局入局予定者は東北大4人(06年度ゼロ)、岩手医大3人(2人)、秋田大2人(1人)、山形大2人(1人)、弘前大1人(ゼロ)、福島県立医大1人(4人)となっている。
(河北新報)

3月22日

勤務医不足深刻、5年で430病院が救急指定返上
 全国の「救急告示医療施設」(救急病院)の総数が過去5年間で「医師不足」などを理由に1割近く減っていることが、読売新聞の緊急自治体アンケートでわかった。
 減少傾向には歯止めがかかっておらず、いざという時に患者の受け入れ病院がなかなか見つからないなど、救急体制の危機が深刻化している実態が浮き彫りになった。
 読売新聞が全国47都道府県を対象に、救急体制について聞いたところ、2001年3月末に全国で5076施設あった救急告示医療施設が06年3月末までに約8・5%に当たる432施設減少し、4644施設になっていた。今年度に入っても減少傾向は変わらず、38都道府県の121施設が救急告示(救急医療施設の指定)を撤回、または撤回する予定だ。
(読売新聞)

24時間往診します…全国9000か所ネットで公開
 24時間体制で往診可能な在宅療養支援診療所について、独立行政法人福祉医療機構のインターネットサイト「WAM NET(ワムネット)」が、全国9346か所の診療所情報の提供を開始した。
 患者・家族の診療所探しを支援するのが目的。都道府県別では、トップの大阪が1233か所を数えたのに対し、最も少ない高知はわずか26か所で、地域差も目立った。
(読売新聞)

中堅女性産婦人科医、半数がお産の現場去る 学会調査
 キャリア10年超の中堅の女性産婦人科医の半数がお産の現場から離れている――。産婦人科医不足が問題になる中、日本産科婦人科学会の調査で19日、女性医師の現場離れが進んでいる実態が明らかになった。特に子どもがいる医師にその傾向が強い。若い産婦人科医は半分以上が女性。長時間労働など働く環境が改善されないと、第一線で働き続けることは難しく、お産の担い手不足がさらに深刻化することが予想される。
 各施設に所属する医師の勤務先が、お産を扱う施設か、不妊治療などその他の婦人科診療のみを行う施設かを、経験年数ごとにみると、女性の場合、5年目までは82%がお産を扱う施設だったが、6〜10年は61%、11〜15年だと52%に下がった。男性はいずれの経験年数でも80%以上。
(朝日新聞)

地方の医師不足 医学部に「地域枠」 首相検討 学生数暫定的に増
 参院予算委員会は十九日、安倍晋三首相と関係閣僚が出席して社会保障や格差に関する集中審議を行った。首相は地方の医師不足対策について「深刻な(都道府)県では大学医学部の暫定的な定員増を検討し、地域に定着する人が増える『地域枠』を設定するなど対策を進めたい」と述べ、国が一律で決めている学生数の基準を見直す考えを示した。
 さらに首相は、産科医不足の一因とされる医療ミスに伴う訴訟リスクについて「産科医療補償制度の創設に向けて検討する」と国の財政支援に前向きな姿勢を示した。自民党の金田勝年氏の質問に答えた。
(北海道新聞)

24日に違法残業110番 過労死問題研究会(北海道)
 違法残業の撲滅に取り組む「北海道過労死問題研究会サービス残業オンブズマン」(代表・高崎暢弁護士)は二十四日午前十時から午後二時まで、残業についての相談を無料で受け付ける「サービス残業110番」を実施する。
 残業手当を支払わない「サービス残業」や長時間で不規則な残業、虚偽の残業時間の申告強要など、さまざまな相談に弁護士が応じる。本人や家族が希望すれば、個人が特定されない形で労働基準監督署を通じて企業に改善を求めることもある。相談は(電)011・261・7738へ。
(北海道新聞)

水戸 県医師会県民フォーラム 小児医療で意見発表(茨城)
 「子どもの医療」をテーマに、第八回県医師会県民フォーラム(県医師会主催、茨城新聞社など共催)が十八日、水戸市笠原町の県メディカルセンターで開かれた。小児科医や県職員らが意見を発表。参加した百五十人は小児医療体制の充実に向けて話し合った。
 パネル討論には小児科医ら四人が登壇。筑波大臨床医学系小児科教授の松井陽さんは小児科医不足の実態を踏まえ、地域の拠点病院に小児科医を集約させ、救命救急における高度な医療体制の整備を提案。「子どもを大切にしない社会に未来はない」と訴えた。
 土浦協同病院小児科部長の渡部誠一さんは、災害時に患者を重症度や緊急性によって分ける方法(トリアージ)の小児救急への導入を主張。「受付順より公平な医療だと思うが保護者の理解が重要」と強調した。
(茨城新聞)

