本文書はJob Accommodation Network(JAN)とカリフォルニア州のサンフランシスコ大学に本部を置くCenter for Personal Assistance Servicesが協力して作成しました。 JANは米国労働省障害者雇用政策オフィスのサービスです。 個人支援サービスセンターは国立障害リハビリテーション研究所(National Institute on Disability and Rehabilitation Research)の基金から助成を受けています。
序
障害を持つ人には日常の活動を行う能力の支障となる様々な制約があります。 他の人の支援無しには制約を克服できない場合もあります。
この種の支援は個人支援サービス(PAS)と呼ばれています。 障害を持つ人が有給雇用を維持するためにPASが必要となる場合があるかもしれません。こうしたPASには、出勤前の準備、通勤、職場における個人的ニーズへの対処、職務の遂行等における支援があります。
本文書では職場におけるPASについて説明しています。 ここではPASの定義について説明します; 並びに感覚、認識、精神、運動面で障害のある人を適応させるためのPASの利用に関する情報; PASおよび米国障害者法(ADA)に関する説明; 並びに詳しい情報を得るための情報源一覧表が記載されています。
PASの定義
PASとは何ですか?
障害を持つ人のための家庭における個人支援サービス(PAS)の提供については長い歴史がありますが、職場におけるPASの利用は比較的最近取り上げられました。 職場においてPASを利用することで障害を持つ人は職場やコミュニティーに完全に統合できるようになります。PASの背景に関してこうした相違がある結果PASの定義は多様になっています。
定義には、PASの場面や場所に加え、PASとして支援技術を利用することが含まれる場合もあります。 しかし、PASは人が提供するものであり、支援技術は人による努力を補足するものと一般に考えられています。
以下は米国の政府、研究所、権利擁護団体で使用されている定義から精選したものです。
個人支援サービスセンターからの定義:
「個人支援サービス(PAS)とは、障害を持つ人が日常生活に不可欠な課題を行う際に提供される支援を指します。 こうした課題には、入浴、着替え、移動、トイレの使用、食事、買物、予定管理、その他の活動などがあります。 PASは、車椅子、音声読書器、補聴器などの支援技術の他に、家庭、職場、および地域社会活動への障害を持つ人の参加を支援します。」 (http://www.pascenter.org/home/index.php)
1999年の勤労奨励促進法(Ticket-to-Work and Work Incentives Improvement Act)からの定義:
PASは「障害が無かったら通常支援無しに遂行できると思われる勤務中または勤務外の日常生活動作に関して障害を持つ人を支援するために考案された1人以上の人によって提供される一連のサービス」と定義づけられています。 勤労奨励促進法には、このようなサービスは「生活面での管理や勤務中または勤務外の活動を毎日行う能力を高めるように計画されなければならない」と記載されています(http://frwebgate.access.gpo.gov/cgi-bin/getdoc.cgi?dbname=106_cong_public_laws&docid=f:publ170.106)。
その他の定義
個人支援サービスは日常生活動作(ADL)または手段的日常生活活動(IADL)に欠陥のある人の身の回りの世話やその他の日常活動を支援します。(Consumer Choice and Control:Personal Attendant Services and Supports in America:Report of the National Blue Ribbon Panel on Personal Assistance Services、Independent Living Research Utilization- http://www.ilru.org/pas/BRPPAS.html)。
個人支援サービス(PAS)は、「障害を持つ人が良い生活状態、きちんとした身なり、快適さ、安全、地域社会や社会との相互関係を維持するための仕事を行うのを支援する人」です(World Institute on Disability、Rehabilitation Research and Training Center on PAS)。
PASは在宅看護、および着替え、入浴、食事などの日常生活動作に関する支援です(World Institute on Disability- http://www.wid.org/programs/#halts)。
個人支援サービス(PAS)は身体、感覚、精神、または認知機能障害のある人を、障害がなかったら独力で遂行できると思われる仕事に関して支援する人あるいは手段と定義されることもあります。 一般に、こうしたサービスとしては、着替え、入浴、食事、トイレの使用、および金銭の取り扱いとか朗読者や通訳との通信手段を容易にするといった知的な仕事に対する支援が挙げられます(Oregon Disabilities Commission Technical Assistance Center- http://www.odc.state.or.us/tadoc/ada69.htm)。
個人支援サービス(PAS)は、障害がなかったら通常遂行できると思われる仕事に関して障害を持つ人を支援するために人によって遂行されるサービスを指します。 これは障害を持つ人が公共施設ではなく各人の家庭や地域社会で生活できることを目的としたサービスです。以下の事項が含まれますがこのひとつに限定されません:
着替え;
入浴;
ベッドあるいは車椅子へのアクセス;
トイレ使用時の支援、用便、排尿、カテーテルに関する支援を含む;
食事と摂食;
料理と家事の手助け;
雇用支援;
金銭の取り扱いや予定管理といった仕事に関する知的支援; そして
通訳や朗読サービスを通じてコミュニケーション手段を促進するこ
Department of Human Services, Iowa (http://www.dhs.state.ia.us/mhdd/mhddpas.htm)
誰がPASを提供しますか?
