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膠原病等の患者は1,400,000人から2,000,000人いると見積もられており、アメリカ人185人のうち1人は膠原病等に罹っていることになります。 膠原病等に罹っているという診断を受ける患者のほとんどは、20歳から40歳までの年齢です。 このため、患者の多くが働き盛りの人たちです。 この数字に加えて、アメリカ障害者法も膠原病等の患者への職場環境整備について知ることがいかに重要であるかを示しています。
膠原病等の患者への環境整備を考えるとき、そのプロセスは個別対応を基本に管理しなければなりません。 膠原病等の症状は、一部の器官に影響が出るだけの軽度のものから死亡の恐れもある重度のものまで、さまざまなものがあります。 効果的な環境整備を選択するには、その人固有の能力と障害の程度を考慮し、問題のある業務を特定すべきです。 そのため、患者本人がプロセスに参加することが望まれます。
すべての膠原病等の患者が職務遂行に環境整備を必要とするわけではありませんし、必要な場合も、ごく簡単なものが大半です。 環境整備を必要とする人たちについては、以下に一般的な機能障害、症状、考慮すべき問題点、考えられる環境整備法についての基本情報を提供します。 これは参考例に過ぎません; この他にもたくさんの解決法や検討材料があります。
膠原病患者への環境整備に利用可能な製品に関する情報も掲載しています。この情報は、製品や取り扱い業者のほんの一例で、ここに紹介した以外にもたくさんの製品や取り扱い業者があります。 ここに紹介した以外にもたくさんの製品や取り扱い業者があります。
この文書には追加情報のための問い合わせ先リストがあります。
膠原病
膠原病に関する以下の情報は、いくつかの出典から編集したもので、出典の多くは問い合わせ先リストに列挙してあります。 この情報は、医学的な助言を意図したものではありません。 医学的な助言が必要な場合には、適切な医療専門家に相談してください。
膠原病とは?
膠原病等とは、慢性の自己免疫疾患で、さまざまな部位に炎症を起こします。 人間の免疫系は、通常、ウイルスや細菌などの異物(抗原と呼ばれます)から体を守るために、抗体と呼ばれる蛋白質を作ります。 膠原病等の自己免疫疾患に罹ると、免疫系は異物と自分自身の細胞や組織を見分ける能力を失います。 そのため、免疫系は「自分自身の細胞」を標的にした抗体を作ってしまいます。この抗体を「自己抗体」と呼び、標的の細胞と反応して免疫複合体を形成します; さらに、抗体の生産も過剰になります。 免疫複合体は体内に蓄積され、炎症、組織の損傷などを引き起こし、自分自身の細胞(とくに皮膚、関節、血液細胞、腎臓など)を攻撃して痛みを引き起こします。 膠原病等とは、免疫のメカニズムが過剰に機能して、自分自身を攻撃してしまう疾患といえます。 膠原病には、主に3タイプがあります:
1. DLE(Discoid lupus erythematosus)は皮膚上に丸いうろこ状の赤い斑点ができるものです。 これらの斑点は通常痒くも痛くもありませんが、脱毛症(毛髪脱落)の発生、および太陽光に敏感になる場合があります。
2. 全身性エリテマトーデス(SLE:Systemic lupus erythematosus.「1000の顔を持つ疾病」とも言われる)は、身体の多くの組織に影響する可能性があり、一般にDLEよりも深刻になります。
3. 薬剤性ループス様症候群(Drug induced lupus、or drug related)はある特定の処方箋薬を使用した場合に現れる症候群です。 症状はSLEと類似していますが、薬物または(原因)物質をやめると症状は一般に消失します。
「lupus」とは、ラテン語で狼を意味するもので、膠原病に共通して見られる表面の赤い斑点状の潰瘍のことです。
膠原病の症状とは?
膠原病は身体のどの部分にも影響が出ますが、チョウの形をした発疹が現れる; 関節炎; 腎炎(腎疾患) ; 肺、心臓、腹腔の炎症; 消化器障害といったものが最も共通した症状です。 他にも疲労、発熱、視覚障害、体重変動、頭痛、感染症の多発、貧血、脱毛症(毛髪脱落)、発作、光線過敏症といった症状があらわれることがあります。 どの症状も膠原病に特有のものというわけではなく実験的な検査を行っても確実に膠原病を証明できるわけではありません; 症状ははっきりした原因が無くとも消失することもあり、何週間、何ヶ月、あるいは何年も寛解状態にある場合もあります。
膠原病は手と足の指、耳、鼻の血管が収縮するといったレイノー現象により悪化することがあります。 皮膚の変色、軽いヒリヒリ感。 血管の痙攣が持続すると指先が痛むようになり潰瘍化します。 指の潰瘍は酸素を奪いながら伝播し、結果として壊疽になることがあります。シェーングレン症状(唾液腺の炎症)も膠原病を持つ人に影響する場合があります。 この炎症により、唾液量が少なくなる、口内炎が起こりやすくなるなどの、口腔乾燥症(ドライマウス)の症状が引き起こされます。 膠原病を持つ人は食べる、飲む、話すなどに問題が現れる場合があります。
膠原病を持つ人の40〜60パーセントの人は皮膚に問題が起こり、その1つが光線過敏症です。 膠原病での光線過敏症は一般に紫外線 (UVA、UVB、UVC) によるものです。成層圏にあるオゾン層はUVCを透過; 窓ガラスはUVBを透過します。 膠原病はその初期から紫外線に対して敏感で、時間と共に進行します。 紫外線にさらされると、新たに皮膚の炎症が起こり、疲労および虚弱性が増大し、吐き気や嘔吐を引き起こします。
膠原病とは?