女性産科医:出産に携わるのは11年目で45.6%
 日本産科婦人科学会(日産婦)は19日、女性産婦人科医の勤務実態に関する初の調査結果の概要を発表した。医師になって9〜13年目の女性医師のうち出産に携わっているのは5割前後で、同じ経験年数の男性(約8割)を大幅に下回った。同学会は「出産現場では、当直や緊急呼び出しなど厳しい勤務になる。医師自身の出産・育児の時期に、現場から離れる女性医師が多い実態が明らかになった」と分析している。日産婦によると、30代半ば以下の産婦人科医は女性が半数を超える。
 その結果、女性産婦人科医が出産に携わっている割合は、医師になって11年目が45.6%で最低になるなど、医師経験10年前後で大きく落ち込んだ。また、同時期に全国835病院を対象に実施した調査では、病院内保育所がある施設は50.4%、病気の子どもを預かる保育所は16.8%に、それぞれとどまった。
(毎日新聞)

医師不足と自治体病院(全国自治体病院協議会会長 小山田 惠)
 岩手県の海浜の中都市では,医師不足と経営悪化を解消する方策として,四年後に市内の県立と市立の二つの自治体病院を統合することが決定した途端,その半年後に市立病院の全医師が辞めていった.
 このような例は後を絶たず,その度に「医の倫理」とか“義理人情”をかなぐり捨てた大学や医師に激しく憤慨するのであるが,その根源を考えると,自治体病院がこれまで長い間,医師人事の多くを大学に頼り切ってきたことと,もう一つは,あまりにも劣悪な労働環境が挙げられる.地方の自治体病院では,公務員として多くの制約に縛られ,過労死に近い過酷な労働が強いられる.もし,都会で勤務できれば,こうした呪縛から解放され,好きな時間に診療し,重症の患者は病院に送り,家庭生活もエンジョイでき,そして収入もはるかに高いかも知れない.こうしたことを考えると,自治体病院を去る医師の思いも,十分に理解できる.
 こうした事態を踏まえ,自治体病院としてなすべき対応は,まず第一に,勤務医がゆとりと生きがいを持って働ける労働環境の改善である.それには,病院の集約,再編統合とネットワークの構築,そして,ゆとりある勤務形態の採用が必要である.
(日医ニュース)

県医師会が6方部に地元医師会と協議の場(福島)
 医師不足や国の医療制度改革など、地域医療をめぐるさまざまな課題に対応するため、県医師会(小山菊雄会長)は新年度、県内6方部に地元医師会との協議の場を設け、対応策や解決策を検討する。
 必要に応じて県や市町村に提言することも視野に入れている。
(福島放送)

平成18年度母子保健講習会、子ども支援日本医師会宣言の実現を目指して
 平成十八年度母子保健講習会が,「子ども支援日本医師会宣言の実現を目指して」をメーンテーマとして,二月二十五日に日医会館大講堂で開催された.本講習会は,平成六年度より実施してきた「乳幼児保健講習会」から名称変更して初めて実施されたものである.
 (一)「産科医療の現状と改革への提言」では,海野信也北里大学教授が産婦人科医や分娩を取り扱う施設が減少しているなかで,日本ではリスクの高い高年齢の分娩が増加していることを説明.分娩を取り扱っている医師に,継続して仕事を続けてもらうためにも,(1)医療事故の合理的究明や紛争解決を行うシステムの確立(2)勤務医の労働条件の改善―が必要だと述べた.また,現場に助産師が充足するまで,看護師の内診を認めることを求めた.
 (二)「小児医療の現状と改革への提言」では,別所文雄杏林大学教授が,小児科医不足のなかで,国民の専門医志向の高まりや時間外受診の増加などによって,小児科医に対する需要がますます高まっている現状を説明.このような状況下で,その不足を解消するには勤務体制の見直しや役割の明確化,適正な医師数の算定などを行うことが必要との考えを示した.
(日医ニュース)

3月21日

公立深谷病院の民設民営化問題:企業団の経営移譲再公募、2法人応募−−石巻 /宮城
 経営難から今月末で解散する石巻市の「公立深谷病院企業団」の経営移譲先の再公募が17日締め切られ、県内外の二つの医療法人が応募した。企業団は18日、両法人から提出された関係書類を審査。週明け早々にも移譲先を決め、協定書調印に向けた作業に入る。
 企業団は当初、4月からの民設民営による診療継続を条件に移譲先を公募。2法人の応募があったが、いずれも条件が折り合わず交渉が決裂したため再公募していた。同病院では、4月以降の診療継続が困難となったことから、入院患者約30人を転・退院させ、外来患者の診療も23日で停止する。
(毎日新聞)