PASには多種多様なサービスがありますから、PASのサービス提供者がひとつということはありません。 地方の自立センター(ILC)が地域社会の適切なサービス提供者を紹介します。 PASを探している場合こうしたサービス提供者に先ず連絡するといいでしょう。 州別のILC一覧表は下記のウェブサイトでご覧下さい。 http://www.virtualcil.net/cils/。
サンフランシスコのカリフォルニア大学は、国立障害リハビリテーション研究所(NIDRR)の支援で、国立PAS提供センターを現在立ち上げています。 個人支援サービスセンターの使命は、米国における個人支援サービス(PAS)の問題に関する研究、訓練、普及、技術支援を提供することです:
公式、非公式のPASと介護支援の関係、およびPASを補足する際の支援技術(AT)の役割;
家庭や地域社会におけるPASのための規定とプログラム、バリア、および新しい模範例;
PAS労働力の拡大、採用、雇用継続、および手当; そして
公式、非公式のPASの職場における模範例および職場での支援技術
こうした新情報に関しては下記のウェブサイトをご覧下さい: http://www.pascenter.org/home/index.php。
職務の環境整備としてのPASの利用
PASが効果的な環境整備であると思われる場合、事業主はどのようにして決定できますか?
事業主が効果的な環境整備の選択肢(PASを含む)を決定する場合以下の質問が役に立つはずです:
どういう機能的制約をその人は職場で感じているのですか?
こうした機能的制約がその人やその職務遂行に影響を及ぼしていますか?
こうした機能的制約がある結果、どういう職務が特に問題になりますか?
こうした機能的制約を減少したり排除したりするためにどういう環境整備を利用できますか? 可能な環境整備を決定するためにあらゆる情報源が使用されていますか?
従業員は可能な環境整備について相談を受けましたか?
環境整備を実行に移した後、患者が環境整備の効果を評価し、追加の環境整備が必要かどうか判断する機会を与える機能は働いていますか?
個人支援サービス(PAS)、その他の障害分野、あるいは米国障害者法(ADA)に関して管理職と従業員の研修が必要ですか?
どういう種類のPASが1)感覚、2)認識、3)精神、および4)運動面で障害のある人に有用ですか?