膠原病の原因は知られていませんが、環境要因、エストロゲンのレベル、遺伝、ウイルス感染暦などが寄与していると考えられています。 現在の研究では、膠原病のような自己免疫疾患はB細胞とT細胞の相互伝達に損傷の結果として発生すると報告されています; B細胞は通常、T細胞の指示によって抗体を生産したり、あるいは生産を止めたりしています。 膠原病では、B細胞とT細胞のコミュニケーションが歪み、B細胞はT細胞から抗体生産を止める指示を上手く受け取ることができなくなると考えられています。
どのような人が膠原病にかかるのか?
膠原病はどのような年齢の人にも、男性にも女性にも起こりえますが、20〜40歳の女性に最も多く見られます; 女性患者は男性患者の9倍になります。 膠原病患者はエイズ、脳性小児麻痺、多発性硬化症、鎌型赤血球貧血症、および嚢胞性繊維症よりも多くの人がかかっています。 膠原病は、思春期、出産、更年期、トラウマを受けた場合、薬物治療の長期化など、様々な時期に起こります。
膠原病の治療法は?
完治させる治療法がない場合は、症状の緩和が治療の中心になります。 膠原病治療に使用される薬物の多くには重大な副作用があり、膠原病自体への効果と比較して考慮しなくてはなりません。 最も一般的な治療法のうち、3つは組織の炎症を減少させるもの、自己免疫システムの異常を抑制するものです:
1． 抗炎症薬は痛みや不快感の元となっている炎症を減少させることにより膠原病の症状を取り除きます;
2． 坑マラリア薬は、マラリアの治療の使われるものですが、膠原病による関節炎、発疹、口内炎の治療に特に有効です;
3． がんの治療とよく似た細胞毒性化学療法は、自己免疫システムの抑制に使用されます。職場環境整備において考慮すべき問題
どのような症状や機能制限が見られるのか?
膠原病患者への環境整備の検討
(注意: 膠原病において以下の機能障害や症状の一部、場合によっては全部が進行することがあります。 機能障害は患者によってさまざまです。膠原病患者すべてが職務遂行に環境整備を必要とするわけではなく、必要な場合も、ごく簡単なものが大半であることに注意してください。以下は考えられる可能性のほんの一例です。 この他にもたくさんの解決法や検討材料があります。)
日常生活の活動:
認知障害:
疲労および衰弱:
精密動作障害:
粗大動作障害:
偏頭痛:
光線過敏症:
呼吸障害:
けいれん
皮膚の障害:
睡眠障害:
ストレス:
気候過敏症(レイノー症など)：
視覚障害:
膠原病患者への環境整備の例
膠原病等を有する教師がタイピングを長時間行うことを禁止されていた。 そのため、授業計画の作成に困難があった。 音声認識ソフトウェア、特殊キーボード、トラックボードを整備された。
膠原病等を有する企業指導員はプレゼンテーションを行う際に、長時間立ったり歩いたりすることに困難があった。 職場を巡回する際にはスクーターを、起立時には体重をサポートする寄りかかり椅子を整備された。
膠原病等を有するクレーム受付け係は事務所の蛍光灯の光やコンピューターモニターからの放射光に過敏であった。 既存の照明取付台に適合する特別なフィルターを取付け、頭上からの光は蛍光からより広いスペクトル光に変更された。 また、コンピューターはちらつき防止モニターと反射防止材を整備された。
膠原病等を有する技術者は、疲労のために事務所での仕事を達成することに困難があった。 休憩時間を頻繁にとること、柔軟な勤務時間、パートタイムで在宅勤務ができるように整備された。
膠原病等を有する事務局長は関節炎のために重い腰痛があった。座位と立位で変更できる高さ調整機能付机や調節可能なキーボードとマウス台、腰部保護の人間工学的椅子が整備された。
膠原病等を有する保健ケアワーカーは弱視であった。 コンピュータースクリーンや印刷物を見ることに困難があった。 大型モニター、画面拡大ソフトウェア、携帯/据え置きの拡大読書機、テレビの字幕システムを整備された。
膠原病等を有するシステム分析者は偏頭痛があった。 パーティション区切りの事務所から、妨害や雑音のない隔離された職場に移動した。 これにより、頭上からの蛍光灯でなく卓上照明を使い、必要時には温度調節もできるようになった。
機器機能障害を持つ人々への環境整備に利用可能な機器は、数多くあります。JANの検索機能付きオンライン環境整備(SOAR)で、さまざまな環境整備の可能性を探索できます。多くの機器取り扱い業者リストにアクセスできます; しかしながら、JANではウェブサイトで利用できるもののほかにもたくさんのリストを用意しています。 特別な環境整備条件がある場合、特別な機器を探している場合、取り扱い業者の情報が必要な場合、医師への紹介状を請求する場合は、JANに直接問い合わせてください。
機器の例:
問い合わせ先リスト
(完全なリストではありません)