違法性 割れる判断、東北大医学部寄付金訴訟
 東北大医学部が医師を派遣している地方病院から寄付金を受け取っていた問題で、地方自治体に寄付金返還請求を求める三つの訴訟の判決が仙台、山形地裁で相次いで出された。ただ、判決内容はまっぷたつ。寄付金の背景にある地方病院の医師不足などの問題には必ずしも踏み込んでいない。いずれも控訴されており、仙台高裁での判断が注目される。(杉本崇)

 ■山形地裁 法律逃れを否定

 ■仙台地裁 返還請求を命令

 「原告の請求を棄却する」。6日に山形地裁であった米沢市立病院の寄付金返還請求訴訟の判決。原告の市民オンブズマン山形県会議の佐藤欣哉弁護士は「先にあった仙台地裁の判決との違いにあぜんとした」。
(朝日新聞)

院長ら書類送検の産婦人科 来月から出産扱わず(愛知)
 豊橋市の産婦人科医院で昨年10月、助産行為が禁止されている看護師らが、妊婦の内診などを行っていたとして、院長ら3人が保健師助産師看護師法違反(助産師業務の制限)の疑いで書類送検された事件で、同医院は4月から出産の医療業務の取りやめを決めた。
(読売新聞)

スクランブル:広大医療供給プロジェクト 条件付きで医師を優先配置 /広島
 医師不足や都市部への偏在といった医療を巡る課題について、広島大と県内の主要な総合病院が、適正化に向けた協議を始めた。同大側は1月に、状況が深刻な産科婦人科について優先的に医師を配置する条件を提示。小児科などについても、地域事情などを考慮しながら、医師の集約化や効果的な配置を調整していくという。
(毎日新聞)

福山市民病院 産科の危機まず知って(広島)
 すべて医師不足から始まっている。各地で起きる産科の問題だ。長期的には医師の養成、当面は仕事をしやすい環境づくりと、産科の集約化しか手はない。
 医師の産科離れは十年以上前から。当直や呼び出しが日常の過酷な勤務。待遇は他科と横並び。訴訟になるかもしれない重圧。全国の大学病院や関連病院の常勤医師は二年余りで8%減った。
 限られた数の医師で、安心して出産できる態勢を整える現実策が集約化である。現場で奮闘する医師をこのまま燃え尽きさせてはいけない。
 「無事に生まれて、ありがとうとも言われない。使命感がぷつりと切れそうになる」。ある産科勤務医の嘆きだ。出産のリスク、医師の窮状を理解しよう。医療が崩壊して困るのは私たちである。
(中国新聞)

3月20日

新人看護師 技術低下…「注射1人で出来ない」8割
 新人看護師の看護技術低下が深刻化している。日本看護協会の調査では、人工呼吸、心臓マッサージ、止血など救急救命術や注射などを「1人でできる卒業生が20%未満」という看護学校が半分を超えた。
 新人看護師による医療事故も少なくない。事態を重く見た厚生労働省の検討会は来週、病院実習を大幅に増やすなど、看護教育カリキュラムの10年ぶりの見直しを議論する。
 基礎的な看護技術80項目のうち、人工呼吸、心臓マッサージ、止血、注射など16項目について、「1人でできる学生が20%未満」と答えた学校が過半数に達した。
 技術力低下の原因となっているのは、病院実習内容の不十分さだ。
 病院での実習は、3年課程の場合、1035時間以上の履修が義務付けられているが、「病院が事故を恐れ、患者を対象とした実習をなかなかさせてくれない」(山口美代子・横浜市病院協会看護専門学校副学校長)という実態がある。また病院実習の際に付き添って指導する専門教員について、68・6%の看護学校が確保に問題を抱えるとしている。
(読売新聞)

外国人労働者の在留資格、要件緩和を・経団連が提言
 日本経団連は外国人労働者の受け入れ拡大を求める提言をまとめた。企業の国際競争力を高める観点から、エンジニアなど高い専門知識や技術を持つ外国の人材の在留資格要件を緩和するよう政府に要請する。企業側の法令順守体制や自治体による生活支援も強化し、外国人の円滑な受け入れを目指す。
(日経新聞)

「休日に寝だめ」は逆効果=平日差大きいほど不眠、抑うつ−働く人の睡眠調査
 普段の寝不足、休日に補えません−。休みの日に遅くまで寝ている人ほど、不眠や抑うつを訴える割合の高いことが17日、働く人を対象とする内村直尚久留米大助教授(精
 調査は昨年12月、首都圏の35〜59歳の勤労者約9000人を対象にインターネットで実施、約6000人から有効回答を得た。
 それによると、平均睡眠時間は平日6.1時間、休日7.3時間。休日の起床時間が平日より2時間未満遅い人が不眠を自覚する割合は25.9%なのに対し、2〜3時間で29.4%、3時間以上で33.3%と、平日との差が大きいほど不眠の人が多かった。
 抑うつ経験も、2時間未満4.3%、2〜3時間5.2%、3時間以上6.2%となった。
(時事通信)