1) 感覚障害
感覚障害には、盲目、視力低下、耳が聞こえない、難聴などがあります。 盲目や視覚障害のある人に有用と思われるPASを下記に取り上げます:
適格な朗読者
適格な朗読・代読者は文書による情報(その他の方法では技術を使用しても入手できない情報)を朗読します。 朗読者は情報を解釈したり、重要な職務を遂行したりはしません。 朗読者には現在認可の必要がないため、朗読者はスタッフの一員とかボランティア、あるいは特に朗読者として雇用された人であるかもしれません。 「適格な朗読者」という言葉は単に情報を読むことができ課題の専門用語を熟知している人を意味しているにすぎません。
状況: 盲目の契約弁護士は画面読み取り技術を利用しており、課題資料を読むのに何の困難も感じていませんでしたが、手書きの文書を読むことができませんでした。
解決策:法律事務所に在勤の弁護士秘書が同弁護士に手書きの文書を読むための訓練を受けました。
筆記者
筆記者は他の人が伝える情報を筆記したりタイプしたりします。 筆記者は情報を解釈するとか、重要な職務を遂行することはありません。 筆記者には現在認可の必要がないことから、筆記者はスタッフの一員とか、ボランティア、あるいは特別に筆記者として働くため雇用された人であるかもしれません。 「適格な筆記者」という言葉は情報を筆記でき、課題の専門用語を熟知している人を指しています。 雇用前の段階で筆記者を手配すれば、障害のある個人が応募書類を作成したり、採用試験の質問に答えたりする場合に支援できるでしょう。 筆記者は従業員が報告書の作成、あるいはプレゼンテーションの準備といった仕事を遂行するのを支援できます。
状況: 盲目の人が保険会社の下級職のポストに応募し、採用試験(筆記)を受けなければなりませんでしたが、試験の質問を読むことも解答を記入することもできませんでした。
解決策:事業主は受験者の解答を記入するため筆記者の役目を務めることもできる適格な朗読者を手配しました。
仕事のアシスタント
仕事のアシスタントが遂行する職務は様々です。以下だけではありませんが、盲目の従業員の出張時における手引き誘導といった支援; 資料の収集、情報源へのアクセス、手書きの文書作成の支援; 教育者のために教室内で起きていることを描写すること等が含まれます。
状況:ニューヨーク市在住の法定盲人であるアカウント・エグゼクティブはサンフランシスコで仕事関係の研修に出席しなければなりませんが、移動が難しいだろうと思っています。
解決策: 事業主は従業員の旅行中手引き誘導といった支援ができる旅行アシスタントを手配しました。
以下では、耳が聞こえない、あるいは難聴の人のために役立つと思われるPASを述べています:
リアルタイム字幕通信(CART)サービス
CARTは速記機器、ノートパソコン、リアルタイム・ソフト等を使用して音声通信を文章に逐語訳するサービスです。 耳が聞こえない、あるいは難聴の人が会話を(例えば、会議、研修、教室において)理解できるように、文章は即座に翻訳され、パソコン画面または他のディスプレーに表示されます。 こうした機器使用の研修を受けた専門家は現場であるいは場合によっては遠く離れた場所からこうしたサービスを提供できます。
状況:耳の聞こえない従業員は手話が上手ではありませんが、月例会議でスタッフとコミュニケーションを取らなければなりません。
解決策: 事業主は会議中リアルタイム字幕通信を行うために字幕速記者を雇いました。
CARTサービスとリソースの詳しい情報に関しては、以下を参照してください。
http://www.jan.wvu.edu/cgi-win/OrgQuery.exe?Sol491
適格な手話通訳
手話通訳は話し言葉を手話に、また手話を話し言葉に通訳します。 「適格な」手話通訳とは、耳が聞こえない人の手話システムを英語に、また音声通信を手話に効果的かつ正確に通訳します。 経験豊富な手話通訳は通常特別な研修を受けており、手話通訳専門協会または州や地元の聴覚障害者支援委員会の認可を受けている場合もあります。
状況: 校正者のポストに耳が聞こえない応募者がいます。 応募者は面接を設定するためにvoice-carry-over relay serviceを利用して事業主に連絡をとりました。そしてアメリカ手話(ASL)を使っていることを伝え、面接に環境整備を供与するよう依頼しました。
解決策: 事業主は面接に適格な手話通訳を雇いました。
2) 認知機能障害
認知機能障害には知的障害、学習障害、脳損傷、てんかんなどがあります。 認知機能障害を持つ人に有用であると思われるPASを下記に説明しましょう:
適格な朗読者
適格な朗読者は文書による情報(その他の方法では技術を使用しても入手できない情報)を朗読します。 朗読者は情報を解釈したり、重要な職務を遂行したりはしません。 朗読者には現在認可の必要がないため、朗読者はスタッフの一員とかボランティア、あるいは特に朗読者として雇用された人であるかもしれません。 「適格な朗読者」という言葉は単に情報を読むことができ課題の専門用語を熟知している人を意味しているにすぎません。
状況: 難読症の小売業の従業員は活字の資料を読むのに困難を感じていました。
解決策: 業界の専門用語に詳しい従業員の上司が適格な朗読者としての役割を果たしました。 朗読者は定期的に従業員と会い、会社の月例スタッフ・ミーティングの議事録や会社の季刊誌を朗読しました。
筆記者
筆記者は他の人が伝える情報を筆記したりタイプしたりします。 筆記者は情報を解釈するとか、重要な職務を遂行することはありません。 筆記者には現在認可の必要がないことから、筆記者はスタッフの一員とか、ボランティア、あるいは特別に筆記者として働くため雇用された人であるかもしれません。 「適格な筆記者」という言葉は情報を筆記でき、課題の専門用語を熟知している人を指しています。 雇用前の段階で筆記者を手配すれば、障害のある個人が応募書類を作成したり、採用試験の質問に答えたりする場合に支援できるでしょう。 筆記者は従業員が報告書の作成、あるいはプレゼンテーションの準備といった仕事を遂行するのを支援できます。
状況:知的障害の応募者は地元の食料品店でカート整理のポストに応募するための書類作成を難しいと思っていました。
解決策:応募者の書類作成面での制約に対する環境整備として、食料品店は在勤の従業員を適格な筆記者にするため研修を受けさせました。 同筆記者は応募者の応募書類の返答を記入しました。
ジョブコーチ
ジョブコーチが遂行する職務は多様です。その職務としては、適切な人付き合いの技術や仕事上の態度について指導を与えること、職場における1対1での実地研修の支援、必要な問題解決、障害を持つ人が就労環境に順応するための支援を与えること等が挙げられます。 障害のある従業員の職業技術が向上するにつれて、ジョブコーチとの交流は減少あるいは「消失」します このプロセスにより、従業員が独力での職務遂行方法を習得するにつれて従業員を徐々に移行することで自立性を養うことができます。
状況:脳損傷のある工場労働者は事業主が製造部門を再編成した時に新しいポストに配属になりました。 従業員は新しい仕事での多様かつ複雑な職務で簡単に挫折してしまいました。
解決策: 事業主は従業員に職業リハビリテーションを許可し、新しいポストでの最初の半年間ジョブコーチを提供することで従業員を適応させました。 ジョブコーチは最初の2ヶ月間は従業員と毎日一緒に働きました。 次の2ヶ月間は月曜日と金曜日に支援しました。 ジョブコーチは最後の2ヶ月間に支援を徐々に少なくしていき、ついに工場労働者はほんの時折か必要な場合にのみ指導者に連絡するようになりました。
運転手
運転手は障害が原因で運転できない人のために車を運転します。 障害のある従業員が勤務日に職務や活動を行うために様々な場所に移動する場合、事業主は過度の負担とならない限り運転手または代替環境整備(例えば電話会議)を用意することを考えなければならないでしょう。 事業主は、障害のない従業員に通勤のための交通手段を提供していない限り、障害のある従業員の通勤に運転手を提供する必要は通常ありません。 しかし、事業主は従業員の通勤能力の障害になるバリアを排除するための環境整備(勤務時間の変更あるいは規定の変更)の供与を考慮する必要があるかもしれません。
状況: てんかんがあり運転を制限されている顧客サービス担当者は通勤に公共の交通手段を利用していました。 しかし、勤務先から15マイル離れた場所で必須の研修に出席するための交通手段がありませんでした。
解決策: 事業主は従業員が研修に出席できるように同僚に運転手の役割を果たすことを許可しました。
3) 精神的健康の障害
精神的健康の障害には双極性障害、鬱病、注意欠陥他動性障害、広場恐怖症やその他の精神障害が含まれます。 精神的健康に障害のある人のために有益と思われるPASを以下に説明します:
ナチュラル・サポート・パーソン
ナチュラル・サポートとは職場での上司や同僚からの支援を指します。 事業主が従業員全員にすでに提供している支援が含まれているため、ナチュラル・サポートと呼ばれています。こうした支援には、助言、管理(職務遂行に関する継続中の評価)、研修(新しい仕事の技術を同僚と習得すること)、同僚が休憩時間や勤務終了後に障害を持つ人と付き合うこと等が含まれます。
ナチュラル・サポート・パーソンは適切な人付き合いの技術や職場での行動に関して指導したり、職場における1対1での実地研修の支援をしたり、必要な問題を解決したり、従業員が環境に順応する手助けをしたりできます。 障害のある従業員の職業技術が向上するにつれて、ナチュラル・サポート・パーソンとの交流は少なくなるか次第に無くなります このプロセスにより、従業員が独力で職務遂行を習得するにつれて従業員を徐々に移行することで自立性を養うことができます。
状況:新しく採用された地理の教師は双極性障害があり、仕事の手順を作成するのが難しく、時折教室内で挑戦的な態度をみせました。