休止状態の3階病床 介護療養活用へ 香住病院(兵庫)
 兵庫県の香美町は、不良債務の累計が本年度末で五億円近くに上るとみられる公立香住総合病院(同町香住区若松)の経営改善策として、休止状態が続いている同病院の三階を二〇〇八年度から介護療養病床として活用し、〇九年度にも老人保健施設へ移行する方針を決めた。
 同病院の常勤医師は大学の派遣医引き揚げなどで年々減少し、〇七年度から五人となる。医師不足が入院患者の減少を招くなど経営を圧迫する要因の一つとなっており、不良債務は〇五年度末の累計で三億三千百万円、〇六年度末で五億円近くに膨らむ見通し。これに伴い町は新年度予算案で、一般会計から公立香住総合病院事業企業会計への繰出金に、前年比22・3%(約六千四百万円)増の三億五千万円を計上している。
(日本海新聞)

周産期センター医師退職で休止 日鋼記念病院 室蘭(北海道)
 【室蘭】日鋼記念病院(室蘭、勝賀瀬貴院長)が四月以降、切迫早産など危険度の高い出産が可能な、西胆振唯一の「地域周産期母子医療センター」機能を休止することが十六日、分かった。一人しかいない産婦人科常勤医が、三月末で退職するため。
 同病院産婦人科は、旭川医大の医師引き揚げにより、四人いた常勤医が昨年四月に二人に減少。さらに昨年十月から一人態勢が続いていた。
(北海道新聞)

患者の利便性を向上へ(北海道)
 【標茶】標茶町立病院(齋藤國雄院長)は4月から、院内の土足化や外来受付時間の延長など、これまで以上に患者らの利便性が高まる取り組みを始める。同病院では「地元はもとより、川上郡(標茶・弟子屈)内の唯一の産婦人科設置病院としても大いに利用してほしい」と呼び掛けている。
(釧路新聞)

麻酔科医「過失なかった」/大野病院事件
 大熊町の県立大野病院で2004(平成16)年12月、帝王切開で出産した女性=当時(29)=が死亡した医療事件で、業務上過失致死と医師法違反の罪に問われた産婦人科医加藤克彦被告(39)=同町下野上=の第3回公判は16日、福島地裁(大沢広裁判長)で開かれた。検察側証人の尋問が行われ、手術に加わった麻酔科医と助産師の2人が証言した。麻酔科医は「手術ミスはなかった」とし検察側証人にもかかわらず、前回証言者と同様に弁護側主張に沿う発言をする一方、助産師は手術前から不安を持っていたことを述べた。
 弁護側からの尋問に、麻酔科医は「血管やほかの臓器の損傷はなく、(被告に)過失はなかったと思う」と証言。「専門外だが、はがした方が止血できると思う。クーパー(手術用はさみ)の使用も違和感はなかった」と弁護側主張に沿う発言をした。
 助産師は「福島医大でも前置胎盤で大量出血を招いて大変だったことを聞いていた」とした上で「産婦人科医が加藤被告一人の大野病院で手術するのは不安だった」と証言した。
(福島民友新聞)

八戸市民病院と県病に自治医大卒医師を配置(青森)
 青森県は新年度から、特に不足する産婦人科と麻酔科の医師確保対策として、自治医科大学を卒業し県内に勤務する医師のうち、両科を希望する人に限り、研修後は先行して専門の診療科で勤務できるようにする。従来はへき地の診療所勤務などに限られていたが、医師不足解消のため、配置方針を変更した。既に両科に各一人が名乗りを上げ、十五日に内示した新年度の人事異動では、八戸市立市民病院の麻酔科と県立中央病院の産婦人科(総合周産期母子医療センター)への配置が決まった。
(デーリー東北)

佐野市民病院、4月から常勤医2人の可能性(栃木)
 深刻な医師不足に悩む佐野市民病院(二百五十八床)の常勤医が四月以降、現在より六人減り二人になる恐れがあることが十六日、分かった。佐野市は同日の記者会見で新院長内定と、新院長も含め常勤医二人の確保を明らかにしたが、市関係者は下野新聞社の取材に「現在の常勤医八人すべてに退職の意向がある」という。医師確保に追われる市は会見で四月以降の診療体制について明言できず、市民病院問題は混迷の度合いを深めるばかりだ。
(下野新聞)

3月19日

事件番号 平成16年(行ウ)第517号
事 件 名 労働者災害補償不支給決定取消請求事件(中原利郎先生の過労死労災認定の東京地裁判決)