解決策: 同じ学部で教えている同僚がナチュラル・サポート・パーソンを務めることに同意しました。 同僚は新任教師に職員休憩室で休憩を取る際に会話を促したり、興味のある学内活動に参加するよう勧めたりして仲間に入れるようにしました。 ナチュラル・サポート・パーソンは、年度始めおよび学期中に定期的に新任教師とミーティングを持って、相談相手として務めました。 こミーティングではでは整理された日常業務作ったり、意欲をそそる問題に取り組んだりしました。 新任教師は自信と教室での対応能力が増したため、ナチュラル・サポート・パーソンを必要とする回数は必要な場合時折という程度にまで減少しました。 新任教師は自信と教室での対応能力が増したため、ナチュラル・サポート・パーソンを必要とする回数は必要な場合時折という程度にまで減少しました。
適格な朗読者
適格な朗読者は文書による情報(その他の方法では技術を使用しても入手できない情報)を朗読します。 朗読者は情報を解釈したり、重要な職務を遂行したりはしません。 朗読者には現在認可の必要がないため、朗読者はスタッフの一員とかボランティア、あるいは特に朗読者として雇用された人であるかもしれません。 「適格な朗読者」という言葉は単に情報を読むことができ課題の専門用語を熟知している人を意味しているにすぎません。
状況:注意欠陥他動性障害を持っている新聞のコラムニストは、支援技術を利用して文書を読んでいました。 しかし、手書きの書類は集中して読むことが難しいと思っていました。
解決策:同社で実務研修で働いているジャーナリズム専攻の学生はコラムニストが受け取った手書きの文書を読むための研修を受けました。
運転手
運転手は障害が原因で運転できない人のために車を運転します。 障害のある従業員が勤務日に職務や活動を行うために様々な場所に移動する場合、事業主は過度の負担とならない限り運転手または代替環境整備(例えば電話会議)を用意することを考えなければならないでしょう。 事業主は、障害のない従業員に通勤のための交通手段を提供していない限り、障害のある従業員の通勤に運転手を提供する必要は通常ありません。 しかし、事業主は従業員の通勤能力の障害になるバリアを排除するための環境整備(勤務時間の変更あるいは規定の変更)の供与を考慮する必要があるかもしれません。
状況: 広場恐怖症の公務員は遠距離運転や交通の激しい道路での運転に制限がありました。 従業員は勤務時間を変更してもらい、交通ラッシュを避け静かで眺めの良い道路を使って車で通勤することができました。 1年に2回従業員は自宅から車で3時間の距離にある州都での会議に出席しなければなりませんでした。
解決策:従業員の家族の一員が半年に一度の会議のため運転手としての役割をつとめました。 遠出の場合には走行距離分のガソリン代を支払う規定があったので、事業主は運転手にこの経費を支払いました。
4) 運動障害
運動障害には身体的な動きに関わる病状が含まれます。 病例としては、四肢麻痺、対麻痺、多発性硬化症、小児麻痺、筋萎縮性側索硬化や筋ジストロフィー等があります。 運動障害のある個人に有用であると思われるPASについて以下で説明します:
個人的付添人
個人的付添人はトイレの使用、身繕い、食事などの個人的ニーズに関して支援を提供します。 個人的付添人には認可が必要でないため、個人的付添人は家族の一員、友人、あるいは個人的付添人として世話をするために雇われた人であるかもしれません。
状況: 四肢麻痺の従業員は勤務時間中に自分のカテーテルの袋を空けることができませんでした。
解決策:事業主は定められた休憩時間にこの用務を果たすための個人的付添人を職場に連れてくることを許可しました。
旅行随行員
旅行随行員は仕事関連の旅行の間様々な職務を遂行します。スーツケースや仕事の資料を運んだり、不案内な都市での道案内をしたり、個人的に付添をしたりすることもあります。 現在は認可の必要がないため、旅行随行員は同僚あるいは旅行随行員としての役割を果たすためにだけ雇われた人であることもあります。
状況:車椅子を使用している筋ジストロフィーの営業部員は、諸都市で開催される年次総会への出席に飛行機で旅行しなければなりませんでした。 その際製品サンプルを持ち運ぶのが困難でした。
解決策:事業主は製品サンプルの持ち運びを手伝うために旅行随行員を雇い同営業部員の出張に同行させました。
仕事のアシスタント
仕事のアシスタントが遂行する職務は様々です。事務的支援、ページめくり、仕事の備品や資料の用意等などがありますが、これに限定されません。
状況: 多発性硬化症の弁護士は指にしびれがあるためファイルを扱うことができませんでした。
解決策:事業主は従業員のために書類をファイルしたり取り出したりする事務員を手配しました。
障害を持つ人のための環境整備について詳しい情報が必要な場合、JANのウェブサイト(AからZまで障害別)をご覧下さい.http://www.jan.wvu.edu/media/atoz.htm。
個人支援サービス(PAS)と米国障害者法(ADA)
ADA第1章において15人以上の従業員を雇っている事業主には障害に関する同法令の定義に合致する従業員のために合理的な環境整備を供与する義務があります。 合理的環境整備には仕事関連の支援という形式でのPASが含まれることもありますが、一般的には職場における個人的付添人という形でのPASは含まれません。 しかし、雇用者は職場を離れて旅行する従業員のために個人的付添人を手配することを考慮しなければなりません。 以下でこうした問題を詳しく説明します:
仕事関連の支援
雇用機会均等委員会(EEOC)の委員によると、ADAに基づく合理的な環境整備には障害を持つ人のある従業員が職務の付帯的機能を遂行する場合の支援として仕事関連の支援を提供することが含まれています。 EEOCの技術支援マニュアル第1章に下記の事例が記載されています:
適切であると思われる他の環境整備には…手を失った人のためにページめくる人や、出張のおりに全盲の従業員をを支援するために手引き誘導をする旅行随行員といった、特定の職務に関連した機能のための個人的なアシスタントを提供することが含まれます(http://www.jan.wvu.edu/links/ADAtam1.html#III)。
更にEEOCによると、事業主は仕事のアシスタントを提供する場合に、ADAが定める以上のことを決定することがあります。 例えば、「支援付き雇用」プログラムでは重い障害のある人が仕事を習得したり向上できるように職務指導やその他の支援を与えることができます。 こうしたプログラムでは通例の雇用慣行の変更や調整が通常必要になります。 ADAに基づく合理的な環境整備として変更が必要になることもあるかもしれません。こうした変更の一部を合理的な環境整備としてADAが定める可能性もあります。 しかし、支援付き雇用プログラムでは、基本的な職務の再編成といったADAで定められている以上の変更が必要になる可能性があります。 支援付き雇用プログラムにより、信頼のできる生産性の高い従業員が新しく生み出されていると事業主は認識しています。 こうしたプログラムに参加することでADAの根本的な目標である障害を持つ人の雇用機会の拡大を促進できます。 支援付き雇用のためにADAで定められている以上の変更を行ってもADAに違反することには決してなりません。
個人的付添人
EEOCによると、事業主には主に個人のニーズにかかわる環境整備を提供する義務がないため、事業主は職場では個人的付添人を手配する義務はありません。 このガイダンスはEEOCの第1章規則、1630.9項に基づいています:
合理的な環境整備を供与する義務とは差別をしないということを表現しています。 雇用に関するあらゆる決定や求職過程に適用されます。 この義務は主に障害を持つ人の個人的恩恵のために調整したり変更したりする場合には適用されません。 従って、調整あるいは修正が仕事に関連するものである場合(例えば個人が特別な任務を遂行する際の支援)には、合理的な環境整備と考えられます。 一方、調整あるいは変更が勤務中または勤務外の個人の日常活動を支援するためのものである場合には、事業主が提供する必要のない個人的事項と考えられます。 従って、事業主は義肢を使用している従業員に車椅子とか眼鏡を提供する必要は通常ありません。 ましてや、事業主は障害が無い従業員には提供されない個人使用のためのホットプレート、ホットポット、冷蔵庫などといった仕事に関連のない快適や便益を環境整備として供与する必要もありません。(http://www.jan.wvu.edu/media/adahandbook/FREG1.txt)。
しかし、事業主は障害のある従業員に個人的付添人を職場に連れてくる許可を与えることを考慮しなければなりません。
出張の場合の個人的付添人
EEOCによると、事業主は職場では個人的付添人の費用を支払う義務はありませんが、出張に出かける従業員のために個人的付添人の費用を支払わなければならないことがあります。 これは従業員に旅行の個人的付添人に支払う追加費用が発生するためです。事業主はこの追加費用の支払いを考慮しなければならないのです。
ADAに基づく合理的環境整備に関する詳しい情報が必要な場合、下記のウェブサイトの合理的環境整備および過度の負担(EEOCガイダンス)をご覧下さい。http://www.eeoc.gov/policy/docs/accommodation.html
問い合わせ先リスト
その他のPASに関する出版物:
1) Report of the National Blue Ribbon Panel on Personal Assistance Services
この出版物は右のウェブサイトでご覧頂けます: http://www.ilru.org/pas/BRPPAS.html
2) 個人支援サービス利用者マニュアル
このマニュアルは、ワシントン州、エバレットにある自立生活サービスセンター(Independent Living Service Center)およびワシントン州、レッドモンドにある障害情報ネットワーク(Disability Resource Network)において、障害のある市民のワシントン協会のためのVISTA(ボランティア組織)の任務に関してCella Casperがまとめたものです。 これらのセンターは教育省の助成金を受けており、以下のサービスを提供しています: 情報と紹介、ピアサポート、技能訓練、および権利擁護と雇用。 このマニュアルは下記のウェブサイトでご覧になれます: http://www.wa-ilsc.org/toc2ack.html
3) 職場における個人支援: 顧客向け案内書
編集: Ed Turner、Grant Revel、Valerie Brookeによるこの案内書は、職場における個人支援の利用、個人アシスタントをみつけ訓練すること、職場での個人アシスタントをサポートするための資金源を見つけること等に関する実用的な情報を提供しています。 この案内書は右のウエブサイトでご覧になれます。http://www.worksupport.com/Main/pass.asp
4) Bibliography of Personal Assistance Services (PAS) Resource Materials
以下をご覧下さい: http://www.ilru.org/pas/pasresc.htm
5) U.S. Department of Health and Human Services Case Studies of Six State Personal Assistance Service Programs
1991年12月、世界障害問題研究所のJae KennedyおよびSimi LitvakによるMedicaid Personal Care Optionの助成金を受けています
本報告書は以下でご覧になれます: http://aspe.hhs.gov/daltcp/reports/casestud.htm
6) PAS InfoBrief from the National Collaborative on Workforce and Disability Youth
以下をご覧下さい: http://www.ncwd-youth.info/assets/info_briefs/infobrief_issue6.pdf
7) The "Customer is Right" articles within the Newsletter for Customers from the Rehabilitation Research and Training Center on Workplace Supports 」
以下をご覧下さい: http://www.worksupport.com/Text/Topics/customer.htm
8) Personal Assistance Services: A Vital Workplace Support
作成: Ed Turner, J. Michael Barcus, Michael West, and Grant Revell.
以下をご覧下さい: http://www.worksupport.com/Main/downloads/article11.pdf
その他のPASに関する情報源:
The "Personal Assistance Exchange for Disabled Assistance Users and Assistants"
支援ユーザーがアシスタントを探せるオンラインサービス。 アシスタントのユーザーに適合するアシスタントを居住地、自国、あるいは他国で見つけることを目指しています。 この支援に関しては以下をご覧下さい: http://www.independentliving.org/assex/index.html
The Nationwide Sign Language Interpreter Referrals
http://www.jan.wvu.edu/cgi-win/TypeQuery.exe?480
職業リハビリテーション(VR)州本部
全ての州において、障害のある人が職業リハビリテーションサービスを利用できるようにしています。 これらのサービスの目的は、障害のある人々に対して有益な雇用を確保することにあります。 就職斡旋に加えて、これらサービスには、制限があるというわけではなく、カウンセリングや職業評価や評価、職場内訓練などが含まれます。 VRで通訳や朗読者などの個人支援サービスを見つけることもできます。 連絡先に関する情報は地元の電話番号簿で州政府の項で探すか、以下をご覧下さい: http://www.jan.wvu.edu/cgi-win/TypeQuery.exe?902